キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 43巻

*ネタバレあり*


キングダム 43 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 43 (ヤングジャンプコミックス)


桓騎と慶舎の表紙がかなりの存在感を放っている43巻。
眉毛の対比がすごすぎます。笑

さて引き続きの黒羊丘戦。
前巻では各キャラがそれぞれの見せ場をつくり序盤戦を盛り上げてくれましたが、
43巻は久々に飛信隊の長としての信がアツイ!!

この疾走感を維持したまま戦の終わりまで一気に読んでしまいたい!!
とヤキモキしてしまう展開の今巻です。

それでは、あらすじから。


【あらすじ】
趙軍・劉冬の寝所に単独で潜入し暗殺を試みたものの、致命傷を与えるに至らず自らも負傷してしまった羌瘣。

夜襲に気づいた趙軍の追手から逃げる最中、
羌瘣 は意識を失いながらもとある集落にたどり着く。その集落は、羌瘣 が黒羊丘での戦が始まる直前に退避を忠告しに訪れていた村であった。

意識が回復した羌瘣 は、劉冬との斬り合いの際に拾ってきていた
"離眼の守り子の像"
を見た村の長から、
"紀彗"、"馬呈"、"劉冬"らの哀しい過去である"離眼の悲劇"について話を聞かされる。


15年ほど前、趙国・黒羊近くの一帯には"離眼"と"暗何(あんか)"という2つの城があった。

力で圧政をしく暗何の城主・唐寒(とうかん)と、善政で民からの信頼が厚い離眼の城主・"紀昌(きしょう)"は、長年にわたり地域の覇権をかけて互いに争っていた。

兵数は暗何の方が倍以上であったが、戦上手の紀昌と猛者揃いの側近たちの活躍、さらには紀昌の息子・紀彗が、共に兄弟のように育った亡き腹心たちの子である馬呈や劉冬らとともに頭角をあらわしはじめ、戦局は離眼の方に傾き出していた。

勢いを増す離眼に対し、財をはたき周辺の兵を駆り集め、離眼の5倍の兵を率いて決戦"旦虎の戦い"に打って出た暗何軍だったが、凄まじい戦いの末に 最後は紀彗軍が暗何城主・唐寒を打ち取り、戦は離眼軍が勝利することとなる。

しかし、"旦虎の戦い"で打ち取られた唐寒の息子・唐釣(とうきん)が、軍留守中の離眼城を急襲。負傷兵しかまだ城に戻っていなかった離眼の城を落とし、城内にいた女・子供・老人全員を人質にとり、離眼城主・紀昌と将校・兵の投降を迫ったのである。

父の仇と怒り狂う唐釣だったが、紀昌と将校達の命と引き換えに、成人以下の残兵と女・子供・老人たちの命は見逃すという条件をのみ、趙の朝廷の仲裁軍が場を執り仕切る中 紀彗たちの目の前で離眼の大人達は火刑により焼き払われてしまう。

かくして離眼の城は主だった大人達をほとんど失ってしまったことにより、趙の中でも紀彗の名が広まることは無かったのである。

その後紀彗は若き城主となって離眼を支え、わずか5年ほどで離眼の兵力を復活させる。加えて3年で暗何をも屈服させ、 紀彗はついに一帯の盟主となったのである。




紀彗軍の強さを語り、羌瘣 の怪我の深さを案じて村にとどまるよう促す村長に対して、
羌瘣 は、敵が強いのであればなおさらに早く隊のもとへ戻らなければと聞かず、
どんな相手であろうと負けるわけにはいかないのだと改めて心に誓うのだったーーー。




一方、黒羊丘の戦いは、3日目を迎えていた。

持ち場であった右の戦場の主導権を手にした飛信隊は、
戦の要となる中央丘へと進出。
桓騎軍が次の攻め手を何種類も選択できるという戦況をつくりだすという最大限のお膳立てをしつつ、様子を伺っていた。

貂をはじめ敵将・慶舎や紀彗、桓騎軍の黒桜らその場にいる指揮官たち全員が、この3日目にして最大の好機における桓騎の動きを見守っていたが、
なんと桓騎はこの好機を完全にスルー。
一切何もせず、3日目を終わらせてしまう。

そして4日目。
味方ですら理解不能な桓騎の判断に、
指揮官たちも桓騎の動きを読むことができず、
各所ではそれぞれが膠着状態となっていた。

しかし、一向に気配を消し続ける桓騎に苛立ち、しびれを切らした慶舎は、
秦軍右翼を担う飛信隊を標的に自らが出陣。
飛信隊は、中央丘のふもとで絶体絶命の窮地に陥ってしまう。

しかしその頃、同時に丘の中腹では、
ゼノウ一家が紀彗軍の布陣の中に突如現れ、
紀彗のいる本陣には目もくれずに爆走を始めていた。

ゼノウ一家の目的は、飛信隊を急襲しようと丘のふもとまで下がってきていた慶舎だった。
ゼノウ一家は圧倒的な武力で慶舎軍を破壊して行き、ついには総大将・慶舎の目前へと迫る。

桓騎は、これらの展開を全て計算した上で
飛信隊をエサにし、慶舎を誘い出したのであった。
3日目の沈黙も含め、全ては桓騎の戦術の上での結果だったのである。

桓騎の思惑通り、ゼノウが慶舎の目前まで迫り打ち取ろうとしたその瞬間、
紀彗が援護にかけつけ、さらに両腕である馬呈や劉冬が紀彗の救護にあらわれたことにより、混戦となる。
そして慶舎は、紀彗たちが交戦している隙に戦線から離脱し、難を逃れたのだった。


桓騎に囮にされ、慶舎軍に大打撃をくらった飛信隊。
信は、中央丘右半分を奪取するため上方での乱戦に参戦しようとする貂の指示を制止し、
丘の裏に退却していく慶舎の気配を察して
飛信隊の手で慶舎の首をとるべく慶舎本陣を追うべきだと判断する。

信の決断のもと、慶舎本陣の背を追いつつも、屈強な本陣の兵に苦戦する飛信隊。
飛信隊の動きにいち早く気づいた劉冬軍が駆け付けたことにより、
さらに戦況は激しい乱戦に。

軍師の貂が狙われようとしていたその瞬間、
怪我により離脱していた羌瘣 が突如戻り、飛信隊の援護に入る。

羌瘣 に劉冬の足留めを託し、信はまっすぐに慶舎目がけて突き進むーーー!



*  *  *  *  *



おおおー!!

久々に信の檄が炸裂し、胸熱展開に心躍りますね!!
まずは羌瘣 負傷編からまいりたいと思います。

利口な愛馬のおかげで、重傷を負った羌瘣 は、戦が始まる前に退避するよう忠告しに行った村の長に助けられていました。

危険を冒してひとり敵地へと暗殺に向かい、
意識を失うほどの傷を負いながらも
飛信隊のもとへ帰ろうとする羌瘣 の飛信隊への想いが、健気すぎてたまりません‥‥!

村長のお婆は、敵国ながらもわざわざ退避の忠告をしに来た羌瘣 に対して
"悪い娘ではない"と判断し、
一応の手当ての最善を尽くしてくれたのと、
紀彗らの過去を聞かせてくれました。

紀彗たちの過去が明らかになり、離眼の兵たちの絆と紀彗の慕われ度の理由が明らかになりましたね。
先代の紀昌は、どことなく蒙驁将軍を彷彿させられるたたずまいでした。

過去に離眼の城が落ち、紀彗の親世代の男たちは全て殺されてしまった。
紀彗は20歳そこそこで離眼の城主となり、
火刑で親を失った城下のすべての子どもたちの親となった。
時は経ち、紀彗は一帯をまとめあげ、善政をしいて次の世代の子どもたちにも慕われる城主となっている。

馬呈と劉冬は、紀彗とともに血の涙を流しながらここまで離眼を立て直してきたのでしょうね。。
劉冬が
"すがるものではなく、奮わせるもの"
と称した3体の守り子の像は、
戦前に3人が紀昌に贈ったもので、火刑になる直前に"門出"の想いを託して劉冬らに返されたものだったんですね。。。

それを思うと、42巻で劉冬が守り子の像に祈っていた姿に胸が痛みます。。。   

紀彗の強さが趙に広まっていない理由としては、"離眼の悲劇"から15年ほど経過していることと、8年ほどで一帯を統治している紀彗の実績を考えると、
何故大物との噂が広まらなかったのかなぁ‥‥と若干疑問に思うところではありますが、
この時代は名を通すのにも代々継がれてきた名家であることが重要だったのでしょうし、
早くに先代を失ってしまったことでそういった何らかの手はず的なものがちゃんと出来なかったりしたのかもしれませんね。

・・・そう考えると、(政という最強のコネクションを持つとはいえ)己の力でのし上がるただの下僕出身の信って素直にスゴイ・・・。

そして火刑が執行される際、邯鄲から派遣されてきた裁可をくだす役割の朝廷メンバーの中に李牧がおりました。
この時に、李牧は紀彗の人となりを認識したようす。(李牧、15年前から見た目全く変わってない。笑)
過去の悲劇をふまえつつ、今回の戦で李牧は紀彗を慶舎の片腕に指名していたのですね。

しかしまあ、敵ながら、3人の絆と想いの深さに複雑な気持ちになって困ります。。。

(ちなみに村長のお婆に対する羌瘣 の態度は、弱っているからなのかどうなのか、
どことなくやわらかいですね。
羌族の里のバアや明、識、礼と話している時のような、歳相応の女の子の口調になっています。)

さて、黒羊丘の戦の方ですが、
羌瘣 が伏せっている間、劉冬は3日目から傷をおして前線に復帰しました。
劉冬不在で渡河の戦いを制した飛信隊は勢いのまま前線を押し込み続け、
黒羊での戦いの要となる中央丘まで進軍!

貂の作戦もハマりまくり、
田有や竜川、沛浪や去亥ら飛信隊の生え抜き百人将メンバーたちは、連勝続きでウハウハしてます。
(てか、久しぶりに澤さんいたー!!
まだ生きてたー!!笑)

そして桓騎軍の黒桜さんのところも準備が整い、
あとはお頭桓騎の指示を待つのみ! 

この上なく秦軍に有利な戦局の中、
満を持しての桓騎の指示待ち状況、
オギコを呼んで さあどんな展開が?!
と構えていたら、、、

!!いつもの肩もみ!!笑

自軍敵軍ともに予想外すぎる桓騎の完全スルーに、
慶舎の目は血走るわ、貂は荀草みたいな顔になるわで一同騒然。笑

そんな中、桓騎軍から飛信隊に送り込まれてきた那貴は、冷静に桓騎の行動に対し、
"この日動かなかったことに対する大きな見返り"
があるはずだと分析しておりました。

そして4日目。
しびれを切らした慶舎は丘を下り、飛信隊を狙ってきますが、
何とこの慶舎の起こした行動こそが桓騎の誘いだったのでした。

"沈黙の狩人"と称され、
どの戦いでも敵は張り巡らされたワナに気付かず先に動いてからめ捕られてしまい、
結局いつも皆 慶舎の手の平の上で踊らされて敗れる、
という前評判"待ちの達人"慶舎でしたが、

まんまと桓騎のワナに嵌まった慶舎に対し、
桓騎は
「そういう奴に限って最後は俺の手の平の上でクリクリ踊って大グソ漏らすって話だろ?」
と妖しく笑い、ザコ呼ばわり!
桓騎、見事に知略で慶舎を出し抜きましたねー!

一方で、エサにされた飛信隊は屈強な慶舎兵に大苦戦。
信は
"李牧に名指しであげられた標的"
という名誉(?)を得るも、
とにかく慶舎兵が強すぎて飛信隊はボロボロ
、あげく隊は分断されてしまいます。

ヤバいぜ飛信隊‥‥!
と思わされた瞬間、ゼノウ一家が慶舎兵を襲撃!!
これまた桓騎の計画通りでした。

さすがの慶舎も、獣の如き異常な武力で襲ってくるゼノウたちになす術なく、、、
と思ったら、
慶舎を護るため紀彗軍が登場!!

馬呈や劉冬も駆けつけ、予想外の紀彗軍の活躍にゼノウは慶舎を取り逃がすことに。

そして桓騎に囮にされたことを悟った信でしたが、
丘の裏に逃げていく慶舎の気配を察し、
そのまま背を追うことに。

慶舎軍に追いついたものの、余力も少なく
慶舎軍にはやはり大苦戦の飛信隊。
加えて飛信隊の急襲にいちはやく気づいた劉冬が立ちはだかり、
軍師の貂が狙われたその瞬間!!

なんと、
絶妙なタイミングで羌瘣の帰還です!!

鮮やかなスヒン斬りで貂を救い、
状況をすばやく察して足留めを引き受け、
信たちを慶舎のもとへと急がせます!

いやいやいや、
この登場の仕方、普段なら信の役割ですよね?!
主人公並みの見開き帰還シーンに、
わたしは胸が震えましたよ。。。

魏火龍戦の時、さらわれた貂を助けられなかった羌瘣 でしたが、
キッチリここで貂を助けてあの時の借り(?)を返してしまうあたりが、
どこまでも最高すぎかよ。。。!

それで信がまた、早く行けっつってんのに
わざわざ羌瘣を呼び止めて、
「今まで何してた」
って!

信、そんなに気になってたんや。笑

「寝てた」(事実)
とだけ返すところが本当に羌瘣らしい。

信に怪我を見抜かれるも、
「ボロボロのお前らよりましだ」
と言って掴まれた腕を振り払う羌瘣 ちゃんに、わたしはさらに身悶えしましたよ。。。笑

🔴信 :「今度は  後ですぐに会うぞ」

ですってよ!(ポポッ)

そして信に大将首を獲らせるため、
羌瘣 はふたたび劉冬と戦うことに。
"人ではないような"回復力(気功法の一種?)を持つ羌瘣 が、
深手を負ったままの劉冬に負けるはずはありませんが、
守り子の像の件も含めてこの2人のカラミは次巻でも注目したいところです。


そしてラストは久々の信!

シレッと逃げのび、ドヤ顔で

「来るには五年早かったな 飛信隊」

などとのたまう慶舎でしたが、
信の超絶突破力で慶舎兵をぶった斬っていきます。
これには那貴も目を見張る!
(桓騎軍に戻ったら、桓騎にキッチリ報告してもらわないと‥‥!)

そして第470話タイトル「俺の背中」の文字通り、
敵をなぎ倒しながら叫ぶ信の激!

🔴信 :「よく聞け 慶舎
昔 王騎ってすげェ人がいた

その人が先頭を走る時
後ろの兵は鬼神と化し いつもの十倍強くなった

そういう"力"が大将軍にはありやがる

それを今からてめェに見せてやる

ヤロォ共 へばってんじゃねェぞ

苦しいんなら俺の背中を見て戦え

俺の背だけを見て
追いかけて来い!!

続け飛信隊っ!!」


くーーーっ!!!

次巻へ続く!


【メモ】
⭕️劉冬、"旦虎の戦い"にて左目を負傷。

⭕️桓騎、絶倫のもよう。

⭕️おまけマンガ
「進軍 飛信隊!」〜つづき〜

温泉を見つけ、一番風呂の取り合いをする信と羌瘣。
羌瘣 ちゃんの貴重なサービスショットあり!
信を騙くらかして卑怯な手を使い、一番風呂をゲットする羌瘣 がかわゆすぎます。

⭕️カバー裏 : 裏表紙側に信のイラスト

キングダム 42巻

*ネタバレあり*


キングダム 42 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 42 (ヤングジャンプコミックス)


黒羊丘の戦い・対趙戦の続きが気になる42巻です。

私事ですが、家族の転勤でこの4月に関西から中国地方へ引っ越しをしました。

慣れない引っ越し先で片付けに追われる日々を送りつつも、指折り数えて待っていたキングダム42巻の発売日。 

念のため前日に(習慣でして‥‥)本屋に立ち寄ると、そこには我が目を疑うPOPが!!

「当県では通常新刊の発売日が1日遅れます」

なん・・・だと・・・

まさかと思いすぐさまネットで色々調べましたが‥‥フツーに事実でした‥‥。
物流がこんなに発展している現代なのに‥‥涙です。

なのでいつにも増して待ちきれなかった今巻なのですが、

期待を裏切らない面白さに毎度ながらも魂が震えました!

今巻は、どいつもこいつもキャラが立ちすぎです!感想は後ほど。
とりあえずはあらすじからまいりたいと思います。

【あらすじ】
此度の戦の勝敗に直結する中央丘の奪取。

先に中央丘に進軍を開始したのは
趙軍総大将・慶舎の先鋒隊だったが、
秦軍総大将・桓騎は中央丘を先に占拠されるのを阻止するために
軍の最強部隊・ゼノウ一家と自身の片腕・雷土の隊を左翼前線に投入する。

雷土とゼノウの隊は圧倒的な武力で趙軍の前線を突破していくが、
慶舎は精鋭部隊を率い、自ら中央丘を駆け下りて奇襲をかけてくる。

慶舎は黒羊の地の特徴である樹海の地形を巧みに利用し、
雷土・ゼノウ隊の後続である2列目の部隊を攻撃することで桓騎軍を完全に分断。
雷土・ゼノウ隊を孤立させ、包囲することに成功する。

慶舎の策により、先鋒隊と後続隊を分断されてしまった雷土は、
元大野党団特有の嗅覚と知恵により
現状が絶対絶命の窮地であると早急に判断し、
"火兎(かと)の笛"を鳴らして全軍退却の合図を送る。

脱兎のごとく我先にと逃げ去る桓騎軍の退却のさまはあまりにも無秩序で無様なものではあったが、
「味方を一切気にせぬ"個"の逃げ方は結果的に最も生還率の高い逃げ方である」
ということを、
元野党団の桓騎軍は身をもって知っていたのであった。

慶舎の策の前に退却を余儀なくされた桓騎軍だったが、
雷土・ゼノウは小隊のみで再び集結し、
中央丘を砦化しようとしている趙軍の先鋒隊を襲撃。
あたり一面に火を放ち、趙軍による中央丘への進軍の足を止めるために一矢報いるのだった。


一方、斥候として前方に進んでいた羌瘣は、
後続の本隊である信たちが馬呈(ばてい)・劉冬(りゅうとう)らに足止めされたため、
飛信隊から孤立してしまっていた。

すでに趙軍の前線を越えた位置にいた羌瘣は、これを好機と取り、
趙将・劉冬(りゅうとう)の築く夜営地に潜入する。

無茶だと反対する仲間たちを残し、1人で劉冬の寝所に強襲をかけた羌瘣だったが、
あらかじめ劉冬が張っていた罠にかかり、
劉冬に太刀をあびせながらも自身も斬られ、負傷してしまう。


翌日、戦2日目。

桓騎軍の参謀・摩論(まろん)より2日目の作戦を受けた飛信隊は、
指示通り持ち場の右翼側を中央丘横まで押し上げることを宣言する。

初日の失敗から、2度目の失敗は死を意味するとの桓騎からの伝令を受け、
信と貂は普段以上に気合いが入るが、
2日目の戦地は"橋"も"舟"もない状況下での
"渡河の戦い"だった。

突破口となるはずの"橋"も"舟"も無い現状で、
必死に策を講じるも打開策が無く苦しむ貂だったが、
師・昌平君でさえも"無手"の状況と判断するであろうこの状況下において、
3つの手から成るひとつの策を生み出す。

1手目。
足が届く浅瀬が対岸まで続く場所が2ヶ所ある。
1ヶ所目の浅瀬幅が広くて凹地である中央の川底の道に、隊長・信を筆頭とした飛麃・カクビ兵らの屈強な兵士を集結させ、
敵からは大軍投入における一点突破と見せかける。

2手目。
もう1ヶ所の狭い凸地である川底の道に、
楚水と貂を筆頭とした隊を渡らせ、こちらが主攻であるかのように敵を揺さぶる。 
幅が狭い川底ゆえに大人数での渡河が不可能なため、
上陸戦に備えて息の合う飛信隊生え抜きの少数精鋭を固めた隊を配置する。

そして3手目。
底が見えぬ程の水深がある激流の地で、さらに対岸が険しい絶壁であるという悪条件が重なる地に、渕副長を筆頭とした隊を配置する。
この地は悪条件過ぎるが故に、敵軍の包囲が一切無い。
漁師の出で川に詳しい岐鮑(きほう)を頼りに、渕副長の隊を対岸まで渡らせる。


貂の描いた作戦とは、まず3手目ありきのものであった。
最右端に位置する渕副長らが対岸まで渡りきり、1手目の凹地の右端部分にいる敵の背を討つ。
それにより、信たちが右岸へ上陸し、
そのまま一気に岸を制圧し後続の渡河の道を確保するーーー
という絵図である。
責任重大な3手目を任された渕副長は、
激流の中幾度も流されそうになりながらも、
上流から流れてくる仲間たちの血に奮起し
見事対岸に上陸することに成功。

対岸を占拠していた趙軍・馬呈は、
1手目・2手目が3手目のための囮であり、
さらに1手目を"助攻"から"主攻"に化けさせるという貂の作戦に気づくも、
軍師役を担う劉冬が前夜の負傷による不在であったために立て直しがきかず、
退却を余儀なくされることになる。

これにより、飛信隊はさらに前進し、
趙軍の前線に大打撃を与えるのだった。




一方、中央丘の戦いも動き出す。

中央丘真横に位置する前線左翼側の雷土・ゼノウ隊は、桓騎の指示により両者動かずにらみ合いとなっていたが、
丘の斜面では陣取り合戦が開始していた。

丘の左半円は、
桓騎軍参謀・摩論(五千将)と
慶舎軍副官・金毛(きんもう)将軍
がぶつかり合うも力は拮抗していたが、

丘の右半円の戦いでは、
桓騎軍副官・黒桜(五千将)と
紀彗軍・海剛(かいごう)将軍
が争っており、黒桜の指揮で前線を優位に押し込めていた。

しかしその時、
押されていた海剛将軍の持ち場へ紀彗将軍が姿を現す。

紀彗将軍の姿を見るや否や、兵士たちの士気は異様な程に上昇。
そして紀彗は自ら断崖を駆け下り、参戦する。

紀彗の出現で黒桜軍は押し込まれ後退し、一気に形勢が逆転。
まさに雷光の如き速さの展開であった。

急激に風向きが変わったことを察知し、
素早く全軍退却の指示を出した黒桜の判断により、
桓騎軍の損害は最小限におさまったものの、
中央丘での戦いは趙軍に優位な展開となる。

こうして2日目の戦が終わった。

戦全体で見てみると、
右側は秦・飛信隊が押し込み、
中央丘は趙・紀彗軍が押し込む。
左側は平地も丘も拮抗して前線は大きく動かなかったため、
結果的には両国互角の状態で2日目の幕を下ろしたのだった。


一方、劉冬への夜襲で負傷した羌瘣は、
趙軍に捕らわれることなく逃げのびていたが、
意識朦朧の状態でとある村人たちに助けられていたーーー。



*  *  *  *  *



思っていた以上に長引きそうな予感の黒羊丘戦ですが、
なんか、、、いろいろと熱いものがこみあげてきて泣けました。

まず、前巻で慶舎と出くわしてしまった尾平ですが、持ち前の運と生命力(笑)で無事に生き延びました。

ていうか、慶舎直々の一撃をまともに受けしのぐなんて、尾平すごいじゃないか!
その後馬にはねられて、うまいこと窪みに飛ばされ、九死に一生を得ます。

そして隊を分断され、退却せざるを得ない状況に追い込まれて慶舎に惨敗だった桓騎軍の雷土たちですが、
初日の終わりにはきっちり中央丘の趙軍の築城を止める仕事をやり遂げ、
己らの失敗の後始末をつけるところが流石ですな。
何だかゼノウが隣にいると、おっかない雷土さんが至極マトモな頼り甲斐のある上司に見えてきます。笑

そして初日に下手を打った飛信隊。
桓騎からの伝令で、初日の失敗の責任代として右腕を切り落とすように言われますが(!)
最後に勝ちゃあいいんだろうが!
と開き直って伝令を追い返す信。

あげくには、桓騎に伝えろと言って、

「最後はこの俺が敵将 慶舎の首をとって
黒羊の戦いを勝利に導いてやるってなァ!!」

と啖呵を切りますが、

この時の馬印と那貴の表情と、コマに軽くフラッシュが入っているのがイイですねー。
信が、ハッタリでもなく、本気でそう思っていること、
そしてもしかしたら本当にそれを実現するかもしれないと思わされること。
ハッとしたような2人の表情に、信の熱意が響いたような印象を受けます。

大分さかのぼりますが、
対魏・廉頗戦の前、信が急造千人将になった時に初めて千人もの部下の前で就任のあいさつのようなものをしましたが、
その時
"信の声は不思議とよく通った
聞き手には信の声を通して その情熱がひしひしと伝わっていた"
という描写がありました。

まさに、そんな感じだったんでしょうねー。

そして、斥候に出たまま戻らない羌瘣ですが、
なんと1人で趙将暗殺に向かおうとしとるー!!

10数騎しかついてきていない仲間たち、
若者兵たちが羌瘣の美貌に気を取られながらも平常心を保とうとしているさまがカワイイですが、
ミドルエイジっぽい孫仁さんは冷静かつ必死で羌瘣を説得して引きとめようとします。

こんな無茶は信だって望んでないし、
何でここまでやろうとするんだ、
と羌瘣を諌める孫仁さん。

羌瘣は、
万の軍の敵将の首を、味方の犠牲無しで討てる好機が今あると言い、

「飛信隊のために無茶をやるんだ」

と微笑みます。

羌瘣の決意と覚悟と飛信隊への想いを前にして、仲間たちももう見守るしかないですよ。。

このへんは何だか泣けてきました。

超絶剣技と軍師並の頭脳持ちというスペックとは裏腹に、ふわふわド天然な羌瘣ですが、
胸の奥はものすごく熱くて、
仲間を常に思いやっている。
胸の奥に熱いものを持っているなんて、本人は自覚すら無いのかもしれない。
今回のことも、孫仁さんに問われて初めて
"自分の行動の意味"を考えたみたいな表情をしていたし。

仲間をできるだけ失いたくない気持ち、
飛信隊のために力になりたい気持ち。

この子が象姉を失ってから仇の幽連を討つまでの道程と今まで描かれてきた心の変化、
それらを思い返すと、仲間たちに向けた優しい笑顔に何だかグッときて涙が出てきましたよ‥‥。

そして向かった夜襲の相手は趙将のひとり、劉冬。

第452話、ほぼ丸々劉冬と羌瘣のやり取りでしたが、
ビジュアル的に美しすぎたのは気のせいですかね?笑

劉冬は原先生がデザイン的に気に入っているキャラ(ガイドブック参照)のようですし、
羌瘣とのビジュアルバランスがめちゃ相性良かった気がします。

なのに劉冬、かわいい羌瘣ちゃんに容赦なく2太刀も入れやがりました!
寝所に糸を張るだなんて、地味‥‥いや、抜け目ない奴!
羌瘣も劉冬に2太刀入れましたが、剣の入り方が明らかに羌瘣のほうが重傷‥‥!
しかもめっちゃ高いところから転落してしまいました。
まさかの暗殺失敗ー!!はわわ。。。

劉冬は劉冬で、何か抱えるものがありそうです。
"黒羊の先"とは、離眼の城のことでしょうか。
劉冬なりの、"命を賭して守るべきもの"
が何なのかも、気になります。
羌瘣も、そこは少し気になっているようす。


そして2日目の飛信隊ですが、
舟も橋もない渡河戦。
昌平君すら無手だと言った状況下での戦いです。
ここからは貂の見せ場でしたが、
第454話112ページの鬼気迫る貂の見開きには何故か怖すぎて笑ってしまいました。笑

貂が必死で絞り出した策は、敵の裏の裏をかくかなりリスキーな作戦。
この作戦の主役は、なんと渕さんです。
泳ぎが得意な土南さんが、10歩も進まずに流されてしまうほどの激流(登場からたった17コマで消えゆきましたが、めっちゃいい奴だった。。涙)の中を、
渕さんが兵たちを引き連れて渡れと!
そして渡ったあとはそのまま敵の背を狙い戦えと!
ヒィィ!!

はっきり言って無謀すぎる策すぎて、
我呂が突っ込むのも解ります。
しかしここはあの昌平君すら無手だと判断する状況下なので、
このあたりの無茶は仕方ありません。

そして責任感を買われた渕さん、見事にやり遂げます!よかった‥‥!!

信たちも無事上陸して、あとはもう飛信隊のペースです。

馬呈が戦況を立て直せなかった理由が
軍師役を担う劉冬が負傷による不在だったため
というところが、
前夜の羌瘣の無茶夜襲がキッチリ功を奏しているってことでこれまたニクすぎる!

そんなこんなで飛信隊はひとまず初日の借りは返せた形になりました。

そしてメインの中央丘の戦いですが、
ここにきて桓騎軍の紅一点(たぶん)・ロケット乳の黒桜さんが登場です!

結構前から桓騎とともに登場はしていましたが、今回めでたくタメてからのクローズアップ!
桓騎の副官で五千将でイケメン好きということが判明しました。

桓騎軍の副官だけあって、かなりデキる姐御のようですが、
そんな黒桜さんの活躍を一瞬で打ち消してしまったのが、
趙将・紀彗!!

登場しただけで趙兵たちの士気がいきなり上がります。
この戦では趙将として慶舎の下についていますが、もともと"離眼城"の城主である将軍。
離眼の城では子どもたちにも大人気だったことや、
兵たちの紀彗を見る眼差しと表情からも、
絶大な信頼を得ている人物ということが分かりますね。

黒桜さんの守備部隊・角雲は、
せっかく手柄をあげて黒桜さんを天幕に誘おうと息巻いていたのに‥‥13コマで殺られちゃいました‥‥。
紀彗将軍、武力にも憂いなし!

劉冬もそうですが、紀彗たちの城・離眼にかける想いとそこかしこに漂う絆のようなもの、
敵ながらにこの先どうなるのか気になります。

いつものように、勝った・負けたの単純な戦には終わらなさそう。

今巻は、いろんなキャラにスポットが当たっていて、
それぞれがそれぞれに魅力的で、
なんだか濃ゆい1冊だった気がします。

今まで謎が多かった桓騎軍にも、割と親しみがわいてきました。
摩論とか、めっちゃいいキャラしてます。
敵軍である紀彗や劉冬も、敵軍だからと憎めない感じ。
読んでいて誰に気持ちを注いだらいいのか分からなくなってきます。笑


そしてラスト、
負傷した羌瘣が集落の村人たちに助けらておりましたが、
めっちゃ重傷っぽいー!!
無事に隊に戻れるのか?!
例の秘薬(輪虎戦で信に使ったやつ)はもうないのか?!

戦の先行きも気になりますが、
羌瘣の安否が気にかかります。

また3ヶ月が長いー!


【メモ】
⭕️桓騎軍参謀・摩論は五千将。

⭕️桓騎軍副官・黒桜も五千将。

⭕️キングダム実写動画公開中。
予想に反してけっこう良い世界観出てました。

⭕️おまけマンガ 「進軍 飛信隊!」

⭕️裏表紙カバー裏 : 梟明スタイルの貂ちゃん


キングダム 公式ガイドブック 「覇道列紀」

*ネタバレあり*

キングダム 公式ガイドブック 覇道列紀 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 公式ガイドブック 覇道列紀 (ヤングジャンプコミックス)


41巻と同時に、公式ガイドブック第2弾が発売されました。
前回の「英傑列紀」は、正直内容の割に高い!という印象でしたが(スミマセン)、
第2弾の今回はかなり内容が濃く、読み応えがあったので買ってよかったと思います。

その理由が、原先生の対談や解説がかなり多かったこと。

わたしは好きなミュージシャンのCDが出ると、ライナーノーツや某雑誌の"全曲解説"的なものを読んだりしていろいろと思いを馳せるのが好きなヤツなので、
今回の公式ガイドブックにある
"原先生が語る主要キャラクター秘話"
なるコーナーは喜々として読みました。笑

なのでおおむね満足な内容だったのですが、
コミックス派でネタバレ回避主義のわたしにとってまさかの罠(?)が!

勝手に既刊コミックスの内容に沿った流れの編集だと思って何の警戒も無く読んでいたら、
キャラクター紹介のページにけっこう41巻の続きの内容が書かれていてちょっとビクつきました。。。

特に桓騎軍のページで、"馬印"のところと、
趙の"慶舎"、"劉冬"、"岳エイ"の紹介ページにはネタバレありなので、
42巻が出るまでの間にコレを読もうと思っている方はご注意ください。。。

では、内容の紹介です。


【内容】
⚫︎序章 
「World of キングダム エピソードダイジェスト 王弟反乱〜合従軍襲来」

ざっと合従軍編までのあらすじ。

⚫︎第1章 
「秦国史書」

合従軍襲来から41巻の黒羊丘の戦いまで、あらすじに沿ってエピソード毎に紹介・解説されています。

●第2章 
「戦国人物録」

約300人のキャラクター紹介と、パラメータデータの刷新版。
前回の「英傑列紀」の時のキャラ掲載ページ順が
信→漂→嬴政→貂→羌瘣
だったのに対し、
今回は
信→貂→羌瘣→嬴政
なのが地味に気になった。。。
国内編から中華統一編になったとはいえ、
主要キャラとして、信の次はなんとなく政であって欲しい。笑

●第3章 
・「スペシャル対談
・「主要キャラクター秘話 / 主要エピソード秘話」
・「原泰久YJ目次コメント集」

一番の見どころ企画。
キャラクター秘話が興味深かった!後述します。

週刊少年ジャンプ 出張版特別読切(2013年)
「キングダム」

飛信隊が魏軍に攻めこまれた国境付近の城の姫・翡翠(ひすい)を助ける、というお話。

わが家はWJ読者なので、これはリアルタイムで読みました。(今も保管してあります。笑)
当時はわたしも原先生と同じく、「来たこれ。ゴゴゴゴ」とかなりテンションが上がりましたよ。
この読切についての原先生のコメントも書かれているのですが、読者アンケートに懸ける熱意やその結果に対する反省とか、
原先生の性格がちょっと垣間見えてとても面白かった。


以上、ガイドブックの中身はこんな感じの構成となっております。


【裏話】
●原先生は、キングダムはなんとか80巻くらいに収めたいそう。

●原先生のお気に入りキャラは、 
信、羌瘣、媧燐、李牧。あとは横並びだとか。
媧燐は意外!

ケンコバのお気に入りキャラは、
録嗚未、麃公、桓騎。

●水野氏のお気に入りキャラは、
蒙驁、政、貂。

●信をめぐる恋愛模様に関しては、原先生は貂を含めたハーレム状態にしてもいいと思っていたらしい。(!)読者に反対されそうなので可能性は低そうである。(ホッ。。)

●向ちゃんが懐妊した時、原先生は陽ちゃんも幸せにしてあげたくて同時妊娠を考えていたが、担当からボツをくらったそう。
(宮女としての立場だから現実的ではあるが、確かに読者の感情的にはなんか複雑!)

●羌瘣に絡んでくる"引っ掻き回し役"が今後登場するらしい。(今まで我呂がそんな役割だと思ってた。)

●原先生はよく分からないそうだが、
何故か楚水の女子人気が高いらしい。
(分かる気がする。笑)

●項翼が所有している"莫耶刀"は、まだ本物なのかどうかはわからないそう(マジか!)。

週刊少年ジャンプ出張読切の話が来た時、原先生は大チャンスだと思い、
読者アンケートで1位をとる! 
という目標を掲げたそう。
結果は残念ながら惨敗で、順位を聞きもしなかったそうな。
様々な計算をし過ぎて、魂が乗っかりきっていなかったと反省する原先生。
(当時わたしも感じました。絵も話もジャンプ向けのクッキリ王道な感じでよかったのですが、本編のような熱さ、泥臭さがあんまり無くて。
出張読切なんかでキングダムの魅力は伝わりきらない!とその時は歯がゆく思っていたけれど、
原先生もきっちり悔しかったんだなあ、と思うと何だかほっこりしました。本当に、適当な仕事をしない人だなー。)

●ちなみに、↑の出張読切掲載時のWJ目次コメントで、ワンピ尾田先生がめっちゃキングダム推してました。全巻持ってる!って。笑


【キャラクター能力値】
前回は27巻時点でのキャラクター能力値、
今回は41巻時点バージョンに刷新されておりました。

主要キャラだけ前回データと比較しときます。

★信★
経験値 : C → B
武力 : 90+α → 91+α
指揮力 : 80 → 83
知力 : 72 → 74
必殺技 : ジャンプ → ジャンプ、諦めない

★嬴政★
経験値 : C → B
武力 : 78 → 82
指揮力 : 98 → 98
知力 : 88 → 92
道 : 中華統一 → 中華統一

★河了貂★
経験値 : D → C
武力 : 60(吹き矢付き) → 62
指揮力 : 85 → 87
知力 : 88 → 90
料理 : 99 → 覚醒 : する気配

★羌瘣★
経験値 : C → B
武力 : 95+大α → 96+特大α
指揮力 : 80 → 85
知力 : 87 → 88
かっこいいセリフ : 舞うぞ緑穂 →
隠れ口癖 : おなかへった

★楊端和★
経験値 : A → S
武力 : 95 → 95
指揮力 : 99 → 99
知力 : 95 → 96
美貌で : もちろん100! → 敵が死ぬ

★騰★
経験値 : A → S
武力 : 96 → 96
指揮力 : 92 → 94
知力 : 94 → 94
マジカル : ファルファル →
録嗚未を : いじりたおす

★蒙武★
経験値 : B → A
武力 : 99 → 99
指揮力 : 90 → 92
知力 : 84 → 86
道 : 天下最強 → 天下最強!

★王賁★
経験値 : C → B
武力 : 91 → 93
指揮力 : 87 → 88
知力 : 89 → 89
必殺技 : 龍指 → 龍指、龍巣

★蒙恬★
経験値 : C → B
武力 : 88 → 89
指揮力 : 86 → 88
知力 : 90 → 91
特徴 : 代々父と似ていない →
女性 : 大好き

★桓騎★
経験値 : B → A
武力 : 93 → 93
指揮力 : 92 → 94
知力 : 95 → 95
残酷度 : 99 → 妖しい瞳 : 99

★王翦★
経験値 : B → A
武力 : 93 → 93
指揮力 : 93 → 94
知力 : 97 → 97
黒野望 : 100! → 100!

★李牧★
経験値 : A → S
武力 : 91 → 91
指揮力 : 98 → 99
知力 : 100 → 100
政治力 : 92 → 常に : 何かを狙っている

★龐煖★
経験値 : B → A
武力 : 100 → 100
指揮力 : 皆無 → 皆無
知力 : 馬鹿ではない → 馬鹿ではない
武神度 : 100! → 100!

★慶舎★
経験値 : B → A
武力 : 88 → 88
指揮力 : 88 → 90
知力 : 90 → 91
本能型の : 狩人 → 沈黙の : 狩人

★媧燐★
経験値 : B → A
武力 : 94 → 94
指揮力 : 92 → 93
知力 : 96 → 97
備考 : 巨乳怪力モンスター → 楚のNO.2(巨乳怪力モンスター)

★李園(初登場)
経験値 : A
武力 : 70
指揮力 : 88
知力 : 95
史記とのギャップ : 99

★尾平(笑)
経験値 : C
武力 : 70
指揮力 : 70
知力 : 68
出っ歯 : 100

飛信隊の歩兵の中でデータがあるのは尾平だけでしたが、
田有、竜川の他にも沛浪、去亥が百将ということが判明!意外と知らなかった!
田永、崇原、松左などはまだ什長、、世知辛いですなぁ‥‥。


【感想】 
やっぱりキャラクター秘話のページが一番面白かった!
わたしが知りたかったことや、気になっていたことがほぼ書いてあってかなり満足しました。

たとえば、わたしが唯一展開の粗さでモヤッとしていた"魏火龍七師"のくだり。
原先生的には、
「ライバル国として魏を強くしないといけなくて登場させたものの、
ちょっと展開が急ぎ足になってしまったかなと思っている」
とおっしゃっていて納得できたし、

気になっていた王翦 × 王賁の関係や過去についても、
「何故王翦が王賁に対してドライな態度をとっているのか、
王賁が必死で成そうとしていることは何なのか、まだ核心には触れていない」
と原先生が明言されたことから、
今後やっぱりそのあたりはちゃんと描かれるんだ、という期待がふくらんで更に今後の展開が楽しみになりました。

キングダムの伏線は投げっぱなしではなく、
ほとんどがちゃんと回収される。

こういう原先生の丁寧な仕事っぷりも、
わたしがキングダムを好きな理由のひとつなのです。

前半のキャラ紹介ページは、割と細かいキャラまでクローズアップされていて結構楽しめました。
ただ介億の紹介コーナーで、
"軍略のプロだが、女好きな一面もある様子?"
と説明があったのですが、
わたしの介億に対する見解は、女好きというよりも"他人の恋バナ好きの茶々入れキャラ"
だったので個人的にはやや違和感ありました。笑

対談などを読んでいると、原先生は結構読者の意見や感想も意識して展開を紡いでいっている感じがします。 
ネットのチェックなどもされてるのかも。
水野氏との対談の中で(136ページ)、
「(読者の意見の)優先度は高いですけど、正直に言うとトップではないです。
読者の期待を裏切ってしまうかもという心配はあまりしていなくて。
自分が面白いと思えるものを、ひたすら描き続けている感じです。」
とありましたが、
これからもぜひそのままのスタンスで描き続けていただきたい!と切に思います。

"アメトーーク!"以後の大ブレイク、キングダムファンとして本当に本当に嬉しいのですが、
人気が出すぎてファンの声が届きすぎることにより、
展開にブレーキがかかったり、迷ったりブレたりはしないのかなぁ‥‥
と、素人が無駄に心配してみたりしてしまうんですよね‥‥。

が、原先生自身は"史実"というしっかりとした骨組みがある以上、ゴール目指して向かっていくだけだという強固な意志をお持ちなので、
きっとわたしの心配などは杞憂でしょう。


・・ガイドブックのせいでますます次巻の発売が楽しみすぎて待ちきれなくなりました。笑



【メモ】
⭕️干央のパラメータデータで、"好きなもの→いも"とあり爆笑したものの、
よく考えたら栄備と勘違いしてた。(※22巻のオナラエピソードから)
むしろ栄備の好物をいもにして欲しかった。笑

⭕️原先生が楊端和さまを描く際には、"作中一の美女"のつもりで意気込んで描くらしい。

⭕️蒙毅の帽子は不人気らしい。笑

⭕️蒙武、以前の読切(昌平君とのネタバレ読切)では今よりも明るいキャラだったらしい!
意外すぎる!

⭕️媧燐のモデルは、和田アキ子ではないらしい!(絶対皆思ってた)

⭕️楚の大将軍・項燕は、まだ構想中のようす。

⭕️原先生、カラーのイラストがすごく上手くなったと思う。

⭕️おまけマンガ 「飛信隊 平(ひら)の能力値」

キングダム 41巻

*ネタバレあり*


キングダム 41 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 41 (ヤングジャンプコミックス)


カバーデザインが一新され、
いよいよ新章スタートの41巻。
 
題字が縦書きから横書きに変わっていたり、
背表紙の巻数のところが漢数字からアラビア数字に変わったりしています。
中表紙裏の目次部分も同様の変更ですね。
 
そしてこの巻から今まで題字の横にあった副題(サブタイトル)が無くなっており(!)、
それゆえにわがブログのタイトル部分が何となく寂しくなってしまいました。。笑
 
ま、そんな個人的事情はさておき、
いよいよ本格的に秦が中華統一に打って出はじめる41巻ですが、
まだまだほんの助走‥‥序章段階といったところです。
 
しかし!
今回飛信隊が配属された軍が意外なあの軍で、
連携は?共闘できるの?!
などなど、
一体この先どうなるのかと心配しつつも
徐々に戦いのスケールが大きくなってきて、ワクワクしますね!
 
それではひとまず、あらすじからまいります。
 
 
【あらすじ】
秦王・政と 宰相・呂不韋との長きにわたる政権争いに決着がつき、
紀元前238年、とうとう政は国の実権を手中に収めた。
 
政は昌平君らとともに、
すぐさま中華制覇に向けた絵図作りに着手。
 
ここから15年で6国全てを滅ぼし中華を統一すること、
そして、 
ゆくゆくは秦の"六大将軍"を復活させること。
 
政は、これらを本気で実現させると信に宣言。
「お前はそこに割って入り 必ず六将の一席を掴み取れ」
と政に発破をかけられ、
信はさらに奮起するのだった。
 
 
その後、
昌平君の指令により、中華への侵攻をスタートさせた秦国。
 
飛信隊がまず送り込まれた戦地は、秦と趙の国境地"曹州(そうしゅう)"だった。
 
玉鳳・楽華の両隊も合流し、対する趙軍も防衛のためにこの地に多くの軍を集結させたため、
曹州のすぐ南に国境がある魏国も多くの軍を配備し警戒していた。
 
あえて曹州の戦を膠着させることにより、
魏軍の意識が曹州近くの国境付近に集中している隙を狙っていた昌平君は、
本命であった"衍氏(えんし)"の城を落とすため極秘の命により楊端和率いる山の民に急襲させ、見事に城を陥落させることに成功。

誰もが予想し得なかった山の民による衍氏城攻略は、列国に大いなる衝撃を与えるのだった。
 
 
 
 
しかし、それ以上に中華全土を驚愕させる大事件が南の大国・楚で起こる。
 
戦国四君最後の一人であり、20年以上もの間楚国の宰相をつとめていた春申君が暗殺されたのである。
 
さらに楚国では、直前に国王が突然崩御していたため、度重なる悲劇に国内は大混乱に陥っていた。
 
そんな折、楚の大将軍・媧燐(かりん)は廉頗に呼び出される。
 
媧燐が廉頗のもとへ着くと、そこには何と
春申君を暗殺した男・李園(りえん)が同席していた。
 
李園は媧燐に対し、
「共に宰相の席に座り、
新しい大国 楚 の土台を築いて欲しい」
と頭を下げる。
 
 
・・・李園が語る春申君暗殺の裏側には、複雑な背景があった。
 
崩御した考烈王には長い間 子がなく、
その上同じ血を引く王弟は異常な人間性のため、王宮内ではこの国の行く末を案じていた。
 
そこで考烈王・春申君・李園は画策し、
苦肉の策として 元々春申君の子を身ごもっていた女を考烈王の妾として迎え入れる。
そして産まれた子は、考烈王の子として国民に祝福され、迎え入れられていたのだ。
 
その子どもを時期楚王とすることが元々の計画だったのだが、
考烈王の死後、春申君は
「暗君を出すよりも裏で血脈を途絶えさせる方が罪が深い」
と言い、突然王弟に王位を継がせると言い出したのだという。
 
李園は、今更走り出した船から降りることなど出来ず、賛同できなかった。 
考烈王の嫡子として子を産まされた昌平君の女は、李園のたった一人の妹であったため、
そのことも反対の大きな理由を占めていた。
計画が覆されれば、李園も、妹も、関わった者の死は免れられないであろうからである。
 
そしてお互いに刺客を送り合った結果、
李園は自分が生き残ったのだと話す・・・。
 
 
李園は、
過熱するこの戦乱期に 国の背骨を失った事の重大さは誰よりも深く理解しているつもりだと媧燐に話し、
「楚国を"さらなる強国"へと再構築するために、戦いの天才の力を貸して欲しい」
と再び協力を願い出る。
 
 
そして楚国は、変令を用いて
媧燐・李園の臨時ニ宰相制となったのである。
 
 
 
 
後日、楚国の宰相の席に媧燐がついたという報せが秦に入り、
楚国急襲を目論んでいた昌平君は矛先を変更。
 
飛信隊のもとには、
趙の"黒羊丘(こくようきゅう)"を攻めるよう指令が届き、
飛信隊は桓騎将軍が束ねる5万の本軍に合流することとなった。
 
元野党・桓騎将軍は、
略奪・虐殺をはじめ、やりたいことはなんでもやるからそのつもりでいるようにと信に告げ、
「ここで大人の戦いを覚えていけ」
と不敵に笑う。
 
信は、桓騎に対し思わず剣を抜きそうになるほどの強烈な"拒絶"の念に襲われ、
無意識にも身構えてしまうが、
桓騎軍の指示により互いの軍の一部の隊を入れかえて連携をはかるなど、
桓騎軍の"やり方"に一応は従っていた。
 
そして出陣の刻。
秦軍は桓騎軍50000・飛信隊8000
計58000人を率い、
 
対する趙軍は、
総大将・慶舎軍40000
副将・紀彗(きすい)軍30000
計70000人を率いて、
決戦の地である黒羊丘へと到着した。
 
広大な密林地帯である黒羊丘の地。
樹海の中に城は無く、代わりに5つの丘がある。
黒羊丘での勝敗は、この5つの丘をどちらが占拠するかにかかっていた。
 
開戦前、この地を攻略するための作戦が
桓騎軍の参謀・摩論(まろん)によって信たちに告げられる。
 
秦軍と趙軍の間にある5つの丘のうちの中央にある丘を基準として、
まずはそこより奥に向かっていち早く左右から2軍を走らせる。
左は雷土、右は飛信隊。
その2軍はできるだけ中央の丘より奥深くで敵と交戦し、相手の進軍の足を鈍らせるようにねらうこと。
そうすれば、序盤から労せずして秦軍側の2つと中央・計3つの丘を奪取することができるという内容だった。

 飛信隊は、羌瘣の小隊を斥候(せっこう)とし、先に前へと進ませる。
 
対する趙軍は、秦軍が把握していなかった支流を使い、
小隊が舟で秦軍側の奥地にまで入り込んできていた。
 
小隊には、趙軍副将・紀彗将軍の側近である馬呈(ばてい)と劉冬(りゅうとう)が送り込まれており、
頃合いをみて、馬呈は飛信隊を急襲する。
 
まだ中央の丘より手前の秦軍側の地にいた飛信隊は完全に隙をつかれ、
馬呈の率いる手練れの兵たちに大苦戦。
さらに馬呈自らの強烈な一撃が信を襲い、
飛信隊は序盤でいきなり足止めをくらってしまう。
 
信と馬呈らが交戦している最中、
秦軍側にある1つめの丘から謎の煙が上がる。
丘の上には、趙の旗とともに劉冬が立っていた。
 
桓騎軍が占拠する予定だった丘から急に煙が上がったことにより、
信や貂たちは敵軍に丘を奪われたと思い、動揺する。
 
後に楚水らの騎馬隊が合流してくると、
小隊で急襲をかけてきた馬呈らはさっさと退却。
貂は馬呈を追わず、趙軍に奪われたであろう丘を奪い返すことを優先させる。
 
貂は、敵軍が川を使って秦国側まで入り込んできたはずだと予測し、その場合大軍での移動は不可能なため、敵軍は小隊だと確信。
小隊ならば飛信隊だけで絶対に丘を取り返せる、と断言し丘へ向かうが、信たちが丘の上に突入するとそこに趙軍の姿は無く、急造の人形が張り巡らされていただけだった。
 
信は、自分たちが馬呈らに踊らされ、完全にはめられたことに気付き、愕然とする。
 
いち早く中央の丘を目指すべきだった飛信隊が、
秦軍側の手前の丘を奪われたと思い込んで
引き返したことにより、
任された右側の進軍の足が止まっているという状況になっているというこの時点で、
"中央丘より奥に前線を作る"
という秦軍の作戦は霧散。
 
その結果、逆に飛信隊側が趙軍に先行され、
"中央丘より手前側に前線を作られてしまう"
という事態に陥ったのである。
 
 
一方、斥候として前衛に配置された羌瘣の小隊は、
山々の切れ目で集落地を発見していた。
 
村人たちは、この地で今まさに戦争が行われているということなど知る由も無い様子であった。
羌瘣は見過ごすことが出来ず、
村へ警告しに入って行く。
 
 
そして、順調に中央の丘を通過し進軍していた左側の前線担当・雷土の隊のもとへ、
秦軍側の丘から謎の煙が上がるという異変に気付いた桓騎が突然現れる。
 
飛信隊の失敗を察し、
桓騎は軍の中で最も獰猛であり戦狂いの一団で構成されている
"ゼノウ一家"のもとへ行き、指示を出す。
 
その頃すでに中央の丘へ進軍を開始させた
趙軍総大将・慶舎は、
桓騎がそこに居る気配を察知し、
自ら前線に下り立ったーーー。
 
 
 
*  *  *
 
 
 
第2部が始まって早々、様々なことが起こりまくりです。
 
政が15年で中華統一すると宣言したり、
六大将軍を復活させると決めたり、
昌平君が端和様を使って魏の"不落の巨城"をあっさりゲットするとか、
今巻裏表紙にひっそりいた春申君がいきなり暗殺されたりだとか、
めまぐるしく場面が切り替わり、頭の中を整理するのが大変です。笑

そして六大将軍が復活するとのことでしたが、現状でここに信が入るのはまだまだ厳しい感じですねー。
41巻の表紙が6人なのは、たぶん特別な意味はないと思うのですが、
このメンバーなら王翦が何らかの戦で死んで(ゴメン)、いずれは王賁かなぁと想像してみたり。
でも蒙恬にも頑張って欲しいし‥‥
とか考えながら、誰が六将に入るのかを想像してみるだけでも楽しすぎます。笑
 
さて、まずは楚国の一件ですが、
汗明亡き今、第二将とはいえ楚の武将の実質トップは媧燐のようですね(世代的に)。
30万もの軍を掌握してるって、
さすが楚、スケールがでかすぎる。。
 
春申君が暗殺され、国内が大混乱の中
廉頗から呼び出された媧燐は
オマケで項翼と白麗を付いて来させておりましたが、
2人に「場合によっては廉頗を殺せ」って‥‥!
そして廉頗に「居候の分際」って‥‥!
相変わらずドギツイです。。。
 
そして春申君を殺した男・李園ですが、
まだまだ謎が多い男です。
今分かっていることは、
 
・宮廷からの密使(廉頗談)→楚国宰相に。
・考烈王の嫡子(本当は春申君の実子)を産んだ女の兄
・身内愛が深い
・媧燐のことをかなり調べてある
 
こんな感じですが、
ひとつ気になるシーンがありました。
 
媧燐に宰相を引き受けてもらうために、
何故媧燐の力が必要なのかを説く場面で
(第441話 72ページ)、
 
🔴李園 : 「"東の大将軍"が以前言っていた
中華最大規模を誇る楚軍はまだ
その力を最大限活かしきれていないと」
 
🔴媧燐 : 「(項燕〔こうえん〕か‥‥)」
 
とあります。
 
ここで出てくる"項燕"、
合従軍編で汗明が蒙武に討ち取られて楚王が大激怒していた時、
合従軍へ"出し惜しみ"してしまったのでは、
と廉頗が王に言った名前がこの項燕でした。 
 
そして以前公式ガイドブック(※英傑列記の方)のロングインタビューの中でも名前が挙がりました。
 
「今後、新たに登場するキャラクターの構想などは?」
という質問に対し、原先生が
「楚の大将軍、項燕ですかね。
廉頗級の、ものすごいのが出てくると思います。」
と答えていたことがあって(※190ページ)、
ずっとずっと気になっていた人物なのですが、
ついに登場の時なのでしょうか?!
"廉頗級の、ものすごいの"
って、めちゃくちゃ期待が高まります。
 
楚は広すぎて、武将の格付けにエリアごとの管轄みたいなのがあるのでしょうかねぇ。
"東の大将軍・項燕"の登場、まだかまだかと待ってます。

そんな大物・項燕や廉頗とのパイプを持ち、
春申君と国家を揺るがすような企てを共謀できるような立ち位置にいる‥‥
李園、何者?!
 
あとがきで、"李園は史記では小物扱い"と書かれていましたが、
原先生は李園をこの先どんなキレ者に描いてくるのでしょうか。
 
あと、李園が媧燐の過去に触れた部分も、後に何か関係してくるのでしょうか。
 
楚とのカラミはまだ少し先になりそうですが、いろいろと楽しみです。  
 
 
そして、今回一番驚いたのは、
飛信隊が桓騎軍と組むこと!
 
何故か、全く想像して無かった組み合わせだったので、読んでて えっ!と声が出てしまいました。
 
合従軍編での桓騎は確かに超絶カッコよかったのですが、
白亀西の殺し方をはじめ、目玉袋や人林作製などの悪行が強烈すぎてまだまだ記憶に新しいところ。
何せ異名が"首斬り桓騎"ですから、
敵が投降してこようが皆殺しなのです。
 
それに対して信は三百将時代、
侵略した地の村人を陵辱・虐殺する乱銅千人将のやり方に激昂し、
あやうく斬り殺しかけたことがありました。
 
飛信隊の仲間に信の行動を責める者は誰もいなかったし、
その信のとった行動の噂を聞いて感心してくれていたカクビ千人将(没)の元部下・楚水たちは現在飛信隊にいます。
 
そんな青臭くも真っ直ぐに筋を通す信だからこそ、まとまっていられるともいえる飛信隊。
 
その部分を、真逆の桓騎と組ませることで
原先生はどう描こうとしているのか。。。
今、そこ来たか!という感じで
何だかひやひやしてしまいました。
戦争を描くだけに避けられない部分でありつつ、取り扱いが難しいテーマというか‥‥。
 
このあたり、羌瘣が集落を見つけてしまったことも深く関わってきそうですね。
 
しかし、
"略奪・強奪何でもやる=全ては勝つため"
という桓騎の理論、言葉通りのことだけでなく、何か深みもあるのでしょうか‥‥。
イヤ、あの白亀西の最期を思うと‥‥はわわ。

そして桓騎軍、飛信隊と組むにあたり、お互いの軍を少しトレードして連携(?)を図ろうとしてきます。
 
桓騎軍側近の那貴(なき)千人将が飛信隊に加わり、
尾平、慶ら古参メンバーが桓騎軍へ。
 
尾平はすっかり桓騎に魅了(酒と女で買収?笑)されちゃってるし、
妙に丁寧な感じも含め、何かやたらに桓騎軍が飛信隊をアゲてくる感じが気になります。
(オギコだけは平常運転ですが。笑)
 
作戦会議のあと(第444話 128ページ)で、
 
🔴桓騎 : 「失敗したら ただじゃすまないぜ?お前」
 
🔴信 : 「元野党の桓騎将軍は 安心して俺らのケツを追っかけてくればいい
この戦の第一武功  敵将 慶舎の首は
俺が取る」
 
🔴桓騎 : 「(・・・)」
 
🔴黒桜 : 「・・・   クスッ」
 
「大バカが・・・」
 
 
というやり取りの部分も気になります。
元々信が桓騎に抱いているイメージは"クソヤロォ"ですし(19巻より)、
侵略地における住民の扱いに関する件は
どう考えても折り合わないでしょうね。
 
桓騎は論功行賞で2回信の姿を見ていますが、信の印象に言及しているシーンは今まで無かったように思います。
蕞(サイ)戦後の論功行賞に信が出た時に、
確か前も‥‥とはっきり信が意識に残った様子でした。
なので、何か結構やる奴っぽいなといざ組むにあたり調べてみたら、
「青臭ェ戦り方やってるっつー話だけは
がっかりだ」
と感じたのが普通に本音だったのでしょう。
 
桓騎軍の部下たちの意味深な「・・・」吹き出しがやたら多いのが引っかかるのと、
黒桜さんの「クスッ」が意味するところは、
はなから飛信隊が失敗するのが分かっているかのような、
元々期待などしていないような、
そんな空気を感じる気がします。
てめーらがどんだけお子ちゃまか教えてやんよ!
という桓騎軍の上から目線(実際実力も上ですが)の空気というか。
あえて古参組を選んで尾平たちを連れて行った意図も気になりますね。
桓騎が飛信隊をどうコントロールしようとしているのか、ハラハラします‥‥。
 
しかし桓騎本人の本意はまだちょっと分かりません。
信の力量を測っているような、試しているような感じがしなくもないですが、
下僕下僕と煽りすぎているのも気になります。
信を認めているのか、いないのか‥‥。
でも正直なところ、
客観的に見ても桓騎と信ではまだまだ大人と子供ほどのオーラ差がありそうなのは否めない‥‥。
 
そして飛信隊は痛恨のミス!
 
まさか貂まで敵の策に踊らされるとは‥‥。
 
対する敵軍の紀彗将軍は、出来過ぎなほどの実力者であり人格者、
この桓騎との対比は後ほど一体どう展開されていくのでしょうか。
 
そしてラストの尾平&慶!
なんと総大将・慶舎がいきなり目の前にー!!!
 
「黒羊では、相手を翻弄した方が勝つ」
と紀彗将軍が言っていたようですが、
それなら桓騎も得意とするところだと思います。
 
しかしおそらくこの先、
集落の存在・飛信隊の持つ性質などが絡み合い、それが戦に影響してさまざまな問題が勃発してくるのではないでしょうか。
 
 

はやく続きが知りたい!
 
 
 
 
42巻へ続く。
 
 
【メモ】
⭕️呂不韋の裁きは半年以上先になるらしい。
 
⭕️楚王の嫡子問題に関して、この春申君の逸話を元に政・呂不韋親子説が創作されたという説があるとか。
 
⭕️作戦会議中のオギコ・「おっぱいみたい」発言に同意させられる信、汗かく。笑
そしてその信を横目で見てる羌瘣。笑

⭕️羌瘣 の髪型について。
新髪型は前髪センターパートだとずっと思っていたのに、
第443話扉絵ではハチマキの下から短い前髪がのぞいてる!
以前のおまけマンガの時も気になっていましたが、
まさかセンターで分けた上でのおろし前髪だったとは!(女子の方なら分かると思いますが、これは今時ない・・ていうか、まあ紀元前なんですけど。笑)
ま、かわゆいからいいんですけどね。
そして、誰もこんなこと気にしてないと思うんですけどね。。笑
 
⭕️おまけマンガは無し。
カバー裏:オギコ

キングダム 40巻 「敗北の巨星」

*ネタバレあり*


長きにわたる政×呂不韋の戦いに、
この巻でついに決着がつきます。

表紙が内乱編オールスターみたいな感じで、
節目の巻なんだなあと実感。

キングダムの題字にもろかぶりの呂不韋と、
水色の背景と同化しているものの真っ赤なクチビルが異様な存在感を放ってる王騎が、
ちょっと笑えました。

さて、
39巻で互いの為政論をぶつけ合った政と呂不韋

決着は、同時進行で起こっている咸陽での反乱の結末にかかっています。

呂不韋の企て通り、手下共が咸陽を制圧して王族をすべて始末し、
政から政権を奪うのか。

もしくは、
信をはじめとする大王の軍が反乱を抑え、
首謀者である呂不韋を黒幕として突き出すことができるのか。

読者の誰もが結果を分かっているものの、
1巻ではまだ14歳だった政が
8年の月日を経て加冠の儀を終え22歳、
そして本当の意味での秦の王になる瞬間‥‥
この目でみたい、確かめたい!

はやる気持ちをおさえつつ、
あらすじから追っていきたいと思います。


【あらすじ】
「人の本質の表れであり、人の世の営みの一部である"戦争"をこの世からなくすことなどできない。
戦争とは必ず起こるものであり、戦争が終わることは決してないという現実を受け入れるべきだ」

と語り、
「自分ならば暴力よりも金で人を動かして贅沢で豊かな国づくりをしてみせる」
と豪語する呂不韋に対し、

「人が持つ凶暴性や醜悪さはただの側面であり、人の本質ではない。
そこを見誤り、戦争は起こるものだと思い込むことは人に対する諦めをも意味する。

人の持つ本質とは、"光"なのだ」

と反論した政。

政は、かつて自分を趙から救い出してくれた闇商の頭目・紫夏に対し、
初めて人の優しさと強さを含めた強烈な光を見たと話し始める。

そして、
即位後からこれまでに出会った立場の違う様々な者たちの生きざまを目の当たりにし、
紫夏だけではなくその皆が一様に自分の中心に光を持っていたこと、
そして各々がその光を必死に輝かせて死んでいった姿を見てきたことを話す。

その光は、たとえその者が死しても
次の者がそれを受け継ぎ、
さらに力強く輝きを放って繋がっていく。

その繋がりこそが
人をよりよい方向へと前進させてくれるものであるのだ、と語る政。

そう確信するが故に、
己の光の有り様を見失い
人を闇に落とす最大の災いである
"戦争"
をこの時代でこの世から無くす、
と政は宣言する。

あくまで手段は"武力"なのかと尋ねる呂不韋に対し、
政は"武力"でだと断言。

戦国の王として、たとえ暴君と言われようとも武力で中華を統一し、
上も下も分け隔てなく一つにして
自分の代で戦争を終わらせるのだ、と。

全ては、
次の世を
「人が人を殺さなくても済む世界」
にするために。

政の宣言と覚悟を、その場にいる者たちは聞き入っていた。





一方、咸陽ではーーー

反乱軍は、後宮の奥まで迫ってきていた。
王女・麗の首を狙う琉期(るき)は、宮女たちを手当たり次第に虐殺しながら後宮内を荒らす。

麗とともに追手から逃げる向(こう)と陽(よう)は、反乱軍と通じていた宦官や宮女たちの裏切りにより、追手に追いつかれてしまう。

向と麗を逃がすべく、陽は己の命を賭けて時間稼ぎをしようとするが、
間一髪のところで飛信隊が到着。
信は琉期を捕らえ、麗を保護することに成功する。

その後太子・扶蘇(ふそ)の無事も確認され、ひとまずは王族の救出任務を果たした信たちだったが、
城外では、内側になだれ込もうとする凄まじい数の反乱軍に対し、
貂や尚鹿たちは苦戦していた。

戎翟軍など手練れの兵に加え、あまりにも数が多すぎる敵軍に、全滅寸前の貂たち。
もはや活路を見いだせず焦る貂のまえに、
突然貝笛の音が鳴り響く。

それは昌平君一団が到着したことを知らせる介億の貝笛の音だった。



昌平君は先頭に立ち、戎翟公・ワテギ目指して自らが出陣。

介億の貝笛により昌平君の到着を確信した貂は、戦況を見ながら昌平君の戦術に気づき、それに呼応した陣形をつくる。

そして貂の機転により陣形が整った昌平君は好機を逃さず、
一気に前進して見事戎翟公・ワテギの首を討ち取ることに成功。
そして残る何万もの反乱軍を咸陽から撤退させるために、
介億は大将首討ち取りの報を声高に叫んで周りに知らしめる。

貂たちは反乱軍の指揮系統が復活する前に素早く動き、
敗走を促すように誘導することで反乱軍を見事咸陽から撤退させることに成功する。
そして咸陽で起きた反乱は、無事鎮圧することができたのだった。



その頃、雍ではーーー


毐国軍の反乱が失敗したことを告げる伝者が呂不韋のもとを訪れ、
政と呂不韋の目の前でその事実が報告される。

この瞬間、長きにわたる政と呂不韋の政権争いの勝敗は決した。

呂不韋は、政に完敗したのだという事実を
正面からついに認めるのだった。





後日 騒動が落ちついた後、
咸陽では表向きの反乱の首謀者・嫪毐の処刑が実行されることとなった。

嫪毐は、呂不韋の手引きで後宮に偽の宦官として入らされた過去を自供し、
反乱の経緯を洗いざらい口にするも、
玉璽の複製には太后は一切関わっておらず
反乱は全て己の独断で行ったことである、
太后に罪が及ばないように庇う。

嫪毐処刑の場に現れた太后は、
己を先に処せよと政に食いかかるが、
政はあくまで反乱首謀者としての断罪人は嫪毐だとし、
太后を退ける。

引き下がらぬ太后は、嫪毐との間に産まれた2人の子の処遇について、政に問う。

政は、
「二度とこのような反乱が起きぬよう、
国家の禍(わざわい)となる火種は完全に消しておかねばならない」
太后に告げる。

太后は初めて政に対して頭を下げ、
最初で最後の頼みだとして
子の命だけはと懇願するも、
政は断固としてそれを拒否。

怒り狂う太后は政に暴言を浴びせ暴れ回るが、その場に取り押さえられ、
嫪毐の処刑は決行された。



そしてさらに後日。

呂不韋の処罰については未だ審議中であったが、
その他反乱に関わった数百人は斬首の刑に処され、
趙高をはじめ4千余家の人間は島流しの刑とされた。

嫪毐と2人の子を失い、疲弊しきった太后のもとへ、政はひとり訪れる。

生気もなく泣き疲れて眠る母の隣で
政は、

"2人の子は密かに城外に出して匿っており、
いつか国内が落ち着いたら必ずや2人と引き合わせる"

と約束するのだったーーー。




* * *



祝・第一部 完!!

1巻からずっと続いていた呂不韋との政権争いに、とうとう決着が着きました。

非情で残酷な幼少期を送ってきた政の口から

「人間の本質は"光"だ」

と聞くからこそ、
その言葉の深さと重みを感じます。

己の路は
"中華の統一"
であるという志を体の芯に据え続けた政。

王騎の死の前に共に中華を目指そうと誓い合ったこと、
絶体絶命のサイ防衛戦で、麃公の死に様を信から伝え聞いたこと、
それらを含めて
前線で共に戦ったことはないはずの政が
王騎や麃公の生き様に関して光を感じることができたのは、
それらを伝え聞く相手(昌文君や壁、信など)から共に感じ、共有する想いがあったからにほかなくて、

出会った者や関わる者たちの希望や想いを背負いながら
王として政は立っているんだなあ・・・
と思うと、
改めてキングダムという物語の壮大さの根っこにある緻密な繋がりの凄さを感じることができました。

政が目指す"中華の統一"は
決して生半可な想いで描かれた夢ではなく、

第427話14〜21ページの
呂不韋が政に問うシーンで、

🔴政 :「人が闇に落ちるのは己の光の有り様を見失うから
見つからず もがき 苦しみ・・・
悲劇が生まれる

その悲劇を増幅させ 人を闇に落とす
最大のものが戦争だ
だから戦争をこの世からなくす」

🔴李斯(?) :「・・・」

🔴呂不韋 : 「武力でですか」

🔴政 : 「武力でだ」
「俺は戦国の王の一人だ
戦争からは離れられぬ運命にある
ならば俺の代で終わらす
暴君のそしりを受けようが 力でっ・・・

中華を分け隔てなく
上も下もなく 一つにする

そうすれば必ず 俺の次の世は
人が人を殺さなくてすむ世界となる」



ここの部分の2人のやりとりから、
政の覚悟がその場にいる全員に伝わったことが分かりました。

そしてまさかの呂不韋の目に
滲むものが‥‥!!!

あえて"武力"で中華をまとめる、
と言い切った政の覚悟。

成蟜が死の間際に信に言っていた
「中華統一の道のために跳ね返ってくる怨念は長平の比ではない」
という言葉を思い返すと、
改めてこれから先に流れるであろう血の量を考えさせられ、ゾッとします。

他国にとっては史上最悪の侵略者となり、
中華中から恨まれる存在となるであろう未来が待っている。

しかし、政は
"次の世のために"
それをやろうとしている‥‥

なんだかグッときてしまいました‥‥。


さて、政と呂不韋の決着をつけたのは、
咸陽での反乱の終結の報です。

向ちゃんと麗を守る陽ちゃん、
マジに死んじゃうかと思ったーーー!!

樊於期(はんおき)の息子・琉期の魔の手にやられそうになったその瞬間、信のルァァァが聞こえて陽ちゃん危機一髪!

琉期はどれほどのもんかと思っていたら、
アッサリ信にやられて仲間にも置いていかれる始末。

そして信に助けられた陽ちゃん、
完全に信に惚れちゃってました。笑
以前おまけマンガの中で、
向ちゃんから聞いた話で一時だけ信に恋心を抱いていた時期がありましたが、
ここにきて信の嫁候補がまた一人増えたということなのか?!

陽ちゃんは名のある武家の出で身分も申し分ないはずだし、
心情的な部分を除けば信の相手としては適任
なのでは?と思いつつ、
いや、でも陽ちゃんて一応政のお相手をする宮女な訳だしな。。
主人公がダチ(王様だけど!)のお下がり(言葉は悪すぎるけど!)と結婚というのも。。。
などなど、何だか無駄に考えこんでしまいました。笑


そして後宮内はひととおり落ち着いたところで、場面はてんやわんやの城外へ。
城内へなだれ込もうとする反乱軍を何とか必死に食い止めようとする貂たちですが、
絶体絶命の状況です。

しかしここで、雍から咸陽へ向かっていた昌平君が到着!!
介億が貝笛を吹き、合図を送ります。

姿こそ見えずとも、
師の到着を知り、戦況をみながら戦術を読み解いて、陣形を連動させた貂。

同じく姿こそ見えずとも、
思いもよらぬ陣形の完成に
「そこにいたのか河了貂」
と介億と蒙毅は貂の存在に気づき、
師である昌平君にも
「フッ」
と笑みを生み出させた貂の機転と軍師学校+サイ戦での絆に胸熱!

今巻でも大活躍だった昌平君。
以前の蔡沢老師の言葉から、
昌平君の武における強さのほどは
気になってはいましたが、
まさか蒙武にも匹敵する強さ(やや誇張あり:介億談)だったとは!
恐れ入りました。
(しかも、幼少期は蒙武をも超えていたとか‥‥ますます例の読み切りが読みたい‥‥)

戎翟公を討ち取ったシーンでは、
あまりの鮮やかな強さに貂の頬が赤らむほど。
一瞬で討ち取られた戎翟公・ワテギでしたが、
百年後の戎翟の復活を夢みて重臣たちに生き延びよと命じ、自らの命を落とした最期には、ホロリとさせられました‥‥。

そして戦が終わった後、信が昌平君に何故呂不韋を裏切ったのかを尋ねるシーンでは、
はっきりと昌平君の口から
「私も中華を統べることを夢に描く男の一人だ」
との発言がありました。
さらには信の質問への答えとして、
「現秦王はその夢を預けるに足る器の王だからだ」
ときっぱり。
昌文君もわたしも、感無量です。

そして、敗戦の報を受ける呂不韋

金を見つめながら、自身の敗北を認めるシーンは感慨深かった‥‥。
この後、蔡沢に
「政は自分の息子だ」
と爆弾発言をしてドキッとさせられますが、
23ページでの若き日の呂不韋の表情からも、
ここでこの冗談を発言したことの真意は、
やはり呂不韋の言葉通り
「本当にそうであったならば」
と思うほどに、
政の成長がめざましくまぶしく、
呂不韋をも高揚させたことによるものなのでしょうね。
美姫(太后)への呂不韋なりの想いも含めながら。


太后様と嫪毐の結末ですが、
当然の結果とはいえ嫪毐は最も重い刑で死罪、そして2人の子も(表向き)死刑となりました。

太后が政に子の命を救うよう懇願する場面では、
2人の子だけが自分の全てだと言い土下座までする太后に対して複雑な表情を見せる向ちゃんが、
政から拒絶されるや否や
「てめぇなんか産んだのが間違いだった」
などと暴言を吐く太后に対して
堪えきれずに大反論したシーンがめちゃくちゃ泣けました。

そう、政だって太后の子。

しかしながら太后にとっては"クソみたいな人生"に含まれる存在であり、
そのことがとてもとても切ない。

でも、
今巻ラスト437話。
母(太后)に折檻され殺されかけて発熱を起こした政が、
ふと目覚めると濡れ手ぬぐいのようなものがおでこに乗せてあったという回想シーン。
布団は自分(太后)の分しか敷いてくれていなかったけど、枕は政に敷いてくれていた。
そのわずかながらの太后の母性ともとれる行為、政の記憶に残されていたほどに貴重なものだったのでしょう。

最終ページで、2人の子は政のはからいによって実は逃がされていることが分かり、
泣き疲れて眠っているはずの太后様の手も震えていたことから、
政の想いはきっと伝わっていたことでしょう。
政は強く、優しい。


さてさてキングダム、この先の展開は中華統一編になってくると思いますが、
"国をひとつにする"
ということがどれほどの大改革であり大戦争なのか、
想像するだけでも震えますね!

しかし40巻にもわたる内乱編、
長かったなー。
でも、めちゃくちゃ面白かったなー。

新刊が出ると、他の方の感想が知りたくてAmazonなどのレビューなどを読んだりするのてすが、
この40巻はおおむね大好評(大満足)のようですね。

しかし、
色んな方の感想を読むのは大好きなのでやめられないのですが、
たまに史実に基づくネタバレをレビューに書かれる方がいらっしゃって、
今回も史実では趙高はこの先◯◯‥‥
と書かれたとあるレビューを読んでしまい、
ネタバレを何より恐れるわたしは
ギャー!!となってしまいました。
知りたくない仲間の方はお気をつけください‥‥(涙)

それと余談ですが、今回の記事を立ち上げるにあたり、古iPhone使用のせいかやたらと落ちまくるように。。
そろそろ買い替え時でしょうかね。。。


次巻、楽しみすぎますね。
ではまた41巻で。



【メモ】
⭕成蟜の亡霊、瑠衣の肩に手を置く。笑

⭕39巻で矢に射たれまくった田有、なんとか生きているもよう。よかった!

⭕毐国と楚国はやはり金で繋がっていたことが判明。

⭕魏の前線に戻った一部飛信隊、隆国にブチ切れられる。笑
羌瘣、信を探しているっぽいが信はどこに?

太后の側近宦官・趙高は島流しの刑。

⭕おまけマンガはなし、
原先生のあとがき2ページあり。
キングダム終了は80〜100巻の予定だとか。
(増えとる!)

⭕カバー裏
表側:イラストなし
裏側:蓑虫貂のイラスト「祝 第一部完」の扇子持ち。

【コミックス未収録】読み切り 「李牧」

*ネタバレあり*


キングダム連載前に、ヤンジャン本誌に掲載された読み切り、「李牧」。

舞台は趙国で、李牧とカイネの出会いが描かれた作品です。

この読み切りの評価が高かったおかげで、
キングダムの連載が決定したと言われていますね。

コミックス派のわたしは未読だったのですが、
数年前にこの読み切りが掲載されている販促用の小冊子をTSUTAYAで見かけて以来、
ちゃんと読みたいと思ってずっとずっと探していました。

2010年に発売された総集編にも掲載されていたようですが、
同じくコミックス未収録で総集編に掲載されている蒙武と昌平君の読み切りがかなりネタバレとの噂があるので、
あえて手を出しておりません。

(39巻現在・本編の流れからいうと、こっちの読み切りの方が読むのにいいタイミングな気もしますがね‥‥)

いつかは、コミックス未収録の読み切りなどをまとめて単行本化される日もくるのかな?
とは思いつつ、
この度ついに李牧読み切りのみの小冊子が手に入ったので、
ここに内容をまとめておこうかなと思います。


小冊子には原先生のコメントもあり、

「キングダム本編でもこの二人(李牧とカイネ)のエピソードにはふれていないので、
この読切はネタばれになってしまうのがひっかかりましたが、
しかし過去の読切を載せる場もなかなかないのでよしとしました。
いずれ本編でもこの辺の話は‥‥。」

と書かれています。

本編でもいずれ触れてくれるつもりなのかぁ、と一瞬読むのをためらいましたが、
合従軍を率いる前後ぐらいの時期から
李牧の背景がずっと気になっていたので、
結局読みました。笑

でも、
本編でその辺が描かれるまで待ちたい方は読みとばしてくださいね。
ちなみに、今後のストーリー展開に関わるようなネタバレは無かったのでご安心ください。

それでは、あらすじです。



【あらすじ】
趙国 北方の地、鴈門(がんもん)。

その土地は、そこからさらに北方の山間に存在する"匈奴(きょうど)"と呼ばれる凶暴な騎馬民族たちの度々の襲来により、
絶大な被害を被っていた。

匈奴たちは、時折南下してきては、犯し、奪い、殺し、去ってゆく。
鴈門の地を守るように趙の中央から派遣されてくる将軍たちは、匈奴との激戦に次々と敗れ、これまでに何人もが討ち死にしていた。

ある日、また戦死した将軍にかわり、国都・邯鄲(かんたん)から鴈門に新しい将軍が送られてくる。

李牧というその将軍は、
温和な顔つきの風情も含めて
今までの将軍とはまるで違っていた。

李牧は住民たちに
「不戦逃避」
を言いつけ、匈奴が襲来したら戦わずに砦に逃げろと指揮をとりはじめる。

長きにわたり凶暴な匈奴の被害に遭ってきた住民たちは、戦いを避ける李牧の策に納得しかねつつも、
毎日鴈門一帯の各集落を訪れては砦に避難する訓練を行い続ける李牧の指示に、渋々と従っていた。



しかし、一部の者たちは、李牧の策に納得できぬまま、不満を抱えていた。

特にカイネという女剣士は、両親を匈奴に殺されたという過去を持ち、匈奴を心から憎んでおり、
カイネは、戦わずして逃げる"腰抜け"な訓練をする李牧に対し、何かと食ってかかっていた。


そしてある日。

李牧が鴈門の将軍に任命されてから初めて、
匈奴が村を襲ってくる。

匈奴を迎え撃とうと準備する住民たちに、
李牧は戦わずに砦の守備をせよと指示。

カイネは反抗するが、
李牧は、指示に従わない者は
「斬首」
だときっぱりと言い切る。

住民たちは結局李牧の指示に従い、
家財・家畜とともに砦に逃げていた。
そして匈奴が村に着いた頃には住人はもぬけの殻であり、
匈奴たちは腹いせに村に火をつけて去って行った。

家々を焼かれ、悲しみに暮れる村人たちだったが、
李牧の指示のおかげで死傷者は1人も出ず、
焼かれた家々を再生すべく率先して山仕事をこなす李牧の姿に、住民たちも徐々に心を開いていった。



一ヶ月後。

再び匈奴が攻め入ってくる。

李牧の策によりまたしても集落が抜け殻だったことに腹を立てた匈奴たちは、
砦の下に現れ、侮辱的な発言でカイネたちを挑発。

親を侮辱され、頭に血がのぼったカイネは暴走。
開門しろと怒り狂うが、
李牧に制止され、牢屋へ入れられてしまう。


その夜、牢屋まで来てくれた昔なじみの昭(しょう)に対し、
カイネは匈奴に対する怒りと
戦おうとしない李牧に対する怒りをぶつけていた。

カイネの気持ちを汲む昭は、1人邯鄲へ出向き、
李牧への苦言を伝えるために趙王に謁見するーーー。





李牧のおかげで結果的に匈奴を撃退できているという現状に、住民たちは満足していた。

ある意味においての勝利だ、と喜ぶ住民たちを尻目に、
カイネは敵に屈しているだけだと憤り、

「趙人としての誇りや殺された仲間たちのことを思えば、
敵に背を向けて生き延びたとしても
我らの魂は死ぬのではないのか」

と李牧に訴えかける。


そんなカイネの姿を見て、
カイネの過去を知る李牧は
"ある男の話"として、
自らの過去を話し始める。



《今のカイネと同じ目をしていたその男は、
カイネと同じくらいの歳の頃、
戦争で両親と兄弟を失った。

男は怒り狂い、その念は部隊にいた同年代の者たちにも伝染した。

彼らは部隊長の制止を無視し、無謀にも敵陣に突撃した。

男は我を忘れて矛を振り、
気付けば敵陣を全滅させていた。

しかし、気付けばまわりの仲間たち‥‥
男以外のすべての人間は全滅していた。
男は、従兄弟も隣人の兄弟も、友人たちをもすべてを失った。

その時男の心に去来したものは、
家族の恨みを晴らした達成感ではなく、
今まで味わったことのない
耐え難いほどの失意であった・・・。》



カイネは、李牧が自身の話をしてくれたのだと察する。

そして李牧は、
設備も装備も兵力も不足している鴈門の地には、そもそも"勝利"など無く、
数十万にも膨れ上がった匈奴を討つことは絶対に不可能だ、と話す。

しかし、勝利がないのであれば徹底的に守り、
たとえ臆病者とも卑怯者ともののしられようが匈奴には味方に指一本触れさせはしない、
それが自分の役目だ、
と言い切る。

そしてカイネに、

「生とは自分が思っている以上に重く尊く守られるべきものであり、
そのことを憶えていてほしい」

と伝え、
カイネもその言葉を重く受け止めるのだった。



後日ーーー

昭がカイネの気持ちを慮り、趙王に密告したことがきっかけとなり、
李牧は突然鴈門の地での将軍の任を解かれてしまう。

何も知らなかったカイネは昭を責めるが、
李牧は厳しい取り調べを受けるため
邯鄲へと引き戻されてしまうのだった。



そして、鴈門には新任の将軍が派遣されてくる。


新しい将軍は一転して好戦的人物であり、
匈奴の襲来に対して大挙して討って出るが、
匈奴の前に大敗。
将軍は討ち死に、鴈門は蹂躙されてしまうという最悪の事態に。

かろうじて生き残ったカイネら兵たちは、
家を捨て南下するが、
全滅寸前の状態に陥っていた。

戦死した昭の亡骸の前で泣き崩れるカイネは、
李牧がいた頃を懐かしむ兵たちの言葉を耳にし、
涙が止まらない。

数えきれないほどの仲間たちの骸と墓の前で、絶望感に打ちひしがれるカイネ。

とその時、
暗闇の向こうから人影が現れる。

気配を察し、剣を構えるカイネの前に現れたのは、
李牧だった。


「ただいま カイネ
残念ですけど今日からまた
腰抜け作戦の始まりですよ」



ーーー李牧が戻り、この後 鴈門は奇跡の復活をとげた。
そしてまた匈奴は何一つ奪えない日々が続いたと『史記』には記されているーーー



* * *



本編では、李牧崇拝のカイネですが、
当初はこんなに反発していたんですね。

39ページほどの読み切りだったので、
できるだけ詳しくあらすじを追いましたが、

簡単にまとめると・・・

もともとカイネは趙の北方に生まれ育ち、
両親を殺した"匈奴"に恨みを持ち、
日々復讐を願って剣の腕を磨きながら生きていた。

そこへやってきた新しい将軍・李牧は、
戦いを避けて砦にこもる作戦しか指示せず、
匈奴に復讐したいカイネの怒りの感情はおさまらない。

しかし、李牧にも戦争で両親や兄弟全てを失った過去があった。
李牧が怒りに任せて無理に戦争を進めたばかりに、仲間たち全てを失った。
その時の失意の底のような絶望感を今でも背負っているかのような李牧に対し、
カイネは、李牧は自分と同じようなことになって欲しくないと言いたいのだ、と悟り、
李牧の作戦にも理解をし始める。

しかしながら、カイネの匈奴への怒りを知る昔なじみの男の子・昭くんは、
戦おうとしない腰抜け李牧を追い出そうと
よかれと思って1人趙王に謁見し、密告します。
(一般人が王様に会えるのか??
という素朴な疑問は浮かびましたが。笑)

匈奴と戦い、両親の敵を討ちたいカイネに喜んでもらいたくてとった昭くんの行動でしたが、
カイネはカイネで李牧の過去を知り、
李牧の想いを理解しつつあったので、
李牧を卑怯な手で追い出した昭くんを責めます。

結局李牧は邯鄲へ引き戻され、
鴈門は以前のように匈奴に荒らされるように。

いよいよ鴈門一帯は蹂躙され、昭くんをはじめ、仲間たちもほぼ全滅。

あの時聞いた李牧の話が痛いほど胸に響き、
絶望に涙するカイネの前に、
再び李牧が戻ってきて、
カイネは泣きながら李牧に抱きつき
生き残った兵たちは李牧の帰還を喜ぶ・・・


といったお話。


短いながらも、
李牧の背景はしっかり分かりましたし、
カイネが何故あんなに李牧を慕うのか、
何故女ながらに李牧の側近的な位置にいつもいるのか、
その辺りの疑問もおおむねすっきりしたので
読んで良かったです。


この読み切りで出てくる"匈奴"は、
ご存知本編でも揚端和様のお話の中で登場します。

15巻で、王騎復帰戦・秦 VS 趙の戦いが繰り広げられていた最中、
咸陽の政のもとへ揚端和様が突然訪ねてきます。

端和様ら山の民は、勢力を拡大し、8万の軍を率いて北の騎馬民族匈奴
討ちに攻め入ったところ、
なんと10万以上もの匈奴たちはすでに全滅。

ほかの地域の山民族に比べ、桁違いの武力と軍勢を持っていたはずの匈奴が、
死体の様子から察するに
"武力"ではなく
何者かによる"策"の力によって
一方的にやられたように見えた、
と政に話します。

端和様は、戦場の位置関係から、匈奴を壊滅させたのは"趙軍"だと推測。

秦が趙と戦争中だと知っていた端和様は、
匈奴10万を全滅させるような脅威的な軍を趙が持っているということを、
秦が知っているのかどうかを政に確かめに来ます。
もし知らなかったとしたら、秦にとって非常にヤバイ状況だ、と案じて。

実際、趙の徹底的な情報操作により、そのことを全く知らなかった政。

端和様は、その軍を率いている者の名を匈奴の生き残りから聞き出し、
その名を"李牧"だと伝えてくれます。



匈奴はこのとき壊滅したもよう。
この李牧読み切りの時期から、いったい何年後の設定であるのかは明確に分かりませんが、

カイネたちにしてみれば、悲願の達成だったんですね。

環境が悪く、設備も兵力も無い北の鴈門に、
数十万もの匈奴を全滅させるほどの策を施し、見事にやり遂げた。
とてつもなく大がかりな策だったんでしょうねー。


ちなみに、このあたりは史実通りだそうです。

小冊子にある原先生のコメントより、
この李牧読み切りのラストシーンにあと1ページ追加しようかどうか悩んだそうなのですが、

"李牧が鴈門に戻った後、
北の軍隊を率いて匈奴と大戦し大勝した"
という史実を描くかどうかを迷ったとのことです。

結果的に諸々の事情から追加はしなかったようですが、

その後無事キングダムの連載を勝ち取り、
敵軍として李牧とカイネを登場させることもでき、
この時描かなかった部分を本編で端和様に語らせることができて、、、
「してやったり」だとこちらでもおっしゃってます。笑

改めて、キングダムはすごい漫画だなぁと実感。

人気と実力がなければ、いくら伏線を張ろうが、回収することはできませんからねー。
哀しくもそんな漫画はごまんとありますから。

改めて、キングダムという物語の壮大な背景を思い知らされる読み切りでございました。



それでは、次はたぶん次巻で。



【メモ】
⭕李牧、ムキムキマッチョ体型が判明。
材木運びの作業中、なぜか上半身裸であり、
「ドフ・・」という謎の擬音とともに
傷だらけの李牧裸アップ描写あり。
村人の女が「ゴクリ」と生唾をのんでた。笑

⭕小冊子には、ほかに原先生と中村勘九郎氏との対談が4ページほど掲載。
中村氏の1番好きなキャラは騰らしい。
歌舞伎界にもキングダムファンが多いそうな。

キングダム 39巻 「人の本質」

*ネタバレあり*



呂不韋の策略によって引き起こされた
毐国軍の反乱による咸陽混乱の中、
ついに政の加冠の儀が完了しました。

と同時に、政と呂不韋との最初で最後の直接対決!!

本格的な戦や各々の決着は次巻以降に持ち越されましたが、
39巻のサブタイトルが示す通り、

"人"、"戦"、"国"の本質とは。
"天下"が表す言葉の意味とは。

政と呂不韋の対話の中で、じっくりと語られます。

そして、満を時しての昌平君の行動に注目です。

それでは、あらすじから辿っていきたいと思います。



【あらすじ】
加冠の儀の10日前。
攻略戦における任務のため、魏国に滞在していた飛信隊の貂のもとに届いた昌平君からの伝文には、
文を届けた呂不韋の手先である伝令係にも
内容を読み解かれぬよう、
一見普通の軍略指令にみえる暗号文で
真の内容が記されていた。

貂は、その暗号文で示される内容が、
"加冠の儀を狙った反乱が起こること"
を知らせるものであると読み解く。

呂氏四柱・昌平君が、敵対しているはずの大王一派・飛信隊に対し、政の危機を知らせるというこの行動は、
昌平君が呂不韋と"袂を分かつ"決意をしているということをも意味しており、
貂は全ての形勢が一気に覆る大事態かも知れぬと理解し、
急遽政のもとへ反乱の報せを送っていた。

そして加冠の儀の日。
攻略戦の任のための兵を魏に残し、
1000人の兵で咸陽を目指していた飛信隊は、
咸陽目前の位置にある川・渭水(いすい)の前で、
約1万人もの船団行軍に遭遇する。

なんと、船団の兵たちは、かつて合従軍防衛戦でともに戦った"サイ"の住民たちであった。
政から此度の事情を聞き、呂不韋にばれぬよう反乱鎮圧の準備を進めていたのである。

"サイ"の兵たちが用意してくれた船に乗り、信たちは川を渡るが、
川岸では反乱軍の戎翟公(じゅうてきこう)が待ち構えており、
船上へ一斉に矢を射ちこんでくる。
慣れない船上での戦いに、飛信隊はペースを狂わされるも、
貂はすぐさま陣形をつくり、タイミングを見計らって矢攻撃を仕掛ける。
隙をついて川岸に上陸した信は、戎翟の兵たちを蹴散らし、
味方である反乱軍鎮圧軍・馬仁(ばじん)将軍や尚鹿(しょうかく)将軍と合流し、咸陽へと急ぐ。


その頃、咸陽では、樊於期(はんおき)将軍ら反乱軍が既に到着していた。
呂不韋の手回しにより、何と咸陽の内側から城門が開き、
樊於期軍はいともたやすく咸陽へ突入する。

城内では住民が次々と蹂躙され、
特に戎翟の兵は、100年前の小国時代に秦に取り込まれ"県"にされてしまったという積年の恨みから、
執拗な蹂躙行為を繰り返す。


一方、旧王都・雍では、
加冠の儀が完了していた。
政は正式に第31代 秦国大王となる。

加冠の儀が無事に成し遂げられたことを見届け、
昌文君は即座に反乱軍討伐のため咸陽に向かおうと立ち上がる。

その時、呂氏四柱・昌平君が昌文君を呼び止めた。
そして呂不韋に向かって
「昌文君とともに反乱軍を鎮めるために咸陽へ向かう」
と宣言する。

昌平君の突然の行動に対し、呂不韋陣営は騒然となる。
11年もの間 呂不韋の下で軍総司令を務めてきた昌平君の離反に対し、
同じ四柱の李斯は激昂するが、
呂不韋は一瞬は驚くも動じず、引き止めることもなく昌平君と決別。
昌平君は、介億を引き連れて退室し、
昌文君と合流して咸陽へと向かう。


そして咸陽ではーーー
戎翟兵や樊於期(はんおき)軍らの蹂躙行為を制する昌平君直下の騎馬隊が突如現れ、反乱軍討伐の援護に加わっていた。

しかし、2つめの城門までもが呂不韋の手回しにより開かれ、
樊於期軍は呂不韋から教わった王宮・後宮までの最短ルートをたどり、進んで行く。

そのような状況の中、咸陽に着いたものの、戎翟兵など手練れの敵軍に手こずる信たち。

信は、苦戦する城内の飛信隊とサイの兵士たちに向かって

「敵の狙いは王族を消し去って呂不韋を次の王にすることであり、1番狙われるのは秦王の子供だ」

と叫び、
政の子供を絶対に助けるのだと檄を飛ばす。



一方、加冠の儀を終えた雍ではーーー
呂不韋が政に対し、
"天下"について語り合おうかと誘い、別室へと移っていた。

政は、太后、瑠衣、李斯、蔡沢の4名を同席させ、この者たちには自分たちの言葉を聞かせておくべきだと話す。

呂不韋はまず、
政の大望である"中華統一"について触れ、その願望は狂気の沙汰であると断ずる。
その理由を説明するため、
呂不韋は自身の思い描く"天下"像について語り始めた。

呂不韋は、
「"天下"とは、"貨幣制度"によってもたらされたものだ」
との持論を語る。

人の歴史における最大の"発明"にして"発見"
であるこの制度が生まれてから、
"金"こそが人々の"欲"を増幅させ、
他人との"裕福度"を比較する物差しとなり、
そのことが他人より多くを得たいという強烈な"我欲"をもたらしたのだ、と。

もともと物々交換の範囲で生きていた人々の世は、貨幣制度の普及により
中華という広大で複雑な世界へとまで進化した。
そして、
人々にとっての"天下"が"中華"へと代わり、
人間がその手で支配できるものなのではと
思わせるものへと変化した。

もし、呂不韋自身が国を担うならば、
大商人時代に金を通して誰よりも深く人の世を洞察してきた上で得た稀有な知識と経験により、

"戦争を第一手段とし、国民が血を流す世の中"
ではなく、
"金を操り、国民全員が人生を贅沢に謳歌することができる世の中"
をつくりだし、

「10年あれば秦を中華史上で最も富に満ちた国に成長させることができる」

と断言。

刃ではなく富を交わらせて他国との関係を築き、
列国の資源・産業を循環させる役割を秦(呂不韋)が担うことで中華全体の発展・繁栄の実現をさせ、
暴力ではなく豊かさで全体を包み込むのが自身の考える
"正しい中華の統治"
であると語る呂不韋

敵国全てを暴力で征服し尽くす
"中華統一"
など、勝利する側の身勝手な夢の押し付けであって、悲しみと絶望と怨念を生み出すだけであり、

自国民に多大な犠牲を強いることを
"中華統一"の代償として政が善しとするのであれば、それは狂気の沙汰としか言いようのない考えである、
呂不韋は政を激しく批判する。

呂不韋の言葉を受け、
趙で過ごした幼少期、虐待の日々を送っていた頃の鬱屈した感情が思わずよみがえる政。

そのやり方では戦争はなくならないと
反論する政に対し、
呂不韋

「人の世から戦がなくなることなどない」

と断言する。

己の大義のため、仲間のため、愛する者のため、ただ私利私欲のため、復讐のため‥‥
戦う者たちの戦う理由は、
それぞれが人の持つ正しい感情からの行動であり、
誰もが間違っていないからこそ堂々めぐりとなり、戦争が終わることなどないのだ、
と言い切ってみせる。

政は、呂不韋の言葉により、趙時代に味わった復讐心の闇の中へと思わず引き込まれそうになる。

しかしその時、政の頭の中で、
かつて政を命がけで救ってくれた女商人・紫夏の言葉が聞こえる。

我にかえり、己の考えを整理できた政は、
呂不韋に自らの言葉をもって反論する。

呂不韋の考える為政(いせい)とは、
所詮"文官"の発想の域を出ないものであり、
戦に向き合わぬ呂不韋の為政は今の世の延長上にしかなく、
結局のところ500年続いた戦国時代が再びより大きな戦争期間へと突入するだけだ、と。

「"戦国時代を終わらせること"
こそが、人の世をより良い方向へ進める為政者の役目ではないのか」
と政が語ると、

呂不韋
「戦争は人の本質の表れであり、人の世の営みの一部。
それを否定することは人を否定することであり、現実を受け入れて為政に挑まねば世の中は前進しない」
とさらに反論。

すると政は、
「人の持つ凶暴性も醜悪さも、
それは人の側面であり、
決して人の本質ではない。

人の本質を見誤り、戦争がなくならぬものと思い込み、その中での最善を尽くそうとしているが、
それは前進などではなく、
"人へのあきらめ"だ。

そこに気づかないからこそ、
中華は500年も戦争の時代を続けているのだ」

と答える。

呂不韋は政に対し、
人の本質とは一体何だと思うのかと問うと、

政は、

「人の持つ本質は 光だ」

と真っ直ぐに答えるーーー。



* * *



呂不韋、やはり手ごわい・・・!!
39巻では、決着がつきませんでした。


利口な貂は、昌平君からの暗号文を読み解き、
政へ反乱を知らせます。
昌平君→貂リレーのおかげで、政陣営はサイに協力を仰ぐことができ、
反乱軍鎮圧軍を待機させることができました。

ここでなつかしの尚鹿将軍が登場!
壁の幼なじみです。
しかし信の初陣から8年ほど経過したとはいえ、
えらく老けたような、、、笑

サイの民兵たちもたくましくなっており、
こんな時ではありますが、嬉しい再会が続きます。

しかし!話は逸れますが、
26ページのおまけラフ画の羌瘣セリフを見てかなりガッカリ!
「私も(船に)乗りたかったな‥‥」
って、羌瘣は来てないのかよ!?

読み進めていくと、魏国攻略戦の途中で飛信隊全員が抜ける訳にもいかず、戦力を残して来たと信が説明しておりましたが、
仕方ないとはいえ、たった1000人とは‥‥
ちょっと心配になってきました。

個人的にはすごく残念でしたが、やっぱり原先生は上手いとも思います。
政と信と貂が大きく関わるときは、羌瘣を外す。
ここの3人の特別な絆感は、ずっと一貫して描かれているんですよね。


そしてついに、昌平君が呂不韋陣営を抜けました!

言葉少なな昌平君なので、こうなるまでどこかでヒヤヒヤはしておりましたが、
「世話になった」
の一言で呂不韋のもとを去りました。

合従軍戦の際、国の存続をかけて秦が一丸となったあの時、
昌平君もいろいろと思うところがあったのでしょうね。


29巻で、
蒙武が楚の汗明を討ったという報に対し、派閥対立関係なく昌文君と握手をかわしたこと。

30巻で、
秦の劣勢に対し、もはや防衛を諦め政の首をとり合従軍に差し出そうと目論む呂不韋に対し、
政は、咸陽までの最後の砦である"サイ"へ自らが出向き、民衆の人心に火をともしにいく役を買って出たこと。

31巻で、
政と昌平君の間で行われた会話の内容を探る呂不韋に対し、
「状況をお考え下さい 相国
私は秦軍の総司令でもあります
今ーー それ以外のことは
取るに足らぬ小事です」
と昌平君が答えたこと、
加えてサイに介億ら側近100名を送り込み、
サイ防衛戦に協力したこと。

楚出身の昌平君にとって、秦という国に対する想いがどれ程のものなのかは分かりませんが、
政や呂不韋とはまた違う角度から
この人もまた
"中華"全体を見ていたことは間違いありません。

そうでないと、廉頗戦で勝ち取った"山陽(東郡)"を拠点とした"中華への進出"を密かに目論む必要はない訳ですからね。
(その企みに気づいたのは李牧・春申君だけのようでしたが。)

それも含め、軍総司令として、今秦を滅ぼされる訳にはいかないという意地もあったでしょう。

"国が存続できるか滅亡するかの瀬戸際"
の際に、
呂不韋は、国よりも己を優先した。
どんな状況であっても己の立場や優位性を重んじた。
政は、国のために自分が出来ることを最大限に行った。

この差が決め手となったのでしょうか。

実際、昌平君が呂不韋のもとを去る理由の説明はありませんが、
この差こそが、呂不韋失脚の本質的な部分に繋がっていくのかもしれません。

第420話の呂不韋のセリフで、

🔴呂不韋 : 「"四柱"とは儂を華やかに彩るためのただの"装飾"にすぎぬ

"装飾"は所詮"装飾"
それが一つや二つ身からはがれ落ちようと

この呂不韋という人間の強大さは一切揺らぐものではないぞ

うぬらは全員 誰一人としてまだ呂不韋という男の大きさを測れておらぬ

当然といえば当然か
測れるほどの"物差し"を誰も持ち合わせておらぬからな」


というものがありましたが、
ものすごいセリフだなとゾッとしました。

昌平君が離反することに対する強がりとか、
そういうことから出る言葉では一切無く、
本気で人を信用せず、
人は己を彩る装飾品とまで言い、
ただ己の能力のみを愛している。
(でもこれまでになく本音が出過ぎているあたり、やっぱり大分イラついてはいたのでしょう)

ラストの中華統治論演説にも、その部分がハッキリと表れていました。

政ですら、過去の怨念(ゾンビ亡霊たち)を思い出さされる程に巧みな言葉と耳ざわりのよい表現の数々。

瑠衣らの表情をみても、呂不韋理論に付け入る隙が無く、完全にのみこまれています。

数々の国を見てきた蔡沢ですら、呂不韋の語る為政論に一目置かざるを得ない表情。

政を圧倒するような論破っぷりに、
その場の空気がかたまりまくっています。
やはり、流石は呂不韋としか言いようがありません。

並行して行われている咸陽での反乱軍との戦いシーンが差し込まれますが、
秦の侵略により100年前に国を取り込まれてしまった"戎翟"の怨念による強さも、
呂不韋の理論を裏付けるようで読者にも効果的です。

しかし、呂不韋の理論にのみこまれそうになる政は、紫夏さんの光に救われて自分を取り戻します。

もっともらしい呂不韋の理論に対し、
政は、
「人に対して"あきらめている"限り、
人の本質を見誤っている限り、争いは終わらない。
だから500年も戦争が続いている」

ときっぱり。

ここで、呂不韋の時は質問を交えながらも
渋い表情で目を伏せていた蔡沢が、
目を開けて自分の胸をぎゅっと掴んだシーンが印象的でした。
(まさかここにきて普通に心臓発作とかじゃ、、ないよね?!笑)

8年ほど前には、
「早う大きゅうなりなされィ 大王
この蔡沢は 強き者にのみお仕えいたしまするぞ」
と言っていた蔡沢。
昭王時代の丞相を務めていたほどの人物ですから、
胸の奥深くには忘れかけていた"熱きもの"を秘めているのではないのか?!
大きゅうなった政に対し、何を感じているのかすごく気になる。

そしてここまで何も喋っていない、感情の動きを見せない、太后の意見も気になります。


1巻から39巻までの間続いてきた、政と呂不韋の権力争い。
果たしてどちらが国の実権を握るのか、
結果は分かっているものの、
今巻は進行がスロウでちょっとはがゆくはありましたが、
決して短縮できないシーンですからね。
政がどう締めるのか、40巻に期待です。


最後に、触れそびれていましたが、
信をかばって矢まみれになった田有さんの生死はいかに!?

3ヶ月先が長すぎますね。。。



【メモ】
⭕おまけマンガ「天幕(テント)つづき」
羌瘣ちゃん!!
まさかあなたが自ら・・・!!

⭕カバー裏 表 : 貨幣イラスト
裏 : (おまけマンガからの)「しーっ(秘密ね、的な)」てしてる羌瘣(かわいすぎ)

⭕向ちゃんの愛娘・麗ちゃんはめちゃくちゃかわゆく成長。

呂不韋の手下と思っていた樊於期、さほどの信頼関係はなさそう。まさに金で雇っただけの関係?

呂不韋、よく足がしびれる。笑

⭕原先生、"アメトーーク!キングダム芸人の回"放送に大喜び。

《昌平君について、おさらい》
⭕秦国の右丞相。
⭕元々は楚の人間である。
呂不韋のもとで11年間仕える。
⭕軍師養成学校を自費で運営する。

《これまでに気になっていたこと》
⭕10巻の呂氏四柱登場シーン。
蒙武が中華最強を宣言するところで、
🔴蔡沢 : 「すでにそこに貴様より強い男が一人おるぞィ なァ 昌平君!?」

という蔡沢のセリフと、

⭕13巻 蒙武 VS 趙軍 戦を城跡で観戦中の蒙毅と貂の会話シーン。

🔴蒙毅 : 「今はもう戦略戦術が必須の時代だ
蒙武の戦い方は明らかに時代に逆行している
中華最強という言葉自体も漠然とはしているが
もしそれに当てはまる武将がいるとしたらーー

それは高度な知略を起こし実践できる武将のはずだ
(そう 本来ならそれは先生が‥‥)」

というセリフからの昌平君の表現。

軍総司令+軍師学校の講師というだけに、文官のイメージを抱いていたところ、
何だかこの2人の言い方だと
「知略だけでなく相当武にも長けている」
という感じがして(李牧タイプ)、
昌平君のことはずっと気になってた。

⭕今巻第421話で、昌平君は甲冑着てますから、もしかして昌平君の戦闘シーンが見られるのかな?!と密かに注目してます。


※昌平君については、今までいろんな描写があったので別枠でまとめてみたくもあったのですが、
例の、ネタバレを含むらしいという噂から
"総集編掲載の読み切り"を未読のため、
そこに描かれている昌平君を知らない以上は、自分なりにとはいえまだうかつに人物像をまとめることはできない気はします。またいつか。