キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 31巻 「政、語りかける」

*ネタバレあり*


合従軍編も終盤、最後の砦です。

まさかの政・出陣で最高の盛り上がり。

そして今巻は全体的に絵が綺麗だった気がします。
キャラの表情とか、陰影が丁寧というか。(気のせい?)

政の活躍に胸が詰まって、
途中なぜだか感極まり、
何度も涙した31巻。

新キャラも登場です!


【あらすじ】
大王である政が自ら出陣したことを知り、
ざわめく王宮。

水面下で政の暗殺を企んでいた呂不韋
ことさら苛立ち、
出陣前の政が昌平君と会っていたという話を聞きつけ、昌平君に詰め寄る。
よもや助言などしてはいないかと疑る呂不韋に対し、
昌平君は、
今は秦軍総司令として以外のことは
"取るに足らぬ小事"
だと発言。

呂氏四柱でもある昌平君からのきっぱりとした言葉に、
呂不韋は静かに怒りを滾らせる。

そして政のいない玉座に呂不韋が腰掛けようとしたその時、
王弟・成蟜が現れる。


一方、南道から咸陽へ向かう信たちは、
気力も体力も失い、精根尽きかけながらも
何とか前進を続けていた。

兵たちは、言葉を交わすことすらできないほどの疲労で希望を見出せない精神状態の中、
咸陽までの道のりで最後の城である
"サイ"にたどり着く。

食糧の補給のため、何気なく立ち寄った
"サイ"には、
大王・政が信たちを待っていた。

共に戦いに来たと言う政に、
信は状況が掴めないながらも、
希望の光を見出し涙する。

政の肩を借り、初めて弱音を吐く信。
しかし、政の存在により絶望の淵から蘇り、
すっかり士気を取り戻すのだった。


一息ついた後、政たちは"サイ"の住民の状況を調べ始める。
3万の住民のうち、
2万は女・子ども・老人であり、
兵力は1000人ほどしか残っていなかった。

信たち麃公軍残兵はおよそ2000人、
政が連れて来た兵も2000人弱。
つまり戦力は5000人ほど。

もはや"ある中"で戦うしかない秦軍は、
3万の住民に"戦意"を持たせて兵士と化させ、
3万から4万を率いて向かってくる李牧軍と
戦わせるつもりであった。

住民の士気を鼓舞するため、
政は住民全ての前で声をあげて語りかける。

よく通る声で、力はこもっているが威圧的でなく、
住民一人一人にしっかりと語りかける口調で状況を説明する政。

秦の歴史を途絶えさせぬために、
子や次の世代の子を列国の奴隷にさせぬために、
秦の命運をかけて共に戦う、
と宣言する政の姿に、
サイの住民は沸き立ち、
老若男女全てが立ち上がった。


住民の士気は最高潮であり、
政の檄により信らの士気もよみがえる。
さらに、咸陽から昌平君の側近・介億(かいおく)ら100名の指揮官級軍師兵が到着。
昌平君のはからいであった。

貂の軍師学校での講師をつとめていた介億の存在はこの上なく心強く、
また、軍師学校で共に学んだ兄弟子・蒙毅も共に来ており、感謝で涙する貂。

介億らの存在により、城壁の兵の配置が完成。
装備を整え、李牧軍の到着を待つ。

ほどなくして、ついに李牧軍が到着。

サイの城に向かって、
「降伏すればただの一人も殺させない」
と交渉してくる李牧に対し、
政の檄により高まった住民の士気は下がることなく、
李牧軍を迎え討つ受け入れ態勢が出来上がった。

そしてついに、サイの攻防戦が開戦する。

指揮官の配置は、
正面・南壁には政・貂・蒙毅、
東壁には壁、
北壁には介億、
西壁には昌文君。

正面に配置された飛信隊の活躍と、
東壁に配置された麃公軍の活躍により、
初日の戦いを乗り越えることができた。

しかし、その日の夜。
李牧は秦軍の警戒心を逆手にとり、
夜通しでほぼ形だけの夜襲をかけ続ける。

翌朝日の出が近づき、
夜襲をかけていた李牧軍が、
想定していた数の半分ほどしかいなかったことに気づいた貂。
急いで兵を休ませようとするが、時すでに遅く、
秦軍は体力を消耗しきっていた。

それでも、サイの住民や秦軍は
2日目も善戦する。

昼ごろ、李牧軍が動き出す。
正面の南壁を護る飛信隊のもとに、
三千人将・傅抵(ふてい)の隊、
そしてカイネの隊が出陣。

傅抵はいきなり百人将・竜川や田有を狙い、
飛信隊を掻き回すが、
そこに信が現れ、傅抵と一騎討ち状態の打ち合いに。

傅抵のスピードは異常に速く、
信の剣がかすりもしないほどだった。
傅抵に苦戦しながらも、
信は羌瘣との打ち合い稽古で教えられた
"速さで戦う達人が仕掛ける誘いに乗るな"
という助言を思い出し、
自らがタイミングをずらして誘い込み、
見事傅抵を撃破する。

その頃、竜川・田有が戦線離脱した飛信隊の指揮系統を立て直すため、
貂が中まで入ってきていた。
カイネは貂を攻撃するが、
殺すことができず、捕虜にすると言ってさらう。

しかしすぐさま貂を助けに現れた信により、カイネは押し負けて吹き飛ばされ、
城壁の下へ落下しかけるが、
貂はカイネの手を掴み、カイネは城壁にぶら下がった。

互いが互いを殺せずに、2人は葛藤する。

カイネは貂に対し、
サイはいずれ落ち
そこにいても死ぬだけだからこっちへ来い、
と誘うが、貂は拒否。

カイネと貂は手を離し、
城壁の下へ駆けつけた兵士に受け止められ、
カイネは生き延びる。

そこへ傅抵が現れ、カイネを落とされた怒りで
信へ向かってくるが、
起き上がった竜川に吹き飛ばされ傅抵も落下。
兵士の上に落ち、傅抵も生き延びる。

そして、
2日目に至っても士気が一向に下がらない秦軍に対し、
李牧は小さく眉をひそめていた‥‥。




* * *




サイに着いた時の信の顔、
今まで見たことないぐらいに疲れ果ててました‥‥。
ツリ目の信が、あんな伏し目になったことが
いまだかつてあったでしょうか。
それほどの疲労と絶望だったのでしょうね。

だからこそ、
何気なく立ち寄ったサイの城で
いるはずのない政の姿を目にした時の
信の見開いた目が胸に刺さります。

状況はさっぱり分からないけれど
でもどこか安心して、
訳が分からないまま泣いた。
いつもの信なら考えられない行動。

そしていつも王宮の玉座の上で
信の活躍の報告を受けるたびに、
救われる思いをしてきた政だからこそ、
信を理解し受け止めることができたのでしょう。

何回読んでもこのへんは泣ける‥‥!

そして政の演説も素晴らしかった。

ここのシーン、原先生は相当大変だったんじゃないかなと仕上がりに感動しました。
サイの住民と同時に、
読者の気持ちもアゲていかなければならないという、超重要シーンだもの。
住民(特に老人)の表情も良かったし、
政の言葉を受けて次々と住民が立ち上がっていくところも良かった。

330話、政の演説のシーンで昌文君の表情が
ところどころで抜かれていて
(45,49,58,59ページ)、
演説成功後、群衆の士気を見事に引き上げた
政に対し、
昌文君はその勇姿に感極まって

🔴昌文君 : 「(やはり‥‥私の直感は間違いではなかった
このお方は 戦神 昭王を越える

越えるぞ‥‥!!
王騎よーーー)」

と涙するシーンもシブい。


あと、昌平君の粋なはからいも良かったー。
政と何を話したのか探ってくる呂不韋に向かって、
「状況をお考えください」とピシャリ。
"軍総司令として"、
サイの指揮官不足を見越し、
介億ら100人の指揮官級軍師を送りこんでくれました。

秦国のために最善を尽くそうとしている昌平君。
元は楚国出身、現秦国丞相。
この期に及んでもまだ我が身の野望にこだわり続ける呂不韋
元は趙国出身、現秦国相国。

元々他国出身の両者なれど、
秦に対する愛国心?の差はどこから生まれたものなのか。
はたまた呂不韋に目をつけられてしまった
呂氏四柱・昌平君の合従軍後の扱いは、
どのようなものになるのか。
気が早いけどそのへんもかなり気になったり。


話はサイに戻りますが、
指揮官が足りずにいろいろ背負い込もうとしていた貂にとっては、
めちゃくちゃ嬉しい援軍だったことでしょう、
軍師学校での恩師・介億や
兄弟子・蒙毅が来てくれました。

介億が「蒙毅には気をつけろ」と茶化すシーンを差し込むあたり、
将来的に貂の相手には蒙毅ですかね?!
いい!めちゃ合ってる!
信とはやっぱり家族のような関係でいて欲しい。
あくまでわたしの希望です。

開戦直前に、政と信が語り合うシーンでは、
(第331話 75ページ)

🔴信 : 「四年ぶりだな 一緒に戦うのは」

🔴政 : 「ああ
不思議な縁だな 窮地には よく お前がいる」

🔴貂 : 「オレもな!」

🔴政 : 「ああ お前もだ 貂」

🔴信 : 「カカカカ」

のやりとりの後、貂の嬉しそうな顔がすごくかわいい。

貂、政や信と同じ場所にいたくて軍師になったんだもんね。
こんな死地だけど、貂の望みは叶ってる。

そして互いの胸をゴンッと叩き、
気合いを入れる信と政。
それを笑顔で見守る貂。
それを見守る蒙毅。

蒙毅は、王弟反乱の詳細を結構知っていたから
政・信・貂の関係も知っていたはず。
それでも目の前で3人を見、
大王が信や貂とただの"ダチ"のように接している姿に、
3人の結構深そうな絆を感じてちょっと驚いたのでしょうか。

貂が軍師学校に来るまでは、
父・蒙武が所属する呂氏陣営の敵ともいえる大王陣営に対し、
敵視とまではいかなくとも敵対している存在だったはずですからね。
このあたりの関係も、
今後どう描かれていくのか、すごく楽しみ。


さて、ついにサイ攻防戦が開戦です。

李牧軍からは、新キャラ傅抵が登場。
カイネを"将来の俺の嫁"とし、つきまとっている感じがちょっとかわいくもあります。
さりげに一緒に寝ようとして、カイネに蹴り上げられてましたが。笑

しかしこのおちゃらけた男・傅抵、
三千人将なだけあって、かなりのデキる奴だった。
スピードは羌瘣なみ、飛信隊の竜川や田有をやすやすと斬り倒していく。
(2人、足遅いって言ってたもんね、、、)

一騎討ちになった信も手こずりまくりでしたが、
急に羌瘣との打ち稽古シーンの回想に。
羌瘣の助言を思い出した信は、見事傅抵を攻略!

‥‥ここの回想羌瘣、めちゃかわいかったな。
信も、顔が近くて頬を赤らめてたし。笑


そしてカイネにさらわれかける貂。
すぐに助けに来た信により形勢は逆転し、
カイネを城壁から落としかけるも
貂が助ける。

貂もカイネも、お互いに対して非情になりきれない。
貂的には、"一緒に寝泊まりした奴には死んで欲しくない"
と過去に言っていましたが、
それを甘ちゃんだと諌めていたカイネの方も、
貂に対して何かしらの情がある。
妹的な存在のようにも思えるのか、
または前線で戦う女同士の絆のようなものか、
はたまた貂にもらった食糧の味が忘れられなかったのか‥‥

2人は葛藤しますが、
結局お互い殺せなかった。
この2人の次の再会は、どうなるのでしょう。

そしてラストの傅抵、しっかり笑わせてくれました。

🔴カイネ : 「カイネが落ちるぞォー!!」

兵たち : 「ィ喜んでェー!!」

🔴傅抵 : 「傅抵が落ちるぞォー!!」

兵たち : 「?」


コイツ、なんか憎めない。笑



【メモ】
⭕紀元前241年、サイ攻防戦が開戦。

⭕合従軍は、函谷関にいる秦軍が
咸陽へ戻らぬよう、見張る。
函谷関にいる武将たちは、援軍も出せぬ状態。

⭕おまけマンガ「悪夢」× 2(172ページ、209ページ)