キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 11巻 「王騎出陣」

*ネタバレあり*

キングダム 11 (ヤングジャンプコミックス)

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前巻で信が王騎から課せられた
"無国籍地帯の村の平定"が達成された頃、
2つの戦が始まります。

1つめの戦は、秦が韓へ攻める"攻"の戦。
2つめの戦は、趙に虚をつかれ攻め入られた"守"の戦。

韓攻めの戦は、弱小国ということもあり難なく秦の侵攻が進みますが、
問題は2つめの戦の相手•趙。

それでなくても因縁のある国であり、
ましてや完全に虚をつかれたタイミングの強襲に
焦る秦国陣営。

そして趙を迎え討つ軍を率いるのは、なんと王騎将軍に。

昭王亡き後、前線から退いていたはずの王騎が
なぜ今回の総大将の任を引き受けたのか。

"長平の戦い"以降、因縁の関係である趙国からの侵攻に、秦国の対応は?

いろんな意味でドキドキする戦が始まります。


たくさんの大物武将も初登場。

秦からは蒙驁(もうごう)将軍、
趙からは万極将軍、そして趙の"三大天"龐煖(ほうけん)!

何だかイヤな予感がザワザワしてくる11巻。

ではあらすじからいきます。


【あらすじ】
始皇3年の2月、20万以上の軍勢が隣国の"韓"へ出陣した。

前年の魏国戦よりも大きい規模の戦となり、
総大将は、大将軍•蒙驁。

現秦国の筆頭将軍である蒙驁。
"白老(はくろう)"という名で列国に名が通っている大将軍ではあるが、
定石通りの手堅い戦い方をする凡庸な将軍なので、
弱小国の韓を攻める今回の戦の将には最適だった。

1ヶ月が過ぎ、順調に韓へ侵攻する秦軍だったが、
秦軍が韓の奥深くまで侵攻した頃、
秦と趙の国境付近にある北東の城•"馬央(ばおう)"が陥落したという急報が入る。

際立った武将が不在である現在の趙国からは、当分動きはないと踏んでいた秦国側は、意表をつかれる。

しかも、趙国といえばあの"長平の戦い"。
秦に対する怨念は計り知れない。
実際、陥落した馬央城下の住人は、
老人•女から赤子に至るまでが皆殺しにされるという惨状となる。

かつて自らも秦人として趙で虐待される日々を送り、身をもって趙人の長平の恨みを体感している政は、
趙の蹂躙行為の拡大を危惧し、
韓へ侵攻中で兵力が不足している中、
緊急徴兵令をかけて10万の軍を召集するよう命じる。

戦える者全てを強制的に徴兵したため、
民間兵は軍編成もないままに進軍。
精鋭揃いと予想される趙軍との兵力差が懸念され、
この差は"将となる者の力量差"で埋めるしかないという状況だった。

大物武将が韓に出払っている中、
呂不韋は唯一咸陽に残っていた蒙武将軍を大将に任命しようとするが、
昌文君がそれを制止する。

この戦は、本土に軍力が手薄である以上は、
"攻守" の "守" が求められる戦い。
蒙武の強さは圧倒的に "攻" に特化しており、
"守" のない蒙武が軍を率いると大敗する恐れがあるからだという。

激昂する蒙武だったが、
昌文君は他に唯一 "攻" と "守" を兼ね備えた武将がいると返す。

その時、突然正殿に王騎将軍が現れた。

何と、軍総司令の昌平君自らが、王騎に秦の総大将を引き受けてもらうために軍議に呼んだのだという。

昌平君が王騎を総大将に推す理由は、まさに昌文君と同じだった。

納得できない蒙武をよそに、
王騎は"任命式"と称して人払いをし、
政と2人だけに。

王騎は政に、
「王位について3年、王をつとめた感想を聞かせて欲しい」
と発言。
王らしいことは何もしていないと答える政に、
王騎は
"昭王から預かっていた政への伝言"
を伝えるのだった。


そして政から正式に10万の軍の総大将に任命された王騎は、蒙武を副将に置き、
陥落した馬央の姉妹都市であり、趙軍に攻め込まれている最中の"馬陽(ばよう)"へと向かうこととなる。

王騎出陣の前日。
昌文君が王騎のもとをたずね、
あれ程秦軍を率いることを拒んでいたのに、なぜ今回は昌平君の召集に応じたのかと問う。

王騎はその質問には答えなかったが、
昌文君は、"馬陽"が"六大将軍"であった王騎と摎(きょう)・そして昌文君の3人が主となり、かつて趙から奪った城だったことに気づく。

そして摎(きょう)が、龐煖(ほうけん)という何者かも分からない男に討たれた地であったことも。

昌文君は、此度の王騎総大将受諾は摎の弔いの地である馬陽を守るためであると理解し、
「そろそろ六将としての自分とは決別したい」
と再出発を望む王騎の出陣に納得するのだった。


一方、無国籍地帯の平定を成し遂げた信は、王騎将軍直属の"特殊百人部隊"の百将として出陣することが決定。

尾平、田有、沛浪ら魏との戦で共に戦った仲間や、
魏から趙に移っていた仇を追うために戻ってきた羌瘣が加わり、おなじみのメンバーが集結。

無国籍地帯の平定を共に達成させた渕さんと、
羌瘣の2人が副将となり、信の百人隊が完成した。


そのころ咸陽では、
王騎の出陣後、趙軍の総大将の名前が判明したという知らせが入る。

その名は何と "龐煖" だった。

陣営の誰もが龐煖の名すら知らぬ中、
昌文君だけがその名を聞き油汗をたらす。

当時、六将である摎が、
"武将でもない得体の知れぬ男に討たれたという事実"は王騎と昌文君によって隠蔽されており、
摎は"病死"したと報告、龐煖という男はそもそも"存在しなかった"ことになっていたのだ。

摎が討たれた後、駆けつけた王騎に殺されたはずの龐煖は生きており、
9年後の現在、趙の新たな "三大天" の1人となっていた。

2人の過去を知る昌文君は、龐煖の名を聞き、今回の戦で王騎が総大将を引き受けた本当の理由を理解したのだった。
この戦は、王騎と龐煖の因縁の戦いなのだ。


数日後、信ら秦軍はついに馬陽へ到着。

先鋒隊である蒙武軍が配置につき、
いよいよ開戦の刻がやってきた。



* * *


王騎将軍の復帰戦がいよいよ始まります。

魏との戦より約半年、
信の百将としての最初の戦い。

たった1年ほど前まではただの下僕だった信が、
百人を束ねる将になり、感慨深いです。

同郷の尾平や尾到ら城戸村出身の仲間たちも
信を誇らしく思っている様子がほほえましいですね。

仇討ちに向かった羌瘣も、結局仇が趙にいるという情報をつかみ、趙戦に参加することになって戻ってきました。

ただ、隊に合流する途中にたまたま出くわし、戦に参加するのかと尋ねてきた壁に対し、

「緑穂(りょくすい)が苛立っている
苛酷な戦いになる」

と発した言葉がかなり意味深です。
‥‥何フラグ‥‥?


11巻は、趙戦に入る前に、秦と趙に関する2つの"因縁"が描かれます。

ひとつめの因縁は、言わずもがな、
"長平の戦い"による秦趙の因縁。
この時点で始皇3年なので、長平の戦いから16,7年後ぐらいでしょうか。

40万人もの投降兵を虐殺した白起将軍の決断には秦兵ですら引いていたので、
趙人の怒りと恨みは容易に想像できます。

今回趙に落とされた"馬央"の周辺に放たれた"蹂躙部隊"の将•万極将軍による虐殺はすさまじく、
まさに長平の怨念を背負い、長平の復讐と言わんばかりの憎しみの連鎖。

万極に陵辱されたであろう裸の女の死体の山の上に全裸で腰かけているという、
下劣に卑劣極まりない初登場シーンでした。


続いてふたつめの因縁は、
王騎将軍と龐煖の、9年越しの因縁。

かつて六大将軍のひとり"摎"を討ったという龐煖。
王騎に斬られ、死んだはずの龐煖は生きており、
趙の三大天になっていた。

昌文君にはまさに青天の霹靂。

しかし王騎は気づいていた。からの、
「六将としての自分と決別しようと思っている」
発言は、並々ならぬ覚悟が感じられますね‥‥。

さて、王騎将軍は1巻からずっと政の動向を見守っていました。

時には攻撃したり、
時には試したり、
またある時には助け舟を出したり。

一見気まぐれにも見えたその行為には、
すべて意味があったんですな。

73〜76ページで、緊急事態の軍議の最中現れた王騎が人払いをし、
政と2人きり向き合うシーン。


🔴政 : 「王騎‥‥俺はお前に"昭王の死を受け入れよ"ーーーと言ったが‥‥
お前が今回秦軍を率いるということは‥‥
もうふっきれたということか?」

🔴王騎 : 「‥‥さァ どうでしょうねェ」

「‥‥‥」「 ‥‥‥」

🔴王騎 : 「大王 昭王は偉大な王でした」

🔴政 : 「(‥‥‥) 十分理解している」

🔴王騎 : 「大王 あなたが一つ不幸なのは
模範とする王の姿を実際に見られていないことです」
「九歳まで趙に人質になり 帰国後即位するまでの四年間
あなたが目にした父王はすでに呂不韋の操り人形でした」
「もしあなたが一目でも昭王のお姿を見ていたならば
この状況もまた少しは変わっていたかも知れません」


このやりとりの後、王騎は

"昭王から政への伝言"

を伝えます。

昭王から政への伝言。
その内容はまだここでは明かされていませんが、

あの時の攻撃も、
あの時の手助けも、

すべてはこのときのためのものだったのです。

政の動向を見守るうち、「悪くない」と半ば認めかけていた政の王としての器に、
王騎は、かつて仕えた昭王とはまた異なる光を見出したのでしょう。

王騎は王騎で、昭王の死(偉大すぎる存在の喪失)に対し、自分なりの落としどころを探していたのかなぁ。

この件についてはまた先で詳しく感想を書きたいと思います。




そして、王騎と六将 "摎" との関係。

"摎" については、素性が一切謎に包まれた存在の将軍だったという。

政は、昌文君の話を聞きながら、疑問が浮かびます。

王騎とは同じ六将の仲間とはいえ、
失った戦友は数多くいる中で
なぜ "摎" の仇を討つために "今回は"
動いたのか?
王騎にとって、 "摎" は何か特別な存在なのか?

このことは、
王騎将軍と龐煖の"因縁"に深く関わりがありそうです。

これらの疑問に対する答えは、
いずれ明らかになることに。。。


次巻、開戦です。



【メモ】
⭕始皇3年 2月 秦軍、韓へ出陣。
⭕始皇3年 3月 王騎、馬陽へ出陣。
⭕趙軍 (12万人)
●総大将 : 龐煖
●軍師 : 趙荘(ちょうそう)
●副将 : 公孫龍(こうそんりゅう)将軍
万極(まんごく)将軍
●将軍 : 李白(りはく)
馮忌(ふうき)
渉孟(しょうもう)

⭕秦軍(10万人)
●総大将 : 王騎将軍
●副将 : 蒙武将軍

⭕信、羌瘣より"武神"の話を聞く。

⭕96,97ページに、信の百人隊の伍長リストあり。
(松左、崇原、去亥、田有、田永、竜川、魯延じィもいる!)

⭕おまけマンガ1「百人将 行軍中」
おまけマンガ2「百将 信の悩み」