キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 63巻

*ネタバレあり*

前巻から何やら不穏な雰囲気が続き、

トラブル続きの桓騎軍。

 

無茶ブリされた飛信隊はいかに?

 

しっかりあらすじから追っていきたいと思います!

 

【あらすじ】

飛信隊は趙王都・邯鄲の手前に位置する2"武城""平陽"の攻略のため、趙への進軍をはじめた王翦・楊端和・桓騎の3軍。

飛信隊は、平陽を受け持つ桓騎軍に配置されることとなる。

 

戦況は圧倒的に劣勢であった。

しかし3倍もの軍勢で待ち構える趙軍に対して、桓騎軍は全く手を打つことなく前進し続ける。

 

開戦後9日目が過ぎた頃、桓騎軍からは多くの死者・脱走者を出していた。

 

飛信隊は桓騎軍左翼の中でも"死地"と呼ばれる最激戦地・影丘に呼ばれる。

信たちが到着すると、先に招集されていた玉鳳軍はすでに壊滅状態であった。

 

瀕死の王賁を救護した信は、王賁から得た情報から影丘攻略の鍵となる場所へと歩兵団を集結させ、断崖絶壁の頂上を目指して前進させる。

 

趙軍からの落石の計を耐え凌ぎ、頂上まで登りつめた歩兵たちは騎馬隊への道筋を切り開き、信を呼び込むことに成功。

 

さらには3日前に王賁が仕込んでいた別働隊・亜花錦が、本来予定していた日程通りに現れた飛信隊の登場を見計らい挟撃の策を実行。

亜花錦の奇襲が成功し、信たちは岳白公本陣へと迫る。

 

趙軍は影丘の地形の利に油断していた。

趙軍にとっては安全な崖側に本陣を置いていたことが裏目に出て、秦軍に後方(亜花錦隊)と崖下(瘣隊)から挟み込まれる形となったのである。

 

勢いに乗る飛信隊だったが、

本陣の将である扈輒の側近・岳白本人が姿を現し、信の前に立ちはだかる。

 

 

 

 

その頃、中央の扈輒軍本陣では、桓騎軍右翼で奮戦していた雷土が囚われの身となっていた。

 

オギコを通して桓騎から伝令を受けたことにより一旦戦局を立て直そうと考えていた雷土だったが、

たまたま部下が趙軍の将・龍伯公の末の子である曹還(そうかん)を捕えたことでこれをエサに利用しようと思いつく。

 

雷土は曹還の死体を磔にして龍伯をおびき出し、龍伯の首を獲ることで桓騎の戦いを楽にする算段であった。

 

しかし雷土の思惑以上に龍伯の怒りは凄まじく、

罠と知りながらも息子・曹還の死体の前に現れ、烈火の如く怒り狂いながら桓騎軍に猛威をふるう。

四面楚歌の敵陣にわざわざ現れた龍伯は雷土に討たれ力尽きるが、

龍伯の長兄・竜布(りゅうふ)までもが駆けつけてきたことにより形勢は逆転する。

 

竜布は父と弟の無惨な死を目の当たりにし、慟哭する。

怒りはおさまるはずもなく雷土ら桓騎軍は捕えられ、総大将・扈輒の本陣へと連れて来られたのであった。

 

少しずつ指や腕を斬り落とされ、足指の爪を剥がされ、全身を切り刻まれ、あらゆる場所に釘を打ちこまれる雷土だったが、

桓騎の"狙い"を聞き出そうとする扈輒の尋問には一切答えることはなかった。

 

固く口を閉ざす雷土の様子から、

扈輒は桓騎に何か策があるということを察する。

 

 

 

 

影丘の激しい断崖を抜け、頂上に到着した桓騎軍左翼の信は、独特な動きをする岳白の体術にてこずり決着が付けられずにいた。

 

体術を極めた岳白は動きが素早い上に独特であり、片手に持つ剣で絶対的に防御した上でもう片方の手を拳闘術の攻撃用に駆使していた。

 

信は岳白の動きに対応するために王騎の矛を一旦尾平に預け、剣を抜いて岳白に挑む。

 

信は敢えて岳白の攻撃を身で受け、動きを止めたところを矛の威力を使って一気に岳白を切り裂く。

信の合図を見逃さず矛を信へと戻した尾平との連携がうまく成功し、信は岳白を討つことに成功。

 

岳白が討たれたことで後方に待機していた趙軍の後軍本隊が出陣してくるが、

すぐさま崖下で様子を伺っていた羌瘣隊が機を見て現れ混戦に。

満を持して亜花錦が岳白本陣を急襲し、本陣を壊滅。

飛信隊は見事影丘の攻略に成功するのだった。

 

 

貂は岳白軍の逆襲を警戒しつつ、そのまま影丘を抜いて中央・扈輒本陣を急襲するよう指示を出す。

 

影丘が抜かれたという報を受けた扈輒は、

飛信隊を中央部に来させぬよう

あらかじめ近くに留めていた虎白残留軍5千を北上させて飛信隊に対応させようと指示を出すーーー。

 

 

 

* * *

 

 

 

数的にも地形的にも秦側に全く明るい要素がないまま不穏な展開が続く平陽戦の桓騎軍VS扈輒軍でしたが、

信は左翼側を制して見事影丘を攻略しました!

頼もしい!

 

しかしながら、

開戦前に羌瘣が胸騒ぎがすると言っていたり、

桓騎軍に間違いなく何かが起こるのであろうと思えるくらい、全体的に不穏な雰囲気が醸し出されていますね。

 

開戦後、無茶な進軍で兵たちを死なせまくっている桓騎ですが、

戦況を見守る咸陽の首脳陣たちや王翦から見ても

桓騎にどんな策があって進軍しているのかはサッパリ見当がつかない様子。

 

なにせ今回は、百戦錬磨の桓騎軍側近たちですらかなり不安げです。

 

皆苦戦を強いられる中、

黒桜さんは援軍がもらえず、

土論一家はドロンし、笑

摩論は仲良しだけ連れて逃げようとする始末。

 

そして不穏な空気感は現実になってしまいました。

 

たまたま捕えた趙左翼の将・龍伯の末の子の曹還をエサに使い、

いっちょ龍伯殺っとくかー、

と思いついた雷土さん。

いつものようにむごたらしく死体を磔にして父親龍伯をおびき出したところまでは上手くいったのですが、

雷土が思っていたよりも龍伯一族の絆は固く深いものでした。

 

わが子を惨殺された龍伯はブチギレで暴れまくった結果雷土に討たれてしまいますが、

さらに長兄・竜布が乗り込んできて無惨に殺された父親と弟の死体を目のあたりにし、発狂!

雷土たちは竜布によって生け捕りにされ、総大将・扈輒のもとへ連れて行かれてしまいました。

 

‥‥しかしまさか、扈輒が拷問スペシャリストだったとは。

 

前巻で、趙の李白

 

🔴「桓騎の所業の残忍さに趙の人間は異常に奴を恐れているが 

そうではない 

戦場において本当に恐ろしいのは 

扈輒将軍だ」

 

と意味深な発言をしていましたが、このことだったのですね。(いや、充分桓騎も恐れるべき人間だろうよ)

 

雷土はオギコの伝令で桓騎の策を聞かされていた様子でしたが、

指や腕を斬り落とされても、爪剥がれて釘打ち込まれても、結局口を割りませんでした。

 

雷土は、龍伯たちの"親子愛"を目の当たりにして

 

🔴「そういうの知らねェからうぜーんだよ 

バカ親子」

 

などと嘲笑していましたが、

 

竜布が来る前に逃げるタイミングがあったし、

拷問時に命と引き換えで桓騎の策をバラす選択肢もあったのに、

 

結局

"このあとの桓騎の戦いを楽にするため"に

危ない橋を渡ってしまい、

自分が助かるために桓騎を売ることをしなかった。

 

忠義も誇りも無かったのかもしれないけど、

無意識だったにしても、

雷土にとって桓騎は

裏切りたくない

"家族"ってことなんだな‥‥

と思いました。

 

雷土は、薄れゆく意識の中で

 

🔴「あれ‥‥? 何か‥‥少し 

お頭のことが 分かったような‥‥」

 

と何かしらの気づきがあったようでしたが、

 

誰も知らない、桓騎の内面の感情。

いずれ明らかになる時が来るのでしょうか。

 

 

さて雷土を失った雷土兵はメッタメタ、

黒桜兵は虎白公にやられてボロボロ、

桓騎軍はまさに大ピンチ。

(余談ですが、黒桜さんの相手はひとイジりありきで敢えてイケメン虎白公を当て込まれたのかと

思っていましたが、全くそれどころじゃなさそう。)

 

秦軍中央(黒桜・リン玉軍)・右翼(雷土軍)はヤバい展開になりましたが、

左翼の信たちは見事に饅頭野郎を討ち取りました!

 

尾平が信に呼ばれた時は何事かと思いましたが、

大事な"王騎の矛"を預ける役割だったのですね。

アイコンタクトのみで信に矛を投げるタイミングをはかれるのは、立場的に尾平しかいない!(昂も手伝ってましたが。笑)

 

死にゆく饅頭野郎に、

 

🔴「この私を‥‥討った

快感 快楽 

さ 最高 か 

飛信隊 信」

 

と問われて、

 

🔴「‥‥ああ そうだな」

 

と答えた信。

 

🔴「フッ それでいい」

 

と力尽きる饅頭野郎に対し、

 

🔴「よくねェよ バカ」

 

と複雑な表情を浮かべる信は、

どことなくかっこよかった。

 

 

さて信が趙右翼の大将を討ちとったら後はスピーディ!

すかさず羌瘣隊が崖上に上がってきて後処理に!(関常GJ)

かしこい亜花錦が絶妙なタイミングで岳白本陣を叩いて壊滅!

 

玉鳳と飛信隊のチームプレイで得た大勝利です!

 

 

さて扈輒は岳白討ち死にの報を受けて指揮を取り直しますが、

次巻ではこれが裏目に出るらしく‥‥

 

ラストのコマで、桓騎の口元が妖しく笑っています。

 

64巻へつづく。

 

 

【メモ】

⭕️扈輒側近の三公

⚫︎龍伯公(竜布・曹還の父)

⚫︎岳白公(饅頭野郎)

⚫︎虎白公(イケメン)

 

⭕️龍伯は扈輒の古き戦友であり、もはや家族的存在であった。

 

⭕️龍伯(),竜布(長男,龍伯の死後に龍伯の名を継ぐ),曹還(末の子)

 

⭕️礼、崖から転落するところを昂に助けられ、ちょっと意識する。

 

⭕️ デキる子リン玉(ぎょく)、忠誠心のない一家が劣勢を察して見限り、散り散りになるさまを目の当たりに。

残ってくれたメンバーを自分の一家へ引き取ってあげたり、桓騎の心配まで。かなりの常識人!

 

⭕️おまけマンガ「お礼参り」

 

 

 

キングダム 62巻

*ネタバレあり*

今巻の表紙は桓騎。

 

単独キャラ表紙は迫力があってやっぱり好きですね。

 

さまざまなことが動きはじめる62巻です。

 

 

【あらすじ】

""で生き残り、蚩尤となった羌礼。

は、同族同士で姉妹のように育った羌礼と羌識が""の最後まで生き残り、

最終的に羌礼が羌識を殺めたのであろうと察していた。

羌識を自らの手で殺めたことにより深い闇に堕ちてしまった羌礼を救けるため、

瘣は羌礼の求めるままに一騎討ちの場を設ける。

 

瘣の回復を待った3日後、2人の決闘が始まった。

瘣を殺そうと本気で斬りかかる羌礼に対し、羌瘣は打ち合いながら""で起こったことを羌礼から聞き出す。

が予想していた通り、羌礼が""で最後に殺めた相手はやはり羌識であった。

 

 

 

 

羌識は、祭が行われると決まった時から

羌礼に対して「今日から敵同士」であるときっぱり宣言していた。

2人は掟に従い、同族同士であっても正々堂々と祭に挑むと誓い、その日を迎えた。

 

祭当日。

互いに離れた場所に立ち祭を開始したが、

結局最終的に生き残ったのは羌礼と羌識の2人であった。

意識が朦朧とする中であっても互いの存在に気づき合う2人。

戸惑う隙を与えないうちに、先に殺気を放ったのは羌識だった。

 

反射的に剣を出す羌礼だったが、それよりも早く反応していたのは羌識の方であった。

しかし羌識は剣を止め、かわりに羌礼の剣が羌識の心臓を貫いてしまう。

 

 

 

 

 

 

祭の顛末を羌瘣に話しながら、

羌識を殺めた時の手の感触や脳裏に焼き付いた羌識の表情を思い出し、絶望と焦燥に駆られた羌礼は激しく羌瘣に襲いかかる。

 

本物の蚩尤となるために供物となった羌識の命を糧にして"闇の神"として進んでいくと宣言する羌礼に対し、

瘣は

「闇の先に道などない」と説く。

 

瘣には、実の妹を殺めて蚩尤となり人格が崩壊した前蚩尤・幽連と羌礼が同じ道を進んでいるように見えていた。

 

瘣は、

暗闇の淵から戻ってこそ蚩尤としての本当の強さを得るはずだと諭し、羌礼に羌識の最期を思い出すように訴えかける。

 

蓋をしていた記憶を呼び起こす羌礼。

実際のところ羌識は、

覚悟ができていなかったのは自分の方だったと羌礼に詫びていた。

そして残される羌礼を想い、

最期の言葉として

「自分の分まで精一杯生きてほしい」

と告げていたのであった。

 

羌識の自分への想いや託された未来に気づき、

自らが羌識へ伝えられなかった想いへの後悔と受け入れられなかった感情に向き合うことができた羌礼は、戦いの後飛信隊の隊員たちに数々の非礼を詫びて回る。

 

信は、

次に軍律違反を犯したら追い出すことを条件にし、今後は隊員たちと背を支え合うよう厳しく諭す。

羌礼は信の言葉の意味を理解し、正式に飛信隊へ加入することとなるのであった。

 

 

 

 

 

 

始皇13年。

年明けと共に、王宮では

"六大将軍"の復活が発表される。

 

咸陽では、嬴政より新・六大将軍の任命の儀が執り行われていた。

 

第一将:蒙武

第二将:

第三将:王翦

第四将:楊端和

第五将:桓騎

 

と発表され、それぞれに嬴政から直接"黄金の翼""(しるし)"として預けられる。

 

しかし第六将については、現時点で該当する者がおらず

"空席"

とすることが発表された。

 

今後は六将制度が復活したことにより、

各将による

"戦争の自由"

も復活することとなる。

 

つまりは六将の権限により戦争が可能となり、

今後は咸陽本営の確認不要で各将が現場レベルで最速の判断が出来るという利点が生まれるという訳である。

 

反面、内乱の危険性も抱える諸刃の剣ともなる制度であったが、

嬴政はこの六将制度が六国を滅ぼすための最善の手段であり

秦国が中華統一への最終的な舵を切ったということを宣言するものであると告げる。

 

そしてその宣言は、列国に瞬く間に知れ渡ることとなるのであった。

 

 

 

 

新六将となった

王翦・楊端和・桓騎

の三将は、

戦争の自由を得た軍の威力を発揮し

再び趙攻略の侵攻に出る。

 

三将は趙王都・邯鄲の喉元にある

"武城(ぶじょう)""平陽(へいよう)"

という最後の砦といわれる2つの城の攻略を目指しており、王翦軍と桓騎軍の間に待機していた飛信隊は咸陽からの指示を待っていた。

 

同様に待機中であった楽華軍の蒙恬には王翦軍への合流の指示が入るが、

飛信隊にはまだどちらの軍へ配属になるかの伝令が届かず、信は集中できずにいた。

 

一方、信たちよりも先に前線にいる桓騎軍に配属された玉鳳軍は、

攻めに適さない最悪の地形である

"影丘(えいきゅう)"という地の出現により手こずっていた桓騎軍の援護に向かわされていた。

 

影丘の前線では、

"武城""平陽"を背に全体の指揮を執る軍総司令・扈輒率いる本軍・15万が出陣し、総勢24万もの趙軍勢対8万の桓騎軍との戦いの火蓋が切って落とされた。

 

当然のごとく、桓騎軍からは大量の死人が続出。桓騎軍は文字通りの大苦戦を強いられていたが、

それでも桓騎は前進の指示を出し続ける。

 

明らかに不利な地形の影丘を狙い続ける桓騎に対し、

巻き込まれた形の玉鳳軍は作戦が無謀すぎるとし、関常は策の練り直しを提言する。

 

しかし桓騎軍参謀・摩論は、桓騎からの前進の伝令を受け入れるよう提言を却下。

これまでにも軍部が理解できぬ戦い方で勝ち続けてきた実績のある桓騎の命令に従うよう、王賁に対し語気を強めるのであった。

 

影丘を抜き、"平陽"を攻略するという桓騎の無謀ともいえる作戦は結局強行されることとなり、

桓騎はさらに前進の指示を出す。

 

 

 

 

桓騎軍対扈輒軍の戦いは8日を過ぎ、

王翦軍や飛信隊のもとに届く情報も苦戦の報ばかりであった。

 

負け戦としか思えない内容に、蒙恬をはじめ各所の秦軍は桓騎の考えを推しはかりかねていたが、

待機させられ続けていた飛信隊へついに桓騎軍から出陣の伝令が入る。

 

信に入った摩論からの伝令は、

絶対に抜かれないと敵が信じている影丘を必ず抜き、扈輒軍をおびやかせとの内容であった。

 

絶対的不利であろう地形の地・影丘に到着した信が見たものは、見渡す限り殲滅させられた秦軍の死体の海であった。

さらに趙軍によって戦の後処理が行われている場面に出くわし、信たちは間に合わなかったのかと衝撃を受ける。

 

玉鳳も全滅しているかのように見えたが、わずかに息のある場所を見つけた信は玉鳳の救援に向かう。

 

隊が重傷を負った王賁を見つけ何とか救出するが、玉鳳軍はほぼ壊滅状態となっていた。

 

飛信隊がそのままあとを引き継ぐこととなり、必死で策を練る貂だったが、

瀕死の状態の中、王賁は自らが返り討ちに遭った"狩り場"の場所を信たちに伝えるべく飛信隊の軍議の席にあらわれる。

 

貂がわずかな攻略の糸口と考えていた場所は、実際のところ趙軍により用意周到に準備されていた"狩り場"であった。

玉鳳も同じように考え、そこで甚大な被害を被ってしまったのである。

 

玉鳳の奮戦から得た情報と数々の犠牲を背負い、信たちは影丘攻略へと出陣するーーー。

 

 

 

* * *

 

 

 

まずは前巻から続いた礼と識の""での話が落ち着きました。

 

飛信隊を掻き乱し手が付けられないありさまの礼でしたが、

識の想いに気づいてやっと現実を認めることができましたね。

 

現実を認めて自分と向き合うことでしか前には進めない。

礼もめちゃくちゃつらかったことでしょうが、

闇堕ちせずに"戻ってくる"ことができました。

 

そしてみんなに謝って、信にゲンコツくらって、正式に飛信隊加入です!

 

この礼の存在。

信と羌の関係性のテコ入れとなり、

やっとこさこの2人の関係性が動き出しましたね‥‥!!

 

今巻は、ここに感想の大部分の時間をさかずにはいられません!笑

 

まずはいきなりの礼のぶっこみ案件。

 

信が羌瘣に禁術の件を問いただそうと血相かえて天幕にやってきた時、

 

ハァ?隊長のことが好きだからやったのに決まっておろーが?とアッサリ礼に言われてて笑いました。

そりゃそーだわ。笑

 

いきなり想いをバラされ、恥ずかしすぎてどうしていいか分からなくなった羌瘣は一旦、

 

「ちっ 違う!」

 

と否定してしまいます。笑

 

しかしながらキョトンとした礼に

違うのか?

と言われて

 

「‥‥いや 違わない」

 

と結局認めてしまう羌瘣ちゃん。

 

す、好きィ。。。

 

ついでに例の

"瘣の寿命がどうなったか"

の件に触れられましたが、

正直、ここの部分は謎設定でした。

 

"もともと羌瘣は特別に寿命が長かったから他の普通の人間とちょうど同じくらいの長さになった"

 

だなんてちょっとご都合主義な感も(スミマセン)

 

象姉から"いいことが2つある"といわれた設定でなぜかわざわざひとつを忘れたことも

原先生のことだからうやむやにせずこの先必ず回収されることかと思います。

おそらく信とのことだろうとは思いますが、いずれ"その時"がきたら羌瘣も思い出すことでしょう。

 

ちょっと個人的に気になる点がひとつ。

いつからか、羌瘣の精神世界的な部分(だったはず?)が現実に死者と交流できているかのような表現になってきているのが気になります。

瘣だけでなく礼も、

「夢で識がよくないことがあるって言ってた」

と話すシーンがありましたが、

いくら"神墜とし"の蚩尤族とはいえ

チート能力が天井知らずになってきているような‥‥

 

夢でみたもの=暗示

 

というよりは本当に死者と話せているような感覚というか。

それはアリなの?

 

そんなモヤっと感を感じつつあります。

 

話は変わりますが、

瘣が信との関係について、

「それ以上のことを望みたくないと思っている」

というところは意外でした。

 

でも

「ここまで無事に来れたのは

二人とも戦いのことだけに集中してきたからだ

それ以外のことに気を使い出したら弱くなる気がする

それはこの戦いの中では致命的なことになりかねない」

との発言を聞き、納得‥‥。

 

鄴攻略戦では、数々の仲間を失いましたからね。

 

好きと認めておきながら、これ以上の関係を望まないと言い、

「私は自分のことはよく分からないけど

信のことはよく分かってるから

大丈夫‥‥」

と告げる羌瘣に、

健気すぎてキュン‥‥。

(余談ですが、これ言われた時の信の表情がすごく好きです。)

 

そう言っておきながら、信に

(戦い以外のことを考えたにしろ)俺たちはずっと強いだろ」

と言われて思わず乙女モードになってしまう羌瘣。

 

こんな感じのことを信にずっと話したいと思ってた、

と礼に打ち明ける羌は素直で可愛かった。

礼は、さしずめ羌瘣の恋バナ要員といったところですね。

 

そういえば以前公式ガイドブックで原先生がおっしゃっていた

"登場させる予定の引っ掻き回し役"

の正体は礼だったということですかね。

 

間違いなく動き始めたここ2人、

原先生もいよいよ信の嫁を決めにかかっています!

果たして2人はどうまとまるのか、心して待ちたいですね。

 

 

‥‥さて、ここからはあらためて大筋の感想です!笑

初っ端から不穏な感じのする戦の幕開けですね。

 

ひとつ大きな動きとして

"六将の復活"

が決定しました。

まさかの6人目は、何と空席。

 

政が六将のためにつくらせた

"黄金の六翼"。

原先生がキングダム連載前に構想を練っていた際の仮タイトルは

"黄金の羽"でした。(公式ガイドブック英傑列記より)

そう考えると六将の6人目はやっぱ信でしょ!

と思えるし思いたい。

 

あと、政が話していた秦国の祖を産んだ女脩(じょしゅう)の卵のエピソードですが、

以前に初期の絵コンテみたいなものが公式ガイドブックに掲載されていました。

原先生もここ(62)で本編に登場させることができ、すごく感慨深かっただろうなぁと思います。

 

そんな記憶も引っ張り出してきたりしているうちに、いよいよ中華統一編という区切りを感じてなんだか気がひきしまります。

 

李牧が鄴陥落の責任を負わされ趙首脳陣から退かされている今、趙にたたみかけたい秦。

 

王翦・楊端和・桓騎の3軍はさっそく六将の権限を使って邯鄲喉元の2城を落とすべく侵攻をはじめましたが、

趙の大将軍・扈輒(こちょう)が大軍率いて防衛にかかり、

何やらあやしい雲行きに‥‥

 

端和様の軍はまだ遠くにいるようで、王翦軍は様子見なところ、

桓騎は前進しまくって味方の兵も死なせまくり。

手を出したらドツボにはまるであろう絶対的不利な地形だと分かっていながらも突っ込んでいく始末。

 

自軍の軍師(摩論)ですら抜けないと読んでいる死地に対して前進をさせ続ける桓騎ですが、

摩論の心配をよそに当の本人は天幕で女体盛り‥‥!(4人はいた)

いつにも増して、何を考えているのか分かりません。

 

巻き込まれた新婚・王賁は苦戦を強いられ、瀕死の状態に追い込まれて大ピンチに。

 

信たちは桓騎軍ご指名でヤバすぎる戦況の中に投入され、全滅寸前の玉鳳を援けに動きます。

 

王賁は無事礼に助け出されましたが、もはや戦える状態ではない様子。

 

信が肩を貸しつつ素直に王賁にお礼を言って、負け戦をひっくり返すべく挑みます!

 

 

 

 

【メモ】

⭕️燕国に、燕丹という太子がいるらしい。

燕丹は政と同じく趙で人質だった時代があり、政とも顔見知りだとか。

 

⭕️王賁、嫁・彩華(さいか)との間に子が誕生する。

 

⭕️瘣、前髪を切る。

(信はそれを見て顔が真っ赤になり、尾平たちにイジられまくる

 

⭕️おまけマンガ

①「おふざけ」

雷土の顔が岩みたいだという黒桜さんと摩論からのフリでリン玉(りんぎょく)が持ってきたおにぎりと間違えて桓騎が雷土の頭を掴むという、桓騎軍のショートコント。笑

 

②「幕にょん」

天幕の中でストレッチしていた羌瘣が、勢い余って天幕ににょーんとなるお話(なんのこっちゃ)

 

 

 

 

 

 

キングダム 61巻

*ネタバレあり*

呉鳳明が冴えまくってサクサクと什虎城を獲りにかかるスピード展開からスタートする61巻。

前巻から何故か蒙武とお話ししたがりまくりの満羽が一騎討ちをけしかけてきますが、

満羽が蒙武にこだわるその理由とは?

 

それでは、あらすじから順に追っていきますね。

 

【あらすじ】

"主攻""助攻"に軍を分けるという呉鳳明の戦略で楚軍を突破していく秦・魏同盟軍。

 

しかし主攻の将である蒙武の前には什虎城主・楚軍総大将の満羽が立ちはだかり、一騎討ちを仕掛けられる。

 

満羽は蒙武の強さの背景にある"背負うもの"の正体に対して興味を持ち、かつて小国の大将軍でありながら国を失ってしまった自らの過去を重ね合わせていた。

 

前線の様子から満羽の異変を感じ取った寿胡王は全軍退却の銅鑼を鳴らすが、

満羽が蒙武との一騎討ちにこだわったことにより満羽軍は周辺へ足止めされていた。

そこへ秦軍第二の主攻の将・騰が猛然と楚軍の包囲を突破し、寿胡王率いる楚軍本陣を急襲する。

騰軍は瞬く間に楚軍本陣を陥落させることに成功し、あたり一帯に秦軍の勝ち鬨が広がった。

 

本陣陥落の報を受け、満羽たち楚軍各将たちは什虎城へ退却を始めるが、

なんと予め呉鳳明が放っていた別働隊によって既に什虎城は陥落していた。

 

城主である満羽は、城を取り返す意欲を見せること無く退却の進路を変更。

寿胡王を除く什虎の3将は、楚王都・郢(えい)へと向かうのだった。

 

"不落"と言われた什虎城陥落の報せは、秦軍本陣にとって驚くべき朗報であった。

呉鳳明の緻密な戦略に唸る蒙毅たちだったが、

 

呉鳳明は、此度の同盟の戦利品である什虎を南部一帯の拠点とし、秦との3年の同盟を結んでいる間に韓を削って西への領土拡大に出ると宣言。

そして蒙毅たちに、〔秦・魏・韓・楚〕四国境界の重要地である什虎を得た魏の大きな利に比べて秦側に利は無く、「同盟は大失敗」であると言い切る。

 

そして今後3年の間に秦が趙攻略に専念したとしても、秦はいずれ前線に戻ってくるであろう李牧に勝つことはできないと断言する。

そして自らが率いる魏が、李牧に敗北し弱りきった秦にとどめを刺す脅威となろうことを宣言するのであった。

 

 

 

 

同盟の利として魏が什虎城を取った後、呉鳳明の計画通りに魏は韓へと侵攻を始めた。

秦は魏との3年の同盟を理由にこれを静観していた。

 

秦は、同盟の利として魏からの攻撃の憂いが無い3年の間に趙を攻略すべく全力を注ぎ始める。

 

王都・邯鄲の目前にある鄴一帯では、一進一退の攻防が続いていた。

そこでは新副長・愛閃の加入により攻撃力が増大した楽華軍と、

三千将・亜花錦の加入により戦力が増大した玉鳳軍が前線で活躍していた。

 

一方、信たち飛信隊は主力メンバーの不在により苦戦を強いられていた。

 

飛信隊の不調は、古参の去亥や歩兵団副長の松左を失ったことに加え、朱海平原で仮死状態だった信を禁術によって助けた羌が本調子でないことが原因であった。

 

が戦場に出ず天幕で休んでいた数日間の間に、飛信隊の周辺で妙な噂が出回る。

休息中の羌の姿を戦場で見た者が多数いるのだという。

 

だと噂されていた者の正体は、羌 が故郷の村で共に育った妹分の羌礼(きょうれい)だった。

 

羌礼は、羌を訪ねて飛信隊のもとへ現れる。

尾平や昂の危機を救った羌礼はそのまま見習いとして飛信隊に加入することになるが、

羌礼は隊の規律を守らず好き勝手に暴走。

各隊同士の作戦や連携を一切無視し、縦横無尽に敵兵を斬りまくる。

 

羌礼によって戦果を上げ続ける飛信隊だったが、作戦無視の身勝手な振る舞いにより隊の足並みが乱され、そのせいで甚大な損害を被る隊も多数出てきていた。

 

何より敵軍であっても投降兵を見境無く殺しまくる羌礼の異常な姿に対し、飛信隊の中では徐々に羌礼に対して反発する者が増えていく。

 

軍律違反を繰り返す羌礼を看過できなくなった歩兵長の崇原は、怒りを爆発させる。

崇原は羌礼に飛信隊から出て行くよう厳しく叱りつけるが、羌礼は聞く耳をもたない。

羌礼は、自分を追い出すのであれば隊を皆殺しにすると言い放ち剣を抜こうとするが、

そこに突然羌が止めに現れる。

 

は、故郷の村で再び"(サイ)"が行われ、羌礼が勝者となって生き残り現在の"蚩尤(しゆう)"となっていることに気づいていた。

 

そして、かつての羌と羌象のように本当の姉妹のごとく育った羌識(きょうしき)をその手で殺めたのであろうこと、

また、羌礼は祭をくぐらず掟を破り村の外の世界で生きている羌が許せないのだということを、

は察していた。

 

自分は羌を殺しに来たのだと息巻く羌礼だったが、羌と組み合った際に羌の体内の気道がズタズタに断裂していることに気づく。

その原因が信のために禁術を使ったことだということを知り、代償として自らの寿命を縮めてしまうことになった羌を嘲る羌礼だったが、

の体の回復を待った上で3日後に再び殺しに来ると宣言して去っていく。

 

そして3日が過ぎた。

 

と羌礼は、改めて対峙する。

 

容赦なく剣を抜く羌礼。

羌礼は、正々堂々と真面目に祭に挑んだ自分たちに対して、祭をくぐらずに掟を破って外で生きている羌に対する怒りがおさまらない。

 

自分よりも生き残るべき才能と実力があったと認める羌識への想いが溢れる羌礼は、

と打ち合いながら、祭で起こったことを話し始める。

 

 

羌礼と羌識は""の殺し合いの中で、

最後まで生き残った2人だった。

同族であっても最後の1人になるまで殺し合わなければならない""に従い、

2人は全力で打ち合う。

呼吸も尽きかけ、互いに剣を向け合った最後の瞬間、羌識は剣を直前で止め、羌礼の剣は羌識の心臓を貫くーーー。

 

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

 

61巻、前半は什虎攻めの決着です。

 

途中で満羽過去編が差し込まれたのでもうちょっと長引くかと思いましたが、騰が最短でキッチリ決めてくれましたね。

 

異常に蒙武に執着しまくっていた満羽は、意味深な言葉を残して去っていきました。

 

その満羽の過去とは、

自分は国のため・国民のためにと命を賭して戦っていたのに、楚に降伏したい国王と意見が合わず自分が遠征中で城にいない間に王が国を手放してしまい、帰る場所を失ったというもの。

 

そして最も大きな傷となっているのが、その後何十日間も戦場で彷徨い続けた中で殲滅した楚の兵たちの亡骸の中に、多数の元汨国民たちを見つけてしまったこと。

 

満羽としては、

(他国の例から)楚に降伏した場合、財力のない約半数の平民たちはきっと奴隷にされてしまうだろうと危惧して今まで民のために戦ってきた訳ですが、

いつの間にかその民たちにとって自分は""

となっていたのだという哀しすぎる事実を目の当たりにしてしまったのです。

 

満羽が国のために懸命に戦っていることを敬っていた青年・青多(せいた)の死体もそこにあり、

戦争の残酷さが胸に刺さりますね‥‥。

 

寿胡王曰く、それ以降満羽は変わってしまったそうで。

 

ここの解釈なのですが、私個人としては

"守ってきたはずの民を自分が殺してしまっていた"という衝撃からうまれた満羽の絶望が描かれたのだと思っていました。

 

しかし満羽の蒙武への発言(背負ってきたものに裏切られる云々)

「気付かぬうちに汨国の民だった者たちの敵となっており そしてそれを殲滅していた」

という表記から、

"守ってきたはずの民たちから裏切られた"

と満羽が受け取っていると解釈するのが正しいのでしょうか。

 

そうだとするならば、

おそらくさまざまな選択権のない元汨国民たちに対して

"裏切られた"ととって良いのか私には少し疑問が残りますが、

語り部役の寿胡王的には 

 

🔴「大衆の心を騙し操るのは決して難しいことではない」

 

と言っているので、楚側が満羽たちと戦うように仕向けたことだったのだろうと思います。

 

昔からの仇敵である"暦国"(千斗雲の祖国)と手を組んででも楚に降伏したくなかった満羽が、

暦国と手を組むぐらいなら楚に降伏したほうがマシだという意志を通した汨国王を恨むのはわかりますが、

民に裏切られたと思うのは少し違うような‥‥。

 

尽くしてくれた満羽を騙すようなやり方はともかくとして、

私欲や保身で国を手放したのでなければ、王とて苦渋の決断だったのかもしれず、どちらが正しかったのかはわからないなと思いました。

 

少し話を切り替えます。

 

前巻からポッと出てきた(スミマセン)満羽ですが、やたらと蒙武に対して異様なこだわりを見せるのが意味深すぎですよね?!

 

そう、蒙武の

 

"背負うもの"

 

に対してです!!

 

読んでいても見過ごせない程、ここにやたらとこだわる満羽。

 

🔴「生きている者の何かを背負っているとしたら

お前は一つだけ覚悟をしておかねばならぬ

それに裏切られることがあるやも知れぬということを」

 

と蒙武にアドバイス

 

そして

 

🔴「次に会う日まで 背負っているものを失くしていないことを願うぞ 蒙武」

 

とまで!

 

異様なまでにそこに執着している満羽の様子と、

"蒙武の背負うもの脳内イメージ=昌平君"

の絵面を見せられたら、、、

 

"昌平君 今後裏切りフラグ"

めちゃくちゃ立ってますやん!!!!!

 

ポッと出てきたキャラ(すみません)にしては満羽生き延びてるし、蒙武は今のところ満羽に押されぎみだったし、今後の再戦もアリってことか‥‥。

 

昌平君は、確か楚の出身でしたよね。

10巻で呂氏四柱として初登場した際には、

蔡沢老師に「蒙武より強い」的なことを言われていましたし、

13巻の蒙毅の発言の中で

「この戦国時代では高度な知略を起こし実践できる武将が中華最強のはず(本来ならわが昌平君先生が!!)

的なものもありました。(今思えば李牧登場の前フリですが)

 

例の読み切りにきっと史実が描かれているのでしょうが(毎回しつこい笑)、本編で明らかになっていない以上は想像の域を出ないのがもどかしいところ。

 

今回"背負うもの"にやたらと重きを置いていたことから、ここでうまれた疑問はいつか回収されることになるのでしょうね。

寿胡王的には、満羽は自分と似ている(重ね合わせている)蒙武の行く末を案じているのではないかと推察しているのかもしれません。

 

話を戻します。

満羽は呉鳳明の別働隊にあっさり什虎城を落とされ、退場していきました。楚の王都へ向かったようでしたが、

満羽の動きに媧燐が反応していたようなので、いずれ王都での合流が見られそうです。

 

満羽は、信× 凱孟の時のような、

"メインキャラの内面を探るために出てくる新キャラ"的な位置付けなのかもしれないですね。

 

 

さてさて後半は、飛信隊に羌礼がやってきました。

の里の村で共に育った羌礼は、単行本派にはおまけマンガでおなじみのキャラですが、

今回飛信隊に嵐を巻き起こしましたねー!

 

56(のおまけマンガ)で、里のバァたちに幽連の死がばれ、次の祭が行われることになっていました。

その後祭は予定通りに行われ、勝ち残ったのが礼だったということですが、

礼にとっては辛い展開に。

 

幽連の時もそうでしたが、同族同士が最後まで残って殺し合うというのが最も地獄な展開であり、幽連も礼もその地獄をくぐってきてしまった。

 

56巻の時点では識の方が覚悟ができていて、

礼の方は覚悟がまだできていないと描かれていました。

そんな礼を心配していた識は、今回のように礼に釘をさすような発言(自分は絶対に死にたくないし祭では躊躇なく礼の首を飛ばすからそのつもりでいろといった内容のこと)をしたのでしょうね。

 

礼からすれば、識の方が実力が上だと思っているようでしたが、

礼は象姉の愛剣"白鳳"を引き継いでいます。

 

15(のおまけマンガ)では、礼本人曰く

「一族で最も有力な蚩尤候補が白鳳を持つのは当然」

とのことでしたので、この時点での羌族の最有力蚩尤候補は礼だったのではないでしょうか。

(余談ですが、もし羌 が祭に出ていて命を落としていたら、緑穂が引き継がれていたのかもしれませんね‥‥。)

 

礼の登場で、信は羌瘣が禁術を使って自分の寿命を縮めるという危険を冒してまで助けてくれたことを知りました。

 

信が、なかなか体調が回復しない羌瘣を「様子見」とか言って天幕まで行って手を握ってたシーンにはちょっと萌えましたが、

瘣に何をされたかを知ってめちゃ目が怒ってましたね。

 

瘣の

「ちゃんと話せば分かるから」

って笑うところにキュンとしました。

 

瘣は、自分のために寿命を縮めるだなんて信は怒るに決まってるってことを理解しているし、何故そうしたのかそれを説明して信に分かってもらおうとしている。

そんな羌瘣がすごくいじらしい。

 

 

さて羌瘣と礼の対決ですが、幽連のように闇堕ちしかけている礼を救けるために、病み上がりの羌瘣は頑張りますよ!

 

 

 

62巻に続きます。

 

 

 

 

【メモ】

⭕️什虎攻め:紀元前235

 

⭕️ かつて楚に囲まれた小国があった。

"汨(べき)"出身=満羽

"  (れき)"出身=千斗雲

玄右・寿胡王も似たような国の生き残りだそう。

 

⭕️寿胡王は、荀子(じゅんし)の下で学んだ儒学者でもある。

 

⭕️荀子は、"性悪説"を説いた人物。

 

⭕️ が幽連を討ったのは6年前。

 

⭕️羌礼の剣は"白鳳"

 

⭕️おまけマンガ「噂になってる二人」

弓使いのお話。楚の白麗は中華の十弓ランキングをめちゃくちゃ意識しているらしい。

 

キングダム 60巻

*ネタバレあり*

長期にわたり更新が滞っておりましたが、ぼちぼち再開していきたいと思っております。

気づけばはてなさんの仕様も変化しており、さまざまな機能が追加されておりますが、

こちらのブログはいっさいアップグレードされない相変わらずの見づらさ&長文での再スタート!笑

まことに恐縮ではございますが、変わらずお付き合いいただけると嬉しいです。

それでは節目の60巻、あらすじからまとめてまいりますね。

 

【あらすじ】

邯鄲を脱出し嘉を無事に逃した後、舜水樹や馬南慈たちと合流した李牧。

 

舜水樹は、置かれた状況から

 

投降して断罪されるのか、

王命に背いた反乱軍として逃走を続けるのか、

邯鄲に攻め入り新王と郭開を抹殺して嘉を王位 に就かせるのか、

 

どの道に進むべきかを李牧に問う。

 

さらに舜水樹は、

邯鄲を落とした後 嘉ではなく

 

"李牧が新王朝を築く"

 

という道もあると提案しようとするが、李牧はそれを遮り舜水樹を厳しく諫める。

 

李牧は、再び自分が軍総司令に戻るまでの間、

三大天候補の1人・司馬尚(しばしょう)のいる青歌(せいか)へ身を潜めて機会を待つという考えを示す。

 

馬南慈たちはそれを受け入れ、来たる刻を待ち李牧一行は青歌へと旅立つのであった。

 

 

 

 

一方、秦国内では不穏な動きがあり、政たちの頭を悩ませていた。

 

河南(かなん)の地にて、世俗を離れひっそりと暮らしているはずの呂不韋のもとに、かつての呂不韋一派やロウアイ一派の残党たちが集っているというのである。

 

現朝廷からはじき出された者たちが集まれば、いずれ大王に反発する巨大な勢力にもなりかねないと危惧する肆氏は、呂不韋の命を絶つべき刻に来たのではないかと政に進言する。

 

政は直接自らの目で状況を確かめるため、呂不韋のもとへ向かう。

 

呂不韋と対峙した政だったが、政からみて呂不韋に特別な変化は見られなかった。

呂不韋は、今回のように反乱分子が集まってくる原因は自分にあるのではなく、政自身にあると忠告する。

 

呂不韋を死刑にせず生かしておけば、こうなることは予測がついたであろうこと。

刺客を送って暗殺することもできるにもかかわらず、身ひとつでかつての"敵"に会いに来るような政の"優しさ"は、

武器である反面

「先々に唯一の弱点と成り得る」

とさらに警告しながらも、

呂不韋

「中華統一を実現し人の正体は""だと自分に証明してみせろ」

と言って政を抱きしめ、心から武運を祈ると伝えるのだった。

 

その後、咸陽に戻った政のもとへ

呂不韋が自殺したという報が届く。

始皇12(紀元前235)のことであったーーー。

 

 

 

 

 

鄴攻略の翌年、未だ秦軍は趙の邯鄲手前にある大防衛線を抜くことができずに苦戦していた。

 

趙との膠着状態を打破するため、咸陽本営の昌平君は"魏国との同盟"を提案する。

 

黄河をはさみ鄴の真下に位置している魏国からの侵攻を防ぐために、秦軍は魏国との前線を手薄にするわけにはいかない。

魏国から黄河を渡る船団を使って攻めてこられたら、秦国はせっかく獲った鄴さえ奪われかねないからである。

 

昌平君は、

「秦と魏で3年間の同盟を結び、楚の"什虎(じゅうこ)"城を共闘して落とせば、同盟の対価としてそのまま什虎城を魏に渡す」

という条件を魏に持ちかける。

 

什虎城は【魏・楚・韓・秦】4か国の国境地帯であり、中華でも指折りの最重要地であった。

どこの国も是が非でも手に入れたいと望む城である。

 

秦との同盟など即否決の心づもりであった魏国本営だったが、昌平君に提示されたこの特殊な条件を聞き、呉鳳明に意見を求める。

 

 

 

 

 

楚国・什虎城は、しばらく大きな戦が起こっていない状況にあった。

城主・満羽(まんう)将軍ら什虎陣営は、それ故に暇を持て余していた。

什虎城は、満羽をはじめ、千斗雲(せんとうん)・玄右(げんう)・寿胡王(じゅこおう)ら好戦的人物たちが集まり根城としていた。

彼らは、元々楚国に吸収された国々の大将軍たちであり、彼らが管轄している什虎城は不落の城であった。

 

昌平君は、魏国からの同盟・共闘の返答を待たずして、前線の蒙武に

"什虎攻め"

実行日の日付を知らせていた。

そして蒙武は日付の通りに、開戦の火蓋を切って落とす。

 

蒙武軍3万に対し、什虎軍は軍勢8万。

そもそも魏国との共闘ありきで組まれた什虎攻め計画であったため、

数々の大戦に全勝しているほどの実力を持つ什虎軍に対し単軍で開戦するなど無謀だと考える軍師・蒙毅は、

父・蒙武へ援軍が来るまで戦をとどまるように進言するが、

蒙武は什虎・満羽軍の包囲陣の中へと飛び込んで行くのだった。

 

ほどなくして、騰率いる援軍2万が到着するが、

同時に楚・媧燐が送った楚の援軍3万も参戦してくる。

しかもこの援軍は、合従軍の戦いで秦に因縁がある項翼と白麗が半数ずつ率いる軍であった。

援軍の出現により楚軍の勢いは増し、秦軍にとって一方的な戦況に陥ってしまう。

 

蒙毅が全体の立て直しをはかるため全軍を退却させようとしたその時、

呉鳳明率いる魏軍7万もの軍勢が秦の援軍として現れた。

魏軍は、共闘後の什虎獲得の条件を承諾。

そしてここに3年間限定の"秦魏同盟"が成立したのであった。

 

これにより、

秦軍5万に加えて魏軍7万の軍勢を得た秦魏共闘軍は、総勢11万の楚軍を数の上で上回ることとなった。

このため両軍で一旦戦が解かれ、配置換えが行われる。

 

 

急造同盟軍である秦・魏軍は、互いの戦場がなるべく重ならぬように対極から楚軍を挟み撃ちにして"すりつぶす"という単純な戦略に出るが、

魏軍は最右翼・乱美迫が楚将・千斗雲に足止めされ、

騰軍の前には、かつて合従軍での因縁を持つ項翼軍が立ち塞がっていた。

 

最良の策であるはずの挟撃の形がなかなか作用しない戦況に対し、焦る蒙毅

 

対して呉鳳明は、

蒙武・騰率いる2軍を"主攻"

録鳴未・乱美迫の同盟軍を中心とした魏軍全体を"助攻"とする伝令を送り、

戦局打開に動きはじめる。

 

主攻となった蒙武軍は、楚軍本陣を落とすべく前進するが、

蒙武の前に満羽将軍が立ち塞がる。

 

激しく打ち合う蒙武と満羽。

時を同じくして、騰軍は魏軍を潰れ役として楚軍を突破し続け、いまや楚軍本陣の目前にまで迫っていた。

 

 

 

 

その頃什虎城では、

呉鳳明が予め手配していた別働隊が複数の巨大な井闌車を率い、城壁の間近にまで迫っていたーーー。

 

 

 

* * * * *

 

 

 

趙から呂不韋

中盤からはまさかの秦&魏同盟vs楚と、

なかなか目まぐるしい展開の60巻。

節目の巻ということもあってか、初登場組含めてキャラの大渋滞でしたね!

 

それでは順を追って感想をまとめていきたいと思います。

 

まずは前巻から引き続いての李牧問題。

秦に敗れたことで死罪を言い渡されていた李牧でしたが、

悼襄王は謎の死を遂げて李牧は命拾いしました。

しかしながら、ゲス王の遺言によりキラキラ太子・嘉ではなくゲス末子の遷が王位に就くことになり、趙ではまたしてもゲスのトップが誕生してしまいましたね。

 

挙げ句李牧一派は反乱軍として追われることになってしまい、李牧には心底同情してしまいました。

 

前巻で、カイネが李牧の背中に寄り添ったシーンにホロリときたわたしでしたが、

シリアス展開から一転。

今巻冒頭でのカイネの強め恋愛臭に、若干の蛇足感が‥‥。

前巻ラストでは、

絶望する李牧とずっと背中を見てきたカイネとの強い師弟関係からの絆の深さ+

そこはかとなく漂う恋慕の空気感に切なみを勝手に感じて悶えていたわたくし。

この感じだと、今後李牧×カイネの発展シーンが描かれる可能性もありえそう。

 

そしてずっと気になっていた舜水樹の目の澱みに関してですが、

今回もドス黒く澱みまくってましたねー。

まさか王様殺しを提案するほどまでに李牧を尊崇していたとは‥‥

なんなら李牧の国を作ろうとまで‥‥。

なんちゅうこと言うんやとソッコーで舜水樹を諌めていた李牧でしたが、

舜水樹が自分のためなら善悪問わず何でもやりそうな危うさを持つことを理解している様子。

 

そこの流れを含めて舜水樹の表情の変化の描き方が、悼襄王を殺ったのはコイツの可能性も?と思わせたいような表現に思えてすごく気になりました。

史実ではハッキリしているのか、それともしていないのか。余白を膨らませているのか、それとも史実をアレンジしているのか。

そこは結局謎のままでした。

傅抵と同じく、わたしも誰が殺ったか知りたかった!

 

ひとまず李牧たちは三大天候補・司馬尚のいる青歌の地へと向かい、時が来るまで力を蓄えておくことになりました。

 

さて場面は変わって年も明け、

思いがけず久しぶりに呂不韋が登場!

そしてついにこの巻で呂不韋は物語から退場することとなりました。

呂不韋の最期、史実では自殺だったんですね。驚きました。

しかしながら、キングダム的には

"死体は偽物で本人はコッソリ呂不韋ガールズたちと気ままな放浪の旅に出る"

という結末でした。

 

史実を脚色してわざわざ呂不韋を生かしたのは何故かなぁ、と考えを巡らせてみたときに、

キングダムの呂不韋にはわたしも自殺はして欲しくないかなと思わされました。

なのでこの結末は、個人的には良かったのかな、とも。

何はともあれ本編にはもう登場しないと思うので、呂不韋とはここでお別れとなりました。

感慨深いですね。

60巻、ここでも節目となりました。

 

さてここからは新展開です。

"中華の驚く予想外の戦い"

が三国間で起こります。

 

なんと秦は魏と3年限定同盟を組みました。

魏が提案をのんだ条件は、まだ秦のものでもない楚の"什虎"という城を一緒に落とし、落とせたらそのままその城を魏にあげるよ、というもの。

 

什虎という城は、

秦・魏・韓・楚

4ヵ国の国境地帯に位置し、

ここを手に入れることができたらかなりのアドバンテージ。

しかしながらこの城は、絶対に落とせない不落の城だといいます。

 

この城にいるのが、

"かつて楚に滅ぼされた小国の大将軍"

満羽(城主)、千斗雲、玄右、寿胡王(軍師)。

濃いめの新キャラめちゃ増えました。笑

 

何でも、国が滅んでも強すぎて戦で負けず、

楚が観念して"生存を認めた"者たちだそうで。

楚的にも、御し難い彼らに什虎の城をあてがっておけば好戦的な彼らは攻めてくる他国を始末してくれるし、互いにとって都合がよかったようす。

 

なぜ彼らがそんなに強いのかというと、猛者揃いの楚の将軍たちを討ちまくり慣れしており、尚且つ負けなかったからだそうで。

 

小国が滅びて他国に吸収されてしまったかつての王のエピソードは、

魏国呉鳳明の父・呉慶のケースにも当てはまりますね。

この時代で特に大国・楚ではよくあることなのかと思います。

 

145ページで満羽の過去シーンがセリフなしで描かれており、キャラ掘り下げ回想シーンに突入してしまうかと思いましたが、サラッと終わって安心しました(スミマセン)。早くストーリーを読み進めたくてもどかしいわたしはせっかちな人間です‥‥。

 

とはいえ気になるのは、満羽がこだわる蒙武の"背負っているもの"。

 

その会話の流れで昌平君のカットが差し込まれるあたり、蒙武にとっての昌平君は相当に特別な存在であることは間違いありませんが、

これまでにもちょいちょい触れられる"蒙武と昌平君の過去"。

本編ではまだその部分は深く掘り下げられていないのですが、昔発売された総集編掲載の読み切りに描かれているのでしょうね(やっぱり知りたい)。

 

蒙武を、かつての自分達に似ているとさえ言う満羽。

初登場シーンでは全裸に羽織り(「くつははいてる」)、おけつ丸出しで飛び跳ねるというかなりの変キャラでしたが、

後半は別人のようにシリアスモードへキャラ変。過去や"背負うもの"にやたらとこだわる満羽の背景も、今後明らかにされそうです。

 

さて話を戻しますが、今回の"什虎攻め"、秦魏同盟ありきでスタートしました。

呉鳳明といえば、著雍の戦(37巻)で魏火龍七師・霊鳳を盾に生き延びた件が強烈でしたが、本人はいつもスンッとしてるのでなんかムカつきます。笑

恒例の「すりつぶす」ポージングも健在!

 

軍師としてやたらと対比されていた蒙毅は、呉鳳明に比べて保守的な描かれ方をされていましたが、今後の蒙毅の成長のためにはすごく意味のあるタッグなのかも。

呉鳳明の側近・荀詠(じゅんえい)とのやりとりでもそう感じました。

 

3年後はお互い敵に戻るわけですから、ただ共闘するだけではなくこの戦で互いの戦術の特徴なども把握しておくべきですもんね。

 

蒙毅はまだまだ経験値不足な印象。今のままだと妹弟子の貂の方が死線くぐりまくってるので、軍師経験値の差が開いてしまいそう。

蒙毅よガンバレ!

 

さてさて、見切り発車で始まった此度の戦でありますが、秦魏同盟軍の要は騰軍2万にありそうです。

昌平君の見立てでは来ないであろうと予測されていた騰でしたが、厳しい戦いになりそうだと自己判断で駆けつけてくれたようす。

そこに楚の媧燐が項翼&白麗コンビを送りつけてきて、もうキャラまみれの大渋滞!

ワッサと什虎に3国の軍が集いました。

 

楚の項翼&白麗コンビは合従軍戦での因縁の相手。

騰は臨武君(白麗の義兄)や汗明の仇なのでめちゃくちゃ気合い入ってます。

29巻では、騰に競り負けなかった項翼。

媧燐はわざわざ騰に項翼を当てこんできましたが、騰はクールに

「千年早い」!!

 

とはいえ足止めくらいそうだなと思っていたら、魏の乱美迫がサポートに送り込まれてきました。

騰は呉鳳明が何をしようとしているのか、戦術をいちはやく察知。

自らが"主攻"となるべく項翼をかわして前進します。

 

乱美迫ら魏軍と録鳴未軍はつぶれ役を担当し、まとわりつく楚軍をできるだけ足止めすることに。

 

ここで謎の性癖とっちらかりキャラ・千斗雲がうるさく録鳴未にまとわりつきますが、

呉鳳明を討とうと魏本陣に抜けていこうとするので録鳴未も大変!!行かせぬよう後を追います。

 

もうひとつの"主攻"蒙武も本陣を目指しますが、そこへ蒙武に興味深々の満羽が立ち塞がり‥‥

 

背負うものがあるから汗明に勝てたとか、

"虚無"を悟る前の自分たちに蒙武が似ていると話したりだとか、

満羽、なんかめっちゃ蒙武に話聞いて欲しそう。笑

 

そんな満羽が蒙武を足止めしている間に、

なんと什虎の城の近くへ井闌車が到着!!

呉鳳明が準備した複数の"速くて高い"井闌車、

根回しがすごすぎる‥‥!

これは短期決戦になるのでしょうか?

 

61巻へ続きます。

 

 

【メモ】

⭕️楚・什虎城 メインどころ

・満羽(城主) 

・千斗雲(将軍) →変態ぎみ

・玄右(将軍)

・寿胡王(軍師)

 

⭕️汗明、什虎城ではドドンドおじさん呼ばわり。笑

⭕️楚の項翼&白麗、ともに将軍に昇格。

一万五千人の軍を率いている。

⭕️乱美迫軍副将・魚燕(ぎょえん)、作戦の内容を叫び敵にも丸聞こえ。笑

⭕️60巻にて、初版が100万部を達成したそうです。

すごすぎる!!

1巻が2万5千部からのスタートだったとのこと、連載を始めた時の目標をまたひとつ達成させたという原先生には、本当に脱帽です。

⭕️おまけマンガ:「王賁」

王賁には許嫁がいた!笑顔がかわいい彩華(さいか)嬢。

 

 

キングダム 59巻

*ネタバレあり*


しばらくバタバタとしていて59巻をなかなか読み返せなかったのですが、

やっと最近落ち着いたので記事をまとめるにあたり読み返してみると、

改めてひとつの節目となる巻だなぁと胸にズシリときました。


前巻からこの59巻が出るまでの間になんやかんやと()ありましたし、

いろんな意味で心配していたはずの今巻はめちゃくちゃ面白かった!


まずはあらすじからまとめていきたいと思います。



【あらすじ】

15日間にわたる戦を制し、趙国・鄴を陥落させた秦軍。

各戦場で死闘を終えた秦軍の兵士たちは、兵糧が尽き果てる中食糧を求め、命からがら鄴を目指し集まっていた。


しかし鄴の周囲は李牧が完全に監視しており、橑陽にいる楊端和軍からの兵糧の補給線を断たれていた秦軍は、完全に趙国のど真ん中で孤立していた。


李牧は秦本国からの唯一の補給線をも断つため、趙の玄関口にあたる列尾周辺の監視を強めており、

また、列尾の手前に流れる黄河からの水路ルートにも抜け目なく水軍兵を準備することで完全に秦軍の補給線を防いでいた。


その頃、李牧は趙王の命を受け現れた王直属の兵により、至急邯鄲へ戻るよう伝えられる。

秦軍を飢餓へと持ち込み、鄴を取り戻すまで待ってほしいという李牧の訴えもむなしく、李牧は敗戦の咎を受けるため手錠をかけられ、邯鄲へと強制送還されることに。

李牧はわずかな胸騒ぎを感じつつも、舜水樹に全てを託し鄴を去るのであった。


黄河の岸では、秦軍の持つほぼ全ての水軍が舜水樹によって沈められていた。

これにより、秦国から補給された兵糧は全て無に帰されてしまう。


一向に届かない兵糧を鄴城内で待ち続ける秦兵たちの体力は、空腹により限界を超えはじめていた。

表情は暗く身体は痩せ細り、最早死を待つのみという状況の中、突然鄴城内へと大量の兵糧が運びこまれる。


歓喜する秦兵たち。


秦軍が半年間は食に困ることがない程のすさまじい量の兵糧は、なんと斉国から届いたものであった。


驚くべきことに、王翦は開戦前から昌平君を通して斉王に倍の値をつけて食糧を買い取り、斉国からのルートで黄河の水路を経て鄴へと届けるように手筈を整えていたのである。


邯鄲へと向かう李牧が王翦の手回しに気づいた頃には時既に遅く、舜水樹たち趙軍は鄴に運びこまれる斉国からの兵糧を差し止めることが出来なかった。

これにより、秦国の鄴攻略は確実なものとなる。

咸陽にいる政のもとにも吉報が届き、一同は喜びに沸くのであった。





趙国の領土のうち鄴・列尾・橑陽の地を攻略することに成功した秦軍。


各地の地盤固めを行うために本営から続々と兵が補充されたことにより、ようやく落ち着いた飛信隊は咸陽へと凱旋する。


華々しい歓迎でもてなされた信たちは、それぞれ武功に合わせた褒賞を受け取り、新しく建てられた信の豪邸で盛大な宴をひらき、各々の家族共々賑やかな時を過ごした。


そして鄴攻略の大戦から5ヶ月が過ぎ、論功行賞が執り行われる。


信は事前に政より「姓」を与えられ、

「李信(りしん)

と名乗るようになっていた。


第一功の特別大功は、総大将の王翦に。

鄴攻略のための拠点で各地の責任を担った桓騎と楊端和にも、王翦と同等の特別大功が授けられる。


そして玉鳳隊・王賁、楽華隊・蒙恬と信は、"李信"として第一等の特別功を授かり、3人は見事"将軍"に昇格するのだった。


飛信隊は信が率いる1万の軍と、副長・羌 が率いる5千の隊を合わせて15千人の大所帯となったのである。


新しい「軍」となった飛信隊は練兵を重ね、翌月再び鄴へと出陣する。







一方趙国では、運命が大きく狂おうとしていた。


鄴の敗戦の咎を受けた李牧は投獄され、処刑実行の日を待つのみの身となっていた。


李牧が斬首刑になると聞きつけた舜水樹らは、悼襄王を殺してでも李牧を助けるという覚悟を持って邯鄲で武力行使に出、内戦状態となる。


カイネは李牧の居所を必死で探すも、誤情報に振り回され李牧のいる牢屋までたどり着けずにいた。


囚われの身となっても李牧は秦の侵攻を抑えるための戦略等を言付けていたが、

王の側近・郭開は全ての伝言をもみ消していた。


李牧を信頼する趙太子・嘉()は、父・悼襄王に対し懸命に李牧処刑の再考を訴えるが、

決定を覆す気が一切無い悼襄王は全く聞く耳を持たず、嘉の耳を食いちぎる。


そして李牧処刑の前日。


この日に至るまで地下牢を探し回った舜水樹やカイネ達だったが、とうとう李牧を見つけることが出来なかった。


舜水樹は、処刑日当日に李牧救出の作戦を立てる。


一方、李牧処刑の手筈を郭開へ一任し、いつものように桃泉殿で少年たちと戯れていた悼襄王だったが、

湯の中で酒を飲んでいる最中に突然激しく吐血する。

胸を押さえもがき苦しむ悼襄王は医師を呼ぶように少年たちに命じるも手を差し伸べる者は誰も無く、

悼襄王は体中から血を吹き出し、そのまま絶命してしまう。



悼襄王の急死の報は瞬く間に趙国内に広まり、

王宮内は大混乱となる。



しかしながら悼襄王の急死を不審に思う者も多く、李牧派一党が毒殺したのではないかと疑う者たちの声で王宮は騒然としていた。


混乱の中、太子・嘉は国の建て直しを図るため

いち早く立ち上がる。


実権を手にした嘉はその日のうちに悼襄王によって地下牢に封じられていた賢人たちを解放。

李牧を含め、朝廷の要職を務めるべき国士たちが表舞台に復活することとなり、

秦との鄴での戦の時ですら動かされることの無かった邯鄲の王都軍が大挙して動き出す。


嘉が実権を握ったことにより趙の中枢は正しく機能し始めたことは、

鄴を拠点として邯鄲陥落を狙っていた秦国にとっては大きな誤算であった。

王翦は邯鄲陥落の作戦を一旦練り直すため、一旦後退することを決断する。







太子・嘉が李牧たちとともに国の再建を急ぐ中、

悼襄王の死後雲隠れしていた郭開が突然王宮に姿を表した。


郭開は、英書記官を引き連れて来ていた。

英書記官は、悼襄王の死の半日前に王から呼び出されており、王の言葉通りの「遺言」を記したと話す。


内容を察した李牧に、緊張が走る。


そして英書記官が読み上げた遺書の内容は、


「次の王位を太子嘉ではなく

末子の遷(せん)に継がせるものとする」


というものであった。



悼襄王の遺書の内容が明かされ、激震が走る趙王宮内は再び大混乱。


嘉に比べて末子・遷は素行が悪く、侍女を馬がわりに足げにするような暗君であった。


遷の庇護者となり再び実権を手にした郭開は、

嘉が解放した賢人たちを一族残らず皆殺しにする。

そして嘉と李牧の首を取らんと次々に追手を送り込み、李牧は嘉を逃すために邯鄲を脱出する。


郭開の追手の猛追をかわすことは厳しく、逃げ延びた李牧の一団は半数の数になってしまう。

しかし李牧本人やカイネの奮闘もあり、

何とか城外に待機していた馬南慈の中隊と合流し

嘉を李牧の縁がある城・法紹へと逃すことができた。


逃げ延びることができた嘉だったが、

これからの王宮の未来を嘆き絶望し、心の底から李牧に詫びる。

李牧の表情は暗く、また舞台が整うまでどうか気を強く持つようにと嘉を励ますことが精一杯であった。


李牧は嘉と別れ、カイネたちと野営地にて夜を迎える。


馬南慈・傅抵の無事が確認でき、彼らのいる位置まで戻り合流するためだったが、

嘉を無事に逃がすまではと気を張りつめていた李牧は疲弊が極限にまで達していた。


嘉が王位を継承することは恐らくもう無理であろうと絶望する李牧のそばで、

カイネは涙を止めることができずにただただ寄り添うのであったーーー。





*  *  *





今巻は、李牧が気の毒でかわいそうでなりませんでした。


ラストの、李牧の背中とカイネの涙に胸が詰まって切なくなり‥‥。


最後の最期まで、悼襄王はクズでしたね‥‥。


順を追って感想をつづっていきたいと思います。



さて、まずは前巻からの兵糧問題。

王翦の驚くべき解決方法とは、

なんと斉国からの救援物資の買い付けでした!


開戦前に王翦が昌平君に頼んでいたアレ、

(46巻参照)

何だったのかと気になりつつもあまりにも出てこないもんだから、意味深だった割に偽俵(序盤の)のことだったのかな?とか思ってました(そんなわけない笑)

王翦&ヘビ王ナイス!


しかし尾平とか飢え死に寸前で頬がこけまくってすごいことになってましたね。

こっちまで飢餓感が伝わって、斉から食べ物が届いたあとの料理がめちゃくちゃ美味しそうに見えました。


さて、たっぷりの食糧を得たことにより秦の鄴攻略は遂げられ、あとは王都の邯鄲を落とせば趙国ゲットです。


しかしながらそんな簡単な話ではなく。


邯鄲の首元まで迫ったとはいえ、

媧燐も言っていましたが秦は"陸の孤島"状態。

邯鄲の兵を動かせば趙の真ん中に秦軍を閉じ込めて完全に孤立させることだってできるし、

何よりも趙には中華最強ブレーン・李牧がいる。

そもそもこの戦争自体、李牧が開戦前に

マジ正気かお前らは!!と咆えていたほど、

秦が仕掛けた奇策中の奇策は無謀すぎる戦だったはずなのです。


それに秦に鄴を落とされた後も、李牧を現場から引き戻さずに指揮を執らせていれば、黄河からの別ルートの存在に気付いた李牧に斉からの兵糧は止められ、

鄴にいる秦兵たちを餓死にて全滅させられたかもしれないのです。


でも鄴は落ちたし、

斉からの兵糧も届いた。


邯鄲の兵は動かなかったし、

李牧の声は消された。


全ては

"趙の王が、悼襄王だったから"

ということに尽きる結果となりました。


なるべくしてなっている。

皮肉にも李牧が以前から使う言葉ですが、

なるべくしてこうなってしまったのですよね。


そしてクソ愚王の手足となっている側近・郭開は、牢の中からでも必死に防衛策をひねり出す李牧の声を全てつぶして前線の武将に伝えることもせず、

近隣国である魏や燕へのサポート依頼も怠り、

趙王都圏の玄関口・列尾で秦軍(騰軍4万!)を食い止めている舜水樹・扈輒将軍のところに援軍を出すこともしなかった。


そこに趙の列尾組としては最悪なタイミングで李牧処刑の報せが届き、舜水樹は怒り狂います。

扈輒将軍は李牧を救けに邯鄲へ戻ることに。


遅かれ早かれ奪われてしまう王都圏南側のエリアは秦にくれてやり、

北側エリアに趙の兵力を密集させる、という算段も含みつつ、扈輒将軍は列尾をあえて捨て、騰は戦わずして列尾を落としました。


さて、秦の方は王都の玄関口・列尾をおさえたおかげで、補給ライン確保です!

順調に橑陽・鄴周辺エリアに秦人をどんどん移住させていき、趙の地に根を張っていきます。


そして鄴が落ち着いてやっと国に帰ることができた信は、論功行賞でついに将軍昇格!!


信将軍!!誕生!!


鄴編長かったし、信は手柄あげまくってたのでわたしは心の準備が出来すぎており、あまり感動はしなかったのですが。笑


ともあれ、おめでとう!信!!


そうそう、信に姓がつきました!

1巻からの謎で、信の姓がなぜ「李」なのか、

気にしていた読者も多かったと思います。


わたしもそのひとりで、うちの家族間での推理では、いつか趙を落とした時に李牧も秦人となり、信と養子縁組するんじゃないか?

などと話していました。

そう、李牧の「李」と予想していたのですが、

まさか

「すもも」

という意味だったとは!!笑


意味は無いようなもので、漂がたまたま思いついて自分の姓にしたようで。

そして信は漂と同じがいいーと言ってそれを選んだだけ、という結論でした。なんと!


というわけで信の姓にめちゃくちゃ意味があるとずっと思い込んでいたわたしは、ちょっとだけずっこけたのでした。笑



さてさて話は変わります。


悼襄王、衝撃の最期です。


趙が落ちる前にまさか退場するとは、びっくりしました。


元々前から自分は体が弱いとは言っていましたが、毒盛られてましたよね?!


上から下から血がブシャーと吹き出し、医者を呼べともがき叫ぶにもかかわらず、

風呂場の子どもたちは素無視で

哀れにもそのまま悼襄王は死んでしまいました。


風呂場キッズたちは酒に何か盛られていたとは知らなさそうでしたが、死にゆく王を見下ろしながらのクスクス笑いが不気味すぎました。

とはいえ普段からあんなことさせられてたら、そりゃ心死ぬわな‥‥。


さて、黒幕を考えた時に、

普通に考えたら悼襄王が死んで一番得をするのは李牧一派(嘉太子推し)です。


悼襄王がいる限り李牧は処刑されるし、国も救われない。

悼襄王が死ねば、唯一の国の希望である太子・嘉が実権を得て李牧は確実に解放される。

よって李牧一派が疑われるのが普通です。


悼襄王本人はさすがに半日後の自分の死を悟っていた訳ではないと思うのですが、

何かしらを察していた様子はありました。


嘉が李牧の処刑を再考するよう懇願しに来た時、耳を食いちぎって追い返した後、

いつものように郭開を呼ぶのではなく、その前に英書記官を呼び遺書をしたためて。


この時遺書の存在を知っていたのは、英書記官と江姫だけのはず。


江姫が実は悼襄王のことをウザく思っていて嘉のことも気に入らなかったところ、

悼襄王が突然遷に後を継がせるという遺書を書かせたので、

しめたと思って自分にソックリな遷を早く後継ぎにしたくて毒を盛ったのか?と

まずは思いました。

疑われるのは真っ先に李牧一派だということがわかり切っていますし、江姫ならば毒盛りチャンスはいくらでもありますからねー。


でもこれまでに江姫がそこまでする背景(遷を溺愛する様子だったり嘉との確執だったり)が描かれていないし、彼女たちの関係性の詳細は描かれてこなかったので、王殺しの動機がちょっと弱い気もするのですが‥‥(見落としてるのかな‥‥)


ただもうひとつ気になったのは、

李牧の処刑の報を聞いた時の舜水樹が死ぬほど怒り狂っていて

「王を殺してでも李牧様を助ける」

と言い切っていたことと、


李牧公開処刑の当日に救出する作戦を立てていた時に舜水樹の目(176ページ最後のコマの)がヤバかったことが引っかかったので、

カイネら仲間内にも黙って舜水樹の独断で悼襄王の暗殺を仕掛けたんだろうか‥‥とも思いました(王宮にどうやって入るのかとか、裏の人脈あったんだろうかとかは疑問ですが)

どっちなんだろう。


ただ、悼襄王が用意していた遺言のせいで、結果的に嘉が実権を行使できたのは一瞬でしたが。


ここからの展開はめちゃくちゃ気の毒でしたねー。

嘉も李牧もカイネもめちゃくちゃかわいそうでした。


悼襄王の悪政に耐えて地下牢で我慢していた賢い人や偉い人たちも、満を持して解放されたかと思いきや一族ともども始末されてしまうことに‥‥。


そして嘉の後ろ盾は何も無くなり、新王・末子の遷はなんと悼襄王を上回る暗君になるであろうとか‥‥そんなことってある?!


絶望して李牧に頭を下げまくる嘉が心底気の毒すぎます。


そしてラストであの李牧が、


「‥‥さすがに

ちょっと

疲れましたね」


と‥‥ 


カイネにうなだれた背中を見せるなんて!!()


そしてもうちょっとだけそこにいて、と弱音まで‥‥!!


ブワッと涙が溢れたカイネにわたしももらい泣きしそうになりました。


これまで悼襄王に幾度となく冷遇されようと、嘉太子の時代がくることを唯一の希望だと思って頑張ってきた李牧にとって、

完全にその光が断たれたことはいいようもない絶望だったのでしょうね。


夜が明けたら、カイネや部下たちを不安にさせないように李牧はまた仕切り直すと思いますが、

どう落としどころをつけるのかがとても気になります。


今巻はすごく読み応えがあって面白かったので、次巻は60巻、区切りの良い感じになるといいなと期待します!




最後に、、、


本文に書こうかどうか迷ったのですが、

キングダムファンならば多かれ少なかれ気になったのではないかと思われる例の報道について。


こんな弱小個人ブログとはいえ、万が一にも原先生の目に入って何かしらの部分で嫌な気持ちにさせてしまうことになったら嫌だな‥‥万が一にも‥‥と恐縮しつつ、

まわりの色んな人に聞かれたこともあったので

言葉選びに気をつけながら少しだけわたしの感想をお話ししたいと思います。 


こういった騒動()が起こった時、

「その人個人と作品は別」

という考えがあるかと思いますが、いち創作物として考えた場合にわたしは完全に別だとは思いませんし、思えません。

でも逆に、完全に同じだとも思わない。


すごく好きな曲や絵や物話や映像なんかを見つけたら、わたしはそれを作った人はどんな人なのかということにすごく興味を持つし、その人の背景を知りたいと思うタイプの人間です。


なので大好きな漫画の余白ページの作者雑談コーナーなどは大好物ですし、くまなく読んで勝手に親近感を持ったり、自分とは全然違うわと尊敬したりと作者像をふくらませて喜び、おかげでいっそうその作品を楽しむことができます。当然キングダムもそうでした。


なので、漫画の世界外から生じた今回の例の報道は、わたしにとってはあまり嬉しくないニュースでした。

その人の背景を知りたいと思うタイプと言いつつ、どちらかと言えば知りたくなかったニュースでした。笑


なぜなら良い、悪いの話ではなく、間違いなく作品を読む時に図らずとも無意識に影響してしまうからです。

その後自分でも読んでいて無意識にチラつくことがあり、まずいな、と思いました。

そんな自分を残念にも思いました。

たぶん好きすぎるからだと思います。

イメージって本当に怖いな、とつくづく思いました。


言うなればどんな作品も要はイメージの産物だともいえます。

つくりだす人間は正真正銘生身なのですから、数えきれないほど多くの読者の、勝手な各々のそれをたったひとりの作者に求めるのは酷ですよね。


いちファンとしては勝手に色々思いましたが、

今巻の余白が多いあとがきページをみて、

先生にも色々思うところがあったのだなと

なんとなく感じた次第でございます。


ちなみに‥‥

鄴編が長すぎたことに言及してくださっていたのは、ありがたかったです。笑


何はともあれ、これからもずっと面白いキングダムを読み続けていきたいので、

わたしは自分が面白いと思う限りずっとずっと応援していきたいと思っています!


少しといいつつ、大分長くなってしまいましたが

エラそうなこと言って申し訳ないです。

でもできれば例の件の続報は、もう聞きたくないかな。笑


それでは、また60巻にて。



【メモ】

⭕️信、大豪邸を手に入れる!


⭕️58巻の信が一旦死んだやつ、"仮死状態"という表現に。(131ページ:蒙毅)


⭕️渕さん、信と羌 がイチャコラしていると誤解する。笑


⭕️飛信隊の咸陽凱旋で、花束を持った松左ファンの存在を羨み、去亥の霊が尾平に金縛りをかける。笑


⭕️楽華隊の新副長・愛閃(あいせん)

名前‥‥愛がひらめく‥‥

‥‥女の子みたいな顔ですね。


⭕️【飛信隊組織図】


将軍:李信(10000)

副長: (5000)・渕(1000)・楚水(1000)


千人将(1000):岳雷(黒飛麃)・我呂(赤飛麃)・那貴・田有・崇原(兵長)


五百人将(500):田永・沛浪(副歩兵長)・竜川


二百人将(200):澤圭


百人将(100):竜有・尾平・中鉄


軍師:河了貂(護衛・伝令兵100)

弓部隊(800)

偵察部隊(100)


尾平が大出世した!

澤さん何気に唯一の二百将。


⭕️おまけマンガ:「輪虎物語」続き


⭕️カバー裏:表側なし 裏側:すもものイラスト

  












キングダム 58巻

*ネタバレあり*

 

 

キングダム 58 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
 

 

 

 

長きにわたる宿敵・龐諼との戦いに、ついに決着が着く今巻。

 

表紙も内容そのまんまで、良いですね!

 

ハイライトは前巻から引き続く信×龐諼の一騎討ちの結末なのですが、

あまりにも予想外な展開にわたしの思考回路は一旦ストップしてしまいました。

 

なので初読み時には、後半部分があまり頭に入ってこなかったぐらいです。笑

 

衝撃の58巻、あらすじからまとめたいと思います。

 

 

 

【あらすじ】

李牧軍本陣の目前で立ちはだかる龐諼と対峙した信は、激しい一騎討ちを続けていた。

 

既に満身創痍の信の身体は痙攣を起こしながら何度も斬り刻まれ、繰り返し膝をつくが、

過去に志半ばで倒れた仲間たちや自身が葬った者たちのそれぞれの思いに背中を押され、

幾度も立ち上がり龐諼へ挑み続ける。

 

一方、秦軍総大将・王翦は、王賁や蒙恬の救援によって無事に死地を脱出していた。

倉央軍が李牧本陣へと進撃する中、李牧を脱出させるために抗う趙軍だったが、

当の李牧はその場を動こうとせず龐諼と信の一騎討ちを見守り続ける。

 

圧倒的な個としての武の研鑽を重ね、それのみを極め続けた龐諼が、

関わる人間たちの思いを紡ぎ束にして戦い、"人の力"を体現する信に勝つことができないという現実を目の当たりにし、

 

李牧は龐諼ら求道者たちが積年追い求めてきた

"天からの答え"は、

"誰がどう足掻こうが人が人を超える存在には成り得ず 所詮は人は人でしかない"

ということだったのだと結論づける。

 

李牧が見守る中、信と龐諼の一騎討ちは更に激しさを増していた。

 

何度打ちつけても立ち上がる信に対し、理解が及ばぬ龐諼。

 

自らの道を極めるために己の全てを削ぎ落とし、捨て去り、ひたすら""のみに

邁進してきた自身の""に対し、 

信をはじめ王騎、麃公ら龐諼自身が否定する生き様を見せる者たちが己の刃に抗える理由を探した時、

龐諼は

自らの進む""が間違っていたのではなく、

そもそも、

"人が人を超える"

などという""そのものが無かったのではないか?

という考えに行き当たる。

 

長年探し続けてきた答えにたどり着いたかのようにみえた龐諼だったが、

即座に自らがたどり着いたその答えを自身で否定する。

 

そして龐諼は再び信へと矛を振り下ろすが、

同時に矛を下ろした信は龐諼の刃を受け、そのまま押し勝ち龐諼の刃を折る。

 

その瞬間、龐諼の劣勢を察した趙兵は、突如一騎討ちに割り入ろうとするが、

飛信隊の面々がそれを阻止。

 

隙をついた龐諼は折れた刃で信を貫こうとするが

信はそれをぎりぎりの位置でかわし、

全身全霊で龐諼に矛を振り下ろし、遂に龐諼の身体を斬り裂くのであった。

 

 

長きにわたり飛信隊の宿敵であった龐諼を信が見事に討ち取り、

歓喜で爆発する飛信隊。

 

一番の難敵を信が葬り去ったことで、後は李牧を討つのみとなった秦軍右翼は士気が最高潮となり、間髪入れず目前に迫った李牧本陣へと進撃を開始する。

 

一騎討ちを見届けた李牧は即座に鄴へと退却する手筈を整え、脱出を図っていた。

 

すぐさま李牧を追おうとする飛信隊だったが、

激戦を終えた信には異変が起こっていた。

 

龐諼を討ち取った後、その場に立ち尽くしているかのように見えた信だったが、

仲間たちがかける声に一切反応せず、

そのまま倒れてしまう。

 

尾平たちが駆け寄り信を揺さぶり起こそうとするが、信の瞳孔はひらき、呼吸は止まっていた。

 

崇原は信の脈を確認するが、信の身体は驚くほど冷たくなっており、既に心臓は止まっていた。

なんと信は、龐諼との死闘の最中に命が尽きていたのである。

繰り返し龐諼の刃を受け続けた信は、命が尽きた後も思念の強さのみで立ち上がっていたのだった。

 

駆けつけた貂は信のもとへ駆け寄り号泣する。

信の死を受け入れられない飛信隊の兵士たちは 

嘆き悲しみながら信の名を呼び続けるが、

信が目を覚ますことは無かった。

 

 は信を助けるため、過去に蚩尤族の修行で教わった禁術の中に命の力を分け与える術があったことを必死に思い出そうとする。

 

確かに習ったはずの呪語の詩の記憶を必死にたぐり寄せ、羌 は信と自身の気の道を開いて繋げることに成功し、そのまま意識を失う。

 

 

 

 

 

 

 がたどり着いた意識の先には、幽連と羌象がいた。

 

"天地の間(はざま)"

と呼ばれるその場所は、周りには何も見えない真っ白な精神世界の空間であった。

 

そこから先に進むためには、羌 の寿命を減らす必要があると幽連は話す。

 

自分の命を使うことでしか発動しないと言われるその術は、

命を呼び戻したいと思う相手が間の世界の奥深くまで行ってしまっている場合には、

たとえ自分の寿命を半分使ったとしても101つの可能性でしか救うことができないという。

 

信は既に死から時間が経過し、間の世界の奥にまで進んでしまっていた。

 

自分の寿命を半分失ったとしてももはや信を助けられる可能性は厳しく、

羌象は羌 だけでも術を解いて戻るようにと促す。

 

しかし、羌 は迷うことなく信のために命を全てやると即決。

 

 はどうしても信を死なせたくないと願い、

それを受けた幽連は術を発動させる。

 

 

 

 

 

 

 が次にたどり着いた精神世界の先には、信の姿があった。

 

 は信の名を何度も呼ぶが、信には一切聞こえていないようだった。

 

信の進む先には朱い階段があり、信はその階段に向かって歩いていた。

 

信が階段を登ろうとした瞬間、羌 の声が一瞬だけ届き、信は足を止めて振り返る。

しかし信に羌 の姿は見えておらず、

信の前には死んだはずの漂が立っていた。

 

信は漂と昔話をしながら階段の方向へと再び進んで行くが、

 は沼のぬかるみに手足の動きを奪われ、

声も出せなくなってしまう。

 

信は、漂が死んだ後の話をしようとするが、

漂に自分の隊の名前を聞かれても思い出すことができない。

再度朱い階段の前まで着いた時、

漂は信に他に何か話すことはないか、と問う。

 

信は記憶が朧げになっており、秦王に会った話を漂へ聞かせようとするが、嬴政の顔も思い出すことができなかった。

 

何か一番大きなことを忘れている気がする、と言いながらも信は目の前の階段を上ろうとするが、

 が飛信隊の名を叫んで信にしがみつき、

階段を上らせまいと懸命に止める。

 

聞こえなかったはずの羌 の声は信に届き、

飛信隊の名を聞いた信は自らの夢を思い出す。

 

「二人の夢だった天下の大将軍にまだなってねー」

 

と信は漂に告げ、信は階段を上ることを止める。

そして漂は消え、信が現実の世界へと戻るための光の穴が現れる。

 

 は信を光の穴へ落とした後自らは力尽きてしまう。

沼のぬかるみに全身を沈められてゆこうとしたその時、

 の両脇から先に命を落とした松左と去亥が現れ、2人が腕を掴み上げ羌 を沼から引き上げる。

 

まだ何か役目がありそうな気がしてとどまっていてよかった、と笑う2人に助けられた羌 は、

「うちらの大将頼んだぞ」

と信を託され、光の穴に投げ入れられるのだった。

 

 

 

動かなくなった羌 が目を覚ますまでは、と信の名を呼び続ける飛信隊の前で、

信は突然目を覚ます。

 

信は"天地の間"での記憶は一切覚えておらず、

間の抜けた表情で突然蘇った信に対して仲間たちは喜びを爆発させる。

 

しばらくして羌 も無事意識が戻り、

信が死んだという情報を耳にし駆けつけた蒙恬・王賁と合流した信たちは、

ひとまず朱海平原での勝利を喜び合う。

 

そして気を新たにし、鄴へと退却した李牧を追うために精鋭隊を選りすぐり、王翦とともに鄴へと出発する。

 

 

 

 

 

 

朱海平原での決着が着いた3日後の開戦18日目、

李牧は鄴へと到着する。

 

しかし、鄴城内へ向かう直前、李牧の目の前で鄴の城門が内側から開いてしまう。

 

飢えに耐えられなくなった民たちが外に出たがり暴動が起こってしまったのである。

 

受け入れた難民たちをはじめ、鄴の民は城外へ次々と流れ出て行き、それと入れ替わるようにして桓騎軍が城内へとなだれ込む。

 

李牧は外からその様子を眺めることしかできず、

責任を重く受け止めた鄴城主は自死

李牧は無駄な死者をこれ以上出さないためにも

桓騎軍との戦を中止し、

溢れ出た難民たちとともに鄴を去る。

 

 

しばらくして王翦たちが鄴へ到着すると、桓騎軍により鄴は既に陥落していた。

 

しかし鄴を占拠できたものの、以前王翦が送り込んだ間者により備蓄されていた食糧を焼き払わせてしまったことから、

鄴城内に食糧は残されていなかった。 

 

李牧は秦軍を鄴へ閉じ込め、遠巻きに包囲することで餓死を狙う算段であろうと王賁は予想する。

 

しかし、王翦はこの食糧問題を驚くべき手段で

解決することになるのであるーーー。

 

 

 

 

 

 

*  *  *

 

 

 

 

 

ついに‥‥

ついに!

憎き龐諼との戦いに決着がつきました!!

 

思い起こせば龐諼とは本当に長い付き合いだったなぁ、と感慨深く、しみじみ今までの物語を頭の中で振り返ってしまいました。

 

この決着のつけ方に関してはきっと賛否あるだろうなと思い、

わたしも初読の際は、様々な思いが頭の中をかけめぐりました。

冒頭にも記しましたが、衝撃すぎて後半(鄴パート)がほとんど頭に入ってこなかったほどです。笑

 

思うところは色々ありますが、順を追って感想を話していきたいと思います!

 

 

さて、前巻で息子王賁&蒙恬に救けられた王翦でしたが、

2人のおかげで無事に死地を脱出し、そこそこ安全圏的な場所まで逃げてきていました。

これで王翦の方はもう安心ですね。

 

対する趙軍は、倉央軍の猛攻により突破されるのは時間の問題。

流石にもうヤバイと限界を感じた趙兵たちが必死に李牧だけはと逃がそうとしてるのに、そのまま信たちの一騎討ちを見守り続ける李牧。

 

李牧にとって龐諼は、かつて命を救われた相手ともいえる存在ということが前巻で判明しました。

そのことに加えて、

19年前に出会った際に龐諼が李牧に発した

(李牧は)俺の道を答えに導く者」

という、

意味深で予言じみた発言を受けた責任?のようなものもあってか、

最後までこの2人の戦いを見届ける覚悟があったのかなと思います。

 

そして、求道者・龐諼が長い間追い求めてきたものに対する答えが、ようやくこの巻で出されました。

 

"人は人でしかなく、神様にはなれない。"

 

我武神、我武神って言うてたけど、それ違うで‥‥ 

とここにきて李牧に否定されていた龐諼。

 

そもそも人はどれだけ頑張ったとしても人でしかなくて、神様になんかなれないのです。

 

李牧が言っていたように、

もし本当に武を極めた神なのであれば

王騎に敗れはしないし、

麃公将軍に腕を折られることもないし、

蒙恬じィに足を貫かれることもないはず。

 

神様じゃないからこそ負かされるし虚もつかれるという事実があるのに、その矛盾に気づかずに我は武神だともだえている龐諼は

"ただのど阿呆"

だとかつて言ったのは、麃公将軍でしたね。

 

なんだか前巻から、この問題に関しては哲学的な方向に進んでいるように思え、わたしは難しく捉え過ぎていたところがあるのですが、

 

龐諼のように個としての強さをひたすら追求するのも人だからだし、

信のように人と人を繋ぎながら背負った思いを強さに変えるのもまた人だからなのですよね。

 

結局、対極にある考え方であったとしても、"人は人でしかない"のだという、当たり前といえば当たり前の結論となりました。

 

原先生はこんな当たり前のようだけれども奥深いテーマを、これほど時間をかけてまでよく掘り下げようとしたなぁ‥‥

と感服してしまいます。

 

原先生が龐諼の存在を通して伝えたかったことって何だったのかなと考えた時、

 

単純な""としての強さだけでは絶対に超えられないもの、または絶対に得られないもの‥‥

そういったものの価値を描かれたかったのではないのだろうかと勝手に思いました。

 

今回、初めて龐諼の過去が描かれましたね。

人の傷を治す不思議な能力を持つ心優しき夫妻の間に生まれたのが、龐諼でした。

まだ生まれたばかりの赤ん坊・龐諼は、

ある時突然現れた求道者によって連れ去られてしまったようです。  

 

求道者は見込みがありそうな子どもをさらって育てるらしいので、龐諼は夫妻から特殊能力を引き継いでいて、その天賦の才能が求道者に察知されてしまったのですね。

こんな生まれたての赤子にまで求道者能力センサー働くなんてどんだけだよ‥‥!

 

しかしながら、龐諼が今まで信たちへ行ってきたように、心優しき龐夫妻をはじめ村人たちは天災に遭ったかのように求道者に斬り殺され、

赤子龐諼は連れ去られてしまいました。

 

この過去シーンは、赤子龐諼の記憶だったのでしょうか?

それとも事実としての単なる過去描写だったのでしょうか?

最期に思い出した龐諼の脳裏の映像がこれだったのだとしたら、少し切ないなと思いました。

 

勝手に見込まれて求道者にさらわれたりなんかしなければ、

人の傷を治して感謝されていた両親とともに、

龐諼も人と人との温もりの中で生きていたはずなのにね‥‥。

 

 

ともあれ、龐諼ここに墜つ、です!

 

 

 

さて、見事信が龐諼を討ち取ったあとの展開なのですが‥‥

 

これには度肝を抜かれましたね!!

 

なんか、途中から信のようすが変では?

 も信を見てゾッとしてたり反応が何か変?

貂もなんか察知して持ち場を離れたりしておかしいぞ?

 

と思っていたら‥‥

 

 

まさかの信、死す!!!!!

 

 

 

 

!?!?!?!?!?

 

 

 

 

 

とか言って、瀕死なだけで実はか細くも息があるとかですよね?!

と思っていたらご丁寧に崇原が脈を確認したりなんかしてて、

 

‥‥心臓も動いてない!?!?!?

 

いやいやいや、そんな訳あるかい!

 

だって信、まだ将軍になってないし死ぬ訳ないのに、死んだってどういうこと?!

 

 

‥‥という具合に頭の中が混乱しまくりで、

これ以降の話に関しては読んでいるのに読めていなかったというか、ページをめくっているのに頭に入ってこなかったというか、

とにかくかなり動揺していました。笑

 

そしてここで羌 が登場です。

 

貂が置いていかないでよ‥‥と号泣している姿を見て、事情を飲み込めない中でももらい泣きしそうになったわたしの心が一瞬スッと冷めかけてしまったのは、

まさか羌 が謎の術で何とかしようとする展開なのでは‥‥と予感してしまったからに他なりません。

 

「うろ覚えだけどいくつか禁術がある」

と羌 ちゃんが口にしたところで、34巻の幽連との決戦時にいきなり現れた"魄領の禁"の術のときのような唐突感を感じてしまい、

ちょっとモヤモヤが生まれてきました。

(余談ですが、51巻で描かれた"命の力を分け与える術"としての"手つなぎシーン"は、半分信に触りたいがための言い訳だと解釈していたらガチ術だったことがここで判明。笑)

 

なんだかんだで呪語の詩を思い出した羌 は、あの世とこの世の境目のような精神世界である"天地の間"へと意識が落ちていきます。

 

そこで死んだ信を助けるためには自分の寿命を減らさないといけないし、

術を使ったとしても10にひとつしか助からないと言われてしまったのですが、

迷いなく命を「全部やる」と言い切った羌瘣。

 

自分に対しては何の見返りも求めない潔さに対し、やっぱりこの子大好きだわ‥‥

としみじみ思いながらも、

寿命をいくつかもらうなのか、寿命の半分を使うなのか、寿命を減らすなのか、

条件の表現がちょっとあいまいで再びモヤモヤしました。

 

結果的に術が成功したあと、

 が象姉に言われていた

「やっぱりあんたの寿命が縮んでしまった!」

という言葉からも、

"寿命が縮む"というふわっとした表現がどうとでもとれて中途半端だなぁ、と少し残念でした。

 

死んだ人間を生き返らせるからには、かわりに命を取られるぐらいのリスクは必要な気がするのですよ。

 

そりゃあ羌 をここで退場させてしまうのには惜しすぎるし、

わたし個人としても羌 が死ぬのは勿論嫌なのですが、

信を死なせて、それを生き返らせるという強引な手段が必要なのであればそれぐらいの厳しい条件が妥当なのでは‥‥?

寿命半分キッチリ無くなった、という表現も無かったし、羌 の覚悟は確かに伝わったけどもなんか命を賭けた術にしては条件がゆるい気がする‥‥?

とまた勝手にモヤモヤです。

 

そもそも、信を一旦死なせる必要はあったのでしょうか?

死ぬ寸前の狭間で見た夢の中で、漂に助けられて

意識が戻った信(キリッ)じゃダメなの?

 の信への想いや、松左と去亥のファインプレーには素直に感動したけども、

朱海平原の終盤戦は羌 頼みなことが多すぎて、少々残念に思えて‥‥

 

死にかけの王賁を何とか復活させたのも羌 だし、王賁が王翦を救けにいかなければ蒙恬が来たとしても王翦はやられてただろうし、そもそも大将死んだら終わりだったんだし‥‥

いろいろ羌 ちゃんさまさまかよー!

 

 

とまあ、読んでいるだけの人間はこのように好き勝手言えますけどもね!

すみません!

 

 

きっと原先生も龐諼戦の結末は色々悩みまくられた上でのこの展開だったはずですから、

こんな素人の人間にどうのこうの言われる筋合いは全くありません。笑

 

それに史実として勝敗は残っている訳ですから、羌 のおかげで秦が勝ったということでもないと理解はしているのです。

なのでいち読者の主観的な感想でしかありませんが、

肝心な場面でのスピリチュアルワールド展開に関しては、個人的にはキングダムに出してきて欲しくない展開だったな、と思いました。

 

わたしは気合いと根性論はどちらかというと好きな方だし、死後の世界は何ならあるんじゃないかなとも思っているし、友情!努力!勝利!の方程式も大好物なのですが、

龐諼との体格差を含め、信が趙我龍との一戦の後で満身創痍すぎるのが不利すぎて、

 が斬り落とした指2本程度では補いきれないほどの龐諼との余力の差を、

果たして思いの強さだけで何とかできてしまえるものなのか‥‥‥

というモヤモヤを吹き飛ばして納得させてくれるような勝利ではなかったな、というのが正直なわたしの感想です。

 

だからこそ、無理目過ぎる状況下で信が龐諼に勝つためには超常現象位引っ張ってこないと説明がつけられないぐらいの大一番だったんだな、とも思っています。

 

 

 


今回は散々不満を漏らしてしまいましたが(原先生本当にすみません‥‥)、わたしは原先生にはあまり世間の読者の意見を意識して欲しくはないと思っています(勝手やな)

 

けれども人気作品になるとそれも難しくなってくるのかな、とも思います。

 

少し話が脱線しますね。

実写映画版を見終わった後に、久しぶりに単行本を途中まで読み返してみて改めて思ったのですが、

わたしは原先生のコマ割りの巧さや、

漫画だけど"行間を読ませる"的な表現の仕方がすごく好きで、

セリフはなにもないけどキャラの視線や風景で伝えてくる描き方が本当にすごいと思っています。

引き算の巧さというか。

映画が大好きな先生なだけに、そういう見せ方が本当に上手いなと。

だからキングダムは何回読み返しても新たな発見があって、何度も楽しめる大好きな作品なのですが、

 

ここ最近は行間お察しというよりはむしろ説明的なことが多くて、色々詰まってパンパンな感じがするな、と読み返してみて感じました。

 

ページ数の関係とか、諸事情が昔に比べて多かったり複雑になってきてたり、色々あるんだろうなと勝手ながら思ってます。

 

今巻に関しては、ネットのレビューを少し覗き見した感じだとそれなりに賛否があったと思われるが故に、

本誌で掲載時はどんな反響だったんだろうかと

原先生のご意見が少し気になるところではあるのですが‥‥

 

原先生には外野の声を気にせず描き切って欲しいと切に願っています!

 

 

ほんと今回は好き放題言ってすみません‥‥。

 

 

さて‥‥

本筋の感想の続きに戻ります!

相変わらず長くなり過ぎていますが、もう少々お付き合いください。笑

 

 

間の世界で、漂が出てきたのにはビックリしましたね!

そして信を光の穴に落とす前に羌 が抱きつくシーン、目がうるっとしました‥‥!

信を無事生き返らせることができるという安堵の気持ちと、

自分はここで死ぬかもしれないから最後の別れになる、

というさよならの気持ちとが入り混じっているように思えて、羌 にキュンとしました‥‥  

 

最近かなり意識的に羌 がフィーチャーされてきている気がするので、

この鄴攻略戦後の論功行賞で信が将軍になったら、もしや結婚とか?!もありえそうな雰囲気ですね。

 

象姉が言っていた「2つのいいこと」はちょっと蛇足かなと思いましたが、それ系のことかなぁ、

と緊張しちゃいます。

 

わたしは何なら知らぬ間に数年が経過してて2人の間には子どもも生まれ、羌 が現場復帰する、ってところで信将軍としての新章がスタートしてもいいぐらいだと思っています!笑

 

 

そして蘇った信の「ひょこ」シーンは、ここはシリアスに決めて欲しかったわたしにはちょっとちょっとー!と思わずツッコミましたが、

貂がめっちゃ泣いて震えていたので、ホロリとしましたね‥‥。よかったね、貂。  

 

さて、

生き返ってすぐに鄴へ威勢よく駆けて行った信にはほとほと呆れましたが、笑

鄴は李牧の到着を待ちきれずにタッチの差で陥落。

 

自ら責任を感じて身を投げてしまった鄴城主には本当に気の毒としか言えません‥‥。

 

民を守ろうと難民を受け入れたことが災いしたものの、誰がその行いを非難できましょうか‥‥

王翦の間者が食糧焼き払ったやつが効きましたよね‥‥。

 

次巻は驚くべき方法でその食糧問題を王翦が解決するそうなので、

気になるところです。

 

次巻でやっと鄴攻め編に一区切りつきそうですね!

論功行賞まで見られるのかな?

 

 

新展開が楽しみです!

 

 

 

 

 

【メモ】

⭕️李牧の解説によると‥‥

 

8年前の馬陽での王騎との再戦では、王騎を葬りはしたものの、龐諼1人の""の力としては王騎に勝つことは出来なかった。

龐諼は決して未熟だったから勝てなかった訳ではなく、

17年前から龐諼は既に人としての武の極みに達していて、それでもなお王騎に敗れたのではないか‥‥と分析しています。

 

 

⭕️ の寿命について

始皇11年現在、政と信は2324歳となりますので

ひとつ歳下の羌 は現在2223歳。

数え方は[時間軸の整理]記事をご参照ください。

 

この時代の平均寿命について少し調べてみたものの、明確には分かりませんでした(当然ですよね‥‥)

記録に残っているような傑物たちは名家の出が多かったため、栄養状態が良い環境で育った故にこの時代でも長生きする人物が多かったそう。

(蒙驁将軍や廉頗は長生きっぽいですもんね。)

亡くなりやすい幼少期を乗り切れば一般的に340代で亡くなることが多かったみたいなので、

仮の寿命で計算してみました。

 

◉羌 (2223)が残りの寿命の半分を失った場合の新たな寿命

元々の寿命()

残りの寿命年数

新たな寿命

35

12,13(÷2)

2829

40

17,18(÷2)

3132

45

22,23(÷2)

3334

50

27,28(÷2)

3637

 

最終的に象姉は「寿命が縮んでしまった」としか言ってなかったので、半分失ったのかどうかは明記されておりませんでしたが、

半分にしてしまうと上記のように割と早めに死んでしまいそうなので‥‥ストーリーに支障をきたしそうですね。なのでぼやかされたのかもしれません。

でも羌 は食いしん坊だから栄養いっぱい摂ってるはず!

 

そういえば同じ羌族の羌明は、里を出て17年で子どもが2人おり、推定30でした。

 

⭕️信の命の炎が消えた瞬間

41ページの4コマ目で、信の耳から血がドロッと出た時くらいからでしょうか。目の玉の色が変わりました。

 

⭕️57巻の記事で、田有と沛浪を見間違えていることに気づきました。訂正しておきました。似すぎ!笑

 

⭕️おまけマンガ「輪虎物語」

輪虎も可愛かったけど介子坊の「愛と平和だ」も可愛かった。だから襟のところの模様がハートだったのですね‥‥

 

⭕️カバー裏:なし

【感想】映画「KINGDOM」(後編)

*ネタバレあり*

 

 

 

 

3.「王宮での決戦〜王都奪還へ」

 

概要と解説

3000ほどの山の民たちを引き連れ、

ついに咸陽へ到着した政たち一行。

 

政には、王宮へもぐり込むための作戦がありました。

王弟一派は8万の軍勢を準備しているものの、呂不韋の持つ20万の軍勢にはまだまだ劣っていることから、

呂不韋が遠征に出ている今のうちに他勢力をかき集めておきたいはずだと読んでいました。

 

山の民が制している西の山界は広大であり、味方につけておけばかなりの戦力になります。

そのあたりの諸事情をうまく利用し、

山の民側から秦との同盟を復活させたいと申し出ることで交渉を図る‥‥

という体で王宮内に侵入しようと、政は考えていました。

 

姿はまだ出てきませんが、

現在遠征中の呂不韋、政の庇護者なのは表向きの顔なだけ。

王弟の反乱という国の一大事に遠征から戻って来ないのも、政が殺された頃にシレッと咸陽に戻って己が成 を潰し、自分こそが王になろうと目論んでいるからにほかなりません。

王弟一派はその時のための対抗勢力として、今のうちに手札を増やしておきたいという焦りがあります。そこを利用しようという訳ですね。

 

とはいえ、長年親交を絶っていた山の民からの突然の同盟の申し出に対し、

王弟一派の竭氏や肆氏たちは当然警戒しますが、

そこは楊端和が上手いこと言ってくれて武器の帯同を認めさせ、50人のみ選抜された一行は

"朱亀の門"

をくぐることに成功します。

 

門をくぐった瞬間に政が王弟一派の兵を斬り、戦いの火蓋を切ります。

政は仮面を外して己の正体を明かし、一気に戦闘へ!

 

ここで政たちは2隊に分かれ、

信、壁、バジオウ、タジフたちは

王宮の内部へ通じる地下の隠し通路から本殿へ向かい、成 を仕留める役割を担います。

 

政や昌文君、楊端和たちは残って囮となり、

信たちが成 を仕留めて戻ってくるまで正面から進み、耐えしのぐという作戦。

王宮から離れた駐屯地にいる8万の軍勢を呼ばれる前に、信たちが成 を討つことができれば勝ち、ということですね。

 

さて、信たちが隠し通路(原作だと"右龍の回廊")を進んで行くと、途中で元将軍・左慈が待ち構えており、ここで激しい戦闘となります。

 

バジオウ、タジフらが奮闘するも、謎の巨大珍猿・ランカイが無茶苦茶な戦闘力で場を荒らしますが、

バジオウの劣勢に奮起した信がランカイに挑み、ランカイを倒します(わりとあっさり)

 

信たちはそのまま突き進み、成 のもとまでたどり着きますが、

いつの間にかこちらに来ていた左慈が現れ、信の前に立ちはだかります。

 

左慈は元将軍。列国に名を轟かせていたものの虐殺が酷すぎて追放され、

今や"雇われの人斬り"となり下がってしまったもよう(:)

原作では、"上級武官""肆氏の片腕の人斬り長"とされていたので、設定が変更になっています。

 

映画のパンフレットによると、このシーンのラスボスを原作と同じランカイではなく左慈にしたのは、原先生の考えだそうです。

""という言葉を軸に展開される"言葉の戦い"を見せたくて、原先生はかなり悩まれたそう。

 

確かに、もしラスボスがランカイだったら、言語が話せないのでただの単調な戦闘シーンになりそうだし、

ランカイのビジュアルもマンガみが払拭しづらいので、映画としてのクライマックス感は弱かったかもしれません。

 

映画を愛する原先生のことですから、見せたいシーンや伝えたい想いを最大限効果的に表現できる方法を探して悩み抜き、練り出した設定なのだろうと思います。

 

左慈はバジオウ・タジフをこともなげに蹴散らし、信との一騎討ちに。

 

実質的に、このシーンが全体を通しての1番の見せ場です!!

 

信は左慈を「クソヤロー」と呼び向かって行きますが、初めは歯が立たず左慈の剣にはじき飛ばされてしまいます。

 

 「どうした?将軍になるんだろ?」

 

と信を挑発する左慈

 

途中、信がやられているのを高みの見物で

 「ウホッ♪」

と膝を打ちながら喜んでいる成 がちょいちょい差し込まれてくるのですが、

これが毎回絶妙に小憎たらしい!

本郷奏多は天才です。笑

 

 

なんだかんだで信と左慈は激しい打ち合いに。

 

 

「夢見てんじゃねェよ ガキが

 

 夢なんてクソだ

 

 そういう奴らをいっぱい見てきた

 

 戦場に夢なんて転がってねェんだよ

 

 夢だなんて言ってる奴こそくだらねェ死に方す

 んだよ」

 

 

と信へ吐き捨てる左慈

 

ここで信の脳裏に漂の顔が浮かびます。

 

その漂の笑顔がすごく綺麗で、何だか泣きそうになりました。

 

「違うよな    

 

 違うよな 漂」

 

とつぶやきながら、天下の大将軍になるという夢を語り合った漂との日々を思い出す信。

 

「夢を見て何が悪い

 

 夢があるから立ち上がれるんだろうが

 

 夢があるから前に進める

 

 夢があるから強くなれるんだろうが

 

 夢があるから‥‥」

 

信は漂との誓いを胸に高く跳び、ついに左慈を討ち取ります。

 

 

残された成 は竭氏に自分を守るように命令しますが、竭氏軍団は逃げ惑うばかり。

脱出を図った竭氏の目に貂が放った吹き矢が命中し、

とどめをバジオウに刺されて竭氏は絶命するのでした。

 

 

 

 

一方、地上では政たちの前に魏興(宇梶剛士さん)が立ちはだかり、激しい乱戦となっていました。

そこへ信たちに敗れて逃げてきた成 が現れ、魏興は王弟一派の敗北を悟ります。

 

ほどなくして信たちも到着し、政たちと合流。

 

哀れなことに‥‥政を殺せと叫ぶ成 に従う者は、もう誰もいませんでした。

 

「元々俺とお前の兄弟ゲンカだ ケリをつけよう」

と政は言い、成 をボコボコに痛めつけるのですが、命をとることまではしませんでした。

政は、ここで此度の反乱における決着を着けます。

 

その時突然、門の方から王騎軍が現れ、

王騎が政の前へ立ち塞がります。

 

政と話をしに来たと言う王騎に対し、

政はまず自分の方から問いかけます。

 

かつて天下に名を轟かせた大将軍である王騎が 

なぜ此度の内乱に首を突っ込んできたのか?

との政の問いに対し、

王騎はくだらないからだ、と答えます。

 

戦とは国内でするものではなく、中華でするものだと語る王騎。

 

次に、王騎が政に問います。

 

これから玉座を取り戻した先、一体どうしたいのかを聞かせて欲しい。

政の""の話を聞かせて欲しい、と。

どのような王をこの先目指しているのかを、じっくり考えて答えて欲しい。

と王騎は求めます。

 

原作では、王騎が内乱に首を突っ込んできた理由はハッキリ本人から明言されていませんでしたので、

「内乱なんかくだらないからだ」

と王騎が答えたところは(2作目を見据えて)分かりやすくてとても良かったと思いました。

 

そして前述の信×左慈の一戦の際と同様に、

ラストの重要な政×王騎のシーンもまた、

""という言葉が軸になっています。

 

王騎の問いに対し、迷いなく

 

「俺が目指すのは中華の唯一王だ」

 

と答える政。

 

「歴史に暴君として名を刻みますぞ」

 

と返す王騎に対し、

 

あと500年続くかも知れない争乱の犠牲をなくすために自分は中華を統一する最初の王となるのだ、と政は堂々と語ります。

 

その返事を聞き、天を仰ぐ王騎。

 

「ンフゥ」

 

と笑みを浮かべ、王騎は満足したかのような、

色々想いを巡らせているかのような表情を見せます。

そして戦の終結をはかり、騰に魏興へ投降するように命じさせますが、魏興はその命に逆らいます。

 

側で政と王騎の会話を聞いていた魏興は憤り、

 

「誰がお前の戯言についていくというのだ!」

 

と叫んで政の首を狙いますが、

向かってくる魏興を信が斬り、それを防ぎます。

 

信が、

「俺が、ついていく」

と言ったシーンはカッコよかった!

 

それを聞いた王騎が

「ンフ」

と笑ったところもなんかよかった!笑

 

 

 

「童(わらべ)信 次は本物の戦場で会いましょう」

 

とだけ信に告げ、騰と共に去っていく王騎。

 

最後に信が

「この戦 俺たちの勝ちだ!」

と言って剣を突き上げ、

王宮で起こった反乱は終結するのでした。

 

此度の反乱における王騎の行動の背景を昌文君と壁が語るエピローグが少しあった後、

王宮で政・信・貂の3人が勝利を喜び合うシーンの後、エンドロールとなりました。

 

 

 

 

 

ここまでの感想

山の民に合わせてつくった信たちの手づくり仮面は、けっこう原作に忠実な仕上がりでした。笑

 

朱亀の門をくぐればそこから先は戦場となりますが、  

原作にあった

"開戦前の緊張感で貂が息苦しくなるシーン"

が削られていました。

いざ敵地に乗り込もうとしている間際の緊迫感をうまく貂が表現しているという、原先生がお気に入りのシーンなのにー!

 

‥‥と残念に思っていたのですが、このあとすぐの左慈軍団との乱戦シーンで、

貂が敵にアワアワしたり足を踏み外してコロコロ転がったり、

がむしゃらに放った吹き矢が敵に命中したりするという見せ場的なものがあったので、

より見ている方に分かりやすくするためにこっちに差し替えられたのかな、と思いました。

 

左慈は信たちをザコとみなし、この場を部下たちに任せて一旦立ち去るのですが、

ここで

"処刑人・ランカイ"

とカッコよく異名がついたランカイが登場しました。

 

映画ではラスボスが左慈だったので、案外アッサリと信はランカイを倒しましたね。

 

このあたりで、"政が自ら山の民に扮して乗り込んできた"という情報を耳にした成

 

「自ら首を差し出しに来よったわ

ブァカが!!!」

 

と嘲笑うシーンが差し込まれるのですが、

本当に絶妙に小憎たらしく、本郷奏多はまじ天才だと思いました。笑

 

そしてメインとなる信と左慈とのシーンは、

原先生がこだわられた

"言葉と言葉の戦い"

 

信の芯にあるもの、

根っこのところにあるものが

漂と共に抱いた""である、ということがはっきり伝わるよいシーンだったと思います。

 

信の芯‥‥イコール「キングダム」の芯ですから、

原先生がこのシーンを大切にしたかった気持ちがすごく分かります。

音楽の相乗効果もあり、信とともに漂を想い、

観ていてホロリとしましたよ‥‥。

 

ラストの王騎と政のシーンも、原作では分かりにくかった王騎の意図がとても分かりやすくなっていて、そこはとても良かったと思いました。

 

王騎は

"血沸き 肉躍る世界"

を求め、

政がそれを創るに値する王であるのか、

政という若王がどのような考えを持っているのかに興味があって、

試したようなところがあったのですよね。

ラストの政と王騎の問答で、少し触れられています。

 

あと、

戦いが終わった後、楊端和から投げられた鞘に

信が剣を納めてタイトルがバン!!

って出るシーンはめちゃめちゃかっこよかったです!!!

 

このままエンドロールでも全然よかったのにと思ったのですが、

ラストに少しエピローグ部分がありました。

 

この内戦のあと、民に被害がなかったのは王騎が周辺を包囲して民を守っていたからだということ、

偽物の昌文君の首を成 に差し出して領地を奪ってくれたおかげで、昌文君の家族や臣下に被害が及ぶこともなかったとの補足説明が昌文君から語られます。

 

ここは原作でも少し分かりにくかった部分で、

わたしも自分が理解するために別記事としてまとめたことがあるのですが(過去記事をご参照ください)

この説明が入ることで王騎の人物像が少しイメージしやすくなりますし、王騎が介入してきた意味もより理解しやすくなっていました。

 

そして昌文君が最後に

 

「全ては王騎の‥‥盤上の駒」

 

と語ったことで、さらによりわかりやすい状況説明となっていましたね。

 

‥‥この一言は、完全に2作目ありきの流れだと思いました!

 

原先生が初めに映画化の話を受けた際、どこまでのパートをやるのかと気になって、王騎の死まで撮りたいとか言われそうだな‥‥とご自分なりに色々想像されていたそうなのですが、

プロデューサーの方から"5巻の王都奪還までで"との答えを聞いた時に、驚きながらも原先生は英断だと感じ、とても嬉しく思われたそうです(コミックス53巻のあとがきより)

 

1作目をじっくりやって必ずヒットさせて、

絶対2作目やりましょう!っていう監督の熱意、

わたしもすごく感じることができました。

 

映画は見事にヒットして、本当に本当に嬉しく思います。

これはきっと2作目ありますね!

 

ラストシーンは、

王宮で政・信・貂の3人衆が揃い、

中華統一への夢を誓って、エンドロールとなりました。

 

いまはコロナ禍の状況下ということもあり、当面は新しい情報も出ないかと思いますが、

いつの日か2作目の情報が発表される時を楽しみに待ちたいと思います。

 

 

その時は新キャストの発表などもあり、

わたしはきっとまた性懲りも無く観るのをあれこれと悩むのかもしれませんが。笑

 

 

映画、面白かったです!

未見の方はぜひ。

 

 

 

【メモ】

⭕️壁のあんちゃんは全体的に存在感が薄かったように思います。

原作では、信たちとの絡みが多く、序盤の功労賞をあげたいぐらいの活躍を見せたあんちゃんでしたが、

映画では尺の関係もあってか、端和様に一目惚れするシーンなども無くあまり焦点が当たっていませんでした。

 

続編無しと仮定した時に、独立した一本の映画とするためには、作る方としても泣く泣く削らざるを得ないエピソードたちがほかにもたくさんあったのでしょうね。

 

⭕️パンフレットのクレジットを見たら、"里典の子"の記載がちゃんとありました。

有が登場した記憶が無かったので、

あれ?見過ごしたかな?と思って見直してみたのですが、

昌文君が漂を身請けに来た時にひれ伏していた里典の家族(顔も見えなかったような‥‥)の中にいたのかもしれません。

クレジット、細か!と思ったけど、

もしかしたらカットされたシーンがあったのかも‥‥。

 

⭕️追記(2020.5.29)

本日地上波初放送日ですが、朝の情報番組「スッキリ」にてPART2の制作決定が発表されました。


ちなみに本日の天の声ゴールド担当は熱烈キングダムファン・ケンコバ氏でしたが、原作(本誌)の進捗状況を少し語られていて、不意打ちに聞いてしまったコミックス派のわたしはギャー!!となって耳を塞いでしまいました。笑

(がしかし‥‥楽しみ‥‥!コミックス収録は2巻先ぐらいかな?)