キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 10巻 「六大将軍」

*ネタバレあり*

キングダム 10 (ヤングジャンプコミックス)

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政の表向きの庇護者にして暗殺未遂事件の黒幕、
丞相•呂不韋(りょふい)がついに登場。

原先生、凄く気合い入れて描いたなと
紙面からムンムンと熱気が伝わってくる、
呂不韋の顔は素晴らしいと思う!

昌平君(しょうへいくん)、蒙武(もうぶ)、蔡沢(さいたく)、李斯(りし)など呂氏陣営のそうそうたるメンバーもここで登場。
あと蒙毅(もうき)も出てきますね。
六大将軍の名前もここで登場します。


そして貂の軍師修業、
信の百将修業がスタート。

次の戦までの骨休め的な巻ではあるけれど、
貂や羌瘣の心境の変化や
信の精神的な成長が丁寧に描かれていて、
なかなか読み応えのある一冊です。

ではあらすじから。


【あらすじ】
戦乱500年のこの時代といえど、
"大王の暗殺"というものは極めて異常な大事件。

その暗殺事件の首謀者でありながら、堂々と政の前に謁見にあらわれた呂不韋は、
黒幕は自分だったと暴露する。

あっさりと認める呂不韋に信らは呆気にとられる。
政は、そのようなことがあるはずがないだろう、
と返すしかなかった。

それを聞き、冗談だと大笑いする呂不韋
まるでこの状況を楽しんでいるかのようにも見えるその姿に、
政陣営らは両陣営間に圧倒的な力の差があることをはっきりと感じずにはいられなかった。

軍事のすべてを司る "昌平君"、
己の中華最強の証明を望む武人• "蒙武"、
昭王の時代に丞相をつとめた "蔡沢"、
法の番人 "李斯"。

"四柱"と呼ばれるこの4人が呂氏陣営の大きな柱となり、強大な力を持っていた。

その4人の中の1人、武力の高みを目指す蒙武は、
政に直接
「"秦の六大将軍"を復活させて欲しい」
と願い出る。

政の三代前•"戦神"昭王の時代。
常に他国に侵攻し数か国と同時に戦っていた昭王は、
臨機応変に効率よく戦うため、
忠誠心にすぐれた配下である6人の将軍に
"戦争の自由"の権限を与え、
独断で戦いを展開することを許すという、
特別な制度をつくった。

その制度が、"六将制度"。

昭王亡き後、他国を脅かしていたこの制度は無くなり、
秦の武威は明らかに失われている現状。
蒙武は再び他国に秦の武力を示すため
六大将軍の制度を復活させ、自分に大将軍の称号を与えろという。

突拍子もない蒙武の提案に、両陣営ともどよめき反対するが、
呂不韋は表向き蒙武をたしなめつつも、
「忙しい大王に負担をかけぬよう、こちらの腹心共の中から六将を選ぶというのはどうか?」
とちゃっかり乗っかる。

言い返すこともできない政陣営をからかうかのように、六将の件に関してはまた次にしようと言い、
さらりと一派は帰って行く。


呂氏陣営が去った後、苛立ちを隠せず物に当たる政。
信も、初めて見る呂不韋の得体の知れぬ底深さに
、脅威を感じざるを得なかった。

しかし2人は改めてお互いの路を確認し合う。

政は、かつて対立していた、元竭氏派の肆氏を新たに陣営に加えることで一派の立て直しと強化をはかり、
信は次の戦に向けてやるべきことがある、と
張り切るのだった。


そしてもう1人、貂もまた新しい道に進もうとしていた。

信と同じ場所で戦いたい、そのためには自分も武力をつけるしかないと考えた貂。

同じ女の身でありながら凄まじい剣術を使う
羌瘣に教えを乞うも、
蚩尤の剣技は生まれつきの特異体質によるものであり不可能だと断られる。

絶望する貂だったが、羌瘣に"軍師"の道を提案され、戦場へ行くたったひとつの道を見つけた貂は、決意を新たにする。

信へも軍師になる決意を告げ、弟子入りするために軍師学校へ出発。

しかし貂が到着した先は、なんと呂氏陣営のど真ん中!
しかも軍師学校の師は、あの呂氏四柱•昌平君だった。

貂は、羌瘣の紹介で知らずに来たとはいえ、
政陣営側の協力者だとバレはしないか怯えるが、

羌瘣が送った推薦文により全てを理解した
昌平君は、
いい駒が手に入った、とあえて貂を迎え入れる。

そして貂の軍師学校での修業が始まることになった。


一方、信は王騎将軍の城を訪ねる。

王騎将軍が、かつての"六大将軍"で
唯一生き残っている将軍であると知り、
天下の大将軍に修業をつけて欲しいと
大胆にも願い出た信。

今の未熟な自分に必要なものは、一人で素振りしたり力仕事したりしても補えるものではないと
気づいたからだと。

そして王騎は、信を
"人口百人の無国籍地帯の集落"に連れて行く。
争いを繰り返す少数部族の集まりになっている
その集落で、信に

"率いること"の難しさと、
"集"の強さを学ばせるために、

集落を平定してみせろと言い放ち、
王騎は立ち去るのだった。



* * *


呂氏陣営、ついにお目見え。

さんざん名前は登場していたから、
どんなキャラに仕上げてくるのかと
ドキドキしていた呂不韋


期待を裏切らない、
信に言わせれば
「何か大きく包み込まれるような感覚」
になるような、巨大な人物という存在感がよく出ていて、
底知れぬ恐ろしさをしっかり感じました。

実は1巻の151ページで、1コマだけ呂不韋の横顔が描かれていたのですが
その時の顔より数十倍凄みを感じる存在感。

そして2巻126,127ページにも後ろ姿と横顔が。
ここで既に大分完成されてはいましたが、
しっかり仕上げてきて魅せてくる原先生にちょっと感動。


そして偶然にも、軍師になると決めた貂が
羌瘣の紹介(※元々は蚩尤として羌瘣を食客にしたいと誘ってきた先。)でまさかの呂氏陣営に!

ここに至るまでの貂のモノローグが興味深い。

🔴貂 : 「反乱を鎮圧し 信と二人であの小さな家での生活が始まると
"平穏"が訪れた

生活に困らない程度の金もある
黒卑村にいたオレにとっては満たされた生活のはずだった

だけど違った‥‥

信はどんどん前に進む
信だけじゃない
政も壁も昌文君も
皆が命がけで前に進んでいる
そしてオレ一人だけが違う方を向いて
違うところに座っている

一人

結局この感じは黒卑村にいたころと同じだ

そして気付いたんだ
あの時オレは平穏を求めていたんじゃなく
孤独から抜け出したかったんだとーーー

あいつらと同じところにいたい」



こういう感覚を取り込んでくるところが、
少年マンガっぽくなくて感心します。


貂の孤独感というか、疎外感。
信(たち)の側で同じ方向を見ながら戦いたい、
何かあった時そこに自分がいないのが怖い、
自分も何か力になれるようにそこにいたい。

そんな貂のけなげな(女)心がよく出てます。




さてさて。
実際は希望者の百人に一人も入れない場所らしい、国内最高峰の軍師育成機関に
羌瘣の推薦状のおかげで入門を認められた貂。

ここで、貂の兄弟子として貂に優しくしてくれるいい奴、蒙毅が登場。

王弟反乱時に大王陣営派にいた貂の存在を認知しており、さらに貂が女の子だとすぐに見抜いたなかなかのキレ者です。

蒙毅に、この軍師育成機関は昌平君の"呂氏四柱"としての公務とは完全に分離していて政治色は一切ないと聞き、とりあえずはホッとする貂でした。

一方、貂から預かった伝言を伝えるために信の家に現れた羌瘣。
2人は話し込み、夜になってしまったので羌瘣は信の家に泊まることに。

羌瘣が女だと知っても実感のなかった信ですが、
ハチマキを取った羌瘣の美少女っぷりに目を疑い、ちょっとドギマギ。笑


104話"夜語り"のシーン、好きですね。

羌瘣が女だと実感して意識し過ぎ、眠れない信(笑)と、ジロジロ見られ過ぎて眠れない羌瘣(笑)は、夜通しお互いのことについて語る。


羌瘣に、
「このままじゃいつか死ぬぞ、お前の戦いぶりは"勇猛"ではなく"無謀"なんだ」
と言われる信。

(これ、縛虎申千人将にも言われてましたね。)

信は、羌瘣と剣を合わせた時に手も足も出なかった事で、自分でもそれを自覚していたという。

今までは調子に乗っていた、このままじゃマズイということも。

それで信なりに考えたのが、かつての"六大将軍"の唯一の現存者•王騎将軍に修業をつけてもらうということ。

羌瘣は羌瘣で、信にこの先どうするのかを聞かれる。

自分には仇打ちしかない、一人で仇のいる魏国を目指すと答える羌瘣。

信は、
「お前はとっくに俺の百人隊の頭数に入ってんだから次の戦までには絶対戻ってこい」と言い、

それを聞いて驚くも、思いにふける羌瘣。

そして
🔴信 : 「お前 あの戦に参戦してよかったろ」

🔴羌瘣 : 「そうだな‥‥」

🔴信 : 「んじゃ ぜってー帰ってこい」

🔴羌瘣 : 「‥‥しつこい」


というやりとり。

象姉を失い、仇打ちのため里を捨てた羌瘣にとって、初めて帰る場所ができた瞬間です。

本当は情に厚くて、仲間想いの子だから、
早く仇打ちを済ませて自分の居場所を見つけて欲しいと願わずにはいられない!

ちなみにこの後、信が朝目覚めた時、羌瘣が帰ったことを知り
「チッ おしいことしたかな」
とつぶやくのですが、
信にこんなオスの部分があったとは!!
と、地味に衝撃!笑

実はこのセリフ、ヤンジャン掲載時は
「意外とお人よし」
だったそうです。(!)
コミックスで修正されたようですが、
なんか、逆にそれを知ると意味深!笑


そんなこんなでそれぞれが気持ちを新たに、
または気持ちを引き締め、
改めて新しいスタートを切りました。

次巻へと続く。


【メモ】
⭕羌瘣、食いしん坊キャラ発動。
貂の料理に衝撃を覚える。

⭕"六大将軍"
●白起(はくき)
●王コツ(おうこつ)
●胡傷(こしょう)
司馬錯(しばさく)
●摎(きょう)
●王騎(おうき)

⭕山界の王•楊端和様、勢力を拡大し続け、
秦西方の山界のほとんどを制圧。
さらに北上し、北の大騎馬民族"匈奴(きょうど)"を攻め込む予定。

⭕おまけマンガ「鳥牙族最強の男」

⭕ランカイ、端和様になつく。(おまけページより)