キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 34巻 「別の道」

*ネタバレあり*


羌瘣仇討ち編の続きから始まる34巻。

様々なことがありましたが、
何はともあれ
羌瘣帰還に胸沸き躍る嬉しさです。

そして物語は、
ここから一気に進行速度がサクサク速まり、
政の"加冠の儀"まであと約1年!

しばしなりを潜めていた呂不韋が、
本格的に動き始めます。

では、あらすじから。



【あらすじ】
最深の巫舞を幽連に破られた羌瘣。
呼吸が尽き苦悶する羌瘣は、
巫舞無しでほぼ無尽蔵に呼吸を保つことができる幽連の強さに対し、納得がいかない。

幽連は、5年前の"祭(さい)"について語る。

5年前の"祭"で幽連が他の氏族と手を組み
羌象を討った後、
"祭"の最後まで生き残ったのは、
幽連と、幽連の実の妹だった。
そして幽連は蚩尤の力を得るため、
実の妹を手にかけ、蚩尤となった。

蚩尤一族の巫舞は、
精神を内なる深い部分 へ向け、
人の持つ秘めたる力 を引き出す術である。
意識を"外"から乖離させ、
集中力を研ぎ澄ませるために
特殊な呼吸法と"神堕としの舞"により
意識を陶酔の中に落とし込むことが必要となる。

"意識を外に縛りつける鎖=感情"
を強制的に断ち切ることで、
意識を外部から引き離し 内に向けさせることが
できるのだという原理から、
"祭"では同族の村から2人が選出されるという
ならわしがあったのだ。

実の妹が最後の相手となったことにより、
完全なる"情"の排除を可能にしたという幽連。
羌象を既に失った羌瘣に、
自分と同じ条件を満たすことはもはや不可能であり、自分を超えることは決してできないとほくそ笑む。

そして羌瘣は幽連に激しく殴打され、
意識が飛びかけていた。

失われゆく意識の中で、
敗北を覚悟する羌瘣。

実の妹を手にかけてまで手に入れた幽連の力に対し、
甘い自分とは違いすぎることを痛感。
それに抗う力ももはや持たない羌瘣は、
遠のく意識の中、死を覚悟する。

真っ暗に落ちて行く意識の中‥‥

羌瘣の脳裏に小さな光が見える。

光の先には、
信、尾平、昂、田有ら飛信隊のメンバーがいた。

その光のおかげでひとつの真理に辿り着いた羌瘣は、意識が戻り再び立ち上がる。
そして、
かつて羌象が自分を殺すためにあみだそうとしていたという術を繰り出し、
最後の巫舞を始める。

その術とは、"ハク領"と呼ばれる
"巫舞で落とし込める最深の限度の領域"
をも超える巫舞であり、
かつて羌象はその禁を冒し意識不明の状態に陥ったことがあった。

羌瘣は、薄れゆく意識の中で見た一条の光の存在を頼りに、
深く、ハク領の領域を超えて意識を落とし込み、
ハク領の禁を超えた巫舞でついに幽連を討ち取ったのだった。

5年をかけて、とうとう仇討ちを達成した羌瘣。
事後の処理や報告は羌明に任せることにし、
羌瘣はようやく帰途につく。
羌瘣が飛信隊を離れて、392日が経っていた。



副長・羌瘣が戻り、歓喜に渦巻く飛信隊。
かつての仲間達や、軍師となって加入してきた
貂らは喜びを分かち合う。

飛信隊に戻った後の羌瘣は、武功を挙げまくり
快進撃を続ける。

隊に戻る前に"2つの目標"を立てたと話す羌瘣。
信と同じく「将軍を目指す」と宣言し、
信や貂を驚かせる。

2つ目の目標はと信が聞くと、羌瘣は
「信の子を産む」
と爆弾発言。
子作りの方法について象姉から間違った知識を
教えられ勘違いしていた羌瘣は、
貂から詳しく正しい内容を聞き、
赤面しながら当分の間 信を避けるのだった。

始皇7年、前半は特別大きな戦は起きず、
静かに時は過ぎていく。

そんな折、蒙驁将軍が死去。
蒙恬や信が見守る中、心穏やかにこの世を去る。

ほどなくして咸陽では、向が女児を出産。
咸陽では祝賀ムードに包まれた。

そしてさらに1年が過ぎ、始皇8年。

王弟・成蟜の第一夫人である瑠衣(るい)が
曽祖母の80歳の祝いのため、
10年ぶりに"屯留(とんりゅう)"へ帰郷していた最中のある日、
突然趙軍が秦に向けて出陣を開始する。

合従軍の戦の後、中華全ての国が内乱を収めることに集中している中、
李牧が一時的に宰相の職を離れ、最も国内が揺れ動いているはずの趙が動き出したことに
咸陽では誰もが意表をつかれていた。

そして趙のその軍は、2万ほどの軍で
"屯留"を目指していた。

"屯留"は、古くは趙の領土であったため、
一帯の住民には半分は趙の血が流れている。
このため、仮に"屯留"が趙に奪われれば、
一帯がこぞって趙に寝返る恐れがある、
と危惧する呂不韋

タイミング悪く"屯留"へ駆けつけることのできる将軍が出払っており、
対策に悩む首脳陣に対し、
呂不韋は「"サイ"攻防戦の時のように大王が再び出陣してはどうか」
と無茶な提案をする。

呂不韋に何か企みがあることは明白であり、
昌文君は猛反発するが、
そこに成蟜が現れ、自らが出陣すると宣言。
政たちは驚くが、
成蟜の妻である瑠衣が"屯留"に帰郷しているタイミングであったこと、
瑠衣の夫である成蟜は現地で人気が高く、
士気をあげる人物としては最適であること、
を考慮し、成蟜に出陣を任せることになった。

しかし、成蟜に"屯留"の沈静化を任せて送り出したものの、
政は、今回の趙軍の動きに何か違和感を感じていた。

そして数日後。
"屯留"に到着した成蟜軍は、趙軍を半日で撃退。
趙軍はあっさりと全軍を退却させる。

事がうまく運び過ぎなことに違和感を感じる成蟜だったが、
"屯留"の住民たちは喜びに沸き、成蟜を歓迎する。

そして城主代行を務めているホカクという男が成蟜を出迎えるが、
そこに瑠衣や瑠衣の曽祖母の姿は無かった。
不審に思った成蟜は2人のもとに連れていけと命じる。
しかし、連れていかれた先でホカクは態度を一変させる。

何と、ホカクは成蟜が連れて来た兵の一部や
龍羽将軍と通じていた。
そして裏切り者達とホカクが呼び込んだ衛兵たちは突然反逆を起こす‥‥。


5日後、咸陽に"屯留"の異変の報が届く。
咸陽では、"成蟜が突然反乱を起こした"
と伝えられ、
呂不韋はここぞとばかりに成蟜一派を抑圧しようと動き出す。

一連の動きに疑念を抱く政。
政は、趙もからんだ呂不韋の陰謀ではないかと
訝しみ、
おそらく罠にかかったのであろう成蟜を救出するため、
飛信隊に早馬を送るーーー。



* * *



おかえり、羌瘣‥‥!

5年にわたる羌瘣の仇討ちの旅が、
とうとう終結しました。

今となれば、幽連も"祭"にとらわれた、
哀しい人間だったのかもしれません。

羌瘣もかつては"祭"の掟を信じ、掟に従って生きてきました。
バァから"祭"までの命だと言い聞かされて育ち、
外の世界を夢見る羌象のために命を捨てる覚悟でした。
しかし、羌瘣を殺したくない象姉のとった行動から始まり、"祭"で
"突出した才能を持つ羌瘣の不参加"

"掟破りの手組み"
が黙認された事実を知り、
掟が絶対だと聞かされて生きてきた羌瘣は
怒り狂い、仇討ちのために里を飛び出し、
現在に至るのです。

幽連は、
蚩尤になりたくて、力が欲しくて自らが描いたシナリオのはずなのに、
蚩尤となった後、人格が崩壊し手がつけられぬ状態になってしまったのは
結局、羌瘣が言うようにそれだけ幽連と妹の絆は深かったのだと思います。


羌瘣と象姉の絆も負けずと深過ぎたからこそ、このような結果になってしまった訳なのですが、
瀕死状態の羌瘣の脳裏に、飛信隊の姿が浮かんだところはジーンときましたね‥‥。

象姉を想う羌瘣だからこそ、仲間を想う気持ちも当然強くて、
飛信隊で築いた仲間との絆は深く沈む意識の奥で一条の光となって羌瘣を支えていた。

「私の帰る場所は‥‥ もう他の所にあるんだ‥‥」

‥‥泣けました。


しかし羌瘣、ガスガス殴られてましたねー。
可愛い顔がとんでもないことになってました。
そのせいなのか否かは謎ですが、第361話から第363話までの羌瘣の顔が変貌を遂げすぎて定まってないのがちょっと気になりました。
(なんかボールみたいな顔が多かった。)

でも無事に飛信隊に戻った時は、
いつもの羌瘣でしたね。
喜びに沸き立つ仲間たちに、大分照れてる姿が可愛すぎます。
喜びすぎの尾平に、信が肘で突き飛ばされてるシーンが笑えます(69ページ 5コマ目)。
良かった。
本当に良かった。

さて、ここから本格的に気になり始めたのが
信 × 羌瘣 × 貂 の関係。。。

最高に男くっさいのが魅力のキングダムに恋愛要素は不要だと思っていた私でしたが、
原先生的にはどちらかを信の相手に決めるようなので、
そうと知ってしまったからには話は別です。

羌瘣が帰ってきたら、貂はどうするんだろう‥‥、羌瘣離隊後、蒙毅のかわりに臨時で派遣されたようなもんだったから、
軍師学校に帰るのかなあ‥‥
などといろいろ想像していましたが、
普通に残ってましたね。

そして34巻のハイライト‥‥
羌瘣の

「お前の子を産む」

発言!!

これは衝撃的でした!!!笑

羌明の話からちょっと興味を持ったからだろうけど、象姉に適当なことを教えられて子作りの何たるかを知らぬまま言っちゃうところが可愛すぎ。
挙げ句貂に真実を教わって自分が言ったことの意味を知り、信を避けまくる始末(笑)。
そして満更でもない信(笑)。


しかし、信と羌瘣のいつもの剣の打ち合い稽古(このシーン、好き)の様子を見ながらも、
あえて無関心を装うかのように茶をすする貂、
何やら複雑な心境なのでは。

そもそもは羌瘣のように強くなりたくて、
強くなって信のそばにいたくて、
羌瘣に弟子入りしようとしていた貂。
かわりに軍師への道を紹介してくれたのも羌瘣でした。

晴れて軍師になって飛信隊に入隊した貂ですが、
本当は羌瘣のように、隣で一緒に戦いたかったんだろうな‥‥。
いつだって、貂は健気なのです。
自分がなりたかった立ち位置にいる羌瘣を見つめる貂は、なんだか切ない。

さてこの3人、今後どうなっていくのでしょうか。。。
お手やわらかにお願いしたいものです。。。



さて、羌瘣が戻り、
蒙驁が死去して向ちゃんが出産し、
一気に物語は進行します。

蒙驁じィちゃんと蒙恬のシーンには
ホロリときました‥‥。
(あれ、蒙毅は?)
蒙武の献杯シーンもグッときました。
(回想のちび蒙武、可愛すぎです)


合従軍という中華史上でも稀に見る大戦が挟み込まれたため、
そもそもの始まりであった国家内乱の首謀者・呂不韋の存在が霞んでいましたが(実際、合従軍編での呂不韋は超小物に見えた)、
これからひと波乱ありそうな予感。
僻地に飛ばされた李牧も予言しています。


そして成蟜に、まさかの見せ場が!
しかも嫁、超絶美女!
なんかちょっといいヤツになった成蟜ですが、
呂不韋の罠にかかったっぽい様子。

原先生が言っていた、"史実にある成蟜の反乱"
はこのタイミングだったんですね。
(※公式ガイドブックの回 参照)

もともと趙の商人だった呂不韋は何やら怪しい動きを見せはじめ、李牧不在の趙の王宮大臣を買収しているっぽい感じです。

キモ男・ホカクに目を付けられた瑠衣と、
まんまと嵌められた成蟜はどうなるのか?

次巻へ続きます。





【メモ】
⭕李牧、合従軍敗戦の責任を取らされ、一時宰相の権利を失い僻地の監督業務に就いている。

⭕政と向の子、麗(れい)誕生。
確か向の前に、第一子がどこかの宮女との間に生まれているはずだが、触れられていない。

⭕呂氏陣営のモブ大臣たちの会話で、
「昌平君だ やはりまずは四柱の昌平君を
もう一度陣営の中心に」
「オオ そもそもあの方の後ろにも巨大な‥‥」
(第367話 124ページ)
とある。
昌平君、やはり合従軍戦で呂不韋よりも国を優先したばかりに、
陣営の中心から外されている?
そして昌平君のバックには巨大な誰が?

呂不韋、政が22歳になる"加冠の儀"の式典にて国を乗っ取る計画。

⭕始皇8年(紀元前239年)、春に差し掛かる頃、
成蟜の反乱が起こる。

⭕おまけマンガ「狼牙がゆく 3」

⭕カバー裏は表紙側が羌瘣のハチマキ、
裏表紙側はおまけマンガ「狼牙がゆく 3」の続き。