キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 47巻

*ネタバレあり*


 

前巻では、昌平君の練り上げた奇策により李牧を出し抜き、趙国王都圏方向へとうまく軍を進めることができた秦軍でしたが、

もともと無謀な策が故に今巻では早速壁にぶち当たります。

ここまでずっと謎めいた存在だった
王賁父・王翦の"六将級"並みの軍略に注目と期待が高まる47巻。

表紙を飾る端和様の見どころもたくさん!

信たちは今回完全にワキです。笑

それでは、あらすじから。


【あらすじ】
趙国の要地・鄴(ぎょう)の攻略に向けて、
まずは王都圏の国門的位置付けである"列尾(れつび)"を目指し、着実に行軍を続けていた秦軍。

金安(きんあん)より進路を変えてのち10日目、ついに先頭を行く王翦軍は、李牧ら趙軍よりも先に列尾へと到着する。

王翦は、楊端和の軍勢と飛信隊を指名し、列尾を落とすようにと命じる。
その結果、山の民の猛攻と飛信隊の弓隊の活躍により、秦軍は開戦半日にして列尾を陥落させることに成功。
列尾に入城した秦軍は、まずは城の全容を把握するため、王翦軍が主となってひと息つく間も無く隅々まで城の調査を始める。

楊端和や貂らも独自に城下をまわり、列尾城の特徴を把握しようと努めていた。
2人は、各々が気づいた城への違和感を報告するために王翦本陣を訪ねるが、
なんと王翦本陣は総大将不在の緊急事態に騒然としていた。

王翦は、側近の亜光(あこう)を介して
「全軍 列尾に3日待機」
との伝言を残し、忽然と姿を消していたのであるーーー。



一方、王都圏への帰還を急ぐ李牧ら趙軍のもとには、列尾陥落の急報が届いていた。

急報を受けて動揺するカイネや傅抵(ふてい)らに対し、李牧は、列尾城には自身が施した"策"が秘められていると説明する。

また一方で、予め李牧から列尾城における策の存在を聞かされていた公孫龍将軍は、列尾が秦に落とされたと知るや否や李牧の指示どおり軍を後退させており、あえて近隣にある"陽土(ようど)"へと陣を敷いていた。

李牧は、自ら施した策に王翦は必ず気づくと予測し、
その策に気づいた場合、秦軍は列尾の地から身動きが取れなくなるであろうと考えていた。


 

王翦が列尾から姿を消して2日が経った頃、
李牧の予想通りに列尾から動けず待機中の秦軍上層部らは集い、現状の把握と状況の整理をするために話し合いの場を設けていた。

蒙恬と王賁の見解では、
列尾城は意図的に守りづらい城壁の高さや乱れた動線になっており、秦に奪われた場合も後で奪い返しやすくするために李牧の策によってわざと弱く作られていると確信していた。

趙の王都圏は、
地理的に北は"山脈"と南は"大河"に囲まれている。
王都圏へ侵入するための国門である列尾を抜ければ本命の"鄴"まであと一歩であるものの、山脈と大河に挟まれた出入口となる列尾の城が塞がれれば、秦軍は八方塞がりになる地形となっているのである。

この地形を利用し、秦軍に容易に列尾城を落とさせて逆に内側へ誘い込み、その後で北部の山脈に伏せてある軍を南下させて再び列尾城を奪い返せば、
秦軍は唯一の出口を塞がれ、王都圏からの趙軍の攻撃により包囲殲滅されるーーー
というのが、李牧の描いた策の図式であった。

秦軍としては、本命の"鄴"を攻めるためには
この列尾城を"不落"として補給戦を確保し続けることが絶対条件となる作戦であった。

現状として、昌平君が練り上げたこの戦略は、李牧の防衛策によって根幹から打ち砕かれてしまったということになるのである。

この現状を踏まえた上で、蒙恬は秦軍の選択肢として、
"戦力に不安を抱きながらも列尾防衛のため兵力を残して王都圏へ突入する"
か、
"李牧が戻るリスクを抱えつつも日数をかけて列尾城の弱点を改修し、攻城戦に耐え得る城につくりかえる"
か、
"策が無に帰した今、全軍撤退する"
かしかないと判断。

王賁や貂らは、全軍撤退の選択肢を取らざるを得ないと考えるが、
桓騎は

"列尾を敢えて捨てて、全軍で王都圏へなだれ込み、兵糧が尽きる前に鄴を奪取する"

という選択肢を思いつかない若手達を嘲笑し、
今まさに王翦はその一手が取れるかどうかを確かめるために走っているのだと話すのだった。



その頃、王翦は本命である"鄴"の城の目前まで来ていた。

城を一見し、攻め落とすことが不可能な"完璧な城"だと判断した王翦は、
すぐさま周辺地図を確認し、王都圏全域にある城や小都市の数を調べ出す。

そして列尾へ戻った王翦は、"鄴"奪取のため王都圏への出陣号令をかける。

昌平君より授かった鄴攻略の策はここに潰え、
"李牧と王翦の知略戦"
が新たにここから始まったのである。



王翦は、進軍の第一手として、
楊端和の山の民軍5万を分離し、北東にある陽土に前線を張る公孫龍軍9万の動きを封じるためにぶつけた。

そして本軍15万は鄴へと進軍を速めたその時、
突然王翦は鄴への進路を大きく北へ変更する。

進軍の先には、小都市・吾多(ごた)があった。
王翦は即座に吾多城を落とし、民間人である住民を隣の城まで移動するように自らが直接働きかけた。

"民を傷つけた者は斬首"
との厳命を出し、食糧と城のみ取り上げ、
民間人に対し異例の対応を取った王翦の行動に対し、
その意図が全く汲み取れない信や蒙恬たち。


戸惑う信らの前に
「要領は覚えたか」
王翦が現れ、
秦軍はさらに"次の城"へと向かうーーー。

 


* * * * *

 

本命の地・鄴をめぐって予想がつかない展開になってきました!

あっさりと国門・列尾を落とし、さあここからと思ったところ、
なんとすでに李牧の先読み先回り策が施されていたとは、、、

王都圏の国門にあたる位置にある列尾城は、
万一他国に奪われたとしてもすぐ奪い返せるように意図的に"あえて弱く"作られていたり、

本命の鄴城に至っては、数年も前から李牧の指示により大がかりな改修をしていて、強固すぎる"完璧な城"に作り替えられていたようだし、

秦軍が先へと進もうとしていた矢先、
王翦がその先にある李牧がかけた罠にいち早く気づいて一時進軍ストップ!

出陣前に、昌平君が
「授けた鄴攻めの攻略は戦局の流れによっては捨てていい」
と言って王翦へ鄴攻めの全権をゆだねておりましたが、
まさかこんなに早くその策を捨てる時が来ようとは、、、!


まずは順を追って47巻を振り返っていきたいと思います。


桓騎軍に趙軍の足止め役を任せて列尾へと急ぐ秦軍でしたが、
かつての古巣を遠くから見つめる那貴のまなざしと、そんな那貴に「いくぞ」と声をかける楚水のハートウォーミングなやりとりに、
ちょっとほっこりさせられます。

そして前半の見せ場の主役は、楊端和率いる山の民軍!

蕞(さい)戦の功績や、魏の衍氏(えんし)城攻略等の実績から、山の民の武力は認められていたものの、
平地の言語をほとんど話せる者がいない上、知略が必要な攻城戦にあたり、本当に大丈夫なのかとまわりはドキドキしておりましたが、

端和様の檄により、奮い立つ山民族と
デビュー戦の弓矢兄弟(主に兄)の活躍で、端和様の予告通りに列尾城を半日でゲットしてしまいました。

ところで、公式パラメータのデータで
[指揮力=99、知力=96]の端和様がこんなにも正攻法というか、
「いつも敵を真正面からねじ伏せる」
戦い方をする(バジオウ談)、というのが個人的にはめっちゃ意外でした。

無策に見える端和様に、信ですら
「やっぱ無計画なんじゃねェかよ 楊端和は
きれいな顔にだまされて実は頭悪・・・」
とかつぶやく始末!笑
背後から名前を呼ばれてめちゃくちゃビックリしてたのがかなりウケました。

そんな端和様でしたが、
守城戦で最も重要な敵の"士気"の高さを上回る"檄"で対抗し、謎の言語による5万人の雄叫びにより、"死王"の貫禄で敵国を圧倒!
第1陣には超絶スピード集団・飛馬族を投入。
彼らは敵国が放つ矢を速さでかいくぐり、正門へ到達します。

がしかし、正門は間一髪下ろされてしまったので、数ヶ所から梯子をかけて城壁越えの手筈をととのえたら、
端和様目利きの攻め所箇所にバジオウ&弓隊を投入!

ここでついに公式戦デビューした弓矢兄弟の仁と淡でしたが、
弟の淡は戦争での命のやり取りに気圧されてしまい、兄の仁がひとり奮闘します。

「覚悟は今決めればいい」

とお兄ちゃん、意外と立ち直りが早く、手の震えもそのままに10連射を命中させ、その援護の効果でバジオウが城壁の上へ到着!

端和様から前もって聞いていた情報のとおり城門の開閉装置を探し出した山民族は、
即座に城門を解放し、飛信隊もなだれこみました。

「うちは大体 こんな感じだ」
とサラリと言ってのけても、やっぱり端和様はしっかり計算してる!

そしてここで飛信隊の出番。
信の"王騎の矛"、ついにお披露目です!!

ザックザクと敵の首が飛び、
初陣にテンパる干斗たちにとってなんとも頼もしい隊長の姿でしたが、

羌瘣 に
「あれのどこが使いこなせてる」
と冷静に突っ込まれながら、
信は矛の重さのせいでめちゃめちゃ振り遅れており、ゴスゴスと鎧に敵の刃刺さっとるー!!!

「このクソ矛 重すぎだろ!!」
と信もキレる始末!笑

しかしあんなにザクザク刺されて血もドクドク流してるのに(しかもけっこうな至近距離で)、信、不死身ですな。

そんな感じでもちゃっちゃと列尾を落として
その日のうちに城内になだれ込んだ秦軍でしたが、

万一に備えて李牧が城をわざと攻略しやすくしてあることに気づいた王翦は、
ソッコーで列尾を出て、本命の地・鄴へと向かいました。

昌平君が立てた攻略図は、列尾ありきの鄴攻め。
李牧の防衛策により、列尾より先に進めば李牧が準備した趙の別働隊が列尾を奪い返しに来ることによって秦は出入口を塞がれてしまうことになります。
北は山で、南は河川。西の退路を断たれては20万人の軍が全滅の危機。
李牧はあえて秦軍を内側へ誘い込みやすくするために列尾に仕掛けをしていたということで。

こうなっては、列尾を補給地として鄴攻めを考えていた昌平君の作戦は無に帰すこととなり、
王翦はここからの立て直しができるかどうかを確かめに現地へと来たのでした。

ちなみに敵地のど真ん中にもかかわらず王翦が地図を広げて策を練り出すシーン、
王翦からなんか湯気みたいな知恵熱(?)出とるー!

側近・亜光(あこう)との

🔴王翦 : 「よいか?」

🔴亜光 : 「心ゆくまで」

という阿吽の呼吸会話、個人的にはツボでした。
蒙武&来輝の血管会話(※28巻参照)に匹敵する、濃ゆい師弟関係を感じずにはいられませんでしたよ。

そして結局王翦の出した結論は、退却ではなく進軍!

この決断には、蒙恬や貂たち秦軍メンバーだけでなく、
情報収集しながら見守る列国の首脳陣たちも、
読み間違いの自殺行為だと評しますが、

父・王翦の判断に冷静に従う王賁と、
蒙鷙将軍在りし頃の副将として共に努めていた桓騎だけは、

「俺の知る限り あの野郎は負ける戦は絶対に始めねェ」

王翦の読みに対し信を置いているようすでした。

王賁、列尾城攻めに抜擢された飛信隊を偵察に行ったり、少しは感情的になったりもしてますが、王翦の判断に対して今のところおとなしくしておりますね。色々気になっていることは間違いないでしょうけども。


ところで弓矢兄弟のお兄ちゃん、手元震えながらも意外とメンタル強かったですね!
第510話の貂とのシーン、なんか2人の顔の造形がそっくり過ぎて、並ぶとすごく不思議な絵面でした。笑

か細い(ように見える)お兄ちゃんが放った矢は、あの距離から一矢で敵を即死させることができる強力な戦力となり、
貂が第一武功だと褒める気持ちが分かります。
弟の淡も、体格が良いぶん矢の威力はお兄ちゃんよりすごそうなので、何とか今後頑張ってほしいところですね。

初めて人を撃ったことに対して戸惑いを必死に納めようとする仁でしたが、
貂は

「震えてこその飛信隊だよ
その優しさと弱さはこれから強くなれる証だ」

と諭します。
弱さがあるから、本当の強さを知れるんだ、
と言いながら、

「初陣で何も感じず喜喜として大勢を撃ち殺すような奴なら 飛信隊じゃなく桓騎の軍にでも入ればいい」

と、仁に何も恥じることはないと伝えました。

うんうん、と思いつつ、
隊長・信の初陣(@6巻)を思い起こすと、
ちょっといつもより体が重かったぐらいで
喜喜としてかはともかく、先陣を切って敵の首を飛ばしまくっていましたけどね!笑

改めて6巻を読み返すと、干斗ら新入りたちと、過去の尾平たちの初陣のようすが比較できてちょっと面白かったです。
初陣にして信はすでに別格扱いなので省きますが、
"伍"として戦う大切さがよく分かりますねー。

伍として戦うことを忘れ、ひとり飛び出していった魯平はあっと言うまに首を飛ばされてしまい(信じゃなければこうなります、、)、
助けに入った伍長も斬られてしまって伍がバラされてしまいますが、
崇原の援護で危機一髪!

目の前でさっきまで喋っていた仲間の首が飛ばされ、干斗たちもショックが大きかったでしょうね。。。


貂の言葉で、いろいろと自分なりに振り返ってみたのですが、ふと
"信の弱さ"
って何だろうな、と考えてみました。

貂は、飛信隊はみんな色んな壁にぶつかってそれを乗り越えて成長してきた、
自分も信もそう、
と話していて、それはもちろんそうだと思いました。

思い起こせば、

漂の死から始まり、
尾到の死、
師のような存在だった王騎の死、
乱銅斬りでの反省、
輪虎との死闘で背負ったもの、
長平遺児の万極と戦ったことで考えさせられた戦争の意味と出口について、
合従軍襲来で経験した絶体絶命の状況時の絶望、
桓騎軍と組んだ黒羊丘戦で見せ付けられた戦い方への疑問と反省、、

ざっくり考えても、信は色々な場面で試練を乗り越えてきましたが、
不思議なことに"信の弱さ"って今まで見当たらなかった気がします。

信が"弱い"と感じるシーンがびっくりするぐらい無かったように感じます。

唯一、合従軍編で蕞に到着した時、政の顔を見てホッとするあまり弱音を吐いていたシーンがありましたが、
この時はホントに弱ってただけで"弱さ"ともまたちがうし、、、

結論として、とにかく信はすごい!!
ブレない信念とまっすぐな意志により、自分の背中で仲間たちを率いている、
類まれなるスーパー主人公だと改めて感じた次第であります。

そして脇をかためるサブキャラたちが信にない部分を補っていて、それが飛信隊としての魅力を倍増させていて、、

・・・やはり、原先生は天才すぎるとしみじみ思わされました。

 

話を戻しますが、
さて王翦、鄴を目指さず周辺の小城をめぐってそこの住民に恩を着せ、城を乗っ取りつつ住民を隣の城に移させるという謎の行動を執りはじめました。

どうやらこの行動を他の城でも繰り返すもよう。

李牧が王都圏へと到着しそうな時に、あえて本命地の鄴へ向かわず、廻り道をして謎の指示を与える王翦!!

まだ誰も王翦の指示の意図が汲み取れませんが、
間違いなく城から出した"住民"がもたらす効果が重要になってくる策なのでしょう。
列国の誰もが
「秦に趙は落とせない」
と確信する圧倒的不利な地形条件の中、
王翦はどうやって王都圏を攻略しようとしているのか?

王翦の軍略の中身がめちゃくちゃ気になりつつ、48巻を待ちたいと思います。


‥‥今巻の記事アップが大幅に遅くなってしまったので、次巻発売まであと約2ヶ月ほどになりました。(苦笑。。
きっとあっという間!楽しみですねー!


【メモ】
⭕️田有、千人将になってた。
⭕️松左、百人将。
⭕️崇原、歩兵長
⭕️尾平、"最古参"什長。笑
⭕️オルド、趙攻め失敗。
司馬尚(しばしょう)に敗れる。

⭕️おまけマンガ 「傅抵の秘密とカイネの本気」
⭕️カバー裏 : 表紙側・楊端和の仮面
裏表紙側・傅抵