キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 40巻 「敗北の巨星」

*ネタバレあり*


長きにわたる政×呂不韋の戦いに、
この巻でついに決着がつきます。

表紙が内乱編オールスターみたいな感じで、
節目の巻なんだなあと実感。

キングダムの題字にもろかぶりの呂不韋と、
水色の背景と同化しているものの真っ赤なクチビルが異様な存在感を放ってる王騎が、
ちょっと笑えました。

さて、
39巻で互いの為政論をぶつけ合った政と呂不韋

決着は、同時進行で起こっている咸陽での反乱の結末にかかっています。

呂不韋の企て通り、手下共が咸陽を制圧して王族をすべて始末し、
政から政権を奪うのか。

もしくは、
信をはじめとする大王の軍が反乱を抑え、
首謀者である呂不韋を黒幕として突き出すことができるのか。

読者の誰もが結果を分かっているものの、
1巻ではまだ14歳だった政が
8年の月日を経て加冠の儀を終え22歳、
そして本当の意味での秦の王になる瞬間‥‥
この目でみたい、確かめたい!

はやる気持ちをおさえつつ、
あらすじから追っていきたいと思います。


【あらすじ】
「人の本質の表れであり、人の世の営みの一部である"戦争"をこの世からなくすことなどできない。
戦争とは必ず起こるものであり、戦争が終わることは決してないという現実を受け入れるべきだ」

と語り、
「自分ならば暴力よりも金で人を動かして贅沢で豊かな国づくりをしてみせる」
と豪語する呂不韋に対し、

「人が持つ凶暴性や醜悪さはただの側面であり、人の本質ではない。
そこを見誤り、戦争は起こるものだと思い込むことは人に対する諦めをも意味する。

人の持つ本質とは、"光"なのだ」

と反論した政。

政は、かつて自分を趙から救い出してくれた闇商の頭目・紫夏に対し、
初めて人の優しさと強さを含めた強烈な光を見たと話し始める。

そして、
即位後からこれまでに出会った立場の違う様々な者たちの生きざまを目の当たりにし、
紫夏だけではなくその皆が一様に自分の中心に光を持っていたこと、
そして各々がその光を必死に輝かせて死んでいった姿を見てきたことを話す。

その光は、たとえその者が死しても
次の者がそれを受け継ぎ、
さらに力強く輝きを放って繋がっていく。

その繋がりこそが
人をよりよい方向へと前進させてくれるものであるのだ、と語る政。

そう確信するが故に、
己の光の有り様を見失い
人を闇に落とす最大の災いである
"戦争"
をこの時代でこの世から無くす、
と政は宣言する。

あくまで手段は"武力"なのかと尋ねる呂不韋に対し、
政は"武力"でだと断言。

戦国の王として、たとえ暴君と言われようとも武力で中華を統一し、
上も下も分け隔てなく一つにして
自分の代で戦争を終わらせるのだ、と。

全ては、
次の世を
「人が人を殺さなくても済む世界」
にするために。

政の宣言と覚悟を、その場にいる者たちは聞き入っていた。





一方、咸陽ではーーー

反乱軍は、後宮の奥まで迫ってきていた。
王女・麗の首を狙う琉期(るき)は、宮女たちを手当たり次第に虐殺しながら後宮内を荒らす。

麗とともに追手から逃げる向(こう)と陽(よう)は、反乱軍と通じていた宦官や宮女たちの裏切りにより、追手に追いつかれてしまう。

向と麗を逃がすべく、陽は己の命を賭けて時間稼ぎをしようとするが、
間一髪のところで飛信隊が到着。
信は琉期を捕らえ、麗を保護することに成功する。

その後太子・扶蘇(ふそ)の無事も確認され、ひとまずは王族の救出任務を果たした信たちだったが、
城外では、内側になだれ込もうとする凄まじい数の反乱軍に対し、
貂や尚鹿たちは苦戦していた。

戎翟軍など手練れの兵に加え、あまりにも数が多すぎる敵軍に、全滅寸前の貂たち。
もはや活路を見いだせず焦る貂のまえに、
突然貝笛の音が鳴り響く。

それは昌平君一団が到着したことを知らせる介億の貝笛の音だった。



昌平君は先頭に立ち、戎翟公・ワテギ目指して自らが出陣。

介億の貝笛により昌平君の到着を確信した貂は、戦況を見ながら昌平君の戦術に気づき、それに呼応した陣形をつくる。

そして貂の機転により陣形が整った昌平君は好機を逃さず、
一気に前進して見事戎翟公・ワテギの首を討ち取ることに成功。
そして残る何万もの反乱軍を咸陽から撤退させるために、
介億は大将首討ち取りの報を声高に叫んで周りに知らしめる。

貂たちは反乱軍の指揮系統が復活する前に素早く動き、
敗走を促すように誘導することで反乱軍を見事咸陽から撤退させることに成功する。
そして咸陽で起きた反乱は、無事鎮圧することができたのだった。



その頃、雍ではーーー


毐国軍の反乱が失敗したことを告げる伝者が呂不韋のもとを訪れ、
政と呂不韋の目の前でその事実が報告される。

この瞬間、長きにわたる政と呂不韋の政権争いの勝敗は決した。

呂不韋は、政に完敗したのだという事実を
正面からついに認めるのだった。





後日 騒動が落ちついた後、
咸陽では表向きの反乱の首謀者・嫪毐の処刑が実行されることとなった。

嫪毐は、呂不韋の手引きで後宮に偽の宦官として入らされた過去を自供し、
反乱の経緯を洗いざらい口にするも、
玉璽の複製には太后は一切関わっておらず
反乱は全て己の独断で行ったことである、
太后に罪が及ばないように庇う。

嫪毐処刑の場に現れた太后は、
己を先に処せよと政に食いかかるが、
政はあくまで反乱首謀者としての断罪人は嫪毐だとし、
太后を退ける。

引き下がらぬ太后は、嫪毐との間に産まれた2人の子の処遇について、政に問う。

政は、
「二度とこのような反乱が起きぬよう、
国家の禍(わざわい)となる火種は完全に消しておかねばならない」
太后に告げる。

太后は初めて政に対して頭を下げ、
最初で最後の頼みだとして
子の命だけはと懇願するも、
政は断固としてそれを拒否。

怒り狂う太后は政に暴言を浴びせ暴れ回るが、その場に取り押さえられ、
嫪毐の処刑は決行された。



そしてさらに後日。

呂不韋の処罰については未だ審議中であったが、
その他反乱に関わった数百人は斬首の刑に処され、
趙高をはじめ4千余家の人間は島流しの刑とされた。

嫪毐と2人の子を失い、疲弊しきった太后のもとへ、政はひとり訪れる。

生気もなく泣き疲れて眠る母の隣で
政は、

"2人の子は密かに城外に出して匿っており、
いつか国内が落ち着いたら必ずや2人と引き合わせる"

と約束するのだったーーー。




* * *



祝・第一部 完!!

1巻からずっと続いていた呂不韋との政権争いに、とうとう決着が着きました。

非情で残酷な幼少期を送ってきた政の口から

「人間の本質は"光"だ」

と聞くからこそ、
その言葉の深さと重みを感じます。

己の路は
"中華の統一"
であるという志を体の芯に据え続けた政。

王騎の死の前に共に中華を目指そうと誓い合ったこと、
絶体絶命のサイ防衛戦で、麃公の死に様を信から伝え聞いたこと、
それらを含めて
前線で共に戦ったことはないはずの政が
王騎や麃公の生き様に関して光を感じることができたのは、
それらを伝え聞く相手(昌文君や壁、信など)から共に感じ、共有する想いがあったからにほかなくて、

出会った者や関わる者たちの希望や想いを背負いながら
王として政は立っているんだなあ・・・
と思うと、
改めてキングダムという物語の壮大さの根っこにある緻密な繋がりの凄さを感じることができました。

政が目指す"中華の統一"は
決して生半可な想いで描かれた夢ではなく、

第427話14〜21ページの
呂不韋が政に問うシーンで、

🔴政 :「人が闇に落ちるのは己の光の有り様を見失うから
見つからず もがき 苦しみ・・・
悲劇が生まれる

その悲劇を増幅させ 人を闇に落とす
最大のものが戦争だ
だから戦争をこの世からなくす」

🔴李斯(?) :「・・・」

🔴呂不韋 : 「武力でですか」

🔴政 : 「武力でだ」
「俺は戦国の王の一人だ
戦争からは離れられぬ運命にある
ならば俺の代で終わらす
暴君のそしりを受けようが 力でっ・・・

中華を分け隔てなく
上も下もなく 一つにする

そうすれば必ず 俺の次の世は
人が人を殺さなくてすむ世界となる」



ここの部分の2人のやりとりから、
政の覚悟がその場にいる全員に伝わったことが分かりました。

そしてまさかの呂不韋の目に
滲むものが‥‥!!!

あえて"武力"で中華をまとめる、
と言い切った政の覚悟。

成蟜が死の間際に信に言っていた
「中華統一の道のために跳ね返ってくる怨念は長平の比ではない」
という言葉を思い返すと、
改めてこれから先に流れるであろう血の量を考えさせられ、ゾッとします。

他国にとっては史上最悪の侵略者となり、
中華中から恨まれる存在となるであろう未来が待っている。

しかし、政は
"次の世のために"
それをやろうとしている‥‥

なんだかグッときてしまいました‥‥。


さて、政と呂不韋の決着をつけたのは、
咸陽での反乱の終結の報です。

向ちゃんと麗を守る陽ちゃん、
マジに死んじゃうかと思ったーーー!!

樊於期(はんおき)の息子・琉期の魔の手にやられそうになったその瞬間、信のルァァァが聞こえて陽ちゃん危機一髪!

琉期はどれほどのもんかと思っていたら、
アッサリ信にやられて仲間にも置いていかれる始末。

そして信に助けられた陽ちゃん、
完全に信に惚れちゃってました。笑
以前おまけマンガの中で、
向ちゃんから聞いた話で一時だけ信に恋心を抱いていた時期がありましたが、
ここにきて信の嫁候補がまた一人増えたということなのか?!

陽ちゃんは名のある武家の出で身分も申し分ないはずだし、
心情的な部分を除けば信の相手としては適任
なのでは?と思いつつ、
いや、でも陽ちゃんて一応政のお相手をする宮女な訳だしな。。
主人公がダチ(王様だけど!)のお下がり(言葉は悪すぎるけど!)と結婚というのも。。。
などなど、何だか無駄に考えこんでしまいました。笑


そして後宮内はひととおり落ち着いたところで、場面はてんやわんやの城外へ。
城内へなだれ込もうとする反乱軍を何とか必死に食い止めようとする貂たちですが、
絶体絶命の状況です。

しかしここで、雍から咸陽へ向かっていた昌平君が到着!!
介億が貝笛を吹き、合図を送ります。

姿こそ見えずとも、
師の到着を知り、戦況をみながら戦術を読み解いて、陣形を連動させた貂。

同じく姿こそ見えずとも、
思いもよらぬ陣形の完成に
「そこにいたのか河了貂」
と介億と蒙毅は貂の存在に気づき、
師である昌平君にも
「フッ」
と笑みを生み出させた貂の機転と軍師学校+サイ戦での絆に胸熱!

今巻でも大活躍だった昌平君。
以前の蔡沢老師の言葉から、
昌平君の武における強さのほどは
気になってはいましたが、
まさか蒙武にも匹敵する強さ(やや誇張あり:介億談)だったとは!
恐れ入りました。
(しかも、幼少期は蒙武をも超えていたとか‥‥ますます例の読み切りが読みたい‥‥)

戎翟公を討ち取ったシーンでは、
あまりの鮮やかな強さに貂の頬が赤らむほど。
一瞬で討ち取られた戎翟公・ワテギでしたが、
百年後の戎翟の復活を夢みて重臣たちに生き延びよと命じ、自らの命を落とした最期には、ホロリとさせられました‥‥。

そして戦が終わった後、信が昌平君に何故呂不韋を裏切ったのかを尋ねるシーンでは、
はっきりと昌平君の口から
「私も中華を統べることを夢に描く男の一人だ」
との発言がありました。
さらには信の質問への答えとして、
「現秦王はその夢を預けるに足る器の王だからだ」
ときっぱり。
昌文君もわたしも、感無量です。

そして、敗戦の報を受ける呂不韋

金を見つめながら、自身の敗北を認めるシーンは感慨深かった‥‥。
この後、蔡沢に
「政は自分の息子だ」
と爆弾発言をしてドキッとさせられますが、
23ページでの若き日の呂不韋の表情からも、
ここでこの冗談を発言したことの真意は、
やはり呂不韋の言葉通り
「本当にそうであったならば」
と思うほどに、
政の成長がめざましくまぶしく、
呂不韋をも高揚させたことによるものなのでしょうね。
美姫(太后)への呂不韋なりの想いも含めながら。


太后様と嫪毐の結末ですが、
当然の結果とはいえ嫪毐は最も重い刑で死罪、そして2人の子も(表向き)死刑となりました。

太后が政に子の命を救うよう懇願する場面では、
2人の子だけが自分の全てだと言い土下座までする太后に対して複雑な表情を見せる向ちゃんが、
政から拒絶されるや否や
「てめぇなんか産んだのが間違いだった」
などと暴言を吐く太后に対して
堪えきれずに大反論したシーンがめちゃくちゃ泣けました。

そう、政だって太后の子。

しかしながら太后にとっては"クソみたいな人生"に含まれる存在であり、
そのことがとてもとても切ない。

でも、
今巻ラスト437話。
母(太后)に折檻され殺されかけて発熱を起こした政が、
ふと目覚めると濡れ手ぬぐいのようなものがおでこに乗せてあったという回想シーン。
布団は自分(太后)の分しか敷いてくれていなかったけど、枕は政に敷いてくれていた。
そのわずかながらの太后の母性ともとれる行為、政の記憶に残されていたほどに貴重なものだったのでしょう。

最終ページで、2人の子は政のはからいによって実は逃がされていることが分かり、
泣き疲れて眠っているはずの太后様の手も震えていたことから、
政の想いはきっと伝わっていたことでしょう。
政は強く、優しい。


さてさてキングダム、この先の展開は中華統一編になってくると思いますが、
"国をひとつにする"
ということがどれほどの大改革であり大戦争なのか、
想像するだけでも震えますね!

しかし40巻にもわたる内乱編、
長かったなー。
でも、めちゃくちゃ面白かったなー。

新刊が出ると、他の方の感想が知りたくてAmazonなどのレビューなどを読んだりするのてすが、
この40巻はおおむね大好評(大満足)のようですね。

しかし、
色んな方の感想を読むのは大好きなのでやめられないのですが、
たまに史実に基づくネタバレをレビューに書かれる方がいらっしゃって、
今回も史実では趙高はこの先◯◯‥‥
と書かれたとあるレビューを読んでしまい、
ネタバレを何より恐れるわたしは
ギャー!!となってしまいました。
知りたくない仲間の方はお気をつけください‥‥(涙)

それと余談ですが、今回の記事を立ち上げるにあたり、古iPhone使用のせいかやたらと落ちまくるように。。
そろそろ買い替え時でしょうかね。。。


次巻、楽しみすぎますね。
ではまた41巻で。



【メモ】
⭕成蟜の亡霊、瑠衣の肩に手を置く。笑

⭕39巻で矢に射たれまくった田有、なんとか生きているもよう。よかった!

⭕毐国と楚国はやはり金で繋がっていたことが判明。

⭕魏の前線に戻った一部飛信隊、隆国にブチ切れられる。笑
羌瘣、信を探しているっぽいが信はどこに?

太后の側近宦官・趙高は島流しの刑。

⭕おまけマンガはなし、
原先生のあとがき2ページあり。
キングダム終了は80〜100巻の予定だとか。
(増えとる!)

⭕カバー裏
表側:イラストなし
裏側:蓑虫貂のイラスト「祝 第一部完」の扇子持ち。

【コミックス未収録】読み切り 「李牧」

*ネタバレあり*


キングダム連載前に、ヤンジャン本誌に掲載された読み切り、「李牧」。

舞台は趙国で、李牧とカイネの出会いが描かれた作品です。

この読み切りの評価が高かったおかげで、
キングダムの連載が決定したと言われていますね。

コミックス派のわたしは未読だったのですが、
数年前にこの読み切りが掲載されている販促用の小冊子をTSUTAYAで見かけて以来、
ちゃんと読みたいと思ってずっとずっと探していました。

2010年に発売された総集編にも掲載されていたようですが、
同じくコミックス未収録で総集編に掲載されている蒙武と昌平君の読み切りがかなりネタバレとの噂があるので、
あえて手を出しておりません。

(39巻現在・本編の流れからいうと、こっちの読み切りの方が読むのにいいタイミングな気もしますがね‥‥)

いつかは、コミックス未収録の読み切りなどをまとめて単行本化される日もくるのかな?
とは思いつつ、
この度ついに李牧読み切りのみの小冊子が手に入ったので、
ここに内容をまとめておこうかなと思います。


小冊子には原先生のコメントもあり、

「キングダム本編でもこの二人(李牧とカイネ)のエピソードにはふれていないので、
この読切はネタばれになってしまうのがひっかかりましたが、
しかし過去の読切を載せる場もなかなかないのでよしとしました。
いずれ本編でもこの辺の話は‥‥。」

と書かれています。

本編でもいずれ触れてくれるつもりなのかぁ、と一瞬読むのをためらいましたが、
合従軍を率いる前後ぐらいの時期から
李牧の背景がずっと気になっていたので、
結局読みました。笑

でも、
本編でその辺が描かれるまで待ちたい方は読みとばしてくださいね。
ちなみに、今後のストーリー展開に関わるようなネタバレは無かったのでご安心ください。

それでは、あらすじです。



【あらすじ】
趙国 北方の地、鴈門(がんもん)。

その土地は、そこからさらに北方の山間に存在する"匈奴(きょうど)"と呼ばれる凶暴な騎馬民族たちの度々の襲来により、
絶大な被害を被っていた。

匈奴たちは、時折南下してきては、犯し、奪い、殺し、去ってゆく。
鴈門の地を守るように趙の中央から派遣されてくる将軍たちは、匈奴との激戦に次々と敗れ、これまでに何人もが討ち死にしていた。

ある日、また戦死した将軍にかわり、国都・邯鄲(かんたん)から鴈門に新しい将軍が送られてくる。

李牧というその将軍は、
温和な顔つきの風情も含めて
今までの将軍とはまるで違っていた。

李牧は住民たちに
「不戦逃避」
を言いつけ、匈奴が襲来したら戦わずに砦に逃げろと指揮をとりはじめる。

長きにわたり凶暴な匈奴の被害に遭ってきた住民たちは、戦いを避ける李牧の策に納得しかねつつも、
毎日鴈門一帯の各集落を訪れては砦に避難する訓練を行い続ける李牧の指示に、渋々と従っていた。



しかし、一部の者たちは、李牧の策に納得できぬまま、不満を抱えていた。

特にカイネという女剣士は、両親を匈奴に殺されたという過去を持ち、匈奴を心から憎んでおり、
カイネは、戦わずして逃げる"腰抜け"な訓練をする李牧に対し、何かと食ってかかっていた。


そしてある日。

李牧が鴈門の将軍に任命されてから初めて、
匈奴が村を襲ってくる。

匈奴を迎え撃とうと準備する住民たちに、
李牧は戦わずに砦の守備をせよと指示。

カイネは反抗するが、
李牧は、指示に従わない者は
「斬首」
だときっぱりと言い切る。

住民たちは結局李牧の指示に従い、
家財・家畜とともに砦に逃げていた。
そして匈奴が村に着いた頃には住人はもぬけの殻であり、
匈奴たちは腹いせに村に火をつけて去って行った。

家々を焼かれ、悲しみに暮れる村人たちだったが、
李牧の指示のおかげで死傷者は1人も出ず、
焼かれた家々を再生すべく率先して山仕事をこなす李牧の姿に、住民たちも徐々に心を開いていった。



一ヶ月後。

再び匈奴が攻め入ってくる。

李牧の策によりまたしても集落が抜け殻だったことに腹を立てた匈奴たちは、
砦の下に現れ、侮辱的な発言でカイネたちを挑発。

親を侮辱され、頭に血がのぼったカイネは暴走。
開門しろと怒り狂うが、
李牧に制止され、牢屋へ入れられてしまう。


その夜、牢屋まで来てくれた昔なじみの昭(しょう)に対し、
カイネは匈奴に対する怒りと
戦おうとしない李牧に対する怒りをぶつけていた。

カイネの気持ちを汲む昭は、1人邯鄲へ出向き、
李牧への苦言を伝えるために趙王に謁見するーーー。





李牧のおかげで結果的に匈奴を撃退できているという現状に、住民たちは満足していた。

ある意味においての勝利だ、と喜ぶ住民たちを尻目に、
カイネは敵に屈しているだけだと憤り、

「趙人としての誇りや殺された仲間たちのことを思えば、
敵に背を向けて生き延びたとしても
我らの魂は死ぬのではないのか」

と李牧に訴えかける。


そんなカイネの姿を見て、
カイネの過去を知る李牧は
"ある男の話"として、
自らの過去を話し始める。



《今のカイネと同じ目をしていたその男は、
カイネと同じくらいの歳の頃、
戦争で両親と兄弟を失った。

男は怒り狂い、その念は部隊にいた同年代の者たちにも伝染した。

彼らは部隊長の制止を無視し、無謀にも敵陣に突撃した。

男は我を忘れて矛を振り、
気付けば敵陣を全滅させていた。

しかし、気付けばまわりの仲間たち‥‥
男以外のすべての人間は全滅していた。
男は、従兄弟も隣人の兄弟も、友人たちをもすべてを失った。

その時男の心に去来したものは、
家族の恨みを晴らした達成感ではなく、
今まで味わったことのない
耐え難いほどの失意であった・・・。》



カイネは、李牧が自身の話をしてくれたのだと察する。

そして李牧は、
設備も装備も兵力も不足している鴈門の地には、そもそも"勝利"など無く、
数十万にも膨れ上がった匈奴を討つことは絶対に不可能だ、と話す。

しかし、勝利がないのであれば徹底的に守り、
たとえ臆病者とも卑怯者ともののしられようが匈奴には味方に指一本触れさせはしない、
それが自分の役目だ、
と言い切る。

そしてカイネに、

「生とは自分が思っている以上に重く尊く守られるべきものであり、
そのことを憶えていてほしい」

と伝え、
カイネもその言葉を重く受け止めるのだった。



後日ーーー

昭がカイネの気持ちを慮り、趙王に密告したことがきっかけとなり、
李牧は突然鴈門の地での将軍の任を解かれてしまう。

何も知らなかったカイネは昭を責めるが、
李牧は厳しい取り調べを受けるため
邯鄲へと引き戻されてしまうのだった。



そして、鴈門には新任の将軍が派遣されてくる。


新しい将軍は一転して好戦的人物であり、
匈奴の襲来に対して大挙して討って出るが、
匈奴の前に大敗。
将軍は討ち死に、鴈門は蹂躙されてしまうという最悪の事態に。

かろうじて生き残ったカイネら兵たちは、
家を捨て南下するが、
全滅寸前の状態に陥っていた。

戦死した昭の亡骸の前で泣き崩れるカイネは、
李牧がいた頃を懐かしむ兵たちの言葉を耳にし、
涙が止まらない。

数えきれないほどの仲間たちの骸と墓の前で、絶望感に打ちひしがれるカイネ。

とその時、
暗闇の向こうから人影が現れる。

気配を察し、剣を構えるカイネの前に現れたのは、
李牧だった。


「ただいま カイネ
残念ですけど今日からまた
腰抜け作戦の始まりですよ」



ーーー李牧が戻り、この後 鴈門は奇跡の復活をとげた。
そしてまた匈奴は何一つ奪えない日々が続いたと『史記』には記されているーーー



* * *



本編では、李牧崇拝のカイネですが、
当初はこんなに反発していたんですね。

39ページほどの読み切りだったので、
できるだけ詳しくあらすじを追いましたが、

簡単にまとめると・・・

もともとカイネは趙の北方に生まれ育ち、
両親を殺した"匈奴"に恨みを持ち、
日々復讐を願って剣の腕を磨きながら生きていた。

そこへやってきた新しい将軍・李牧は、
戦いを避けて砦にこもる作戦しか指示せず、
匈奴に復讐したいカイネの怒りの感情はおさまらない。

しかし、李牧にも戦争で両親や兄弟全てを失った過去があった。
李牧が怒りに任せて無理に戦争を進めたばかりに、仲間たち全てを失った。
その時の失意の底のような絶望感を今でも背負っているかのような李牧に対し、
カイネは、李牧は自分と同じようなことになって欲しくないと言いたいのだ、と悟り、
李牧の作戦にも理解をし始める。

しかしながら、カイネの匈奴への怒りを知る昔なじみの男の子・昭くんは、
戦おうとしない腰抜け李牧を追い出そうと
よかれと思って1人趙王に謁見し、密告します。
(一般人が王様に会えるのか??
という素朴な疑問は浮かびましたが。笑)

匈奴と戦い、両親の敵を討ちたいカイネに喜んでもらいたくてとった昭くんの行動でしたが、
カイネはカイネで李牧の過去を知り、
李牧の想いを理解しつつあったので、
李牧を卑怯な手で追い出した昭くんを責めます。

結局李牧は邯鄲へ引き戻され、
鴈門は以前のように匈奴に荒らされるように。

いよいよ鴈門一帯は蹂躙され、昭くんをはじめ、仲間たちもほぼ全滅。

あの時聞いた李牧の話が痛いほど胸に響き、
絶望に涙するカイネの前に、
再び李牧が戻ってきて、
カイネは泣きながら李牧に抱きつき
生き残った兵たちは李牧の帰還を喜ぶ・・・


といったお話。


短いながらも、
李牧の背景はしっかり分かりましたし、
カイネが何故あんなに李牧を慕うのか、
何故女ながらに李牧の側近的な位置にいつもいるのか、
その辺りの疑問もおおむねすっきりしたので
読んで良かったです。


この読み切りで出てくる"匈奴"は、
ご存知本編でも揚端和様のお話の中で登場します。

15巻で、王騎復帰戦・秦 VS 趙の戦いが繰り広げられていた最中、
咸陽の政のもとへ揚端和様が突然訪ねてきます。

端和様ら山の民は、勢力を拡大し、8万の軍を率いて北の騎馬民族匈奴
討ちに攻め入ったところ、
なんと10万以上もの匈奴たちはすでに全滅。

ほかの地域の山民族に比べ、桁違いの武力と軍勢を持っていたはずの匈奴が、
死体の様子から察するに
"武力"ではなく
何者かによる"策"の力によって
一方的にやられたように見えた、
と政に話します。

端和様は、戦場の位置関係から、匈奴を壊滅させたのは"趙軍"だと推測。

秦が趙と戦争中だと知っていた端和様は、
匈奴10万を全滅させるような脅威的な軍を趙が持っているということを、
秦が知っているのかどうかを政に確かめに来ます。
もし知らなかったとしたら、秦にとって非常にヤバイ状況だ、と案じて。

実際、趙の徹底的な情報操作により、そのことを全く知らなかった政。

端和様は、その軍を率いている者の名を匈奴の生き残りから聞き出し、
その名を"李牧"だと伝えてくれます。



匈奴はこのとき壊滅したもよう。
この李牧読み切りの時期から、いったい何年後の設定であるのかは明確に分かりませんが、

カイネたちにしてみれば、悲願の達成だったんですね。

環境が悪く、設備も兵力も無い北の鴈門に、
数十万もの匈奴を全滅させるほどの策を施し、見事にやり遂げた。
とてつもなく大がかりな策だったんでしょうねー。


ちなみに、このあたりは史実通りだそうです。

小冊子にある原先生のコメントより、
この李牧読み切りのラストシーンにあと1ページ追加しようかどうか悩んだそうなのですが、

"李牧が鴈門に戻った後、
北の軍隊を率いて匈奴と大戦し大勝した"
という史実を描くかどうかを迷ったとのことです。

結果的に諸々の事情から追加はしなかったようですが、

その後無事キングダムの連載を勝ち取り、
敵軍として李牧とカイネを登場させることもでき、
この時描かなかった部分を本編で端和様に語らせることができて、、、
「してやったり」だとこちらでもおっしゃってます。笑

改めて、キングダムはすごい漫画だなぁと実感。

人気と実力がなければ、いくら伏線を張ろうが、回収することはできませんからねー。
哀しくもそんな漫画はごまんとありますから。

改めて、キングダムという物語の壮大な背景を思い知らされる読み切りでございました。



それでは、次はたぶん次巻で。



【メモ】
⭕李牧、ムキムキマッチョ体型が判明。
材木運びの作業中、なぜか上半身裸であり、
「ドフ・・」という謎の擬音とともに
傷だらけの李牧裸アップ描写あり。
村人の女が「ゴクリ」と生唾をのんでた。笑

⭕小冊子には、ほかに原先生と中村勘九郎氏との対談が4ページほど掲載。
中村氏の1番好きなキャラは騰らしい。
歌舞伎界にもキングダムファンが多いそうな。

キングダム 39巻 「人の本質」

*ネタバレあり*



呂不韋の策略によって引き起こされた
毐国軍の反乱による咸陽混乱の中、
ついに政の加冠の儀が完了しました。

と同時に、政と呂不韋との最初で最後の直接対決!!

本格的な戦や各々の決着は次巻以降に持ち越されましたが、
39巻のサブタイトルが示す通り、

"人"、"戦"、"国"の本質とは。
"天下"が表す言葉の意味とは。

政と呂不韋の対話の中で、じっくりと語られます。

そして、満を時しての昌平君の行動に注目です。

それでは、あらすじから辿っていきたいと思います。



【あらすじ】
加冠の儀の10日前。
攻略戦における任務のため、魏国に滞在していた飛信隊の貂のもとに届いた昌平君からの伝文には、
文を届けた呂不韋の手先である伝令係にも
内容を読み解かれぬよう、
一見普通の軍略指令にみえる暗号文で
真の内容が記されていた。

貂は、その暗号文で示される内容が、
"加冠の儀を狙った反乱が起こること"
を知らせるものであると読み解く。

呂氏四柱・昌平君が、敵対しているはずの大王一派・飛信隊に対し、政の危機を知らせるというこの行動は、
昌平君が呂不韋と"袂を分かつ"決意をしているということをも意味しており、
貂は全ての形勢が一気に覆る大事態かも知れぬと理解し、
急遽政のもとへ反乱の報せを送っていた。

そして加冠の儀の日。
攻略戦の任のための兵を魏に残し、
1000人の兵で咸陽を目指していた飛信隊は、
咸陽目前の位置にある川・渭水(いすい)の前で、
約1万人もの船団行軍に遭遇する。

なんと、船団の兵たちは、かつて合従軍防衛戦でともに戦った"サイ"の住民たちであった。
政から此度の事情を聞き、呂不韋にばれぬよう反乱鎮圧の準備を進めていたのである。

"サイ"の兵たちが用意してくれた船に乗り、信たちは川を渡るが、
川岸では反乱軍の戎翟公(じゅうてきこう)が待ち構えており、
船上へ一斉に矢を射ちこんでくる。
慣れない船上での戦いに、飛信隊はペースを狂わされるも、
貂はすぐさま陣形をつくり、タイミングを見計らって矢攻撃を仕掛ける。
隙をついて川岸に上陸した信は、戎翟の兵たちを蹴散らし、
味方である反乱軍鎮圧軍・馬仁(ばじん)将軍や尚鹿(しょうかく)将軍と合流し、咸陽へと急ぐ。


その頃、咸陽では、樊於期(はんおき)将軍ら反乱軍が既に到着していた。
呂不韋の手回しにより、何と咸陽の内側から城門が開き、
樊於期軍はいともたやすく咸陽へ突入する。

城内では住民が次々と蹂躙され、
特に戎翟の兵は、100年前の小国時代に秦に取り込まれ"県"にされてしまったという積年の恨みから、
執拗な蹂躙行為を繰り返す。


一方、旧王都・雍では、
加冠の儀が完了していた。
政は正式に第31代 秦国大王となる。

加冠の儀が無事に成し遂げられたことを見届け、
昌文君は即座に反乱軍討伐のため咸陽に向かおうと立ち上がる。

その時、呂氏四柱・昌平君が昌文君を呼び止めた。
そして呂不韋に向かって
「昌文君とともに反乱軍を鎮めるために咸陽へ向かう」
と宣言する。

昌平君の突然の行動に対し、呂不韋陣営は騒然となる。
11年もの間 呂不韋の下で軍総司令を務めてきた昌平君の離反に対し、
同じ四柱の李斯は激昂するが、
呂不韋は一瞬は驚くも動じず、引き止めることもなく昌平君と決別。
昌平君は、介億を引き連れて退室し、
昌文君と合流して咸陽へと向かう。


そして咸陽ではーーー
戎翟兵や樊於期(はんおき)軍らの蹂躙行為を制する昌平君直下の騎馬隊が突如現れ、反乱軍討伐の援護に加わっていた。

しかし、2つめの城門までもが呂不韋の手回しにより開かれ、
樊於期軍は呂不韋から教わった王宮・後宮までの最短ルートをたどり、進んで行く。

そのような状況の中、咸陽に着いたものの、戎翟兵など手練れの敵軍に手こずる信たち。

信は、苦戦する城内の飛信隊とサイの兵士たちに向かって

「敵の狙いは王族を消し去って呂不韋を次の王にすることであり、1番狙われるのは秦王の子供だ」

と叫び、
政の子供を絶対に助けるのだと檄を飛ばす。



一方、加冠の儀を終えた雍ではーーー
呂不韋が政に対し、
"天下"について語り合おうかと誘い、別室へと移っていた。

政は、太后、瑠衣、李斯、蔡沢の4名を同席させ、この者たちには自分たちの言葉を聞かせておくべきだと話す。

呂不韋はまず、
政の大望である"中華統一"について触れ、その願望は狂気の沙汰であると断ずる。
その理由を説明するため、
呂不韋は自身の思い描く"天下"像について語り始めた。

呂不韋は、
「"天下"とは、"貨幣制度"によってもたらされたものだ」
との持論を語る。

人の歴史における最大の"発明"にして"発見"
であるこの制度が生まれてから、
"金"こそが人々の"欲"を増幅させ、
他人との"裕福度"を比較する物差しとなり、
そのことが他人より多くを得たいという強烈な"我欲"をもたらしたのだ、と。

もともと物々交換の範囲で生きていた人々の世は、貨幣制度の普及により
中華という広大で複雑な世界へとまで進化した。
そして、
人々にとっての"天下"が"中華"へと代わり、
人間がその手で支配できるものなのではと
思わせるものへと変化した。

もし、呂不韋自身が国を担うならば、
大商人時代に金を通して誰よりも深く人の世を洞察してきた上で得た稀有な知識と経験により、

"戦争を第一手段とし、国民が血を流す世の中"
ではなく、
"金を操り、国民全員が人生を贅沢に謳歌することができる世の中"
をつくりだし、

「10年あれば秦を中華史上で最も富に満ちた国に成長させることができる」

と断言。

刃ではなく富を交わらせて他国との関係を築き、
列国の資源・産業を循環させる役割を秦(呂不韋)が担うことで中華全体の発展・繁栄の実現をさせ、
暴力ではなく豊かさで全体を包み込むのが自身の考える
"正しい中華の統治"
であると語る呂不韋

敵国全てを暴力で征服し尽くす
"中華統一"
など、勝利する側の身勝手な夢の押し付けであって、悲しみと絶望と怨念を生み出すだけであり、

自国民に多大な犠牲を強いることを
"中華統一"の代償として政が善しとするのであれば、それは狂気の沙汰としか言いようのない考えである、
呂不韋は政を激しく批判する。

呂不韋の言葉を受け、
趙で過ごした幼少期、虐待の日々を送っていた頃の鬱屈した感情が思わずよみがえる政。

そのやり方では戦争はなくならないと
反論する政に対し、
呂不韋

「人の世から戦がなくなることなどない」

と断言する。

己の大義のため、仲間のため、愛する者のため、ただ私利私欲のため、復讐のため‥‥
戦う者たちの戦う理由は、
それぞれが人の持つ正しい感情からの行動であり、
誰もが間違っていないからこそ堂々めぐりとなり、戦争が終わることなどないのだ、
と言い切ってみせる。

政は、呂不韋の言葉により、趙時代に味わった復讐心の闇の中へと思わず引き込まれそうになる。

しかしその時、政の頭の中で、
かつて政を命がけで救ってくれた女商人・紫夏の言葉が聞こえる。

我にかえり、己の考えを整理できた政は、
呂不韋に自らの言葉をもって反論する。

呂不韋の考える為政(いせい)とは、
所詮"文官"の発想の域を出ないものであり、
戦に向き合わぬ呂不韋の為政は今の世の延長上にしかなく、
結局のところ500年続いた戦国時代が再びより大きな戦争期間へと突入するだけだ、と。

「"戦国時代を終わらせること"
こそが、人の世をより良い方向へ進める為政者の役目ではないのか」
と政が語ると、

呂不韋
「戦争は人の本質の表れであり、人の世の営みの一部。
それを否定することは人を否定することであり、現実を受け入れて為政に挑まねば世の中は前進しない」
とさらに反論。

すると政は、
「人の持つ凶暴性も醜悪さも、
それは人の側面であり、
決して人の本質ではない。

人の本質を見誤り、戦争がなくならぬものと思い込み、その中での最善を尽くそうとしているが、
それは前進などではなく、
"人へのあきらめ"だ。

そこに気づかないからこそ、
中華は500年も戦争の時代を続けているのだ」

と答える。

呂不韋は政に対し、
人の本質とは一体何だと思うのかと問うと、

政は、

「人の持つ本質は 光だ」

と真っ直ぐに答えるーーー。



* * *



呂不韋、やはり手ごわい・・・!!
39巻では、決着がつきませんでした。


利口な貂は、昌平君からの暗号文を読み解き、
政へ反乱を知らせます。
昌平君→貂リレーのおかげで、政陣営はサイに協力を仰ぐことができ、
反乱軍鎮圧軍を待機させることができました。

ここでなつかしの尚鹿将軍が登場!
壁の幼なじみです。
しかし信の初陣から8年ほど経過したとはいえ、
えらく老けたような、、、笑

サイの民兵たちもたくましくなっており、
こんな時ではありますが、嬉しい再会が続きます。

しかし!話は逸れますが、
26ページのおまけラフ画の羌瘣セリフを見てかなりガッカリ!
「私も(船に)乗りたかったな‥‥」
って、羌瘣は来てないのかよ!?

読み進めていくと、魏国攻略戦の途中で飛信隊全員が抜ける訳にもいかず、戦力を残して来たと信が説明しておりましたが、
仕方ないとはいえ、たった1000人とは‥‥
ちょっと心配になってきました。

個人的にはすごく残念でしたが、やっぱり原先生は上手いとも思います。
政と信と貂が大きく関わるときは、羌瘣を外す。
ここの3人の特別な絆感は、ずっと一貫して描かれているんですよね。


そしてついに、昌平君が呂不韋陣営を抜けました!

言葉少なな昌平君なので、こうなるまでどこかでヒヤヒヤはしておりましたが、
「世話になった」
の一言で呂不韋のもとを去りました。

合従軍戦の際、国の存続をかけて秦が一丸となったあの時、
昌平君もいろいろと思うところがあったのでしょうね。


29巻で、
蒙武が楚の汗明を討ったという報に対し、派閥対立関係なく昌文君と握手をかわしたこと。

30巻で、
秦の劣勢に対し、もはや防衛を諦め政の首をとり合従軍に差し出そうと目論む呂不韋に対し、
政は、咸陽までの最後の砦である"サイ"へ自らが出向き、民衆の人心に火をともしにいく役を買って出たこと。

31巻で、
政と昌平君の間で行われた会話の内容を探る呂不韋に対し、
「状況をお考え下さい 相国
私は秦軍の総司令でもあります
今ーー それ以外のことは
取るに足らぬ小事です」
と昌平君が答えたこと、
加えてサイに介億ら側近100名を送り込み、
サイ防衛戦に協力したこと。

楚出身の昌平君にとって、秦という国に対する想いがどれ程のものなのかは分かりませんが、
政や呂不韋とはまた違う角度から
この人もまた
"中華"全体を見ていたことは間違いありません。

そうでないと、廉頗戦で勝ち取った"山陽(東郡)"を拠点とした"中華への進出"を密かに目論む必要はない訳ですからね。
(その企みに気づいたのは李牧・春申君だけのようでしたが。)

それも含め、軍総司令として、今秦を滅ぼされる訳にはいかないという意地もあったでしょう。

"国が存続できるか滅亡するかの瀬戸際"
の際に、
呂不韋は、国よりも己を優先した。
どんな状況であっても己の立場や優位性を重んじた。
政は、国のために自分が出来ることを最大限に行った。

この差が決め手となったのでしょうか。

実際、昌平君が呂不韋のもとを去る理由の説明はありませんが、
この差こそが、呂不韋失脚の本質的な部分に繋がっていくのかもしれません。

第420話の呂不韋のセリフで、

🔴呂不韋 : 「"四柱"とは儂を華やかに彩るためのただの"装飾"にすぎぬ

"装飾"は所詮"装飾"
それが一つや二つ身からはがれ落ちようと

この呂不韋という人間の強大さは一切揺らぐものではないぞ

うぬらは全員 誰一人としてまだ呂不韋という男の大きさを測れておらぬ

当然といえば当然か
測れるほどの"物差し"を誰も持ち合わせておらぬからな」


というものがありましたが、
ものすごいセリフだなとゾッとしました。

昌平君が離反することに対する強がりとか、
そういうことから出る言葉では一切無く、
本気で人を信用せず、
人は己を彩る装飾品とまで言い、
ただ己の能力のみを愛している。
(でもこれまでになく本音が出過ぎているあたり、やっぱり大分イラついてはいたのでしょう)

ラストの中華統治論演説にも、その部分がハッキリと表れていました。

政ですら、過去の怨念(ゾンビ亡霊たち)を思い出さされる程に巧みな言葉と耳ざわりのよい表現の数々。

瑠衣らの表情をみても、呂不韋理論に付け入る隙が無く、完全にのみこまれています。

数々の国を見てきた蔡沢ですら、呂不韋の語る為政論に一目置かざるを得ない表情。

政を圧倒するような論破っぷりに、
その場の空気がかたまりまくっています。
やはり、流石は呂不韋としか言いようがありません。

並行して行われている咸陽での反乱軍との戦いシーンが差し込まれますが、
秦の侵略により100年前に国を取り込まれてしまった"戎翟"の怨念による強さも、
呂不韋の理論を裏付けるようで読者にも効果的です。

しかし、呂不韋の理論にのみこまれそうになる政は、紫夏さんの光に救われて自分を取り戻します。

もっともらしい呂不韋の理論に対し、
政は、
「人に対して"あきらめている"限り、
人の本質を見誤っている限り、争いは終わらない。
だから500年も戦争が続いている」

ときっぱり。

ここで、呂不韋の時は質問を交えながらも
渋い表情で目を伏せていた蔡沢が、
目を開けて自分の胸をぎゅっと掴んだシーンが印象的でした。
(まさかここにきて普通に心臓発作とかじゃ、、ないよね?!笑)

8年ほど前には、
「早う大きゅうなりなされィ 大王
この蔡沢は 強き者にのみお仕えいたしまするぞ」
と言っていた蔡沢。
昭王時代の丞相を務めていたほどの人物ですから、
胸の奥深くには忘れかけていた"熱きもの"を秘めているのではないのか?!
大きゅうなった政に対し、何を感じているのかすごく気になる。

そしてここまで何も喋っていない、感情の動きを見せない、太后の意見も気になります。


1巻から39巻までの間続いてきた、政と呂不韋の権力争い。
果たしてどちらが国の実権を握るのか、
結果は分かっているものの、
今巻は進行がスロウでちょっとはがゆくはありましたが、
決して短縮できないシーンですからね。
政がどう締めるのか、40巻に期待です。


最後に、触れそびれていましたが、
信をかばって矢まみれになった田有さんの生死はいかに!?

3ヶ月先が長すぎますね。。。



【メモ】
⭕おまけマンガ「天幕(テント)つづき」
羌瘣ちゃん!!
まさかあなたが自ら・・・!!

⭕カバー裏 表 : 貨幣イラスト
裏 : (おまけマンガからの)「しーっ(秘密ね、的な)」てしてる羌瘣(かわいすぎ)

⭕向ちゃんの愛娘・麗ちゃんはめちゃくちゃかわゆく成長。

呂不韋の手下と思っていた樊於期、さほどの信頼関係はなさそう。まさに金で雇っただけの関係?

呂不韋、よく足がしびれる。笑

⭕原先生、"アメトーーク!キングダム芸人の回"放送に大喜び。

《昌平君について、おさらい》
⭕秦国の右丞相。
⭕元々は楚の人間である。
呂不韋のもとで11年間仕える。
⭕軍師養成学校を自費で運営する。

《これまでに気になっていたこと》
⭕10巻の呂氏四柱登場シーン。
蒙武が中華最強を宣言するところで、
🔴蔡沢 : 「すでにそこに貴様より強い男が一人おるぞィ なァ 昌平君!?」

という蔡沢のセリフと、

⭕13巻 蒙武 VS 趙軍 戦を城跡で観戦中の蒙毅と貂の会話シーン。

🔴蒙毅 : 「今はもう戦略戦術が必須の時代だ
蒙武の戦い方は明らかに時代に逆行している
中華最強という言葉自体も漠然とはしているが
もしそれに当てはまる武将がいるとしたらーー

それは高度な知略を起こし実践できる武将のはずだ
(そう 本来ならそれは先生が‥‥)」

というセリフからの昌平君の表現。

軍総司令+軍師学校の講師というだけに、文官のイメージを抱いていたところ、
何だかこの2人の言い方だと
「知略だけでなく相当武にも長けている」
という感じがして(李牧タイプ)、
昌平君のことはずっと気になってた。

⭕今巻第421話で、昌平君は甲冑着てますから、もしかして昌平君の戦闘シーンが見られるのかな?!と密かに注目してます。


※昌平君については、今までいろんな描写があったので別枠でまとめてみたくもあったのですが、
例の、ネタバレを含むらしいという噂から
"総集編掲載の読み切り"を未読のため、
そこに描かれている昌平君を知らない以上は、自分なりにとはいえまだうかつに人物像をまとめることはできない気はします。またいつか。

【感想】 「アメトーーク! "キングダム芸人"」

*ネタバレあり*

今か今かとひそかにずーっと待っていた、

アメトーーク!"キングダム芸人"の回」

がついに現実化し、先日放送されました。
(※2015年5月28日放送分。以下、"アメトーク"と記します)

嬉しすぎてテンション上がりまくりましたが、
見ていて思ったのは、
やはりたったの1時間ではキングダムの魅力は語りつくせない、、、!
ということですね。

キングダム大好き芸人たちも、きっと同様の気持ちを抱きながら、もどかしくも必死に魅力を伝えてくれたことでしょう。。

とはいえ、アメトークを通してキングダムを読みたいと思う人が増えてくれたら
いちファンとしてめちゃくちゃ嬉しい!

なので、今回は祝・アメトーク記念として、備忘録も兼ねて感想を残しておきたいと思います。


【キングダム大好き芸人たち・キングダム軍】

各キャラのコスプレ姿で登場。

高橋茂雄(サバンナ) ・・・信
小島瑠璃子 ・・・羌瘣
ケンドーコバヤシ ・・・タジフ
●吉村崇(平成ノブシコブシ) ・・・王騎
菊地智義(ポテト少年団)・・・桓騎


まず第一に、こじるりの羌瘣コスがめっちゃかわいかった!!

キョーカイちゃん大好きなわたくしといたしましては、放送を見る前までこじるりが羌瘣だなんて地味すぎる!と否定的でしたが(すみません)、
超絶似合っておりました。
サバンナ高橋の予言通り、ツイッターでも話題になってましたね。

それに対して、高橋の信!
宮迫にスネ夫がいる?とボケられるほどに
まったく覇気が無さすぎて爆笑!
本人も、
「戦顔(いくさがお)ちゃうから〜」
と認める始末(笑)

ノブコブ吉村バージョンの王騎は、不気味ではありましたがいい味は出てましたね。
「劇画顔だから」と一同に納得されておりました(笑)

ケンコバタジフはプヨってるお腹がかわいすぎて爆笑!
菊地さんの桓騎は・・・正直微妙でした。。(菊地さんのことも初めて知りました・・すみません)


【キングダム分からん軍】
●礼二(中川家)
狩野英孝
若林正恭(オードリー)
土田晃之
●千秋


【番組の流れ】

一、キングダムとは?
二、キングダムの凄さ
三、ハマるポイント
四、史上最大のピンチ
五、キャラクター列伝

こんなかんじの五部構成でした。


〈一、キングダムとは?〉


ケンコバ :「ひとことで言うとめちゃくちゃ面白い!」
高橋 :「主人公の成り上がりのストーリー」

おおまかにまとめると、
"(日本では弥生時代の頃)秦の始皇帝が中国を統一する物語"
と紹介されておりました。

「1話目冒頭に、
"夢を叶え将軍になった主人公"
があらかじめ描かれているところがすごい!」
と高橋が熱く語ってくれます。
そしてこじるりが1,2話の内容を解説。
「読みたくなりませんか?」
と煽ります。


《キングダムとは(画面に出たまま写します)》
1.めちゃくちゃ面白い!
2.中国を統一する物語。
3.主人公の親友の死で第1話終了
4.「タッチ」の和也が1話で死ぬ感じ?
5.死んだ漂を見つけて第2話終了
6.読んだら最後 You can't stop!!
7.国内のクーデターで命を狙われてる。
8.最初に未来の姿が描かれている。
9.あえて先の展開を見せてる


〈二、キングダムの凄さ〉

サバンナ高橋が、連載前の裏話を披露。

★原先生の連載が決まり、キングダムの構想が出来上がると"絶対に面白いものになる"と確信した編集。
そこで、初連載の原先生のために、あの井上雄彦先生のもとへ4ヶ月間アシスタント修行に行かせた。

編集が連載前に絶対売れると作品の魅力を確信し、新人を巨匠に送り込みアシスタント修行に出させるという流れ、初めて聞きました。
しかも初連載の新人に!


次に、何故か"キングダムを◯◯に例えたら"
コーナー的な流れになり、

ポテト少年団・菊地が
「土田さん、ラオウと同じぐらい王騎の事を好きになれます」
と断言したことをきっかけに例え話が発展。
高橋「ケンシロウは信!」
土田「トキは?」
高橋「トキは・・(無理矢理こじるり羌瘣を当てる)」
ケンコバ「俺(タジフ)はハート様です!」
土田「何か分かってきた・・・」

ハートって!!
それ全然タジフじゃなくてケンコバのお腹がやん!!(笑)

千秋がマンガじゃなくて阪神に例えてキングダムを説明しろと言えば、
サバンナ高橋
「信は(例えるなら)若きエース・藤浪」と答え、
掛布=王騎
マートン=桓騎
タジフ=フィルダー
などなど発展回答が続きます。

狩野が大好きなラルクに例えて〜と言うと、
ハイドは信になったものの、キングダム軍にラルク知識が無く、役が決まらずにグダグダになって終わり(笑)。


《キングダムの凄さ(画面に出たまま写します)》
1.連載デビュー作で大ヒット!!
2.井上雄彦⇔(師弟)原泰久
3.連載デビュー決定後に井上雄彦に弟子入り。
4.次の巻をガマンできなくなる。
5.38巻でも状況は変わらず
6.毎回が「ムリやん」→「 マジか?」
7.簡単に一言では片付けられない。
8.方や日本ではネズミ対策


〈三、ハマるポイント〉

とにかく1巻を読めばハマる!と一同力説。

ケンコバは、
1巻で万が一ハマれなければ3巻を、
それでもダメなら16巻、
次は26巻、
と各巻のオススメポイントを挙げていきます。

このあたりで、別撮りで三四郎・小宮(最近よく出てきてますね)に3巻まで読ませた様子を紹介。
「山の王が女だったのが衝撃。お金払ってでも続きが読みたい」
と言わしめました。

ノブコブ吉村は、
「好きすぎて16巻だけ読めない」と興奮。
主要キャラ・王騎が死ぬ展開の説明に、
高橋やケンコバ
「15巻まで王騎が死ぬ気配なんて全くない」
と16巻の衝撃を力説しておりました。

個人的に嬉しかったのが、高橋&ケンコバの録嗚未フィーチャー!

「キングダム史上初めて"ツッコミ"が生まれるシーン」
として、キングダムファンにはおなじみの
騰×録嗚未の例の掛け合いの数々が紹介されておりました(笑)。

そしてこのあたりで、別室にオードリー若林を連れていき、キングダム1巻を読ませる展開に。


〈四、史上最大のピンチ〉

ここでキングダム最大の山場、合従軍編のストーリーが説明されます。

まず、"合従軍とは?"の説明。

サバンナ高橋は、
ドラゴンボールに例えたら、最初のほうにピッコロ、フリーザベジータから魔人ブウやらが一気に攻めてきて、
こっちはウーロンとプーアルしかおらん状態」
と、事の重大さを力説(笑)

そしてこの絶体絶命の事態に、ケンコバタジフ属する山の民が救援にかけつけてくれるシーンを紹介。
詳しいことは話せない!とじらしてました。

あとは函谷関の戦いで、桓騎が井闌車に油をぶっかけ、火矢を放つシーンのフリップが出され、
15万人もの敵軍まみれの大海原に桓騎が1人(正確には精鋭部隊400)で降り立ち
しれっと敵軍のボスを倒すという、
28巻の激アツ展開が紹介されていました。

この301話が掲載された号の、ヤンジャン読者の反響はとんでもなかったとか。

まったく、この時の桓騎の「すべて 上手くいく」には心の底からしびれましたね・・・。

この桓騎の行動を聞いた中川家の礼二が、
「そんな組織の和を乱すヤツ、アカンやん」
とツッコミを入れ、
しばらくケンコバと押し問答みたいになったところが個人的にめっちゃ面白かった(笑)

さて、ここいらで1巻を読み終わった別室の若林に一同が注目!
まんまとキングダムの面白さにハマったっぽい若林に、全員がしてやったりと大喜びでした。
若林、2巻を持って、ひな壇に戻る(笑)。


《秦 VS 合従軍(画面に出たまま写します)》
1.趙の李牧が合従軍を形成。
2.誰もが絶対負けると思った。
3.秦国に+αの力が働いた。
4.最強の助っ人「山の民」
5.トリッキーな行動で危機を救う。


〈五、キャラクター列伝〉

各キャラクターのざっくりとした説明コーナー。

とにかく最終的に王騎がカッコいい!と一同絶賛。
集英社から借りてきたという"王騎の矛"を狩野に持たせ、
この"矛"の凄さをこじるりが説明。

伝説の一戦・王騎×の龐煖の戦いをフリップで紹介し、
龐煖の化け物的強さの解説も。

「さんま VS たけし みたいな戦い」
「パッキャオ VS メイウェザーみたいなもん」
「龐煖はジョーカー的な強さ」

などなど各自が評しておりました。

羌瘣と龐煖の戦いのアニメ映像もちらっと流れ、
連載終了までアニメを見ないと決めているわたしは、ここで初めて羌瘣の
"トーン タン タン"
を聞いたのでした。
(思っていたリズムと違った)

そして、分かりやすかったのが
ノブコブ吉村の、
"信の成り上がりを島耕作に例えたら"
のフリップ説明。

ヒラ社員 = 歩兵(伍)
主任 = 百人将
係長 = 三百人将
課長 = 千人将
部長 = 三千人将
取締役 = 四千人将
専務 = 五千人将
社長 = 将軍
(会長 = 大将軍)


なるほどー!(笑)


あとはカリンや成蟜の解説、
呂不韋太后さまのエロシーンフリップ、
まさかのキーパーソン・嫪毐の説明などが入り、

最後は高橋から再びキングダム制作秘話。

★連載初期、なかなか人気が出なくて悩んでいた原先生は、師・井上雄彦先生のもとへ相談に行った。
井上先生は、
「信の瞳をもう少しだけ大きくしてみたら」
とアドバイス。
原先生はアドバイスをもとに信の瞳を少し大きく描くように意識し出したところ、
それから本誌アンケートでは常に人気1位に。

(↑このエピソードは以前にも高橋がどこかの番組で語っていたので、知ってる方も多いかと思います。)

そして菊地やケンコバが原先生に描いてもらったイラストを紹介。

その後"絵心ない芸人"ホトちゃんと礼二が描いた王騎を原先生にプレゼントする、という流れになり、番組は終了となりました。


《キャラ列伝(画面に出たまま写します)》
[信]
・どんどん成長して行く主人公
・成長を自分と照らし合わせる
・このまま将軍(社長)になれるのか?
・そして大将軍へ
・龐煖VS 信 =
大御所芸人 VS 劇場クラスの若手

[羌瘣]
舞いながら戦う女剣士
[カリン]
巨体の女将軍(性格に難あり)
[成蟜]
・最終的に好きになる?
・異母兄弟の政を嫌う
呂不韋
・「一年=十二カ月」を提案
太后とチョメチョメしてる
[嫪毐]
・スゴイ男根の持ち主
・現在、物語のキーマンに

《原先生のスゴイ所(画面に出たまま写します)》
1.「好きなキャラクター描かせて下さい」
2.「皆さんのサインを下さい」
3.芸人が描いた絵を仕事場に飾る。



【補足と、余談】

狩野は、もともと5巻ぐらいまでは読んでいたらしい。
よくそこでやめられたな。。
(ちなみにわたしは8巻まで会社の同僚に借りて、
続きが気になりすぎてあとは26巻まで家人とともに一気に買い集めました。)

キングダム芸人たちが1巻→3巻→16巻→26巻
とオススメ巻を紹介していましたが、
自分ならどの巻を勧めるかなぁと考えてしまいましたね。
好きな巻ではなくて、ハマるきっかけになりやすい巻としたら、
必然的に上記のようになるのかもしれませんね。

わたしなら、
1巻→8巻→14巻→16巻→22巻→25巻→30巻→32巻
かな。
特に自分が好きな巻というだけかも知れないけど、
グワッとくる巻というか、
何度読んでも心が掴まれる巻です。
好きなシーンとか、名シーンなんて、
数えきれないけど。。。


【アメトークの影響】

現在、放送からしばらく経ちましたが、世間的にも大反響のようす。
めちゃくちゃ嬉しいですね〜!
ヤフーニュースから結構アメトーク絡みの記事にいくつか出あい、
その影響に驚かされました。
(アメトークの影響でAKBメンバーもハマる!とか、Amazon電子書籍のキャンペーンに合わせ、キングダムを大人買いする人続出!とか、その影響でAmazonキングダム売り切れ続出!とか、近所の本屋に1巻がどこにも売ってない!とか諸々)

正直、今からキングダムを38冊も初めて読める人たちがうらやましくて仕方ないです。(笑)

ちなみに、自己満足のためにひっそりやってるわがブログですら、異常現象が起こっていました。
アメトーク放送日を境に、1日のアクセス数が10倍ぐらいになっており、目を疑いました。
(アクセス数の多さの基準がどれ位なのかよく分かっておりませんが、2,3日で1万とかいっていてびっくりしました)。

ここにたまたまたどり着いた方(ありがとうございます)が、ぜひキングダムにハマってくれますよう、
ひそかにひそかに願っています。

では、次は39巻で。

キングダム 38巻 「新しい国」

*ネタバレあり*


前巻では、国をつくってしまった太后様。

久々の登場に、
もう、いらんことして〜。。。
信の次の戦も、政の加冠の儀もしばらく先延ばしかよ〜。。。
と邪魔に思っていたわたくしでしたが、
まさかそのどちらにも関わってくる展開になろうとは‥‥!

そして、今巻ではさまざまな人物たちの心の声が描かれており、
久々に内面側のキングダムを堪能できる巻だと思います。

巻末おまけも、読者待望(?)の展開に!

それでは、あらすじから追っていきます。


【あらすじ】
嫪毐(ろうあい)を君主とし、太原で"毐国"の建国宣言をした太后

その毐国では、太后の側近宦官である趙高(ちょうこう)が政治的手腕を発揮し、国としての骨格を一手に作り上げていた。

有能な文官を他国から買い集め、金を使って大国・"楚"と裏で繋がるなど、大方の予想に反して毐国は着々と独立国家としての体を形づくっていく。

そんな折、毐国の太后のもとへ呂不韋が現れた。

呂不韋は、相国として政治的な話をしに来たのではなく、
太后に対して"恋人としての本当の別れ"を告げに来たのだと話す。

そして、後にも先にも己の心を奪った女は太后だけであり、
出会った頃から変わらずずっと愛している、
と一方的に告げると、
呂不韋の予想外の発言に思わず固まる太后を置き、立ち去っていった。



その頃、著雍では、緊急ではあるが正式な論功式典が執り行われていた。

著雍での対魏戦、そしてその後の築城と防衛戦の功により、騰将軍が秦国二人目の大将軍に任命される。
そして信と王賁は、ふたり揃って四千人将から五千人将への昇格が決定した。

著雍守備戦での功を考えれば、作戦を描き勝利に導いた王賁と信が同列昇格なのはおかしい、と玉鳳隊からは怒号が飛ぶも、
飛信隊のメンバーや信は、将軍まであとひとつの位となった今回の昇格を素直に喜んだ。


そして年が明け、ついに始皇9年。
政の"加冠の儀"が執り行われる年となる。

五千人将となった信は、隆国将軍の下につき、著雍防衛や築城の任務にあたっていた。
最低限の守りの砦が完成すれば、
いよいよ著雍を拠点とした魏国攻略戦が始まる。
その築城の完成は、もうあと一歩のところまできていた。



一方、毐国では、突然の騒動が巻き起こる。
太后と嫪毐の間の"不義の関係"が側近達の知るところとなったのだ。

毐国大臣・虎歴(これき)の報告では、
ふたりの間に出来た隠し子の存在が咸陽にばれ、怒った咸陽は毐国を討つべく軍を興す準備に入っているという。

虎歴は、秦軍が攻めてくる前にいち早く挙兵し、奇襲をかけるよう嫪毐に促すが、
嫪毐は、毐国で平穏な生活を望む太后の真の願望を知るが故に、即断を避ける。

10日が経ち、大多数の側近達は太后に対し早急に挙兵するよう非難しはじめ、
すっかり虎歴大臣の扇動に流されてしまっていた。

太后は、暴動を促す虎歴の後ろだてには出身地である"楚"がついていると推測。
虎歴は、毐国の暴走により秦国が乱れることを期待する楚王の手先としてに毐国に潜り込んでいたのだと悟る。

決断を迫る虎歴は太后に対し、取る道は2つに1つだと示した。

1つ目は、"挙兵からの咸陽急襲"。

魏国攻略や楚軍侵攻防衛のために多くの兵は出払っており、中央が手薄となっている今は絶好の好機であると説明する。

そして2つ目は、"太后と嫪毐、隠し子2人の首をはねて咸陽へ届け、許しを乞う道"。

毐国が落ちれば9族にわたりさらし首になるであろう罪深き反逆罪、
提案した2つに1つの道しか生き残る術はない、
と虎歴は太后に再度決断を迫る。

太后は、挙兵を選択。
旧王都・雍(よう)で政の"加冠の儀"が行われる日、咸陽の主要人物が雍に入り、咸陽を留守にする好機を狙い、急襲を決行すると宣言した。



翌月、政の"加冠の儀"が執り行われる日がやってきた。

式典には、秦国名家の面々だけでなく、敵国である六国の使節団も参列し、錚々たる顔ぶれが集う。
そして太后も式典に参列する。

政が宮内に姿を現した瞬間、
宮内の空気が明らかに変わったのを、
その場にいる全ての者が感じていた。

光をまとっているかのようにも見える、
威圧ではなく包み込むような政のたたずまいに、
誰もが息をのむ。

式典は滞りなく進み、
政は晴れて帯剣し、加冠を済ませ、
第31代秦国大王として承認される。
宮内は歓喜の渦となった。


その時、式典の最中に急報が入る。


毐国軍と思われる兵3万が、函谷関をすり抜け、北道より咸陽へ迫っているという。

毐国軍は、太后が過去に作った"偽の玉璽"を使い、函谷関をくぐり抜けていた。

太后は、式典に参列しながら内部の様子を見て、"隠し子"の存在が咸陽に漏れていないことに気づくと同時に、
己が呂不韋に踊らされていたのだということを悟る。

呂不韋は、毐国軍に咸陽を攻め落とさせ、
毐国軍に忍び込ませた配下達を使って咸陽を壊滅させることで、王族を一人残らず虐殺する算段であった。

秦王家の血を根絶やしにした後、
毐国反乱軍は自らが抱える蒙武軍に討たせることにより、王族が消えたあと国民が自分に国を託すように仕向ける計画だったのだ。

事が計画通りに進み、ほくそ笑む呂不韋
そして呂不韋は、緊急事態が起こったため、"加冠の儀"は中止すると宣言する。

すると政は、呂不韋を御し、落ち着いた様子で式典の続行を宣言。

予想外の政の行動を訝しむ呂不韋だったが、
政は、

「反乱軍を止める軍はすでに向かってきている」

と告げるーーー。




* * *




ついに、ついに政が"加冠の儀"を迎えました‥‥!!

昌文君や壁じゃないけど、よくぞここまで‥‥!と感極まります。

表紙もインパクトありましたが、政の正装姿は本当に素晴らしく王の風格が溢れてました。


そんな政の母、太后様の胸の内。
これが38巻の主軸となります。


今までの太后様には、呂不韋に人生を狂わされた色情魔、ぐらいの印象しかありませんでしたが、
今巻では内情が丁寧に描かれ、
哀しくも切ない背景がみられました。

それにしても、第406話27ページ・"美姫"過去シーンの可憐な美少女ショットからの、28ページ・"毒婦太后"ショットは衝撃でしたね‥‥。

非道な仕打ちはここまで女の姿を変貌させるものなのか。

にもかかわらず、奈落の底に突き落とした張本人である呂不韋

「儂は変わらずずっとそなたを愛している」

発言には、太后でなくとも
「どの口が‥‥!」なのですが、

後から読み返すと、呂不韋的にもひとつの覚悟を決めた表れの発言だったのかもしれません。
(初めはコレも呂不韋の何かしらの作戦か?と疑ったぐらいでしたが。)


さて、太后様話はちょっと置いといて。

ついに信が五千人将昇格しました!!

将軍まであと一歩。
騰は大将軍となり、王賁も五千人将になりました。

王賁の将軍昇格はあえて見送られたようでしたが、こういう"分かってる"上司の存在は有難いと思うなあ。
先にポストを与えられることで伸びるタイプもいるだろうけど、

🔴騰 : 「五千人将の目を通してこそ 将軍の存在がいかなるものか より見えてくる」

という大将軍からの言葉の重みに、こちとら納得せざるを得ません。


そしてさりげに羌瘣が三千人将に!

"新年のごあいさつ"シーン(第408話)で、

🔴羌瘣 : 「独立はない 私は最後まで飛信隊だ」

と断言したことにすごく安心しました。

羌瘣が「将軍になる」発言をした時から、いずれ飛信隊離脱もあり得るのかなーなどと心配していたので、
ここではっきり羌瘣が否定したことでホッとしました。

と同時に、信とのどうこうはともかく、羌瘣にとって自然に
"帰る場所=飛信隊"
になっていることがすごく嬉しかった。

まあ、隆国の指摘通り、五千人隊+三千人隊の飛信隊の将が五千人将、っていう矛盾は気にならなくもないけれど。

百人隊から始まった飛信隊。
将軍まで本当にあと一歩、短いようで長かった。
やっぱり、(途中一時離脱したとはいえ)生え抜きメンバーである羌瘣にはずっとここに居て欲しいのです。

あと、

🔴羌瘣 : 「許さん」
🔴信 : 「それ もういい」

こんなもはや夫婦漫才状態のふたりの掛け合い、コレもいつまでも見ていたい。笑


それから今回、今まで激シブの存在感だったはずの隆国が、まさかのネチネチキャラにキャラ変していたのは衝撃でした。
隆国のあのマイルドなシブキャラ、好きだったのに‥‥!

まあ、機転が利くということは、
総じて細かい性格のはずだということで‥‥
信を立派な将軍に導いていってほしいと願いますな。


さて、ここでまた太后様の話に戻ります。

まず太后の側近宦官・趙高ですが、あのハァハァキャラは一体‥‥?!
デキる男に間違いはないようですが、
なんかあやしい奴なのか?単純に太后の味方なのか?と疑ってはみたものの、
18巻で太后が政を後宮に呼び出すために送った白紙の書簡なんてものがありましたが、
その案はこの趙高の指示だったようだし、
(この時は黒ずくめで顔は唇しか見えませんでしたが)
それなりに長く太后に仕えていて頭も切れ、信頼を得ている存在のようではあります。

そして嫪毐は、元々呂不韋がしつこく求めてくる太后との体の関係を断つために、宦官を装い男娼として後宮に送りこまれた男でしたが、

太后様はたいそうお気に召したようで、嫪毐の体に溺れ、いつしか双子の子を出産。

知らぬ間にすごい事をやらかしたな‥‥と前巻では呆れましたが、

ただの色情魔だと思っていた太后の心の闇、流した涙。
ただの性奴隷だと思っていた嫪毐が見せる、太后への想い。

破滅の道を進む2人の間には、いつしか子どもを通して穏やかな絆のようなものが生まれていたんですね。

嫪毐は太后の"心を休めたい"という願いを叶えるために、
"毐王様"などと呼ばれ天狗になりかけて我を忘れていた自分を律し、
太后のために毐国を揺るがぬものにしようと決意。

‥‥なんの取り柄も持たなかった嫪毐が、いきなり凄まじい権力を手にした上で、金や名誉欲に狂わずに我を取り戻したことが、(太后への想いに対し)健気すぎて泣ける。

呂不韋は「あれが好いた男か?」と嫪毐を一瞥して、小馬鹿にしている風だったけど、

太后が言った「あーそうさ あんたの百倍やさしいよ」
との返しの言葉は強がりでも嘘でもなく、本当なんだな。(加えて、"あっち"もすごいことが重要なのでしょうけども。)

かつて呂不韋が"美姫"に近づいたのは、
そもそも後のシナリオを実現させるための品定めだったのか。
それとも、単純に"邯鄲の宝石"に心奪われ、恋に落ちた後に思いついたシナリオだったのか。

どちらにしても、"唯一心を奪われた女"に対し、9年もの間趙へ放置した非道すぎる行為は、普通の人間には出来ないでしょう。

完全に破滅しかない未来ですが、太后のために覚悟を決めて立ち上がる嫪毐の今後を、少しだけ祈りをこめて見守りたいです。



そして38巻でハラハラさせられるのが心理戦。

誰と誰が通じていて、誰が誰を欺いているのか。
色々予想するだけでめちゃくちゃ面白いです。
コミックス派なので、あくまで想像の範囲ではありますが、相関図を頭の中で描いてみました。


まずは、太后が楚王との繋がりを推測していた虎歴。
咸陽に隠し子の存在がバレたと(おそらく)嘘をつき、咸陽攻めを扇動した張本人です。

80ページから、樊於期(はんおき)将軍と繋がっていることと、
168ページ最後のコマから、樊於期が呂不韋の手下であることは明らかなので、
呂不韋から此度のシナリオを実現させるために毐国に送り込まれた手先なのでしょう。

となると、
完璧に隠し通せていたはずの隠し子の件、
虎歴が頭の中で語っていた

🔴虎歴 : 「実は初めの雍にて出産した時に 一人の御仁にだけ知られてしまっていた あの御仁にな‥‥」

の"御仁"とは、呂不韋なのでしょうか。

もし呂不韋太后の隠し子の件を知っていたとなると、前巻で朱凶を使って太后と嫪毐を探っていた呂氏四柱・李斯にも、知らせていなかったということで。

37巻ラストで、李斯が送りこんだ朱凶がムタみたいな奴に始末されていて、隠し子の件は闇に葬られていたけれど、
あのムタみたいな奴は、実は呂不韋側が雇っていたとか?

隠し子の件がバレたらそれこそ咸陽側が黙っていないだろうしそうなると今回の呂不韋の筋書きは実現しない。

もしそうなら、なにもかも知っていて泳がせて、
太后に向かっては
「どうかここで静かに余生を過ごせ」
とか言うなんて、この男、心底鬼だな!

と予想しながらも、、、
読み返してみると、なんか趙高の動きもあやしい気がするんですよね。。。
でも"御仁"と言うからには、その正体はそれなりの立場の人物に違いないだろうし。。。
最初は昌平君かなとも思ったけど、
今後の展開を考えると、"サイ"戦で掴んだ心を再び政から離す理由も見当たらないし。
とは言いつつも、貂を軍師学校に入れた時に
「今すぐどうこうはしないが、いい駒が手に入った」
とか昌平君が言ってたことも今さら気になりだしたり。(キリがないなー)


次巻は、そんな昌平君の動きに注目です。
貂へ届いた手紙、明らかにあやしい伝令係の孫築さんは、確実に中身を見ていますが、
貂は果たして孫築さんの嘘に騙されているのでしょうか?

加冠の儀の前に、昌平君が昌文君に目くばせ的なことをしていたのも気になる!
政陣営の味方なのか?やはり敵のままなのか?!

呂氏四柱であり、軍総司令でもある昌平君の出方は、おそらく次回の超重要ポイントになりそう。

利口な貂のこと、きっと何かに気づいているはず。
でないと最終ページの頼もしい信の後ろ姿には繋がりませんからね!


ワクワクしまくりの38巻でしたが、
次巻が気になりすぎる!

さらにトドメのおまけページ‥‥

信&羌瘣のハプニングの続きに、胸ドキせずにはいられない!

3ヶ月先を指折り数えながら、39巻へ続きます。


【メモ】
⭕キャラクター紹介ページイラスト、一部リニューアル。

⭕おまけマンガ「天幕(テント)」
羌瘣の前髪が短いけど、もしかして過去話?
現在は前髪伸ばしてますからねぇ。
(リニューアルした巻頭のキャラクター紹介ページでは、何故か新髪型バージョンではなく旧髪型のカットが使われていますが)

"対魏の前線地〜"とあるから、普通に現在の対魏守衛の前線と思っていたけど、
まさか以前の対魏・廉頗戦の時の時期設定?
でもそれじゃあ過去すぎるか。
どっちにしても‥‥萌え‥‥続きが気になる!


⭕カバー裏・表紙側:政の冠
カバー裏・裏表紙側:おまけマンガからの、信&羌瘣

キングダム 37巻 「これからの戦国」

*ネタバレあり*


前巻で、奇跡的に(ほぼ)無傷で生還した貂。
操もどうにか保たれました。

戦はついに3日目!
作戦決行のためには、凱孟軍のキレ者軍師・荀草を深く策にはめこまないと勝ち目無し、とのことで、貂がかなり頑張ります。

そして魏火龍編、思わぬ幕で決着が着き、次の展開が早くも楽しみ過ぎてソワソワ。


ドヤ王賁の見せ場シーンに、ぶっちぎる羌瘣と、なかなか爽快な展開を見せながらも、
後半の締めは何やら得体の知れない暗雲が。

37巻もみどころ満載すぎていろいろ詰まってます!

では、あらすじから。


【あらすじ】
著雍戦、3日目。
きたる正午の"作戦決行"に向け、各所では激しい戦いが始まった。

信は凱孟と一騎討ちに入り、
2日間あえて停滞していた録嗚未軍も全軍出陣。

そして前日紫伯軍に完敗を喫した玉鳳隊は、紫伯撃破にこだわり抜く王賁の執念により、死闘を繰り広げていた。

前夜。
魏国一の槍の実力者である紫伯に対し、王賁ではまだ力が及ばぬと判断する千人将・関常は、再び一騎討ちに挑むは無謀であると意見する。

もし敗北するとなれば、すなわち作戦の失敗となり、首謀者の王賁は大敗の原因を作った戦犯となり得るため、作戦自体を中止するべきだと促していた。

しかし王賁は、無理に見える戦局を覆してこそ名があがるのだと言って聞かず、作戦決行を貫き通す。

そして再び紫伯との決戦。
前日の負傷も伴い、王賁はまたも苦戦するが、
何度も紫伯の槍を受けながら、王賁は徐々に紫伯の槍技の"型"を捉えはじめる。

紫季歌を失って以後、"生"への本能が欠如している紫伯は、それゆえに"急所を守る"という人間本来の反射反応が皆無であった。

王賁は、紫伯のその動きに違和感を覚え、"生"への執着を持たない紫伯に対し、それは弱点となると確信する。

そして王賁は粘り強く打ち合った末、ついに紫伯の型を捉え、急所を貫くことに成功。
王賁は紫伯を撃破する。


一方、飛信隊の持ち場では、信と凱孟が激しく打ち合いを続けていた。

ひねりがなさすぎるように見える貂の戦い方に対し、凱孟軍軍師・荀草は訝しむが、
貂は頃合いを察し、凱孟軍の横から挟撃を仕掛けるように見せかけていた右軍の羌瘣隊に合図を送り、呉鳳明本陣を目指して離脱させる。

羌瘣隊が本陣へ向かうことにより、がら空きになった飛信隊の右翼側から凱孟軍が中央になだれ込んでくる。
敵軍に取り囲まれ、窮地に陥る飛信隊。

その時、右手の山側から、隆国将軍率いる援軍が現れた。

貂は、この時のために前夜から隆国将軍のもとへ援軍の要請に向かい、連動を図っていたのだった。

魏軍に気づかれることなく援軍が絶妙なタイミングで現れたという状況を鑑みて、荀草は隆国軍を危険な敵と判断。凱孟に退却するように指示を送り、信と凱孟の一騎討ちはそこで終了となった。
凱孟軍退却後、信はすぐさま本陣に向かう。



そして呉鳳明本陣では、
紫伯を討ち取った玉鳳隊が真っ先に突入してきていた。その数3000人強。

呉鳳明が対応を指示しているそばから、録嗚未軍も突入。その数8000人。

そして羌瘣率いる飛信隊・約2000人が本陣へ突入。
呉鳳明本陣は3軍同時の突入に混乱する。

騰軍が秦の"主攻"であると錯覚し、作戦を読み間違えたことに気づいた呉鳳明は、
もはや喉元までに迫り来る3軍を止める術は無いと悟る。

その頃、飛信隊は呉鳳明本陣の間近まで迫っていた。
羌瘣は、岳雷と我呂に隊を任せ、1人で呉鳳明本陣へ突撃。
遮る魏軍兵を瞬殺し、呉鳳明の天幕の中まで辿り着いた羌瘣は、呉鳳明の首を刎ねるが、
側近の表情から替玉だということに気づく。

呉鳳明本人を討ち損ねたものの、本陣は壊滅状態。
羌瘣は、魏軍本陣一帯に火を放ち、"敵本陣陥落の狼煙"をあげて全戦場に秦軍勝利の報を伝えるように指示。
勝利の狼煙を目にした秦軍は歓喜に沸き立ち、呉鳳明が討たれたと落胆した魏軍は戦意を失った。


秦軍勝利に各所が沸き立つ一方で、
替玉により逃げ切り、騰本陣を目指し立て直しを図っていた呉鳳明は、
逃亡の途中で同様の算段により動いていた霊凰と出くわす。

本陣を捨てた経緯を説明する呉鳳明に対し、霊凰は、「現在援軍が来ない騰軍を攻め込み、騰の首さえ獲れば、一気に魏軍の勝利に傾けさせることができる」と断言。
騰軍に対し全軍攻撃を仕掛けるつもりであることを話しているまさにその時、
2人の前に信の刃が襲いかかる。

信は、本陣に向かう途中、偶然目に入った呉鳳明軍の逃亡中の砂塵に気づき、向かってきていたのだ。

矛を振り上げた信は、呉鳳明の顔を知らなかった故に、呉鳳明が咄嗟に霊凰に向かって発した「鳳明様お逃げをっ」という声に反応し、霊凰を斬った。

攻撃の衝撃により信が落馬した隙に、呉鳳明は逃亡。恩師を身代わりに切り捨ててまでも、呉鳳明は「これからの戦国を魏が勝ち残るために」と言い放ち、逃げ切るのだった。

これにより、魏軍は完全撤退。
秦軍の勝利が決定する。

この勝利により、秦は魏の重要地・著雍を奪い取ることに成功。
さらに、出陣前に昌平君から騰に出されていた指示により、著雍に塁を張り巡らせ、天然地形を活かした大要塞を築くという大計画が発表された。

著雍を拠点とし、まずは魏国の弱体化を図ることで、秦が中華へ躍り出る第一歩が踏み出されることとなったのである。



著雍の戦から2ヶ月が過ぎた頃、
咸陽では、王宮に突然太后が現れる。

卜(うらない)により、2年間ほど離宮に隠れていたという太后だったが、
突然の訪問の理由として、
「"山陽"と"著雍"一帯を後宮の三大宮家で固めて統治し、金を落として一帯を強化したい」
と切り出す。

呂氏四柱・李斯(りし)は、著雍の築城でただでさえ金のかかる地に、後宮三大宮家の財を当て込むのは悪くない案だと考えながらも、即決はしかねるため検討させて欲しいと答える。

しかし太后は、三大宮家が推薦する宦官・嫪毐(ろうあい)を山陽の長官に迎え入れると言い、呂不韋に同意を求めた。

実際のところ嫪毐は宦官ではなく、呂不韋太后との体の関係を断つために後宮に送り込んだ男娼であった。
その事は王宮内でも呂不韋と李斯しか知らぬ事実であったため、ある種の脅しともいえる同意を求められた呂不韋は、太后の提案を認めざるを得なかった。
そして太后の思惑通りに事は強引に進められることとなる。

その後、李斯は隠密・朱凶を使い、太后と嫪毐を探る。

朱凶は太后と嫪毐の間に双子らしき兄妹(姉弟?)が生まれている事実を突き止めるが、李斯に報告する前に後宮の見張り番に殺されてしまう。

王宮では嫪毐の正体が一切不明のまま、山陽・著雍一帯の長官の人選は後宮にゆだねられていた。

首脳陣たちが困惑しているさなか、呂不韋は、長年にわたり編輯(へんしゅう)していた「呂氏春秋(りょししゅんじゅう)」という一大書物を完成させ、その祝いに勤しんでいた。

その頃、山陽の動きに何かを嗅ぎ取らせるため、昌平君は介億を派遣し、探りを入れていた。
介億はそこで、太后と嫪毐が山陽を出て"太原(たいげん)"という北の地に向かったという情報を掴む。

そして、咸陽の王宮にも、
秦国北東の地・太原に太后と嫪毐が山陽入り、
「太原一帯を"毐国"とすると宣言した」
という急報が入るーーー!




* * *




著雍戦最終日、熱かった!

(さらわれたせいで)貴重な時間を無駄にしたことに責任を感じる貂が、
挽回の策をどのように持ってくるのか、荀草との軍師対決に注目が高まります。

その前に、まずは苦戦中の玉鳳から。

魏火龍・槍の紫伯に王賁は押されまくり、関常からも今の王賁の力では勝てないと言われてしまいますが、
王賁は意地でも紫伯を倒すと言って聞きませんでした。

王賁は、
「大いなる勝利を手にし続けねば
中華に名を刻む大将軍には決して届かぬ」

と言い、

🔴王賁 : 「‥‥"夢"だ何だと浮ついた話ではない

これは‥‥
"王"家の正統な跡継ぎとしての
この王賁の責務だ」



と叫びます。

関常が、「そういうことか‥‥」
とつぶやいていましたが、正直何に納得したのかここではよく分かりませんでした。

そして、番陽副長の回想シーン。

幼少期の王賁が槍の練習をしていたところに、たまたま現れた王翦が一言だけ指南します。

王翦が王賁に言葉をかけるのはあまりに珍しい出来事だったらしいのですが、
思い起こせばその日を境にして王賁の槍の修練が始まったのだと番陽は気づきます。

今まで王賁は、王一族の"本家"であることにやたらとこだわり、
信が慕っていた同一族の王騎に対して「どこぞのバカが〜」と言ったり、"所詮は分家"的な物言いをしたりしていたので、
過去に王騎に対して恨みや確執でもあったのではないかと勘繰ってはいましたが、
もしかしたらそんな大袈裟なことではなくて、もっと単純なことだったのかも。

王賁は子ども心に、父親に槍を指南してもらえたことが素直に嬉しかった。
その日から父・王翦と自分を繋ぐものは槍となり、王賁は単純に父親に認めてもらいたくて、槍の使い手としての頂点を目指していたのかもしれない。

王翦が危険人物と言われている噂は、王賁も絶対耳にしたことがあるだろうし、そのことについて王賁がどう思っているのかは分からないけれど、
王翦は実力はあってもその思想ゆえに昭王の時代から日蔭に追いやられている。

かたや"分家"の王騎は、中華に名を馳せた"天下の大将軍"。

そのことが悔しかったのかもしれない。

だからこそ、"本家"にこだわり、"正統な跡継ぎ"である自分の立場にもこだわり、"天下の大将軍"にもこだわり続けている。
それなら必ず自分がなってみせる、と。

そういうことかな‥‥。(‥‥たぶん。)
そんなふうに感じました。

関常とは違う理由かも知れませんが、ずっと気になっていたひそかな疑問だったので、なんとなく今回でわたしも自分なりに納得したのでした。

王賁の王翦への感情は、これまであまり触れられてこなかったけれど、
今回の戦で父・王翦軍への援軍要請を断固として拒否したことを、自ら"私情がらみもある"と認めているだけに、2人の関係は今後詳しく描かれそうですね。

しかし、回想のちび王賁、意外と可愛かったです。(裏表紙で見た時は、一瞬新キャラかと思った。笑)

そして王賁をずっと見守る番陽副長、このじィはかつて飛信隊を見下した、ムカつく"気をつけ"じじィではありますが、
王賁への深い想いと信頼には、ちょっとじんわりきました。


さて、王賁が紫伯をくだし、録嗚未も出陣して、
いよいよ飛信隊の出番です!

貂が隆国軍に援軍の要請に行っていたなんて、予想外でした。確かに前夜、馬を走らせてたもんな。

なかなか来ない援軍に業を煮やし、

🔴貂 : 「何をしてんだ りっ‥‥」

と貂が叫ぶところでは、
り?誰?と思っていたら、まさかの隆国!

🔴隆国 :「‥‥全く世話のやける」

相変わらずシブいっす。

(しかし貂、将軍自ら援軍に来させるなんて、貸し一つどころか十ぐらい分あるだろ!!)

貂の策がまんまとハマり、凱孟軍は撤退。
そして作戦決行に向かったのは羌瘣、久々にぶっちぎりの強さを見せつけてくれます。

飛信隊が手柄を得るために、ちょっと到着を遅らせたという羌瘣(潰れ役をさせた他の2軍ごめんなさい)、
一人じゃ無理だと止める我呂に隊を任せ、なんと馬から下りて単身で呉鳳明本陣へ!

スヒ、バヒン、ザヒ、ラストはヒン!
呉鳳明の首を落とし‥‥たと思いきや、首は偽物。
身代わりの韓徳とやらは可哀想な最期でした。

羌瘣の無敵の動き、鮮やかすぎて見ていてスカッとします。
食いしん坊キャラも可愛くて大好きだけど、やっぱり強い羌瘣は最高ですな!
もっと手柄あげてほしい。。。

でも戦のラストはやっぱり信!
なんと逃げ延びた呉鳳明を発見します。
呉鳳明は咄嗟の機転で信に霊凰を斬らせて己の身を守り、逃亡に成功。

国を守るためには強き者が生き残らなければならないという理屈は分かるけど、よくも恩師を差し出したものだよ‥‥恐ろしい男!
(そして、無駄にイケメンである。)

信は、王賁が見事に魏火龍・紫伯を討ち取ったことに対し、自分は凱孟を仕留められなかったことを悔しがっていましたが、霊凰だって魏火龍の1人なのに"拾いもの"扱いなのが信らしい。笑

"軍師"は大軍を動かすし、言わずもがな戦の勝敗を左右する重要な役割を担っているけれど、
信が呉鳳明と霊凰の前に現れた時のような、武力以外では防ぎようのない危機的状況においては、軍師の命って儚すぎる。

李牧や廉頗みたいに軍師並の頭脳持ち+超絶武力のタイプは例外として、鳳明や霊凰みたいな軍師オンリーのタイプって(貂も)、いざという時はどうにもならない、できないという恐ろしさが常に戦場ではつきまとうんだろうな。

信としては、軍師なんて斬った気にもならなくて、同じ魏火龍の首でも満足できなかったのでしょうね。


という訳で派手に登場した魏火龍七師、あっさり2人が消えてしまいました。
14年も地下牢にいた奴らなんかにてこずって欲しくない!と思っていたので、ここのサクサク進む感は良かったです。

魏火龍に関してはいろいろとモヤモヤする点が多かったのですが(前巻パート参照)、
戦が終わってみて思うのは、
「世代交代の暗示」
を示唆する役割を果たすために登場したキャラだったのかなと。

時代は、次の世代へ。

呉鳳明も言っていましたが、もう六将や魏火龍の時代は終わっており、次の若い強者の時代に突入している。

六将はもういないし、三大天も、唯一初代で生き残っている廉頗が魏〜楚へ亡命したために、新しい三大天が任命されている現状。

個人的には、突然降って湧いたかのように思えた魏火龍の登場には多少やっつけ感が否めず、
初めてキングダムの展開にモヤモヤしたのですが、

今後、秦が中華統一のために勢力を拡大していく流れの中で、
秦は"過去"の傑物たちを上回る武威を示す必要があり、言い方は悪いのですが魏火龍はそれを示させるための捨て駒的な役割を担うために登場したのかな、と。

(史実ネタバレを何より恐れているわたしなので、恐る恐るでしか検索をかけていませんが、どうやら魏火龍は原先生のオリジナルキャラという意見がネットでちらほら。
史実にないキャラだったとしたら、激しく納得です。)

しかし、凱孟だけが生き残っているところが、ちょっと意味ありげ。
信が凱孟の一撃を受けた時、あの廉頗の一撃を受けた時と"同じ"位の重さを感じて"本物"だと認めた訳ですから、
紫伯や霊凰のようにあっさり死なれては困るっちゃあ困ります。
凱孟を生き残らせた意味がきっとあるはずですから、いずれ再び信と対峙した時、貂や羌瘣を絡めた色恋展開がまたあるのかも。

とにかく、魏火龍編はここで決着!
李牧の振りからも、次巻からは、いよいよ秦が中華統一に向けて本格的に出動か!


‥‥とワクワクしていた矢先、
まさかの太后再登場!!
嫪毐との間に子どもまでいやがった!!

次の戦いが早く見たいのに、邪魔してくれます太后さま。。。
口元のシワが一気に美貌を老けさせていましたね。。。
一体、"毐国"が秦の中華進出にどう邪魔してくるのか、
次巻が楽しみです。



【メモ】
⭕始皇8年、呂不韋呂氏春秋」完成。
⭕「呂氏春秋
●その時代までに存在した史書・思想書・学術書を"十二紀"に編輯。
礼・音楽・"気"の扱い・兵事・農耕など、あらゆる人の営みについての答えを網羅した大事典。

●中でも"時令"は、一年を十二に分ける"月"の発想が記されており、一年=十二ヶ月という形は現代にまで続いている。

●「一字千金」という逸話あり。

⭕見せ場あんまりなかったけど、20ページの録嗚未出陣シーン、めちゃ格好良い。

⭕おまけマンガはなし。
カバー裏は、表紙側のみ王賁の額ガードみたいな飾りもののイラスト。

キングダム 36巻 「新生玉鳳隊」

*ネタバレあり*


14年ぶりの復活を遂げた魏火龍七師。
秦軍では作戦が決まり、各対戦相手も決まって戦は進んでいきますが、

ここで突然、飛信隊に大事件が勃発!

そして予想外のタイミングで訪れたヒロイン決定戦?!

対魏戦の決着はまだつきませんが、
ヒロインの座はほぼリーチがかかったか?

ある意味衝撃の36巻。

じっくりあらすじから追っていきたいと思います。


【あらすじ】
王賁の立てた作戦に従い、"3日目の決戦"に向けて戦闘を開始した飛信隊・玉鳳隊・録嗚未軍の3軍。

飛信隊の持ち場では、"魏火龍"の1人・凱孟が猛撃をふるう。
凱孟は突然大声を張り上げ、信に一騎討ちをしろと挑発。それを聞きつけた信は受けて立ち、2人の一騎討ちが始まる。

怪力・凱孟の一撃を受け止める信に驚く魏軍だったが、凱孟の渾身の一撃の強さに信は身体ごと吹き飛ばされてしまう。
信は、かつて廉頗に受けた一撃のような"重さ"を凱孟の一撃ちにも感じるのだった。

負けじと応戦する信は、凱孟と激しく打ち合うが、一騎討ちの途中で凱孟に撤退指示の急報が入り、闘いは中断される。

その頃、撤退指示を出した凱孟の側近軍師・荀草(じゅんそう)は、飛信隊の軍師・貂に目を付け、貂を生け捕りにしていた。

意識が戻った貂は、近くに見えた羌瘣隊の旗に向かって叫ぶ。
貂の声を聞いた羌瘣は状況を察し、貂を救出に向かおうとするが、周囲の敵があまりにも多く苦戦を強いられていた。

さすがの羌瘣でもとても貂のいる場所までは到達できそうに無く、
さらに荀草の指示で羌瘣までもが生け捕りの対象にされたことに気づいた貂は、
羌瘣に向かって指揮官である荀草を捕らえるように叫ぶが、再び殴打され意識を失ってしまう。
羌瘣は、貂の指示を受け何とか必死に荀草を捕らえるが、貂はそのまま連れ去られてしまうのだった‥‥。


その日の夜。
飛信隊の野営地では、貂がさらわれたことを受け、全員が落胆していた。
信は心配のあまり苛立ち、詫びる羌瘣に対して激しく怒りをぶつける。

さらわれたらどんな目に遭うか分かっていながら何故助けられなかったのか、と信に強く非難された羌瘣は落ち込み、貂を助けに行こうとするが、仲間たちに止められる。

信や尾平らが、一か八か夜襲をかけて貂を助けにいくかどうかを話し合っている時、
元・麃公兵の我呂(がろ)は、古参のメンバーにとって馴染み深い人間とはいえ、貂1人のために危険を犯してまでする賭けなのかと疑問を呈する。

また、副長の渕は、
飛信隊が凱孟にやられた損害は大きく、軍師の貂も不在の今では、他の2軍のためにも作戦中止の伝者を送るべきではないか、と諭す。

しかし羌瘣は、作戦中止の前にひとつだけ試す手立てがあると話し、貂の咄嗟の指示で捕らえた凱孟の側近指揮官・荀草を使って、人質交換をもちかけることを提案。
その方向で隊の意見がまとまりかけた時、
再度我呂が口を挟む。

我呂は、無策で交渉を持ち掛ければ罠にはめられる危険性もあり、ちゃんと考えてから決めろと信たちに忠告。

交渉に進むにしろ、かなりの危険を犯してまで貂を助けにいく"動機の深さ"を知っておきたいという我呂は、
「貂は信の"女"なのか」
と信に尋ねる。
皆が何故か触れないようにしているが、そこをはっきりさせてくれると納得がいく、と話す我呂。

信は、貂との出会いを振り返り、
「貂は政とともに最初に出来た信の戦友であり、唯一の身内である漂が死んだ日からずっと自分の横にいる"たった一人の妹"のようなものだ」
と語る。
そして、
「貂のために特別無茶をやっているように見えるかもしれないが、貂を見殺しにするような真似は絶対にできない」
と言い切る。

その言葉に我呂も納得し、人質交換に望みを繋ぐことに意見がまとまった。


一方、捕らわれの身となっている貂は、
魏兵たちから激しく虐待を受ける寸前で檻から出され、凱孟のもとに呼ばれていた。

凱孟は、貂の表情を見て、貂に問いかける。

「女の身で軍師となり戦場などにいる
貴様の"欲望"はどこにあるのか」

と聞き、

「年若き女を戦場にまで引っ張り出してくる信とはどれほどの男なのか」

と興味を示す。

信の"女"なのかと問われて激しく否定する貂に対し、

「貴様にとって信とは何者なのか
心の奥底で信に何を求めているのか
貴様の"欲望"をぶちまけてみろ」

と再度尋ねる。

貂は、戸惑いながらも
「欲望かどうかは分からないが、
信の夢が叶って欲しい、
そして自分も一緒に幸せになりたい」

と話す。

凱孟は貂の願望を聞き、
それは"女の欲"であり、貂は戦場から去るべきだと忠告するが、
貂は「戦場で戦って幸せになる」といって退かなかった。

凱孟は貂の"強欲"に納得したのか
荀草と引き換えに貂を信のもとに返してやる、と言い出し、
無事に人質交換が決行されることになった。


その翌日。
無事に貂は飛信隊へ戻る。

貂は、自分のせいで作戦が遅れたことを悔やみ、
絶対にこの戦は勝とうと信に誓う。



一方、玉鳳隊の持ち場では、
魏火龍の1人・槍使いの紫伯(しはく)が王賁の前に立ちはだかる。

玉鳳隊は、半年前に王翦軍から派遣されてきた千人将・関常(かんじょう)が加わったことが隊の強化に大きく作用し、初日から前線の敵を蹴散らし爆進していた。

着々と"3日目の決戦"に向け駒を進めていた玉鳳隊だったが、
2日目に魏火龍の1人・紫伯が動き出し、
魏軍の他所の予備軍を連動させ玉鳳隊を包囲しにかかってきた。

完全に包囲される前に一旦離脱することを提案する関常に対し、王賁はそのまま突破をはかり、敵将の首を取ると言い切る。
意見が分かれた関常隊は退却に入り、王賁は敵将・紫伯の居所目がけて突進していく。

その時、王賁が見つけるより先に、突然紫伯が姿を現した。
激しく攻撃してくる紫伯の槍はまさに圧倒的であり、玉鳳隊の精鋭部隊ですら太刀打ち出来ずに次々と倒されていく。

王賁は紫伯と激しく打ち合うも、深手を負い、退却を決意。

隊を離脱させるための指示を出しながらも、
王賁自身は翌日必ず紫伯を討ち取るために紫伯の槍を目に焼き付ける必要があると言い、
命がけで殿(しんがり)をつとめていた。

深手を負った王賁は、先に離脱した関常隊が救出に現れたことによって助かるも、
結局、2日目の戦いは紫伯軍に敗れる形となってしまった。



一方、3つ目の主攻・録嗚未軍は、2日目を終えてもまだ本格的に動いていなかった。

魏火龍に当たらない録嗚未には、3日目の約束の時間にきっちり本陣に攻め入る算段があってのことだったが、
霊凰軍に攻め込まれている騰軍の脇を守るためでもあった。

様子を見にきた騰から、録嗚未は他の2軍が苦戦していることを聞く。

合従軍戦で中華に名を広めた呉鳳明が参戦することで、この著雍の戦は今や中華全土の注目を集めていることから、

録嗚未は、王賁の策に乗ったりせずに、騰こそが指揮をとりこの戦で力を見せつけるべきだったのではないか、と詰め寄る。

騰は、王騎が本気で大王・政と中華を獲りに行くつもりだったことを振り返り、
今の秦軍にそれにとりかかれる才覚のある武将が何人いるかと録嗚未に問う。

騰は、この著雍の戦を、
"秦軍の今後の武威の一角を担うべき若き才能たちの力と名を中華に響かせる戦い"
であると思っていると話し、
その力を示して欲しいと願っているのだったー。



そして作戦実行の日、3日目。

貂は、前夜からこの日のために駆け回っていた。

凱孟軍の軍師・荀草は、人質交換の際に凱孟が貂と千金抱き合わせてでも交換すると言っていたほどに凱孟にとって必要不可欠な軍師であった。

荀草と貂の戦術の戦いでもあるこの戦。
双方とも、慎重に互いを探っていた。

そして荀草が動く。
凱孟の位置を知らせ、誘い込まれてくる信らの首を討ち取ろうと目論み、布陣を組むーーー。



* * *



はわわ。。。

表紙からして王賁の巻だと思ったし、
今回はがっつり魏火龍との戦メインだな、
と思って読み進めていたのに、
いきなりここでヒロイン決定戦!?

意表をつかれすぎてアワアワしてしまいました‥‥。

貂が戦場で捕まる日が来ることは、なんとなく想像ぐらいはしていました。
信も言っていたように、貂は前線に出過ぎでしたし(そのおかげで隊が立て直されて助かったことは幾度もありましたが)、
その度にあんな無防備な小娘軍師、一瞬で殺されそうだ、といつも思ってました。

軍師のタイプも様々でしょうし、本陣で指揮をとるだけでなく、時には前線で細かい指示をしなければならない状況もあるにはあるでしょう。
しかし、まして女である貂、今まで無防備すぎました。

そしてさらわれた貂を、唯一状況を察した羌瘣が必死で助けようとしますが、
結局貂は連れ去られてしまいます。

謝る羌瘣に対し、信は胸ぐらを掴んで責めたて(おいおい)、責任を感じた羌瘣は1人で貂を助けに行こうとして仲間たちに止められます‥‥。

羌瘣、かわいそうに‥‥。
あんなに怒鳴られて、めちゃくちゃショック受けてるし‥‥。

でも実はわたしも、羌瘣が貂を助けられなくて密かにショックでした。
ゴメン羌瘣。必死で動けなくなるまで頑張ったのにね‥‥。


一方、貂は凱孟に質問責め。
凱孟のキャラがいまいちよく分かりませんが、
"人"や"欲望"に対して興味があるらしい。
一戦交じえたことで信に対する興味も強く、
貂に色々探りを入れてきますが、
"女の身で戦場に居座り、またそれをさせる信とは何者か、どういう存在なのか"
が知りたいようす。

そんなことアンタが知ってどうすんだよ‥‥
と思いながらも、
ここは読者的に薄々想像はつきながらもハッキリしたことがない貂の気持ちの部分。
貂はどう答えるんだろうとドキドキ。

貂は、戸惑いながらもハッキリ認めます。

「オレもあいつと一緒に幸せになりたい」

(!!)

そして、

🔴凱孟 : 「好いた男と共に戦場にあって添いとげようなどとはムシがよすぎる

このままいけば お前は必ず最悪の結末を迎えることになるぞ」

🔴凱孟 : 「お前が"女"ならばさっさと戦場から去‥‥」

🔴貂 : 「嫌だっ」

「オレは戦場で戦って そして幸せになるんだ」





‥‥やっぱり"幸せ"ってそういう意味だよね?!
貂から信への矢印はついにハッキリと示されてしまいました。
知りたかったような、知りたくなかったような‥‥。
そして凱孟の言う、"最悪の結末"が意味深すぎて気になります。


貂は信のそばにいるために努力して頑張ってきたけど、
初めは家族愛のようなものだったはず。


チビっ子の頃から天涯孤独の身で最悪環境の黒卑村で日銭を稼ぎ、たくましく生き延びていた貂。
信や政と出会い、一旦は平穏な日々を手に入れてその環境に満足していたものの、
次々と先に進んで行く信たちとの間に隔たりを感じはじめて、孤独感に思い悩む。
その頃同じ女の身で凄まじい剣技を身につける羌瘣に出会い、その強さに憧れて剣技の教えを請うも、却下され落ち込む。
落胆する貂を見かねて羌瘣が提案した道が、"軍師"への道だった。

すべては、"信に何かあった時、そこに自分がいないことが怖い、自分も同じ場所にいたい"

という強い願望から始まった貂の道。

今思い返すと、女だねェ〜。と感じずにはいられない想いだけれど、
当時のちび貂には、恋愛感情というよりは家族愛的な感情の方が強かったように思う。

でもここでははっきりと凱孟に
"女"としての感情を認めております。
長い時間を経て、大人になったんだね、貂‥‥。


そして一方で、飛信隊のほうでも大変な話題に!

出番が最近多くなってきた我呂さんからの素朴かつ絶妙な質問が!!

飛信隊のメンバーたちの動揺する表情に、こっちまでハラハラします。笑
羌瘣も目をまんまるくしてびっくり!
核心をつく我呂の質問に対し、羌瘣の反応を横目でチラ見する松左!(「子を産む」発言の余波か?!)

貂とは違って、信の答えは想像通り
「妹」
でした。


信は一貫して貂のことを妹扱いしていたし(あのキス事件の時ですら)、納得の答えではあったけれど、
貂の気持ちを知ってしまった今となっては読者としてちょっと複雑な思いに。
貂が健気なだけに‥‥切なさ倍増。

原先生が公式ガイドブックで、「貂と羌瘣の両方と結婚させたらダメか」と担当さんに聞いたら猛反対されたとおっしゃっていましたが、
ここにきて「早くハッキリさせろ」との指示でも出たのでしょうか?
なぜこのタイミングで!!とわたしはかなり動揺し、危うく本筋を忘れてしまうところでしたよ‥‥。


さて、キングダムの本筋はこっちです!

著雍戦、いよいよ作戦決行の3日目までやってきました。
順調に駒を進めていた玉鳳でしたが、魏火龍の紫伯が圧倒的な強さを見せ、王賁大苦戦。
父親・王翦軍から派遣されてきたデキる千人将"関常"はかなりの謎キャラですが、
何より王翦の意図が超謎。戦の後、明かされるのでしょうか?気になります。

そして魏火龍・紫伯の過去がざっくりと描かれていましたが、
キングダムにしてはちょっと粗い過去描写だった気がします。

〈かつて兄妹(※血は繋がっていない)で愛し合っていたという紫伯と妹の紫季歌(しきか)。

紫伯は紫季歌以外のことには無欲であり、紫季歌のためなら魏火龍の名すら捨ててもよいとすら思っていた。

ある日、紫伯の父・紫太(※一代前の紫伯。子が無く、紫伯も紫季歌も別々の妻の連れ子。)の嫉妬(※血の繋がりの無い紫伯が名前を継ぎ、更に地位や名声を手にしたことによる)により、紫季歌は紫伯と同じ魏火龍の1人・太呂慈(たいろじ)に無理矢理嫁がされる。

"妻殺し"の異名を持つ太呂慈は、紫季歌に対し、今後は自分だけを愛すると誓うように迫るも、紫季歌は反発。太呂慈は紫季歌を惨殺する。

全てを知った紫伯は激昂し、魏火龍内で対立が起こる。
太呂慈側についた晶仙(しょうせん)・馬統(ばとう)、
紫伯側についた霊凰・凱孟。(呉慶は中立の立場だった。)
紫伯は、父・紫太をはじめ、太呂慈・晶仙・馬統をたった1人で全員討ち殺す。

そして同士討ちの罪により、紫伯・霊凰・凱孟は
王が代わり呉鳳明の懇願により解放されるまで、14年間もの間投獄されることになる‥‥。〉



紫伯の過去はざっとこんな感じです。
"最愛の女を殺され、感情を失い、今や機械的に目の前の敵を超絶槍技でなぎ倒すだけの殺戮マシーンと化した男"
ってところでしょうか‥‥。

でも個人的には、設定があまりしっくりこなくてもやもやしました。

そんなに愛した女を失って、紫伯はよくも14年も自害せずに地下牢で生きたな、とか、

確かに理不尽な紫季歌の死は可哀想だし紫伯の怒りに同情もできるけれど、
魏火龍同士の絆や損得が全く見えない中、
大将軍ともあろう6人が、同士討ちの重罪を負ってまで対立し、
14年間も地下牢に繋がれるような割りの合わないことに協力するかなあ?とか、

そもそも紫伯の性格からして、なんとなく他人に頼らず1人でやりそうなのに、なんでわざわざ魏火龍内で派閥を組んで対立させる設定が必要だったんだろうか(実際1人で殺ったけど結局3人とも投獄されてるし)とか、

さらにさらに魏王も大将軍クラス6人も失うようなことになって、国としてどうだったんだとか、

あっちもこっちも何だかもやもやしました。

キングダムでこんなにもやもやすることは滅多に無いので自分でも戸惑いましたが、
原先生のことですからきっとこの先の展開にこれらのもやもやが活きてくるはず!
と思い直し、読み進めていくことにしました(笑)。


そして最後は、もうひとつあったもやもやが解決しました。

貂がさらわれた時、羌瘣を激しく非難して八つ当たりした信。
信が仲間を責めるシーンは珍しく、しかも相手は羌瘣。
何も胸ぐら掴んでまで怒らなくても‥‥!
精一杯できる限りのことをした羌瘣に対するこの仕打ちに対し、仲間たちは羌瘣をかばいますが、
信のいら立ちはおさまらず、羌瘣自身もへこんでました。

3日目の決戦の前夜、信は羌瘣を探してその時のことを謝ります。

🔴信 : 「昨夜は悪かったな お前に当たっちまって」

🔴羌瘣 : 「‥‥‥」

🔴信 : 「‥‥‥」

🔴羌瘣 : 「私だって何でもできるわけじゃない」

🔴信 : 「‥‥んなこた分かってる‥‥ただあん時は‥‥」

羌瘣に"つーん"とされる信。笑

🔴信 : 「オ オイ羌瘣」

🔴羌瘣 :「冗談だ
もし象姉が同じように捕まったら
きっとお前以上に私は取り乱してると思う」

🔴信 :「面目ねぇ」

🔴羌瘣 :「許さん」

🔴信 : 「オイ」

🔴羌瘣 : 「冗談だ」



信が仲間(しかも羌瘣)に当たるなんて余程のことなので、貂がさらわれたことへの動揺のMAX表現だったのでしょうが、結構ここで信の株は暴落したような気がしていたので、
このシーンでのフォローは良かったです。
"つーん"羌瘣もかわいかったし。

しかしながら、先にも述べたように、
わたしも羌瘣が貂を助けられなくて結構ショックだったのです。

何のショックなんだろうと自分でもよく分からなかったのですが、
羌瘣が信に
「私だって何でもできるわけじゃない」
と言ったことで腑に落ちました。

そう、羌瘣なら何でもできる、何でもしてくれる、と勝手に思いこんでいたのですねー。

信も羌瘣を頼りにするあまり、羌瘣の力にある意味甘えているあまり、貂を助けられなかったという羌瘣のたった1回の痛恨のミスを受け入れられなかったのでしょう。

羌瘣も大変だな。
あの強さが皆にとって当たり前になっちゃってるもんね。

そして貂の気持ちが明らかになったことにより、今後信との関係に変化はあるのか?そのことが信と羌瘣の微妙な距離感に変化をもたらすのか?
‥‥否が応でも気になりすぎる展開になってきました。


締めの騰&録嗚未のシーンも良かったです。
常に誰に対してもカッカしてるあの録嗚未が、騰のことはちゃんと認めてるんだなー、
としみじみ思わされる良いシーンでした。

自分ではなく、若手たちの名を中華に広めさせるため、その真の力をはかるとともに示させる。
騰が描く著雍戦の裏テーマにしびれます。
かつての主・王騎の夢を叶えたい、という想いも内包しながら。

騰は、理想の上司であり、理想の部下そのものですね。

次巻はいよいよ著雍戦"3日目"!




【メモ】
⭕魏火龍七師
●霊凰(れいおう)
●凱孟(がいもう)
●紫伯(しはく)
●太呂慈(たいろじ)
●晶仙(しょうせん)
●馬統(ばとう)
●呉慶(ごけい)

⭕我呂の貂救出に対する意見で
「古参のお前らにとっちゃ馴染みの深い奴なんだろうが一、二年の付き合いの俺らにとっちゃ納得しづれェー」(第386話 67ページ)
という言葉。

●飛信隊誕生(百人隊)
●三百人隊
●(急造)千人隊

⇩ ★羌瘣一時離脱・軍師・貂加入。

●(正式)千人隊

⇩★"サイ"戦で麃公兵残兵を率いる。

●三千人隊(麃公兵・岳雷、我呂正式加入)

⇩★羌瘣帰還

●五千人隊(現在) ※信・四千人将、羌瘣・千人将


古参メンバーと我呂の貂とのなじみの差は、羌瘣がいなかった1年強ぐらいの差。
にもかかわらず、確かに古参メンバーの貂の溺愛ぶりは顕著(笑)。

⭕おまけマンガ「天下の大料理人」

⭕カバー裏・表紙側に梟鳴スタイル貂のイラスト