*ネタバレあり*
長きにわたる宿敵・龐諼との戦いに、ついに決着が着く今巻。
表紙も内容そのまんまで、良いですね!
ハイライトは前巻から引き続く信×龐諼の一騎討ちの結末なのですが、
あまりにも予想外な展開にわたしの思考回路は一旦ストップしてしまいました。
なので初読み時には、後半部分があまり頭に入ってこなかったぐらいです。笑
衝撃の58巻、あらすじからまとめたいと思います。
【あらすじ】
李牧軍本陣の目前で立ちはだかる龐諼と対峙した信は、激しい一騎討ちを続けていた。
既に満身創痍の信の身体は痙攣を起こしながら何度も斬り刻まれ、繰り返し膝をつくが、
過去に志半ばで倒れた仲間たちや自身が葬った者たちのそれぞれの思いに背中を押され、
幾度も立ち上がり龐諼へ挑み続ける。
一方、秦軍総大将・王翦は、王賁や蒙恬の救援によって無事に死地を脱出していた。
倉央軍が李牧本陣へと進撃する中、李牧を脱出させるために抗う趙軍だったが、
当の李牧はその場を動こうとせず龐諼と信の一騎討ちを見守り続ける。
圧倒的な個としての武の研鑽を重ね、それのみを極め続けた龐諼が、
関わる人間たちの思いを紡ぎ束にして戦い、"人の力"を体現する信に勝つことができないという現実を目の当たりにし、
李牧は龐諼ら求道者たちが積年追い求めてきた
"天からの答え"は、
"誰がどう足掻こうが人が人を超える存在には成り得ず 所詮は人は人でしかない"
ということだったのだと結論づける。
李牧が見守る中、信と龐諼の一騎討ちは更に激しさを増していた。
何度打ちつけても立ち上がる信に対し、理解が及ばぬ龐諼。
自らの道を極めるために己の全てを削ぎ落とし、捨て去り、ひたすら"武"のみに
邁進してきた自身の"道"に対し、
信をはじめ王騎、麃公ら龐諼自身が否定する生き様を見せる者たちが己の刃に抗える理由を探した時、
龐諼は
自らの進む"道"が間違っていたのではなく、
そもそも、
"人が人を超える"
などという"道"そのものが無かったのではないか?
という考えに行き当たる。
長年探し続けてきた答えにたどり着いたかのようにみえた龐諼だったが、
即座に自らがたどり着いたその答えを自身で否定する。
そして龐諼は再び信へと矛を振り下ろすが、
同時に矛を下ろした信は龐諼の刃を受け、そのまま押し勝ち龐諼の刃を折る。
その瞬間、龐諼の劣勢を察した趙兵は、突如一騎討ちに割り入ろうとするが、
飛信隊の面々がそれを阻止。
隙をついた龐諼は折れた刃で信を貫こうとするが
信はそれをぎりぎりの位置でかわし、
全身全霊で龐諼に矛を振り下ろし、遂に龐諼の身体を斬り裂くのであった。
長きにわたり飛信隊の宿敵であった龐諼を信が見事に討ち取り、
歓喜で爆発する飛信隊。
一番の難敵を信が葬り去ったことで、後は李牧を討つのみとなった秦軍右翼は士気が最高潮となり、間髪入れず目前に迫った李牧本陣へと進撃を開始する。
一騎討ちを見届けた李牧は即座に鄴へと退却する手筈を整え、脱出を図っていた。
すぐさま李牧を追おうとする飛信隊だったが、
激戦を終えた信には異変が起こっていた。
龐諼を討ち取った後、その場に立ち尽くしているかのように見えた信だったが、
仲間たちがかける声に一切反応せず、
そのまま倒れてしまう。
尾平たちが駆け寄り信を揺さぶり起こそうとするが、信の瞳孔はひらき、呼吸は止まっていた。
崇原は信の脈を確認するが、信の身体は驚くほど冷たくなっており、既に心臓は止まっていた。
なんと信は、龐諼との死闘の最中に命が尽きていたのである。
繰り返し龐諼の刃を受け続けた信は、命が尽きた後も思念の強さのみで立ち上がっていたのだった。
駆けつけた貂は信のもとへ駆け寄り号泣する。
信の死を受け入れられない飛信隊の兵士たちは
嘆き悲しみながら信の名を呼び続けるが、
信が目を覚ますことは無かった。
羌瘣 は信を助けるため、過去に蚩尤族の修行で教わった禁術の中に命の力を分け与える術があったことを必死に思い出そうとする。
確かに習ったはずの呪語の詩の記憶を必死にたぐり寄せ、羌瘣 は信と自身の気の道を開いて繋げることに成功し、そのまま意識を失う。
◆
羌瘣 がたどり着いた意識の先には、幽連と羌象がいた。
"天地の間(はざま)"
と呼ばれるその場所は、周りには何も見えない真っ白な精神世界の空間であった。
そこから先に進むためには、羌瘣 の寿命を減らす必要があると幽連は話す。
自分の命を使うことでしか発動しないと言われるその術は、
命を呼び戻したいと思う相手が間の世界の奥深くまで行ってしまっている場合には、
たとえ自分の寿命を半分使ったとしても10に1つの可能性でしか救うことができないという。
信は既に死から時間が経過し、間の世界の奥にまで進んでしまっていた。
自分の寿命を半分失ったとしてももはや信を助けられる可能性は厳しく、
羌象は羌瘣 だけでも術を解いて戻るようにと促す。
しかし、羌瘣 は迷うことなく信のために命を全てやると即決。
羌瘣 はどうしても信を死なせたくないと願い、
それを受けた幽連は術を発動させる。
◆
羌瘣 が次にたどり着いた精神世界の先には、信の姿があった。
羌瘣 は信の名を何度も呼ぶが、信には一切聞こえていないようだった。
信の進む先には朱い階段があり、信はその階段に向かって歩いていた。
信が階段を登ろうとした瞬間、羌瘣 の声が一瞬だけ届き、信は足を止めて振り返る。
しかし信に羌瘣 の姿は見えておらず、
信の前には死んだはずの漂が立っていた。
信は漂と昔話をしながら階段の方向へと再び進んで行くが、
羌瘣 は沼のぬかるみに手足の動きを奪われ、
声も出せなくなってしまう。
信は、漂が死んだ後の話をしようとするが、
漂に自分の隊の名前を聞かれても思い出すことができない。
再度朱い階段の前まで着いた時、
漂は信に他に何か話すことはないか、と問う。
信は記憶が朧げになっており、秦王に会った話を漂へ聞かせようとするが、嬴政の顔も思い出すことができなかった。
何か一番大きなことを忘れている気がする、と言いながらも信は目の前の階段を上ろうとするが、
羌瘣 が飛信隊の名を叫んで信にしがみつき、
階段を上らせまいと懸命に止める。
聞こえなかったはずの羌瘣 の声は信に届き、
飛信隊の名を聞いた信は自らの夢を思い出す。
「二人の夢だった天下の大将軍にまだなってねー」
と信は漂に告げ、信は階段を上ることを止める。
そして漂は消え、信が現実の世界へと戻るための光の穴が現れる。
羌瘣 は信を光の穴へ落とした後自らは力尽きてしまう。
沼のぬかるみに全身を沈められてゆこうとしたその時、
羌瘣 の両脇から先に命を落とした松左と去亥が現れ、2人が腕を掴み上げ羌瘣 を沼から引き上げる。
まだ何か役目がありそうな気がしてとどまっていてよかった、と笑う2人に助けられた羌瘣 は、
「うちらの大将頼んだぞ」
と信を託され、光の穴に投げ入れられるのだった。
動かなくなった羌瘣 が目を覚ますまでは、と信の名を呼び続ける飛信隊の前で、
信は突然目を覚ます。
信は"天地の間"での記憶は一切覚えておらず、
間の抜けた表情で突然蘇った信に対して仲間たちは喜びを爆発させる。
しばらくして羌瘣 も無事意識が戻り、
信が死んだという情報を耳にし駆けつけた蒙恬・王賁と合流した信たちは、
ひとまず朱海平原での勝利を喜び合う。
そして気を新たにし、鄴へと退却した李牧を追うために精鋭隊を選りすぐり、王翦とともに鄴へと出発する。
◆
朱海平原での決着が着いた3日後の開戦18日目、
李牧は鄴へと到着する。
しかし、鄴城内へ向かう直前、李牧の目の前で鄴の城門が内側から開いてしまう。
飢えに耐えられなくなった民たちが外に出たがり暴動が起こってしまったのである。
受け入れた難民たちをはじめ、鄴の民は城外へ次々と流れ出て行き、それと入れ替わるようにして桓騎軍が城内へとなだれ込む。
李牧は外からその様子を眺めることしかできず、
責任を重く受け止めた鄴城主は自死。
李牧は無駄な死者をこれ以上出さないためにも
桓騎軍との戦を中止し、
溢れ出た難民たちとともに鄴を去る。
しばらくして王翦たちが鄴へ到着すると、桓騎軍により鄴は既に陥落していた。
しかし鄴を占拠できたものの、以前王翦が送り込んだ間者により備蓄されていた食糧を焼き払わせてしまったことから、
鄴城内に食糧は残されていなかった。
李牧は秦軍を鄴へ閉じ込め、遠巻きに包囲することで餓死を狙う算段であろうと王賁は予想する。
しかし、王翦はこの食糧問題を驚くべき手段で
解決することになるのであるーーー。
* * *
ついに‥‥
ついに!
憎き龐諼との戦いに決着がつきました!!
思い起こせば龐諼とは本当に長い付き合いだったなぁ、と感慨深く、しみじみ今までの物語を頭の中で振り返ってしまいました。
この決着のつけ方に関してはきっと賛否あるだろうなと思い、
わたしも初読の際は、様々な思いが頭の中をかけめぐりました。
冒頭にも記しましたが、衝撃すぎて後半(鄴パート)がほとんど頭に入ってこなかったほどです。笑
思うところは色々ありますが、順を追って感想を話していきたいと思います!
さて、前巻で息子王賁&蒙恬に救けられた王翦でしたが、
2人のおかげで無事に死地を脱出し、そこそこ安全圏的な場所まで逃げてきていました。
これで王翦の方はもう安心ですね。
対する趙軍は、倉央軍の猛攻により突破されるのは時間の問題。
流石にもうヤバイと限界を感じた趙兵たちが必死に李牧だけはと逃がそうとしてるのに、そのまま信たちの一騎討ちを見守り続ける李牧。
李牧にとって龐諼は、かつて命を救われた相手ともいえる存在ということが前巻で判明しました。
そのことに加えて、
19年前に出会った際に龐諼が李牧に発した
「(李牧は)俺の道を答えに導く者」
という、
意味深で予言じみた発言を受けた責任?のようなものもあってか、
最後までこの2人の戦いを見届ける覚悟があったのかなと思います。
そして、求道者・龐諼が長い間追い求めてきたものに対する答えが、ようやくこの巻で出されました。
"人は人でしかなく、神様にはなれない。"
我武神、我武神って言うてたけど、それ違うで‥‥
とここにきて李牧に否定されていた龐諼。
そもそも人はどれだけ頑張ったとしても人でしかなくて、神様になんかなれないのです。
李牧が言っていたように、
もし本当に武を極めた神なのであれば
王騎に敗れはしないし、
麃公将軍に腕を折られることもないし、
蒙恬じィに足を貫かれることもないはず。
神様じゃないからこそ負かされるし虚もつかれるという事実があるのに、その矛盾に気づかずに我は武神だともだえている龐諼は
"ただのど阿呆"
だとかつて言ったのは、麃公将軍でしたね。
なんだか前巻から、この問題に関しては哲学的な方向に進んでいるように思え、わたしは難しく捉え過ぎていたところがあるのですが、
龐諼のように個としての強さをひたすら追求するのも人だからだし、
信のように人と人を繋ぎながら背負った思いを強さに変えるのもまた人だからなのですよね。
結局、対極にある考え方であったとしても、"人は人でしかない"のだという、当たり前といえば当たり前の結論となりました。
原先生はこんな当たり前のようだけれども奥深いテーマを、これほど時間をかけてまでよく掘り下げようとしたなぁ‥‥
と感服してしまいます。
原先生が龐諼の存在を通して伝えたかったことって何だったのかなと考えた時、
単純な"個"としての強さだけでは絶対に超えられないもの、または絶対に得られないもの‥‥
そういったものの価値を描かれたかったのではないのだろうかと勝手に思いました。
今回、初めて龐諼の過去が描かれましたね。
人の傷を治す不思議な能力を持つ心優しき夫妻の間に生まれたのが、龐諼でした。
まだ生まれたばかりの赤ん坊・龐諼は、
ある時突然現れた求道者によって連れ去られてしまったようです。
求道者は見込みがありそうな子どもをさらって育てるらしいので、龐諼は夫妻から特殊能力を引き継いでいて、その天賦の才能が求道者に察知されてしまったのですね。
こんな生まれたての赤子にまで求道者能力センサー働くなんてどんだけだよ‥‥!
しかしながら、龐諼が今まで信たちへ行ってきたように、心優しき龐夫妻をはじめ村人たちは天災に遭ったかのように求道者に斬り殺され、
赤子龐諼は連れ去られてしまいました。
この過去シーンは、赤子龐諼の記憶だったのでしょうか?
それとも事実としての単なる過去描写だったのでしょうか?
最期に思い出した龐諼の脳裏の映像がこれだったのだとしたら、少し切ないなと思いました。
勝手に見込まれて求道者にさらわれたりなんかしなければ、
人の傷を治して感謝されていた両親とともに、
龐諼も人と人との温もりの中で生きていたはずなのにね‥‥。
ともあれ、龐諼ここに墜つ、です!
さて、見事信が龐諼を討ち取ったあとの展開なのですが‥‥
これには度肝を抜かれましたね!!
なんか、途中から信のようすが変では?
羌瘣 も信を見てゾッとしてたり反応が何か変?
貂もなんか察知して持ち場を離れたりしておかしいぞ?
と思っていたら‥‥
まさかの信、死す!!!!!
!?!?!?!?!?
とか言って、瀕死なだけで実はか細くも息があるとかですよね?!
と思っていたらご丁寧に崇原が脈を確認したりなんかしてて、
‥‥心臓も動いてない!?!?!?
いやいやいや、そんな訳あるかい!
だって信、まだ将軍になってないし死ぬ訳ないのに、死んだってどういうこと?!
‥‥という具合に頭の中が混乱しまくりで、
これ以降の話に関しては読んでいるのに読めていなかったというか、ページをめくっているのに頭に入ってこなかったというか、
とにかくかなり動揺していました。笑
そしてここで羌瘣 が登場です。
貂が置いていかないでよ‥‥と号泣している姿を見て、事情を飲み込めない中でももらい泣きしそうになったわたしの心が一瞬スッと冷めかけてしまったのは、
まさか羌瘣 が謎の術で何とかしようとする展開なのでは‥‥と予感してしまったからに他なりません。
「うろ覚えだけどいくつか禁術がある」
と羌瘣 ちゃんが口にしたところで、34巻の幽連との決戦時にいきなり現れた"魄領の禁"の術のときのような唐突感を感じてしまい、
ちょっとモヤモヤが生まれてきました。
(余談ですが、51巻で描かれた"命の力を分け与える術"としての"手つなぎシーン"は、半分信に触りたいがための言い訳だと解釈していたらガチ術だったことがここで判明。笑)
なんだかんだで呪語の詩を思い出した羌瘣 は、あの世とこの世の境目のような精神世界である"天地の間"へと意識が落ちていきます。
そこで死んだ信を助けるためには自分の寿命を減らさないといけないし、
術を使ったとしても10にひとつしか助からないと言われてしまったのですが、
迷いなく命を「全部やる」と言い切った羌瘣。
自分に対しては何の見返りも求めない潔さに対し、やっぱりこの子大好きだわ‥‥
としみじみ思いながらも、
寿命をいくつかもらうなのか、寿命の半分を使うなのか、寿命を減らすなのか、
条件の表現がちょっとあいまいで再びモヤモヤしました。
結果的に術が成功したあと、
羌瘣 が象姉に言われていた
「やっぱりあんたの寿命が縮んでしまった!」
という言葉からも、
"寿命が縮む"というふわっとした表現がどうとでもとれて中途半端だなぁ、と少し残念でした。
死んだ人間を生き返らせるからには、かわりに命を取られるぐらいのリスクは必要な気がするのですよ。
そりゃあ羌瘣 をここで退場させてしまうのには惜しすぎるし、
わたし個人としても羌瘣 が死ぬのは勿論嫌なのですが、
信を死なせて、それを生き返らせるという強引な手段が必要なのであればそれぐらいの厳しい条件が妥当なのでは‥‥?
寿命半分キッチリ無くなった、という表現も無かったし、羌瘣 の覚悟は確かに伝わったけどもなんか命を賭けた術にしては条件がゆるい気がする‥‥?
とまた勝手にモヤモヤです。
そもそも、信を一旦死なせる必要はあったのでしょうか?
死ぬ寸前の狭間で見た夢の中で、漂に助けられて
意識が戻った信(キリッ)じゃダメなの?
羌瘣 の信への想いや、松左と去亥のファインプレーには素直に感動したけども、
朱海平原の終盤戦は羌瘣 頼みなことが多すぎて、少々残念に思えて‥‥
死にかけの王賁を何とか復活させたのも羌瘣 だし、王賁が王翦を救けにいかなければ蒙恬が来たとしても王翦はやられてただろうし、そもそも大将死んだら終わりだったんだし‥‥
いろいろ羌瘣 ちゃんさまさまかよー!
とまあ、読んでいるだけの人間はこのように好き勝手言えますけどもね!
すみません!
きっと原先生も龐諼戦の結末は色々悩みまくられた上でのこの展開だったはずですから、
こんな素人の人間にどうのこうの言われる筋合いは全くありません。笑
それに史実として勝敗は残っている訳ですから、羌瘣 のおかげで秦が勝ったということでもないと理解はしているのです。
なのでいち読者の主観的な感想でしかありませんが、
肝心な場面でのスピリチュアルワールド展開に関しては、個人的にはキングダムに出してきて欲しくない展開だったな、と思いました。
わたしは気合いと根性論はどちらかというと好きな方だし、死後の世界は何ならあるんじゃないかなとも思っているし、友情!努力!勝利!の方程式も大好物なのですが、
龐諼との体格差を含め、信が趙我龍との一戦の後で満身創痍すぎるのが不利すぎて、
羌瘣 が斬り落とした指2本程度では補いきれないほどの龐諼との余力の差を、
果たして思いの強さだけで何とかできてしまえるものなのか‥‥‥
というモヤモヤを吹き飛ばして納得させてくれるような勝利ではなかったな、というのが正直なわたしの感想です。
だからこそ、無理目過ぎる状況下で信が龐諼に勝つためには超常現象位引っ張ってこないと説明がつけられないぐらいの大一番だったんだな、とも思っています。
今回は散々不満を漏らしてしまいましたが(原先生本当にすみません‥‥)、わたしは原先生にはあまり世間の読者の意見を意識して欲しくはないと思っています(勝手やな)。
けれども人気作品になるとそれも難しくなってくるのかな、とも思います。
少し話が脱線しますね。
実写映画版を見終わった後に、久しぶりに単行本を途中まで読み返してみて改めて思ったのですが、
わたしは原先生のコマ割りの巧さや、
漫画だけど"行間を読ませる"的な表現の仕方がすごく好きで、
セリフはなにもないけどキャラの視線や風景で伝えてくる描き方が本当にすごいと思っています。
引き算の巧さというか。
映画が大好きな先生なだけに、そういう見せ方が本当に上手いなと。
だからキングダムは何回読み返しても新たな発見があって、何度も楽しめる大好きな作品なのですが、
ここ最近は行間お察しというよりはむしろ説明的なことが多くて、色々詰まってパンパンな感じがするな、と読み返してみて感じました。
ページ数の関係とか、諸事情が昔に比べて多かったり複雑になってきてたり、色々あるんだろうなと勝手ながら思ってます。
今巻に関しては、ネットのレビューを少し覗き見した感じだとそれなりに賛否があったと思われるが故に、
本誌で掲載時はどんな反響だったんだろうかと
原先生のご意見が少し気になるところではあるのですが‥‥
原先生には外野の声を気にせず描き切って欲しいと切に願っています!
ほんと今回は好き放題言ってすみません‥‥。
さて‥‥
本筋の感想の続きに戻ります!
相変わらず長くなり過ぎていますが、もう少々お付き合いください。笑
間の世界で、漂が出てきたのにはビックリしましたね!
そして信を光の穴に落とす前に羌瘣 が抱きつくシーン、目がうるっとしました‥‥!
信を無事生き返らせることができるという安堵の気持ちと、
自分はここで死ぬかもしれないから最後の別れになる、
というさよならの気持ちとが入り混じっているように思えて、羌瘣 にキュンとしました‥‥ 。
最近かなり意識的に羌瘣 がフィーチャーされてきている気がするので、
この鄴攻略戦後の論功行賞で信が将軍になったら、もしや結婚とか?!もありえそうな雰囲気ですね。
象姉が言っていた「2つのいいこと」はちょっと蛇足かなと思いましたが、それ系のことかなぁ、
と緊張しちゃいます。
わたしは何なら知らぬ間に数年が経過してて2人の間には子どもも生まれ、羌瘣 が現場復帰する、ってところで信将軍としての新章がスタートしてもいいぐらいだと思っています!笑
そして蘇った信の「ひょこ」シーンは、ここはシリアスに決めて欲しかったわたしにはちょっとちょっとー!と思わずツッコミましたが、
貂がめっちゃ泣いて震えていたので、ホロリとしましたね‥‥。よかったね、貂。
さて、
生き返ってすぐに鄴へ威勢よく駆けて行った信にはほとほと呆れましたが、笑
鄴は李牧の到着を待ちきれずにタッチの差で陥落。
自ら責任を感じて身を投げてしまった鄴城主には本当に気の毒としか言えません‥‥。
民を守ろうと難民を受け入れたことが災いしたものの、誰がその行いを非難できましょうか‥‥
王翦の間者が食糧焼き払ったやつが効きましたよね‥‥。
次巻は驚くべき方法でその食糧問題を王翦が解決するそうなので、
気になるところです。
次巻でやっと鄴攻め編に一区切りつきそうですね!
論功行賞まで見られるのかな?
新展開が楽しみです!
【メモ】
⭕️李牧の解説によると‥‥
8年前の馬陽での王騎との再戦では、王騎を葬りはしたものの、龐諼1人の"個"の力としては王騎に勝つことは出来なかった。
龐諼は決して未熟だったから勝てなかった訳ではなく、
17年前から龐諼は既に人としての武の極みに達していて、それでもなお王騎に敗れたのではないか‥‥と分析しています。
⭕️羌瘣 の寿命について
始皇11年現在、政と信は23〜24歳となりますので
ひとつ歳下の羌瘣 は現在22〜23歳。
※数え方は[時間軸の整理]記事をご参照ください。
この時代の平均寿命について少し調べてみたものの、明確には分かりませんでした(当然ですよね‥‥)。
記録に残っているような傑物たちは名家の出が多かったため、栄養状態が良い環境で育った故にこの時代でも長生きする人物が多かったそう。
(蒙驁将軍や廉頗は長生きっぽいですもんね。)
亡くなりやすい幼少期を乗り切れば一般的に3、40代で亡くなることが多かったみたいなので、
仮の寿命で計算してみました。
◉羌瘣 (22〜23歳)が残りの寿命の半分を失った場合の新たな寿命
元々の寿命(仮)
|
残りの寿命年数
|
新たな寿命
|
35歳
|
12,13年(÷2)
|
28〜29歳
|
40歳
|
17,18年(÷2)
|
31〜32歳
|
45歳
|
22,23年(÷2)
|
33〜34歳
|
50歳
|
27,28年(÷2)
|
36〜37歳
|
最終的に象姉は「寿命が縮んでしまった」としか言ってなかったので、半分失ったのかどうかは明記されておりませんでしたが、
半分にしてしまうと上記のように割と早めに死んでしまいそうなので‥‥ストーリーに支障をきたしそうですね。なのでぼやかされたのかもしれません。
でも羌瘣 は食いしん坊だから栄養いっぱい摂ってるはず!
そういえば同じ羌族の羌明は、里を出て17年で子どもが2人おり、推定30代でした。
⭕️信の命の炎が消えた瞬間
41ページの4コマ目で、信の耳から血がドロッと出た時くらいからでしょうか。目の玉の色が変わりました。
⭕️57巻の記事で、田有と沛浪を見間違えていることに気づきました。訂正しておきました。似すぎ!笑
⭕️おまけマンガ「輪虎物語」
輪虎も可愛かったけど介子坊の「愛と平和だ」も可愛かった。だから襟のところの模様がハートだったのですね‥‥
⭕️カバー裏:なし