キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 48巻

 *ネタバレあり*

キングダム 48 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 48 (ヤングジャンプコミックス)

 


表紙は王翦×李牧!

青と赤の背景色が2人の対比をはっきりと示していて、
まさに48巻の内容そのものが表されております。

気づかぬうちから既に始まっていた李牧と王翦の頭脳戦、
今巻はほんとに読みごたえがありました!

前巻で、鄴攻略のために練り出した王翦の策がやっと明らかになりますが、
息つく間もなく開戦するので
あんな配置やこんな配置にどきどきが止まりません。

久しぶりの大戦です!


それではあらすじから。


【あらすじ】
李牧が王都圏へ戻るまでの一刻を争う事態の中、本命の鄴を攻めずに周辺の小城を落として兵糧を奪い、住民を避難させはじめた王翦

意図が掴めない王翦の指示に不安と動揺を隠せない信たちだったが、
王翦は鄴の周辺にある城を何手かに分かれて分担しながら足並みをそろえて落としてゆき、
そこでも同じように兵糧を奪って住民を"東"の方角へと追いやるように指示を出し続けた。

最終的に、9つもの城の住民が難民となって東へ向かい、
秦軍が周辺の城を“西から順に”奪ったせいで、
住民たちの行き着く先は必然的に“東に位置する鄴"となっていた。


趙国南東部に難民の大行列ができていたその頃、ついに李牧が王都・邯鄲へと到着する。

李牧は、中華でも屈指の不落城・鄴へと秦軍を誘い込み、周りを囲って封じ込める"兵糧攻め"の策を実行する考えであった。

しかし、秦軍に落とされた城からの難民が次々に鄴へと向かってきていることを知った李牧は、
この時初めて王翦の行動の目的に気づく。

鄴の城主・趙季伯(ちょうきはく) は、難民を全て受け入れ食糧を与え続けており、
李牧が邯鄲へ帰還した頃には、鄴に蓄えられていた兵糧は、蔵5つ分もが空になっていたのである。

李牧は、王翦の目的も
"兵糧攻め"
であると確信する。

王翦は、李牧の兵糧攻めの策を受けながらも、趙国の民を利用して兵糧攻めで返そうとしているのだった。

鄴の兵糧が尽きるか、または退路を断たれた秦軍の兵糧が先に尽きるかで戦の勝敗が決するという、前代未聞の
"兵糧合戦"
が始まったのである。



準備が整い、鄴を目前にした王翦は、ついに此度の趙王都圏における戦いの全容を説明する。

このまま兵糧合戦を続けていくと、
鄴の食糧が尽きて城が落ちる前に、
必ず趙王都圏の各軍が鄴を秦から解放しようと四方八方より群がってくると予想される。

しかし、実質的には、秦の包囲を崩壊させ鄴を解放することができる力の強い勢力は
・閼与(あつよ)
・橑陽(りょうよう)
の2軍のみであると王翦は断言する。

王翦は、この2軍の迎撃に出る必要があるため、各軍を分けてそれぞれの持ち場を指定した。

●鄴 = 桓騎軍(兵60000)

●橑陽 = 楊端和軍(兵50000)
+壁軍(兵8000)
+桓騎軍(兵2000)

●閼与 = 王翦軍(兵70000)
+玉鳳隊(兵5000)
+楽華隊(兵5000)
+飛信隊(兵8000)

王翦は、閼与が本命だと予想し、配分を厚く持ち自らも出陣する算段であった。
閼与では、李牧が必ず指揮を執るであろうと確信していたのである。

一方、李牧も王翦の動きを予測していた。

李牧は、王翦が閼与に向けて戦力を厚くするであろうと読み、
橑陽へは側近・舜水樹を大将として公孫龍とともに10万規模の軍を任せ、
主力の残りは李牧と共に全て閼与を受け持つよう命じる。

鄴が秦軍によって"陥落"させられるか、
趙軍によって"解放"されるのかは、
実質的にこの2つの地による戦いの勝敗にゆだねられることになったのである。



それぞれの持ち場で、趙軍との攻防戦が始まった。

鄴に残った桓騎軍は、秦軍の包囲から鄴を解放しようと襲来してくる趙軍勢を、次々に撃退していた。

一方、橑陽の地では、舜水樹の合流を待ちながら様子を伺っていた公孫龍ら趙軍に対し、
楊端和率いる山の民軍は守りに入らずに出撃。
山民族の戦闘能力を推し量りつつ慎重に動いていた公孫龍らは、
予想を上回る山民族の破壊力によって完全に先手を取られていた。


そして本命の決戦地・閼与に位置する
"朱海(しゅかい)平原"では、
王翦軍と李牧軍が共に配置につき、布陣が敷かれた。


●秦軍 : 兵88000
●趙軍 : 兵120000

〈秦軍左翼〉楽華隊(兵5000)
〈趙軍右翼〉紀彗・馬呈軍(兵30000)

〈秦軍中央軍〉王翦軍・飛信隊(兵58000)
〈趙軍中央軍〉李牧軍(兵60000)

〈秦軍右翼〉亜光軍・玉鳳隊(兵25000)
〈趙軍左翼〉馬南慈・岳嬰軍(兵30000)


このように両軍の配置が決まる。

秦軍の第1陣は、蒙恬率いる楽華隊であった。

相対する趙軍右翼・紀彗軍3万に、たった5千の楽華隊をぶつけるといった王翦の挑発的な布陣に対し、
李牧は怪しい誘いであると理解しつつもそれに乗る。
そして紀彗軍を前進させ、ここに開戦の火蓋が切られた。

左翼の無茶な配置に対し、信らは蒙恬の身を案じるが、
蒙恬は騎馬の機動力を駆使して急襲と離脱を繰り返し、紀彗軍の戦力を削いでゆく戦術をとり、次々に敵兵を狩っていく。

紀彗は蒙恬の動きに警戒し、即座に陣形を変えて対応するが、
その時、中央軍に位置していたはずの王翦軍・麻鉱軍(5千)が突如現れて紀彗軍を襲撃。
さらに奥より、第2波として5千の騎馬隊が姿を現し、さらにその奥から5千から1万もの歩兵軍勢が現れた。

王翦は、楽華隊の”陽動”の効果によって紀彗を翻弄させているその隙に第2波、第3波と続く軍を出現させて急襲をかける”波状攻撃”を仕掛けていたのである。

5千もの敵が急に加わったことで、紀彗兵は秦軍が数万に膨れ上がったかのような重圧を感じ、士気が大きく下がっていた。

紀彗は、大軍が押し寄せてきたと気圧されている自軍の兵を奮い立たせ、
軍の総数の差と離眼兵の質で必ず巻き返せると檄を飛ばして立て直しを図る。

しかし紀彗は、開戦当初は”挑発・陽動”の役割でしかなかった5千人隊・楽華隊の存在が、今や”主攻”となって自軍を脅かす存在に化けてしまったことに驚愕し、
この盤面を描いた王翦と、実行してみせた蒙恬に対し、脅威を感じていたーーー。



同じ頃、秦軍右翼では、王翦軍第1将・亜光将軍より王賁へと策が伝えられていた。

開戦の激突は亜光が請け負い、玉鳳隊は乱戦の場から離れて好機が来るまで待機せよ、という指示に対し、王賁は反発する。

しかし趙左翼・岳嬰軍が1陣として1万の軍勢を動かしてきたため、亜光将軍も出陣することになり、王賁は指示通り待機することに。

亜光将軍は趙軍を正面からねじ伏せていくが、第2陣として出陣してきた趙軍・馬南慈が強烈な横撃を加えてきたため、苦戦を強いられていた。

その時、玉鳳隊は馬南慈の方向に向かって突入。
王賁は待機の命を破り、自らの戦術眼による判断によって乱戦に割って入り、亜光軍の危機を救ったのであった。

玉鳳隊が後方の敵を足止めしている隙に、王賁は敵将を討ち取るべく前方へと向かおうとするが、
なんと馬南慈の方から王賁の目の前に姿を現す。

趙国北の極地・雁門(がんもん)で大騎馬民族匈奴(きょうど)から土地を守っていた馬南慈は、
六国全てを踏みにじろうと軍を起こす秦王に対し、匈奴以上の憎しみを抱いており、その怒りを王賁にぶつける。

王賁は、
“一大国へ”という秦王の考えは、中華史が求める”答え”であるという見方もできるという見解を示し、
秦王の刃として”力”で是非を決すると宣言し、馬南慈と対峙するーーー。

 

* * * * *

 

ついに李牧との戦いが始まりました!

前巻で、李牧が迫って来ているというのに鄴を直ぐに攻めず、退却もせずに謎の小城攻めを繰り返していた王翦でしたが、
昌平君ですら想像もできなかったその王翦の策とは、”兵糧攻め”さらに言えば”兵糧攻め返し”でした!

策の真意が分からず戸惑いまくっていた信が、

「ヤイ 王翦将軍
俺たちはこんなことやってる場合なのか!?
一刻も早く鄴へ向かうべきなんじゃねェのか!?」

と“おバカの特権(蒙恬談)”で王翦に不満をぶつけていましたが、
“ヤイ 王翦将軍”って、、
信、可愛すぎかよ 笑

王翦は信が持つ王騎の矛をチラリと見て、
改めて策の概要を話しますが、
信たちにはその目的自体は不明なまま。

そして列尾が趙軍に占拠され、いよいよ退路が断たれたという状況の中、
王翦から与えられた命は、変わらず”城を落として住民を東へ追いやる”ことのみ。

信だけでなく蒙恬や王賁ですら、王翦の目的が読めぬままで不穏な空気が漂っていましたが、
ふと羌瘣 が
「あ 分かった イナゴだ」
と発言したことがきっかけとなり、
初めて信たちにも王翦の策の真意が明らかになりました。

イナゴなどのバッタ類は、多数で群れる群生行動をとるため、大量に発生すると稲や草木を短時間の間に食べ尽くしてしまい、
周辺地域に飢饉をもたらす害虫となる特性がある‥‥
余談ですが、この現象、「バガボンド」作中などでも見たことあります。

つまり、羌瘣 の発言は、

多数の群れ(追い出した住民)=イナゴ
兵糧を食べ尽くす(+秦が奪う)=飢饉

の例えということで、、、
王翦の真の目的は、

鄴周辺の小城の住民をわざと西側から順番にタイミングを図りながら追い出していく

イナゴの大群が次の餌を求めるかのように東の城へと住民を進ませる

小城にあった兵糧は秦軍の蓄えの足しにしつつ、城の備蓄を空にしてゆく

大量のイナゴ難民を最終的に鄴へ投入することで、鄴の蓄えを難民たちが食いつぶすように仕向ける

ということだったんですね。

鄴の城主が人がよく、民のためだとどんどん難民を受け入れていたことと、
李牧が王翦の目的に気づいた頃には王翦の仕込みが既に終わっていたことにより、
鄴は、9城の難民を受け入れたまま籠城に入らざるを得ない状況に陥りました。

しかしながら、、、
あの桓騎に
「やっぱお前 ぶっ飛んでんな」
と言わしめる王翦、どんだけだよ!!?笑

桓騎や昌平君ですら予想できなかった策を練り出した王翦の頭脳、六将級という噂は本当のようですね、、、。

そんな感じでもう後にはひけない秦軍です!

対する趙の李牧の方ですが、
この緊急事態に際し、王都・邯鄲から精強な兵10万ほどを出陣させるため、
趙王に許可を得に行きますが、
やっぱり答えはノー。

趙王はいけしゃあしゃあと、
「邯鄲なら20年ぐらいは籠城できるし
自分が死んだ後に国や民がどうなろうが知らん」
と言い、あまりのクズさにさすがの李牧も落胆しており、なんかちょっと可哀想になってきました。

今回は李牧、
「暗い‥‥あまりにも‥‥」
とかなり絶望してましたから‥‥カイネも相当ショックを受けてましたね。

この趙王の愚王っぷりは、
古くは呂不韋の春平君誘拐事件から、廉頗の一件、李牧の“政のような王に仕えたかった”発言などなど、
以前からちょいちょい差し込まれてきていましたが、いざこれから趙が秦に統一されるかどうか、という時にはこれらのエピソードの説得力がめっちゃ効いてきそうですね。
そしてその刻は近いかもしれません。

でもそんなクズ趙王に、嘉(か)太子という立派な息子がいたとは驚きでした!
心なしか政に似た面持ちの、李牧や趙にとっては唯一の光的存在。

果たして嘉太子の時代が趙に来るのか否か、、、すべては今回の戦次第ですね。


さて、開戦です!

王翦は、鄴・閼与・橑陽に軍を分けて配置。
戦のメインとなるのは閼与です。

今巻では、王翦と李牧の対比がコマ割りで特徴的に表されていて、何だか新鮮でした!
原先生は、本当に飽きずに読ませるのが上手いですねー。
読んでいてすごくワクワクしました。

閼与での戦いは、第1陣が何と楽華隊。
しかも、3万の紀彗軍に対してたった5千の蒙恬軍!

無茶ぶりが過ぎるとも思われたこの配置に、
副長のじィなんかは心配でたまらないようでしたが、側近・陸仙(イケメン)に蒙恬を託す時のやりとりはすごく微笑ましかった‥‥

しかし蒙恬、しっかり期待に応えます!
おそらく王翦の想像以上の働きをして、明らかに不利かと思われた盤面を一気に覆し、紀彗を追い込みました。

個人的には、黒羊戦で離眼の過去を知ってしまった以上、敵ながら紀彗の首が獲られるのはちょっと辛い気持ちになってしまいそうなのですが。。。仕方ないとはいえ。

ところで今回驚いたのは、蒙恬のあまりの聡明さに、開戦前王翦蒙恬を側近に加えようとしていたところ!!

王翦お得意のヘッドハンティング出た!!

しかし蒙恬は、毅然とした態度でこれをあしらい、王賁を思うが故の切り返し。

名家の嫡男という同じ立場同士にしか分からない、王賁への蒙恬の思いが垣間見えたシーンでした。
王翦も、蒙恬が何を言いたいのかは分かっているような雰囲気でしたが、
ここの親子の関係って本当にどうなってるんでしょうねー?

そしてこの流れのまま、今巻ラストは右翼側の王賁。
ホント48巻はめちゃ内容が詰まってる!
いろんな場所でいろんなことが少しずつ動いてます。

王賁は、父・王翦軍の第一将・亜光将軍とともに、
岳嬰&馬南慈&元三大天・藺相如(りんしょうじょ)の側近・趙峩龍(ちょうがりゅう)と戦います。

亜光に、乱戦に入って来ずに外で好機がくるまで待っとけと言われて激怒する王賁ですが、
亜光に自惚れるなと諌められました。
王翦が関わると、王賁はかなり私情が入りますね。これは本人も認めているところではありますが。

めっちゃ強面の亜光将軍は、王翦の1番の右腕ながらも意外に
“小細工を好まぬ武人”らしい。
正面から堂々と思いきり敵にぶつかりに行くスタイルだとか。

関常が、
「父君に認めて頂きたいのならよく見ておくといい」
と言わしめる亜光の“攻め”、
自軍の兵を踏み付けてでも全速力で正面からぶつかるという、非情なほどの冷徹さ。

あの王翦の最大の信頼を小細工無しの武力で得ているとは、よっぽどですな。。

結局、馬南慈が横撃してきたために王賁は命に背いて自らの判断で出陣しましたが、

中華統一の野望を抱く秦王・政に対して
「人の皮を被った獣中の獣よ」
と罵った馬南慈に、

🔴王賁 : 「この五百年で百あった諸国が七つに糾合・淘汰された
“一大国”へという流れは
この中華史が求める“答え”という見方もできる」

「無論 貴様らの言い分も百も承知だ
互いの思いの折り合いがつかぬから
“力”で是非を決するこの戦場がある

来い 馬南慈
秦王の刃として 貴様をここに沈めてやる」


と王賁が返すラストシーンにちょっと感動しました!

 

46巻で、信と蒙恬とともに、
直々に政から

「必ずこの戦で大功をあげ
三人そろって“将軍”へと昇格しろ」

と命じられたこと、

「間違っても 死ぬなよ」

と言われたことに対し、

「ありがたく」

と返した王賁。

自国の王だから当然だとしても、王賁の中で、政は命を賭して刃となるべき存在になってたんだなー‥‥

政が掲げる中華統一の意味も、自分の中に王賁は落とし込んでその意味と目的を理解し、王賁自身の目標に昇華させているところが
かなりジーンときてしまった‥‥

政、もうすっかり王様!!(涙)

政からの命令でもあるし、今回必ず3人が将軍になるために大功をあげないといけないんで、今の時点では
蒙恬は、紀彗を。
王翦は、馬南慈を。
信は、、誰になるんだろう!!

想像しただけでワクワクしますねー!

49巻が待ち遠しすぎます!

 

【メモ】
⭕️桓騎軍兵60000は、壁軍に兵2000を派遣したので実質兵58000?

⭕️壁、楊端和の援軍としての任を受け、気合いが入る。笑

⭕️橑陽の城主は、クセありらしい。
“城に巣食う主力部隊”とやらも存在するらしい。

⭕️公孫龍は、“副将として”有能らしい。

⭕️舜水樹、北の遺児らしい。
雁門のこと?

⭕️宮康、嫌な感じがするが、何とか生きのびる。

⭕️おまけマンガなし。
カバー裏:表紙側・イナゴ
裏表紙側・蒙恬

⭕️カラー中表紙は、兜を被ってテレる羌瘣。 羌瘣 ちゃんは本編で出番が少ない時、中表紙に出てくれることがある。笑