*ネタバレあり*
- 作者: 原泰久
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/10/19
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
52巻の表紙は端和様&バジオウ。
端和様、表紙のご登場多いですね。
今回は、単行本の帯のコピーが
「橑陽は修羅の刻」
な通り、
橑陽メインで1冊丸1日の戦いです!
あらすじから追っていきたいと思います。
【あらすじ】
馬南慈との一騎討ちの最中、虞寧を突破してきた尭雲に挟み込まれた亜光将軍。
2対1の劣勢となりながらも激しい討ち合いを続けるが、剛将2人に挟まれ容赦なく浴びせられる攻撃を防ぎきれない亜光将軍には限界が近づいていた。
馬南慈に強烈な一撃を喰らい、意識が尽きかけたその時、
間一髪で援護に来た亜花錦が落馬した亜光将軍を受け止め、そのまま脱出を試みる。
その頃、亜光将軍の危機を知らせる急報を受けた王賁は、岳嬰討伐の任を信に託し、
関常隊のみを残して玉鳳隊を引き連れ
亜光救出へと向かう。
尭雲と馬南慈の猛追に遭っていた亜花錦だったが、
王賁の援軍が到着し、何とか死地から脱出。
しかしこれにより、亜光軍は大きく後退することとなった。
一方、主・慶舎の仇である信に対し、激しい憎悪の念を爆発させた岳嬰は、
信の姿目掛けて突撃してくる。
しかし信は、向かって来た岳嬰を一刀両断し、瞬時に討ち取るのであった。
◆
同じ頃、9日目の戦いが始まった橑陽の地では、楊端和の作戦通り[バジオウ軍・フィゴ軍・壁軍]の三手に分かれ、犬戎三兄弟との激しい攻防が繰り広げられていた。
中でも”犬戎一の恐将”の異名を持つブネンを狙う壁軍は最も勢いに乗り、敵軍を押し込んでいたかのように見えたが、
ブネンは自軍の精鋭部隊をあえて隠しており、勢いづいて突破してくる壁軍を待ち構えていた。
壁軍に首尾よく前進させていたのは、疲弊したところで精鋭部隊により刈り取らんとするためのブネンの罠だったのである。
策に嵌められ絶体絶命の危機に陥る壁だったが、
メラ族のカタリ・キタリの援護が入り、何とか持ち堪える。
しかし、敵味方構わずに矢を放ち、自軍の精鋭部隊を巻き込むことをも厭わないブネンの非情な戦い方により、再び窮地に陥ってしまう。
窮地を脱するため、メラ族・カタリはブネンの指揮官・ジリと対峙し、一騎討ちに。
カタリの刃はジリを貫くが、
ブネンの指示により捨て駒となったジリは貫かれた刃ごとカタリを羽交い締めにし、
更にブネンは自軍の兵を左右に送って3人がかりでカタリを拘束する。
動けなくなったカタリは、ジリの体もろともブネンの刃に貫かれ、絶命してしまう。
目の前で兄・カタリを討たれた妹・キタリは激昂し、捨て身で剣を振り回すが、
族長であるカタリを失った他のメラ族たちは
あまりのショックに戦意を喪失してしまっていた。
このままでは全滅すると判断した壁は気絶したキタリを助け、退却の指示を出す。
◆
一方、末弟のトアク軍と戦っていたフィゴ軍は、兵の半数を失いながらも敵将・トアク
を討ち取ることに成功していた。
そして長兄・ゴバ軍を押し込みかけていたバジオウ軍は、
陽が落ちきる前に城へ後退していくゴバ本軍の動きを警戒していた。
ゴバ軍の退路を断つ役割を負っていたシュンメンらは、
この日ゴバとの決着を着けなければ戦いに敗れる危険を孕んでいると懸念し、ゴバ軍の退却を阻止すべく猛追する。
しかし、シュンメンが追いつく前に、ゴバ軍の退路を楊端和がふさいだ。
この日中の決着を急ぐ楊端和は、本陣を動かし、ゴバの前に自ら現れたのだった。
しかしその時、後方の城から犬戎の大軍が現れ、楊端和はゴバ軍と城から現れた軍によって挟まれてしまう。
なんと城から現れたその軍は、犬戎王・ロゾが率いる本軍であった。
この状況に至るまでの全ての筋書きは、舜水樹が読んだものであった。
さらに舜水樹は、自らが率いる趙軍の兵を犬戎の城に隠しており、次々と出陣させる。
これにより、楊端和軍は四方を囲まれる絶望的な状況へと追い込まれてしまう。
楊端和は、状況を把握し、すぐさま全軍脱出の指示を出す。
しかしこの日の”最低限の戦果”であるゴバの首だけはまさに電光石火の早業で討ち取り、
四方の包囲を正面から突破し、退却の道筋を切り開いた。
ほどなくして日没となり、闇に紛れながら敵を巻こうとする楊端和軍だったが、
ロゾ軍・趙軍の連合軍は常にその背中をとらえ続け、着実に山民族の兵を討ち減らしていた。
壮絶な追跡を受け、ついに行き止まりの地に追い込まれた楊端和。
しかしバジオウが突破口をつくり、楊端和は敵を迎え撃つ作戦に出る。
そしてここからは各族ごとに別れて追撃を切り抜け、日の出まで何としても逃げ切るようにと全ての族長へ伝令を送らせる。
各族がバラバラに脱出を遂げた暁には、必ず日の出後に
”結集の地”へ集うことを命じ、
再び楊端和軍は闇の中へと脱出を図るのであった。
兵力を分散し、各自で結集の地を目指す楊端和軍だったが、
犬戎軍の執拗な追撃を巻くことができず、
楊端和はついにバジオウと2人、窮地に追い込まれてしまう。
◆
バジオウが楊端和を護りながら死闘を繰り広げている頃、
おのおので危機から脱出していた各族長らは、楊端和の示した”結集の地”へと向かっていた。
楊端和が示した”再結集の地”はなんと
”犬戎の城”であった。
9日目の開戦前、楊端和は猿手族の族長・エンポじィへある任務を命じていた。
楊端和は、自らが囮の役割を果たすことにより犬戎の城から大軍を引き出せると予測していたのである。
楊端和の読み通り舜水樹は城に隠していた自軍の兵を出陣させており、
城内が手薄になったまさに今、城の中へと侵入するべく
猿手族は一斉に壁を乗り越え始めるーーー。
* * *
端和様、大ピンチ!
そしてバジオウの騎士っぷりがすごかった!
何と言っても見どころはラストです。
端和様、ピンチに次ぐピンチの果てに、
舜水樹に全部読まれててまんまと罠に嵌められたー!とガッカリしていたら、
なんと端和様はその先まで読んでいたとは!!
前巻で、エンポじィに何か頼みごとをしているシーンがありましたが、
まさか自分がエサになることを見越していて、
手薄になった城に侵入する作戦だったとは‥‥
まじ天才すぎでしょ!
結果的に橑陽では、この日の目標としていた3将の首のうち、壁軍担当のブネン以外の首は獲れちゃいました。
壁は見開き使って活躍してたはずだったのに、
まんまとフツーに罠にかけられていたとは。。
そして残念ながら、キタリの兄ちゃんのカタリがやられてしまいました。
目の前で兄ちゃんを殺されてしまった怒りと絶望で一時は捨てばちになっていたキタリでしたが、
壁の励ましにより新しい族長となることを決意。なんとか立ち直ってくれたようでよかった。
このブネンとかいう奴、3兄弟のうちで最も残虐という前評判通り非情なヤツすぎて、
キタリを殺すために自分の命を犠牲にした敵のジリも気の毒っちゃあ気の毒に思えます。
何でも、圧倒的恐怖心で従わせるブネン軍は兵達の家族を人質にとっていて、
手柄をあげれば報奨がもらえるけども
ブネンの命令に逆らえば一族皆殺しにされるのだとか‥‥
恐怖で支配する絶対服従の軍のようです。
ジリがカタリを仕留めに行こうとした時にブネンと交わしていた、
「分かっているな(※万一トチったらオメーの命捨ててでも道づれにしろよな的な)」
「‥‥ハ!」
のやりとりの中で、こんな一瞬の会話で自分の命を捨てる覚悟をしなければならなかったジリにも、
人質にされている家族がいたのかもな‥‥
と思うと、ちょっと同情の気持ちも。
壁はキタリを連れてひたすら退却したので、
結局ブネンの首はとれずに日没に。
ブネンは壁たちを追ってこず、端和様を狙ってロゾ本軍・趙軍の連合軍に加わりに行ったとかで、ひとまず壁たちは命拾いってとこです。
ラストの逃亡劇はバジオウがひたすらすごかったですね。
足を負傷してしまった端和様をかついで、
めちゃくちゃ深い谷底を飛び越えちゃいました!バジオウのジャンプ力どんだけ!?
逃げ切ったかと思ったら、容赦なく鼻利きの犬戎たちに追跡され、バジオウはさらわれかける端和様を取り戻すべく何度も立ち上がって‥‥健気すぎる!
次巻では必ずや端和様を取り戻せると信じてます!
‥‥ひたすら追い詰められまくってあっという間に一冊が終わってしまった‥‥
ちょっとヒヤヒヤはしながらも、端和様がこんなところで死ぬわけがない(と思い込んでしまっている)ので、
あまりハラハラドキドキはせずでした‥‥
今巻は、一冊のうちほとんどが橑陽で終わってしまったので、
やっぱり朱海平原の信たちが気になるわたしとしてはちょっとだけ物足りなかったような気がします。
最後に感想の順番が逆になってしまいましたが、
信が岳嬰を瞬殺したシーンは良かったですね!
斬られた岳嬰の表情が秀逸でした。
このシーンを見た時ふと、14巻で豚の渉孟が王騎に胴体ごと斬り飛ばされたシーンを思い出しました。
いつもならルアア!!って叫んだりしてる信が、今回は目を閉じて王騎の姿を浮かべ、
“大将軍の間合い”
で岳嬰を一刀撃破!
54ページの信、めっちゃいい顔してました。
信に近づけないほど敵に畏れを抱かせる渾身の一刀、
信の成長がすごく嬉しい。
さて、巨軀・亜光将軍を背負って逃げた力持ちすぎる亜花錦のおかげでピンチを脱した亜光軍と王賁たちでしたが、
ボスの生死やいかに?!
そして信が発した、王騎を彷彿とさせる
“武将の気配”に反応したアイツ‥‥
わたしの大嫌いな龐煖が目覚めてしまいましたが、
いつ姿を現すのか?
53巻へ続きます!
【メモ】
⭕️舜水樹が連れてきた公孫龍将軍、バジオウに右手を斬られる。
⭕️エンポじィの猿手(えんしゅ)族、
“壁を走る者”の異名を持つ。
⭕️カバー裏:表紙側 王騎の矛
裏表紙側 なし