キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 33巻 「不抜」

*ネタバレあり*


長きに渡って続いた合従軍編、
ついに完結です。

サイに入ってからの盛り上がりには、
結構泣かされました。。。

政たちと山の民との関係にもグッときます。

戦が落ち着いてからは、
待ちに待った羌瘣仇討ち編。
(早く帰ってきて!)

大戦の後だから中だるみしそうなところに
羌瘣を差し込んでくるあたり、
原先生の展開の進め方がニクい‥‥!

では、あらすじから。


【あらすじ】
連日の戦の疲れを背負いながらも、龐煖との一騎討ちに挑む信。

麃公将軍の置き土産で片腕を負傷している龐煖に対し、
信は、龐煖自身ではなく龐煖の"矛"を狙って
全力で剣を叩きつける。
反動で体勢を崩した龐煖の隙をつき
剣を刺し込んだ信は、
わずかに退く龐煖に対し、
龐煖の顔面に一太刀浴びせることに成功。
龐煖は矛の柄で信を殴打し、その体を吹き飛ばすも、信は再び立ち上がってみせる。

明らかに格下とみていた信に深手を負い、
戸惑いを見せる龐煖。

その時、李牧軍が割って入り、
一騎討ちの体が崩れる。
そして李牧からの"全軍退却"の指示を伝えるため晋成常(しんせいじょう)が現れ、
龐煖の一騎討ちの継続を制止。
晋成常から聞いた李牧からの伝言を受け、龐煖は退却していった。

楊端和らは龐煖を追おうとするも、
そこに晋成常が割り込み、妨害。
そこから晋成常率いる趙軍と山民族との乱戦になる。
しかしながら、山民族の圧倒的武力の前に
もはや戦局は覆ることなく、
晋成常は討ち死にし、趙軍は全軍退却したのだった。

ついに李牧軍を撃退した秦軍。
サイでは喜びと歓声が沸き立つ。

バンコ族との山界の大戦を投げ出してまで
駆け付けてくれた楊端和に、
心からの感謝を伝える政。
住民たちも、頭を下げる政にならい、
楊端和ら山民族に対し敬意をはらうのだった。

その夜、サイの城では住民たちと山民族とで
宴が開かれ、秦の勝利を祝う。
翌日も政は一日中サイを回って住民たちをねぎらった。
そしてその翌日、楊端和とのまたの再会を誓って、咸陽へ戻るのだった。

一方、
サイから退却した李牧軍が4日をかけて函谷関前の合従軍へ合流した後、
合従軍は全軍函谷関から完全撤退。
総司令である春申君は、
合従軍の"落としどころ"をつけるため
秦で軍の解散はせず、
"離反国・斉"を裏切り者とし、侵攻することに。

次は合従軍 対 斉 の全面戦争になろうとしていた。

しかし、合従軍の背を追う蒙武軍の猛追により、
斉の被害はそこまで拡大せずにおさまり、
斉の都市・饒安(じょうあん)を落としたところでようやく合従軍は解散するのだった。


それから、一ヶ月の月日が経った。

咸陽では、此度の合従軍戦に対する
論功行賞が行われる。

今回の戦いでは、
各所の将をつとめた
蒙驁・張唐・桓騎・王翦・蒙武・騰・麃公
の七将の功績に序列をつけることは難しく、
一将を除き六将には等しく
国防の"特別大功"が授けられた。
そしてこの大戦の第一功は、
ひときわ武功の厚かった蒙武に与えられる。

次に、今回の論功行賞では、
この七将に継ぐ三つの"特別準功"が与えられた。

一つ目は、サイの住民へ。
二つ目は、山の民の王・楊端和と、その一族へ。
そして三つ目は、何と信に与えられた。

信は、
初戦で趙の万極将軍を討ち取り、
その後南道の李牧軍を麃公と負い、そこで戦い刻をかせぎ、
サイでは最激戦区となった南壁の将として守り抜き、
最後には三大天・龐煖に立ち向かい、一騎打ちの末に秦国の武威を示した、
という多くの功績により
三千人将へ昇格となるのだった。


半月後。
三千人隊となった飛信隊は、千人将・岳雷(がくらい)を含む麃公兵が加わり、
信はいつにも増して張り切っていた。

新生飛信隊が、
合従軍の侵攻による復旧作業と
敵軍からの防衛にあたっていたその頃・・・

場面は切り換わり、
趙国、老眉(ろうび)。

象姉の仇討ちのため、現蚩尤・幽連を追っていた羌瘣は、
かつて"祭"から脱走し、現在は外界と羌族をつなぐ一団の人物・羌明(きょうめい)に会い、
幽連の所在に繋がる情報を聞き出そうとしていた。

羌明は、かつて覚悟が足りずに恐ろしくなって"祭"から逃げ出した自分の素性を羌瘣に語る。

追っ手を返り討ちにし、
命からがら逃げ延びた羌明は、
羌族から"一族のために一生を情報役として
つとめるのであれば見逃す"
という取り引きを受け、
外界で暮らしている一団の長となっていた。

秦に家を持ち、夫や2人の子どももいると話す
羌明に、
羌瘣は興味を持つ。

外界を夢見て"祭"で命を落とした象姉のことを
思うと、
羌明のやり方は狡いと感じる羌瘣だったが、
がむしゃらに生きるその生き方も
一つの道としてあってもいいのではないか、と
羌明に語り、
羌瘣の言葉に対し礼を言う羌明だった。

羌瘣は、羌明から幽連の根城の場所を聞き、
"老山"へ向かう。

幽連は、蚩尤となった後に人格が崩壊したという。
初めは魏王に抱えられたが、
手に余った魏王は幽連を追放。
その後趙へ流れ、幽連はもはや手がつけられない状態となっているらしい。

羌瘣は老山に入り、ついに幽連と対峙。

羌瘣が自分を追っていることを知っていた幽連は、22人もの一族の巫舞使いを呼び寄せ、準備していた。
あえて情報を流し、羌瘣をおびき出したのだという。

幽連は羌瘣を挑発し、一族の手下と戦わせる。

羌瘣が巫舞を使うと、手下達では相手にならず、
羌瘣はついに幽連まで辿り着く。

最深の巫舞で幽連に向かう羌瘣。
しかし、幽連は羌瘣の動きを見破り、
羌瘣は呼吸が尽き巫舞が解けてしまう。

才能がずば抜けていても、
祭をくぐっていない羌瘣の巫舞はままごとだ、
と罵る幽連に、羌瘣はその場に崩れ落ちるーー。



* * *



サイ、"不抜"となりました。(涙)

信×龐煖もどうなることかと思ったけど、
麃公さんの置き土産のおかげで善戦!
まさか龐煖の顔面に傷を負わせるなんて、
びっくりしました。

ちなみに信が龐煖に一撃を入れる時、
羌瘣が微笑む顔とリンクしますが、
何この通じ合ってる感。。。(ドキドキ)

しかしこの時のための麃公の死だったのかと思うと、
今後の展開も含め物語のつながりが壮大すぎて胸が詰まります‥‥!

端和様のシーンも痺れました。

🔴晋成常 : 「山猿風情が 許さぬぞ
部外者の貴様らのせいで
今 この時 中華の歴史がねじ曲がってしまったことが理解できておるのかァ!!」

🔴楊端和 : 「当然理解している!

だが これは気まぐれな干渉などではない

四百年前の秦王 穆公(ぼくこう)の生んだ盟
そして現秦王とこの楊端和の結んだ同盟によるものだ」

🔴晋成常 : 「そ‥‥そんなも」

🔴楊端和 : 「それ以上さえずるな
平地の老将よ」

「黙って貴様らは敗者として史に名を刻め」


くっ‥‥!!カッコよすぎるよ端和様!
次の次のコマで尾平・去亥・慶の3人も
頬を赤らめてやがるぜ!!

そしてハニワ男・晋成常はバジオウに殺られちゃいました。

李牧も山民族の登場によりついに退却を決意し、
まさかの合従軍敗戦の将となりました。


政と楊端和のシーンは良かったですねぇ。
政の振る舞いを見た秦兵・サイ住民たちが
山の民に敬意をはらうところにもグッときました。
端和様が望んでいた、"外界との交流"の
大きな第一歩が、今ここに!

さりげに端和様を見ては終始顔が赤い壁(へき)でしたが、恋バナ大好き介億先生にさっそく目を付けられていたところが笑えます。

ボロボロになったサイの城下を見つめながら
政が信に弱音を吐くシーンも、今後に生きてきそうな良いシーンでした。

自分がたきつけたせいで、サイの人口の半分を失わせたという現実に胸を痛ませる政に対し、
信が話します。


🔴政 : 「やはり違うものだな
王宮にて報告で知る戦争と
実際に目の当たりにする戦争は」

🔴信 : 「‥‥当たり前だ
そこで何も感じねェ奴は頭がどうかしてるし
そんな奴は絶対に人の上に立っちゃいけねェ

‥‥‥ たしかにお前にそういう計算があったのは本当だろうよ
だけどな 政 オレは途中から思ってたんだ

民もバカじゃねェ
連中も乗せられてることに気づいてんだろうなって

気づいてなお
あんなに目ェ輝かして最後まで戦ってくれたんだと思うぜ」



信がこう言い切ったことで、
政は大分救われたんだろうな。

2人の友情も熱いぜ‥‥(涙)。



そして論功行賞です。

なんと信が"特別準功"受賞!!

功績を政が読み上げる時、
内容から既に信のことであると分かります。
分かって聞き入っている昌文君の表情に、
何故だかわたしの涙腺はゆるみました。
もう、息子だか孫だかを見るような目です。。。

信はめでたく三千人将昇格で、
壁にも並びました。(青ざめる壁。笑)


そして合従軍が去り、平穏が戻った秦。
新生飛信隊には、麃公兵が500人加わり、
戦力増大!
新キャラ・岳雷(がくらい)千人将と
ちょっとヤンキーちっくな我呂(がろ)が登場。

「飛信隊の軍師が小娘というのには驚いた」
と話す我呂は、
さらにその女軍師は剣もかなりの使い手らしいとどこかで聞いたらしく、
噂では貂と羌瘣がごっちゃになっているもよう。

(まあ、貂がくるまでは羌瘣が飛信隊の軍師的役割を担っていたし、更に凄腕の剣士ということで、あながちその噂は間違ってはいないけどね?)

羌瘣を思い出し、尾平、慶、昂、田有らが思いを馳せるシーンで、
貂だけが複雑な表情‥‥
(嫉妬か?まさか嫉妬なのか?)。

尾平が羌瘣に早く会いたいよー!と叫ぶ場面から、
物語の場面は羌瘣のいる趙・老山へと移ります。


まず、
ちゃんと仇討ち描いてくれるんだ!
とテンション上がりました!

象姉の仇である幽連に、やっと辿り着いたところから仇討ち編が始まります。

少しだけ時がさかのぼって。
羌族の協力者・羌明と出会うシーン。

かつて"祭"から逃げ出した自分の過去を、
本音で語る羌明に、羌瘣は少し興味を持ったようです。

さらに羌明には秦に家庭があり、子どもも2人いると聞き、
「子供とかいるのか‥‥二人も‥‥」
「へー 子供‥‥って どう‥‥」
とか何とか、ひとりで微笑みながらつぶやく羌瘣。
何やら子供に興味を持ったもよう。

‥‥ここでの会話がきっかけとなり、
後に爆弾発言をすることに繋がるという
衝撃の事実は、まだ本人も知らない‥‥笑



羌瘣は、同族の者と話す時は
年相応の少女に見えますね。

象姉が死んだ時に自分の中の何かが壊れた、
と羌瘣は以前信に話していましたが、
今でも里のバァや識や礼と話す時、
そして今回羌明と話している時の
羌瘣の表情と口調は、どこかやわらかい。

飛信隊にいた時なんて、無愛想な上に
口調も固かったので、
このあたりのギャップも興味深かったです。


そしてついに積年の思いを果たすべく、
幽連と対峙する羌瘣。
用意周到な幽連は、幽族から手下どもを22人も
引き連れてきていました。

幽連は高みの見物で、
羌瘣を見下ろしながら挑発します。

🔴幽連 : 「こいつはもう一人の代表だった
象(しょう)という女のせいで"祭"に出られなかった

こいつに勝てないと踏んだ象に香(こう)で眠らされたのさ
アッハハハハ」

🔴羌瘣 : 「!!」
「違う 象姉は私と戦いたくなかったからそうしたんだ
勝てないとかそういうことじゃない」

🔴モブ幽族手下 : 「ブハハ
そりゃァ本人に聞いてみねェと分かんねェだろ

あーでも もうそいつ おっ死んでんだっけ?」

🔴羌瘣 : 「‥‥貴様」


このやりとり、非常に腹立たしくもありましたが、
妙に頷かされる考えでもありました。

確かに、象姉は妹のように思っていた羌瘣と戦いたくなかった。
しかし他に自分たちより強い相手が見受けられなかったことから、
羌瘣と戦うことになるのは必至。

羌瘣の性格をよく知る象姉は、
羌瘣が"祭"で自分を初めに狙うとは思えず、
(羌瘣自身も、象姉が生き残るために他の氏族を先に片付けるつもりでいた)
自分と戦うころには羌瘣の呼吸は尽きかけているだろうと予想。
どうしても羌瘣を殺したくなかった象姉は、
香で羌瘣を眠らせ、
ひとり"祭"に出向いた。
羌瘣の才能が突出していることを知っていた他の氏族のバァ達も、羌瘣の不参加を黙認した。

これが5年前の"祭"での出来事でしたが、

読者の私たちは、羌瘣の思いも、象姉の葛藤も
知っているからこんなのは挑発にすぎないと
分かるけれど、
知らなかったとしたら、
幽連が言うように、羌瘣に勝てないと見越した象姉が香を盛った、
と考えられなくもないですもんね。

羌瘣にしてみれば、象姉の思いは自分の想像でしかなかった。
そこにこんな侮辱と挑発を受ければ、怒りで我を忘れてしまってもおかしくないぐらいです。

しかし、想像以上にというか、想像通りに
羌瘣が象姉を信じる思いは強く、
自分の想像は確信だったため、あまり意味は無かったようですが。

さらなる挑発にも負けず、羌瘣は冷静に
巫舞を使わずにできる限り素の呼吸法だけで手下共を斬っていきます。

そして幽連との決戦へ。

ところが予想に反してめちゃくちゃ強い幽連!!

羌瘣の最深の巫舞が破られてしまい、
大ピンチに!!


🔴幽連 : 「卑怯な手を使う私は弱いとでも思っていたのか?

それとも姉への愛が力になると思ったか?
怒りが力になると思ったか?
そんなままごとが蚩尤に通じると思ったかクソガキ」

🔴羌瘣 : 「‥‥何だとっ‥‥」

🔴幽連 : 「巫舞とは
精神を内の深い所へ向け 人の秘められた力を
引き出す術だ

その集中力を生むために 特殊な呼吸法と
神堕としの舞で意識を陶酔の中に落とし込む

ならば 怒りだの愛だの
感情のさざ波は意識を外に縛りつける鎖以外の何物でもない

巫舞が意識を外から乖離させ
内に向けさせるためだけのものならば
そこを縛りつける現世のしがらみ
情だの何だのを断ち切れば話は早かろう

それを強制的にやろうと考えて作られたものが何かーーー

分かるか小娘」

🔴羌瘣 : 「‥‥ "祭"か」

🔴幽連 : 「その通りだ」

「今の私は助走なしに巫舞と同じ領域まで落とせる」

🔴羌瘣 : 「!」

🔴幽連 : 「"祭"をくぐったからだ」

「生まれ持った才能はお前が一番なのだろう
だが肝心の"祭"をくぐっていない
お前は本物の蚩尤になり損ねたんだよ間抜けが」




‥‥思ってた。
卑怯なオマエは弱いと思ってた。
愛だの怒りだのが力になると思ってた。

幽連、めちゃくちゃ強かった‥‥!!

羌瘣、どうなる?!



次巻へ続く。




【メモ】
⭕信、"王騎の矛"と"麃公の盾"を、
"信用できるダチ(政)"のところに預ける。

⭕信、三千人将へ、
王賁、三千人将へ、
蒙恬、二千人将へ昇格。
蒙恬、地味に値千金の活躍してるのになー。

⭕飛信隊・竜有、料理が得意と判明。

⭕幽連による"五年前の祭で最も蚩尤の座に近いと言われていた女"発言により、
羌瘣の現在の年齢は18歳と判明。
("祭"の時13歳だったことから。)
ちなみに羌明は32歳前後と思われる。

⭕おまけマンガ
「クイーン 端和様」

⭕カバー裏は、
ワンポイントでバジオウ、
裏表紙は信、政、羌瘣、貂プラス何故かオギコ。笑