キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 32巻 「開く城門」

*ネタバレあり*



まずこの巻を開いた瞬間に
目に飛び込むカラー昌文君に、
いきなりの不吉な予感!

いよいよサイ攻防戦最終日です。

2巻連続刊行して欲しかったぐらいに
盛り上がりをみせた32巻。


では、あらすじから追っていきます。


【あらすじ】
サイ攻防戦、2日目の夜。
初日の徹夜防衛戦の影響により、兵たちは重い疲労に悩まされていた。
李牧軍は、絶えず秦軍を休ませぬよう
再び夜襲をかけるそぶりをし、
秦兵たちの気力・体力を奪っていた。

その夜、眠れぬ民兵たちの前に、
突然大王・政が現れる。

どうせ皆が眠れぬのならば、
ねぎらいの言葉をかけようと城内を回る政の姿に、民兵たちは涙する。

続いて麃公兵のもとを訪れる政。
麃公後追いの捨て身の考えを捨て、
後世に英雄・麃公の生き様を伝えるためにも
必ず生きてサイを守りぬけ、
と鼓舞する。

政の巡回の効果で、疲れた兵たちの士気
再び高まるのだった。


同じ夜、信は昌文君にこの戦の展望について
尋ねる。
昌文君は、根拠のない数字ではあるが、
"8日"をしのげは活路が見える算段だと答える。

気が遠くなるほどの日数に、もはや"奇跡"を信じるしかない2人だった。

そして3日目。
政の連夜のねぎらいにより、
民兵たちは疲労の限界を超えて戦意を覚醒させ、
再び李牧軍を押し返しはじめる。
3日目、4日目ともにサイは陥落することなく
防衛を維持。

尋常ならざる士気の高さを保つ秦軍に対し、
李牧は、兵たちの士気を高める人物が何者であるのかを予想しながらも、訝しんでいた。

そして5日目。
"本当の限界"を超えて民兵たちは次々に倒れ出しはじめる。
精根尽き果てる寸前の兵たちの前に、
なんと政自らが前線に現れ、檄を飛ばす。
政は、自分にできる最後の手段として、
限界を超えた民兵たちを再び立ち上がらせるために危険を承知の上で現れたのだった。

少年兵が狙われている場面に遭遇した政は、
自ら剣をふるい、少年兵を救う。
まわりにいた民兵たちは、政の戦いぶりを見て
士気がよみがえり、限界を超えて立ち上がりはじめる。

その時、政の登場で民兵たちがあからさまに息を吹き返したのを見て、
李牧軍の隊長・曹(そう)は政を狙う。

政は自ら曹を迎え討ち、右腕を斬り落とすが、
残った左腕で体を挟み込まれ、
曹の部下・番陸に斬られてしまう。

まわりにいた秦兵たちが、政を大王と呼び叫ぶのを聞き、全てを察した曹は、
番陸に政の首を落とすように叫ぶ。

その時、信がかけつけ、
李牧軍を蹴散らし間一髪で政は助かる。
政は何とか気力で意識を保っていたが、
出血がひどく大怪我を負っていた。

この出来事により、
李牧軍本陣に秦国大王がいるという情報が広がり、ついに李牧の耳に入る。
李牧は、秦王・政を捕らえることができれば
呂不韋と交渉し無血で咸陽を落とせる、
という現状を好都合ととらえ、
全軍全兵でサイを落としにかかる。


しかし、5日目もサイは何とか落ちずに粘った。

たが、政が負傷したことによる秦軍の士気の低下は明らかであり、
6日目にはサイは陥落するだろうと予測した
昌文君は、
政だけは絶対に生かすよう、サイから脱出させるべきだと懇願。
信から政にその旨を伝えるように任せる。

政と2人、話す信。
政にはサイを脱する考えは毛頭無く、
信も政が脱出を拒むことは分かり切っていた。

昌文君は説得を失敗した信に憤慨するが、
信は昌文君を制し、
とことん政に付き合おう、と納得させる。

そして6日目。

猛攻撃を仕掛けてくる李牧軍。
それに対し、戦意を喪った秦軍。
疲労も重なり、満身創痍の秦兵たちの前に、
なんと重症のはずの政が騎馬しながら現れた。

政は、血の気の引いた顔色を隠すために
女物の化粧をし、意識を保つのがやっとの状態ながらも、
兵たちの士気を上げるために平静を装っていた。

これにより、秦兵たちは再び奮起する。
信は檄を飛ばし、飛信隊は大爆発。
竜川・田有も手負いながら復活し、
全てを出し尽くすかのように戦う。

そして、絶妙なタイミングで各壁に援軍を送り、
戦力のバランスを保つ北壁担当の介億の存在が、
転覆寸前のサイを保っていた。


そして7日目。
ついに均衡が崩れる。

昌文君の護る西壁が陥落。
階段を奪われた秦軍は、李牧軍の突入を許してしまう。
あっという間に城内に侵入され、
残り3方の城門も内側から開けられてしまう。
城内に李牧軍が満ちていくのを
絶望した面持ちで眺めるしかない秦軍。

兵たちが嘆き、全ての希望が断たれたかのように思えたその時、
西の山壁に楊端和率いる山民族の群れが現れた。

李牧軍とほぼ同数にみえる山民族の大軍は、
瞬く間にサイに向かって駆け下り、
李牧軍を蹴散らしはじめる。

あまりの状況の急展開に、
李牧を含め、秦軍でさえも大混乱。

山の民の援軍は、実は政が咸陽を出陣する前に
伝者を通じ頼んでいたのだが、
運悪く山の民は山界の北方奥深くに大遠征しており、楊端和らは不在であった。

一応の言伝(ことづて)は頼んでいたものの、
山界での大戦中に山民族が咸陽まで引き返すことはほぼ不可能と見込まれたため、
実際は援軍の確証が持てない状況だった。
昌文君の出した"8日"という算段は、
限りなく望みが薄い中での、
山民族が遠征地からサイまでの行軍にかかる
日数だった。
そして楊端和たち山民族は、予想を上回る
7日でサイに到着したのである。

山の民に援軍を依頼したことは、政と昌文君しか知らなかった。
情報を一切封鎖していたため、
李牧にとっては完全に虚をつかれた形となったのだ。

楊端和やバジオウをはじめ、山の民の圧倒的な武力により、
李牧はついに軍を退却させるかどうかの
瀬戸際に立つ。
それは、此度の合従軍の敗戦を意味することだけに、李牧は決断をしかねていた。

李牧が決断を下そうとしたその時、
三大天・龐煖が姿を現した。

楊端和は、矛を振り回し次々と山民族を殺しながら近づいてくる龐煖の存在に気づく。
龐煖に向かって行く楊端和の前に、
なんと信が立ちはだかる。

天下の大将軍になるために、
龐煖を超えなければならないと考える信は、
楊端和にの龐煖との戦いを譲ってくれと
申し出る。

信はついに龐煖と対峙。
信は龐煖に一撃をくらい、アバラを折られるほどに激しく吹き飛ばされる。

しかし信は立ち上がり、
再び龐煖と一騎討ちにーーー!




* * *




政、ついに前線にまで現れました。

毎回貂が下りてくるだけでも、すぐ殺られちゃうんじゃないかとヒヤヒヤするのに、
まさかの大王が混戦の中に混じってくるなんて!
(そう考えたら、戦神と呼ばれた昭王って
半端無くとんでもないな‥‥。)

そのおかげで民兵たちの士気はよみがえりますが、
その分跳ね返ったリスクも大きく、政は負傷し、李牧に存在を知られてしまいます。

政があわや首を斬り落とされるかの寸前で
現れた信、
超絶カッコ良かったですねー。
兵士たちの
「やっ やめろォ」
からの見開き登場シーンは、
原先生の真骨頂!

相変わらずモブ兵一人一人の表情が
素晴らしすぎて臨場感ありまくり。
本気で手に汗握ります。

政が倒れ、かつて親友・漂が目の前で死んだ時の場面がフラッシュバックする信。
ここも良かった。
もはや身分は違えど、政は家族みたいなもの。
家族を再び失う恐怖に、
信は一瞬血の気が引いただろうな。

その日の晩の、脱出説得シーンも良かった。
政の性格上、ハナから説得できるとは思ってない信に、
男の友情の深さを感じて何だか萌えます。

説得できなかった(しもしなかった)と知り、
憤慨する昌文君。
いつものように信にゲンコツが飛びますが、
"バシッ"と受け止める信が
何だか大人になったみたいで凛々しい。

🔴信 : 「らしくねーぞ 昌文君
いつもの粘り腰見せてみろよ」

の一言で、無理やり説得しちゃいます。


そして、大王を脱出させるという昌文君の決断を
"英断"と言った介億先生、
「問題は大王様が即座にこのことを受け入れられるかだ」
と言っていましたが、
案の定政はサイに残ることになり、
「‥‥フッ」
と一言。

数日間、政の言動や行動を見て、
主である昌平君を動かすほどの人物だと
納得したのでしょう。
きっとサイに残るに違いないと思っていたはず。

そしてそして開戦7日目。

き・・・来たーーー!!!

楊端和様、見開きで華々しく登場!!!


ここは鳥肌ものでした。
合従軍編に入り、どこかで山の民たちが出てくるはず、と想定していたのにも関わらず、
めまぐるしい展開にすっかり忘れて
まんまと度肝を抜かれ、
驚いてしまいました。笑

端和様、バジオウの強さは圧倒的。
さらに元・成蟜のペット、ランカイも存在感見せつけてます。

山の民の援軍にホッとしたのもつかの間、
ここで龐煖登場・・・。
正直、「出てくんなよ!!」と叫びたい気分でした。

で、信ーーー!!!

まさかの一騎討ちの展開に!!!

ここはさすがに、尾平じゃないけど
放っておいても李牧軍は退却寸前だったし
とにかく今は、やめといて!!!
とイライラさえしました。笑

無理無理!と焦るわたしをよそに、
信は龐煖と一騎討ちの態勢。

いやいや、どう考えても無理がありすぎて
今の状態の信が勝つところなんて想像できない。
かといって、この流れで負けるなんてあり得ない。
でもやっぱり勝つってのもおかしい!不可能!

原先生、一体どうするおつもりで?!

別の意味でのドキドキをも抱え、
33巻へ続きます。



【メモ】
⭕信、貂の尻を「ケツ氏!」と言って掴む。
竭氏、こんなところで久々の登場。笑

⭕山の民は、北の大勢力・バンコとの
一大決戦の真っ最中だった。
これは山界の覇を争う大戦であり、
サイまで駆け付けるとなれば、それまでの
"戦績"と"犠牲"は全て無に帰することになる。

⭕そういえば、合従軍の各国軍から1000人ずつ精鋭隊を向かわせていたのはどうなったのか。
カイネが攻防戦当初に、あと3,4日で到着しそうだとか何とか言っていたけど。。。

〔そむ さんのご指摘により追加〕
105ページの李牧と趙兵の会話から、「2日前に到着している列国の援軍を投入しても逆に混乱する」という表現で、
"各国精鋭隊の存在"の回収はされておりました。すっかり見落としておりました!スミマセン。
やっぱり、原先生がこういうところを完全スルーする訳がないですよね。

⭕おまけマンガ「しんせいじょうの歯」

⭕32巻より、カバー裏にオマケあり。
蒙恬、王賁の秘蔵ショット。

キングダム 31巻 「政、語りかける」

*ネタバレあり*


合従軍編も終盤、最後の砦です。

まさかの政・出陣で最高の盛り上がり。

そして今巻は全体的に絵が綺麗だった気がします。
キャラの表情とか、陰影が丁寧というか。(気のせい?)

政の活躍に胸が詰まって、
途中なぜだか感極まり、
何度も涙した31巻。

新キャラも登場です!


【あらすじ】
大王である政が自ら出陣したことを知り、
ざわめく王宮。

水面下で政の暗殺を企んでいた呂不韋
ことさら苛立ち、
出陣前の政が昌平君と会っていたという話を聞きつけ、昌平君に詰め寄る。
よもや助言などしてはいないかと疑る呂不韋に対し、
昌平君は、
今は秦軍総司令として以外のことは
"取るに足らぬ小事"
だと発言。

呂氏四柱でもある昌平君からのきっぱりとした言葉に、
呂不韋は静かに怒りを滾らせる。

そして政のいない玉座に呂不韋が腰掛けようとしたその時、
王弟・成蟜が現れる。


一方、南道から咸陽へ向かう信たちは、
気力も体力も失い、精根尽きかけながらも
何とか前進を続けていた。

兵たちは、言葉を交わすことすらできないほどの疲労で希望を見出せない精神状態の中、
咸陽までの道のりで最後の城である
"サイ"にたどり着く。

食糧の補給のため、何気なく立ち寄った
"サイ"には、
大王・政が信たちを待っていた。

共に戦いに来たと言う政に、
信は状況が掴めないながらも、
希望の光を見出し涙する。

政の肩を借り、初めて弱音を吐く信。
しかし、政の存在により絶望の淵から蘇り、
すっかり士気を取り戻すのだった。


一息ついた後、政たちは"サイ"の住民の状況を調べ始める。
3万の住民のうち、
2万は女・子ども・老人であり、
兵力は1000人ほどしか残っていなかった。

信たち麃公軍残兵はおよそ2000人、
政が連れて来た兵も2000人弱。
つまり戦力は5000人ほど。

もはや"ある中"で戦うしかない秦軍は、
3万の住民に"戦意"を持たせて兵士と化させ、
3万から4万を率いて向かってくる李牧軍と
戦わせるつもりであった。

住民の士気を鼓舞するため、
政は住民全ての前で声をあげて語りかける。

よく通る声で、力はこもっているが威圧的でなく、
住民一人一人にしっかりと語りかける口調で状況を説明する政。

秦の歴史を途絶えさせぬために、
子や次の世代の子を列国の奴隷にさせぬために、
秦の命運をかけて共に戦う、
と宣言する政の姿に、
サイの住民は沸き立ち、
老若男女全てが立ち上がった。


住民の士気は最高潮であり、
政の檄により信らの士気もよみがえる。
さらに、咸陽から昌平君の側近・介億(かいおく)ら100名の指揮官級軍師兵が到着。
昌平君のはからいであった。

貂の軍師学校での講師をつとめていた介億の存在はこの上なく心強く、
また、軍師学校で共に学んだ兄弟子・蒙毅も共に来ており、感謝で涙する貂。

介億らの存在により、城壁の兵の配置が完成。
装備を整え、李牧軍の到着を待つ。

ほどなくして、ついに李牧軍が到着。

サイの城に向かって、
「降伏すればただの一人も殺させない」
と交渉してくる李牧に対し、
政の檄により高まった住民の士気は下がることなく、
李牧軍を迎え討つ受け入れ態勢が出来上がった。

そしてついに、サイの攻防戦が開戦する。

指揮官の配置は、
正面・南壁には政・貂・蒙毅、
東壁には壁、
北壁には介億、
西壁には昌文君。

正面に配置された飛信隊の活躍と、
東壁に配置された麃公軍の活躍により、
初日の戦いを乗り越えることができた。

しかし、その日の夜。
李牧は秦軍の警戒心を逆手にとり、
夜通しでほぼ形だけの夜襲をかけ続ける。

翌朝日の出が近づき、
夜襲をかけていた李牧軍が、
想定していた数の半分ほどしかいなかったことに気づいた貂。
急いで兵を休ませようとするが、時すでに遅く、
秦軍は体力を消耗しきっていた。

それでも、サイの住民や秦軍は
2日目も善戦する。

昼ごろ、李牧軍が動き出す。
正面の南壁を護る飛信隊のもとに、
三千人将・傅抵(ふてい)の隊、
そしてカイネの隊が出陣。

傅抵はいきなり百人将・竜川や田有を狙い、
飛信隊を掻き回すが、
そこに信が現れ、傅抵と一騎討ち状態の打ち合いに。

傅抵のスピードは異常に速く、
信の剣がかすりもしないほどだった。
傅抵に苦戦しながらも、
信は羌瘣との打ち合い稽古で教えられた
"速さで戦う達人が仕掛ける誘いに乗るな"
という助言を思い出し、
自らがタイミングをずらして誘い込み、
見事傅抵を撃破する。

その頃、竜川・田有が戦線離脱した飛信隊の指揮系統を立て直すため、
貂が中まで入ってきていた。
カイネは貂を攻撃するが、
殺すことができず、捕虜にすると言ってさらう。

しかしすぐさま貂を助けに現れた信により、カイネは押し負けて吹き飛ばされ、
城壁の下へ落下しかけるが、
貂はカイネの手を掴み、カイネは城壁にぶら下がった。

互いが互いを殺せずに、2人は葛藤する。

カイネは貂に対し、
サイはいずれ落ち
そこにいても死ぬだけだからこっちへ来い、
と誘うが、貂は拒否。

カイネと貂は手を離し、
城壁の下へ駆けつけた兵士に受け止められ、
カイネは生き延びる。

そこへ傅抵が現れ、カイネを落とされた怒りで
信へ向かってくるが、
起き上がった竜川に吹き飛ばされ傅抵も落下。
兵士の上に落ち、傅抵も生き延びる。

そして、
2日目に至っても士気が一向に下がらない秦軍に対し、
李牧は小さく眉をひそめていた‥‥。




* * *




サイに着いた時の信の顔、
今まで見たことないぐらいに疲れ果ててました‥‥。
ツリ目の信が、あんな伏し目になったことが
いまだかつてあったでしょうか。
それほどの疲労と絶望だったのでしょうね。

だからこそ、
何気なく立ち寄ったサイの城で
いるはずのない政の姿を目にした時の
信の見開いた目が胸に刺さります。

状況はさっぱり分からないけれど
でもどこか安心して、
訳が分からないまま泣いた。
いつもの信なら考えられない行動。

そしていつも王宮の玉座の上で
信の活躍の報告を受けるたびに、
救われる思いをしてきた政だからこそ、
信を理解し受け止めることができたのでしょう。

何回読んでもこのへんは泣ける‥‥!

そして政の演説も素晴らしかった。

ここのシーン、原先生は相当大変だったんじゃないかなと仕上がりに感動しました。
サイの住民と同時に、
読者の気持ちもアゲていかなければならないという、超重要シーンだもの。
住民(特に老人)の表情も良かったし、
政の言葉を受けて次々と住民が立ち上がっていくところも良かった。

330話、政の演説のシーンで昌文君の表情が
ところどころで抜かれていて
(45,49,58,59ページ)、
演説成功後、群衆の士気を見事に引き上げた
政に対し、
昌文君はその勇姿に感極まって

🔴昌文君 : 「(やはり‥‥私の直感は間違いではなかった
このお方は 戦神 昭王を越える

越えるぞ‥‥!!
王騎よーーー)」

と涙するシーンもシブい。


あと、昌平君の粋なはからいも良かったー。
政と何を話したのか探ってくる呂不韋に向かって、
「状況をお考えください」とピシャリ。
"軍総司令として"、
サイの指揮官不足を見越し、
介億ら100人の指揮官級軍師を送りこんでくれました。

秦国のために最善を尽くそうとしている昌平君。
元は楚国出身、現秦国丞相。
この期に及んでもまだ我が身の野望にこだわり続ける呂不韋
元は趙国出身、現秦国相国。

元々他国出身の両者なれど、
秦に対する愛国心?の差はどこから生まれたものなのか。
はたまた呂不韋に目をつけられてしまった
呂氏四柱・昌平君の合従軍後の扱いは、
どのようなものになるのか。
気が早いけどそのへんもかなり気になったり。


話はサイに戻りますが、
指揮官が足りずにいろいろ背負い込もうとしていた貂にとっては、
めちゃくちゃ嬉しい援軍だったことでしょう、
軍師学校での恩師・介億や
兄弟子・蒙毅が来てくれました。

介億が「蒙毅には気をつけろ」と茶化すシーンを差し込むあたり、
将来的に貂の相手には蒙毅ですかね?!
いい!めちゃ合ってる!
信とはやっぱり家族のような関係でいて欲しい。
あくまでわたしの希望です。

開戦直前に、政と信が語り合うシーンでは、
(第331話 75ページ)

🔴信 : 「四年ぶりだな 一緒に戦うのは」

🔴政 : 「ああ
不思議な縁だな 窮地には よく お前がいる」

🔴貂 : 「オレもな!」

🔴政 : 「ああ お前もだ 貂」

🔴信 : 「カカカカ」

のやりとりの後、貂の嬉しそうな顔がすごくかわいい。

貂、政や信と同じ場所にいたくて軍師になったんだもんね。
こんな死地だけど、貂の望みは叶ってる。

そして互いの胸をゴンッと叩き、
気合いを入れる信と政。
それを笑顔で見守る貂。
それを見守る蒙毅。

蒙毅は、王弟反乱の詳細を結構知っていたから
政・信・貂の関係も知っていたはず。
それでも目の前で3人を見、
大王が信や貂とただの"ダチ"のように接している姿に、
3人の結構深そうな絆を感じてちょっと驚いたのでしょうか。

貂が軍師学校に来るまでは、
父・蒙武が所属する呂氏陣営の敵ともいえる大王陣営に対し、
敵視とまではいかなくとも敵対している存在だったはずですからね。
このあたりの関係も、
今後どう描かれていくのか、すごく楽しみ。


さて、ついにサイ攻防戦が開戦です。

李牧軍からは、新キャラ傅抵が登場。
カイネを"将来の俺の嫁"とし、つきまとっている感じがちょっとかわいくもあります。
さりげに一緒に寝ようとして、カイネに蹴り上げられてましたが。笑

しかしこのおちゃらけた男・傅抵、
三千人将なだけあって、かなりのデキる奴だった。
スピードは羌瘣なみ、飛信隊の竜川や田有をやすやすと斬り倒していく。
(2人、足遅いって言ってたもんね、、、)

一騎討ちになった信も手こずりまくりでしたが、
急に羌瘣との打ち稽古シーンの回想に。
羌瘣の助言を思い出した信は、見事傅抵を攻略!

‥‥ここの回想羌瘣、めちゃかわいかったな。
信も、顔が近くて頬を赤らめてたし。笑


そしてカイネにさらわれかける貂。
すぐに助けに来た信により形勢は逆転し、
カイネを城壁から落としかけるも
貂が助ける。

貂もカイネも、お互いに対して非情になりきれない。
貂的には、"一緒に寝泊まりした奴には死んで欲しくない"
と過去に言っていましたが、
それを甘ちゃんだと諌めていたカイネの方も、
貂に対して何かしらの情がある。
妹的な存在のようにも思えるのか、
または前線で戦う女同士の絆のようなものか、
はたまた貂にもらった食糧の味が忘れられなかったのか‥‥

2人は葛藤しますが、
結局お互い殺せなかった。
この2人の次の再会は、どうなるのでしょう。

そしてラストの傅抵、しっかり笑わせてくれました。

🔴カイネ : 「カイネが落ちるぞォー!!」

兵たち : 「ィ喜んでェー!!」

🔴傅抵 : 「傅抵が落ちるぞォー!!」

兵たち : 「?」


コイツ、なんか憎めない。笑



【メモ】
⭕紀元前241年、サイ攻防戦が開戦。

⭕合従軍は、函谷関にいる秦軍が
咸陽へ戻らぬよう、見張る。
函谷関にいる武将たちは、援軍も出せぬ状態。

⭕おまけマンガ「悪夢」× 2(172ページ、209ページ)

キングダム 30巻 「麃と飛」

*ネタバレあり*


蒙武の大活躍により、
最大の危機を乗り越えたかのようにみえた秦軍。

喜びも束の間、
カリン軍に函谷関の裏を取られて
絶体絶命‥‥

かと思えば形勢が再び逆転して。

戦況が二転三転しまくる30巻。

そして、8巻、16巻に引き続き、
わたしの"泣き巻"3冊目です。

麃公将軍!!(涙)


【あらすじ】
函谷関の裏手から現れたカリン軍5000人は、
一気に背後からなだれ込み、
今にも内側から函谷関の正門をこじ開けようとしていた。

蒙驁将軍をはじめ、函谷関を護る秦軍の
誰もが陥落を覚悟した瞬間、
山間から王翦軍が一斉に現れる。

山岳地帯での燕・オルドとの心理戦を制し、
函谷関の援護に現れた王翦軍により、
秦軍は函谷関陥落の窮地を危機一髪で脱する。

これによって合従軍側の"15日目の総攻撃"作戦は失敗に終わったということになり、
合従軍の函谷関突破は極めて困難となった。
そして燕軍を除く合従軍全軍が、
開戦前の位置まで軍を退却させるのだった。

歓喜する秦陣営。
ここにきてこの先、別の決め手が出てくることは考えにくいと推測される状況に対し、
どこか安堵の雰囲気が漂う秦軍。
そんな中で、前線の麃公や信は、李牧が動いていないことに対し
まだ何かの企みを感じずにはいられなかった。

そして開戦18日目。
咸陽に、小さな城が攻め落とされたという
急報が次々に入り出す。

昌平君らが急いで地図を調べると、
咸陽に至る"北道"を守る"函谷関"からではなく、
咸陽に至る"南道"を守る"武関(ぶかん)"の
内側(咸陽側)の城が次々と落とされていた。

"武関"が抜かれた様子がないことから、
敵軍は険路が多く大軍移動には向かないはずの南道へ山間から割り入り、
相当の日数をかけて進んできたことになる。

敵軍の数は4万人にものぼり、
兵を率いている人物は李牧であると判明。
思いつきではなく、開戦当初から計算通りに
兵を少しずつ送りこんでいたと思われる
李牧の緻密な戦略に気づき、
秦陣営に戦慄が走る。


一方、合従軍の中ですら李牧の動きに気づく者は
ほとんどいなかった中で、
麃公将軍だけは直感で動き、飛信隊を引き連れ、
後を追ってきていた。

麃公・信たちは、自国の利でまっすぐに南道を目指すことができた分、
秦軍に見つからぬよう用心深く兵を進めていた李牧軍に追いつく。

李牧の仕掛ける戦術"流動"をことごとくかわし、
ついに麃公は李牧と対峙。
"直感"だけで"流動"の流れを把握し、
中心まで攻め込んできた麃公に対し、
李牧は"理解の範疇を超える本能型武将の極み"
だと称するも、
麃公を前にして李牧は冷静そのものだった。

そして李牧は、麃公に対し、
何と龐煖を向かわせる。

突然の龐煖の出現に、
龐煖を知る飛信隊のメンバー達は驚愕。
李牧の"流動"に手こずりながらも、
何とか麃公の援護に向かおうと奮戦していた。

麃公は、王騎を討った男がこの龐煖だと知り、
合点がいったと語る。
王騎の名を出した途端、
何の感情も持たぬように見えた龐煖に
苛立ちの感情が現れたことに気づいた麃公は、
それを認めようとしない龐煖に
「己の中の大いなる矛盾に気づかず
一人もだえておる ただのど阿呆」
と言い放ち、
龐煖と一騎討ちを始めた。

龐煖と打ち合う麃公だったが、
李牧の戦術"流動"の流れを見破れる者は
麃公以外におらず、
麃公と共に中央まで突破してきた数十騎の兵たちは李牧軍の兵に討たれ、
麃公は孤立。
もはや活路は見出せない状況に陥っていた。

その時、麃公の援護に向かっていた信たちが
徐々に近づいてくる。
信の声に気づいた麃公は、
信に前進して咸陽へと進めと叫び、
自らの盾を信へと投げつける。
そして麃公は、龐煖との激戦で
左腕を斬られ、
麃公は龐煖の左腕をへし折った。
麃公は信に、
「火を絶やすでないぞォ」
と叫び、龐煖に討たれる。

麃公の死を目の当たりにし、
信は激昂。
麃公の仇討ちに向かおうと怒り狂う信を
壁は力づくで諌め、
今は咸陽へ進み、麃公の意志を繋ぐべきだと
言い聞かせる。

信は必死に抵抗するも、壁の指揮のもと脱出。
5000人いた麃公軍は2000人ほどに激減。
残った兵たちは李牧軍の追撃を受けながらも
咸陽を目指して走った。


そして麃公討ち死にの報を受けた咸陽では、
活路を失い、手だてを考える時間すら
残されておらず、
秦陣営は絶望していた。
その時、水面下で呂不韋が動き出す。

もはや咸陽陥落は時間の問題と判断した呂不韋は、
"朱凶"ら暗殺集団を王宮に忍ばせ、
政の首を狙おうとしていた。
常に呂不韋の動向を見張っていた肆氏は、
呂不韋の不穏な動きに気付き、
昌文君に報告。
肆氏の推測では、
恐らく呂不韋は政の首と引き換えに
李牧に"和睦"を交渉し、
城をあけ渡すことで何かしらの恩恵を受けようと目論んでいるはずだという。

その頃、渦中の政は、誰にも告げず姿を消していた。
政は独断で昌平君に相対し、
「国家存亡の刻、呂氏四柱としてではなく
軍総司令としての立場から意見を聞きたい」
と問う。

政は昌平君に、
咸陽の喉元にある最後の城・"サイ"に
政自らが出向き、
一般市民を率いて李牧軍と戦うと宣言。

そして昌文君らとともに、
政は"サイ"へ向け出陣するーーー。



* * *



信とともに、麃公将軍の死に
涙だだ流れの30巻でした‥‥。

落ちかけていた函谷関に、
突然王翦軍が現れ、
秦は最大のピンチを脱します。

これにより戦局がガラリと変わり、
合従軍は一旦退却。
喜びまくる秦軍ですが、
麃公、信、貂や
この戦を亡命先の楚で見守る廉頗(久々の登場!)は、
"李牧がまだ動いていないこと"
に対して訝しんでいました。

そうは言っても元々超劣勢から始まったこの戦い、
まさかの形勢逆転に信たちも喜ばずにはいられません。

貂は興奮のあまり、信の腕に"ぴと"と手を置き、
喜びを伝えるほど。
(第318話 39,40ページ)

ここで初めて!(今までで!)

信が貂に対して顔を赤らめ、
ちょっとかわいいじゃねーか的な表情‥‥。
(原先生、このあたりややこしくしないでくださいー!)


しかし李牧はやっぱり動きました。
というより、すでに最初から動いていました。
開戦当初から、この時のために、
少しずつ少しずつ自軍を南道から咸陽へ向けて送りこんでいたのです。

その数すでに4万!
表向きは何十万もの合従軍を率いて
ガチで戦いながらも、
万一の劣勢時に備えての手筈も怠らない、
恐ろしい軍略家!

しかも、忌まわしいあの男"龐煖"を
引き連れてきていて、
今ここで出してくるとは!!

本当に憎たらしいほど準備万端な奴です。。。

そして嫌な予感は的中、
麃公将軍と対決することに。

化け物龐煖は、やはり圧倒的でした。
以前に羌瘣を狙って飛信隊を襲ってきた時のような、
読んでいて龐煖という存在に対しての怒りと憎しみが湧き上がってくるほど。

出てくんなよ!!!(哀しい叫び‥‥)

我らが麃公将軍は、
もはや死地となった場所に信が来ることを
遮ります。

何と言ってもこのシーンは30巻のハイライト‥‥。


🔴麃公 : 「童(わっぱ) 信
前進じゃァ」

🔴李牧 : 「!」
🔴信 : 「!?」
🔴壁 : 「!?」
🔴尾平 : 「えっ!? どっ どこを指差してっ」

🔴麃公 :「ここは貴様の火を燃やし尽くす
場所に非ず
咸陽へ行け 童 信」

🔴信 : 「!! 咸陽へ‥‥ !
(なっ で でも それじゃ‥‥将軍は‥‥)
何 言ってんだ
何言ってやがんだ 麃公将軍」

🔴麃公 : 「‥‥‥」
(盾を引っ掛け、信のいる方向へ投げつける)」

🔴信orモブ兵 : 「たっ 盾っ‥‥麃公将軍の盾だっ‥‥!!」

🔴麃公 :「さァて 待たせたの龐煖
そろそろしめといくか」

🔴龐煖 : 「死の覚悟‥‥ではない
貴様は生をあきらめた

貴様は 弱者だ」

🔴麃公 : 「何も分かっておらぬな
このど阿呆が!!

龐煖 やはり貴様は 全く何も感じておらぬのだのォ

わき上がってくる力を

つむがれていく炎を!

じゃから貴様は王騎に勝てなかった
バハハ 奴に代わってその答えを儂が教えてやってもいいが
戦場に甘美な夢を描いていた王騎らと違い
戦場に生まれ落ち
そこで育ち
ただただ戦いに明け暮れてきたこの儂の刃は
王騎らのよりもっ
大分荒々しいぞォ!!」

(麃公、龐煖と打ち合うも、左腕を斬り落とされる。
しかし麃公も龐煖の左腕をへし折る。)

🔴麃公 : (信のいる方向へ振り向き)
「童(わっぱ) 信」!!

「火を絶やすでないぞォ」



そして麃公将軍、討ち死に。


このあたりから、壁が怒り狂う信を殴って諌めるくだりまで、
涙が止まらなかった。。。!

麃公さんが最後に信へ託した想い、
新しい時代へ繋げたい想い、
そんな想いをよそに無情に麃公を狩る龐煖への
怒りに、
信も相当顔がグッシャグシャでしたが
わたしも相当にグッシャグシャに泣きました。

そして壁のあんちゃんの言葉にも泣けた。
(第326話 181〜182ページ)


🔴壁 : 「頭を冷やせ馬鹿者っ
将軍が前進とおっしゃったのが聞こえなかったのか!!
盾を投げられた意味が分からなかったのか!!

ここで我らが脱出し その意志をつがねば
咸陽を守らねば
麃公将軍の死すら
その意味を失ってしまうのだぞ」


怒り狂って収拾のつかない信に対し、
壁が思い切り信をぶん殴って諌めるシーン。

ここは、壁のあんちゃんしか信を止められなかったな、と思う。

今まで信が引っ張っていく場面が多かったけれど、
今や壁も立派な三千人将。
本当のアニキみたいだ。
壁のあんちゃんがこの時 信と共にいてくれて
本当によかったと心から思いました。


一方で咸陽では、まさかの政が立ち上がる!

派閥内の敵味方は一切関係無く、
秦国のために昌平君と正面から向き合い、
また昌平君も呂氏四柱としての立場から離れ、
政と相対して意見を交わし合う。

呂不韋だけは私利私欲でまた政を暗殺しようと
企んでいるところが、
人間的に急に小物に見えてくる。
(実際は、こういうヤツがある意味大物なんだろうけど、
このシーンでは激しく小物に見えるあたり、
原先生の人間の描き方は素晴らしい)

向ちゃんへの別れ(ひとまずの)を済ませ、
ついに政が出陣!!
(向ちゃんめっちゃ頑張った!)

この展開は予想だにしてなかったなあ。

最高潮の盛り上がりで、
31巻に続きます。




【メモ】
⭕《李牧の別働隊について》
●函谷関攻防戦での趙軍の配置を、
あえて一番端にしていた。

●趙軍の配置は南道に最も近く、開戦から
誰にも気づかれずに少しずつ数千人単位の趙兵を南道から咸陽へ向かわせていた。

●趙軍12万の持ち場に対する秦軍は元々4万。結果的に趙軍から4万の軍が消えていたが気づく者はいなかった。

●15日目の作戦が失敗に終わった後、
戦線に間に合わないと知りながらも
各国の軍から精兵1000人を別働隊に呼ぶことで、趙の別働隊が秦を落とした場合も
"趙軍単独の手柄ではない"
とするための配慮も怠らず。

⭕尾平、いつのまにか騎馬してる!と思ったら、誰かの後ろに乗っけてもらってた(笑)

⭕おまけマンガ「カクビ兵」

キングダム 29巻 「至強」

*ネタバレあり*

キングダム 29 (ヤングジャンプコミックス)

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引き続き、函谷関攻防戦。
29巻では、いよいよ楚軍総大将・汗明と
蒙武の大勝負。
決着もつきます!

カリン軍 VS 騰軍 の戦いは接戦中ながら、
カリンの目論見は予想外の方向から戦局を大きく変えそう‥‥!

まだまだ戦は終わりそうにありません。

では、あらすじから。

【あらすじ】
函谷関の裏手の山岳地帯から、
函谷関へ向かい一気に攻め込もうとするオルド。
その背中を、王翦はとらえていた。

"山読み"の能力に長けるオルドだったが、
王翦は最初からオルドを嵌めるべくして誘い込んでいた。
オルドがそれに気付いた時には時既に遅く、
王翦軍に背後から攻め入られ、
退却する他ない状況に陥る。
その結果、8000人の精鋭部隊を失ってしまい、
山中で身動きがとれない状態に。
オルドは王翦に、まさに踊らされたのであった。


一方、最大規模の戦場・楚軍 VS 蒙武・騰連合軍の戦いは、大きく動く。

まず、カリンに抜擢され五千人の将になった項翼が、臨武君の仇と息巻き、騰に襲いかかる。

そして楚将・カリンが本格的に始動。
騰軍方陣の要である隆国軍の持ち場に、
中央から方陣を打ち破ろうと攻め込んできた。

蒙武軍は、昌平君の策による斜陣がけの功により、手薄になった汗明までの道が開けた。
蒙武はついに汗明をとらえる。

いよいよ蒙武と汗明の激しい一騎討ちが始まる。

広大な楚の領土の中、中華を横またぎに攻め込み続けた汗明。
かつて、楚に攻め入ろうとした
秦の六将・王コツ(おうこつ)を
若き頃の汗明があっさり撃退したという、
秦にとっては驚愕の事実が暴露され、
秦兵達は一同に青ざめる。

まさに百戦錬磨の汗明に対し、
蒙武との経験値の差があることは否めなかった。

しかし、激しく打ち合い続ける中で、
蒙武の中の未知数の力が引き出され、
互いの腕を砕き合うほどの接戦に持ち込まれる。


その時、遠方から2人の一騎討ちを様子見していたカリンが動いた。
汗明が万一討たれることがあった場合の軍の損失を考慮し、
弟のカエンを使って蒙武を討ちに行かせる。

カリンの不穏な動きを察知し、
カエンのあとを追う蒙恬。

カエンが蒙武を討つつもりであると察した
蒙恬は、
カエンの蒙武への攻撃を阻止するために
カエンと打ち合いになる。

蒙恬がカエンからの攻撃をかわした際にバランスを崩し、
蒙武と汗明の一騎討ちの間に割り入ってしまったその瞬間、
水をさされ激怒した汗明は蒙恬を斬った。

目の前で蒙恬が斬られたのを目にし、
怒り狂った蒙武は汗明を剛打。
蒙武はさらに一撃を加え、
ついに汗明を撃破する。

蒙武は汗明を討ったその後も汗明軍を次々に破壊して行き、
完璧に中央軍を壊滅させる。
この瞬間、蒙武 VS 汗明 の最大規模の戦場では
蒙武軍の勝利が確定したのだった。

その頃、李牧・春申君のいる大本陣へ
カリンから
「勝利は目前
総司令様は 函谷関をくぐる準備をされたし」
との報が入る。

なんと、
今までのカリンの動きはすべて"目くらまし"
であった。
そしてその頃、カリンの真の目的のため、
精鋭部隊5000人が
用意周到に函谷関の裏側へ到着していたーーー。



* * *



29巻はほぼ1冊丸々 対楚戦でした。
莫邪刀・項翼、一騎討ちではないとはいえ
騰に斬り負けなかったなんて、
実は臨武君より強いんじゃないの!?
騰のヘアーはあんなこと(※200ページ)
になってるし!(爆笑)

そして自信過剰、自意識過剰女・カリン、
自意識はともかく、自信のほどはあながち過剰ではなかった‥‥かなりのキレ者!

側近のバミュウのMっぷりにはウケますが、
騰の抜けた(一時右軍にて項翼と対戦中)本陣の蓋を破りに突撃してくるという、
なかなか笑えない展開になってきました。

しかし喜ぶべくは、
録嗚未・干央が生きていたこと!
隆国が守る方陣中央軍の援護に現れます。
そして左翼の将・王賁もカリン本陣の背後を
討ちにさすがのタイミングで登場。

よかった〜。
さすが録嗚未、不死身!


さて、本命の蒙武軍です。
蒙武がいきなり全員をざわつかせた高等戦術・
"斜陣がけ"は、
昌平君のレクチャーによるものだったようですね。

両端に貝満(べいまん)・剛摩諸(ごうましょ)の各軍が攻め入ったことで
斜陣がけ全体の勢いは完全に失われてしまい、

汗明や仁凹(じんおう)は"慣れぬ策に溺れるからだ"と蒙武を嘲笑しますが、

これらはすべて中央の汗明への道をこじ開けるための昌平君の作戦でした。

蒙武、ここぞとばかりに突っ込んできます!

そしてとうとう総大将・汗明と一騎討ち!

"ドドンド ドンドン 汗明!!"
とまわりで鼓舞してるドラムスたちがうざいです。笑

自信満々で蒙武を吹き飛ばす汗明は、
自分語りに入り、衝撃の事実を口に!

かつて楚に攻め入ってきた六将・王コツを、
若き頃の汗明が撃退したと豪語(しかも第1陣で)!

手ひどく傷を負い、情けなく逃げ帰ったという
王コツは、
敗戦の口外を禁じたために自国にこの事実が広まっていなかったとか。

王コツ‥‥‥‥チョーかっこ悪い‥‥。


いきなりこんな話を聞かされてビビりまくる秦兵たちですが、
蒙武は"初めて全力が出せる"と高揚してます。

蒙武の筋肉が盛りまくり、服が破れ始め、
ドラゴンボールみたいな展開に!!笑

そして蒙武は全力で汗明と戦いますが、
汗明の強さは凄まじく、
蒙武は気絶寸前まで陥ります。

その時蒙武の脳裏に浮かんだ昌平君。


🔴昌平君 : 「(蒙武
積み重ねた戦歴 大将軍としての"格"
それらが力となって双肩に宿るとするならば
汗明の武は今の中華で最強やも知れぬ

その時お前であっても
汗明は揺らがぬ山に見えるだろう
汗明はお前よりも強い

だが俺は信じている

それを打ち破るのが蒙武という漢(おとこ)だと

お前に理屈は必要ない
この一戦で天下に示せ

誰が最強の漢であるかを)」


そして奮起した蒙武は汗明の腕を砕く!


しかし今回、昌平君の回想シーンが多いばかりか
やたらと2人は信頼し合っている感が描かれておりますが、
この2人、確かに共に呂氏四柱とはいえ、こんなに絆で結ばれてたんだ‥‥
と驚き。

ネタバレ回避のため未読である
"キングダム総集編"掲載の蒙武の読み切りに、
その辺が詳しく描かれているのか?!
くぅ、、、読みたいが我慢である。


(話は戻って)蘇った蒙武は、また激しく汗明とやり合いますが、
そこにカリンが放った刺客(弟・カエン)が蒙武を狙う!
とそこに、蒙武を討たせまいと蒙恬が阻止!

‥‥蒙恬この子、本当に気が回る天才だなぁ。
父親を守るためとはいえ、
この能力はすごい。

そしてバランスを崩した蒙恬は汗明の前に出てしまい、
邪魔されて激怒した汗明に斬られてしまう!
そして蒙恬を目の前で斬られた蒙武は
ブチ切れて汗明を剛打、撃破!!
蒙武の勝利です。


結果的に、この蒙恬のおかげで、
蒙武が武力だけでは汗明を超えられなかった
"何か"
を超えられたんでしょうね。
少年(青年)漫画的展開と言われればそれまでですが、
蒙武が勝てて良かった。
そして初めて見る、父親の顔でした。
(出陣前の会話時よりずっと。)


蒙武の勝利の報を受けた咸陽本陣や
函谷関を護る蒙驁らは、
一斉に大喜び。

息子の大金星に蒙驁は雄叫びをあげ、
そして本来敵同士である
嬴政派・昌文君と、
呂氏派・昌平君が、

🔴昌文君 : 「‥‥総司令
‥‥‥大きいですぞ これは‥‥‥」

🔴昌平君 : 「‥‥‥ええ」

"バシッ"と握手を交わします。
(第315話 188ページ)

もはや派閥関係なく、皆が一丸となって
秦国のために戦っていることが分かる良いシーン。

一方この時呂不韋は、

🔴呂不韋 「ハッハ さすが儂の蒙武だ」
モブ部下 : 「ごもっとも ワハハ」

と、この期に及んで自分中心なのが
性格出てますねー。


合従軍との戦いにおいて、最大規模の対決に
勝利した秦軍は、
喜びに沸き立ちますが、
知らず知らずの内に次なる魔の手。

カリンは戦場での派手な振る舞いを目くらましに、実は真の目的として
函谷関へ自らの精鋭部隊を半分派遣していたのでした。



どうなる!?

次巻へ続きます。



【メモ】
⭕昌平君は元・楚人らしい。

⭕扇子ジジイ仁凹本陣、蒙武軍の追撃に壊滅。
貝満・剛摩諸は生き残る。

⭕項翼、なんか信とキャラ被ってる?

⭕おまけマンガ「狼牙がゆく 2」

キングダム 28巻 「陥落の危機」

*ネタバレあり*

キングダム 28 (ヤングジャンプコミックス)

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山場を迎えた各所での戦い。
蒙武・騰連合軍の奮戦と、
桓騎・張唐の奇襲作戦。
そしてついに函谷関の望楼に火の手があがります。

下衆な元野盗野郎のはず‥‥なのに、
桓騎が繰り出す機転に震える‥‥!



【あらすじ】
蒙武・騰連合軍 対 楚軍の戦場では、
壁隊3000人が出陣したのを皮切りに、蒙武は高等戦術・"斜陣がけ"を仕掛ける。
猪突猛進が特徴のはずの蒙武の戦略に、
敵味方共に驚きを隠せない。

騰軍側からは楚軍・カリンがついに動き出す。
巨大な戦象を登場させ、戦場を掻き回し
秦軍の度肝を抜いた後、
緻密に組まれた楚の布陣が騰軍の前に現れた。

さすがの騰も小さく冷や汗をかく。
騰は、劣勢配置の状況の中、
王賁と蒙恬を急遽五千人将に抜擢。
2人に左右の軍の指揮を任せるという賭けに出る。
しかしその決断は、先に出陣した
録嗚未、干央らの軍を見殺しにすることになる苦渋の決断でもあった。

騰の突然の抜擢に対し、
王賁と蒙恬は見事に期待に応える。
話合う時間もないまま出陣した左軍の王賁と
右軍の蒙恬だったが、
まるで鏡合わせのように2人同時に同じ戦略で左右を戦っていた。
2人の奮戦の功により、カリン 対 騰 の戦場は思わぬ接戦にもつれこむこととなった。


一方、函谷関。
魏・呉鳳明は、巨大井闌車に引き続き、
巨大な床弩(しょうど)を積んだ車を何十台も用意してきた。
規格外のその床弩車は、4メートルにも及ぶ矢が装填されており、
その矢は函谷関の壁に向かって一斉に射ち放たれた。

壁に刺さった矢からは綱が下がっており、
その綱をつたって次から次へと魏軍が壁上に登ってくる。
更には件の井闌車が現れ、再び函谷関に梯子がかけられてしまった。

これにより、張唐の持ち場から魏軍に攻め込まれ、桓騎、蒙鷙の持ち場にも魏軍がなだれ込んできてしまう。
そして張唐は、成恢の毒の影響により、死の効果が現れる時期を迎えていた。

その時、劣勢の戦況を打破するために桓騎が動く。
騎馬した桓騎は、井闌車に煙玉を投げ込み、
魏軍が一瞬怯んだ隙に地上へ下り立つ。
15万はいる敵兵の中に、桓騎はたった80ほどの騎馬を引き連れ、
魏軍から奪った魏の旗を掲げて堂々と敵兵の海の中を渡って行く。

前夜に桓騎と対面した張唐は、
"武将"の存在を愚弄する桓騎と意見が決裂してはいたものの、
目の前の15万の軍の中へ自らの策を実行する
桓騎の"度胸"と"戦術眼"に舌を巻き、
その勇敢さを認めざるを得なかった。
そして死期を悟った張唐もまた、戦場で命を全うしたい思いから、
桓騎と共に地上に下り立つ。

敵軍は、今にも崩壊しそうな函谷関の上ばかりに注目しており、
そのため桓騎らは悠々と敵軍の中を進んでいた。
更に、目立たぬように別働隊を5つに分けて進ませており、400の隊で韓将・成恢の首を落としにかかる。

ついに成恢の姿を捉えた張唐。
背を向けて逃げる成恢に武将の意地を見せ付け、
見事成恢の首を討ち取ることに成功。
そして張唐は、そこで息絶えるのだった。

その頃、部下に任せていた函谷関の桓騎の持ち場はかなりの侵攻に遭い、
ついに3階建ての望楼に火の手が上がってしまう。


一方、函谷関左の山岳地帯を護る
王翦は、忽然と姿を消してしまう。
攻め入るオルドの主攻隊が王翦軍の心臓部ともいえる場所を襲い、
王翦は退却を余儀なくされたかのように見られていた。

オルドは、類い希なる"山読み"の才を発揮し、
函谷関の裏へのルートを塞いでいる
巨大な絶壁の前まで攻め込んできていた。

そして、号令をかけ、函谷関へ攻め込らんと絶壁を駆け登っていくオルド達の背に、
王翦が目を光らせていたーーー。



* * *



敵兵が次々と押し寄せ、
函谷関もいよいよ大詰めです。

キングダムは、
"始皇帝(=政)が歴史上初めて中華を統一するまでの物語"
なので、きっと秦がここで落ちる訳はないのです。
それを分かっていながら読んでいるというのに、

一体どうやったらこの合従軍を振り切れるのか、
どうやってこの状況を切り抜けるのか、
誰が死んで誰が生き残るのか、

ハラハラしっ放しでたまらない!

このあたりは、ハァハァ言いながら読んでいた気がします‥‥。


さて。前半は対楚。
蒙武が高等戦術"斜陣がけ"を仕掛け、
戦場がどよめきます。

どうでもいいのですが、
蒙武が部下の来輝(らいき)と血管で語り合うシーンにウケました。
(第296話 30ページ)


そして騰軍の方は、
王賁・蒙恬の活躍で劣勢からの立て直しに成功。

若手の実力を見抜き、信じて抜擢する騰にも感心しますが、
見事に期待に応える2人にもしびれますな。

蒙恬の覚悟と湧き上がる士気に対し、
一瞬呆気にとられた後に感極まって
涙ぐむ"じィ"の表情が何だか泣ける。
(第298話 71ページ。特に6コマ目!)

じィ、ずっと蒙恬の側で仕えてきて、
誰よりも蒙恬の戦の才能を理解するが故に、
流し流しの蒙恬の性格にヤキモキさせられてきたんだろうなぁ。

信たち同世代と出会って、
お互い競い合ううち、蒙恬も本気度が増してきた。
蒙鷙を必死で護ろうとした廉頗戦を含め、
そういう関わりの中で成長した蒙恬は、
今や立派な将。
じィの思い、伝わってるよ!


そして函谷関では大ピンチ。
また呉鳳明のヤツが巨大な武器を用意してきやがりました。

わらわらと函谷関の上へ登ってくる敵兵たち。
劣勢を打破するために、桓騎が動きます。

15万の敵の軍勢の中をすり抜けて敵将を討つ、
なんて大胆な作戦、
一体どうやったら考えつくんだ!!

無茶には慣れているはずの桓騎の部下たちでさえ、15万人を目の前にして怯んでます。(当然)

そんな時にこの一言。

🔴桓騎 : 「ハハッ 心配すんな雷土(らいど)」

「全部 上手くいく」


か‥‥かっけー!!
黒桜さんも頬を赤らめてますよ(そりゃそうだわ‥‥ポッ)。

国に対する気構えや考え方が相反する桓騎に対し、
これまで張唐は決して良い感情を抱いていませんでしたが、
さすがにこの奇策を決行する勇気と度胸には
うなったようです。
滅茶苦茶な策のようでいて、常に先読みして細かく作戦立てしている緻密さにも、
張唐は一目置きます。

50年間の戦歴を誇る張唐、
毒にやられて死に至らされる己に激昂し、
毒矢に射たれた後も驚異の精神力と
武将の最後の意地で、
成恢を撃破!

桓騎兵が
「いっ いけェ 張唐っ」
と応援してる姿も熱かった。

そして最期、死に際の桓騎との会話。

🔴張唐 : 「貴様は 戦が 楽しいのだ
己の力で戦に勝つ快感に はまっておる

‥‥そして それは‥‥
名武将の持つ気質そのものだ

腹立たしいが
才能も‥‥ある

土下座などせぬが‥‥
儂と約束せィ

秦国一の武将となれ
桓騎
秦を‥‥頼むぞ」

🔴桓騎 : 「‥‥‥寝言は死んで言えよ じじィ」

桓騎兵 : 「お お頭」

🔴張唐 : 「フッ 剛情な 奴め‥‥」

桓騎兵・張唐兵 : 「あっ」「ちっ 張唐様ァァ」

🔴桓騎 : (ガッ)崩れ落ちる張唐の襟元をつかむ。

「‥‥チッ 調子の狂うじじィだったぜ 全く」




‥‥親子ほども歳が離れているせいもあってか、
何故か仲違いしていた親子が最期にお互いを認め合ったかのような、
そんな雰囲気すら感じさせられました‥‥。

結局桓騎が張唐に答えることは無かったけれど、
桓騎が馬鹿にしていた"武将"の意地は
しっかり張唐が見せてくれた。
何かしら伝わったからこそ、
息絶えた張唐を受けとめたのでしょう。

さりげにジーンとくる名シーンだったな‥‥。


さてさて、ラストは(忘れかけていた)王翦 対 オルド。
王翦、ホントに山、得意だな。


次巻に続く。


【メモ】
⭕汗明軍、軍師が豊富。
●貝満(べいまん) : 軍師 兼 将軍
●仁凹(じんおう) : 軍師
●剛摩諸(ごうましょ) : 軍師 兼 将軍

⭕戦象さんを操る謎の南蛮人
言葉が方言風。
例 : 「キタバイ キタバイ」
「ナンヤアリャ」
「モウヨカロ」
「ヨカカナ」
「ヨカヨネ」

⭕おまけマンガ「狼牙がゆく」

【裏話】キングダム公式ガイドブック 「英傑列紀」

キングダム公式ガイドブック英傑列紀 (ヤングジャンプコミックス)

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27巻発売と同時期に、キングダム公式ガイドブックなるものが発売されました。

27巻時点でのキャラクターの能力値や、
秘蔵ラフスケッチ、キャラ初期設定やボツ案、
原先生のロングインタビューなどが載っています。

27巻と同時にこのガイドブックを買って、
初めて知った初期設定などに結構な衝撃を受けました。
合従軍編の途中ですが、
当時の感覚や感情とともにストーリーを追いかけたいので、
発売時期にあわせて今回はガイドブック裏話編です。



【秘蔵ネーム集 その1】

連載前に原先生が考えていたキャラクターの設定やストーリー設定。
意外な事実が多くて非常に興味深い。

⭕初期タイトルは、
「黄金の翼(はね)」だった。
(「キングダム」でよかったです。)

⭕当初は、貂ではなく羌瘣が序盤の主要メンバーとして信・政と共に活躍する予定だった。
(そうだったのか‥‥)

⭕羌瘣は、当初は正統派のヒロインとして想定されていた。
(なんと!!)

⭕昌文君の初期原案イラストでは、
恰幅が良く、人のよさそうな太っちょさんバージョンと、
若めのキリッとした強面バージョンがあった。
(イメージ全然違う)

⭕楊端和様は、男性の設定だった。
"嬴政の6人の強力な仲間=黄金の六翼"
の一翼を担うという設定があった。
(あとの五翼のメンバーも想像してしまうなー。)

呂不韋の初期キャラデザインは、
蒙鷙のような細目の穏やかな表情をしていた。
(イメージ真逆)

⭕蒙毅の初期キャラデザインは、やんちゃな若武者といった感じのゴツめの青年。
(末の弟って感じ、全くない)


【秘蔵ネーム集 その2】

連載用ネームのボツ案集。

⭕第1話で王騎と出会う信。
王騎の落とした首飾りを信が拾ったことで、
2人に交流が生まれる。
信は家族のために出稼ぎで戦場にやってきた普通の15歳の少年という設定。

王騎は信を馬に同乗させ、数々の天下の名将たちの話を聞かせる。
信は大将軍へと思いを馳せる。
そこへ突然趙軍三大天の襲撃が!

刺客に王騎は討たれてしまう。
王騎は信に自分の首と首飾りを託して息絶える。
信は獅子奮迅の活躍で、王騎の首を持ち帰り、
泣き叫ぶ表情で「開門!!」を告げるカットで
第1話が終了。

(王騎、優しげな老将といった風貌で別人。
しかも第1話で死ぬとか!!
びっくりの設定。)


⭕鳥の卵を飲んだことで懐妊したという、嬴政の祖先の逸話から物語がスタート。
負傷し、草むらで倒れていた政を信が見つけて助ける。政は信の家で居候を始めるが、
ある日村の噂で政が高貴な身分だと知る。
信の妹として"填(てん)"が登場。

(やはり、テンは妹か。)


⭕嬴政が主人公。
王弟の反乱により、付き人の沢圭と逃げ延びた政。
明るく活発な少年として描かれている。
一方、身寄りのない信、漂、填は、
村で、兄妹となり生き抜く決心をする。

(澤さん、こんなところで登場するとは。)


【原先生ロングインタビュー】

キングダムの裏話を語ってくださっています。
こんな壮大なストーリー、
本当に漫画好きな人じゃないと描ききれないよなぁ。と改めて実感。


⭕「王弟の反乱」は、史実ではもっと後に起こる事件だが、信と政をうまく出会わせるためのエピソードとしてオリジナルで組み込んだ。
史実に従い、反乱は再度描かれる予定。

(今となっては、あの反乱があったからこその絆ですもんね。原先生の狙い通りです。)

⭕最初は信と政と羌瘣の3人がパーティを組む予定だったが、序盤はアンケートの順位が良くなく、
展開を早くしないとと焦っているうちに羌瘣を登場させるタイミングを逃してしまった。

(アンケート順位によるテコ入れ‥‥週刊連載の宿命ですね‥‥)

⭕貂は序盤の人気キャラだったが、
「もう家で信の帰りを待ってるだけのキャラでいいかな」と思っていた原先生に対し、
担当さんの意見によりフェードアウトすることなく軍師として復活。

(衝撃!はじめから考えられていたかのような展開だったのに!すごいなー。)

⭕原先生は羌瘣がヒロインのつもりだったが、
貂が軍師となり信と再び共にいることで、タブルヒロイン状態に。
原先生のお友達から集計したヒロインアンケートでは、今のところ半々の結果とのこと。

(今でも半々なのでしょうか?初めから読んできて、意見が変わった読者もいるはず。
私も最初はチビ貂がキャラとして可愛くて仕方なかった。
しかし、女らしさが増す程に何故か抵抗が生まれ、22巻で羌瘣が死の淵から生還して以後はハラハラした分、完全に羌瘣推しに‥‥)

⭕原先生はそろそろ色恋沙汰の展開があってもいいと思っている。
羌瘣と貂、両方と結婚したらダメなのかと担当さんに聞いたらダメ出しをくらったらしい。

(コレを読んで少々ショックでした。わたしはキングダムに色恋沙汰を絡めて欲しくなかった。
しかし、このことを知って、いずれ信の相手が決まるのならば絶対に羌瘣が良いと強く思うように。それからは何かあるごとにハラハラしてる。笑)

⭕原先生には、"どうしても描きたいイベント"がふたつあるらしい。
早くそこまで辿り着きたいという思いが強いそう。

(あと2回もビッグイベントが待ち構えているなんて、今から楽しみすぎる。)

⭕原先生は、キングダムは60〜70巻ぐらいで完結できたらいいと思っている。

(永遠に読み続けていたい気もするし、
完結を見届けたい気持ちもあります‥‥!)



【キャラクター能力値】

27巻時点でのキャラクター能力値。
主要キャラだけ抜粋しときます。

★信★
経験値 : C
武力 : 90+α
指揮力 : 80
知力 : 72
必殺技 : ジャンプ

★嬴政★
経験値 : C
武力 : 78
指揮力 : 98
知力 : 88
道 : 中華統一

★河了貂★
経験値 : D
武力 : 60(吹き矢付き)
指揮力 : 85
知力 : 88
料理 : 99

★羌瘣★
経験値 : C
武力 : 95+大α
指揮力 : 80
知力 : 87
かっこいいセリフ : 舞うぞ緑穂

★楊端和★
経験値 : A
武力 : 95
指揮力 : 99
知力 : 95
美貌で : もちろん100!
(↑美貌度?そのまま抜粋してます)

★王騎★
経験値 : S
武力 : 98
指揮力 : 93
知力 : 95
カリスマ : 100

★騰★
経験値 : A
武力 : 96
指揮力 : 92
知力 : 94
マジカル : ファルファル

★麃公★
経験値 : S
武力 : 95
指揮力 : 95
知力 : 70
直感力 : 100!

★蒙武★
経験値 : B
武力 : 99
指揮力 : 90
知力 : 84
道 : 天下最強

★王賁★
経験値 : C
武力 : 91
指揮力 : 87
知力 : 89
必殺技 : 龍指

★蒙恬★
経験値 : C
武力 : 88
指揮力 : 86
知力 : 90
特徴 : 代々父と似ていない

★蒙鷙★
経験値 : A
武力 : 89
指揮力 : 90
知力 : 91
誰が : 凡将フォ!

★桓騎★
経験値 : B
武力 : 93
指揮力 : 92
知力 : 95
残酷度 : 99

★王翦★
経験値 : B
武力 : 93
指揮力 : 93
知力 : 97
黒野望 : 100!

★廉頗★
経験値 : S
武力 : 97
指揮力 : 98
知力 : 96
大将軍度 : 100

★李牧★
経験値 : A
武力 : 91
指揮力 : 98
知力 : 100
政治力 : 92

★龐煖★
経験値 : B
武力 : 100
指揮力 : 皆無
知力 : 馬鹿ではない
武神度 : 100!

★春申君★
経験値 : S
武力 : 70
指揮力 : 90
知力 : 98
備考 : 最後の戦国四君


楽毅
経験値 : SS
武力 : 93
指揮力 : 100
知力 : 98
大将軍度 : 100!


* * *


他にも、漫画に対する思いを語り合った安彦良和氏との対談や、
ヤンジャン目次コメント集、おなじみおまけマンガもあったりと、
なかなか楽しめる1冊です。
‥‥コミックスサイズで905円(+税)は、
ちょっと高い気もするけど。


【メモ】
〜はじめての合従軍〜

本編(25巻)ではあまり語られなかった、
最初の合従軍についての
ワンポイント講座。

〈きっかけ〉
他国に対して横暴にふるまっていた斉。
特にひどい目に遭っていた燕の昭王は、
楽毅に斉を攻めるように命じる。
楽毅は他の5カ国を回って燕への協力を要請した。

〈戦いの流れ〉
6カ国の連合軍は、斉の済水のほとりに集合して斉と戦い、勝利。
燕以外の国はここで帰国するも、
楽毅は斉の首都を占領し、最終的には
半年で70以上の城を落とす。

〈その後〉
莒(きょ)と即墨(そくぼく)の城を攻撃中、
燕の昭王が亡くなり、
恵王が後を継いだ。
恵王は斉将・田単(でんたん)の策にはまり、
楽毅に帰国を命じるも、
楽毅は帰国せずに趙に亡命。
その後、田単は楽毅の獲った城を全て取り戻した。

キングダム 27巻 「人間全て」

*ネタバレあり*

キングダム 27 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 27 (ヤングジャンプコミックス)


前巻で騰が大金星をあげ、
まずはひとつの危機を回避した秦軍。

とはいえ、そもそもは 列国 対 1国 の戦い、
まだまだ果てしなく危機的状況継続中。

信の持ち場では万極軍との戦いがメインとなり、
函谷関では韓軍が動き出します。
そして騰の勝利で勢いづく蒙武軍と、
楚軍第2軍が出陣!

各所、緊迫の27巻です。


【あらすじ】
慶舎の策に嵌まり、後ろから攻め込んできた
万極軍に挟みうちをくらった麃公。

麃公軍の中において
直感で危機を察知した信だけは、
飛信隊を引き連れて逆走し
手遅れになる前に後方軍の立て直しをはかって
万極軍と奮戦していた。

しかし、後方軍だけでも1万の数の敵兵がいる戦場では完全なる乱戦状態に陥り、
飛信隊のメンバーは散り散りになってしまう。

「長平の戦い」の遺族・遺児のみで構成された万極軍。
彼らはもはや長平の恨みそのものであり、
怨念にとりつかれた兵たちの執念は、
味方の兵も震撼するほどにすさまじいものだった。
なかなか倒れない万極軍の異常な粘り強さに、
信たちは苦戦を強いられる。

外側から戦局を見守っていた貂は、
長すぎる乱戦でバラバラになった隊を立て直すため、戦場の中に突入。
はぐれていた隊員たちを少しずつ拾いながら
信の元へとかけつける。


そして信は将軍・万極と対峙。


万極もまた、
かつて秦の白起将軍が40万人の趙の投降兵を生き埋めにして虐殺した、
"長平の戦い"の生き残りだった。

怨念に支配された万極は、秦人への恨みから、
これまでに数々の秦人への虐殺・陵辱・蹂躙行為を行ってきた。
秦人に対する恨みを語る万極に対し、
自らも戦争孤児である信は一定の理解を示すも、
ひとつの答えを導き出す。

出口のない戦争の渦を解く唯一の答えが、
政の目指す道、
"中華の統一"
であること。

国境があるから国々が対立し、争いが起こる。
国を一つにすることで、戦乱の世の終結を目指す
政の道が、信の中ではっきりとつながる。

「人間全てが呪われている」
と叫ぶ万極に対し、
信は、誰もが万極のようになり兼ねない戦国の世の中で、
たまたま周りに怨嗟の渦から引き上げてくれる人間がいなかったために
最も怨念に取り憑かれてしまった万極を憐れみ、
もう楽になれ、と万極を斬りつける。

信は、
「俺は絶対に長平のようなことはしないし、
絶対にさせない」
と万極に誓い、
万極を討ち取るのだった。


合従軍との戦いの初日が終わり、
翌日、2日目の攻防が始まる。

2日目、
最大規模である蒙武・騰連合軍と楚軍第2軍の戦場では、
楚軍第2軍の将・カリンの指示により、
第2軍は一切動かさず元・第1軍(臨武君の軍)のみで戦術も無く秦軍に戦いを挑んでくる。

カリンは、
"凡戦を連ねて10日後に函谷関を落とすべし"
という内容の進言を李牧に伝える。
そして2日目は全ての戦場において、
地味に戦力を削り合う戦いだけで終わった。

カリン・李牧の作戦変更により、
各地とも6日目まで凡戦が続き、
7日目に入った頃、突如韓軍の総大将・成恢(せいかい)が動き出す。

毒兵器の研究の第一人者である成恢。
函谷関を護る張唐将軍の持ち場に向かって、
毒矢を打ち込み、
続いて"丹丸"と呼ばれる煙玉を打ち込んだ。
煙に包まれる張唐たちだったが、
その場では何の変化も無いように見えた。
韓軍はその後さっさと退却していき、
張唐は何かを感じながらも、成恢の意図を汲みかねていた。

しかし翌日、8日目の夜。
桓騎を呼び出した張唐の顔には、
血管が浮き上がり目から血が流れていた‥‥。


そして両軍凡戦を重ね続けて15日目。
李牧は、全軍の力を結集して
ついに函谷関を落としにかかる。
合従軍との戦はとうとう山場を迎えた。

最大規模の軍勢である、
楚軍 対 蒙武・騰連合軍の戦場では、
楚軍総大将・汗明がいよいよ出陣。
カリン軍率いる第2軍と合わせて12万もの軍勢が
秦軍を睨む。

対する蒙武・騰連合軍は約7万。
蒙武は響き渡る声で檄を飛ばし、
汗明に対して宣戦布告。
蒙武の号令がかかり、
先鋒は三千人将・壁が率いる左軍!
秦軍による突撃が始まった。




* * *




「長平の戦い」に関しては、
つくづくひどいものだと改めて思います。

変態陵辱野郎・万極に情はかけませんが、
過去の秦の仕打ちは確かに非道い。

秦軍の兵ですら引いていたこの虐殺、
命を下した白起将軍の人間性を疑いますよ。
何かいつも表情が無いし、
ビー玉みたいに冷たそうな目玉。
なんでこんなヤツが六将だったんだ。

そういえば以前、廉頗が
"白起が自害した時は涙した"
と言っていました。
自害の理由は触れられていませんでしたが、
あの廉頗に涙を流させる程の男だったのか、
個人的には甚だ疑問ですわ。

史実は連載終了までたどらないように気をつけているので、
白起についてはこの時点でこれ以上の情報がありませんが、
秦軍の好きな武将ランキングがあったら
わたしは最下位に推しますかね。
本当に非道いことをしたと思います。

万極の幼少時の回想シーン(第285話 33〜40ページ)では、
父や兄とともに生き埋めにされた場面が
生々しく描写されます。
泣きながらむせながら土を被せられていく趙の人々。
手足を縛られ、なす術もなく隣で土に埋まっていく肉親や仲間を目に焼き付けながら、
自らも土に埋まっていく。

胸が痛すぎる。

しかしながら、
貂の言うように、万極は秦の領土に攻め入っては虐殺を繰り返す凶悪な武将。

🔴貂 : 「無力な女子供まで殺してんじゃねェよ
このクソヤロォが

子供に何の罪がある
赤子に何の罪がある
まだ何も分からないでただ一方的に‥‥
命を奪われてっ‥‥

お前は長平の復讐と称して
虐殺目的で戦争をしてる最低の異常者だ」


かつての万極初登場シーンは確かに最低最悪でした。


しかし信は信なりの考えがあって、
ひとつの答えを導き出します。


🔴信 : 「こいつが善だろうと悪だろうと
味方を殺ろうって奴は許さねェ
だけど
こいつに同情の余地がなくはねェ

人の感情はそんな簡単じゃねェよ

別にこいつが特別ってわけじゃねェ
五百年の戦乱の世だ
こんな奴はぜってェいる

一歩間違えりゃ俺らだってそうなってたかも
しんねェし
万極に殺られた村に一人でも生き残りがいりゃ
すでにそうなってるかもしれねェ

キリがねェし
そんなところを考えだしても
俺らはその答えを持っちゃいねェ
誰も持っちゃいねェ
だから五百年も戦争やってんだ」


と答えます。
そして
「出口なき闇で永劫に呪い合って
答えもなく殺し合う、それが真理だ」
と語る万極。
信は、

🔴信 : 「俺もさっきまでそうなんだと思ってたぜ

俺も戦争孤児で万極ほどひねくれちゃいねェが
戦争はあるもんだって思って生きてきた
それがどうこうなんて考えが及ぶもんでもねェって感じて生きてきたんだ

だが いざ万極の醜悪ぶりを目の当たりにして
やっぱり何か答えがねェかって考えた

そしたら笑えるが今ごろになって俺は
気づいたんだ

この出口のねェ戦争の渦を解く答えを
持ってる奴を
実は俺は知ってたんだってなァ

‥‥そうだろ? テン」


元祖三人組の想いがここでつながりますね。

万極のような哀れな人間をこれ以上増やす訳にはいかない。
政の想いを実現させるためにも、
ここで秦が滅ぼされる訳にはいかない。

信が万極を斬り、

🔴信 : 「俺は長平みてェなことは絶対にやらねェし!
絶対 やらせねェ!!」

と万極に宣言するシーンは、
心底、男でした。


激動の初日が終わり、
大将首を挙げながらもテンションだだ下がりの
飛信隊。

そんな信たちのもとに、麃公将軍が直々にねぎらいに現れます。
(しっかし、信&貂キスシーン‥‥
少女マンガの定番ハプニングじゃないんだからさー!もう!要らんわぁ。。。)

🔴麃公 : 「飲めい 小童ァ
今日の勲功者は貴様じゃァ」

と酒を突き出し、

🔴麃公 : 「それとも万極に同情して世を憂い
夜通し泣くか?」

と核心をついてくる麃公さん(意外)。

結局宴となり、
伝説の掛け声
「ハア となーりーの じじーいーの
金ー◯ーはー」
が始まります(笑)!

酒盛りの中で、麃公さんにこの日の戦いぶりを褒められた信。
そして、

🔴麃公 : 「つまらぬ感傷に浸っている場合ではないぞ
今は国が生きるか死ぬかの瀬戸際じゃろ

この大戦で化けてみせろ
童(わっぱ) 信」


信、麃公さんに随分と目をかけられました。


一方、楚軍では、
初日に騰に討たれた臨武君の火葬が行われ、
項翼が号泣しながらキレまくってました。
やっぱり、臨武君は慕われていたみたいですねぇ。

そして臨武君が討たれたため、
楚軍の第2軍の将、
超巨躯女・カリン(漢字変換できず、オルドの仲間みたいになっちゃいました‥‥)が登場。
李牧に進言するほどに、
なかなかのキレ者のようす。
何だかイヤな予感。


函谷関では、
張唐じいさまが韓の毒攻撃をくらい、
命のカウントダウンが始まってしまいます。

ラストで久々に壁のあんちゃん登場!
しっかり三千人将となり、
蒙武軍の先鋒で出陣します。

勢い止まらぬまま、28巻へ続く!


【メモ】
⭕貂、信とハプニングキッスの後、信を意識しまくる。
対する信は全く動じず、
「この色ガキ あのくれェで何意識してんだ」
と頭を小突く(否、どつく)。
この時点では完全に妹扱いですね。

⭕しかし貂、すっかり信の嫁に見える。
包帯をかえてやろうとしたり、
夜食をちゃちゃっと作ってくれと頼まれたり、
ホントに良い嫁になると思われる。
(しかしわたしはそれでもキョーカイちゃん推し)

⭕おまけマンガ「テンのカブト(合従軍戦前のお話)」