キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

【政の年齢】時間軸の整理 2 【キャラの年齢】

合従軍編が終わり、
羌瘣も帰還したところで一区切り。

新章に進む前に、もう一度時間軸の整理と
政を基準にしたキャラたちの年齢について
まとめておきたいと思います。

前回の「時間軸の整理 1」は8巻までを追ったものだったので、
それを含め、大分さかのぼりますが9巻以降〜34巻までを時系列で追いかけていきます。


◆     ◆     ◆
《注意点》
◆     ◆     ◆  

時系列に沿って、作中の年号表記に照らし合わせながらキャラの年齢を調べていると、途中で微妙に年齢がズレてくることが何度かあります。

作品中に年齢がはっきり記されている場面があるので、そこから遡ったりして計算してみても、どうしてもズレが生じてしまいます。

正確にキャラの年齢をはっきりさせようとして、そのズレの矛盾を色々な角度から考えてみましたが、
何しろ紀元前の中国のお話なので、はっきり"この時期に◯◯は何歳"と明確にすることは不可能なのかもしれません。
現代とは年齢の区切りかたや数え方が違って当然でしょうし。


なので。
ズレが生じた場合は、その都度作中に明記された年齢に修正して進めていきたいと思います。


◆     ◆     ◆     ◆     ◆
《政の年齢と時間軸》
◆     ◆     ◆     ◆     ◆    


【8巻•過去編】
「長平の戦い」
[紀元前260年 9月]
数ヶ月後の正月(紀元前259年)に、政誕生。(1歳)

※中国では、生まれた時から次の誕生日までを一歳とするらしいので、数えどしでの計算をしました。

⇩ (9年)

【8巻•過去編】
秦国王、崩御。(戦神=昭王)
政(9歳)、趙から救出され、秦に。
[紀元前251年]

⇩ (3年強〜4年)

〜政、王位につく(13歳)〜
[紀元前246年]←(秦入国年より1年のズレ?)

※数えどしでの計算だと、救出時の9歳は計算が合うのですが、ここでは14歳になってしまいます‥‥。
はっきり13歳で王位についたとの記述があるので、微妙にズレますが、記述に合わせてここから13歳スタートで調整します。

⇩ (1年〜)

【1〜5巻】
王弟•成蟜の反乱。政(14歳〜)

⇩ (3ヶ月)

【5〜7巻】
信の初陣(魏国攻め•蛇甘平原の戦い)
[紀元前245年]

⇩ (3ヶ月)

【8〜10巻】
呂不韋・政暗殺計画
●貂、昌平君の軍師学校へ。
●信、王騎に無国籍地帯の平定を命じられる。

⇩(約3,4ヶ月)

【11巻】
●信、修業の地を平定
[始皇2年 年末ぐらいから始皇3年 3月まで]

●蒙驁軍出陣  (韓攻め)
[始皇3年(紀元前244年)2月]

●王騎軍出陣(趙軍防衛戦・馬陽〔乾原〕の戦い)
[始皇3年(紀元前244年) 3月]

政(15〜16歳)

⇩ (咸陽から馬陽まで、15日間)

【12〜15巻】
対趙戦(王騎 VS 龐煖)
馬陽近くの乾原にて、決戦(5日間)

【16巻】
●王騎死亡。
●信、馬陽から帰宅(約15日間)

⇩(1年)

【17巻】
秦趙同盟
[始皇4年(紀元前243年)]
政(17歳)
※8ページ「始皇四年 王騎の死から一年の月日が流れていた」
※113ページ「五年たてば俺(政)は二十二になる」

●始皇元年 = 政 13歳 
と考えると、
●始皇四年 = 政 16歳

ですが、
「五年たてば二十二」ならばここで政は17歳のはず。
ここから17歳として進めていきます。

⇩(半年?)

【18巻】
蒙驁軍による、魏の"山陽"攻略スタート
[始皇5年(紀元前242年)]
政(17〜18歳)

⇩(約2ヶ月〜)

【19〜22巻】
対魏・蒙驁 VS 廉頗
流尹平野での戦い(6,7日間)

【23巻】
●蒙驁と廉頗、和睦
●(〜1ヶ月後)羌瘣離脱
●(〜3ヶ月後)貂が飛信隊加入。
●山陽東郡宣言[始皇5年(紀元前242年)]

⇩(約5ヶ月)

【24巻】
向、懐妊
[始皇6年(紀元前241年)]
政(18〜19歳)

※貂加入後、3ヶ月経過。
※李牧と春申君の密会後、1ヶ月経過。

⇩(約4ヶ月〜)

【25〜33巻】
合従軍 VS 秦軍 函谷関攻防戦
[始皇6年(紀元前241年)]

⇩(約2ヶ月)

【34巻】
●羌瘣復帰
●蒙驁死去
[始皇7年(紀元前240年)]
政(19〜20歳)

●向、女児出産
●成蟜の変
[始皇8年(紀元前239年)]
政(20〜21歳)


【注意】⇩マークの()内の数字は、作品内の記述に基づき、
"巻から巻への間"に経過したであろうおおよその期間を示しています。



◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆    
《各キャラクターの年齢について》
◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆    

[1〜8巻まで]
◉政 ⇒14歳〜15歳?
※「時間軸の整理 1」編参照。

[9〜10巻まで]
◉政 ⇒14〜15歳
11巻の「始皇3年」表記から逆算。

[11〜16巻まで]
◉政 ⇒15〜16歳
「始皇3年」の表記から。

[17巻]
◉政 ⇒17歳
〈113ページ〉
「五年たてば俺は二十二になる」発言から。
始皇4年。

◉信 ⇒17歳
◉王賁 ⇒18歳
◉蒙恬 ⇒18歳
〈175〜176ページ〉
「六大将軍王騎が死して
一年と半年ー 玉鳳隊 王賁(齢十八)  飛信隊 信(齢十七)  "白老"蒙驁の孫にして蒙武の長男である楽華隊 蒙恬(齢十八)」表記から。

★王騎の死は、始皇3年の3月〜4月頃なので、始皇4年の9〜10月頃の場面ですね。
信と政は同い年。

[18〜19巻まで]
◉政 ⇒17〜18歳
「始皇5年」の表記から。

[20巻]
◉政 ⇒17〜18歳
◉信 ⇒17歳
◉羌瘣 ⇒16歳

★巻末に信と羌瘣の年齢明記あり。

[21〜23巻]
◉政 ⇒17〜18歳
「始皇5年」の表記から。

[24〜33巻]
◉政 ⇒18〜19歳
「始皇6年」の表記から。

[34巻]
◉政 ⇒19〜20,20〜21歳
主に、「始皇7年」・「始皇8年」の表記から。

*  *  *  *  *


つまり、34巻時点でのキャラクター年齢は、
政を基準にして計算すると

◉政 ⇒20〜21歳
◉信 ⇒20〜21歳
◉羌瘣⇒19〜20歳
◉王賁 ⇒21〜22歳
◉蒙恬 ⇒21〜22歳
◉向 ⇒17〜18歳
◉陽 ⇒18〜19歳


ってところですね。


◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆  
元号から考える政の年齢》
◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆    

たとえば平成の日本だと、
天皇が代わった時に元号が変わります。平成元年から始まり、翌年の1月が来て平成2年、平成3年・・・
と続きます。

この数え方で政の年齢を考えると、

始皇元年(紀元前246年) = 13歳
始皇2年(紀元前245年) = 14歳
始皇3年 (紀元前244年) = 15歳
始皇4年 (紀元前243年) = 16歳
始皇5年 (紀元前242年) = 17歳
始皇6年 (紀元前241年) = 18歳
始皇7年 (紀元前240年) = 19歳
始皇8年 (紀元前239年) = 20歳

となりますが、
17巻では、始皇4年で政は17歳。

34巻では、
135、136ページで呂不韋
「これより一年半後の式典じゃ
(略)『加冠の儀』じゃ
王が成人の年を迎え〜(略)」

と言うセリフから、(成人は22歳なので)この時政は20歳なかばと考えられます。

そして157ページ、
●「暦は新年に入り すでに春にさしかかろうとしていたが〜(略)」
●「始皇八年(紀元前239年)
政と呂不韋の戦いはこの年からいよいよ"決着"に向けて加速する」

という表記から、
政月生まれの政は21歳になっているはず。

この時代の正確な年齢の数え方がちょこっと調べてみてもよく分からず、何回考えてもズレてくる‥‥。

まあ、現実的にこの時代のことを正確に表せる訳もないということで、とりあえずズレのことは置いておきます。

以上のような理由から、政をはじめ、各キャラたちの年齢も1歳だけ幅をとっておきました。


・・・それにしても、未だ貂の歳が謎!



◆     ◆     ◆     ◆    
《貂の年齢は?》
◆     ◆     ◆     ◆    

手がかりとして、5巻巻末の番外編で
「オレより若干年上の奴(信)が〜」
と貂が発言していたことから、
信より2,3つ下ぐらいかと想像できます。
4つ以上離れると、子供的に「若干年上」どころじゃないでしょうし。
(とはいえ、見た目は8歳ぐらいにしか見えないけど‥‥。)

そうすると信14歳時、貂は11,12歳ぐらいでしょうか。

"呂不韋の政暗殺計画"時のことを思い出してみます。
伽タイムだった当時12歳(!)の向ちゃん、
刺客として現れた当時13歳の羌瘣、
この2人と並んでも、見た目的に貂が同じ年齢とはとても思えません。
羌瘣にはチビ助と言われる始末。
成長の遅い12歳‥‥としても無理があるし、
やっぱり少なくとも11歳か、もしかしたら10歳ぐらいかも?

その場合、5歳で祖父を亡くして天涯孤独となった貂は、5,6年もあの黒卑村で1人生き延びてきたことになりますね。
貂、すごすぎる‥‥!

しかし。
貂が軍師学校に行っていた期間は、およそ2年半ぐらいです。
王騎の死後、一旦信の家に休みをもらって帰ってきていますが、
それから約1年の間に成長しちゃったらしいので、
もし連載当初10歳だったら、12歳で軍師ってちょっと無理があるというか、あり得なさすぎなので、
妥当な線で11歳→13歳、ってところでしょうか。

現代日本に置き換えて、
(成長の遅い)小学5年生→(発育してきた)中学1年生
って感じですかねぇ。
‥‥あくまでわたしの想像ですが。
この仮説でいくと、
34巻時点で貂は17歳ぐらいですね。

しかしながら、
貂の年齢の想像をしていると、
軍師として飛信隊に現れたとき、
反発した飛信隊のメンバーたちの感情にも頷けます。。。

中学1年生に、命を預けるなんて‥‥!

ま、戦国時代と平和な現代の日本を比べるのも
おかしい話なんですけど。
(向ちゃんなんて12歳で伽ですからね!)


連載当初、原先生的には貂をフェードアウトさせる予定だったそうなので、
もしかしたら当初、明確には貂の年齢設定をしていなかったのかもしれませんね。

いずれ年齢表記はあるのでしょうか?
地味に気になるところではあります。

しかしながら、わたしはコミックス派。
わたしが知らないだけでヤンジャン本誌や他媒体等で原先生が貂の年齢に言及している事が今までにあった可能性もありますので、
あくまでここの内容はコミックスから読み取るわたしの勝手な推測ということで。

コミックスが何より楽しみなので、本誌ネタバレが怖くて検索もままならぬビビリっぷり。
もし貂の年齢がどこかで明記されていた場合はご容赦ください‥‥そしてどなたか是非教えてください!


*  *  *  *  *


また、追加事項があればその都度付け足していきたいと思います。

キングダム 34巻 「別の道」

*ネタバレあり*


羌瘣仇討ち編の続きから始まる34巻。

様々なことがありましたが、
何はともあれ
羌瘣帰還に胸沸き躍る嬉しさです。

そして物語は、
ここから一気に進行速度がサクサク速まり、
政の"加冠の儀"まであと約1年!

しばしなりを潜めていた呂不韋が、
本格的に動き始めます。

では、あらすじから。



【あらすじ】
最深の巫舞を幽連に破られた羌瘣。
呼吸が尽き苦悶する羌瘣は、
巫舞無しでほぼ無尽蔵に呼吸を保つことができる幽連の強さに対し、納得がいかない。

幽連は、5年前の"祭(さい)"について語る。

5年前の"祭"で幽連が他の氏族と手を組み
羌象を討った後、
"祭"の最後まで生き残ったのは、
幽連と、幽連の実の妹だった。
そして幽連は蚩尤の力を得るため、
実の妹を手にかけ、蚩尤となった。

蚩尤一族の巫舞は、
精神を内なる深い部分 へ向け、
人の持つ秘めたる力 を引き出す術である。
意識を"外"から乖離させ、
集中力を研ぎ澄ませるために
特殊な呼吸法と"神堕としの舞"により
意識を陶酔の中に落とし込むことが必要となる。

"意識を外に縛りつける鎖=感情"
を強制的に断ち切ることで、
意識を外部から引き離し 内に向けさせることが
できるのだという原理から、
"祭"では同族の村から2人が選出されるという
ならわしがあったのだ。

実の妹が最後の相手となったことにより、
完全なる"情"の排除を可能にしたという幽連。
羌象を既に失った羌瘣に、
自分と同じ条件を満たすことはもはや不可能であり、自分を超えることは決してできないとほくそ笑む。

そして羌瘣は幽連に激しく殴打され、
意識が飛びかけていた。

失われゆく意識の中で、
敗北を覚悟する羌瘣。

実の妹を手にかけてまで手に入れた幽連の力に対し、
甘い自分とは違いすぎることを痛感。
それに抗う力ももはや持たない羌瘣は、
遠のく意識の中、死を覚悟する。

真っ暗に落ちて行く意識の中‥‥

羌瘣の脳裏に小さな光が見える。

光の先には、
信、尾平、昂、田有ら飛信隊のメンバーがいた。

その光のおかげでひとつの真理に辿り着いた羌瘣は、意識が戻り再び立ち上がる。
そして、
かつて羌象が自分を殺すためにあみだそうとしていたという術を繰り出し、
最後の巫舞を始める。

その術とは、"ハク領"と呼ばれる
"巫舞で落とし込める最深の限度の領域"
をも超える巫舞であり、
かつて羌象はその禁を冒し意識不明の状態に陥ったことがあった。

羌瘣は、薄れゆく意識の中で見た一条の光の存在を頼りに、
深く、ハク領の領域を超えて意識を落とし込み、
ハク領の禁を超えた巫舞でついに幽連を討ち取ったのだった。

5年をかけて、とうとう仇討ちを達成した羌瘣。
事後の処理や報告は羌明に任せることにし、
羌瘣はようやく帰途につく。
羌瘣が飛信隊を離れて、392日が経っていた。



副長・羌瘣が戻り、歓喜に渦巻く飛信隊。
かつての仲間達や、軍師となって加入してきた
貂らは喜びを分かち合う。

飛信隊に戻った後の羌瘣は、武功を挙げまくり
快進撃を続ける。

隊に戻る前に"2つの目標"を立てたと話す羌瘣。
信と同じく「将軍を目指す」と宣言し、
信や貂を驚かせる。

2つ目の目標はと信が聞くと、羌瘣は
「信の子を産む」
と爆弾発言。
子作りの方法について象姉から間違った知識を
教えられ勘違いしていた羌瘣は、
貂から詳しく正しい内容を聞き、
赤面しながら当分の間 信を避けるのだった。

始皇7年、前半は特別大きな戦は起きず、
静かに時は過ぎていく。

そんな折、蒙驁将軍が死去。
蒙恬や信が見守る中、心穏やかにこの世を去る。

ほどなくして咸陽では、向が女児を出産。
咸陽では祝賀ムードに包まれた。

そしてさらに1年が過ぎ、始皇8年。

王弟・成蟜の第一夫人である瑠衣(るい)が
曽祖母の80歳の祝いのため、
10年ぶりに"屯留(とんりゅう)"へ帰郷していた最中のある日、
突然趙軍が秦に向けて出陣を開始する。

合従軍の戦の後、中華全ての国が内乱を収めることに集中している中、
李牧が一時的に宰相の職を離れ、最も国内が揺れ動いているはずの趙が動き出したことに
咸陽では誰もが意表をつかれていた。

そして趙のその軍は、2万ほどの軍で
"屯留"を目指していた。

"屯留"は、古くは趙の領土であったため、
一帯の住民には半分は趙の血が流れている。
このため、仮に"屯留"が趙に奪われれば、
一帯がこぞって趙に寝返る恐れがある、
と危惧する呂不韋

タイミング悪く"屯留"へ駆けつけることのできる将軍が出払っており、
対策に悩む首脳陣に対し、
呂不韋は「"サイ"攻防戦の時のように大王が再び出陣してはどうか」
と無茶な提案をする。

呂不韋に何か企みがあることは明白であり、
昌文君は猛反発するが、
そこに成蟜が現れ、自らが出陣すると宣言。
政たちは驚くが、
成蟜の妻である瑠衣が"屯留"に帰郷しているタイミングであったこと、
瑠衣の夫である成蟜は現地で人気が高く、
士気をあげる人物としては最適であること、
を考慮し、成蟜に出陣を任せることになった。

しかし、成蟜に"屯留"の沈静化を任せて送り出したものの、
政は、今回の趙軍の動きに何か違和感を感じていた。

そして数日後。
"屯留"に到着した成蟜軍は、趙軍を半日で撃退。
趙軍はあっさりと全軍を退却させる。

事がうまく運び過ぎなことに違和感を感じる成蟜だったが、
"屯留"の住民たちは喜びに沸き、成蟜を歓迎する。

そして城主代行を務めているホカクという男が成蟜を出迎えるが、
そこに瑠衣や瑠衣の曽祖母の姿は無かった。
不審に思った成蟜は2人のもとに連れていけと命じる。
しかし、連れていかれた先でホカクは態度を一変させる。

何と、ホカクは成蟜が連れて来た兵の一部や
龍羽将軍と通じていた。
そして裏切り者達とホカクが呼び込んだ衛兵たちは突然反逆を起こす‥‥。


5日後、咸陽に"屯留"の異変の報が届く。
咸陽では、"成蟜が突然反乱を起こした"
と伝えられ、
呂不韋はここぞとばかりに成蟜一派を抑圧しようと動き出す。

一連の動きに疑念を抱く政。
政は、趙もからんだ呂不韋の陰謀ではないかと
訝しみ、
おそらく罠にかかったのであろう成蟜を救出するため、
飛信隊に早馬を送るーーー。



* * *



おかえり、羌瘣‥‥!

5年にわたる羌瘣の仇討ちの旅が、
とうとう終結しました。

今となれば、幽連も"祭"にとらわれた、
哀しい人間だったのかもしれません。

羌瘣もかつては"祭"の掟を信じ、掟に従って生きてきました。
バァから"祭"までの命だと言い聞かされて育ち、
外の世界を夢見る羌象のために命を捨てる覚悟でした。
しかし、羌瘣を殺したくない象姉のとった行動から始まり、"祭"で
"突出した才能を持つ羌瘣の不参加"

"掟破りの手組み"
が黙認された事実を知り、
掟が絶対だと聞かされて生きてきた羌瘣は
怒り狂い、仇討ちのために里を飛び出し、
現在に至るのです。

幽連は、
蚩尤になりたくて、力が欲しくて自らが描いたシナリオのはずなのに、
蚩尤となった後、人格が崩壊し手がつけられぬ状態になってしまったのは
結局、羌瘣が言うようにそれだけ幽連と妹の絆は深かったのだと思います。


羌瘣と象姉の絆も負けずと深過ぎたからこそ、このような結果になってしまった訳なのですが、
瀕死状態の羌瘣の脳裏に、飛信隊の姿が浮かんだところはジーンときましたね‥‥。

象姉を想う羌瘣だからこそ、仲間を想う気持ちも当然強くて、
飛信隊で築いた仲間との絆は深く沈む意識の奥で一条の光となって羌瘣を支えていた。

「私の帰る場所は‥‥ もう他の所にあるんだ‥‥」

‥‥泣けました。


しかし羌瘣、ガスガス殴られてましたねー。
可愛い顔がとんでもないことになってました。
そのせいなのか否かは謎ですが、第361話から第363話までの羌瘣の顔が変貌を遂げすぎて定まってないのがちょっと気になりました。
(なんかボールみたいな顔が多かった。)

でも無事に飛信隊に戻った時は、
いつもの羌瘣でしたね。
喜びに沸き立つ仲間たちに、大分照れてる姿が可愛すぎます。
喜びすぎの尾平に、信が肘で突き飛ばされてるシーンが笑えます(69ページ 5コマ目)。
良かった。
本当に良かった。

さて、ここから本格的に気になり始めたのが
信 × 羌瘣 × 貂 の関係。。。

最高に男くっさいのが魅力のキングダムに恋愛要素は不要だと思っていた私でしたが、
原先生的にはどちらかを信の相手に決めるようなので、
そうと知ってしまったからには話は別です。

羌瘣が帰ってきたら、貂はどうするんだろう‥‥、羌瘣離隊後、蒙毅のかわりに臨時で派遣されたようなもんだったから、
軍師学校に帰るのかなあ‥‥
などといろいろ想像していましたが、
普通に残ってましたね。

そして34巻のハイライト‥‥
羌瘣の

「お前の子を産む」

発言!!

これは衝撃的でした!!!笑

羌明の話からちょっと興味を持ったからだろうけど、象姉に適当なことを教えられて子作りの何たるかを知らぬまま言っちゃうところが可愛すぎ。
挙げ句貂に真実を教わって自分が言ったことの意味を知り、信を避けまくる始末(笑)。
そして満更でもない信(笑)。


しかし、信と羌瘣のいつもの剣の打ち合い稽古(このシーン、好き)の様子を見ながらも、
あえて無関心を装うかのように茶をすする貂、
何やら複雑な心境なのでは。

そもそもは羌瘣のように強くなりたくて、
強くなって信のそばにいたくて、
羌瘣に弟子入りしようとしていた貂。
かわりに軍師への道を紹介してくれたのも羌瘣でした。

晴れて軍師になって飛信隊に入隊した貂ですが、
本当は羌瘣のように、隣で一緒に戦いたかったんだろうな‥‥。
いつだって、貂は健気なのです。
自分がなりたかった立ち位置にいる羌瘣を見つめる貂は、なんだか切ない。

さてこの3人、今後どうなっていくのでしょうか。。。
お手やわらかにお願いしたいものです。。。



さて、羌瘣が戻り、
蒙驁が死去して向ちゃんが出産し、
一気に物語は進行します。

蒙驁じィちゃんと蒙恬のシーンには
ホロリときました‥‥。
(あれ、蒙毅は?)
蒙武の献杯シーンもグッときました。
(回想のちび蒙武、可愛すぎです)


合従軍という中華史上でも稀に見る大戦が挟み込まれたため、
そもそもの始まりであった国家内乱の首謀者・呂不韋の存在が霞んでいましたが(実際、合従軍編での呂不韋は超小物に見えた)、
これからひと波乱ありそうな予感。
僻地に飛ばされた李牧も予言しています。


そして成蟜に、まさかの見せ場が!
しかも嫁、超絶美女!
なんかちょっといいヤツになった成蟜ですが、
呂不韋の罠にかかったっぽい様子。

原先生が言っていた、"史実にある成蟜の反乱"
はこのタイミングだったんですね。
(※公式ガイドブックの回 参照)

もともと趙の商人だった呂不韋は何やら怪しい動きを見せはじめ、李牧不在の趙の王宮大臣を買収しているっぽい感じです。

キモ男・ホカクに目を付けられた瑠衣と、
まんまと嵌められた成蟜はどうなるのか?

次巻へ続きます。





【メモ】
⭕李牧、合従軍敗戦の責任を取らされ、一時宰相の権利を失い僻地の監督業務に就いている。

⭕政と向の子、麗(れい)誕生。
確か向の前に、第一子がどこかの宮女との間に生まれているはずだが、触れられていない。

⭕呂氏陣営のモブ大臣たちの会話で、
「昌平君だ やはりまずは四柱の昌平君を
もう一度陣営の中心に」
「オオ そもそもあの方の後ろにも巨大な‥‥」
(第367話 124ページ)
とある。
昌平君、やはり合従軍戦で呂不韋よりも国を優先したばかりに、
陣営の中心から外されている?
そして昌平君のバックには巨大な誰が?

呂不韋、政が22歳になる"加冠の儀"の式典にて国を乗っ取る計画。

⭕始皇8年(紀元前239年)、春に差し掛かる頃、
成蟜の反乱が起こる。

⭕おまけマンガ「狼牙がゆく 3」

⭕カバー裏は表紙側が羌瘣のハチマキ、
裏表紙側はおまけマンガ「狼牙がゆく 3」の続き。

キングダム 33巻 「不抜」

*ネタバレあり*


長きに渡って続いた合従軍編、
ついに完結です。

サイに入ってからの盛り上がりには、
結構泣かされました。。。

政たちと山の民との関係にもグッときます。

戦が落ち着いてからは、
待ちに待った羌瘣仇討ち編。
(早く帰ってきて!)

大戦の後だから中だるみしそうなところに
羌瘣を差し込んでくるあたり、
原先生の展開の進め方がニクい‥‥!

では、あらすじから。


【あらすじ】
連日の戦の疲れを背負いながらも、龐煖との一騎討ちに挑む信。

麃公将軍の置き土産で片腕を負傷している龐煖に対し、
信は、龐煖自身ではなく龐煖の"矛"を狙って
全力で剣を叩きつける。
反動で体勢を崩した龐煖の隙をつき
剣を刺し込んだ信は、
わずかに退く龐煖に対し、
龐煖の顔面に一太刀浴びせることに成功。
龐煖は矛の柄で信を殴打し、その体を吹き飛ばすも、信は再び立ち上がってみせる。

明らかに格下とみていた信に深手を負い、
戸惑いを見せる龐煖。

その時、李牧軍が割って入り、
一騎討ちの体が崩れる。
そして李牧からの"全軍退却"の指示を伝えるため晋成常(しんせいじょう)が現れ、
龐煖の一騎討ちの継続を制止。
晋成常から聞いた李牧からの伝言を受け、龐煖は退却していった。

楊端和らは龐煖を追おうとするも、
そこに晋成常が割り込み、妨害。
そこから晋成常率いる趙軍と山民族との乱戦になる。
しかしながら、山民族の圧倒的武力の前に
もはや戦局は覆ることなく、
晋成常は討ち死にし、趙軍は全軍退却したのだった。

ついに李牧軍を撃退した秦軍。
サイでは喜びと歓声が沸き立つ。

バンコ族との山界の大戦を投げ出してまで
駆け付けてくれた楊端和に、
心からの感謝を伝える政。
住民たちも、頭を下げる政にならい、
楊端和ら山民族に対し敬意をはらうのだった。

その夜、サイの城では住民たちと山民族とで
宴が開かれ、秦の勝利を祝う。
翌日も政は一日中サイを回って住民たちをねぎらった。
そしてその翌日、楊端和とのまたの再会を誓って、咸陽へ戻るのだった。

一方、
サイから退却した李牧軍が4日をかけて函谷関前の合従軍へ合流した後、
合従軍は全軍函谷関から完全撤退。
総司令である春申君は、
合従軍の"落としどころ"をつけるため
秦で軍の解散はせず、
"離反国・斉"を裏切り者とし、侵攻することに。

次は合従軍 対 斉 の全面戦争になろうとしていた。

しかし、合従軍の背を追う蒙武軍の猛追により、
斉の被害はそこまで拡大せずにおさまり、
斉の都市・饒安(じょうあん)を落としたところでようやく合従軍は解散するのだった。


それから、一ヶ月の月日が経った。

咸陽では、此度の合従軍戦に対する
論功行賞が行われる。

今回の戦いでは、
各所の将をつとめた
蒙驁・張唐・桓騎・王翦・蒙武・騰・麃公
の七将の功績に序列をつけることは難しく、
一将を除き六将には等しく
国防の"特別大功"が授けられた。
そしてこの大戦の第一功は、
ひときわ武功の厚かった蒙武に与えられる。

次に、今回の論功行賞では、
この七将に継ぐ三つの"特別準功"が与えられた。

一つ目は、サイの住民へ。
二つ目は、山の民の王・楊端和と、その一族へ。
そして三つ目は、何と信に与えられた。

信は、
初戦で趙の万極将軍を討ち取り、
その後南道の李牧軍を麃公と負い、そこで戦い刻をかせぎ、
サイでは最激戦区となった南壁の将として守り抜き、
最後には三大天・龐煖に立ち向かい、一騎打ちの末に秦国の武威を示した、
という多くの功績により
三千人将へ昇格となるのだった。


半月後。
三千人隊となった飛信隊は、千人将・岳雷(がくらい)を含む麃公兵が加わり、
信はいつにも増して張り切っていた。

新生飛信隊が、
合従軍の侵攻による復旧作業と
敵軍からの防衛にあたっていたその頃・・・

場面は切り換わり、
趙国、老眉(ろうび)。

象姉の仇討ちのため、現蚩尤・幽連を追っていた羌瘣は、
かつて"祭"から脱走し、現在は外界と羌族をつなぐ一団の人物・羌明(きょうめい)に会い、
幽連の所在に繋がる情報を聞き出そうとしていた。

羌明は、かつて覚悟が足りずに恐ろしくなって"祭"から逃げ出した自分の素性を羌瘣に語る。

追っ手を返り討ちにし、
命からがら逃げ延びた羌明は、
羌族から"一族のために一生を情報役として
つとめるのであれば見逃す"
という取り引きを受け、
外界で暮らしている一団の長となっていた。

秦に家を持ち、夫や2人の子どももいると話す
羌明に、
羌瘣は興味を持つ。

外界を夢見て"祭"で命を落とした象姉のことを
思うと、
羌明のやり方は狡いと感じる羌瘣だったが、
がむしゃらに生きるその生き方も
一つの道としてあってもいいのではないか、と
羌明に語り、
羌瘣の言葉に対し礼を言う羌明だった。

羌瘣は、羌明から幽連の根城の場所を聞き、
"老山"へ向かう。

幽連は、蚩尤となった後に人格が崩壊したという。
初めは魏王に抱えられたが、
手に余った魏王は幽連を追放。
その後趙へ流れ、幽連はもはや手がつけられない状態となっているらしい。

羌瘣は老山に入り、ついに幽連と対峙。

羌瘣が自分を追っていることを知っていた幽連は、22人もの一族の巫舞使いを呼び寄せ、準備していた。
あえて情報を流し、羌瘣をおびき出したのだという。

幽連は羌瘣を挑発し、一族の手下と戦わせる。

羌瘣が巫舞を使うと、手下達では相手にならず、
羌瘣はついに幽連まで辿り着く。

最深の巫舞で幽連に向かう羌瘣。
しかし、幽連は羌瘣の動きを見破り、
羌瘣は呼吸が尽き巫舞が解けてしまう。

才能がずば抜けていても、
祭をくぐっていない羌瘣の巫舞はままごとだ、
と罵る幽連に、羌瘣はその場に崩れ落ちるーー。



* * *



サイ、"不抜"となりました。(涙)

信×龐煖もどうなることかと思ったけど、
麃公さんの置き土産のおかげで善戦!
まさか龐煖の顔面に傷を負わせるなんて、
びっくりしました。

ちなみに信が龐煖に一撃を入れる時、
羌瘣が微笑む顔とリンクしますが、
何この通じ合ってる感。。。(ドキドキ)

しかしこの時のための麃公の死だったのかと思うと、
今後の展開も含め物語のつながりが壮大すぎて胸が詰まります‥‥!

端和様のシーンも痺れました。

🔴晋成常 : 「山猿風情が 許さぬぞ
部外者の貴様らのせいで
今 この時 中華の歴史がねじ曲がってしまったことが理解できておるのかァ!!」

🔴楊端和 : 「当然理解している!

だが これは気まぐれな干渉などではない

四百年前の秦王 穆公(ぼくこう)の生んだ盟
そして現秦王とこの楊端和の結んだ同盟によるものだ」

🔴晋成常 : 「そ‥‥そんなも」

🔴楊端和 : 「それ以上さえずるな
平地の老将よ」

「黙って貴様らは敗者として史に名を刻め」


くっ‥‥!!カッコよすぎるよ端和様!
次の次のコマで尾平・去亥・慶の3人も
頬を赤らめてやがるぜ!!

そしてハニワ男・晋成常はバジオウに殺られちゃいました。

李牧も山民族の登場によりついに退却を決意し、
まさかの合従軍敗戦の将となりました。


政と楊端和のシーンは良かったですねぇ。
政の振る舞いを見た秦兵・サイ住民たちが
山の民に敬意をはらうところにもグッときました。
端和様が望んでいた、"外界との交流"の
大きな第一歩が、今ここに!

さりげに端和様を見ては終始顔が赤い壁(へき)でしたが、恋バナ大好き介億先生にさっそく目を付けられていたところが笑えます。

ボロボロになったサイの城下を見つめながら
政が信に弱音を吐くシーンも、今後に生きてきそうな良いシーンでした。

自分がたきつけたせいで、サイの人口の半分を失わせたという現実に胸を痛ませる政に対し、
信が話します。


🔴政 : 「やはり違うものだな
王宮にて報告で知る戦争と
実際に目の当たりにする戦争は」

🔴信 : 「‥‥当たり前だ
そこで何も感じねェ奴は頭がどうかしてるし
そんな奴は絶対に人の上に立っちゃいけねェ

‥‥‥ たしかにお前にそういう計算があったのは本当だろうよ
だけどな 政 オレは途中から思ってたんだ

民もバカじゃねェ
連中も乗せられてることに気づいてんだろうなって

気づいてなお
あんなに目ェ輝かして最後まで戦ってくれたんだと思うぜ」



信がこう言い切ったことで、
政は大分救われたんだろうな。

2人の友情も熱いぜ‥‥(涙)。



そして論功行賞です。

なんと信が"特別準功"受賞!!

功績を政が読み上げる時、
内容から既に信のことであると分かります。
分かって聞き入っている昌文君の表情に、
何故だかわたしの涙腺はゆるみました。
もう、息子だか孫だかを見るような目です。。。

信はめでたく三千人将昇格で、
壁にも並びました。(青ざめる壁。笑)


そして合従軍が去り、平穏が戻った秦。
新生飛信隊には、麃公兵が500人加わり、
戦力増大!
新キャラ・岳雷(がくらい)千人将と
ちょっとヤンキーちっくな我呂(がろ)が登場。

「飛信隊の軍師が小娘というのには驚いた」
と話す我呂は、
さらにその女軍師は剣もかなりの使い手らしいとどこかで聞いたらしく、
噂では貂と羌瘣がごっちゃになっているもよう。

(まあ、貂がくるまでは羌瘣が飛信隊の軍師的役割を担っていたし、更に凄腕の剣士ということで、あながちその噂は間違ってはいないけどね?)

羌瘣を思い出し、尾平、慶、昂、田有らが思いを馳せるシーンで、
貂だけが複雑な表情‥‥
(嫉妬か?まさか嫉妬なのか?)。

尾平が羌瘣に早く会いたいよー!と叫ぶ場面から、
物語の場面は羌瘣のいる趙・老山へと移ります。


まず、
ちゃんと仇討ち描いてくれるんだ!
とテンション上がりました!

象姉の仇である幽連に、やっと辿り着いたところから仇討ち編が始まります。

少しだけ時がさかのぼって。
羌族の協力者・羌明と出会うシーン。

かつて"祭"から逃げ出した自分の過去を、
本音で語る羌明に、羌瘣は少し興味を持ったようです。

さらに羌明には秦に家庭があり、子どもも2人いると聞き、
「子供とかいるのか‥‥二人も‥‥」
「へー 子供‥‥って どう‥‥」
とか何とか、ひとりで微笑みながらつぶやく羌瘣。
何やら子供に興味を持ったもよう。

‥‥ここでの会話がきっかけとなり、
後に爆弾発言をすることに繋がるという
衝撃の事実は、まだ本人も知らない‥‥笑



羌瘣は、同族の者と話す時は
年相応の少女に見えますね。

象姉が死んだ時に自分の中の何かが壊れた、
と羌瘣は以前信に話していましたが、
今でも里のバァや識や礼と話す時、
そして今回羌明と話している時の
羌瘣の表情と口調は、どこかやわらかい。

飛信隊にいた時なんて、無愛想な上に
口調も固かったので、
このあたりのギャップも興味深かったです。


そしてついに積年の思いを果たすべく、
幽連と対峙する羌瘣。
用意周到な幽連は、幽族から手下どもを22人も
引き連れてきていました。

幽連は高みの見物で、
羌瘣を見下ろしながら挑発します。

🔴幽連 : 「こいつはもう一人の代表だった
象(しょう)という女のせいで"祭"に出られなかった

こいつに勝てないと踏んだ象に香(こう)で眠らされたのさ
アッハハハハ」

🔴羌瘣 : 「!!」
「違う 象姉は私と戦いたくなかったからそうしたんだ
勝てないとかそういうことじゃない」

🔴モブ幽族手下 : 「ブハハ
そりゃァ本人に聞いてみねェと分かんねェだろ

あーでも もうそいつ おっ死んでんだっけ?」

🔴羌瘣 : 「‥‥貴様」


このやりとり、非常に腹立たしくもありましたが、
妙に頷かされる考えでもありました。

確かに、象姉は妹のように思っていた羌瘣と戦いたくなかった。
しかし他に自分たちより強い相手が見受けられなかったことから、
羌瘣と戦うことになるのは必至。

羌瘣の性格をよく知る象姉は、
羌瘣が"祭"で自分を初めに狙うとは思えず、
(羌瘣自身も、象姉が生き残るために他の氏族を先に片付けるつもりでいた)
自分と戦うころには羌瘣の呼吸は尽きかけているだろうと予想。
どうしても羌瘣を殺したくなかった象姉は、
香で羌瘣を眠らせ、
ひとり"祭"に出向いた。
羌瘣の才能が突出していることを知っていた他の氏族のバァ達も、羌瘣の不参加を黙認した。

これが5年前の"祭"での出来事でしたが、

読者の私たちは、羌瘣の思いも、象姉の葛藤も
知っているからこんなのは挑発にすぎないと
分かるけれど、
知らなかったとしたら、
幽連が言うように、羌瘣に勝てないと見越した象姉が香を盛った、
と考えられなくもないですもんね。

羌瘣にしてみれば、象姉の思いは自分の想像でしかなかった。
そこにこんな侮辱と挑発を受ければ、怒りで我を忘れてしまってもおかしくないぐらいです。

しかし、想像以上にというか、想像通りに
羌瘣が象姉を信じる思いは強く、
自分の想像は確信だったため、あまり意味は無かったようですが。

さらなる挑発にも負けず、羌瘣は冷静に
巫舞を使わずにできる限り素の呼吸法だけで手下共を斬っていきます。

そして幽連との決戦へ。

ところが予想に反してめちゃくちゃ強い幽連!!

羌瘣の最深の巫舞が破られてしまい、
大ピンチに!!


🔴幽連 : 「卑怯な手を使う私は弱いとでも思っていたのか?

それとも姉への愛が力になると思ったか?
怒りが力になると思ったか?
そんなままごとが蚩尤に通じると思ったかクソガキ」

🔴羌瘣 : 「‥‥何だとっ‥‥」

🔴幽連 : 「巫舞とは
精神を内の深い所へ向け 人の秘められた力を
引き出す術だ

その集中力を生むために 特殊な呼吸法と
神堕としの舞で意識を陶酔の中に落とし込む

ならば 怒りだの愛だの
感情のさざ波は意識を外に縛りつける鎖以外の何物でもない

巫舞が意識を外から乖離させ
内に向けさせるためだけのものならば
そこを縛りつける現世のしがらみ
情だの何だのを断ち切れば話は早かろう

それを強制的にやろうと考えて作られたものが何かーーー

分かるか小娘」

🔴羌瘣 : 「‥‥ "祭"か」

🔴幽連 : 「その通りだ」

「今の私は助走なしに巫舞と同じ領域まで落とせる」

🔴羌瘣 : 「!」

🔴幽連 : 「"祭"をくぐったからだ」

「生まれ持った才能はお前が一番なのだろう
だが肝心の"祭"をくぐっていない
お前は本物の蚩尤になり損ねたんだよ間抜けが」




‥‥思ってた。
卑怯なオマエは弱いと思ってた。
愛だの怒りだのが力になると思ってた。

幽連、めちゃくちゃ強かった‥‥!!

羌瘣、どうなる?!



次巻へ続く。




【メモ】
⭕信、"王騎の矛"と"麃公の盾"を、
"信用できるダチ(政)"のところに預ける。

⭕信、三千人将へ、
王賁、三千人将へ、
蒙恬、二千人将へ昇格。
蒙恬、地味に値千金の活躍してるのになー。

⭕飛信隊・竜有、料理が得意と判明。

⭕幽連による"五年前の祭で最も蚩尤の座に近いと言われていた女"発言により、
羌瘣の現在の年齢は18歳と判明。
("祭"の時13歳だったことから。)
ちなみに羌明は32歳前後と思われる。

⭕おまけマンガ
「クイーン 端和様」

⭕カバー裏は、
ワンポイントでバジオウ、
裏表紙は信、政、羌瘣、貂プラス何故かオギコ。笑

キングダム 32巻 「開く城門」

*ネタバレあり*



まずこの巻を開いた瞬間に
目に飛び込むカラー昌文君に、
いきなりの不吉な予感!

いよいよサイ攻防戦最終日です。

2巻連続刊行して欲しかったぐらいに
盛り上がりをみせた32巻。


では、あらすじから追っていきます。


【あらすじ】
サイ攻防戦、2日目の夜。
初日の徹夜防衛戦の影響により、兵たちは重い疲労に悩まされていた。
李牧軍は、絶えず秦軍を休ませぬよう
再び夜襲をかけるそぶりをし、
秦兵たちの気力・体力を奪っていた。

その夜、眠れぬ民兵たちの前に、
突然大王・政が現れる。

どうせ皆が眠れぬのならば、
ねぎらいの言葉をかけようと城内を回る政の姿に、民兵たちは涙する。

続いて麃公兵のもとを訪れる政。
麃公後追いの捨て身の考えを捨て、
後世に英雄・麃公の生き様を伝えるためにも
必ず生きてサイを守りぬけ、
と鼓舞する。

政の巡回の効果で、疲れた兵たちの士気
再び高まるのだった。


同じ夜、信は昌文君にこの戦の展望について
尋ねる。
昌文君は、根拠のない数字ではあるが、
"8日"をしのげは活路が見える算段だと答える。

気が遠くなるほどの日数に、もはや"奇跡"を信じるしかない2人だった。

そして3日目。
政の連夜のねぎらいにより、
民兵たちは疲労の限界を超えて戦意を覚醒させ、
再び李牧軍を押し返しはじめる。
3日目、4日目ともにサイは陥落することなく
防衛を維持。

尋常ならざる士気の高さを保つ秦軍に対し、
李牧は、兵たちの士気を高める人物が何者であるのかを予想しながらも、訝しんでいた。

そして5日目。
"本当の限界"を超えて民兵たちは次々に倒れ出しはじめる。
精根尽き果てる寸前の兵たちの前に、
なんと政自らが前線に現れ、檄を飛ばす。
政は、自分にできる最後の手段として、
限界を超えた民兵たちを再び立ち上がらせるために危険を承知の上で現れたのだった。

少年兵が狙われている場面に遭遇した政は、
自ら剣をふるい、少年兵を救う。
まわりにいた民兵たちは、政の戦いぶりを見て
士気がよみがえり、限界を超えて立ち上がりはじめる。

その時、政の登場で民兵たちがあからさまに息を吹き返したのを見て、
李牧軍の隊長・曹(そう)は政を狙う。

政は自ら曹を迎え討ち、右腕を斬り落とすが、
残った左腕で体を挟み込まれ、
曹の部下・番陸に斬られてしまう。

まわりにいた秦兵たちが、政を大王と呼び叫ぶのを聞き、全てを察した曹は、
番陸に政の首を落とすように叫ぶ。

その時、信がかけつけ、
李牧軍を蹴散らし間一髪で政は助かる。
政は何とか気力で意識を保っていたが、
出血がひどく大怪我を負っていた。

この出来事により、
李牧軍本陣に秦国大王がいるという情報が広がり、ついに李牧の耳に入る。
李牧は、秦王・政を捕らえることができれば
呂不韋と交渉し無血で咸陽を落とせる、
という現状を好都合ととらえ、
全軍全兵でサイを落としにかかる。


しかし、5日目もサイは何とか落ちずに粘った。

たが、政が負傷したことによる秦軍の士気の低下は明らかであり、
6日目にはサイは陥落するだろうと予測した
昌文君は、
政だけは絶対に生かすよう、サイから脱出させるべきだと懇願。
信から政にその旨を伝えるように任せる。

政と2人、話す信。
政にはサイを脱する考えは毛頭無く、
信も政が脱出を拒むことは分かり切っていた。

昌文君は説得を失敗した信に憤慨するが、
信は昌文君を制し、
とことん政に付き合おう、と納得させる。

そして6日目。

猛攻撃を仕掛けてくる李牧軍。
それに対し、戦意を喪った秦軍。
疲労も重なり、満身創痍の秦兵たちの前に、
なんと重症のはずの政が騎馬しながら現れた。

政は、血の気の引いた顔色を隠すために
女物の化粧をし、意識を保つのがやっとの状態ながらも、
兵たちの士気を上げるために平静を装っていた。

これにより、秦兵たちは再び奮起する。
信は檄を飛ばし、飛信隊は大爆発。
竜川・田有も手負いながら復活し、
全てを出し尽くすかのように戦う。

そして、絶妙なタイミングで各壁に援軍を送り、
戦力のバランスを保つ北壁担当の介億の存在が、
転覆寸前のサイを保っていた。


そして7日目。
ついに均衡が崩れる。

昌文君の護る西壁が陥落。
階段を奪われた秦軍は、李牧軍の突入を許してしまう。
あっという間に城内に侵入され、
残り3方の城門も内側から開けられてしまう。
城内に李牧軍が満ちていくのを
絶望した面持ちで眺めるしかない秦軍。

兵たちが嘆き、全ての希望が断たれたかのように思えたその時、
西の山壁に楊端和率いる山民族の群れが現れた。

李牧軍とほぼ同数にみえる山民族の大軍は、
瞬く間にサイに向かって駆け下り、
李牧軍を蹴散らしはじめる。

あまりの状況の急展開に、
李牧を含め、秦軍でさえも大混乱。

山の民の援軍は、実は政が咸陽を出陣する前に
伝者を通じ頼んでいたのだが、
運悪く山の民は山界の北方奥深くに大遠征しており、楊端和らは不在であった。

一応の言伝(ことづて)は頼んでいたものの、
山界での大戦中に山民族が咸陽まで引き返すことはほぼ不可能と見込まれたため、
実際は援軍の確証が持てない状況だった。
昌文君の出した"8日"という算段は、
限りなく望みが薄い中での、
山民族が遠征地からサイまでの行軍にかかる
日数だった。
そして楊端和たち山民族は、予想を上回る
7日でサイに到着したのである。

山の民に援軍を依頼したことは、政と昌文君しか知らなかった。
情報を一切封鎖していたため、
李牧にとっては完全に虚をつかれた形となったのだ。

楊端和やバジオウをはじめ、山の民の圧倒的な武力により、
李牧はついに軍を退却させるかどうかの
瀬戸際に立つ。
それは、此度の合従軍の敗戦を意味することだけに、李牧は決断をしかねていた。

李牧が決断を下そうとしたその時、
三大天・龐煖が姿を現した。

楊端和は、矛を振り回し次々と山民族を殺しながら近づいてくる龐煖の存在に気づく。
龐煖に向かって行く楊端和の前に、
なんと信が立ちはだかる。

天下の大将軍になるために、
龐煖を超えなければならないと考える信は、
楊端和にの龐煖との戦いを譲ってくれと
申し出る。

信はついに龐煖と対峙。
信は龐煖に一撃をくらい、アバラを折られるほどに激しく吹き飛ばされる。

しかし信は立ち上がり、
再び龐煖と一騎討ちにーーー!




* * *




政、ついに前線にまで現れました。

毎回貂が下りてくるだけでも、すぐ殺られちゃうんじゃないかとヒヤヒヤするのに、
まさかの大王が混戦の中に混じってくるなんて!
(そう考えたら、戦神と呼ばれた昭王って
半端無くとんでもないな‥‥。)

そのおかげで民兵たちの士気はよみがえりますが、
その分跳ね返ったリスクも大きく、政は負傷し、李牧に存在を知られてしまいます。

政があわや首を斬り落とされるかの寸前で
現れた信、
超絶カッコ良かったですねー。
兵士たちの
「やっ やめろォ」
からの見開き登場シーンは、
原先生の真骨頂!

相変わらずモブ兵一人一人の表情が
素晴らしすぎて臨場感ありまくり。
本気で手に汗握ります。

政が倒れ、かつて親友・漂が目の前で死んだ時の場面がフラッシュバックする信。
ここも良かった。
もはや身分は違えど、政は家族みたいなもの。
家族を再び失う恐怖に、
信は一瞬血の気が引いただろうな。

その日の晩の、脱出説得シーンも良かった。
政の性格上、ハナから説得できるとは思ってない信に、
男の友情の深さを感じて何だか萌えます。

説得できなかった(しもしなかった)と知り、
憤慨する昌文君。
いつものように信にゲンコツが飛びますが、
"バシッ"と受け止める信が
何だか大人になったみたいで凛々しい。

🔴信 : 「らしくねーぞ 昌文君
いつもの粘り腰見せてみろよ」

の一言で、無理やり説得しちゃいます。


そして、大王を脱出させるという昌文君の決断を
"英断"と言った介億先生、
「問題は大王様が即座にこのことを受け入れられるかだ」
と言っていましたが、
案の定政はサイに残ることになり、
「‥‥フッ」
と一言。

数日間、政の言動や行動を見て、
主である昌平君を動かすほどの人物だと
納得したのでしょう。
きっとサイに残るに違いないと思っていたはず。

そしてそして開戦7日目。

き・・・来たーーー!!!

楊端和様、見開きで華々しく登場!!!


ここは鳥肌ものでした。
合従軍編に入り、どこかで山の民たちが出てくるはず、と想定していたのにも関わらず、
めまぐるしい展開にすっかり忘れて
まんまと度肝を抜かれ、
驚いてしまいました。笑

端和様、バジオウの強さは圧倒的。
さらに元・成蟜のペット、ランカイも存在感見せつけてます。

山の民の援軍にホッとしたのもつかの間、
ここで龐煖登場・・・。
正直、「出てくんなよ!!」と叫びたい気分でした。

で、信ーーー!!!

まさかの一騎討ちの展開に!!!

ここはさすがに、尾平じゃないけど
放っておいても李牧軍は退却寸前だったし
とにかく今は、やめといて!!!
とイライラさえしました。笑

無理無理!と焦るわたしをよそに、
信は龐煖と一騎討ちの態勢。

いやいや、どう考えても無理がありすぎて
今の状態の信が勝つところなんて想像できない。
かといって、この流れで負けるなんてあり得ない。
でもやっぱり勝つってのもおかしい!不可能!

原先生、一体どうするおつもりで?!

別の意味でのドキドキをも抱え、
33巻へ続きます。



【メモ】
⭕信、貂の尻を「ケツ氏!」と言って掴む。
竭氏、こんなところで久々の登場。笑

⭕山の民は、北の大勢力・バンコとの
一大決戦の真っ最中だった。
これは山界の覇を争う大戦であり、
サイまで駆け付けるとなれば、それまでの
"戦績"と"犠牲"は全て無に帰することになる。

⭕そういえば、合従軍の各国軍から1000人ずつ精鋭隊を向かわせていたのはどうなったのか。
カイネが攻防戦当初に、あと3,4日で到着しそうだとか何とか言っていたけど。。。

〔そむ さんのご指摘により追加〕
105ページの李牧と趙兵の会話から、「2日前に到着している列国の援軍を投入しても逆に混乱する」という表現で、
"各国精鋭隊の存在"の回収はされておりました。すっかり見落としておりました!スミマセン。
やっぱり、原先生がこういうところを完全スルーする訳がないですよね。

⭕おまけマンガ「しんせいじょうの歯」

⭕32巻より、カバー裏にオマケあり。
蒙恬、王賁の秘蔵ショット。

キングダム 31巻 「政、語りかける」

*ネタバレあり*


合従軍編も終盤、最後の砦です。

まさかの政・出陣で最高の盛り上がり。

そして今巻は全体的に絵が綺麗だった気がします。
キャラの表情とか、陰影が丁寧というか。(気のせい?)

政の活躍に胸が詰まって、
途中なぜだか感極まり、
何度も涙した31巻。

新キャラも登場です!


【あらすじ】
大王である政が自ら出陣したことを知り、
ざわめく王宮。

水面下で政の暗殺を企んでいた呂不韋
ことさら苛立ち、
出陣前の政が昌平君と会っていたという話を聞きつけ、昌平君に詰め寄る。
よもや助言などしてはいないかと疑る呂不韋に対し、
昌平君は、
今は秦軍総司令として以外のことは
"取るに足らぬ小事"
だと発言。

呂氏四柱でもある昌平君からのきっぱりとした言葉に、
呂不韋は静かに怒りを滾らせる。

そして政のいない玉座に呂不韋が腰掛けようとしたその時、
王弟・成蟜が現れる。


一方、南道から咸陽へ向かう信たちは、
気力も体力も失い、精根尽きかけながらも
何とか前進を続けていた。

兵たちは、言葉を交わすことすらできないほどの疲労で希望を見出せない精神状態の中、
咸陽までの道のりで最後の城である
"サイ"にたどり着く。

食糧の補給のため、何気なく立ち寄った
"サイ"には、
大王・政が信たちを待っていた。

共に戦いに来たと言う政に、
信は状況が掴めないながらも、
希望の光を見出し涙する。

政の肩を借り、初めて弱音を吐く信。
しかし、政の存在により絶望の淵から蘇り、
すっかり士気を取り戻すのだった。


一息ついた後、政たちは"サイ"の住民の状況を調べ始める。
3万の住民のうち、
2万は女・子ども・老人であり、
兵力は1000人ほどしか残っていなかった。

信たち麃公軍残兵はおよそ2000人、
政が連れて来た兵も2000人弱。
つまり戦力は5000人ほど。

もはや"ある中"で戦うしかない秦軍は、
3万の住民に"戦意"を持たせて兵士と化させ、
3万から4万を率いて向かってくる李牧軍と
戦わせるつもりであった。

住民の士気を鼓舞するため、
政は住民全ての前で声をあげて語りかける。

よく通る声で、力はこもっているが威圧的でなく、
住民一人一人にしっかりと語りかける口調で状況を説明する政。

秦の歴史を途絶えさせぬために、
子や次の世代の子を列国の奴隷にさせぬために、
秦の命運をかけて共に戦う、
と宣言する政の姿に、
サイの住民は沸き立ち、
老若男女全てが立ち上がった。


住民の士気は最高潮であり、
政の檄により信らの士気もよみがえる。
さらに、咸陽から昌平君の側近・介億(かいおく)ら100名の指揮官級軍師兵が到着。
昌平君のはからいであった。

貂の軍師学校での講師をつとめていた介億の存在はこの上なく心強く、
また、軍師学校で共に学んだ兄弟子・蒙毅も共に来ており、感謝で涙する貂。

介億らの存在により、城壁の兵の配置が完成。
装備を整え、李牧軍の到着を待つ。

ほどなくして、ついに李牧軍が到着。

サイの城に向かって、
「降伏すればただの一人も殺させない」
と交渉してくる李牧に対し、
政の檄により高まった住民の士気は下がることなく、
李牧軍を迎え討つ受け入れ態勢が出来上がった。

そしてついに、サイの攻防戦が開戦する。

指揮官の配置は、
正面・南壁には政・貂・蒙毅、
東壁には壁、
北壁には介億、
西壁には昌文君。

正面に配置された飛信隊の活躍と、
東壁に配置された麃公軍の活躍により、
初日の戦いを乗り越えることができた。

しかし、その日の夜。
李牧は秦軍の警戒心を逆手にとり、
夜通しでほぼ形だけの夜襲をかけ続ける。

翌朝日の出が近づき、
夜襲をかけていた李牧軍が、
想定していた数の半分ほどしかいなかったことに気づいた貂。
急いで兵を休ませようとするが、時すでに遅く、
秦軍は体力を消耗しきっていた。

それでも、サイの住民や秦軍は
2日目も善戦する。

昼ごろ、李牧軍が動き出す。
正面の南壁を護る飛信隊のもとに、
三千人将・傅抵(ふてい)の隊、
そしてカイネの隊が出陣。

傅抵はいきなり百人将・竜川や田有を狙い、
飛信隊を掻き回すが、
そこに信が現れ、傅抵と一騎討ち状態の打ち合いに。

傅抵のスピードは異常に速く、
信の剣がかすりもしないほどだった。
傅抵に苦戦しながらも、
信は羌瘣との打ち合い稽古で教えられた
"速さで戦う達人が仕掛ける誘いに乗るな"
という助言を思い出し、
自らがタイミングをずらして誘い込み、
見事傅抵を撃破する。

その頃、竜川・田有が戦線離脱した飛信隊の指揮系統を立て直すため、
貂が中まで入ってきていた。
カイネは貂を攻撃するが、
殺すことができず、捕虜にすると言ってさらう。

しかしすぐさま貂を助けに現れた信により、カイネは押し負けて吹き飛ばされ、
城壁の下へ落下しかけるが、
貂はカイネの手を掴み、カイネは城壁にぶら下がった。

互いが互いを殺せずに、2人は葛藤する。

カイネは貂に対し、
サイはいずれ落ち
そこにいても死ぬだけだからこっちへ来い、
と誘うが、貂は拒否。

カイネと貂は手を離し、
城壁の下へ駆けつけた兵士に受け止められ、
カイネは生き延びる。

そこへ傅抵が現れ、カイネを落とされた怒りで
信へ向かってくるが、
起き上がった竜川に吹き飛ばされ傅抵も落下。
兵士の上に落ち、傅抵も生き延びる。

そして、
2日目に至っても士気が一向に下がらない秦軍に対し、
李牧は小さく眉をひそめていた‥‥。




* * *




サイに着いた時の信の顔、
今まで見たことないぐらいに疲れ果ててました‥‥。
ツリ目の信が、あんな伏し目になったことが
いまだかつてあったでしょうか。
それほどの疲労と絶望だったのでしょうね。

だからこそ、
何気なく立ち寄ったサイの城で
いるはずのない政の姿を目にした時の
信の見開いた目が胸に刺さります。

状況はさっぱり分からないけれど
でもどこか安心して、
訳が分からないまま泣いた。
いつもの信なら考えられない行動。

そしていつも王宮の玉座の上で
信の活躍の報告を受けるたびに、
救われる思いをしてきた政だからこそ、
信を理解し受け止めることができたのでしょう。

何回読んでもこのへんは泣ける‥‥!

そして政の演説も素晴らしかった。

ここのシーン、原先生は相当大変だったんじゃないかなと仕上がりに感動しました。
サイの住民と同時に、
読者の気持ちもアゲていかなければならないという、超重要シーンだもの。
住民(特に老人)の表情も良かったし、
政の言葉を受けて次々と住民が立ち上がっていくところも良かった。

330話、政の演説のシーンで昌文君の表情が
ところどころで抜かれていて
(45,49,58,59ページ)、
演説成功後、群衆の士気を見事に引き上げた
政に対し、
昌文君はその勇姿に感極まって

🔴昌文君 : 「(やはり‥‥私の直感は間違いではなかった
このお方は 戦神 昭王を越える

越えるぞ‥‥!!
王騎よーーー)」

と涙するシーンもシブい。


あと、昌平君の粋なはからいも良かったー。
政と何を話したのか探ってくる呂不韋に向かって、
「状況をお考えください」とピシャリ。
"軍総司令として"、
サイの指揮官不足を見越し、
介億ら100人の指揮官級軍師を送りこんでくれました。

秦国のために最善を尽くそうとしている昌平君。
元は楚国出身、現秦国丞相。
この期に及んでもまだ我が身の野望にこだわり続ける呂不韋
元は趙国出身、現秦国相国。

元々他国出身の両者なれど、
秦に対する愛国心?の差はどこから生まれたものなのか。
はたまた呂不韋に目をつけられてしまった
呂氏四柱・昌平君の合従軍後の扱いは、
どのようなものになるのか。
気が早いけどそのへんもかなり気になったり。


話はサイに戻りますが、
指揮官が足りずにいろいろ背負い込もうとしていた貂にとっては、
めちゃくちゃ嬉しい援軍だったことでしょう、
軍師学校での恩師・介億や
兄弟子・蒙毅が来てくれました。

介億が「蒙毅には気をつけろ」と茶化すシーンを差し込むあたり、
将来的に貂の相手には蒙毅ですかね?!
いい!めちゃ合ってる!
信とはやっぱり家族のような関係でいて欲しい。
あくまでわたしの希望です。

開戦直前に、政と信が語り合うシーンでは、
(第331話 75ページ)

🔴信 : 「四年ぶりだな 一緒に戦うのは」

🔴政 : 「ああ
不思議な縁だな 窮地には よく お前がいる」

🔴貂 : 「オレもな!」

🔴政 : 「ああ お前もだ 貂」

🔴信 : 「カカカカ」

のやりとりの後、貂の嬉しそうな顔がすごくかわいい。

貂、政や信と同じ場所にいたくて軍師になったんだもんね。
こんな死地だけど、貂の望みは叶ってる。

そして互いの胸をゴンッと叩き、
気合いを入れる信と政。
それを笑顔で見守る貂。
それを見守る蒙毅。

蒙毅は、王弟反乱の詳細を結構知っていたから
政・信・貂の関係も知っていたはず。
それでも目の前で3人を見、
大王が信や貂とただの"ダチ"のように接している姿に、
3人の結構深そうな絆を感じてちょっと驚いたのでしょうか。

貂が軍師学校に来るまでは、
父・蒙武が所属する呂氏陣営の敵ともいえる大王陣営に対し、
敵視とまではいかなくとも敵対している存在だったはずですからね。
このあたりの関係も、
今後どう描かれていくのか、すごく楽しみ。


さて、ついにサイ攻防戦が開戦です。

李牧軍からは、新キャラ傅抵が登場。
カイネを"将来の俺の嫁"とし、つきまとっている感じがちょっとかわいくもあります。
さりげに一緒に寝ようとして、カイネに蹴り上げられてましたが。笑

しかしこのおちゃらけた男・傅抵、
三千人将なだけあって、かなりのデキる奴だった。
スピードは羌瘣なみ、飛信隊の竜川や田有をやすやすと斬り倒していく。
(2人、足遅いって言ってたもんね、、、)

一騎討ちになった信も手こずりまくりでしたが、
急に羌瘣との打ち稽古シーンの回想に。
羌瘣の助言を思い出した信は、見事傅抵を攻略!

‥‥ここの回想羌瘣、めちゃかわいかったな。
信も、顔が近くて頬を赤らめてたし。笑


そしてカイネにさらわれかける貂。
すぐに助けに来た信により形勢は逆転し、
カイネを城壁から落としかけるも
貂が助ける。

貂もカイネも、お互いに対して非情になりきれない。
貂的には、"一緒に寝泊まりした奴には死んで欲しくない"
と過去に言っていましたが、
それを甘ちゃんだと諌めていたカイネの方も、
貂に対して何かしらの情がある。
妹的な存在のようにも思えるのか、
または前線で戦う女同士の絆のようなものか、
はたまた貂にもらった食糧の味が忘れられなかったのか‥‥

2人は葛藤しますが、
結局お互い殺せなかった。
この2人の次の再会は、どうなるのでしょう。

そしてラストの傅抵、しっかり笑わせてくれました。

🔴カイネ : 「カイネが落ちるぞォー!!」

兵たち : 「ィ喜んでェー!!」

🔴傅抵 : 「傅抵が落ちるぞォー!!」

兵たち : 「?」


コイツ、なんか憎めない。笑



【メモ】
⭕紀元前241年、サイ攻防戦が開戦。

⭕合従軍は、函谷関にいる秦軍が
咸陽へ戻らぬよう、見張る。
函谷関にいる武将たちは、援軍も出せぬ状態。

⭕おまけマンガ「悪夢」× 2(172ページ、209ページ)

キングダム 30巻 「麃と飛」

*ネタバレあり*


蒙武の大活躍により、
最大の危機を乗り越えたかのようにみえた秦軍。

喜びも束の間、
カリン軍に函谷関の裏を取られて
絶体絶命‥‥

かと思えば形勢が再び逆転して。

戦況が二転三転しまくる30巻。

そして、8巻、16巻に引き続き、
わたしの"泣き巻"3冊目です。

麃公将軍!!(涙)


【あらすじ】
函谷関の裏手から現れたカリン軍5000人は、
一気に背後からなだれ込み、
今にも内側から函谷関の正門をこじ開けようとしていた。

蒙驁将軍をはじめ、函谷関を護る秦軍の
誰もが陥落を覚悟した瞬間、
山間から王翦軍が一斉に現れる。

山岳地帯での燕・オルドとの心理戦を制し、
函谷関の援護に現れた王翦軍により、
秦軍は函谷関陥落の窮地を危機一髪で脱する。

これによって合従軍側の"15日目の総攻撃"作戦は失敗に終わったということになり、
合従軍の函谷関突破は極めて困難となった。
そして燕軍を除く合従軍全軍が、
開戦前の位置まで軍を退却させるのだった。

歓喜する秦陣営。
ここにきてこの先、別の決め手が出てくることは考えにくいと推測される状況に対し、
どこか安堵の雰囲気が漂う秦軍。
そんな中で、前線の麃公や信は、李牧が動いていないことに対し
まだ何かの企みを感じずにはいられなかった。

そして開戦18日目。
咸陽に、小さな城が攻め落とされたという
急報が次々に入り出す。

昌平君らが急いで地図を調べると、
咸陽に至る"北道"を守る"函谷関"からではなく、
咸陽に至る"南道"を守る"武関(ぶかん)"の
内側(咸陽側)の城が次々と落とされていた。

"武関"が抜かれた様子がないことから、
敵軍は険路が多く大軍移動には向かないはずの南道へ山間から割り入り、
相当の日数をかけて進んできたことになる。

敵軍の数は4万人にものぼり、
兵を率いている人物は李牧であると判明。
思いつきではなく、開戦当初から計算通りに
兵を少しずつ送りこんでいたと思われる
李牧の緻密な戦略に気づき、
秦陣営に戦慄が走る。


一方、合従軍の中ですら李牧の動きに気づく者は
ほとんどいなかった中で、
麃公将軍だけは直感で動き、飛信隊を引き連れ、
後を追ってきていた。

麃公・信たちは、自国の利でまっすぐに南道を目指すことができた分、
秦軍に見つからぬよう用心深く兵を進めていた李牧軍に追いつく。

李牧の仕掛ける戦術"流動"をことごとくかわし、
ついに麃公は李牧と対峙。
"直感"だけで"流動"の流れを把握し、
中心まで攻め込んできた麃公に対し、
李牧は"理解の範疇を超える本能型武将の極み"
だと称するも、
麃公を前にして李牧は冷静そのものだった。

そして李牧は、麃公に対し、
何と龐煖を向かわせる。

突然の龐煖の出現に、
龐煖を知る飛信隊のメンバー達は驚愕。
李牧の"流動"に手こずりながらも、
何とか麃公の援護に向かおうと奮戦していた。

麃公は、王騎を討った男がこの龐煖だと知り、
合点がいったと語る。
王騎の名を出した途端、
何の感情も持たぬように見えた龐煖に
苛立ちの感情が現れたことに気づいた麃公は、
それを認めようとしない龐煖に
「己の中の大いなる矛盾に気づかず
一人もだえておる ただのど阿呆」
と言い放ち、
龐煖と一騎討ちを始めた。

龐煖と打ち合う麃公だったが、
李牧の戦術"流動"の流れを見破れる者は
麃公以外におらず、
麃公と共に中央まで突破してきた数十騎の兵たちは李牧軍の兵に討たれ、
麃公は孤立。
もはや活路は見出せない状況に陥っていた。

その時、麃公の援護に向かっていた信たちが
徐々に近づいてくる。
信の声に気づいた麃公は、
信に前進して咸陽へと進めと叫び、
自らの盾を信へと投げつける。
そして麃公は、龐煖との激戦で
左腕を斬られ、
麃公は龐煖の左腕をへし折った。
麃公は信に、
「火を絶やすでないぞォ」
と叫び、龐煖に討たれる。

麃公の死を目の当たりにし、
信は激昂。
麃公の仇討ちに向かおうと怒り狂う信を
壁は力づくで諌め、
今は咸陽へ進み、麃公の意志を繋ぐべきだと
言い聞かせる。

信は必死に抵抗するも、壁の指揮のもと脱出。
5000人いた麃公軍は2000人ほどに激減。
残った兵たちは李牧軍の追撃を受けながらも
咸陽を目指して走った。


そして麃公討ち死にの報を受けた咸陽では、
活路を失い、手だてを考える時間すら
残されておらず、
秦陣営は絶望していた。
その時、水面下で呂不韋が動き出す。

もはや咸陽陥落は時間の問題と判断した呂不韋は、
"朱凶"ら暗殺集団を王宮に忍ばせ、
政の首を狙おうとしていた。
常に呂不韋の動向を見張っていた肆氏は、
呂不韋の不穏な動きに気付き、
昌文君に報告。
肆氏の推測では、
恐らく呂不韋は政の首と引き換えに
李牧に"和睦"を交渉し、
城をあけ渡すことで何かしらの恩恵を受けようと目論んでいるはずだという。

その頃、渦中の政は、誰にも告げず姿を消していた。
政は独断で昌平君に相対し、
「国家存亡の刻、呂氏四柱としてではなく
軍総司令としての立場から意見を聞きたい」
と問う。

政は昌平君に、
咸陽の喉元にある最後の城・"サイ"に
政自らが出向き、
一般市民を率いて李牧軍と戦うと宣言。

そして昌文君らとともに、
政は"サイ"へ向け出陣するーーー。



* * *



信とともに、麃公将軍の死に
涙だだ流れの30巻でした‥‥。

落ちかけていた函谷関に、
突然王翦軍が現れ、
秦は最大のピンチを脱します。

これにより戦局がガラリと変わり、
合従軍は一旦退却。
喜びまくる秦軍ですが、
麃公、信、貂や
この戦を亡命先の楚で見守る廉頗(久々の登場!)は、
"李牧がまだ動いていないこと"
に対して訝しんでいました。

そうは言っても元々超劣勢から始まったこの戦い、
まさかの形勢逆転に信たちも喜ばずにはいられません。

貂は興奮のあまり、信の腕に"ぴと"と手を置き、
喜びを伝えるほど。
(第318話 39,40ページ)

ここで初めて!(今までで!)

信が貂に対して顔を赤らめ、
ちょっとかわいいじゃねーか的な表情‥‥。
(原先生、このあたりややこしくしないでくださいー!)


しかし李牧はやっぱり動きました。
というより、すでに最初から動いていました。
開戦当初から、この時のために、
少しずつ少しずつ自軍を南道から咸陽へ向けて送りこんでいたのです。

その数すでに4万!
表向きは何十万もの合従軍を率いて
ガチで戦いながらも、
万一の劣勢時に備えての手筈も怠らない、
恐ろしい軍略家!

しかも、忌まわしいあの男"龐煖"を
引き連れてきていて、
今ここで出してくるとは!!

本当に憎たらしいほど準備万端な奴です。。。

そして嫌な予感は的中、
麃公将軍と対決することに。

化け物龐煖は、やはり圧倒的でした。
以前に羌瘣を狙って飛信隊を襲ってきた時のような、
読んでいて龐煖という存在に対しての怒りと憎しみが湧き上がってくるほど。

出てくんなよ!!!(哀しい叫び‥‥)

我らが麃公将軍は、
もはや死地となった場所に信が来ることを
遮ります。

何と言ってもこのシーンは30巻のハイライト‥‥。


🔴麃公 : 「童(わっぱ) 信
前進じゃァ」

🔴李牧 : 「!」
🔴信 : 「!?」
🔴壁 : 「!?」
🔴尾平 : 「えっ!? どっ どこを指差してっ」

🔴麃公 :「ここは貴様の火を燃やし尽くす
場所に非ず
咸陽へ行け 童 信」

🔴信 : 「!! 咸陽へ‥‥ !
(なっ で でも それじゃ‥‥将軍は‥‥)
何 言ってんだ
何言ってやがんだ 麃公将軍」

🔴麃公 : 「‥‥‥」
(盾を引っ掛け、信のいる方向へ投げつける)」

🔴信orモブ兵 : 「たっ 盾っ‥‥麃公将軍の盾だっ‥‥!!」

🔴麃公 :「さァて 待たせたの龐煖
そろそろしめといくか」

🔴龐煖 : 「死の覚悟‥‥ではない
貴様は生をあきらめた

貴様は 弱者だ」

🔴麃公 : 「何も分かっておらぬな
このど阿呆が!!

龐煖 やはり貴様は 全く何も感じておらぬのだのォ

わき上がってくる力を

つむがれていく炎を!

じゃから貴様は王騎に勝てなかった
バハハ 奴に代わってその答えを儂が教えてやってもいいが
戦場に甘美な夢を描いていた王騎らと違い
戦場に生まれ落ち
そこで育ち
ただただ戦いに明け暮れてきたこの儂の刃は
王騎らのよりもっ
大分荒々しいぞォ!!」

(麃公、龐煖と打ち合うも、左腕を斬り落とされる。
しかし麃公も龐煖の左腕をへし折る。)

🔴麃公 : (信のいる方向へ振り向き)
「童(わっぱ) 信」!!

「火を絶やすでないぞォ」



そして麃公将軍、討ち死に。


このあたりから、壁が怒り狂う信を殴って諌めるくだりまで、
涙が止まらなかった。。。!

麃公さんが最後に信へ託した想い、
新しい時代へ繋げたい想い、
そんな想いをよそに無情に麃公を狩る龐煖への
怒りに、
信も相当顔がグッシャグシャでしたが
わたしも相当にグッシャグシャに泣きました。

そして壁のあんちゃんの言葉にも泣けた。
(第326話 181〜182ページ)


🔴壁 : 「頭を冷やせ馬鹿者っ
将軍が前進とおっしゃったのが聞こえなかったのか!!
盾を投げられた意味が分からなかったのか!!

ここで我らが脱出し その意志をつがねば
咸陽を守らねば
麃公将軍の死すら
その意味を失ってしまうのだぞ」


怒り狂って収拾のつかない信に対し、
壁が思い切り信をぶん殴って諌めるシーン。

ここは、壁のあんちゃんしか信を止められなかったな、と思う。

今まで信が引っ張っていく場面が多かったけれど、
今や壁も立派な三千人将。
本当のアニキみたいだ。
壁のあんちゃんがこの時 信と共にいてくれて
本当によかったと心から思いました。


一方で咸陽では、まさかの政が立ち上がる!

派閥内の敵味方は一切関係無く、
秦国のために昌平君と正面から向き合い、
また昌平君も呂氏四柱としての立場から離れ、
政と相対して意見を交わし合う。

呂不韋だけは私利私欲でまた政を暗殺しようと
企んでいるところが、
人間的に急に小物に見えてくる。
(実際は、こういうヤツがある意味大物なんだろうけど、
このシーンでは激しく小物に見えるあたり、
原先生の人間の描き方は素晴らしい)

向ちゃんへの別れ(ひとまずの)を済ませ、
ついに政が出陣!!
(向ちゃんめっちゃ頑張った!)

この展開は予想だにしてなかったなあ。

最高潮の盛り上がりで、
31巻に続きます。




【メモ】
⭕《李牧の別働隊について》
●函谷関攻防戦での趙軍の配置を、
あえて一番端にしていた。

●趙軍の配置は南道に最も近く、開戦から
誰にも気づかれずに少しずつ数千人単位の趙兵を南道から咸陽へ向かわせていた。

●趙軍12万の持ち場に対する秦軍は元々4万。結果的に趙軍から4万の軍が消えていたが気づく者はいなかった。

●15日目の作戦が失敗に終わった後、
戦線に間に合わないと知りながらも
各国の軍から精兵1000人を別働隊に呼ぶことで、趙の別働隊が秦を落とした場合も
"趙軍単独の手柄ではない"
とするための配慮も怠らず。

⭕尾平、いつのまにか騎馬してる!と思ったら、誰かの後ろに乗っけてもらってた(笑)

⭕おまけマンガ「カクビ兵」

キングダム 29巻 「至強」

*ネタバレあり*

キングダム 29 (ヤングジャンプコミックス)

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引き続き、函谷関攻防戦。
29巻では、いよいよ楚軍総大将・汗明と
蒙武の大勝負。
決着もつきます!

カリン軍 VS 騰軍 の戦いは接戦中ながら、
カリンの目論見は予想外の方向から戦局を大きく変えそう‥‥!

まだまだ戦は終わりそうにありません。

では、あらすじから。

【あらすじ】
函谷関の裏手の山岳地帯から、
函谷関へ向かい一気に攻め込もうとするオルド。
その背中を、王翦はとらえていた。

"山読み"の能力に長けるオルドだったが、
王翦は最初からオルドを嵌めるべくして誘い込んでいた。
オルドがそれに気付いた時には時既に遅く、
王翦軍に背後から攻め入られ、
退却する他ない状況に陥る。
その結果、8000人の精鋭部隊を失ってしまい、
山中で身動きがとれない状態に。
オルドは王翦に、まさに踊らされたのであった。


一方、最大規模の戦場・楚軍 VS 蒙武・騰連合軍の戦いは、大きく動く。

まず、カリンに抜擢され五千人の将になった項翼が、臨武君の仇と息巻き、騰に襲いかかる。

そして楚将・カリンが本格的に始動。
騰軍方陣の要である隆国軍の持ち場に、
中央から方陣を打ち破ろうと攻め込んできた。

蒙武軍は、昌平君の策による斜陣がけの功により、手薄になった汗明までの道が開けた。
蒙武はついに汗明をとらえる。

いよいよ蒙武と汗明の激しい一騎討ちが始まる。

広大な楚の領土の中、中華を横またぎに攻め込み続けた汗明。
かつて、楚に攻め入ろうとした
秦の六将・王コツ(おうこつ)を
若き頃の汗明があっさり撃退したという、
秦にとっては驚愕の事実が暴露され、
秦兵達は一同に青ざめる。

まさに百戦錬磨の汗明に対し、
蒙武との経験値の差があることは否めなかった。

しかし、激しく打ち合い続ける中で、
蒙武の中の未知数の力が引き出され、
互いの腕を砕き合うほどの接戦に持ち込まれる。


その時、遠方から2人の一騎討ちを様子見していたカリンが動いた。
汗明が万一討たれることがあった場合の軍の損失を考慮し、
弟のカエンを使って蒙武を討ちに行かせる。

カリンの不穏な動きを察知し、
カエンのあとを追う蒙恬。

カエンが蒙武を討つつもりであると察した
蒙恬は、
カエンの蒙武への攻撃を阻止するために
カエンと打ち合いになる。

蒙恬がカエンからの攻撃をかわした際にバランスを崩し、
蒙武と汗明の一騎討ちの間に割り入ってしまったその瞬間、
水をさされ激怒した汗明は蒙恬を斬った。

目の前で蒙恬が斬られたのを目にし、
怒り狂った蒙武は汗明を剛打。
蒙武はさらに一撃を加え、
ついに汗明を撃破する。

蒙武は汗明を討ったその後も汗明軍を次々に破壊して行き、
完璧に中央軍を壊滅させる。
この瞬間、蒙武 VS 汗明 の最大規模の戦場では
蒙武軍の勝利が確定したのだった。

その頃、李牧・春申君のいる大本陣へ
カリンから
「勝利は目前
総司令様は 函谷関をくぐる準備をされたし」
との報が入る。

なんと、
今までのカリンの動きはすべて"目くらまし"
であった。
そしてその頃、カリンの真の目的のため、
精鋭部隊5000人が
用意周到に函谷関の裏側へ到着していたーーー。



* * *



29巻はほぼ1冊丸々 対楚戦でした。
莫邪刀・項翼、一騎討ちではないとはいえ
騰に斬り負けなかったなんて、
実は臨武君より強いんじゃないの!?
騰のヘアーはあんなこと(※200ページ)
になってるし!(爆笑)

そして自信過剰、自意識過剰女・カリン、
自意識はともかく、自信のほどはあながち過剰ではなかった‥‥かなりのキレ者!

側近のバミュウのMっぷりにはウケますが、
騰の抜けた(一時右軍にて項翼と対戦中)本陣の蓋を破りに突撃してくるという、
なかなか笑えない展開になってきました。

しかし喜ぶべくは、
録嗚未・干央が生きていたこと!
隆国が守る方陣中央軍の援護に現れます。
そして左翼の将・王賁もカリン本陣の背後を
討ちにさすがのタイミングで登場。

よかった〜。
さすが録嗚未、不死身!


さて、本命の蒙武軍です。
蒙武がいきなり全員をざわつかせた高等戦術・
"斜陣がけ"は、
昌平君のレクチャーによるものだったようですね。

両端に貝満(べいまん)・剛摩諸(ごうましょ)の各軍が攻め入ったことで
斜陣がけ全体の勢いは完全に失われてしまい、

汗明や仁凹(じんおう)は"慣れぬ策に溺れるからだ"と蒙武を嘲笑しますが、

これらはすべて中央の汗明への道をこじ開けるための昌平君の作戦でした。

蒙武、ここぞとばかりに突っ込んできます!

そしてとうとう総大将・汗明と一騎討ち!

"ドドンド ドンドン 汗明!!"
とまわりで鼓舞してるドラムスたちがうざいです。笑

自信満々で蒙武を吹き飛ばす汗明は、
自分語りに入り、衝撃の事実を口に!

かつて楚に攻め入ってきた六将・王コツを、
若き頃の汗明が撃退したと豪語(しかも第1陣で)!

手ひどく傷を負い、情けなく逃げ帰ったという
王コツは、
敗戦の口外を禁じたために自国にこの事実が広まっていなかったとか。

王コツ‥‥‥‥チョーかっこ悪い‥‥。


いきなりこんな話を聞かされてビビりまくる秦兵たちですが、
蒙武は"初めて全力が出せる"と高揚してます。

蒙武の筋肉が盛りまくり、服が破れ始め、
ドラゴンボールみたいな展開に!!笑

そして蒙武は全力で汗明と戦いますが、
汗明の強さは凄まじく、
蒙武は気絶寸前まで陥ります。

その時蒙武の脳裏に浮かんだ昌平君。


🔴昌平君 : 「(蒙武
積み重ねた戦歴 大将軍としての"格"
それらが力となって双肩に宿るとするならば
汗明の武は今の中華で最強やも知れぬ

その時お前であっても
汗明は揺らがぬ山に見えるだろう
汗明はお前よりも強い

だが俺は信じている

それを打ち破るのが蒙武という漢(おとこ)だと

お前に理屈は必要ない
この一戦で天下に示せ

誰が最強の漢であるかを)」


そして奮起した蒙武は汗明の腕を砕く!


しかし今回、昌平君の回想シーンが多いばかりか
やたらと2人は信頼し合っている感が描かれておりますが、
この2人、確かに共に呂氏四柱とはいえ、こんなに絆で結ばれてたんだ‥‥
と驚き。

ネタバレ回避のため未読である
"キングダム総集編"掲載の蒙武の読み切りに、
その辺が詳しく描かれているのか?!
くぅ、、、読みたいが我慢である。


(話は戻って)蘇った蒙武は、また激しく汗明とやり合いますが、
そこにカリンが放った刺客(弟・カエン)が蒙武を狙う!
とそこに、蒙武を討たせまいと蒙恬が阻止!

‥‥蒙恬この子、本当に気が回る天才だなぁ。
父親を守るためとはいえ、
この能力はすごい。

そしてバランスを崩した蒙恬は汗明の前に出てしまい、
邪魔されて激怒した汗明に斬られてしまう!
そして蒙恬を目の前で斬られた蒙武は
ブチ切れて汗明を剛打、撃破!!
蒙武の勝利です。


結果的に、この蒙恬のおかげで、
蒙武が武力だけでは汗明を超えられなかった
"何か"
を超えられたんでしょうね。
少年(青年)漫画的展開と言われればそれまでですが、
蒙武が勝てて良かった。
そして初めて見る、父親の顔でした。
(出陣前の会話時よりずっと。)


蒙武の勝利の報を受けた咸陽本陣や
函谷関を護る蒙驁らは、
一斉に大喜び。

息子の大金星に蒙驁は雄叫びをあげ、
そして本来敵同士である
嬴政派・昌文君と、
呂氏派・昌平君が、

🔴昌文君 : 「‥‥総司令
‥‥‥大きいですぞ これは‥‥‥」

🔴昌平君 : 「‥‥‥ええ」

"バシッ"と握手を交わします。
(第315話 188ページ)

もはや派閥関係なく、皆が一丸となって
秦国のために戦っていることが分かる良いシーン。

一方この時呂不韋は、

🔴呂不韋 「ハッハ さすが儂の蒙武だ」
モブ部下 : 「ごもっとも ワハハ」

と、この期に及んで自分中心なのが
性格出てますねー。


合従軍との戦いにおいて、最大規模の対決に
勝利した秦軍は、
喜びに沸き立ちますが、
知らず知らずの内に次なる魔の手。

カリンは戦場での派手な振る舞いを目くらましに、実は真の目的として
函谷関へ自らの精鋭部隊を半分派遣していたのでした。



どうなる!?

次巻へ続きます。



【メモ】
⭕昌平君は元・楚人らしい。

⭕扇子ジジイ仁凹本陣、蒙武軍の追撃に壊滅。
貝満・剛摩諸は生き残る。

⭕項翼、なんか信とキャラ被ってる?

⭕おまけマンガ「狼牙がゆく 2」