キングダム 5巻 「最初の城」
*ネタバレあり*
- 作者: 原泰久
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/05/18
- メディア: コミック
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やっと5巻。
毎巻内容が濃過ぎてなかなか進まない。。。
5巻は、1巻から続いた王弟の反乱編に決着が着くのと、ついに!信の「初陣」が描かれる巻。
そして新キャラが続々登場。
胸躍る巻です。
【あらすじ】
信の渾身の一撃をくらい、戦意喪失したランカイ。
ランカイが倒れた後成蟜を身を呈して守ろうとする者は誰ひとりおらず、
竭丞相をはじめ配下の者達は我先にと逃げ出し、扉の前に押し寄せる。
しかしなぜか扉の先には王騎将軍の副官•騰がいた。
扉に近づく者は将軍の命により斬り捨てるといい、騰は出口を塞ぐ。
状況が飲み込めない信たちだったが、
おかげでぶざまに逃げ回る竭丞相を山民族が仕留め、竭丞相の首をはねることに成功する。
一方、どさくさにまぎれて成蟜は逃亡。
行き着いた先は中央の広場。
そこでは政•楊端和らが竭丞相配下•肆氏の兵と戦っているまさに最中の現場だった。
成蟜に気付いた肆氏は、竭丞相の敗北を悟る。
そしてそこに突然、王騎将軍が現れた。
王騎は、肆氏の右腕•魏興を一刀で両断し、政に問いかける。
貴方は、どのような王を目指しているのか?
という王騎の問いに対し、
政は
「中華の唯一王だ」
と即答。
王騎は、かつて仕えた昭王(政の祖々父)の夢でもあった中華統一を口にする政に興味を覚える。
そして、その目標に見合うだけの力をつけろと言い残し、嬉しそうに立ち去った。
王騎が去り、ついに政と成蟜が対面する。
同時に竭丞相の首を掲げたバジオウ、信らがその場に到着し、
首を見て敗北を悟った肆氏兵達は戦意を喪失。
彼らの中に成蟜を救おうとする者はおらず、
政は成蟜を打破。
政は成蟜の命までは奪わず、反乱軍には投降を促し、
此度の戦の終結を宣言する。
本来であれば、大王への反乱は大罪。
反乱の関係者は九族まで(!)さらし首の刑に処さなければならないところである。
しかし政は、本当の敵である呂丞相への対抗勢力として、元々対立していた竭丞相側の兵力は来るべき刻まで残しておきたいという算段もあり、
投降者全員の命を救った。
その上、反乱そのものを竭氏ら内々の抗争劇だったということにして無かったことにさせ、
此度のクーデターは終幕となった。
◆
今回の反乱で功績をあげた信。
約束通りに昌文君から土地と家をもらい、
信の"最初の城"ができた。
そこに貂もちゃっかり居座り、
2人は共同生活を始める。
次の戦の召集がかかるまで、日々傷の回復と体力の向上に励む信。
三ヶ月間ほど経った頃、
魏国を攻める大きな戦が始まることになり、
いよいよ信が初陣をむかえる日がやってきた。
歩兵の召集場に向かった信だったが、
五人編成の"伍"をつくる段階であぶれてしまい、
余りものとなった五名で伍をつくることになる。
信の最初の"伍"のメンバーは、
頼りない印象の澤(たく)什長、
同郷で同じく初陣の尾(び)兄弟、
無口で無愛想な羌瘣(きょうかい)
となった。
見た目がまだ少年のように見える信と羌瘣を有するこの伍は、数々の伍の中でも最弱の伍だと周りにからかわれるのだった。
千人将となった壁にも再会し、初陣へのテンションが高まる信だったが、
魏国の将•呉慶(ごけい)将軍が先手を打って秦国の城を落としにかかったことにより
魏国を攻めに入るはずの秦国が逆に攻められる立場に変わってしまい、秦兵たちは動揺する。
秦国総大将、大将軍•麃公(ひょうこう)は状況を察し、素早い対応で決戦の地を変更。
城攻めを中止し、平地戦に切りかえることになった。
かくして戦の決戦場は、
「蛇甘(だかん)平原」となり、
信たち歩兵も予定を変更され、決戦場へと急ぐ…‥‥。
* * *
政が、後の「始皇帝」であることが明記され
(119ページより)、
1巻の頭で信らしき男が「李信将軍」と呼ばれていたことからも、
このキングダムという物語はこの二人が己に掲げた目標を果たすまでの過程の物語だと分かるのですが、
その道のりは果てしなく遠く、果てしない壁の向こうにあるのでした。
しかしながら着実に一歩一歩踏み進んでいっている感がたまらない!
わたしは26巻までを一気読みして、その後はコミックス派として現在に至るのですが、
初めからヤンジャン本誌派だった読者の方は
どれだけの時間をかけて信とともにこの将軍への道を歩んでいるのでしょうか。。。
それはそれでうらやましいのですが、
わたしはキングダムを26巻まで一気読みできた時の高揚と幸福感をいまでも忘れられません。
今後怒濤の展開が待ち受けるキングダム、まさにここからが本当の始まりです!
さて王弟反乱編、ラストは政が王らしく締めくくります。
🔴政 : 「成蟜 お前は生まれの良さが人の価値の全てと勘違いしたただのバカガキだ
お前のような愚か者には決して王などつとまらぬ」
🔴成蟜 : 「ク‥‥ククク 半端者が偉そうに
では貴様に王がつとまると言うのか?!
半分庶民の血を引く半端な王族の貴様が民を支配できるのか?!
俺は貴様を認めぬぞ!!より純血なる俺こそがより強力に民を支配し国を強くするのだ!!」
(成蟜、政に斬りかかるも軽く止められる)
🔴政 : 「曲がった教育を受けたな 成蟜
お前が言っていることは机上の戯言
だが俺やお前が思う程民は単純ではない
我らが考えるほどに民は王族のことに関心はない」
(政、信をチラ見)
「たかみでそり返っているだけで民の心を知らぬ
お前にできるのは周りを見下すことだけだ!
世を知らぬ
人を知らぬ
だからお前はいつも唯一人だ!」
(成蟜、まわりを見渡す)
🔴政 : 「お前では王はつとまらぬ」
ビシッ。
と決めました。
政も、今回の反乱で漂や信、山民族たちと出会い、
思うところがいろいろあったのでしょう。
王宮から戻って来た信を見つけた時(75ページ)、
上記の成蟜への説教シーンで信をチラ見した時(86ページ)、
普段は無表情な政の感情が、その目にまっすぐに表れています。
信との友情を超えた同志としての絆感に胸熱。
好きなシーンのひとつです。
一方、反乱で協力してくれた楊端和ら山民族はひとまず山へ帰り、今後は政と楊端和との間で定期的に情報交換をすることに。
山民族たちよ、、、ありがとう!!
そして、いよいよ信の初陣である戦が始まります。
歩兵の召集場で、
●尾平•尾到兄弟(1巻で名前無しで登場済ともいえるが、尾平の顔が変わっている)
●羌瘣
●田有(でんゆう)、中鉄(ちゅうてつ)
●沛浪(はいろう•信らの伍にイチャモンをつけてくる)
などが登場。
いやー、感慨深いですね。
信の初陣は魏国攻めとなるわけですが、
秦国が魏国に攻め込む前に、
魏国の将•呉慶将軍は秦国の城を落としにかかり、
魏国に一歩も侵入させまいと更に攻め込んできます。
この呉慶将軍、一国の王に匹敵する有力者であるといわれる「戦国四君」のうちの一人、信陵君(しんりょうくん)の食客頭だったとか。
迎え討つは秦国総大将•麃公将軍。
常に前線にいるため、壁でも名を知らなかったようですが(それでも大将軍の名前ぐらいは知っとけよ壁、、とひそかに突っ込みつつ)、
なにやら一筋縄では行かなそうな将軍っぽい雰囲気。
信の初陣はどうなるのか?
6巻へつづきます。
【メモ】
⭕貂、女の子と壁にばれる。
⭕貂は元々山民族達と対立し、滅ぼされた梟鳴の一族だった。楊端和は貂を受け入れるつもりだったが、貂は信のもとに残る。
⭕信、尾兄弟に漂の葬式があったことを聞く。
漂の墓参りは将軍になってからだと誓う。
⭕ランカイ、山民族と一緒に山へ。
⭕巻末番外編「黒卑村回想」
「テン番外編2」