キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 9巻 「千年の名」

*ネタバレあり*

キングダム 9 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 9 (ヤングジャンプコミックス)

羌瘣の剣技の秘密、
蚩尤(しゆう)の千年の歴史と壮絶な掟について
語られる9巻。
回想編のおぼこい羌瘣がかわいい。

気づいていた人は多かったと思うけど、
実は女だった羌瘣。
貂のフリもあったし、やっぱりまつ毛で分かるよね。


ラストではいよいよ呂不韋が現れます。



【あらすじ】
元竭氏側(反乱軍)の参謀であったはずの肆(し)氏の配下より、政の緊急警護を任された信と貂。
王宮の政のもとへ向かい、政と半年ぶりの再会を果たす。

政は、寝室にいた向と2人を連れて、"王しか知り得ぬ抜け道"へ脱出を急ぐが、
何と出口への扉が外側から固く閉ざされていた。

昌文君にすら話していなかったというこの秘密の抜け道の存在は、現在の秦国では2人しか知らないという政。

前王•父である荘襄王に直接聞いた政と、
前王•荘襄王に仕え全てを任されていた呂氏。

つまりこの暗殺計画は、呂氏が企てたものであるということが明らかに。

黒幕を知り愕然とする一行だったが、行き止まりの部屋で背後に刺客が現れ、袋のねずみ状態。

追ってきた刺客は、漂を討った暗殺一族•"朱凶"と、"蚩尤"と呼ばれる羌瘣だった。
政を殺しに来たという羌瘣と、信は戦うことになる。

しかし戦場で共に戦っていた羌瘣に、信はことごとく剣筋を見切られ、全く相手にならない。
羌瘣の方も、信に本気で攻撃しているようには見えない。

2人の戦いに業を煮やした朱凶の族長•燕呈(えんてい)が、政の首を狙おうとした瞬間、
背後から別の刺客集団•号馬(ごうま)らが現れた。
号馬らは、手柄は我らにと朱凶の1人を討ち、
政を狙う。

信と羌瘣は一旦休戦し、号馬らと戦うことに。
羌瘣は
「30秒で呼吸を戻す」と言って後ろへ下がる。
羌瘣に言われた通りに時間を稼ぐ信。
"呼吸が戻った"羌瘣は、号馬らを不思議な舞いのような剣技でなで切りに。

常軌を逸した羌瘣の剣技に、その場にいた誰もが凍りつくが、
"呼吸"が尽きた羌瘣は意識を失ってしまう。

その時、昌文君らがかけつけ、政らは無事救出された。
羌瘣を含め、息のある刺客達たちは捕らえられることに。

その晩、意識が戻り王宮を抜け出した羌瘣を、
貂が待ち伏せていた。
羌瘣が女だと気づいていた貂は、蚩尤の剣技を自分に教えてほしいと乞う。

羌瘣は、貂に
「生まれ落ち育った世界が違いすぎて不可能」
と言い放ち、蚩尤の掟と、自らの過去について貂に聞かせる。

千年もの間続いてきた蚩尤の一族は、
剣を「神器」とし、神がかりな力を宿す特異な巫女体質の女の一族。

一族はさまざまな氏族ごとに別れて山々に点在しており、
素質ある者は幼少時から修練を積ませながら育てられるという。
そしてある時期が来ると、各氏族の代表を集めた
"祭(さい)"
と呼ばれる殺し合いを催す、というしきたりがあった。
その殺し合いの中で生き残ったたった1人にのみ、"蚩尤"という名が与えられるという。


羌瘣は、羌族の村で共に育った"象(しょう)"とともに"祭"のメンバーに選ばれたが、
"象姉(しょうねえ)"と呼び姉のように慕う羌象のために、祭で死ぬ覚悟でいた。

祭前日、同じく妹のように羌瘣を想う羌象は、羌瘣を殺したくないため香によって羌瘣を眠らせた。
そして羌瘣が目覚めた頃には祭は終了。


羌瘣が祭が行われた場所にかけつけると、
死体の海の中に、羌象の首が転がっていた。


他の氏族のどこにも羌象に敵う者はいなかったはず、と納得できず泣き叫ぶ羌瘣に、
羌族の里の婆が祭で起きた事を話す。

実力で抜きん出ていた羌象には、掟で禁じられているはずの手組みが裏で行われ、
各氏族に集中して狙われたことで力尽きてしまったのだという。

「掟は絶対」だと教わって育ち、掟を守って祭で死ぬつもりだった羌瘣は、
手組みという掟破りが行われた祭を黙認した
各氏族の長老達を軽蔑し、千年の歴史に呆れ嘆き、そして香ごときに眠らされ、羌象を救えなかった自分に怒り狂う。


姑息な手を使い生き残り、現蚩尤となった"幽連(ゆうれん)"を討ち、羌象の仇を討つまでは死ねないと、
羌瘣は里を捨てて幽連を追う旅に出た。
そして幽連の情報を追ううちに現在に至る。


貂が羌瘣と話をしているその時、
信もまた政から蚩尤についての話を聞き、
羌瘣が女であることを知るのだった。



そして翌日。
王宮内で昌文君の一派が集まり、
此度の暗殺事件についての落としどころを
話し合っていたまさにその時、

何と、今回の暗殺事件の首謀者•呂氏とその一派が政に会いに王宮に到着したという知らせが入る!

呂氏陣営の出方を探っていた矢先の突然の訪問に、政陣営に衝撃が走る。



* * *


さて9巻はキングダム主要キャラのひとり、
羌瘣の過去が明らかになります。


常に冷静沈着•無表情な羌瘣が、
初めて見せる顔。


ここまで謎だらけの羌瘣だったけど、
羌瘣の育った世界と常軌を逸した剣術の秘密、
蚩尤の掟への失望、象姉への想いなど、
バックボーン部分が明らかに。


信と羌瘣のやりとりも興味深いです。

必死になって政を守る信。
その姿に羌瘣は、
戦場で水を得た魚のように暴れまくり将軍を目指すと豪語していた信を知るだけに、
王の生死は信の出世に何の関係もないのになぜそこまでして王を守るのかと聞く。

信は、共に戦った戦友だから、
仲間を守るために敵の矢面に立つ、
だだそれだけのことだろ、と
事も無げに言い、

理解できないと言う羌瘣に対し、
お前も同じだろうと言い返す。

🔴信 : 「大体お前は言ってることとやってることがバラバラだぞ
刺客のくせに戦場行ったり 殺す殺すっつっても
さっきから剣にはイマイチ殺気を感じねェ!」

「戦車攻略したり しんがりやったりよォ
皆がお前に一目置いてんだ
羌瘣がいて助かったってなァ

お前もどう考えても戦場向きだろうが
寝込み襲う刺客なんてしみったれたモン
やってる場合じゃねェぞ 羌瘣」!!

🔴羌瘣 : 「‥‥‥お前如きに‥‥」
「蚩尤の何が分かる」!!

(ガキン!と信に剣をぶつける)

このあたりの羌瘣のイラつきが結構好きです。

以前すっ転んだ尾平を助けたり、
戦を生き延びて喜び合う仲間を見て遠目に微笑んだり、
暗殺前に信に忠告に行ったり、

信の言うように羌瘣も同じく仲間意識は強いはず。

そんな自分に気づいているのかいないのか、
また何も知らずにずけずけと内面に入り込んでくる信に苛立ちながらも戸惑っているのか、

自覚しているかどうかはともかく
言い当てられているが故のイライラ。

そして信は引かず羌瘣も引かずで
2人は打ち合いに。

改めて読み返すと、
政の暗殺を目論む刺客集団のひとりとして
信の前に現れたにしても、
羌瘣に対して剣でマジ狙いの突きの技を繰り出したりして本気で戦っている信に、
今となっては(仕方ないけど)ちょっとだけショックを受けます。笑


そして後半。

意識が戻った羌瘣は愛剣•緑穂を取り戻して王宮を脱出。

そして待ち構えていた貂が、羌瘣に自分にも蚩尤の剣術を教えて欲しいと頼み、
羌瘣が自分のルーツと現蚩尤への復讐の誓いを語るシーン。

ここも個人的には重要シーンだと思います。


🔴貂 : 「羌瘣っ
お前の中で一番くやしいと思っているのは何だ?

不確かな掟に翻弄されていたことか?
卑劣な手で象姉が殺されてしまったことか?
仇が蚩尤となって生きていることか?

それとも

その人が殺されたときにその場にいることができなかったことか‥‥」

(羌瘣、ピクッとする)

🔴貂 : 「蚩尤とか掟とか関係なく一番くやしいのは
その時そこにいられなかったことじゃないのか」

🔴羌瘣 : 「‥‥‥なぜそう思う」

🔴貂 : 「オレもそれが一番怖いから
だから戦場に行きたいんだ‥‥‥」



貂、超けなげ。
こういう考え方を、男性である原先生はよく描けたなあ、と感心します。

貂は男として今は振るまっているけれど、
本当は誰よりも女の子だよなあ。
料理も上手いし。

ザ・男!な漫画であるキングダムに女の要素はあんまり要らないと思って読んでいたけど、
貂は最初っから結構女なんですよね。
あとあと、ちょっとそのへんもクローズアップされてきますしね。

序盤でフェードアウトされる予定だったキャラとはとても思えない。(※公式ガイドブックより。)



そんなこんなで次巻はまた急展開です。
ついに呂不韋陣営あらわる!

続く。


【メモ】
⭕朱凶は昔、蚩尤に仕える一族だった。

⭕緑穂、扉絵と裏表紙で無事緑色に。

⭕羌瘣、スヒンスヒン斬りと、トーン タンタン巫舞披露。

⭕回想シーン•祭が行われた時、
羌瘣13歳、羌象15歳。

⭕おまけマンガ1「女歩兵 羌瘣の夜」
おまけマンガ2「向ちゃん 陽ちゃん」