キングダム 60巻
*ネタバレあり*
長期にわたり更新が滞っておりましたが、ぼちぼち再開していきたいと思っております。
気づけばはてなさんの仕様も変化しており、さまざまな機能が追加されておりますが、
こちらのブログはいっさいアップグレードされない相変わらずの見づらさ&長文での再スタート!笑
まことに恐縮ではございますが、変わらずお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは節目の60巻、あらすじからまとめてまいりますね。
【あらすじ】
邯鄲を脱出し嘉を無事に逃した後、舜水樹や馬南慈たちと合流した李牧。
舜水樹は、置かれた状況から
投降して断罪されるのか、
王命に背いた反乱軍として逃走を続けるのか、
邯鄲に攻め入り新王と郭開を抹殺して嘉を王位 に就かせるのか、
どの道に進むべきかを李牧に問う。
さらに舜水樹は、
邯鄲を落とした後 嘉ではなく
"李牧が新王朝を築く"
という道もあると提案しようとするが、李牧はそれを遮り舜水樹を厳しく諫める。
李牧は、再び自分が軍総司令に戻るまでの間、
三大天候補の1人・司馬尚(しばしょう)のいる青歌(せいか)へ身を潜めて機会を待つという考えを示す。
馬南慈たちはそれを受け入れ、来たる刻を待ち李牧一行は青歌へと旅立つのであった。
◆
一方、秦国内では不穏な動きがあり、政たちの頭を悩ませていた。
河南(かなん)の地にて、世俗を離れひっそりと暮らしているはずの呂不韋のもとに、かつての呂不韋一派やロウアイ一派の残党たちが集っているというのである。
現朝廷からはじき出された者たちが集まれば、いずれ大王に反発する巨大な勢力にもなりかねないと危惧する肆氏は、呂不韋の命を絶つべき刻に来たのではないかと政に進言する。
政は直接自らの目で状況を確かめるため、呂不韋のもとへ向かう。
呂不韋と対峙した政だったが、政からみて呂不韋に特別な変化は見られなかった。
呂不韋は、今回のように反乱分子が集まってくる原因は自分にあるのではなく、政自身にあると忠告する。
呂不韋を死刑にせず生かしておけば、こうなることは予測がついたであろうこと。
刺客を送って暗殺することもできるにもかかわらず、身ひとつでかつての"敵"に会いに来るような政の"優しさ"は、
武器である反面
「先々に唯一の弱点と成り得る」
とさらに警告しながらも、
呂不韋は
「中華統一を実現し人の正体は"光"だと自分に証明してみせろ」
と言って政を抱きしめ、心から武運を祈ると伝えるのだった。
その後、咸陽に戻った政のもとへ
呂不韋が自殺したという報が届く。
始皇12年(紀元前235年)のことであったーーー。
◆
鄴攻略の翌年、未だ秦軍は趙の邯鄲手前にある大防衛線を抜くことができずに苦戦していた。
趙との膠着状態を打破するため、咸陽本営の昌平君は"魏国との同盟"を提案する。
黄河をはさみ鄴の真下に位置している魏国からの侵攻を防ぐために、秦軍は魏国との前線を手薄にするわけにはいかない。
魏国から黄河を渡る船団を使って攻めてこられたら、秦国はせっかく獲った鄴さえ奪われかねないからである。
昌平君は、
「秦と魏で3年間の同盟を結び、楚の"什虎(じゅうこ)"城を共闘して落とせば、同盟の対価としてそのまま什虎城を魏に渡す」
という条件を魏に持ちかける。
什虎城は【魏・楚・韓・秦】4か国の国境地帯であり、中華でも指折りの最重要地であった。
どこの国も是が非でも手に入れたいと望む城である。
秦との同盟など即否決の心づもりであった魏国本営だったが、昌平君に提示されたこの特殊な条件を聞き、呉鳳明に意見を求める。
◆
楚国・什虎城は、しばらく大きな戦が起こっていない状況にあった。
城主・満羽(まんう)将軍ら什虎陣営は、それ故に暇を持て余していた。
什虎城は、満羽をはじめ、千斗雲(せんとうん)・玄右(げんう)・寿胡王(じゅこおう)ら好戦的人物たちが集まり根城としていた。
彼らは、元々楚国に吸収された国々の大将軍たちであり、彼らが管轄している什虎城は不落の城であった。
昌平君は、魏国からの同盟・共闘の返答を待たずして、前線の蒙武に
"什虎攻め"
実行日の日付を知らせていた。
そして蒙武は日付の通りに、開戦の火蓋を切って落とす。
蒙武軍3万に対し、什虎軍は軍勢8万。
そもそも魏国との共闘ありきで組まれた什虎攻め計画であったため、
数々の大戦に全勝しているほどの実力を持つ什虎軍に対し単軍で開戦するなど無謀だと考える軍師・蒙毅は、
父・蒙武へ援軍が来るまで戦をとどまるように進言するが、
蒙武は什虎・満羽軍の包囲陣の中へと飛び込んで行くのだった。
ほどなくして、騰率いる援軍2万が到着するが、
同時に楚・媧燐が送った楚の援軍3万も参戦してくる。
しかもこの援軍は、合従軍の戦いで秦に因縁がある項翼と白麗が半数ずつ率いる軍であった。
援軍の出現により楚軍の勢いは増し、秦軍にとって一方的な戦況に陥ってしまう。
蒙毅が全体の立て直しをはかるため全軍を退却させようとしたその時、
呉鳳明率いる魏軍7万もの軍勢が秦の援軍として現れた。
魏軍は、共闘後の什虎獲得の条件を承諾。
そしてここに3年間限定の"秦魏同盟"が成立したのであった。
これにより、
秦軍5万に加えて魏軍7万の軍勢を得た秦魏共闘軍は、総勢11万の楚軍を数の上で上回ることとなった。
このため両軍で一旦戦が解かれ、配置換えが行われる。
◆
急造同盟軍である秦・魏軍は、互いの戦場がなるべく重ならぬように対極から楚軍を挟み撃ちにして"すりつぶす"という単純な戦略に出るが、
魏軍は最右翼・乱美迫が楚将・千斗雲に足止めされ、
騰軍の前には、かつて合従軍での因縁を持つ項翼軍が立ち塞がっていた。
最良の策であるはずの挟撃の形がなかなか作用しない戦況に対し、焦る蒙毅。
対して呉鳳明は、
蒙武・騰率いる2軍を"主攻"、
録鳴未・乱美迫の同盟軍を中心とした魏軍全体を"助攻"とする伝令を送り、
戦局打開に動きはじめる。
主攻となった蒙武軍は、楚軍本陣を落とすべく前進するが、
蒙武の前に満羽将軍が立ち塞がる。
激しく打ち合う蒙武と満羽。
時を同じくして、騰軍は魏軍を潰れ役として楚軍を突破し続け、いまや楚軍本陣の目前にまで迫っていた。
◆
その頃什虎城では、
呉鳳明が予め手配していた別働隊が複数の巨大な井闌車を率い、城壁の間近にまで迫っていたーーー。
* * * * *
趙から呂不韋、
中盤からはまさかの秦&魏同盟vs楚と、
なかなか目まぐるしい展開の60巻。
節目の巻ということもあってか、初登場組含めてキャラの大渋滞でしたね!
それでは順を追って感想をまとめていきたいと思います。
まずは前巻から引き続いての李牧問題。
秦に敗れたことで死罪を言い渡されていた李牧でしたが、
悼襄王は謎の死を遂げて李牧は命拾いしました。
しかしながら、ゲス王の遺言によりキラキラ太子・嘉ではなくゲス末子の遷が王位に就くことになり、趙ではまたしてもゲスのトップが誕生してしまいましたね。
挙げ句李牧一派は反乱軍として追われることになってしまい、李牧には心底同情してしまいました。
前巻で、カイネが李牧の背中に寄り添ったシーンにホロリときたわたしでしたが、
シリアス展開から一転。
今巻冒頭でのカイネの強め恋愛臭に、若干の蛇足感が‥‥。
前巻ラストでは、
絶望する李牧とずっと背中を見てきたカイネとの強い師弟関係からの絆の深さ+
そこはかとなく漂う恋慕の空気感に切なみを勝手に感じて悶えていたわたくし。
この感じだと、今後李牧×カイネの発展シーンが描かれる可能性もありえそう。
そしてずっと気になっていた舜水樹の目の澱みに関してですが、
今回もドス黒く澱みまくってましたねー。
まさか王様殺しを提案するほどまでに李牧を尊崇していたとは‥‥
なんなら李牧の国を作ろうとまで‥‥。
なんちゅうこと言うんやとソッコーで舜水樹を諌めていた李牧でしたが、
舜水樹が自分のためなら善悪問わず何でもやりそうな危うさを持つことを理解している様子。
そこの流れを含めて舜水樹の表情の変化の描き方が、悼襄王を殺ったのはコイツの可能性も?と思わせたいような表現に思えてすごく気になりました。
史実ではハッキリしているのか、それともしていないのか。余白を膨らませているのか、それとも史実をアレンジしているのか。
そこは結局謎のままでした。
傅抵と同じく、わたしも誰が殺ったか知りたかった!
ひとまず李牧たちは三大天候補・司馬尚のいる青歌の地へと向かい、時が来るまで力を蓄えておくことになりました。
さて場面は変わって年も明け、
思いがけず久しぶりに呂不韋が登場!
そしてついにこの巻で呂不韋は物語から退場することとなりました。
呂不韋の最期、史実では自殺だったんですね。驚きました。
しかしながら、キングダム的には
"死体は偽物で本人はコッソリ呂不韋ガールズたちと気ままな放浪の旅に出る"
という結末でした。
史実を脚色してわざわざ呂不韋を生かしたのは何故かなぁ、と考えを巡らせてみたときに、
キングダムの呂不韋にはわたしも自殺はして欲しくないかなと思わされました。
なのでこの結末は、個人的には良かったのかな、とも。
何はともあれ本編にはもう登場しないと思うので、呂不韋とはここでお別れとなりました。
感慨深いですね。
60巻、ここでも節目となりました。
さてここからは新展開です。
"中華の驚く予想外の戦い"
が三国間で起こります。
なんと秦は魏と3年限定同盟を組みました。
魏が提案をのんだ条件は、まだ秦のものでもない楚の"什虎"という城を一緒に落とし、落とせたらそのままその城を魏にあげるよ、というもの。
什虎という城は、
秦・魏・韓・楚
の4ヵ国の国境地帯に位置し、
ここを手に入れることができたらかなりのアドバンテージ。
しかしながらこの城は、絶対に落とせない不落の城だといいます。
この城にいるのが、
"かつて楚に滅ぼされた小国の大将軍"
満羽(城主)、千斗雲、玄右、寿胡王(軍師)。
濃いめの新キャラめちゃ増えました。笑
何でも、国が滅んでも強すぎて戦で負けず、
楚が観念して"生存を認めた"者たちだそうで。
楚的にも、御し難い彼らに什虎の城をあてがっておけば好戦的な彼らは攻めてくる他国を始末してくれるし、互いにとって都合がよかったようす。
なぜ彼らがそんなに強いのかというと、猛者揃いの楚の将軍たちを討ちまくり慣れしており、尚且つ負けなかったからだそうで。
小国が滅びて他国に吸収されてしまったかつての王のエピソードは、
魏国呉鳳明の父・呉慶のケースにも当てはまりますね。
この時代で特に大国・楚ではよくあることなのかと思います。
145ページで満羽の過去シーンがセリフなしで描かれており、キャラ掘り下げ回想シーンに突入してしまうかと思いましたが、サラッと終わって安心しました(スミマセン)。早くストーリーを読み進めたくてもどかしいわたしはせっかちな人間です‥‥。
とはいえ気になるのは、満羽がこだわる蒙武の"背負っているもの"。
その会話の流れで昌平君のカットが差し込まれるあたり、蒙武にとっての昌平君は相当に特別な存在であることは間違いありませんが、
これまでにもちょいちょい触れられる"蒙武と昌平君の過去"。
本編ではまだその部分は深く掘り下げられていないのですが、昔発売された総集編掲載の読み切りに描かれているのでしょうね(やっぱり知りたい)。
蒙武を、かつての自分達に似ているとさえ言う満羽。
初登場シーンでは全裸に羽織り(「くつははいてる」)、おけつ丸出しで飛び跳ねるというかなりの変キャラでしたが、
後半は別人のようにシリアスモードへキャラ変。過去や"背負うもの"にやたらとこだわる満羽の背景も、今後明らかにされそうです。
さて話を戻しますが、今回の"什虎攻め"、秦魏同盟ありきでスタートしました。
呉鳳明といえば、著雍の戦(37巻)で魏火龍七師・霊鳳を盾に生き延びた件が強烈でしたが、本人はいつもスンッとしてるのでなんかムカつきます。笑
恒例の「すりつぶす」ポージングも健在!
軍師としてやたらと対比されていた蒙毅は、呉鳳明に比べて保守的な描かれ方をされていましたが、今後の蒙毅の成長のためにはすごく意味のあるタッグなのかも。
呉鳳明の側近・荀詠(じゅんえい)とのやりとりでもそう感じました。
3年後はお互い敵に戻るわけですから、ただ共闘するだけではなくこの戦で互いの戦術の特徴なども把握しておくべきですもんね。
蒙毅はまだまだ経験値不足な印象。今のままだと妹弟子の貂の方が死線くぐりまくってるので、軍師経験値の差が開いてしまいそう。
蒙毅よガンバレ!
さてさて、見切り発車で始まった此度の戦でありますが、秦魏同盟軍の要は騰軍2万にありそうです。
昌平君の見立てでは来ないであろうと予測されていた騰でしたが、厳しい戦いになりそうだと自己判断で駆けつけてくれたようす。
そこに楚の媧燐が項翼&白麗コンビを送りつけてきて、もうキャラまみれの大渋滞!
ワッサと什虎に3国の軍が集いました。
楚の項翼&白麗コンビは合従軍戦での因縁の相手。
騰は臨武君(白麗の義兄)や汗明の仇なのでめちゃくちゃ気合い入ってます。
29巻では、騰に競り負けなかった項翼。
媧燐はわざわざ騰に項翼を当てこんできましたが、騰はクールに
「千年早い」!!
とはいえ足止めくらいそうだなと思っていたら、魏の乱美迫がサポートに送り込まれてきました。
騰は呉鳳明が何をしようとしているのか、戦術をいちはやく察知。
自らが"主攻"となるべく項翼をかわして前進します。
乱美迫ら魏軍と録鳴未軍はつぶれ役を担当し、まとわりつく楚軍をできるだけ足止めすることに。
ここで謎の性癖とっちらかりキャラ・千斗雲がうるさく録鳴未にまとわりつきますが、
呉鳳明を討とうと魏本陣に抜けていこうとするので録鳴未も大変!!行かせぬよう後を追います。
もうひとつの"主攻"蒙武も本陣を目指しますが、そこへ蒙武に興味深々の満羽が立ち塞がり‥‥
背負うものがあるから汗明に勝てたとか、
"虚無"を悟る前の自分たちに蒙武が似ていると話したりだとか、
満羽、なんかめっちゃ蒙武に話聞いて欲しそう。笑
そんな満羽が蒙武を足止めしている間に、
なんと什虎の城の近くへ井闌車が到着!!
呉鳳明が準備した複数の"速くて高い"井闌車、
根回しがすごすぎる‥‥!
これは短期決戦になるのでしょうか?
61巻へ続きます。
【メモ】
⭕️楚・什虎城 メインどころ
・満羽(城主)
・千斗雲(将軍) →変態ぎみ
・玄右(将軍)
・寿胡王(軍師)
⭕️汗明、什虎城ではドドンドおじさん呼ばわり。笑
⭕️楚の項翼&白麗、ともに将軍に昇格。
一万五千人の軍を率いている。
⭕️乱美迫軍副将・魚燕(ぎょえん)、作戦の内容を叫び敵にも丸聞こえ。笑
⭕️60巻にて、初版が100万部を達成したそうです。
すごすぎる!!
1巻が2万5千部からのスタートだったとのこと、連載を始めた時の目標をまたひとつ達成させたという原先生には、本当に脱帽です。
⭕️おまけマンガ:「王賁」
王賁には許嫁がいた!笑顔がかわいい彩華(さいか)嬢。