キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 50巻

 *ネタバレあり*

 

祝・50巻!!

表紙は飛信隊の面々。
(惇兄弟までいる!笑)

久々の飛信隊の見せ場に心踊らせつつ、
熱いものが胸の奥から込み上げてくるラストに読み応えたっぷりの巻です!

今回の鄴攻めは、中華統一に向けた国家レベルでの大戦であることは言わずもがなで、
信・王賁・蒙恬の若手三人衆が将軍になるための試験場でもあります。

ここでの功績が間違いなく昇進に直結するがゆえに、
しっかり納得のいく戦果が欲しいところ。

前巻でいち早く才を認められた蒙恬に続き、
信&王賁はどう続くのか?

あらすじから追ってまいりたいと思います。


【あらすじ】
趙峩龍軍・岳嬰軍に挟撃を受け、追い込まれた玉鳳隊。

副長・番陽や関常は、王賁だけは脱出させようと躍起になるが、
王賁にはこの状況を打開する絵図が浮かんでいた。

王賁は、退却ではなく攻めを選択。
隊を左右の2隊に分け、それぞれが敵陣のど真ん中を突き抜けるように指示を出す。

絶体絶命の状況下にもかかわらず無謀な選択をしたかのように見える王賁に対し
意図を汲みかねていた趙我龍だったが、

王賁が密かに狙いを定めていた目的地にたどり着いたその時、
趙我龍はその行動の意図に初めて気付き、驚嘆する。

王賁は、戦いの基本である“横陣”の弱点である“端”を狙い、
何と自らが元々いた地点から対角線上にある真逆の位置を目指して全力で敵陣の波を突破。
そこから敵陣を蹂躙すべく“狩り場”を作り出したのである。

王賁は、亜光将軍が自らの動きに呼応してくることを見据え、
狩り場に位置している馬南慈軍を玉鳳と亜光軍で挟撃する絵図を描いていた。

王賁の作戦通り、亜光将軍は王賁の行動の意図を汲み取り、自軍より亜花錦(あかきん)千人将隊を派遣。
強力な戦力が玉鳳隊に加わったことで、
王賁が作り出した流れは大きく膨れ上がり、
もはや止められないほどの勢いを生み出していた。

そして2日目の戦が終わる頃には、王賁は馬南慈軍を再起不能なほどに叩き込んでいたのである。



一方、2日目が終わった橑陽の地では、
大事件が起こっていた。

夜明け前、寝所にいた壁のもとに兵糧庫が放火されたとの報が入る。

夜中のうちに、舜水樹がロゾから聞き出した地下道を利用し、壁軍の兵糧を始末したのである。

2箇所に分けていた兵糧庫のうちのひとつが全焼してしまい、愕然とする壁。

夜が明け、3日目の戦で失態を挽回せんと勇む壁は、勢いが空回りし惨敗。
また、壁は鄴に配置している桓騎軍へと兵糧の援けを請う伝者を送っていたが、
全て趙軍の網にかかり全滅していた。
これにより、失った兵糧の補填は絶望的となり、
兵糧合戦でもあるこの戦いにおいて、橑陽の地では趙軍に大きく差を広げられることになっていた。



そして朱海平原・王賁の持ち場である右翼の3日目。

趙軍中央軍から、元・三大天 藺相如(りんしょうじょ)直下の部下であった尭雲(ぎょううん)軍1万の援軍が送られてくる。

かつて若くして病に倒れた藺相如は、死の間際に趙我龍と尭雲へとある予言を残しており、
その予言とは、自身の死後決して後追いせず、きたる“朱き”地での戦いで存分に敵を屠るようにという命であった。

主の予言の地がこの朱海平原であると確信した2人は、異様な程の猛威を振るう。

王賁は檄を飛ばし、これを迎え撃とうと構えるが、
尭雲軍・趙我龍軍・岳嬰軍の3軍が亜光軍に集中して襲いかかったことにより、亜光軍へ援軍に行く必要があると判断。

少数部隊で横撃をかけに出た王賁だったが、
尭雲の精鋭部隊に包囲され、
副長・番陽が敵の攻撃を受け、落馬してしまう。

番陽が敵に囲まれ、万事休すと思われたその時、
信・羌瘣 率いる飛信隊が援護に現れ、番陽を救出。
さらに信は王賁と並び、窮地を脱するため共闘する。

右翼の戦況を遠目から読み取っていた総大将・王翦は、
尭雲と趙我龍の覚醒を察し、
援軍として飛信隊を送り込んだのであった。

王翦は、膠着するであろう左翼側は蒙恬に任せ、全体の勝利に繋げるためには右翼側での勝利が必須だと判断し、
飛信隊の主戦場を右翼側と決定して
全軍を配置するよう指示。

その結果、羌瘣 隊と合わせた8千もの飛信隊が右翼の乱戦に割って入ったことで、
亜光軍に群がる趙軍は手を止めざるを得ず、
亜光軍はその隙をみて陣形の立て直しを図ることができた。

両軍が乱戦を一時停止し、陣を整えている間、
王賁はその場を飛信隊に任せて玉鳳本陣へと戻ったため、
飛信隊は尭雲軍1万と対面する配置へと着くことになる。

右翼の戦場に堂々と布陣を果たした飛信隊。
しかしながら、騎兵団・歩兵団ともに力は拮抗しており、
もともと2千の戦力差がある飛信隊は劣勢の状況であった。

貂は必死で戦略を練るが、ことごとく裏目に出る結果となり、
尭雲の考えを全く読めずに苦悩する。

現場でも、羌瘣 は戦術の差を実感し、あらゆる局面で後手に回ってしまっている戦況を危惧していた。

しかし、そのような状況の中でも、信が自ら率いている隊のところだけ例外的に奮闘していることに気づいた羌瘣 は、
信を本陣にいる貂のところへと連れて行く。

本陣で苦戦している貂の代わりに指揮をとった信は、
直感で尭雲の次の一手を察して次々と指示を出す。

信の支離滅裂な指揮のせいであっさり敗れる隊があったものの、
奇襲・迎撃が成功して大勝利する隊も出てくるようになり、
その結果 戦局が少しずつ好転し始める。

このことから、
大軍師・藺相如の一番弟子であった尭雲が
まさかの“本能型”であることに気づいた貂は、
同じく”本能型”である信へそのまま隊の指揮を任せることを決断。
信は本陣に留まり、全軍の指揮をとることとなる。

信は劣勢の中、尭雲が狙う
“火の起こしどころ”
を必死で探りはじめる。

本陣から全体を見渡し、直感で各小隊の持ち場各所へと増援の指示を送りながら、尭雲の狙いを見定めようと尽力する。

そんな中で、渕副長率いる隊周辺に対し
激戦になる空気を嗅ぎ取った信は、
予備隊全てと羌瘣 隊を投入し、
この場所こそが戦の雌雄を決する戦場となると確信する。

そして信自らは、敵軍本陣への奇襲への道筋が開けたことに気づき、本陣を飛び出す。

信が駆ける先に、なんと敵軍大将・尭雲が現れた。
尭雲は、信と同じく飛信隊本陣へと奇襲をかけるところだったのである。

互いに本能で引き合った2人は、直接対峙。
いきなり一騎討ちの戦いが始まることに。

尭雲は、信の持つ”王騎の矛”の威力を試すかのように先手を取って一撃を加えてくるが、
まだ自在に矛を使いこなせていない信に対し失望する。

信は、尭雲に
「王騎から矛を受け取ったことは
ただ偶然と幸運に恵まれただけ」
と蔑まれたことにより、
王騎から矛を受け取った際に抱いたさまざまな想いが鮮明に蘇り、
尭雲へ怒りの一撃を加えるーーー。

 


* * *


久しぶりに胸の奥から熱いものが込み上げてくるラストの場面に涙・・・。

信だけでなく、読んでるこっちまであの場面が蘇ってきて、ブワッときますね。


まずは前巻からの
“王賁、大将軍の見てた景色が見える”
の前フリ回収ですが、
王賁、窮地にもかかわらずひらめきまくり、
百戦錬磨の亜光兵をもうならせる戦術により
戦況をひっくり返しました。

普段はクールな王賁ですが、回想蒙恬が話していた
「大将軍ってどんな状況でも結局自分が主人公で戦の中心にいて、全部をぶん回す自分勝手な景色を見てたんだろうね」
という“大将軍像”に自分自身がリンクしたことに気づき、
新しい自分の発見を自覚しておりました。

そして王賁の動きを見ていた敵将・趙峩龍は、
王賁に対しかつての主である藺相如を重ね合わせておりましたね。
王賁、もはや大将軍級の片鱗を見せてきてます!

それと番陽じィが落馬して王賁が助けに戻るシーンでは、部下達はよしきた!って感じで逆走しましたが、
今まで王賁のこういう人情味があるシーンって、なかなか無かった気がします。

最近、味方の身内キャラで
「もしかしたらこのキャラ死ぬかも」
っていう初期の頃のようなハラハラ感が無かったので、番陽には悪いけどここで退場ってのもアリかもなー。。とか思ってしまいましたが、

流れ的に次のページの見開きで救けが来るであろう展開に思えたのでいざページをめくると、、、

!!ちょ!!信来た!!

羌瘣 も!!!

まだ飛信隊の出番はちょっと先かなーと考えていたので嬉しい誤算!
瞬く間にテンション上がりました!!

思えば玉鳳とは、3百将時代からの因縁のライバル。
まだまだ百姓上がりの芋臭さが残る飛信隊に対して、キラキラ甲冑のエリート玉鳳からは当初かなり見下されていましたよね。

特に番陽は、古株メンバーにとっては屈辱の“気をつけ”号令をさせられたちょっと憎たらしい相手。笑

今回、その番陽の危機に颯爽と現れて助けたことによってその時の借りを返した(?)信、
小憎たらしい表情を作って
「ありがとうは?」
とか言っちゃってます。笑

番陽じィは意地張ってププルッとしながら血を吐きつつも、
礼を言うぐらいなら死んだ方がマシだと悪態ついてましたね。

でも内心は、あんな泥くさいことばっかやってたあの飛信隊が、今や玉鳳と肩を並べても見劣りしないぐらいに軍として大きくなって成長した姿を目の当たりにして、
だいぶ飛信隊に対する考えも改めたのではないでしょうか?

そしてここで信&王賁の珍しすぎるコンビプレイ!これは貴重です!

そしてその2人をヒヒヒンと援護する羌瘣 、
カッコ可愛いすぎかよ。。。!

羌瘣 の“陰で信の最強フォロー”プレイが久々に拝めたのでわたしは大満足です。

そして、遅れて飛信隊全軍が到着。
もはや大軍となった飛信隊の“軍”としての存在感が実感することができて、
おお〜っとうなっちゃいました。

なんやかんやで尭雲の向かい側に配置することになって、
信が討ち取るべき相手は尭雲に決定!

この尭雲、大軍師・藺相如の右腕だったらしく、
軍師級の頭脳に加え本能型だとか。。

頭脳+本能型とくると、李牧の右腕だった慶舎が浮かびますが、
軍略家の立ち位置であった慶舎とは違って
尭雲は明らかに”武”の将軍です。
藺相如の”武”パートは尭雲が担っていたとか。。

尭雲、魏火龍の時と同じく実戦に対するブランクありの”過去の傑物”キャラ。
奮起の理由が藺相如の”予言”(予知夢?)というのは個人的にちょっと弱い感じがしましたが、
信の“対本能型”としての指揮官ぶりを見られたのはなんか新鮮でした。

信の指揮といえば、
かつて対廉頗戦のあと羌瘣 が抜けて貂が加入するまでの短い間、信と渕さんの軍略のせいで飛信隊全滅の危機に陥りかけていたあの時の印象しかなかったので(←苦笑)、
実戦を積み重ねて直感が磨かれた信に対し、頼もしい成長を感じずにはいられませんでしたよ。

そんな直感と本能で麃公将軍風に“火の起こしどころ”を感じ取った信は、
そこに温存していた予備隊全てと羌瘣 を向かわせますが、
(「了」と言って任を受ける羌瘣 がかわゆすぎましたー!)
信は信で何か胸にザワつきを感じ、
向かった先にはなんと尭雲が!!

尭雲も同じく本能で信のところまで向かって来ていたとは‥‥

当然のごとく、大将同士の一騎討ちが始まったものの、
王騎の矛がまだ馴染んでいない信は押し負けている状況。


今回の戦は趙国奪取に直結するほどの大戦ってこともあり、
満を持して王騎の矛を装備した信でしたが、
まだその重さに慣れずに振り遅れまくりで使いこなせておらず、
こんなんで将軍昇格がかかった大戦大丈夫なんかなーと密かに心配しておりました。

でも、
尭雲に

“お前ごときただ運良く王騎の最期に居合わせてたまたま矛をもらっただけ”

的なことを言われて、
信の脳裏に浮かんだ王騎の姿、
矛を受け取った時の信の顔を見たら、 、、

当時の王騎の想いや信の想いが呼び起こされてきてめっちゃ泣けた。。。

かつて廉頗が言っていたように、
その時代時代で英雄たちが築いたイメージは人びとの中で完成されていて、
その英雄たちを超えたと証明するためには
過去の英雄たちが成し遂げられなかった
“中華統一”を達成させるしかない。

そのためには、過去の傑物を倒して時代の更新をして行くしかない訳で、
今回の尭雲も信にとっては乗り越えなければならない“過去”の英雄です。

魏火龍の時となんとなく似ている感じがするので同じようなことを言いますが、
いくら傑物とはいえ10数年ぶりに本格復帰したようなヤツなんか信の相手には物足りない!さっさとぶっ飛ばして、王騎の矛を使いこなす信の覚醒を期待したい!


51巻は信と尭雲の一騎討ちの続きになるかと思いますが、
舜水樹に兵糧の半分を焼かれた壁のところも気になるところ。
山の民×犬戎の末裔の戦いのゆくえも!

寝所で急報を受けた時の壁の白目と、燃えカスになった兵糧庫を目の前にして頭を抱えてた時の絶望の表情には、
大変な事態だというのに何故か笑ってしまいました‥‥!(スミマセン)

兵糧合戦である今回の戦でこのミスが致命傷にならなければいいのですが。。

あと、端和様の前でいいとこナシの壁に、何か挽回のチャンスを与えてあげてほしい!!


次巻へ続きます!


【メモ】
⭕️飛信隊到着シーンの尾平、歯のみで登場。笑

⭕️松左、歩兵長補佐。(百人将)
てことは崇原も歩兵長だから百人将なのかな?

⭕️元・三大天 藺相如は、実力絶頂の時に病により死去。
“藺家十傑”のうち8将は殉死に近い戦死を遂げる。
その生き残り2将が、趙峩龍と尭雲。

⭕️趙峩龍、王賁の戦いぶりに対し、かつての主・藺相如を思い出す。

⭕️藺相如の右腕の文字?

⭕️新キャラ・亜光軍の亜花錦(あかきん)
、性格難で千人将止まりだが実力は間違いないらしい。

⭕️帯&あとがきにて、キングダム実写映画化決定の報あり。
原先生自ら脚本を手がけたとか。
どうしよう!観るべきか否か。。。アニメすらイメージ壊されるのが怖くて見てないのです。。

⭕️おまけマンガ「メラ族のキタリ」
前巻で登場したメラ族の美女、早くもおまけマンガの主役に!

⭕️カバー裏:表紙側・兵糧の米俵
裏表紙側・羌瘣 の「了」(好き!)

キングダム 49巻

*ネタバレあり*

 

 鄴攻略戦、初日から各所で熱戦です!

 

今までに何度かプチ見せ場はあったものの、49巻まできてやっと本格的に蒙恬の実力と能力が報われる(?)時がやってきました!

 

17巻で初登場してから、今回意外にも初の単独表紙です。

 

初日なのに何かと忙しい49巻、

濃すぎてあらすじをまとめるのにもひと苦労(‥‥もはやあらすじではないような‥‥)

でもやっぱりまずはあらすじから!

順に内容を追っていきたいと思います。

 

【あらすじ】
対趙戦初日、各所で早くも激戦が繰り広げられていた。

秦軍左翼では、王賁が李牧軍副官・馬南慈と相対していた。
王賁は、馬南慈の武に対して全く引けを取らず応戦する。
加えて玉鳳隊の参戦に気づき、挟撃に向かってきた亜光将軍が到着。
流れは秦軍に来ていると思われたが、
秦軍後方より趙軍第1陣・岳嬰軍が現れたことにより、一進一退の攻防が続く。

一方、橑陽の地では、楊端和率いる山の民の軍勢が圧倒的な武力で趙軍を押し込んでいた。
しかし、単調な戦い方をする趙軍に対して、楊端和は意図を推し量っていた。

趙軍大将・舜水樹は、主戦場へと到着するや否や捕らえた数名の山の民を楊端和の目の前で惨殺するというパフォーマンスを行い、あからさまに楊端和を挑発する。
そして趙軍は、全軍が不自然にも後方へと退却し始めたのである。

舜水樹は、橑陽城のある方向へと楊端和を誘い、楊端和は強力な援軍が潜む可能性を予測しつつもそれを追う。

両軍がたどり着いた橑陽城には、「犬戎(けんじゅう)」と呼ばれる大騎馬民族が待ち構えていた。

犬戎とは、500年前に中華に乱入し、当時の「周」王朝を滅ぼしたとされる大犬戎族の末裔であった。
橑陽城は彼らによって占拠されており、この城は趙国内にあっても治外法権の領域だったのである。

舜水樹は、犬戎の王・ロゾに対し、犬戎の言語と共通である匈奴(きょうど)の言語で共闘の交渉を持ちかける。

無断で領域へと踏み込んできた者には趙人であろうと排除しようとするロゾだったが、
舜水樹が李牧の使いの者であることを知り、
申し出を受け入れる。

趙軍に犬戎族が加わったことにより、山の民の軍勢は後退を強いられるが、
楊端和は山の上に拠点を見い出し、立て直しを図りながら奮戦していた。

その頃左の戦場では、王翦より直々に名を受けた信が、紀彗の首を獲るために到着していた。

戦況は、王翦軍第二将の麻鉱の軍と、蒙恬率いる楽華隊が、それぞれ紀彗軍を前後から挟み込んで追い込んでいた。

王翦必殺の別働隊として、足の速い800騎を厳選し送り込まれた飛信隊は、紀彗本陣へ向かって突撃を開始する。

紀彗軍は、黒羊戦で羌瘣 に討ち取られた副将・劉冬の仇を取るべく飛信隊に対抗してくるが、
ここで飛信隊の出現と勢いに気づいた楽華隊が飛信隊の勢いを利用し、自らも全軍で攻め込んできたことで紀彗軍の退路を断つことに成功。紀彗軍をかなり追い込んでいた。

また、紀彗軍本陣の丘正面に待機していた麻鉱は、戦局の流れから頃合いを察し、正面から突撃を開始。
秦軍は、ついに3軍による突撃で紀彗軍本陣を追い詰めた。

王翦は、このように戦の流れによって麻鉱軍・楽華隊・飛信隊のどの軍も敵将の首を獲る本命になり得るように仕掛けを施したのである。

窮地に追い込まれたかのように見えた紀彗軍だったが、
満を持して動き出した麻鉱の前に、
なんと自軍本陣を離れて別働隊を率いた李牧が現れた。

麻鉱が李牧のその姿を認識するや否や、
李牧は麻鉱を瞬時に討ち取る。

まさに、一瞬の出来事であった。

李牧は、王翦が何かしらの仕掛けをしてくると察しており、
もしも秦軍に“隙”が生じればその時は自らが”一撃必殺の別働隊”となり、決して覆らぬ程に大局を趙軍へ傾けさせる決定打を打ち込もうと予め計画していた。

秦軍が紀彗軍に畳み掛けようとした一瞬の隙をつき、李牧は麻鉱を討ち取りに出たのである。

李牧の別働隊の存在をあらかじめ知らされていた紀彗は、戦局が一瞬にして自軍に傾いたことを察し、李牧によって麻鉱が討ち取られたという報を広める。

麻鉱の訃報が広まると同時に、戦の潮目は急変。
秦軍は逆に追い込まれるという一方的な流れに変わってしまった。

紀彗を討ち取ろうと本陣目前まで迫っていた信たちは、寸前のところで李牧にしてやられたことを知り愕然とするが、
信はすぐさま李牧のいる方へ向かって馬を走らせる。

退却途中だった李牧を目前にとらえた信だったが、中華最速の騎馬隊を有する李牧軍には追いつくことができず、奥から伏兵が出現したため深追いを断念。
しかしわざと馬の速度を落として信の前に現れた李牧に対し、
信は王騎から受け継いだ矛を李牧に見せつけ、必ずこの矛で首を取ると宣言する。

李牧は、無言で信の宣戦布告を聞いていたが、
直ぐに趙の伏兵軍が李牧の周囲を取り囲んで護衛についたため、飛信隊は退却を余儀なくされるのだった。

楽華隊がいる左翼まで退却した飛信隊は、
主の麻鉱を失って完全に戦意喪失し、趙軍に殲滅されかかっている麻鉱軍を目の当たりにする。

秦軍の誰もが、李牧がつくったこの流れを止めることはできないと諦めていた時、
蒙恬ただ1人だけは、麻鉱軍の立て直しを図ることを決意していた。

蒙恬は、麻鉱軍が練兵を重ねて個の力を鍛えあげ抜いた屈強な兵団であると理解し、
この軍であれば士気の回復次第で復活が可能であると確信していた。

蒙恬はまず第一に、麻鉱が存命であるとの虚報を流させることにより、例え半信半疑に思われようとも兵達の士気を一旦立て直そうと考える。

そして第二に、信と陸仙の武の力で乱戦の中で抗う拠点を作らせ、そこに麻鉱の旗を掲げさせることにより、
崩壊しかけていた麻鉱軍に復活の希望の兆しを見せつけた。
加えて第三には、麻鉱軍の中でしか知り得ない”麻鉱の言葉”を聞き出し、麻鉱からの言葉として全兵に伝えさせたのである。

「立って 戦え」
という麻鉱のいつもの言葉を聞いた麻鉱兵たちは、麻鉱の存命を確信して奮い立ち、
死線上にいる兵たちの士気は復活。

蒙恬は、復活した麻鉱軍本陣の指揮を執り、飛信隊を使って因縁の相手である馬呈軍を右外側へと誘い出す。
そして間髪いれずに左側に隠しておいた楽華隊本隊3000騎を投入し、一気に形勢を押し戻すため蒙恬自らも紀彗本陣へと向かって出陣する。



蒙恬による的確な指揮と軍略により、麻鉱将軍を失いながらも対戦初日を耐え凌ぐことができた秦軍。

蒙恬の活躍は、秦軍の誰もが認めるところであり、麻鉱兵たちもそのまま蒙恬の指揮下で動くことを望むほどであった。

かねてから蒙恬の戦術眼に一目置いていた王翦は、初日の蒙恬の活躍を認め、
引き続き麻鉱軍の指揮をとることができるよう、この戦の期間中限定として
”将軍”
の地位を与えるのだった。



そして2日目。
秦軍右翼では、亜光軍・玉鳳隊が初日と異なる配置で陣形を整えていた。

対する趙軍左翼も配置を大幅に変更してくる。
初日に猛威を奮った馬南慈軍の真後ろに、初日には影を潜めていた第3の軍・趙峩龍(ちょうがりゅう)軍がぴったりとつき、開戦と同時に亜光軍に向かって揺さぶりをかけてきた。

趙峩龍軍は、突然軍を旋回させて玉鳳隊を目掛け突撃をかけてくる。
趙軍の真の狙いが王賁の首であると察した亜光は、8000の兵を玉鳳隊へと回して救出に向かうが、自身は馬南慈と対峙。

趙峩龍軍・岳嬰軍に挟撃を受け、逃げ場を失ったかのように見えた玉鳳隊だったが、
ひとり冷静に戦況を眺めていた王賁には、巻き返しへの道筋が見えていたーーー。

 

* * *

 

49巻は、能力の割に今までなかなかメインのスポットを浴びなかった蒙恬の巻でした!

若手3人衆の中で、なにかと競い合う信&王賁に対し、蒙恬は実力は認められてはいるものの(3人の中で1番千人将への権利を得るのが早かったし)、以前はおじいちゃんである蒙驁の希望もあり、なかなか上には上がらせてもらえませんでした。

蒙驁亡き後も、5千将になった信や王賁に対して、蒙恬はまだ2千将だったり、、
まあ、手柄のタイミング的なものが大きかったという事情もあったのですが。

師・昌平君の策が振り出しに戻り、総大将・王翦に戦局の全権が委ねられることになった今、
各将の指揮力・判断力が求められるこの戦局へきて、満を持しての蒙恬ターンです!


蒙恬がメインの49巻ではありましたが、
戦場となる朱海平原とその周辺での初日の戦いも、それぞれ同時進行で行われました。

まずは右翼の王賁&亜光のところ。
李牧とともに匈奴を壊滅させた副官・馬南慈が王賁と戦り合います。
番陽ジィいわく、王賁の槍の腕前は、もはや中華五指に入るほどだとか。

なにやらたくらみを見せる趙軍第三の軍・趙峩龍軍は出陣せず、もったいつけて初日は王賁たちの動きを観察。

一方、朱海平原から南西の地で舜水樹の軍と戦う楊端和軍のところでは、
山の民軍勢が一方的に押し込んでいるように見えていましたが、
舜水樹が登場すると空気が一変。
舜水樹は、一部の山の民を捕らえて馬で引きずり回し、楊端和の眼前で見せしめのごとく惨殺したりして、めちゃくちゃ煽ってきます‥‥こやつ意外と残虐やな!!

舜水樹は、橑陽城へと端和様を誘い出し、
そこに縄張りを張る”犬戎”と戦わせる算段のもよう。

獣の皮を被った風貌の犬戎らは、趙の国が生まれる以前、かつての“周”王朝を滅ぼしたと言われる民族の末裔であり、
李牧らが手を焼いていた”匈奴”の原型の民族であるともいわれているとか。

そういえば3巻で、壁が山民族にまつわる伝承について信に語るシーンがありましたが、そこで初めて”犬戎”の話が出てきていました。

犬戎が周を壊滅させた後、中華は君主を失ってこの「春秋戦国時代」へ突入した、とあります。

何気に24巻でも、燕の劇辛率いる騎馬民族・”毒犬”が出てきたシーンで、彼らは犬戎の一族で構成されているという説明があったこともありました。
犬戎、恐るべき山民族としてちょいちょい登場しておりますな。
(この時は龐煖の前に瞬殺されておりましたが。)

 

そんな犬戎が自治する橑陽に関しては、実際趙もノータッチの領域みたいですね。
李牧だけは年に一回は訪れていたらしく、犬戎の王・ロゾの信用も得ているようす。

以前、合従軍編での蕞防衛戦の時、秦の大ピンチに山民族が駆けつけてくれましたが、
李牧は趙で匈奴という北の民族に手を焼きまくっていた経験から、まさか秦王が山民族と友好な関係を築いているなんていう予想が出来る訳がなく、見事出し抜くことができましたよね。

その匈奴の”元”となる民族が犬戎だとして、ペラペラと同じ言語を話す舜水樹の出自も気になるところ。
前巻では、”北の遺児”と言われておりましたね。

舜水樹は、慶舎亡き後に李牧の参謀としてよく登場するようになりましたが、匈奴に関わっているとなると、李牧との関わりはかなり長いものでありそうです。

犬戎らと話をつけた趙軍は、なんと初日で山民族をなぎ倒し、あたりを血の海に、、、!

血の海の中で、落ちる夕日をバックにたたずむ端和様は、めちゃくちゃお怒りのようす。。
このままで終わるはずがない。。
次巻以降での巻き返しを期待したいです。

そして今巻のメインとなる左の戦場ですが、
麻鉱軍と楽華隊が紀彗本軍をいい感じに押し込んでいたところ、王翦の命により派遣されたのが飛信隊!

紀彗必殺の別働隊として送り込まれた信たちでしたが、
対する紀彗軍は、黒羊戦の因縁の相手・劉冬軍の親衛隊が、飛信隊への怒りをあらわにしまくり!

特に仇である羌瘣 に対する憎悪は計り知れず、目を血走らせながら向かってくるのですが、
“劉”の旗に気づきながらも、守り子共々バヒ!ドザヒ!と斬り倒してゆく羌瘣 。。

自らにぶつけられる憎しみを受け入れつつも、自分の仲間を守るためには斬りまくらないといけない羌瘣 の表情がめっちゃつらそう。。
(そしてそんな羌瘣 の表情の暗さに気づく信。。)

容赦なく飛信隊が趙軍を蹴散らしながら突破を続け、楽華隊が紀彗の退路を断ちながら本陣への丘を駆け上がったその時!

信が目前に紀彗の姿をとらえたその時に!!

なんと全軍出陣の頃合いを見計らっていた麻鉱の前に、

!!李牧あらわる!!

あっという間に麻鉱の首を切り落としてしまいました!!

まさか李牧が独立遊軍として自ら刺客になるとは、、

一気に戦の潮目を変えてしまった李牧の行動に、同じく独立遊軍として送り込まれた信は呆然。

ここで金星あげて将軍になってやるぜ!と息巻いていた信は当然怒りと勢いがおさまらず、旗を隠して李牧を猛追!
なんと李牧に追いついちゃいました。

追いついたところまではよかったのですが、中華最速の馬を揃えた李牧軍には到底近づけず、趙軍伏兵の潜む林の中まででストップ。

あえて馬の速度を落として信と話す機会を作った李牧には、信に対して何か思うところがあるのでしょうね。
傅抵の
「思いの外(信の)評価高いんですね」
発言にも何故かノーコメントだった李牧。
李牧が信に対して抱く感情はどんなものなのでしょうか。。
このあたり知りたいところではあります。

しかし李牧、

「結局 最後まで あなたの刃が私に届くことはありませんよ」

と、
わざわざ馬の速度を落として危険を冒してまで信を煽るようなことを言うなんて、
この発言の意図はなんなんだろう‥‥?
煽ってるというよりも、諭しているような‥‥

言われた信は王騎の仇の1人でもある李牧に対して、
絶対王騎の矛で首取ったる!!
と堂々宣言しましたが、
ワラワラと現れる李牧軍伏兵たちの前にここでは退却。
李牧との直接対決は持ち越されることになりました。

‥‥そういえば、蕞以来の再会だった貂とカイネ、お互いをしっかり意識していましたね。

ここも複雑な感情でしょうね。

以前は、合従軍にほぼ間違いなく滅ぼされるであろうと思われた秦から、そうなれば貂を引き取ってやろうとしていたカイネでしたが、まさかの防衛成功で秦が生き残りました。

政の加冠の儀以降、国がまとまりを見せて勢いづいている秦は中華統一へと向けて走り出し、今回は逆の立場となって趙へと侵攻‥‥
貂はカイネを追い込む側となりました。

互いに実は思い合いつつも、一番大事な人は互いに自軍のボスなので、
ここはもう政がうまく中華をまとめるしか共存の実現はないですね。。
せつないところです。


さて、楽華隊にやっと合流した飛信隊でしたが、
突然麻鉱の首が飛ばされて現場は大混乱の最中でした。

参謀たちの首もしっかり落とされており、軍の指揮を執る者がいなくなった麻鉱軍の士気はだだ下がり。

流石の李牧はこれも計算の内としてキッチリ仕事をこなして立ち去っていたのです。

仕掛けた李牧をはじめ、信や貂もすでに麻鉱軍の立て直しは不可能であろうという軍崩壊の現状となっておりましたが、
蒙恬だけは命がけでこの状態から立て直す気でした。

初日のここで麻鉱軍がつぶれてしまうと、戦の勝敗を分けかねないほどの損失だと判断した蒙恬は、
意地でも麻鉱軍の士気をよみがえらせようと頑張ります。

的確な判断や指揮力だけでなく、スルッと麻鉱軍の懐に入ってまとめ上げられる人間力、麻鉱軍への理解と物腰の柔らかさと天性の人たらしスキルですっかり麻鉱軍を意のままに!

意外にも貂、そんなスーパースペック蒙恬の横顔に頬を赤らめておりましたよね!
蒙毅、ピンチやで!笑


そして、当然紀彗軍も立て直されては困ると馬呈軍を飛信隊へぶつけてきます。

800騎しか連れてきていない飛信隊とは戦力差がありすぎるので、ここはまともにやり合わず外側へと押し出していく方法で趙軍の隙をつくります。

正面からやり合おうとしていたアホ信(笑)を制するかしこい羌瘣 ちゃんがいたおかげでスムーズに蒙恬の策の意図は伝導し、
楽華隊本体を投入!
蒙恬本人も日没までボロボロになりながら奮闘。壊滅寸前だった麻鉱軍は持ち返し、息吹き返したー!

李牧が危険を冒してまで行った奇襲は、蒙恬のおかげでほぼ無に帰すことができました。

主である麻鉱を失った喪失感は計り知れないとはいえ、生き残った麻鉱軍は必ず仇を討つとまで士気が高まっているようす。

見事に軍の立て直しを果たした蒙恬の功績は、もともと蒙恬の能力を買っていた王翦に認められて、
なんとこのまま麻鉱軍を率いて戦えるように
“将軍”
の位へ格上げきたー!!

臨時とはいえ、ここに”蒙恬将軍“が誕生しました!!

その場にいた信は、衝撃と嫉妬のあまり、椅子から倒れる始末。笑

麻鉱が言っていたように、

🔴「我が殿の策はそう浅いものではない
戦は”流れ“だ
どれでも本命になりうる流れ
これが敵にとって最も恐ろしい戦局よ」

ということなのであれば、
信は李牧のせいで流れを止められて紀彗を討ち損ね、ほかの2軍も”本命”になり損ねました。
しかし、李牧の登場のせいで失った大損害(麻鉱の首)を最小限で食い止めるサポートの流れがうまくできたので、結果的に信たちが来たことで秦軍的に助かった部分はありました。

が、
「俺はこの戦いで”将軍“になる!!」
と息巻いて来た信にとっては、
見事将軍へ昇格した蒙恬に先を越されて肩透かし感半端ないですよね。笑
信、かわいそうに。。笑

あげく王翦から、左翼の役目は終わったから中央本陣へ戻ってこいとの命令が入り、
結局今回は手柄を得られずに中央本陣へと戻る羽目に‥‥

ちょっとそろそろ飛信隊が爆発するところが見たいものです。
なかなか焦らされますよね!!


そして、最後に王賁のところの右翼です。
2日目、
趙峩龍が王賁狙いで仕掛けてきました。

明らかに首を狙われている王賁ですが、
なんと王賁、

「大将軍の見てる景色」

が見えたもよう?!
蒙恬ともども、”きて“るのか王賁?!


そして信は、さらに2人に置いていかれるのか?!笑

 

次巻も楽しみすぎますー!


つづく。


【メモ】

⭕️山民族のメラ族に、巨乳美女がいる。

⭕️山民族連合軍のフィゴ王、端和様をつけ狙う。笑

⭕️鄴担当の桓騎軍、初日は特に問題なし。
雷土さん、意外と気にしいということが判明。

⭕️おまけマンガ
「仁と淡」

⭕️カバー裏 表紙側:狼と、信
裏表紙側:おまけマンガの続き

 

 

キングダム 48巻

 *ネタバレあり*

キングダム 48 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 48 (ヤングジャンプコミックス)

 


表紙は王翦×李牧!

青と赤の背景色が2人の対比をはっきりと示していて、
まさに48巻の内容そのものが表されております。

気づかぬうちから既に始まっていた李牧と王翦の頭脳戦、
今巻はほんとに読みごたえがありました!

前巻で、鄴攻略のために練り出した王翦の策がやっと明らかになりますが、
息つく間もなく開戦するので
あんな配置やこんな配置にどきどきが止まりません。

久しぶりの大戦です!


それではあらすじから。


【あらすじ】
李牧が王都圏へ戻るまでの一刻を争う事態の中、本命の鄴を攻めずに周辺の小城を落として兵糧を奪い、住民を避難させはじめた王翦

意図が掴めない王翦の指示に不安と動揺を隠せない信たちだったが、
王翦は鄴の周辺にある城を何手かに分かれて分担しながら足並みをそろえて落としてゆき、
そこでも同じように兵糧を奪って住民を"東"の方角へと追いやるように指示を出し続けた。

最終的に、9つもの城の住民が難民となって東へ向かい、
秦軍が周辺の城を“西から順に”奪ったせいで、
住民たちの行き着く先は必然的に“東に位置する鄴"となっていた。


趙国南東部に難民の大行列ができていたその頃、ついに李牧が王都・邯鄲へと到着する。

李牧は、中華でも屈指の不落城・鄴へと秦軍を誘い込み、周りを囲って封じ込める"兵糧攻め"の策を実行する考えであった。

しかし、秦軍に落とされた城からの難民が次々に鄴へと向かってきていることを知った李牧は、
この時初めて王翦の行動の目的に気づく。

鄴の城主・趙季伯(ちょうきはく) は、難民を全て受け入れ食糧を与え続けており、
李牧が邯鄲へ帰還した頃には、鄴に蓄えられていた兵糧は、蔵5つ分もが空になっていたのである。

李牧は、王翦の目的も
"兵糧攻め"
であると確信する。

王翦は、李牧の兵糧攻めの策を受けながらも、趙国の民を利用して兵糧攻めで返そうとしているのだった。

鄴の兵糧が尽きるか、または退路を断たれた秦軍の兵糧が先に尽きるかで戦の勝敗が決するという、前代未聞の
"兵糧合戦"
が始まったのである。



準備が整い、鄴を目前にした王翦は、ついに此度の趙王都圏における戦いの全容を説明する。

このまま兵糧合戦を続けていくと、
鄴の食糧が尽きて城が落ちる前に、
必ず趙王都圏の各軍が鄴を秦から解放しようと四方八方より群がってくると予想される。

しかし、実質的には、秦の包囲を崩壊させ鄴を解放することができる力の強い勢力は
・閼与(あつよ)
・橑陽(りょうよう)
の2軍のみであると王翦は断言する。

王翦は、この2軍の迎撃に出る必要があるため、各軍を分けてそれぞれの持ち場を指定した。

●鄴 = 桓騎軍(兵60000)

●橑陽 = 楊端和軍(兵50000)
+壁軍(兵8000)
+桓騎軍(兵2000)

●閼与 = 王翦軍(兵70000)
+玉鳳隊(兵5000)
+楽華隊(兵5000)
+飛信隊(兵8000)

王翦は、閼与が本命だと予想し、配分を厚く持ち自らも出陣する算段であった。
閼与では、李牧が必ず指揮を執るであろうと確信していたのである。

一方、李牧も王翦の動きを予測していた。

李牧は、王翦が閼与に向けて戦力を厚くするであろうと読み、
橑陽へは側近・舜水樹を大将として公孫龍とともに10万規模の軍を任せ、
主力の残りは李牧と共に全て閼与を受け持つよう命じる。

鄴が秦軍によって"陥落"させられるか、
趙軍によって"解放"されるのかは、
実質的にこの2つの地による戦いの勝敗にゆだねられることになったのである。



それぞれの持ち場で、趙軍との攻防戦が始まった。

鄴に残った桓騎軍は、秦軍の包囲から鄴を解放しようと襲来してくる趙軍勢を、次々に撃退していた。

一方、橑陽の地では、舜水樹の合流を待ちながら様子を伺っていた公孫龍ら趙軍に対し、
楊端和率いる山の民軍は守りに入らずに出撃。
山民族の戦闘能力を推し量りつつ慎重に動いていた公孫龍らは、
予想を上回る山民族の破壊力によって完全に先手を取られていた。


そして本命の決戦地・閼与に位置する
"朱海(しゅかい)平原"では、
王翦軍と李牧軍が共に配置につき、布陣が敷かれた。


●秦軍 : 兵88000
●趙軍 : 兵120000

〈秦軍左翼〉楽華隊(兵5000)
〈趙軍右翼〉紀彗・馬呈軍(兵30000)

〈秦軍中央軍〉王翦軍・飛信隊(兵58000)
〈趙軍中央軍〉李牧軍(兵60000)

〈秦軍右翼〉亜光軍・玉鳳隊(兵25000)
〈趙軍左翼〉馬南慈・岳嬰軍(兵30000)


このように両軍の配置が決まる。

秦軍の第1陣は、蒙恬率いる楽華隊であった。

相対する趙軍右翼・紀彗軍3万に、たった5千の楽華隊をぶつけるといった王翦の挑発的な布陣に対し、
李牧は怪しい誘いであると理解しつつもそれに乗る。
そして紀彗軍を前進させ、ここに開戦の火蓋が切られた。

左翼の無茶な配置に対し、信らは蒙恬の身を案じるが、
蒙恬は騎馬の機動力を駆使して急襲と離脱を繰り返し、紀彗軍の戦力を削いでゆく戦術をとり、次々に敵兵を狩っていく。

紀彗は蒙恬の動きに警戒し、即座に陣形を変えて対応するが、
その時、中央軍に位置していたはずの王翦軍・麻鉱軍(5千)が突如現れて紀彗軍を襲撃。
さらに奥より、第2波として5千の騎馬隊が姿を現し、さらにその奥から5千から1万もの歩兵軍勢が現れた。

王翦は、楽華隊の”陽動”の効果によって紀彗を翻弄させているその隙に第2波、第3波と続く軍を出現させて急襲をかける”波状攻撃”を仕掛けていたのである。

5千もの敵が急に加わったことで、紀彗兵は秦軍が数万に膨れ上がったかのような重圧を感じ、士気が大きく下がっていた。

紀彗は、大軍が押し寄せてきたと気圧されている自軍の兵を奮い立たせ、
軍の総数の差と離眼兵の質で必ず巻き返せると檄を飛ばして立て直しを図る。

しかし紀彗は、開戦当初は”挑発・陽動”の役割でしかなかった5千人隊・楽華隊の存在が、今や”主攻”となって自軍を脅かす存在に化けてしまったことに驚愕し、
この盤面を描いた王翦と、実行してみせた蒙恬に対し、脅威を感じていたーーー。



同じ頃、秦軍右翼では、王翦軍第1将・亜光将軍より王賁へと策が伝えられていた。

開戦の激突は亜光が請け負い、玉鳳隊は乱戦の場から離れて好機が来るまで待機せよ、という指示に対し、王賁は反発する。

しかし趙左翼・岳嬰軍が1陣として1万の軍勢を動かしてきたため、亜光将軍も出陣することになり、王賁は指示通り待機することに。

亜光将軍は趙軍を正面からねじ伏せていくが、第2陣として出陣してきた趙軍・馬南慈が強烈な横撃を加えてきたため、苦戦を強いられていた。

その時、玉鳳隊は馬南慈の方向に向かって突入。
王賁は待機の命を破り、自らの戦術眼による判断によって乱戦に割って入り、亜光軍の危機を救ったのであった。

玉鳳隊が後方の敵を足止めしている隙に、王賁は敵将を討ち取るべく前方へと向かおうとするが、
なんと馬南慈の方から王賁の目の前に姿を現す。

趙国北の極地・雁門(がんもん)で大騎馬民族匈奴(きょうど)から土地を守っていた馬南慈は、
六国全てを踏みにじろうと軍を起こす秦王に対し、匈奴以上の憎しみを抱いており、その怒りを王賁にぶつける。

王賁は、
“一大国へ”という秦王の考えは、中華史が求める”答え”であるという見方もできるという見解を示し、
秦王の刃として”力”で是非を決すると宣言し、馬南慈と対峙するーーー。

 

* * * * *

 

ついに李牧との戦いが始まりました!

前巻で、李牧が迫って来ているというのに鄴を直ぐに攻めず、退却もせずに謎の小城攻めを繰り返していた王翦でしたが、
昌平君ですら想像もできなかったその王翦の策とは、”兵糧攻め”さらに言えば”兵糧攻め返し”でした!

策の真意が分からず戸惑いまくっていた信が、

「ヤイ 王翦将軍
俺たちはこんなことやってる場合なのか!?
一刻も早く鄴へ向かうべきなんじゃねェのか!?」

と“おバカの特権(蒙恬談)”で王翦に不満をぶつけていましたが、
“ヤイ 王翦将軍”って、、
信、可愛すぎかよ 笑

王翦は信が持つ王騎の矛をチラリと見て、
改めて策の概要を話しますが、
信たちにはその目的自体は不明なまま。

そして列尾が趙軍に占拠され、いよいよ退路が断たれたという状況の中、
王翦から与えられた命は、変わらず”城を落として住民を東へ追いやる”ことのみ。

信だけでなく蒙恬や王賁ですら、王翦の目的が読めぬままで不穏な空気が漂っていましたが、
ふと羌瘣 が
「あ 分かった イナゴだ」
と発言したことがきっかけとなり、
初めて信たちにも王翦の策の真意が明らかになりました。

イナゴなどのバッタ類は、多数で群れる群生行動をとるため、大量に発生すると稲や草木を短時間の間に食べ尽くしてしまい、
周辺地域に飢饉をもたらす害虫となる特性がある‥‥
余談ですが、この現象、「バガボンド」作中などでも見たことあります。

つまり、羌瘣 の発言は、

多数の群れ(追い出した住民)=イナゴ
兵糧を食べ尽くす(+秦が奪う)=飢饉

の例えということで、、、
王翦の真の目的は、

鄴周辺の小城の住民をわざと西側から順番にタイミングを図りながら追い出していく

イナゴの大群が次の餌を求めるかのように東の城へと住民を進ませる

小城にあった兵糧は秦軍の蓄えの足しにしつつ、城の備蓄を空にしてゆく

大量のイナゴ難民を最終的に鄴へ投入することで、鄴の蓄えを難民たちが食いつぶすように仕向ける

ということだったんですね。

鄴の城主が人がよく、民のためだとどんどん難民を受け入れていたことと、
李牧が王翦の目的に気づいた頃には王翦の仕込みが既に終わっていたことにより、
鄴は、9城の難民を受け入れたまま籠城に入らざるを得ない状況に陥りました。

しかしながら、、、
あの桓騎に
「やっぱお前 ぶっ飛んでんな」
と言わしめる王翦、どんだけだよ!!?笑

桓騎や昌平君ですら予想できなかった策を練り出した王翦の頭脳、六将級という噂は本当のようですね、、、。

そんな感じでもう後にはひけない秦軍です!

対する趙の李牧の方ですが、
この緊急事態に際し、王都・邯鄲から精強な兵10万ほどを出陣させるため、
趙王に許可を得に行きますが、
やっぱり答えはノー。

趙王はいけしゃあしゃあと、
「邯鄲なら20年ぐらいは籠城できるし
自分が死んだ後に国や民がどうなろうが知らん」
と言い、あまりのクズさにさすがの李牧も落胆しており、なんかちょっと可哀想になってきました。

今回は李牧、
「暗い‥‥あまりにも‥‥」
とかなり絶望してましたから‥‥カイネも相当ショックを受けてましたね。

この趙王の愚王っぷりは、
古くは呂不韋の春平君誘拐事件から、廉頗の一件、李牧の“政のような王に仕えたかった”発言などなど、
以前からちょいちょい差し込まれてきていましたが、いざこれから趙が秦に統一されるかどうか、という時にはこれらのエピソードの説得力がめっちゃ効いてきそうですね。
そしてその刻は近いかもしれません。

でもそんなクズ趙王に、嘉(か)太子という立派な息子がいたとは驚きでした!
心なしか政に似た面持ちの、李牧や趙にとっては唯一の光的存在。

果たして嘉太子の時代が趙に来るのか否か、、、すべては今回の戦次第ですね。


さて、開戦です!

王翦は、鄴・閼与・橑陽に軍を分けて配置。
戦のメインとなるのは閼与です。

今巻では、王翦と李牧の対比がコマ割りで特徴的に表されていて、何だか新鮮でした!
原先生は、本当に飽きずに読ませるのが上手いですねー。
読んでいてすごくワクワクしました。

閼与での戦いは、第1陣が何と楽華隊。
しかも、3万の紀彗軍に対してたった5千の蒙恬軍!

無茶ぶりが過ぎるとも思われたこの配置に、
副長のじィなんかは心配でたまらないようでしたが、側近・陸仙(イケメン)に蒙恬を託す時のやりとりはすごく微笑ましかった‥‥

しかし蒙恬、しっかり期待に応えます!
おそらく王翦の想像以上の働きをして、明らかに不利かと思われた盤面を一気に覆し、紀彗を追い込みました。

個人的には、黒羊戦で離眼の過去を知ってしまった以上、敵ながら紀彗の首が獲られるのはちょっと辛い気持ちになってしまいそうなのですが。。。仕方ないとはいえ。

ところで今回驚いたのは、蒙恬のあまりの聡明さに、開戦前王翦蒙恬を側近に加えようとしていたところ!!

王翦お得意のヘッドハンティング出た!!

しかし蒙恬は、毅然とした態度でこれをあしらい、王賁を思うが故の切り返し。

名家の嫡男という同じ立場同士にしか分からない、王賁への蒙恬の思いが垣間見えたシーンでした。
王翦も、蒙恬が何を言いたいのかは分かっているような雰囲気でしたが、
ここの親子の関係って本当にどうなってるんでしょうねー?

そしてこの流れのまま、今巻ラストは右翼側の王賁。
ホント48巻はめちゃ内容が詰まってる!
いろんな場所でいろんなことが少しずつ動いてます。

王賁は、父・王翦軍の第一将・亜光将軍とともに、
岳嬰&馬南慈&元三大天・藺相如(りんしょうじょ)の側近・趙峩龍(ちょうがりゅう)と戦います。

亜光に、乱戦に入って来ずに外で好機がくるまで待っとけと言われて激怒する王賁ですが、
亜光に自惚れるなと諌められました。
王翦が関わると、王賁はかなり私情が入りますね。これは本人も認めているところではありますが。

めっちゃ強面の亜光将軍は、王翦の1番の右腕ながらも意外に
“小細工を好まぬ武人”らしい。
正面から堂々と思いきり敵にぶつかりに行くスタイルだとか。

関常が、
「父君に認めて頂きたいのならよく見ておくといい」
と言わしめる亜光の“攻め”、
自軍の兵を踏み付けてでも全速力で正面からぶつかるという、非情なほどの冷徹さ。

あの王翦の最大の信頼を小細工無しの武力で得ているとは、よっぽどですな。。

結局、馬南慈が横撃してきたために王賁は命に背いて自らの判断で出陣しましたが、

中華統一の野望を抱く秦王・政に対して
「人の皮を被った獣中の獣よ」
と罵った馬南慈に、

🔴王賁 : 「この五百年で百あった諸国が七つに糾合・淘汰された
“一大国”へという流れは
この中華史が求める“答え”という見方もできる」

「無論 貴様らの言い分も百も承知だ
互いの思いの折り合いがつかぬから
“力”で是非を決するこの戦場がある

来い 馬南慈
秦王の刃として 貴様をここに沈めてやる」


と王賁が返すラストシーンにちょっと感動しました!

 

46巻で、信と蒙恬とともに、
直々に政から

「必ずこの戦で大功をあげ
三人そろって“将軍”へと昇格しろ」

と命じられたこと、

「間違っても 死ぬなよ」

と言われたことに対し、

「ありがたく」

と返した王賁。

自国の王だから当然だとしても、王賁の中で、政は命を賭して刃となるべき存在になってたんだなー‥‥

政が掲げる中華統一の意味も、自分の中に王賁は落とし込んでその意味と目的を理解し、王賁自身の目標に昇華させているところが
かなりジーンときてしまった‥‥

政、もうすっかり王様!!(涙)

政からの命令でもあるし、今回必ず3人が将軍になるために大功をあげないといけないんで、今の時点では
蒙恬は、紀彗を。
王翦は、馬南慈を。
信は、、誰になるんだろう!!

想像しただけでワクワクしますねー!

49巻が待ち遠しすぎます!

 

【メモ】
⭕️桓騎軍兵60000は、壁軍に兵2000を派遣したので実質兵58000?

⭕️壁、楊端和の援軍としての任を受け、気合いが入る。笑

⭕️橑陽の城主は、クセありらしい。
“城に巣食う主力部隊”とやらも存在するらしい。

⭕️公孫龍は、“副将として”有能らしい。

⭕️舜水樹、北の遺児らしい。
雁門のこと?

⭕️宮康、嫌な感じがするが、何とか生きのびる。

⭕️おまけマンガなし。
カバー裏:表紙側・イナゴ
裏表紙側・蒙恬

⭕️カラー中表紙は、兜を被ってテレる羌瘣。 羌瘣 ちゃんは本編で出番が少ない時、中表紙に出てくれることがある。笑

 

 

 

 

 

キングダム 47巻

*ネタバレあり*


 

前巻では、昌平君の練り上げた奇策により李牧を出し抜き、趙国王都圏方向へとうまく軍を進めることができた秦軍でしたが、

もともと無謀な策が故に今巻では早速壁にぶち当たります。

ここまでずっと謎めいた存在だった
王賁父・王翦の"六将級"並みの軍略に注目と期待が高まる47巻。

表紙を飾る端和様の見どころもたくさん!

信たちは今回完全にワキです。笑

それでは、あらすじから。


【あらすじ】
趙国の要地・鄴(ぎょう)の攻略に向けて、
まずは王都圏の国門的位置付けである"列尾(れつび)"を目指し、着実に行軍を続けていた秦軍。

金安(きんあん)より進路を変えてのち10日目、ついに先頭を行く王翦軍は、李牧ら趙軍よりも先に列尾へと到着する。

王翦は、楊端和の軍勢と飛信隊を指名し、列尾を落とすようにと命じる。
その結果、山の民の猛攻と飛信隊の弓隊の活躍により、秦軍は開戦半日にして列尾を陥落させることに成功。
列尾に入城した秦軍は、まずは城の全容を把握するため、王翦軍が主となってひと息つく間も無く隅々まで城の調査を始める。

楊端和や貂らも独自に城下をまわり、列尾城の特徴を把握しようと努めていた。
2人は、各々が気づいた城への違和感を報告するために王翦本陣を訪ねるが、
なんと王翦本陣は総大将不在の緊急事態に騒然としていた。

王翦は、側近の亜光(あこう)を介して
「全軍 列尾に3日待機」
との伝言を残し、忽然と姿を消していたのであるーーー。



一方、王都圏への帰還を急ぐ李牧ら趙軍のもとには、列尾陥落の急報が届いていた。

急報を受けて動揺するカイネや傅抵(ふてい)らに対し、李牧は、列尾城には自身が施した"策"が秘められていると説明する。

また一方で、予め李牧から列尾城における策の存在を聞かされていた公孫龍将軍は、列尾が秦に落とされたと知るや否や李牧の指示どおり軍を後退させており、あえて近隣にある"陽土(ようど)"へと陣を敷いていた。

李牧は、自ら施した策に王翦は必ず気づくと予測し、
その策に気づいた場合、秦軍は列尾の地から身動きが取れなくなるであろうと考えていた。


 

王翦が列尾から姿を消して2日が経った頃、
李牧の予想通りに列尾から動けず待機中の秦軍上層部らは集い、現状の把握と状況の整理をするために話し合いの場を設けていた。

蒙恬と王賁の見解では、
列尾城は意図的に守りづらい城壁の高さや乱れた動線になっており、秦に奪われた場合も後で奪い返しやすくするために李牧の策によってわざと弱く作られていると確信していた。

趙の王都圏は、
地理的に北は"山脈"と南は"大河"に囲まれている。
王都圏へ侵入するための国門である列尾を抜ければ本命の"鄴"まであと一歩であるものの、山脈と大河に挟まれた出入口となる列尾の城が塞がれれば、秦軍は八方塞がりになる地形となっているのである。

この地形を利用し、秦軍に容易に列尾城を落とさせて逆に内側へ誘い込み、その後で北部の山脈に伏せてある軍を南下させて再び列尾城を奪い返せば、
秦軍は唯一の出口を塞がれ、王都圏からの趙軍の攻撃により包囲殲滅されるーーー
というのが、李牧の描いた策の図式であった。

秦軍としては、本命の"鄴"を攻めるためには
この列尾城を"不落"として補給戦を確保し続けることが絶対条件となる作戦であった。

現状として、昌平君が練り上げたこの戦略は、李牧の防衛策によって根幹から打ち砕かれてしまったということになるのである。

この現状を踏まえた上で、蒙恬は秦軍の選択肢として、
"戦力に不安を抱きながらも列尾防衛のため兵力を残して王都圏へ突入する"
か、
"李牧が戻るリスクを抱えつつも日数をかけて列尾城の弱点を改修し、攻城戦に耐え得る城につくりかえる"
か、
"策が無に帰した今、全軍撤退する"
かしかないと判断。

王賁や貂らは、全軍撤退の選択肢を取らざるを得ないと考えるが、
桓騎は

"列尾を敢えて捨てて、全軍で王都圏へなだれ込み、兵糧が尽きる前に鄴を奪取する"

という選択肢を思いつかない若手達を嘲笑し、
今まさに王翦はその一手が取れるかどうかを確かめるために走っているのだと話すのだった。



その頃、王翦は本命である"鄴"の城の目前まで来ていた。

城を一見し、攻め落とすことが不可能な"完璧な城"だと判断した王翦は、
すぐさま周辺地図を確認し、王都圏全域にある城や小都市の数を調べ出す。

そして列尾へ戻った王翦は、"鄴"奪取のため王都圏への出陣号令をかける。

昌平君より授かった鄴攻略の策はここに潰え、
"李牧と王翦の知略戦"
が新たにここから始まったのである。



王翦は、進軍の第一手として、
楊端和の山の民軍5万を分離し、北東にある陽土に前線を張る公孫龍軍9万の動きを封じるためにぶつけた。

そして本軍15万は鄴へと進軍を速めたその時、
突然王翦は鄴への進路を大きく北へ変更する。

進軍の先には、小都市・吾多(ごた)があった。
王翦は即座に吾多城を落とし、民間人である住民を隣の城まで移動するように自らが直接働きかけた。

"民を傷つけた者は斬首"
との厳命を出し、食糧と城のみ取り上げ、
民間人に対し異例の対応を取った王翦の行動に対し、
その意図が全く汲み取れない信や蒙恬たち。


戸惑う信らの前に
「要領は覚えたか」
王翦が現れ、
秦軍はさらに"次の城"へと向かうーーー。

 


* * * * *

 

本命の地・鄴をめぐって予想がつかない展開になってきました!

あっさりと国門・列尾を落とし、さあここからと思ったところ、
なんとすでに李牧の先読み先回り策が施されていたとは、、、

王都圏の国門にあたる位置にある列尾城は、
万一他国に奪われたとしてもすぐ奪い返せるように意図的に"あえて弱く"作られていたり、

本命の鄴城に至っては、数年も前から李牧の指示により大がかりな改修をしていて、強固すぎる"完璧な城"に作り替えられていたようだし、

秦軍が先へと進もうとしていた矢先、
王翦がその先にある李牧がかけた罠にいち早く気づいて一時進軍ストップ!

出陣前に、昌平君が
「授けた鄴攻めの攻略は戦局の流れによっては捨てていい」
と言って王翦へ鄴攻めの全権をゆだねておりましたが、
まさかこんなに早くその策を捨てる時が来ようとは、、、!


まずは順を追って47巻を振り返っていきたいと思います。


桓騎軍に趙軍の足止め役を任せて列尾へと急ぐ秦軍でしたが、
かつての古巣を遠くから見つめる那貴のまなざしと、そんな那貴に「いくぞ」と声をかける楚水のハートウォーミングなやりとりに、
ちょっとほっこりさせられます。

そして前半の見せ場の主役は、楊端和率いる山の民軍!

蕞(さい)戦の功績や、魏の衍氏(えんし)城攻略等の実績から、山の民の武力は認められていたものの、
平地の言語をほとんど話せる者がいない上、知略が必要な攻城戦にあたり、本当に大丈夫なのかとまわりはドキドキしておりましたが、

端和様の檄により、奮い立つ山民族と
デビュー戦の弓矢兄弟(主に兄)の活躍で、端和様の予告通りに列尾城を半日でゲットしてしまいました。

ところで、公式パラメータのデータで
[指揮力=99、知力=96]の端和様がこんなにも正攻法というか、
「いつも敵を真正面からねじ伏せる」
戦い方をする(バジオウ談)、というのが個人的にはめっちゃ意外でした。

無策に見える端和様に、信ですら
「やっぱ無計画なんじゃねェかよ 楊端和は
きれいな顔にだまされて実は頭悪・・・」
とかつぶやく始末!笑
背後から名前を呼ばれてめちゃくちゃビックリしてたのがかなりウケました。

そんな端和様でしたが、
守城戦で最も重要な敵の"士気"の高さを上回る"檄"で対抗し、謎の言語による5万人の雄叫びにより、"死王"の貫禄で敵国を圧倒!
第1陣には超絶スピード集団・飛馬族を投入。
彼らは敵国が放つ矢を速さでかいくぐり、正門へ到達します。

がしかし、正門は間一髪下ろされてしまったので、数ヶ所から梯子をかけて城壁越えの手筈をととのえたら、
端和様目利きの攻め所箇所にバジオウ&弓隊を投入!

ここでついに公式戦デビューした弓矢兄弟の仁と淡でしたが、
弟の淡は戦争での命のやり取りに気圧されてしまい、兄の仁がひとり奮闘します。

「覚悟は今決めればいい」

とお兄ちゃん、意外と立ち直りが早く、手の震えもそのままに10連射を命中させ、その援護の効果でバジオウが城壁の上へ到着!

端和様から前もって聞いていた情報のとおり城門の開閉装置を探し出した山民族は、
即座に城門を解放し、飛信隊もなだれこみました。

「うちは大体 こんな感じだ」
とサラリと言ってのけても、やっぱり端和様はしっかり計算してる!

そしてここで飛信隊の出番。
信の"王騎の矛"、ついにお披露目です!!

ザックザクと敵の首が飛び、
初陣にテンパる干斗たちにとってなんとも頼もしい隊長の姿でしたが、

羌瘣 に
「あれのどこが使いこなせてる」
と冷静に突っ込まれながら、
信は矛の重さのせいでめちゃめちゃ振り遅れており、ゴスゴスと鎧に敵の刃刺さっとるー!!!

「このクソ矛 重すぎだろ!!」
と信もキレる始末!笑

しかしあんなにザクザク刺されて血もドクドク流してるのに(しかもけっこうな至近距離で)、信、不死身ですな。

そんな感じでもちゃっちゃと列尾を落として
その日のうちに城内になだれ込んだ秦軍でしたが、

万一に備えて李牧が城をわざと攻略しやすくしてあることに気づいた王翦は、
ソッコーで列尾を出て、本命の地・鄴へと向かいました。

昌平君が立てた攻略図は、列尾ありきの鄴攻め。
李牧の防衛策により、列尾より先に進めば李牧が準備した趙の別働隊が列尾を奪い返しに来ることによって秦は出入口を塞がれてしまうことになります。
北は山で、南は河川。西の退路を断たれては20万人の軍が全滅の危機。
李牧はあえて秦軍を内側へ誘い込みやすくするために列尾に仕掛けをしていたということで。

こうなっては、列尾を補給地として鄴攻めを考えていた昌平君の作戦は無に帰すこととなり、
王翦はここからの立て直しができるかどうかを確かめに現地へと来たのでした。

ちなみに敵地のど真ん中にもかかわらず王翦が地図を広げて策を練り出すシーン、
王翦からなんか湯気みたいな知恵熱(?)出とるー!

側近・亜光(あこう)との

🔴王翦 : 「よいか?」

🔴亜光 : 「心ゆくまで」

という阿吽の呼吸会話、個人的にはツボでした。
蒙武&来輝の血管会話(※28巻参照)に匹敵する、濃ゆい師弟関係を感じずにはいられませんでしたよ。

そして結局王翦の出した結論は、退却ではなく進軍!

この決断には、蒙恬や貂たち秦軍メンバーだけでなく、
情報収集しながら見守る列国の首脳陣たちも、
読み間違いの自殺行為だと評しますが、

父・王翦の判断に冷静に従う王賁と、
蒙鷙将軍在りし頃の副将として共に努めていた桓騎だけは、

「俺の知る限り あの野郎は負ける戦は絶対に始めねェ」

王翦の読みに対し信を置いているようすでした。

王賁、列尾城攻めに抜擢された飛信隊を偵察に行ったり、少しは感情的になったりもしてますが、王翦の判断に対して今のところおとなしくしておりますね。色々気になっていることは間違いないでしょうけども。


ところで弓矢兄弟のお兄ちゃん、手元震えながらも意外とメンタル強かったですね!
第510話の貂とのシーン、なんか2人の顔の造形がそっくり過ぎて、並ぶとすごく不思議な絵面でした。笑

か細い(ように見える)お兄ちゃんが放った矢は、あの距離から一矢で敵を即死させることができる強力な戦力となり、
貂が第一武功だと褒める気持ちが分かります。
弟の淡も、体格が良いぶん矢の威力はお兄ちゃんよりすごそうなので、何とか今後頑張ってほしいところですね。

初めて人を撃ったことに対して戸惑いを必死に納めようとする仁でしたが、
貂は

「震えてこその飛信隊だよ
その優しさと弱さはこれから強くなれる証だ」

と諭します。
弱さがあるから、本当の強さを知れるんだ、
と言いながら、

「初陣で何も感じず喜喜として大勢を撃ち殺すような奴なら 飛信隊じゃなく桓騎の軍にでも入ればいい」

と、仁に何も恥じることはないと伝えました。

うんうん、と思いつつ、
隊長・信の初陣(@6巻)を思い起こすと、
ちょっといつもより体が重かったぐらいで
喜喜としてかはともかく、先陣を切って敵の首を飛ばしまくっていましたけどね!笑

改めて6巻を読み返すと、干斗ら新入りたちと、過去の尾平たちの初陣のようすが比較できてちょっと面白かったです。
初陣にして信はすでに別格扱いなので省きますが、
"伍"として戦う大切さがよく分かりますねー。

伍として戦うことを忘れ、ひとり飛び出していった魯平はあっと言うまに首を飛ばされてしまい(信じゃなければこうなります、、)、
助けに入った伍長も斬られてしまって伍がバラされてしまいますが、
崇原の援護で危機一髪!

目の前でさっきまで喋っていた仲間の首が飛ばされ、干斗たちもショックが大きかったでしょうね。。。


貂の言葉で、いろいろと自分なりに振り返ってみたのですが、ふと
"信の弱さ"
って何だろうな、と考えてみました。

貂は、飛信隊はみんな色んな壁にぶつかってそれを乗り越えて成長してきた、
自分も信もそう、
と話していて、それはもちろんそうだと思いました。

思い起こせば、

漂の死から始まり、
尾到の死、
師のような存在だった王騎の死、
乱銅斬りでの反省、
輪虎との死闘で背負ったもの、
長平遺児の万極と戦ったことで考えさせられた戦争の意味と出口について、
合従軍襲来で経験した絶体絶命の状況時の絶望、
桓騎軍と組んだ黒羊丘戦で見せ付けられた戦い方への疑問と反省、、

ざっくり考えても、信は色々な場面で試練を乗り越えてきましたが、
不思議なことに"信の弱さ"って今まで見当たらなかった気がします。

信が"弱い"と感じるシーンがびっくりするぐらい無かったように感じます。

唯一、合従軍編で蕞に到着した時、政の顔を見てホッとするあまり弱音を吐いていたシーンがありましたが、
この時はホントに弱ってただけで"弱さ"ともまたちがうし、、、

結論として、とにかく信はすごい!!
ブレない信念とまっすぐな意志により、自分の背中で仲間たちを率いている、
類まれなるスーパー主人公だと改めて感じた次第であります。

そして脇をかためるサブキャラたちが信にない部分を補っていて、それが飛信隊としての魅力を倍増させていて、、

・・・やはり、原先生は天才すぎるとしみじみ思わされました。

 

話を戻しますが、
さて王翦、鄴を目指さず周辺の小城をめぐってそこの住民に恩を着せ、城を乗っ取りつつ住民を隣の城に移させるという謎の行動を執りはじめました。

どうやらこの行動を他の城でも繰り返すもよう。

李牧が王都圏へと到着しそうな時に、あえて本命地の鄴へ向かわず、廻り道をして謎の指示を与える王翦!!

まだ誰も王翦の指示の意図が汲み取れませんが、
間違いなく城から出した"住民"がもたらす効果が重要になってくる策なのでしょう。
列国の誰もが
「秦に趙は落とせない」
と確信する圧倒的不利な地形条件の中、
王翦はどうやって王都圏を攻略しようとしているのか?

王翦の軍略の中身がめちゃくちゃ気になりつつ、48巻を待ちたいと思います。


‥‥今巻の記事アップが大幅に遅くなってしまったので、次巻発売まであと約2ヶ月ほどになりました。(苦笑。。
きっとあっという間!楽しみですねー!


【メモ】
⭕️田有、千人将になってた。
⭕️松左、百人将。
⭕️崇原、歩兵長
⭕️尾平、"最古参"什長。笑
⭕️オルド、趙攻め失敗。
司馬尚(しばしょう)に敗れる。

⭕️おまけマンガ 「傅抵の秘密とカイネの本気」
⭕️カバー裏 : 表紙側・楊端和の仮面
裏表紙側・傅抵

 

キングダム 46巻

*ネタバレあり*

 

 

 

久々に、表紙に信が単独登場の46巻。

なんと信が手に持つのは、満を持しての王騎の矛!

そして帯には
「秦の覇道を懸け 趙・李牧と決戦へ!!」
との煽りです。

あとがきの原先生のコメントによると、
"合従軍以来の大戦"
が始まるとのこと。

六国制覇の第一歩(斉除く)が李牧のいる趙ってところが、たまらなくアツイですね。
いよいよな感じに、めちゃくちゃワクワクします。

信たちも滾りまくりの46巻、
あらすじからまいりたいと思います。


【あらすじ】
来る大戦へ向け、選抜された1千人の新戦力が加わった飛信隊。

元"中華十弓"である蒼源を父に持つ 仁(じん)・淡(たん)兄弟をはじめ、身体能力に優れた兵たちが集まり、日々練兵に励んでいた。

一方咸陽では、蔡沢が遺した数々の置き土産を元手に、昌平君は本格的に中華進出への戦略を描きはじめていた。

また、政と斉王との会談に唯一人同席していた昌文君は、政の目指す中華統一後の世が
"法治国家"
であると知ったことにより、
秦国内で最も法に精通している人物である
李斯のもとを訪ねる。

「"法"とは何か」
という李斯からの問いかけに対し言葉を詰まらせる昌文君だったが、
李斯は
「"法"とは願い であり、
国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものである」
と答える。

統一後に全中華の人間にどうあって欲しいのか 、
またどう生きて欲しいのか、
どこに向かって欲しいのか。
それらをしっかりと思い描くことができれば、自ずと形が見えてくるはずだと李斯は助言する。

呂不韋政権失脚後、最も暗躍した人物として地下牢に幽閉されていた李斯であったが、統一後の世のために必要な法作りには李斯の力が絶対不可欠であると痛感した昌文君は、政の承諾を得て李斯を政陣営に迎え入れるのだった。

そして始皇11年。

軍総司令・昌平君から信・王賁・蒙恬に対し咸陽へと召集がかかる。

趙攻略の作戦を伝えるために信たちを呼び寄せた昌平君だったが、
その作戦は、王賁や蒙恬らまでもが耳を疑うほどの突飛すぎる内容であった。

元々は、前回の戦で勝ち取った趙西部・黒羊を拠点とし、趙攻略の勢力を広げていく算段であったのだが、
秦の侵攻に対し李牧が率先して陣頭指揮を執り、広範囲にわたって築城による防衛網を張り出したことで、昌平君の計画に歪みが生じてきたのである。

李牧の築城計画により、趙攻略には次々と生み出される城を突破し続けなければならず、それ故に約10年はかかるであろう長期戦を余儀なくされることになり、
このままいくと政が計画する"15年で6国を滅ぼす"という目標からはるか遠く、実現不可能となってしまう。

対秦の戦を長期戦に持ち込もうとする李牧の戦略を危惧した昌平君は、
趙西部の攻略を"囮"として定石の戦略と見せかけ、実際の本命としては
趙の王都・邯鄲の喉元にある
"鄴(ぎょう)"
を攻め落とすことで李牧を出し抜くことを提案。

王都に近い鄴を攻めるとなると、当然の如く趙から強固な包囲攻撃を受けることは必至であり、もし敗れれば秦軍全滅の可能性すらはらむ奇策中の奇策。

策としては下の下であり、定石から逸脱するこの戦略こそが、李牧の目を欺く唯一の方法であると昌平君は結論づけ、
その戦略上、信ら3隊が重要な役割を担うことになるためわざわざ咸陽まで呼び寄せたのだと話す。

飛信隊・玉鳳隊・楽華隊の3隊は、今回の大戦で想定していない事態が降りかかった場合、現場で瞬間瞬間の的確な判断をとることができる権限を与えられる。

政から、必ずこの戦で大功をあげて3人揃って将軍へと昇格するようにと直々に発破をかけられた信らは、覚悟を決めながらも士気を高めるのだった。

そしていよいよ出陣の日。

昌平君から作戦の公表と総大将の発表が行われる。

●全軍総大将:王翦将軍
●桓騎将軍
●楊端和将軍

大規模となる此度の戦では、およそ20万の軍が出陣することになり、これら3軍の大将率いる連合軍戦となること、
また、作戦に関しては本命の鄴攻めの内容は伏せられ、表向きとして趙西部の攻略であると公式に発表された。


出陣前、信は政に預けていた王騎の形見の矛を受け取る。
そして政へ勝報を届けると誓うのだった。



秦軍は、黒羊へと行軍をはじめた。
本命の鄴へ向かう真の作戦を知る者は、3軍の将軍と信・貂・王賁・蒙恬のみであり、
完全に情報漏れを防いでいた。

趙では、李牧が秦軍出陣の急報を受け、
"王都の守護神"と呼ばれる扈輒(こちょう)将軍の趙西部への出陣を要請する等、手筈を整え出す。

そして側近の舜水樹(しゅんすいじゅ)を最前線へ遣わせ、秦軍の"兵糧の量と流れ"を追うように指示し、見張りを強化していた。


一方秦軍は、表向きの目的地・黒羊と、本命の地・鄴への進路変更地点である"金安"を兵糧中継地とし、続々と兵糧を運搬していた。
そしてその兵糧の流れを確実に趙は把握していた。

しかし実際は、秦は金安にあらかじめ隠し地下施設を用意しており、そこで"偽装俵"を大量に生産していた。
そしてその偽俵を兵糧に見せかけ、黒羊に送り込んでいたのである。

秦軍の欺きは順調に進んでいたが、
秦軍へ送り込んでいた趙の間者が金安のみで複数人が消息不明になったという情報を得た舜水樹は、金安の地に疑念を抱きはじめる。

その頃、王翦と李牧のもとにそれぞれ同じ急報が届いていた。

対秦で西方に軍を固めていた趙の隙をつき、
燕のオルドが侵攻してきたのである。

秦軍の侵攻に備えて自ら西方の築城を進めていた李牧は、突然降りかかってきた東方の燕軍の侵攻に気を取られかけるが、
自らが"三大天"に推したという司馬尚(しばしょう)が出陣したと聞き、ひとまず気を落ち着かせる。

その落ちつきもつかの間、舜水樹が前線から戻らないことが気にかかった李牧は、
偽の兵糧運搬の仕掛けに気付いた舜水樹の報告から推測し、
此度の秦軍が目指す真の目的地が鄴であることに気づく。

李牧は即座に王都・邯鄲へと急報の鳥を飛ばし、ただちに邯鄲から軍を興して鄴の手前にある王都圏の入口・列尾(れつび)に送り込むよう趙王に献策するが、
王は邯鄲から精強な自軍を離れさせることを許さず、
鄴周辺の城から兵を集めるように指示。

李牧は、秦軍の到着より一刻でも早く王都圏へと戻るために、馬を走らせるーーー。

 

* * * * *

 

久しぶりにスケールの大きい戦が始まりました。後半のたたみかけるようなスピード感に、気持ちが高ぶります!

まずは大戦に向けて、飛信隊に新しい仲間が加わりました。

前巻で登場した新キャラ・弓矢兄弟の仁&淡と、なんだか崇原が買っているらしき干斗(かんと)とその仲間たちがめでたく選抜合格です。

弓矢兄弟は、500歩の位置から10射中10射を的に当て、特例合格。

厳しい体力テストを突破した干斗は、何故飛信隊に入りたいのかを聞く崇原に対し、

「元下僕から這い上がった隊長に その脇を固めるあんたらもほとんど平民の出
そんな部隊が活躍してて
憧れねェ奴はいねェだろが」

と答え、崇原を密かにしびれさせておりました。

いやはや、飛信隊も、若者たちに憧れられる存在になったんだなーと思うと、いろいろと感慨深いですね‥‥。

そして羌瘣 に至っては、同じ隊で働きたがる者続出な上、羌瘣 様ァ〜羌瘣 様ァ〜と崇められる存在に!笑

これからの戦で新メンバーたちがどんな活躍をしてくれるのかが楽しみですねー。
なんだか、信の初陣の時を思い出してしまいました。


そして本編。
昌文君が李斯を陣営に加え、中華統一に向けた法作りに本格的に触手しはじめたこと、
昌平君が中華統一への絵図に向けた奇策中の奇策を政へ進言したこと。
ここからめまぐるしい展開に!

ここで李斯のいう
「法とは、願いである」
という言葉の意味に、しばらく考えさせられました。

お恥ずかしながら、わたし自身もういい大人だというのに、"法"の意味についてなんてあまり深く考えたことがなかった、、、

改めて考えてみたら、それこそ昌文君みたいに、"悪いことをしたら罰が与えられる人間界でのルール"ぐらいにしか思っていませんでした。

そんな考えに対して李斯は
「刑罰とは手段であって法の正体ではない」
と断じます。

人々がどう生きて欲しいのか、どこに向かって欲しいのか、
そんな願いが込められたものが"法"。

どのような法をつくりだすのかによって、
その国の未来が変わるのですよね。
この先秦がどのような法を制定するのか、、
史実をググれば分かってしまうのでしょうが、そこは戦と同時進行で楽しみに待ちたいと思います。


さて戦のほうですが、
前回せっかく落とした黒羊は、李牧のガードが固すぎて、もはやこの地からの趙攻略は現時点で無理めなもよう。

昌平君や蒙毅が頭を抱えながらもなんとかひとつの策を絞り出したのですが、
その策はあの李牧を出し抜くためにひねり出した、非常にトリッキーかつリスキーな計画!

それは大胆にも、敵陣が待ち構える首都・邯鄲の目と鼻の先に位置する"鄴"を攻めるとの内容でした。

しくじれば敵地で四面楚歌、全滅の恐れすらあるギャンブル策です。

しかしながら、秦の体力を考えると、正攻法でチンタラやってる時間はありません。
政は昌平君のこの策に乗っかり、信たち若手3人衆に極秘作戦を共有させます。

昌平君が、小隊の頃から信たちに現場での的確な現場判断能力を培わせるために
"独立遊軍"の権限を与えていたとは、
これまた感慨深い!

呂氏四柱の時から信には目をつけていて、小隊どころか隊長にもなっていない時期から
羌瘣 ともども"駒"として手に入れておきたいと言ってましたもんね。
そういえば飛信隊は、王騎出陣時に百人将として初めて戦に出た時からすでに、どこの軍にも所属しない特殊部隊扱いでした。
同じく玉鳳・楽華も三百人隊の時から特殊部隊扱いでしたね。

3人の伸びしろを見込んで、何年もかけて成長を見守っていたとは‥‥
そして満を持してこの中華攻めという大戦で彼らを解き放つとは‥‥!

この3人での連動プレイは、対魏(廉頗)戦以来でしょうか?
今回も戦場でどのような化学反応を起こすのか、めちゃくちゃ楽しみです!

その上、総大将が王賁父・王翦ときましたね。
玉鳳隊の所属が王翦のところなのかどうかも気になりますねー。
飛信隊は楊端和軍に配属されておりましたが、
大戦が故に気を張りすぎている貂に対し、
クールに諌めてあげる端和様が超絶カッコよかった。

蕞(サイ)戦での大功績により、秦国での将軍の称号を与えられた端和様ですが、
今回は初めて秦軍として、そして連合軍の大将としての大役です。

振り返れば、山界だけでなく積極的に下界との交流を持ちたがっていた端和様の念願がここで改めて叶うわけであり、
それを考えるとほんとうにこれまた感慨深くて‥‥!

そして信は王騎の矛を!
はわわ‥‥!!

‥‥己の語彙力の無さが心底お恥ずかしいのですが、46巻はほんとうに
"満を持して"なシーンばかりすぎて
キングダム第2章感が改めて伝わり、
繰り返し"感慨深い"ったらないですわ。。。


話を戻します。
後半、燕のオルドが趙に攻め入ってきて、
李牧が秦の本命は鄴ということに気づき
一気にワチャワチャしますが、

最後に久々に登場した、変態趙王。
いっつも湯の中でお戯れです。笑
李牧の急報での指示を認めず、非常時にもかかわらず自分のいる邯鄲の守りを崩そうという気がさらさらありません。
美少年たちに足をしゃぶらせ(!!)、「おふ」っとご満悦のようす‥‥!!

李牧もアホな王の性格はお見通しで、用意していた代案を胡周じィやに提案させ、
李牧本人は趙西部から王都圏へと大急ぎで馬を走らせます。
目指すは王都圏の入り口"烈尾(れつび)"。
対する信たち秦軍も"烈尾"へ向かって直進中。

まずは桓騎軍をぶつける流れな対趙戦、
李牧と信たちが対峙するのはもうすぐなのか?!どうなのか?!


47巻へ続きます!

 

【メモ】
呂不韋、脱官の裁きを受ける。

太后、雍から咸陽へ戻される。

○六将・胡傷は、唯一軍師上がりの六将だったらしい。

○六将・胡傷は、昌平君の軍略の師であった。

○六将・胡傷は王翦のことを軍略の才だけで六将並みの逸材だと認めていたらしい。

王翦、出陣前に昌平君へひとつ頼みごとをする。

○壁、端和様登場に大喜び。

○黒桜さん、ファンがつく。

○タジフ、平地の言葉をちょっと覚える。

○燕は趙南の中都市・青歌(せいか)を狙う。
その地には、李牧が三大天に推した司馬尚(しばしょう)がいる。

○おまけマンガ「ふり分け」

○裏表紙表側イラスト:弓矢
裏表紙裏側:おまけマンガの続き

 

キングダム 45巻

*ネタバレあり* 


キングダム 45 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

キングダム 45 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

黒羊丘攻防戦にやっと決着がつきました。

41巻から続いた戦でしたが、意外と後半はサックリ終わり、
かと思えばいきなり政が中華統一への大きな一歩を踏み出すことになる45巻です。

巻末のおまけはある意味本編なみの濃度!
こんなの、、、本誌派の読者がかわいそうですよ?!

まずはあらすじからまとめたいと思います。

【あらすじ】
黒羊の集落に住む一般の住民を虐殺し、
死体を集めて作った巨像を見せつけ、
これ以上の惨劇を離眼城で起こすと紀彗を挑発する桓騎。

慶舎亡き後 趙軍の実質的総大将として指揮をとっていた紀彗は、
占拠した中央丘を手放して離眼城へと向かうべきか否か、決断を迫られる。

中央丘を手放すということは、即ち趙軍の敗北を意味するということであり、
戦の勝敗の全権は紀彗に委ねられるが、
紀彗は離眼城を見捨てることができず、
苦渋の決断の末 中央丘を金毛(きんもう)へ託して離眼城へと駆け付けるのだった。


残された金毛率いる慶舎軍は中央丘を懸命に護ろうとするも、
最終的にはゼノウ一家と飛信隊の前に敗れ去り、黒羊から全軍撤退を余儀なくされる。

つまりは紀彗軍が中央丘からの撤退を選択した時点で、
戦の勝敗は決したのである。

戦局4日目にして戦いの的を
"中央丘の奪取"
から
"紀彗の陥落"
へと切り替えて紀彗の弱点をえぐり取った
桓騎は、
結果的に黒羊戦を圧倒的勝利に導き、
その上まんまと丘を完成に近い状態まで趙軍に砦化させておいてから奪取したことで、後の砦化の手間を省いてみせた。

さらに丘取り合戦を止めたおかげで戦死者の数が開戦前の予想の半分以下におさまるという結果まで叩き出したのである。

桓騎は、昌平君でも李牧でも真似できないやり方で、秦軍完全勝利を手にしたのであった。




黒羊戦に決着がつき、昌平君の指令により趙国西部の攻略を始めた秦軍は、 
黒羊を拠点とし、一帯の砦化を進めていた。

飛信隊は、桓騎軍から那貴の隊が正式加入するという大きな収穫を得ていた。

持ち場を蒙恬ら楽華隊に引き継ぎ、
飛信隊は久しぶりの休暇を取ることになるが、
咸陽本営から突然にも
"趙軍との一時休戦"
との報が届き、信や蒙恬らは訝しむーーー。




その頃、咸陽では想定外の事件が起こっていた。  
なんと、蔡沢が斉国国王・王建王(おうけんおう)と趙国宰相・李牧を引き連れて来たのである。

まさに今、秦国最大の敵国である趙国の宰相が来朝することは勿論のこと、
斉国の国王本人を突然連れて来るなど前代未聞の大事件であった。 

咸陽は騒然となり、昌平君ら咸陽の首脳陣は蔡沢に詰め寄るが、
蔡沢は、己の最後の仕事として会談を引き受けて欲しい、と政へ申し出る。

蔡沢は、
"かつては中華における東西の大国であった斉と秦の大王が直接対話すること"
がどれ程の意味を持つかを説き、
李牧を別に待たせ、斉王と政との会談の場を設ける。

会談は、斉王と政、そして蔡沢の指名により昌文君が選ばれ、3名で行われることとなった。

斉王は、
「秦という国と王を感じに咸陽まで来た」
と切り出す。

政は、
4年前の合従軍の折に斉国が合従より離脱してくれたことにまず礼を述べる。

斉王は、
蔡沢から政の"中華統一"の志の話を聞いた際は、すぐに趙の李牧と組んで第二の合従軍を興し秦を滅ぼそうかと考えたと話し、
秦の中華統一の後の世は、見るに耐えぬ汚濁の世になると断じる。

政の言う
"人が人を殺さなくてすむ世界がくる"
という理想の世への考えは空論でしか無く、
中華統一の後 滅ぼされた六国の者たちの苦しみという重い現実が抜け落ちてしまっている、と指摘する。

そして、
六国征服の後、心身共に朽ち果てるであろう亡国の民たちをどう救済するつもりであるのか、
政の描く理想の世が空論ではないという根拠と答えを示し、
"滅ぼされる側"である自分を納得させてみろ、と訴える。

これに対し、政は
「答えはある」
と断言。

国を滅ぼす側の王として、
亡国の民たちに残るであろう
耐え難いほどの"屈辱感"、"喪失感"、"恐怖心"
などの感情を取り除くためには、

中華統一における戦争が
"征服戦争ではなく、新国建国の戦争だった"
ということを民たちに説き理解してもらう必要があり、
秦人は決して"支配者"とはならず、王自らが新しい国の形を伝えていこうと考えている、
と斉王に述べる。

しかし斉王は、政の考えを改めて
"空論"であると断じ、

支配なくして多種多様な文化・風習・信仰が複雑に分かれる中華の全人民を同じ方向へ向かせるなど実現不可能である、と反論する。

それに対し政は、
"支配するもの"
は必要であり、中華統一の成功は全中華の民を一手に"実効支配するもの"にかかっている、と斉王の意見を認め、

その上で
"支配するもの"は絶対に
"人"
であってはならない、
支配するものは
"法"
であるべきである、
と説く。

"法"に最大限の力を持たせ、
"法"に民を治めさせる、
"法"の下には皆等しく平等とするーーー

中華統一の後に出現する超大国は、
500年の争乱の末に"平和"と"平等"を手にする
なのである、と。

政が斉王の問いに対して用意していた答えは、
"統一後は、法治国家により上下なく並びとなりて
共に一丸となって自分達の新しい国の形成へとむかう"
という考えであった。

王侯すら"法"の下であり、もはやそれでは王国と呼べぬようになることなども一切は小事である、
と言い切った政に対し、

斉王は、
ひょっとしたら中華争乱における混沌の沼から脱する出口への光を見つけたのかもしれないと呟き、
実質上政の前で降伏を宣言。
全中華の舵取りを政に任せると明言した。


同時に蔡沢は、政が一滴の血も流さずして六国制覇のうちの一国を成し遂げた瞬間を見届け、
静かに息を引き取るのだった。



一方、本殿にて待たせていた李牧との謁見の場に向かった政は、
李牧に対して単刀直入に入国の意図を問いただす。

李牧は政に、中華統一の夢をあきらめてもらいたい、と上奏する。

李牧は、
中華統一の実現のために流れる血や大量の死
は紛れもなく悲劇でしかないのだと説き、
自らを"戦の根絶"を心から願う者として、
六国の王達を咸陽に集結させ
"七国同盟"
を結び、中華の恒久的平和を実現させるために他国との戦争を一切禁じるべきだ、
と訴える。

七国の王が盟を結び、
"万一禁を侵す国が出た場合は残りの六国がすみやかにその一国を滅ぼす"という縛りを設けておけば、
無益な血を流さずとも中華から戦は無くなるはずだ、と政に懇願する李牧に対し、
政は即座にその考えを否定する。

政は、一時の盟などでは邪な王や臣下が現れた場合に簡単に砕けてしまう、と訴える。
百年先に盟が守られている保証などどこにもなく、
そのような不完全なもので平和を成したとは言えないはずだと断言。

そして、
「秦は武力を以って趙を含む六国全てを攻め滅ぼし中華を統一する
血を恐れるならお前達は今すぐ発ち帰り
趙王に完全降伏を上奏するがいい」
と戦線布告。

李牧はそれを受け、
己が趙にいる限り秦将がまとめてかかってきたとしても自分の相手ではない、
この戦いで滅びるのは必ず秦である、
と咆哮し、趙へと戻っていった。


そして李牧の帰国後、
趙は軍事強化に向けて動き出し、
それを追うように秦も軍強化にむけて国庫を開き始めるのだった。




一方、黒羊戦で失った兵の補充のため、
飛信隊は新兵募集の選抜試験を行っていた。

そこで信たちは、
"元・中華十弓"の1人を父に持ち、弓の特殊技能を持つ兄弟と出逢うーーー。





*  *  *  *  *




黒羊丘戦、終わりました!

紀彗は離眼の民を選び、戦の敗北を選びましたが、
主を失い、決断を紀彗に委ねた慶舎軍の金毛さんにとっては、さぞかし無念な結末であったことでしょうね。。

離眼一城のために、趙の西部一帯が秦の侵略を受けることになるという責任の大きさと引き換えにしても、
紀彗はやっぱり離眼を見捨てることはできなかった。

今回の戦で趙が得たものは
"紀彗という隠れた名将の発見"と新キャラ・舜水樹(しゅんすいじゅ)と馬南慈(ばなんじ)が言っておりましたが、

今回のような決断を下したことに対する紀彗の将としての評価は、高くていいものなのかどうかは正直よく分かりません。
でも、そもそも慶舎が信に討たれた時点で紀彗の立て直しが無ければ
どのみち趙は負けていたと予測できますから、勝敗の全責任を紀彗に負わせるのも酷な話ですよね。

個人的には、紀彗が過去の悲劇を乗り越えて民と共に再建してきた離眼の城が血の海にならなくて済み、本当に良かったと思っています。。

そして、今回の黒羊戦は、翌年起こる超大戦の前哨戦だった‥‥
という衝撃の予告がありましたので、紀彗の再登場も近々またありそうです。


てか、合従軍以来の超大軍って何!?
そして李牧が見つけたらしき"桓騎の弱点"って何!?
今李牧めっちゃ怒ってますから、その超大戦はかなり内容濃そうな予感‥‥今からドキドキしますね。


そして桓騎ですが、
外道な村焼きが皮肉にもコスパ最高な結果につながっていたようで、
読者や飛信隊にとっては何とも後味の悪い完全勝利となりました。
けど、秦側の犠牲者が予想の半分以下というのは、どう考えても評価すべき功績ですよね。

信も羌瘣 も、桓騎の戦い方と戦果を見せつけられ、色々と思うところはあったようです。
信は、将として死傷者を大量に出してしまったこと、
羌瘣 は、劉冬に約束した言葉に結局責任が持てなかったこと、桓騎を軽く見ていたこと。
それらを含めてまだまだ将としての大きさは桓騎の足元にも及ばないと実感する2人なのでした。

何度も言ってますが、この2人の仲間としての同士の絆というか、互いに全幅の信頼を置いていることが分かる関係性が本当に好きです。

信は慶舎討ちの大金星が羌瘣 の同士討ちの罪で相殺されてしまったというのに、受け入れてるし(蒙恬に突っ込まれて変な顔にはなってますが。笑)、
羌瘣 は桓騎の戦い方を振り返り考えにふける信に対して
「信は信のやり方で天下の大将軍になればいい」ときっぱり言う。

かつての信の乱銅斬りの時もそうでしたが、
飛信隊は、隊員のベクトルが同じだからこそ隊長の想いや考えが響くし、その気持ちを共有できてるんですよね。

信念を曲げてまでして得たものの先に、
自分が欲しがる未来は無いのです。

(余談ですが、いつもの羌瘣 の"信殴り"が今回フリ付きでやり過ぎな感じがしました‥加えて今巻他の場面でも殴り場面多すぎな気が‥‥どうしたの羌瘣 ちゃん?)


そしてそして、予想通りと言いましょうか、そんな飛信隊に、那貴隊が正式加入しました!
「飛信隊で食う飯がうまい」
と話す那貴の表情はどことなく晴れやか。
那貴の実力のほどもまだ底知れぬ感じですし、
これからの飛信隊に期待が高まります!


後半は政と斉王との会談でしたが、
なんと、なんと、中華一国ゲットしちゃいましたー!!

合従軍戦の際にも斉とのGJ外交で秦を救った蔡沢老師でしたが、
今回はなんとヘビ王自らを咸陽まで引き連れて密談の場を設けることに成功。

そして斉王は、政の中華統一ビジョンに納得と期待をかけて実質的な"降伏宣言"をしちゃいました。

政の口から「法治国家」なるワードも出て、
さらに李牧との対峙場面では

🔴政 :「この戦で全中華を悲劇が覆うことなど百も承知だ!
だがそれをやる
綺麗事など言う気はない!
よく聞け李牧と趙の巨達よ

秦は武力を以って 趙を含む六国全てを
攻め滅ぼし 中華を統一する!!

血を恐れるならお前達は今すぐ発ち帰り
趙王に完全降伏を上奏するがいい!」

と宣戦布告!

政の、有無を言わせぬ強い口調と言葉に込められた意志に、その場にいた誰もが固まります。
昌文君ですらも。
政にとっても、全ての覚悟を背負う大きな大きな宣言だったのです。


一方、
斉王が秦の郷土料理を食しながら、
自慢の食材を嬉しそうに語る秦人の召使いに

「明日からこれら全てを趙の米・趙の肉・趙の野菜と言わねばならぬとしたら
そなたらはどう思う?」

と問う場面がありました。

この斉王からの問いかけに対し、

「許し難きことです」

と顔を歪めながら答える召使いを見ながら、
斉王は、政が進もうとしている先の未来が恐ろしく多難なものであることを改めて確認しつつ、
政に中華を託すのでした‥‥。

このシーンは少し胸が苦しくなりました
ね‥‥。

そして蔡沢老師、
「人の本質は光だ」巻(39巻)での記憶も新しく、
今回もやたらに感動して胸のあたりをぎゅっとしまくるなーと思っていましたが、
さすがに2回目あたりから ん?と思いはじめ、3回目にはさすがにわたしも異変を悟りました。今回は本当に心臓の異変だった!

そして蔡沢は、最後の大仕事を笑顔で締めくくり、
中華統一の世へ繋ぐ大きな一手を打ちこんで息を引き取るのでした。
とてもいい笑顔でした。(涙)


さらに一方李牧の方ですが、
もっともな意見と提案を上奏してきます。

「本当は政のような王に仕えたかった」
というのは李牧の本音なのでしょうね。
以前も自国の趙王については諦めているような発言がありましたし。
お気に入りの側女ならぬ側男のために李牧を敵地に送り込むほどの愚王ですからね‥‥
まあ、それはそれとして、 
李牧は政の中華統一の考えには断固として反対の姿勢です。

七国が同盟を組んで互いに手を取り合うべきではないか、と
もっともな提案をしてきます。 

いや、ごもっとも。我々が生きる現代も、おおむねそのようにして成り立っておりますね。

しかしながら、政は真っ向からその提案を拒否。
政にとっては、その場しのぎの政策ではなく、問題を根絶したいのです。 
そのための最良の手段が、政にとっては"国境を無くすこと"なのですよね。

李牧は、

「統一後の理想の世など
そこで倒れていく者達に
何の慰みになりましょう

流れる血も 大量の血も 紛れもなく悲劇そのものです!」

と訴えますが、
政は中華統一の考えを翻す気はさらさら無く、
武力で六国を滅ぼすと戦線布告まで受けた李牧。

政に対し、
自分相手には絶対に勝てない、滅びるのは秦の方である、と珍しく咆えておりました。
 
戦争でまわりが見えなくなっていたばかりに、仲間を失ってしまった過去を持つ李牧にとっては、
政の描く未来へ向かう経緯の中で起こるであろう惨劇に関して、見過ごすことができなかったのでしょう。

かくしてここに、趙 対 秦が、全面戦争に突入してしまったもよう。
いよいよ本格的に始まってしまったのですね。

政は、李牧は自分の目で政が中華統一を語る顔を確認しておきたかったのではないか、
と言っていました。
一寸のブレも無い政の顔に、李牧は政の考えを決して覆すことはできないだろうと理解したことでしょう。

しかし、昌平君の顔(目)にはいささか否定的でした。
確かに何だか濁った表情をしていた昌平君。
今回の昌平君の眼差しの奥に潜む何かしらの負(?)の感情を、李牧は見抜いたようす。
その上で、絶対に自分を負かすことはできない、と断言しました。
‥‥こういう表現にも、きっと原先生的に何か意味があるんだろうな、と思いました。

政と昌平君は、"中華統一"という目的は同じだけれども、その目的を掲げるに至った考えが、全く違う方向にあるのかもしれません。


‥‥とまあ、今回はなかなか濃い内容の巻でした。
こんな内容濃いし、
仕事が今超忙しいしで、あらすじがなかなかまとめられずに今回は記事アップが大幅に遅れてしまいました…。
誰よりも早く新刊の感想を語りたくてうずうずする気持ちをおさめるために始めたこのブログなのに!笑

そうそう、最後に飛信隊に新キャラが加入しそうですね。
弓矢兄弟、いきなり強力戦力すぎでしょー!!

ただ、お兄ちゃんの顔がなんかポップ過ぎて、ちょっとキングダムっぽくない気がしてしまいました。。
最近、個人的には絵柄が少しずつ少しずつポップ&キャッチーな感じになってきているような感じがするのは気のせいですかね?
人気もうなぎのぼりだし、敢えてなのかな?と思いつつ、
女子陣はどんどん可愛くなってて嬉しい反面、ページをめくる手がインクで真っ黒になってしまうような(単行本派なのでならないのですが)、以前からのそんな男臭いタッチがこの物語の世界観にマッチし過ぎて大好きなんですよね。。

これから戦争が多くなりそうな展開の中で、もっともっとゴツめのキャラがワッサーと出てきて、紙面を真っ黒に染め上げて欲しいです!!笑


最後の最後に、今回のおまけ!!

ちょ、これって!?
石、、お守り、、、プロポーズかよ?!

お守り持ってないのか聞いてきといて、
自分も持ってないとか訳わからんこと言う信に対して、
「(混バアの紫水晶の腕飾りを)え‥‥これが欲しいのか?」
とか聞いてる羌瘣 が可愛過ぎて悶えました!!

本編の内容的に、すでに黒羊から秦へ帰って兵の募集してたはずですから、
もう"高(こう)"って邑に帰りに寄って、
石売ってる店とやらでおそろい(?)の石をゲットしちゃってるのか?
どうなのか?!(キャッ)

次巻では羌瘣 の装飾品に何か加わってないか、めっちゃ見とこ。笑


という訳で、46巻へ続きます。



【メモ】
⭕️現在蒙恬23歳、信22歳。

⭕️黒羊を奪取後、李牧が秦へ緊急来朝したため、趙軍とは一時休戦となった。

⭕️弓矢兄弟の父親は、秦でただ1人かつて中華十弓に名を連ねた蒼源という男らしい。

⭕️弓矢兄弟の弟のほうの名は淡(たん)。

⭕️おまけマンガ「お守り」

⭕️カバー裏:裏表紙側のみ、弓矢兄弟の兄のイラスト。

キングダム 44巻

*ネタバレあり*
キングダム 44 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 44 (ヤングジャンプコミックス)



黒羊丘戦もいよいよ佳境の44巻です。

信の大活躍で戦の勝敗はもう決したような
ものかと思っていたのですが、

今回の戦のメインテーマはきっと"勝敗"なのではなく、、、

将軍を目指す信が、政とともに中華統一を目指すにあたり、
今一度振り返らなければならないこと、
そして仲間たちに指し示さなければならないこと、

あらためて飛信隊の在り方をここで再確認する必要があったと思わせられる今巻です。

みどころや注目シーンも随所にあり、、!!

まずはあらすじから、そして感想をつづりたいと思います。


【あらすじ】
趙軍総大将・慶舎を追撃し、とうとう本陣にまで迫った信。

迫り来る飛信隊の勢いを目の当たりにし、
慶舎は一旦本陣を捨てて退こうとするが、
那貴が少数騎で慶舎本陣へ奇襲をかけた一瞬の隙をつき、信は本陣を突破し慶舎と対峙する。

激しい打ち合いの末、信はついに慶舎を討ち取ることに成功。
歓喜に沸き立つ飛信隊だったが、すぐさま趙軍が押し寄せてきたために早々に丘から離脱。

趙軍・劉冬の足どめに奮闘していた羌瘣 も、
同じ頃見事劉冬を討ち取り、
退却中の飛信隊に合流し丘裏から離脱する。


まさに電光石火の奇襲であった上に
丘の裏側での出来事だったため、
信が慶舎を討ち取った事実はこの日桓騎の耳にすら届かなかった。

そして趙軍の中でこの急報が届いたのは
丘の右側の将・金毛と、
左側の将・紀彗のもとにのみであった。

慶舎の敗北と片腕の劉冬の死に嘆き叫ぶ紀彗であったが、
絶望する金毛に対し
このまま退却せずに軍を立て直し、慶舎の死を悟られる前に中央丘の奪取を急ぐべきだと主張する。
中央丘を制し、砦化さえすれば、戦は実質趙軍の勝利なのである。

天然の要塞である黒羊の地を秦国に奪われることは趙にとって最悪の侵略要地と化することであり、
そうなれば国境が縮小されるが故多くの難民を生み出す悲劇となってしまうーーー、

黒羊の先にある離眼を守るためにも黒羊を奪われるわけにはいかない紀彗は、
もう一人の片腕である馬呈とともに丘の奪取を急ぐのであった。




その頃、桓騎は砂鬼一家を呼び寄せ、捕らえた趙人に対して残虐な拷問をかけさせていた。

そこで紀彗の名を知った桓騎は、
丘の奪取に奮戦していた自軍へ突然の撤退指示を出す。

そして中央丘は趙軍へ明け渡され、すっかり紀彗らによって砦化されてしまう。

桓騎のこの突然の指示は、趙軍をはじめ桓騎軍の側近たちですらも理解不能なものであったが、
桓騎は戦の勝利を確信し、ほくそ笑んでいた。  




戦5日目となる翌朝。

樹海をくぐり抜け、やっとの思いで持ち場に戻ってきた信たちは、
すっかり趙軍に砦化された中央丘を目にし茫然とする。

そして樹海の中に不自然な砂煙が起こっているのを見つけた羌瘣はその方角に青ざめ、
砂煙の出どころへと駆けつける。

その先は、羌瘣が劉冬への夜襲で負傷した際に瀕死の状態でたどり着き、介抱されていた集落であった。

その集落が全て焼き払われ、村人たちは一人残らず惨殺されていたのだ。

山積みにされた死体の山の中に、自分を介抱してくれた老婆の姿を目にした羌瘣は怒りに震え、
桓騎の命令でやったと話す桓騎軍の兵士を容赦なく斬り捨て、
信とともに桓騎のもとへ向かう。


桓騎軍の本陣へ乗り込んだ信と羌瘣だったが、
ただの凌辱と虐殺にいちいち喚くなと
桓騎に一蹴される。

趙に攻めこんで趙人が死ぬのは普通のことだろう、と雷土に挑発された信は激怒し、激しい殴り合いとなる。
黒桜が信に矢を放とうとした瞬間、羌瘣がそれを阻止。
さらには桓騎の首に剣を当て、事態は収拾のつかない状態になってしまう。


信は、
「制圧した地での反乱に対する刃と
無力・無抵抗の人間に向ける刃とは決して違う
それが戦争だと言い切る奴は
武将じゃなくただの略奪者だ
そんな奴らがどれだけ勝ち続けようと
"中華統一"などできるわけがない」

と主張するが、

桓騎は信を"一番の極悪人"だと言い、

「中華統一とは敵国が抵抗できなくなるまで
とことん殺しまくって
その国の土地と人と物全部をぶん捕ることであり、
"大殺戮"、"大略奪"である
それをやって平和な世界が来たって喜ぶのは秦人だけだ」

と返す。

羌瘣は、これ以上桓騎に何を話しても無駄だと言い、これ以上無意味な村焼きをやめるようにと忠告。
前日に信がすでに慶舎を討ち取ったため、
村焼きなどやっている場合ではなく
趙軍の中央丘の砦化を阻止するべきだと主張する。

羌瘣の発言で初めて慶舎の死を知った桓騎だったが、
「村焼きは続行し、黒羊中の人間を皆殺しにする」
と返答。

そして羌瘣を挑発するかのように、部下に田有を捕らえさせ、首をかき斬れと命令。

田有の首に剣がめり込みかけたその瞬間、焦る羌瘣と信の前へ、尾平が突然止めに入る。

尾平は、
「焼かれた村は、趙軍と無関係ではなかった」
と発言し、誤解なんだと言って信や羌瘣 の怒りを収めようとする。

那貴が飛信隊へ入るかわりに桓騎軍へと配属されていた尾平は、
桓騎軍で行動を共にしていた巴印(はいん)と焼け跡となった件の集落を訪れた際、
死体の山を直接目にはしていなかった。
そして巴印からこの集落は一般人の集落ではなく
"趙軍の基地"
だったと聞かされていたのである。

森の中で飛信隊を討つ戦闘態勢に入っている桓騎軍の存在を知る尾平は、
早くこの状況を収めなければ飛信隊が攻撃されると焦り、信を急いで説得しようとする。

しかしその時、
尾平の体から集落での拾い物として巴印に半ば無理やり持たされた腕飾りが落ち、
それを見た信に激昂されてしまう。

尾平は弁解しようとするが、信の失望と怒りは収まらず、尾平を殴り、二度と戻ってくるなと飛信隊から追放してしまう。

羌瘣に信の説得を頼む尾平だったが、
尾平が落とした腕飾りが自分を介抱してくれた老婆のものだと気付いた羌瘣 も怒りが抑えられず、
尾平を突き放してしまう。

仲間割れを始めた飛信隊に対し、
桓騎は場がシラけたと言い、
結果的にはその場に血が流れることはないまま事態は収まったのだった。




信と羌瘣から突き放された尾平は、
自分の言い分もちゃんと聞いてくれずに
飛信隊から出て行けと言われたことにショックを受け、
故郷へ帰ると言って慶ら仲間たちに当たりちらしていた。

信への文句や愚痴を喚く尾平だったが、
たまたま通りがかった桓騎兵たちの
信への侮辱の言葉を耳にし、
思わず怒りに震えて殴りかかってしまう。

止めに入った那貴のおかげで収拾がついたものの、
尾平は瀕死の状態で飛信隊の天幕へと運ばれた。

尾平が目覚めると側には信がいた。

自らも民家に入って盗み食いをしたことが2度ある、という過去を語りだした信。

一度目は、意識朦朧の飢餓状態でやっと見つけた食糧だったため、腐りかけていたものでもとんでもなく美味く感じたが、
二度目は、後に同じような状況で食糧を見つけ、
飢餓状態といえるほどではなかったが空腹だったためそれを食べたら、その時はまるでクソのような味がした、と。

過去の自らの経験から、"そういうこと"なのだと実感した信は、
尾平に語り聞かせる。

信は、かつて漂と夢見ていた
子どもの頃から描き続けた
"誰より強くてかっこいい天下の大将軍"
像を色褪せさせる気は全くない、と言い切る。

しかし、そのせいで仲間たちが青臭いとバカにされたり、色々と我慢させて自分のわがままに付き合わせているということは理解しており、
悪いと思っている、と詫びる。

しかし信は、それでもそこだけは決して譲りたくないし、
飛信隊とはそういう隊でありたいのだ、
と話す。

尾平は涙しながらも改めて信の考えを理解し、それに共感し、また共に闘うことを誓うのだった。




飛信隊が内輪揉めをしている間、
桓騎軍は着々と事を進めていた。

桓騎は紀彗のもとに伝文を送りつけ、
兵ではなく、子どもを含む一般の黒羊の民の死体を集めて砂鬼に作らせた
"骸の巨像"
を紀彗に見せつける。

桓騎は、

「これ以上の惨劇をお前の離眼城で起こしてやる故楽しみにしていろ」

と紀彗への伝文に書き記し、
離眼城へと進軍するーーー。



【感想】
意外と長引いている黒羊丘戦ですが、
信が見事慶舎を討ち取り、今巻で終わると思ってました。

開戦前から一筋縄ではいかない戦になるという前フリはあったものの、
桓騎の容赦なき残虐プレイに過去の対魏国・廉頗戦が思い起こされ、
敵ながら紀彗が白亀西の最期のようなことにならぬことを願うばかりです。。

さて、とにもかくにも信が大武功を挙げました!!

個人的には慶舎にあまり思い入れがなかったので、
早く仕留めて話を進めて欲しいなぁなどと
思っておりましたが、

信に斬られる間際に慶舎の想いが少しだけ吐露されていて(心の声として)、
死の瞬間の者の想いを目の当たりにすると
何だかちょっとだけ泣きそうになってしまった。。

そして刻同じくして、羌瘣に討たれた劉冬の最期のシーン。

離眼の悲劇を共に乗り越え支えてきた城主・紀彗にかける強い想いが分かるからこそ、
このシーンはめちゃくちゃ切なかったです。

でも、仲間にかける想いは羌瘣とて絶対に譲れない。

「侵略者じゃない、私達は‥‥飛信隊だ」

と言った羌瘣 の表情がものすごく苦しそうで
読んでいてとても辛かった。

羌瘣が劉冬にかけた最期の言葉は、
死にゆく劉冬にとっては何のなぐさめにもならないことは羌瘣 もわかっていて、
守り子を劉冬に返したことも死の間際のほんの一瞬のみの安堵にしかならなかったのだろうとは思います。

羌瘣の言葉に救われる部分はあったはずだけれど、
劉冬は、残してしまう紀彗や馬呈への想いと、秦への憎しみでただただ無念だっただろうな。。
息を引き取る直前のコマの劉冬の眼が、
本当に切なかった。
それでも討ち取ったのが羌瘣であったこと、互いの覚悟を理解し合えた者同士、わずかながらに通づるものもあったのではないかと思いたいです。


信と羌瘣の互いの戦いが同時中継だったのはすごくよかったですねー。
隊長・信に大将首をとらせるために、そして隊のために、逃げる力も残せないほどの力を出し切ってしまう羌瘣。

廉頗戦の時と同じように、仲間のために無茶をする(死にかけた)羌瘣のことをちゃんと理解し、助けに戻った信に、超絶萌えました!!
まさかの見開きサービスショットでしたね!

そして
🔴信 : 「逃げる力くらい残しとけよ  バカ」

って、ちょ‥‥!(テレる!)

俺たちの羌瘣はいつだって信へのスーパーアシストを決める、文句なしのヒロインだぜ!!



さて、桓騎です!

砂鬼一家に拷問させて吐かせた紀彗の存在、
余すところなく存分に利用しそうな予感で
背筋が凍りました。

嫌な予感はしていましたが、羌瘣を介抱してくれた混バアが、桓騎軍によって見るも無残な姿に、、、。

混バアだけでなく、村人全員、女子どもまでもが皆殺し。

その積み上げられた死体の山を見た羌瘣 は、
ブチ切れて瞬時に5人ぐらい斬ってしまいました。

かつて象姉の首を見た瞬間のトラウマがある羌瘣にとって、この仕打ちは無いわー。。。


そうしてブチ切れた信と羌瘣は桓騎のところへ乗り込みますが、
盗みや虐殺・凌辱がフツーの桓騎軍に信の美学が通るはずも無く、
案の定真っ向から対立。

そして田有が見せしめ的に斬られかけたところに、尾平が登場。
この場を収めるべく信たちの説得に奮闘するものの、
まるでタイミングを計ったかのように
桓騎兵の巴印に半ば無理矢理持たされた
紫水晶の高級腕飾りを落としてしまいます。

その腕飾りは哀しすぎることに混バアのもの‥‥。

尾平の言い分は2人に聞いてもらえるはずもなく、大もめとなってしまいました‥‥。

尾平の気持ちは分かるし、青いとはいえ信や羌瘣の隊にかける想いも理解できるからこそ、
どうしようもないところですよね‥‥。

ていうか、ここのあたりすべて桓騎が描いた筋書き通りのような気がして、なんか怖い!

そもそも桓騎軍へのトレード要員として古参メンバー希望で尾平をチョイスしたところも、
女や酒をエサに、あえてアピールしていたところも、
今回焼け跡の村で尾平に村人の死体を見せなかったことや
紫水晶の腕飾りをほぼ無理矢理持たせたことも、

すべてこうなることを予測してというか、
こうなるように仕向けていたかのような気がして本当に怖い。

どこまでが計算で、どこからが本音なのか
読めないしつかめない、、

「ここで大人の戦いを覚えていけ」
と開戦前に信に言いましたが、
青臭い信のやり方や美学に対し、
挑発しているような気もします。


結局、内輪もめしてしまった飛信隊でしたが、
なんやかんやで収まるところに収まりました。
飛信隊には尾平がいないと始まりませんから。笑

今回、
隊としての方針が真っ向から違いすぎる桓騎軍とあえて対比させることで、
隊長である信の信念を、
仲間同士が再確認するよき機会となりました。

信は、
"漂と夢見た大将軍"になりたい。
"漂と夢見た大将軍"像でないと、信にとっては全く意味がない。

信の夢は、ある意味漂の夢を叶えることでもありますもんね‥‥。

信の想いはメンバーに伝わり、
「どこの隊よりも心が潤ってる」
と尾平に言われた信は、
多分泣いてましたね。

信たちの持つ青臭さには、読んでいても確かにクサいなと思うことも確かにあるのですが、
そういう青臭さに胸を熱くさせられたりもするんですよね‥‥。

中華統一に向けて戦いの規模が拡大していく
今後に向けて、ここで飛信隊としての在り方を今一度再確認すべき意味があったのではないかと思います。


あと、首を斬られかけた田有の傷の手当てをする羌瘣の天幕でのシーン、
ものすごくよかった‥‥
わたし的には44巻のハイライトシーンです。

自分の読みが甘かったせいで、田有を死なせてしまうところだった、と詫びる羌瘣 と
羌瘣をねぎらいつつ、疲れたな、と声をかける田有。
混バアの腕飾りを握りしめて、素直に疲れたと吐き出す羌瘣 に、
飛信隊生え抜きメンバー同士の絆を感じて
胸が熱くなりました‥‥。

田有は結構初期から羌瘣が女だということにうっすら気づいていたのに、黙っていてくれたメンバー。
そんな田有に、さすがの羌瘣も心を許していたんだな、と思うと、感慨深すぎて泣けてきます。
こういうシーンをサラッと入れてくれるところが、原先生のニクいところです!


さて、今巻ラストですが、
桓騎が離眼城へ向けて進軍しました。
やっぱりやりおったー。。。

以前に雷土が、

「どこをえぐれば一番相手がもだえ苦しむか見さだめようとしている」

と桓騎を評しておりましたが、

慶舎が討たれた今、実質趙軍の指揮を執っているのは紀彗であり、
その紀彗が最も苦しむこととは、、、

読者的にもそれは辛い!!

桓騎が飛信隊に課した任務の内容も気になりつつ、
敵ながら離眼の無事を願いつつ、
45巻へ続きます。



【メモ】
⭕️那貴一家の、那貴以外のメンバーの髪型がなんかかわいい。(お団子だらけ)とくに呂敏(ろびん)。

⭕️黒桜さん、桓騎にあごクイされて鼻血を出す。笑

⭕️桓騎、紀彗を
"趙軍でも秦軍でもない第三の人間"
と判断し、いたぶることを宣言‥‥。

⭕️那貴はキレたら雷土よりおっかないらしい‥‥。

⭕️おまけマンガ 「出会い」
本編に描かれなかった李牧と慶舎の出会いが描かれてます。

⭕️カバー裏・裏表紙側:慶舎のカット。