キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 27巻 「人間全て」

*ネタバレあり*

キングダム 27 (ヤングジャンプコミックス)

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前巻で騰が大金星をあげ、
まずはひとつの危機を回避した秦軍。

とはいえ、そもそもは 列国 対 1国 の戦い、
まだまだ果てしなく危機的状況継続中。

信の持ち場では万極軍との戦いがメインとなり、
函谷関では韓軍が動き出します。
そして騰の勝利で勢いづく蒙武軍と、
楚軍第2軍が出陣!

各所、緊迫の27巻です。


【あらすじ】
慶舎の策に嵌まり、後ろから攻め込んできた
万極軍に挟みうちをくらった麃公。

麃公軍の中において
直感で危機を察知した信だけは、
飛信隊を引き連れて逆走し
手遅れになる前に後方軍の立て直しをはかって
万極軍と奮戦していた。

しかし、後方軍だけでも1万の数の敵兵がいる戦場では完全なる乱戦状態に陥り、
飛信隊のメンバーは散り散りになってしまう。

「長平の戦い」の遺族・遺児のみで構成された万極軍。
彼らはもはや長平の恨みそのものであり、
怨念にとりつかれた兵たちの執念は、
味方の兵も震撼するほどにすさまじいものだった。
なかなか倒れない万極軍の異常な粘り強さに、
信たちは苦戦を強いられる。

外側から戦局を見守っていた貂は、
長すぎる乱戦でバラバラになった隊を立て直すため、戦場の中に突入。
はぐれていた隊員たちを少しずつ拾いながら
信の元へとかけつける。


そして信は将軍・万極と対峙。


万極もまた、
かつて秦の白起将軍が40万人の趙の投降兵を生き埋めにして虐殺した、
"長平の戦い"の生き残りだった。

怨念に支配された万極は、秦人への恨みから、
これまでに数々の秦人への虐殺・陵辱・蹂躙行為を行ってきた。
秦人に対する恨みを語る万極に対し、
自らも戦争孤児である信は一定の理解を示すも、
ひとつの答えを導き出す。

出口のない戦争の渦を解く唯一の答えが、
政の目指す道、
"中華の統一"
であること。

国境があるから国々が対立し、争いが起こる。
国を一つにすることで、戦乱の世の終結を目指す
政の道が、信の中ではっきりとつながる。

「人間全てが呪われている」
と叫ぶ万極に対し、
信は、誰もが万極のようになり兼ねない戦国の世の中で、
たまたま周りに怨嗟の渦から引き上げてくれる人間がいなかったために
最も怨念に取り憑かれてしまった万極を憐れみ、
もう楽になれ、と万極を斬りつける。

信は、
「俺は絶対に長平のようなことはしないし、
絶対にさせない」
と万極に誓い、
万極を討ち取るのだった。


合従軍との戦いの初日が終わり、
翌日、2日目の攻防が始まる。

2日目、
最大規模である蒙武・騰連合軍と楚軍第2軍の戦場では、
楚軍第2軍の将・カリンの指示により、
第2軍は一切動かさず元・第1軍(臨武君の軍)のみで戦術も無く秦軍に戦いを挑んでくる。

カリンは、
"凡戦を連ねて10日後に函谷関を落とすべし"
という内容の進言を李牧に伝える。
そして2日目は全ての戦場において、
地味に戦力を削り合う戦いだけで終わった。

カリン・李牧の作戦変更により、
各地とも6日目まで凡戦が続き、
7日目に入った頃、突如韓軍の総大将・成恢(せいかい)が動き出す。

毒兵器の研究の第一人者である成恢。
函谷関を護る張唐将軍の持ち場に向かって、
毒矢を打ち込み、
続いて"丹丸"と呼ばれる煙玉を打ち込んだ。
煙に包まれる張唐たちだったが、
その場では何の変化も無いように見えた。
韓軍はその後さっさと退却していき、
張唐は何かを感じながらも、成恢の意図を汲みかねていた。

しかし翌日、8日目の夜。
桓騎を呼び出した張唐の顔には、
血管が浮き上がり目から血が流れていた‥‥。


そして両軍凡戦を重ね続けて15日目。
李牧は、全軍の力を結集して
ついに函谷関を落としにかかる。
合従軍との戦はとうとう山場を迎えた。

最大規模の軍勢である、
楚軍 対 蒙武・騰連合軍の戦場では、
楚軍総大将・汗明がいよいよ出陣。
カリン軍率いる第2軍と合わせて12万もの軍勢が
秦軍を睨む。

対する蒙武・騰連合軍は約7万。
蒙武は響き渡る声で檄を飛ばし、
汗明に対して宣戦布告。
蒙武の号令がかかり、
先鋒は三千人将・壁が率いる左軍!
秦軍による突撃が始まった。




* * *




「長平の戦い」に関しては、
つくづくひどいものだと改めて思います。

変態陵辱野郎・万極に情はかけませんが、
過去の秦の仕打ちは確かに非道い。

秦軍の兵ですら引いていたこの虐殺、
命を下した白起将軍の人間性を疑いますよ。
何かいつも表情が無いし、
ビー玉みたいに冷たそうな目玉。
なんでこんなヤツが六将だったんだ。

そういえば以前、廉頗が
"白起が自害した時は涙した"
と言っていました。
自害の理由は触れられていませんでしたが、
あの廉頗に涙を流させる程の男だったのか、
個人的には甚だ疑問ですわ。

史実は連載終了までたどらないように気をつけているので、
白起についてはこの時点でこれ以上の情報がありませんが、
秦軍の好きな武将ランキングがあったら
わたしは最下位に推しますかね。
本当に非道いことをしたと思います。

万極の幼少時の回想シーン(第285話 33〜40ページ)では、
父や兄とともに生き埋めにされた場面が
生々しく描写されます。
泣きながらむせながら土を被せられていく趙の人々。
手足を縛られ、なす術もなく隣で土に埋まっていく肉親や仲間を目に焼き付けながら、
自らも土に埋まっていく。

胸が痛すぎる。

しかしながら、
貂の言うように、万極は秦の領土に攻め入っては虐殺を繰り返す凶悪な武将。

🔴貂 : 「無力な女子供まで殺してんじゃねェよ
このクソヤロォが

子供に何の罪がある
赤子に何の罪がある
まだ何も分からないでただ一方的に‥‥
命を奪われてっ‥‥

お前は長平の復讐と称して
虐殺目的で戦争をしてる最低の異常者だ」


かつての万極初登場シーンは確かに最低最悪でした。


しかし信は信なりの考えがあって、
ひとつの答えを導き出します。


🔴信 : 「こいつが善だろうと悪だろうと
味方を殺ろうって奴は許さねェ
だけど
こいつに同情の余地がなくはねェ

人の感情はそんな簡単じゃねェよ

別にこいつが特別ってわけじゃねェ
五百年の戦乱の世だ
こんな奴はぜってェいる

一歩間違えりゃ俺らだってそうなってたかも
しんねェし
万極に殺られた村に一人でも生き残りがいりゃ
すでにそうなってるかもしれねェ

キリがねェし
そんなところを考えだしても
俺らはその答えを持っちゃいねェ
誰も持っちゃいねェ
だから五百年も戦争やってんだ」


と答えます。
そして
「出口なき闇で永劫に呪い合って
答えもなく殺し合う、それが真理だ」
と語る万極。
信は、

🔴信 : 「俺もさっきまでそうなんだと思ってたぜ

俺も戦争孤児で万極ほどひねくれちゃいねェが
戦争はあるもんだって思って生きてきた
それがどうこうなんて考えが及ぶもんでもねェって感じて生きてきたんだ

だが いざ万極の醜悪ぶりを目の当たりにして
やっぱり何か答えがねェかって考えた

そしたら笑えるが今ごろになって俺は
気づいたんだ

この出口のねェ戦争の渦を解く答えを
持ってる奴を
実は俺は知ってたんだってなァ

‥‥そうだろ? テン」


元祖三人組の想いがここでつながりますね。

万極のような哀れな人間をこれ以上増やす訳にはいかない。
政の想いを実現させるためにも、
ここで秦が滅ぼされる訳にはいかない。

信が万極を斬り、

🔴信 : 「俺は長平みてェなことは絶対にやらねェし!
絶対 やらせねェ!!」

と万極に宣言するシーンは、
心底、男でした。


激動の初日が終わり、
大将首を挙げながらもテンションだだ下がりの
飛信隊。

そんな信たちのもとに、麃公将軍が直々にねぎらいに現れます。
(しっかし、信&貂キスシーン‥‥
少女マンガの定番ハプニングじゃないんだからさー!もう!要らんわぁ。。。)

🔴麃公 : 「飲めい 小童ァ
今日の勲功者は貴様じゃァ」

と酒を突き出し、

🔴麃公 : 「それとも万極に同情して世を憂い
夜通し泣くか?」

と核心をついてくる麃公さん(意外)。

結局宴となり、
伝説の掛け声
「ハア となーりーの じじーいーの
金ー◯ーはー」
が始まります(笑)!

酒盛りの中で、麃公さんにこの日の戦いぶりを褒められた信。
そして、

🔴麃公 : 「つまらぬ感傷に浸っている場合ではないぞ
今は国が生きるか死ぬかの瀬戸際じゃろ

この大戦で化けてみせろ
童(わっぱ) 信」


信、麃公さんに随分と目をかけられました。


一方、楚軍では、
初日に騰に討たれた臨武君の火葬が行われ、
項翼が号泣しながらキレまくってました。
やっぱり、臨武君は慕われていたみたいですねぇ。

そして臨武君が討たれたため、
楚軍の第2軍の将、
超巨躯女・カリン(漢字変換できず、オルドの仲間みたいになっちゃいました‥‥)が登場。
李牧に進言するほどに、
なかなかのキレ者のようす。
何だかイヤな予感。


函谷関では、
張唐じいさまが韓の毒攻撃をくらい、
命のカウントダウンが始まってしまいます。

ラストで久々に壁のあんちゃん登場!
しっかり三千人将となり、
蒙武軍の先鋒で出陣します。

勢い止まらぬまま、28巻へ続く!


【メモ】
⭕貂、信とハプニングキッスの後、信を意識しまくる。
対する信は全く動じず、
「この色ガキ あのくれェで何意識してんだ」
と頭を小突く(否、どつく)。
この時点では完全に妹扱いですね。

⭕しかし貂、すっかり信の嫁に見える。
包帯をかえてやろうとしたり、
夜食をちゃちゃっと作ってくれと頼まれたり、
ホントに良い嫁になると思われる。
(しかしわたしはそれでもキョーカイちゃん推し)

⭕おまけマンガ「テンのカブト(合従軍戦前のお話)」