キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 28巻 「陥落の危機」

*ネタバレあり*

キングダム 28 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 28 (ヤングジャンプコミックス)



山場を迎えた各所での戦い。
蒙武・騰連合軍の奮戦と、
桓騎・張唐の奇襲作戦。
そしてついに函谷関の望楼に火の手があがります。

下衆な元野盗野郎のはず‥‥なのに、
桓騎が繰り出す機転に震える‥‥!



【あらすじ】
蒙武・騰連合軍 対 楚軍の戦場では、
壁隊3000人が出陣したのを皮切りに、蒙武は高等戦術・"斜陣がけ"を仕掛ける。
猪突猛進が特徴のはずの蒙武の戦略に、
敵味方共に驚きを隠せない。

騰軍側からは楚軍・カリンがついに動き出す。
巨大な戦象を登場させ、戦場を掻き回し
秦軍の度肝を抜いた後、
緻密に組まれた楚の布陣が騰軍の前に現れた。

さすがの騰も小さく冷や汗をかく。
騰は、劣勢配置の状況の中、
王賁と蒙恬を急遽五千人将に抜擢。
2人に左右の軍の指揮を任せるという賭けに出る。
しかしその決断は、先に出陣した
録嗚未、干央らの軍を見殺しにすることになる苦渋の決断でもあった。

騰の突然の抜擢に対し、
王賁と蒙恬は見事に期待に応える。
話合う時間もないまま出陣した左軍の王賁と
右軍の蒙恬だったが、
まるで鏡合わせのように2人同時に同じ戦略で左右を戦っていた。
2人の奮戦の功により、カリン 対 騰 の戦場は思わぬ接戦にもつれこむこととなった。


一方、函谷関。
魏・呉鳳明は、巨大井闌車に引き続き、
巨大な床弩(しょうど)を積んだ車を何十台も用意してきた。
規格外のその床弩車は、4メートルにも及ぶ矢が装填されており、
その矢は函谷関の壁に向かって一斉に射ち放たれた。

壁に刺さった矢からは綱が下がっており、
その綱をつたって次から次へと魏軍が壁上に登ってくる。
更には件の井闌車が現れ、再び函谷関に梯子がかけられてしまった。

これにより、張唐の持ち場から魏軍に攻め込まれ、桓騎、蒙鷙の持ち場にも魏軍がなだれ込んできてしまう。
そして張唐は、成恢の毒の影響により、死の効果が現れる時期を迎えていた。

その時、劣勢の戦況を打破するために桓騎が動く。
騎馬した桓騎は、井闌車に煙玉を投げ込み、
魏軍が一瞬怯んだ隙に地上へ下り立つ。
15万はいる敵兵の中に、桓騎はたった80ほどの騎馬を引き連れ、
魏軍から奪った魏の旗を掲げて堂々と敵兵の海の中を渡って行く。

前夜に桓騎と対面した張唐は、
"武将"の存在を愚弄する桓騎と意見が決裂してはいたものの、
目の前の15万の軍の中へ自らの策を実行する
桓騎の"度胸"と"戦術眼"に舌を巻き、
その勇敢さを認めざるを得なかった。
そして死期を悟った張唐もまた、戦場で命を全うしたい思いから、
桓騎と共に地上に下り立つ。

敵軍は、今にも崩壊しそうな函谷関の上ばかりに注目しており、
そのため桓騎らは悠々と敵軍の中を進んでいた。
更に、目立たぬように別働隊を5つに分けて進ませており、400の隊で韓将・成恢の首を落としにかかる。

ついに成恢の姿を捉えた張唐。
背を向けて逃げる成恢に武将の意地を見せ付け、
見事成恢の首を討ち取ることに成功。
そして張唐は、そこで息絶えるのだった。

その頃、部下に任せていた函谷関の桓騎の持ち場はかなりの侵攻に遭い、
ついに3階建ての望楼に火の手が上がってしまう。


一方、函谷関左の山岳地帯を護る
王翦は、忽然と姿を消してしまう。
攻め入るオルドの主攻隊が王翦軍の心臓部ともいえる場所を襲い、
王翦は退却を余儀なくされたかのように見られていた。

オルドは、類い希なる"山読み"の才を発揮し、
函谷関の裏へのルートを塞いでいる
巨大な絶壁の前まで攻め込んできていた。

そして、号令をかけ、函谷関へ攻め込らんと絶壁を駆け登っていくオルド達の背に、
王翦が目を光らせていたーーー。



* * *



敵兵が次々と押し寄せ、
函谷関もいよいよ大詰めです。

キングダムは、
"始皇帝(=政)が歴史上初めて中華を統一するまでの物語"
なので、きっと秦がここで落ちる訳はないのです。
それを分かっていながら読んでいるというのに、

一体どうやったらこの合従軍を振り切れるのか、
どうやってこの状況を切り抜けるのか、
誰が死んで誰が生き残るのか、

ハラハラしっ放しでたまらない!

このあたりは、ハァハァ言いながら読んでいた気がします‥‥。


さて。前半は対楚。
蒙武が高等戦術"斜陣がけ"を仕掛け、
戦場がどよめきます。

どうでもいいのですが、
蒙武が部下の来輝(らいき)と血管で語り合うシーンにウケました。
(第296話 30ページ)


そして騰軍の方は、
王賁・蒙恬の活躍で劣勢からの立て直しに成功。

若手の実力を見抜き、信じて抜擢する騰にも感心しますが、
見事に期待に応える2人にもしびれますな。

蒙恬の覚悟と湧き上がる士気に対し、
一瞬呆気にとられた後に感極まって
涙ぐむ"じィ"の表情が何だか泣ける。
(第298話 71ページ。特に6コマ目!)

じィ、ずっと蒙恬の側で仕えてきて、
誰よりも蒙恬の戦の才能を理解するが故に、
流し流しの蒙恬の性格にヤキモキさせられてきたんだろうなぁ。

信たち同世代と出会って、
お互い競い合ううち、蒙恬も本気度が増してきた。
蒙鷙を必死で護ろうとした廉頗戦を含め、
そういう関わりの中で成長した蒙恬は、
今や立派な将。
じィの思い、伝わってるよ!


そして函谷関では大ピンチ。
また呉鳳明のヤツが巨大な武器を用意してきやがりました。

わらわらと函谷関の上へ登ってくる敵兵たち。
劣勢を打破するために、桓騎が動きます。

15万の敵の軍勢の中をすり抜けて敵将を討つ、
なんて大胆な作戦、
一体どうやったら考えつくんだ!!

無茶には慣れているはずの桓騎の部下たちでさえ、15万人を目の前にして怯んでます。(当然)

そんな時にこの一言。

🔴桓騎 : 「ハハッ 心配すんな雷土(らいど)」

「全部 上手くいく」


か‥‥かっけー!!
黒桜さんも頬を赤らめてますよ(そりゃそうだわ‥‥ポッ)。

国に対する気構えや考え方が相反する桓騎に対し、
これまで張唐は決して良い感情を抱いていませんでしたが、
さすがにこの奇策を決行する勇気と度胸には
うなったようです。
滅茶苦茶な策のようでいて、常に先読みして細かく作戦立てしている緻密さにも、
張唐は一目置きます。

50年間の戦歴を誇る張唐、
毒にやられて死に至らされる己に激昂し、
毒矢に射たれた後も驚異の精神力と
武将の最後の意地で、
成恢を撃破!

桓騎兵が
「いっ いけェ 張唐っ」
と応援してる姿も熱かった。

そして最期、死に際の桓騎との会話。

🔴張唐 : 「貴様は 戦が 楽しいのだ
己の力で戦に勝つ快感に はまっておる

‥‥そして それは‥‥
名武将の持つ気質そのものだ

腹立たしいが
才能も‥‥ある

土下座などせぬが‥‥
儂と約束せィ

秦国一の武将となれ
桓騎
秦を‥‥頼むぞ」

🔴桓騎 : 「‥‥‥寝言は死んで言えよ じじィ」

桓騎兵 : 「お お頭」

🔴張唐 : 「フッ 剛情な 奴め‥‥」

桓騎兵・張唐兵 : 「あっ」「ちっ 張唐様ァァ」

🔴桓騎 : (ガッ)崩れ落ちる張唐の襟元をつかむ。

「‥‥チッ 調子の狂うじじィだったぜ 全く」




‥‥親子ほども歳が離れているせいもあってか、
何故か仲違いしていた親子が最期にお互いを認め合ったかのような、
そんな雰囲気すら感じさせられました‥‥。

結局桓騎が張唐に答えることは無かったけれど、
桓騎が馬鹿にしていた"武将"の意地は
しっかり張唐が見せてくれた。
何かしら伝わったからこそ、
息絶えた張唐を受けとめたのでしょう。

さりげにジーンとくる名シーンだったな‥‥。


さてさて、ラストは(忘れかけていた)王翦 対 オルド。
王翦、ホントに山、得意だな。


次巻に続く。


【メモ】
⭕汗明軍、軍師が豊富。
●貝満(べいまん) : 軍師 兼 将軍
●仁凹(じんおう) : 軍師
●剛摩諸(ごうましょ) : 軍師 兼 将軍

⭕戦象さんを操る謎の南蛮人
言葉が方言風。
例 : 「キタバイ キタバイ」
「ナンヤアリャ」
「モウヨカロ」
「ヨカカナ」
「ヨカヨネ」

⭕おまけマンガ「狼牙がゆく」

【裏話】キングダム公式ガイドブック 「英傑列紀」

キングダム公式ガイドブック英傑列紀 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム公式ガイドブック英傑列紀 (ヤングジャンプコミックス)


27巻発売と同時期に、キングダム公式ガイドブックなるものが発売されました。

27巻時点でのキャラクターの能力値や、
秘蔵ラフスケッチ、キャラ初期設定やボツ案、
原先生のロングインタビューなどが載っています。

27巻と同時にこのガイドブックを買って、
初めて知った初期設定などに結構な衝撃を受けました。
合従軍編の途中ですが、
当時の感覚や感情とともにストーリーを追いかけたいので、
発売時期にあわせて今回はガイドブック裏話編です。



【秘蔵ネーム集 その1】

連載前に原先生が考えていたキャラクターの設定やストーリー設定。
意外な事実が多くて非常に興味深い。

⭕初期タイトルは、
「黄金の翼(はね)」だった。
(「キングダム」でよかったです。)

⭕当初は、貂ではなく羌瘣が序盤の主要メンバーとして信・政と共に活躍する予定だった。
(そうだったのか‥‥)

⭕羌瘣は、当初は正統派のヒロインとして想定されていた。
(なんと!!)

⭕昌文君の初期原案イラストでは、
恰幅が良く、人のよさそうな太っちょさんバージョンと、
若めのキリッとした強面バージョンがあった。
(イメージ全然違う)

⭕楊端和様は、男性の設定だった。
"嬴政の6人の強力な仲間=黄金の六翼"
の一翼を担うという設定があった。
(あとの五翼のメンバーも想像してしまうなー。)

呂不韋の初期キャラデザインは、
蒙鷙のような細目の穏やかな表情をしていた。
(イメージ真逆)

⭕蒙毅の初期キャラデザインは、やんちゃな若武者といった感じのゴツめの青年。
(末の弟って感じ、全くない)


【秘蔵ネーム集 その2】

連載用ネームのボツ案集。

⭕第1話で王騎と出会う信。
王騎の落とした首飾りを信が拾ったことで、
2人に交流が生まれる。
信は家族のために出稼ぎで戦場にやってきた普通の15歳の少年という設定。

王騎は信を馬に同乗させ、数々の天下の名将たちの話を聞かせる。
信は大将軍へと思いを馳せる。
そこへ突然趙軍三大天の襲撃が!

刺客に王騎は討たれてしまう。
王騎は信に自分の首と首飾りを託して息絶える。
信は獅子奮迅の活躍で、王騎の首を持ち帰り、
泣き叫ぶ表情で「開門!!」を告げるカットで
第1話が終了。

(王騎、優しげな老将といった風貌で別人。
しかも第1話で死ぬとか!!
びっくりの設定。)


⭕鳥の卵を飲んだことで懐妊したという、嬴政の祖先の逸話から物語がスタート。
負傷し、草むらで倒れていた政を信が見つけて助ける。政は信の家で居候を始めるが、
ある日村の噂で政が高貴な身分だと知る。
信の妹として"填(てん)"が登場。

(やはり、テンは妹か。)


⭕嬴政が主人公。
王弟の反乱により、付き人の沢圭と逃げ延びた政。
明るく活発な少年として描かれている。
一方、身寄りのない信、漂、填は、
村で、兄妹となり生き抜く決心をする。

(澤さん、こんなところで登場するとは。)


【原先生ロングインタビュー】

キングダムの裏話を語ってくださっています。
こんな壮大なストーリー、
本当に漫画好きな人じゃないと描ききれないよなぁ。と改めて実感。


⭕「王弟の反乱」は、史実ではもっと後に起こる事件だが、信と政をうまく出会わせるためのエピソードとしてオリジナルで組み込んだ。
史実に従い、反乱は再度描かれる予定。

(今となっては、あの反乱があったからこその絆ですもんね。原先生の狙い通りです。)

⭕最初は信と政と羌瘣の3人がパーティを組む予定だったが、序盤はアンケートの順位が良くなく、
展開を早くしないとと焦っているうちに羌瘣を登場させるタイミングを逃してしまった。

(アンケート順位によるテコ入れ‥‥週刊連載の宿命ですね‥‥)

⭕貂は序盤の人気キャラだったが、
「もう家で信の帰りを待ってるだけのキャラでいいかな」と思っていた原先生に対し、
担当さんの意見によりフェードアウトすることなく軍師として復活。

(衝撃!はじめから考えられていたかのような展開だったのに!すごいなー。)

⭕原先生は羌瘣がヒロインのつもりだったが、
貂が軍師となり信と再び共にいることで、タブルヒロイン状態に。
原先生のお友達から集計したヒロインアンケートでは、今のところ半々の結果とのこと。

(今でも半々なのでしょうか?初めから読んできて、意見が変わった読者もいるはず。
私も最初はチビ貂がキャラとして可愛くて仕方なかった。
しかし、女らしさが増す程に何故か抵抗が生まれ、22巻で羌瘣が死の淵から生還して以後はハラハラした分、完全に羌瘣推しに‥‥)

⭕原先生はそろそろ色恋沙汰の展開があってもいいと思っている。
羌瘣と貂、両方と結婚したらダメなのかと担当さんに聞いたらダメ出しをくらったらしい。

(コレを読んで少々ショックでした。わたしはキングダムに色恋沙汰を絡めて欲しくなかった。
しかし、このことを知って、いずれ信の相手が決まるのならば絶対に羌瘣が良いと強く思うように。それからは何かあるごとにハラハラしてる。笑)

⭕原先生には、"どうしても描きたいイベント"がふたつあるらしい。
早くそこまで辿り着きたいという思いが強いそう。

(あと2回もビッグイベントが待ち構えているなんて、今から楽しみすぎる。)

⭕原先生は、キングダムは60〜70巻ぐらいで完結できたらいいと思っている。

(永遠に読み続けていたい気もするし、
完結を見届けたい気持ちもあります‥‥!)



【キャラクター能力値】

27巻時点でのキャラクター能力値。
主要キャラだけ抜粋しときます。

★信★
経験値 : C
武力 : 90+α
指揮力 : 80
知力 : 72
必殺技 : ジャンプ

★嬴政★
経験値 : C
武力 : 78
指揮力 : 98
知力 : 88
道 : 中華統一

★河了貂★
経験値 : D
武力 : 60(吹き矢付き)
指揮力 : 85
知力 : 88
料理 : 99

★羌瘣★
経験値 : C
武力 : 95+大α
指揮力 : 80
知力 : 87
かっこいいセリフ : 舞うぞ緑穂

★楊端和★
経験値 : A
武力 : 95
指揮力 : 99
知力 : 95
美貌で : もちろん100!
(↑美貌度?そのまま抜粋してます)

★王騎★
経験値 : S
武力 : 98
指揮力 : 93
知力 : 95
カリスマ : 100

★騰★
経験値 : A
武力 : 96
指揮力 : 92
知力 : 94
マジカル : ファルファル

★麃公★
経験値 : S
武力 : 95
指揮力 : 95
知力 : 70
直感力 : 100!

★蒙武★
経験値 : B
武力 : 99
指揮力 : 90
知力 : 84
道 : 天下最強

★王賁★
経験値 : C
武力 : 91
指揮力 : 87
知力 : 89
必殺技 : 龍指

★蒙恬★
経験値 : C
武力 : 88
指揮力 : 86
知力 : 90
特徴 : 代々父と似ていない

★蒙鷙★
経験値 : A
武力 : 89
指揮力 : 90
知力 : 91
誰が : 凡将フォ!

★桓騎★
経験値 : B
武力 : 93
指揮力 : 92
知力 : 95
残酷度 : 99

★王翦★
経験値 : B
武力 : 93
指揮力 : 93
知力 : 97
黒野望 : 100!

★廉頗★
経験値 : S
武力 : 97
指揮力 : 98
知力 : 96
大将軍度 : 100

★李牧★
経験値 : A
武力 : 91
指揮力 : 98
知力 : 100
政治力 : 92

★龐煖★
経験値 : B
武力 : 100
指揮力 : 皆無
知力 : 馬鹿ではない
武神度 : 100!

★春申君★
経験値 : S
武力 : 70
指揮力 : 90
知力 : 98
備考 : 最後の戦国四君


楽毅
経験値 : SS
武力 : 93
指揮力 : 100
知力 : 98
大将軍度 : 100!


* * *


他にも、漫画に対する思いを語り合った安彦良和氏との対談や、
ヤンジャン目次コメント集、おなじみおまけマンガもあったりと、
なかなか楽しめる1冊です。
‥‥コミックスサイズで905円(+税)は、
ちょっと高い気もするけど。


【メモ】
〜はじめての合従軍〜

本編(25巻)ではあまり語られなかった、
最初の合従軍についての
ワンポイント講座。

〈きっかけ〉
他国に対して横暴にふるまっていた斉。
特にひどい目に遭っていた燕の昭王は、
楽毅に斉を攻めるように命じる。
楽毅は他の5カ国を回って燕への協力を要請した。

〈戦いの流れ〉
6カ国の連合軍は、斉の済水のほとりに集合して斉と戦い、勝利。
燕以外の国はここで帰国するも、
楽毅は斉の首都を占領し、最終的には
半年で70以上の城を落とす。

〈その後〉
莒(きょ)と即墨(そくぼく)の城を攻撃中、
燕の昭王が亡くなり、
恵王が後を継いだ。
恵王は斉将・田単(でんたん)の策にはまり、
楽毅に帰国を命じるも、
楽毅は帰国せずに趙に亡命。
その後、田単は楽毅の獲った城を全て取り戻した。

キングダム 27巻 「人間全て」

*ネタバレあり*

キングダム 27 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 27 (ヤングジャンプコミックス)


前巻で騰が大金星をあげ、
まずはひとつの危機を回避した秦軍。

とはいえ、そもそもは 列国 対 1国 の戦い、
まだまだ果てしなく危機的状況継続中。

信の持ち場では万極軍との戦いがメインとなり、
函谷関では韓軍が動き出します。
そして騰の勝利で勢いづく蒙武軍と、
楚軍第2軍が出陣!

各所、緊迫の27巻です。


【あらすじ】
慶舎の策に嵌まり、後ろから攻め込んできた
万極軍に挟みうちをくらった麃公。

麃公軍の中において
直感で危機を察知した信だけは、
飛信隊を引き連れて逆走し
手遅れになる前に後方軍の立て直しをはかって
万極軍と奮戦していた。

しかし、後方軍だけでも1万の数の敵兵がいる戦場では完全なる乱戦状態に陥り、
飛信隊のメンバーは散り散りになってしまう。

「長平の戦い」の遺族・遺児のみで構成された万極軍。
彼らはもはや長平の恨みそのものであり、
怨念にとりつかれた兵たちの執念は、
味方の兵も震撼するほどにすさまじいものだった。
なかなか倒れない万極軍の異常な粘り強さに、
信たちは苦戦を強いられる。

外側から戦局を見守っていた貂は、
長すぎる乱戦でバラバラになった隊を立て直すため、戦場の中に突入。
はぐれていた隊員たちを少しずつ拾いながら
信の元へとかけつける。


そして信は将軍・万極と対峙。


万極もまた、
かつて秦の白起将軍が40万人の趙の投降兵を生き埋めにして虐殺した、
"長平の戦い"の生き残りだった。

怨念に支配された万極は、秦人への恨みから、
これまでに数々の秦人への虐殺・陵辱・蹂躙行為を行ってきた。
秦人に対する恨みを語る万極に対し、
自らも戦争孤児である信は一定の理解を示すも、
ひとつの答えを導き出す。

出口のない戦争の渦を解く唯一の答えが、
政の目指す道、
"中華の統一"
であること。

国境があるから国々が対立し、争いが起こる。
国を一つにすることで、戦乱の世の終結を目指す
政の道が、信の中ではっきりとつながる。

「人間全てが呪われている」
と叫ぶ万極に対し、
信は、誰もが万極のようになり兼ねない戦国の世の中で、
たまたま周りに怨嗟の渦から引き上げてくれる人間がいなかったために
最も怨念に取り憑かれてしまった万極を憐れみ、
もう楽になれ、と万極を斬りつける。

信は、
「俺は絶対に長平のようなことはしないし、
絶対にさせない」
と万極に誓い、
万極を討ち取るのだった。


合従軍との戦いの初日が終わり、
翌日、2日目の攻防が始まる。

2日目、
最大規模である蒙武・騰連合軍と楚軍第2軍の戦場では、
楚軍第2軍の将・カリンの指示により、
第2軍は一切動かさず元・第1軍(臨武君の軍)のみで戦術も無く秦軍に戦いを挑んでくる。

カリンは、
"凡戦を連ねて10日後に函谷関を落とすべし"
という内容の進言を李牧に伝える。
そして2日目は全ての戦場において、
地味に戦力を削り合う戦いだけで終わった。

カリン・李牧の作戦変更により、
各地とも6日目まで凡戦が続き、
7日目に入った頃、突如韓軍の総大将・成恢(せいかい)が動き出す。

毒兵器の研究の第一人者である成恢。
函谷関を護る張唐将軍の持ち場に向かって、
毒矢を打ち込み、
続いて"丹丸"と呼ばれる煙玉を打ち込んだ。
煙に包まれる張唐たちだったが、
その場では何の変化も無いように見えた。
韓軍はその後さっさと退却していき、
張唐は何かを感じながらも、成恢の意図を汲みかねていた。

しかし翌日、8日目の夜。
桓騎を呼び出した張唐の顔には、
血管が浮き上がり目から血が流れていた‥‥。


そして両軍凡戦を重ね続けて15日目。
李牧は、全軍の力を結集して
ついに函谷関を落としにかかる。
合従軍との戦はとうとう山場を迎えた。

最大規模の軍勢である、
楚軍 対 蒙武・騰連合軍の戦場では、
楚軍総大将・汗明がいよいよ出陣。
カリン軍率いる第2軍と合わせて12万もの軍勢が
秦軍を睨む。

対する蒙武・騰連合軍は約7万。
蒙武は響き渡る声で檄を飛ばし、
汗明に対して宣戦布告。
蒙武の号令がかかり、
先鋒は三千人将・壁が率いる左軍!
秦軍による突撃が始まった。




* * *




「長平の戦い」に関しては、
つくづくひどいものだと改めて思います。

変態陵辱野郎・万極に情はかけませんが、
過去の秦の仕打ちは確かに非道い。

秦軍の兵ですら引いていたこの虐殺、
命を下した白起将軍の人間性を疑いますよ。
何かいつも表情が無いし、
ビー玉みたいに冷たそうな目玉。
なんでこんなヤツが六将だったんだ。

そういえば以前、廉頗が
"白起が自害した時は涙した"
と言っていました。
自害の理由は触れられていませんでしたが、
あの廉頗に涙を流させる程の男だったのか、
個人的には甚だ疑問ですわ。

史実は連載終了までたどらないように気をつけているので、
白起についてはこの時点でこれ以上の情報がありませんが、
秦軍の好きな武将ランキングがあったら
わたしは最下位に推しますかね。
本当に非道いことをしたと思います。

万極の幼少時の回想シーン(第285話 33〜40ページ)では、
父や兄とともに生き埋めにされた場面が
生々しく描写されます。
泣きながらむせながら土を被せられていく趙の人々。
手足を縛られ、なす術もなく隣で土に埋まっていく肉親や仲間を目に焼き付けながら、
自らも土に埋まっていく。

胸が痛すぎる。

しかしながら、
貂の言うように、万極は秦の領土に攻め入っては虐殺を繰り返す凶悪な武将。

🔴貂 : 「無力な女子供まで殺してんじゃねェよ
このクソヤロォが

子供に何の罪がある
赤子に何の罪がある
まだ何も分からないでただ一方的に‥‥
命を奪われてっ‥‥

お前は長平の復讐と称して
虐殺目的で戦争をしてる最低の異常者だ」


かつての万極初登場シーンは確かに最低最悪でした。


しかし信は信なりの考えがあって、
ひとつの答えを導き出します。


🔴信 : 「こいつが善だろうと悪だろうと
味方を殺ろうって奴は許さねェ
だけど
こいつに同情の余地がなくはねェ

人の感情はそんな簡単じゃねェよ

別にこいつが特別ってわけじゃねェ
五百年の戦乱の世だ
こんな奴はぜってェいる

一歩間違えりゃ俺らだってそうなってたかも
しんねェし
万極に殺られた村に一人でも生き残りがいりゃ
すでにそうなってるかもしれねェ

キリがねェし
そんなところを考えだしても
俺らはその答えを持っちゃいねェ
誰も持っちゃいねェ
だから五百年も戦争やってんだ」


と答えます。
そして
「出口なき闇で永劫に呪い合って
答えもなく殺し合う、それが真理だ」
と語る万極。
信は、

🔴信 : 「俺もさっきまでそうなんだと思ってたぜ

俺も戦争孤児で万極ほどひねくれちゃいねェが
戦争はあるもんだって思って生きてきた
それがどうこうなんて考えが及ぶもんでもねェって感じて生きてきたんだ

だが いざ万極の醜悪ぶりを目の当たりにして
やっぱり何か答えがねェかって考えた

そしたら笑えるが今ごろになって俺は
気づいたんだ

この出口のねェ戦争の渦を解く答えを
持ってる奴を
実は俺は知ってたんだってなァ

‥‥そうだろ? テン」


元祖三人組の想いがここでつながりますね。

万極のような哀れな人間をこれ以上増やす訳にはいかない。
政の想いを実現させるためにも、
ここで秦が滅ぼされる訳にはいかない。

信が万極を斬り、

🔴信 : 「俺は長平みてェなことは絶対にやらねェし!
絶対 やらせねェ!!」

と万極に宣言するシーンは、
心底、男でした。


激動の初日が終わり、
大将首を挙げながらもテンションだだ下がりの
飛信隊。

そんな信たちのもとに、麃公将軍が直々にねぎらいに現れます。
(しっかし、信&貂キスシーン‥‥
少女マンガの定番ハプニングじゃないんだからさー!もう!要らんわぁ。。。)

🔴麃公 : 「飲めい 小童ァ
今日の勲功者は貴様じゃァ」

と酒を突き出し、

🔴麃公 : 「それとも万極に同情して世を憂い
夜通し泣くか?」

と核心をついてくる麃公さん(意外)。

結局宴となり、
伝説の掛け声
「ハア となーりーの じじーいーの
金ー◯ーはー」
が始まります(笑)!

酒盛りの中で、麃公さんにこの日の戦いぶりを褒められた信。
そして、

🔴麃公 : 「つまらぬ感傷に浸っている場合ではないぞ
今は国が生きるか死ぬかの瀬戸際じゃろ

この大戦で化けてみせろ
童(わっぱ) 信」


信、麃公さんに随分と目をかけられました。


一方、楚軍では、
初日に騰に討たれた臨武君の火葬が行われ、
項翼が号泣しながらキレまくってました。
やっぱり、臨武君は慕われていたみたいですねぇ。

そして臨武君が討たれたため、
楚軍の第2軍の将、
超巨躯女・カリン(漢字変換できず、オルドの仲間みたいになっちゃいました‥‥)が登場。
李牧に進言するほどに、
なかなかのキレ者のようす。
何だかイヤな予感。


函谷関では、
張唐じいさまが韓の毒攻撃をくらい、
命のカウントダウンが始まってしまいます。

ラストで久々に壁のあんちゃん登場!
しっかり三千人将となり、
蒙武軍の先鋒で出陣します。

勢い止まらぬまま、28巻へ続く!


【メモ】
⭕貂、信とハプニングキッスの後、信を意識しまくる。
対する信は全く動じず、
「この色ガキ あのくれェで何意識してんだ」
と頭を小突く(否、どつく)。
この時点では完全に妹扱いですね。

⭕しかし貂、すっかり信の嫁に見える。
包帯をかえてやろうとしたり、
夜食をちゃちゃっと作ってくれと頼まれたり、
ホントに良い嫁になると思われる。
(しかしわたしはそれでもキョーカイちゃん推し)

⭕おまけマンガ「テンのカブト(合従軍戦前のお話)」

キングダム 26巻 「王騎が認めた男」

*ネタバレあり*

キングダム 26 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 26 (ヤングジャンプコミックス)


対合従軍戦、ついに開戦です。

楚軍の汗明がダラダラと開戦の儀式(?) を
やってる間に、
麃公さんがしびれを切らしたのか突撃の号令!
麃公軍所属の飛信隊、さっそく出番です。


26巻は、
満を時しての騰の巻。
というよりは騰軍(元・王騎軍)の巻ですね。
昔から王騎の傍らで異彩を放ち、
その強烈なキャラで半端ない存在感ではありましたが、
今回その騰の本当の実力が明らかに‥‥!

そして各所での戦いが交互に展開され、
どこからも目が離せません。



【あらすじ】
合従軍との戦いがついに開戦。
飛信隊を含む麃公軍4万は、
李牧が全幅の信頼を置く趙軍副将・慶舎(けいしゃ)率いる12万の軍勢と戦う。

麃公と同じ"本能型"である慶舎は、
並外れて勘の鋭い麃公の動きを理解するが故に
巧妙な策を仕掛けてくる。

兵の表情や目線などから敏感に戦場の動きを感じ取る麃公に対し、
慶舎はあえて自軍に自らの作戦を伝えなかった。
さらに連動する将の軍にも一切の計略を禁じたことにより、
"麃公が本来察知すべき戦の情報"
を完全排除。
徹底した"麃公対策"により、
麃公は慶舎の策にはまり、後方から迫る万極(まんごく)将軍の隊に挟みうちをかけられてしまう。

その時、いち早く後方の動きに気づき、"本能"的に急遽逆走していた信は、
麃公軍の後方部隊が万極軍に攻められている戦場へ駆けつけ、檄を飛ばす。
後方部隊が手遅れの状態になる寸前で
麃公兵は信によって士気を取り戻し、
飛信隊に呼応するように後方1万の敵軍に挑む。


一方その頃、函谷関。
張唐将軍の持ち場の城壁に、
魏将・呉鳳明が特殊設計した"対函谷関用の巨大井闌車(せいらんしゃ)"によって梯子がかけられてしまう。
これにより魏軍が城壁へなだれ込み始めるという危機的状況に。

さらに2台目の井闌車が桓騎将軍の持ち場の城壁へ梯子をかけるが、
ここで桓騎将軍は樽に入った油を投げつけて火矢を放ち、
登り来る魏軍もろとも井闌車を焼き払うことに成功。

張唐将軍の持ち場も、一時は騒然とするが
将軍が指揮をとり城壁に登り来る魏軍を冷静に刈り取って行き、ひとまずは劣勢から持ち直していた。


そして同時にその頃、函谷関の左の戦場。
蒙武・騰連合軍9万 対 楚軍15万 の
最大規模の戦が展開されていた。

5万の軍を率いる楚軍第一軍の将・臨武君は、
項翼・白麗ら若手千人将を引き連れ爆進。
対する秦軍は、蒙恬・王賁らが所属する騰軍が
その第一軍を討つという作戦だった。

蒙恬が項翼につかまり、手こずっている間に
騰軍軍長・録嗚未が臨武君の本陣まで突破をかけ、臨武君と対峙。
一騎討ちが始まる。
そこへ更に鱗坊軍長が現れる。
討ち死にした同金の仇である臨武君に対し、
鱗坊は録嗚未に加勢しようとするが、
その時遠方から放たれた白麗の矢に
鱗坊は貫かれてしまう。

戦況を見守っていた蒙恬は、白麗の弓に危機感を覚え、
録嗚未の援護と先々のために白麗を始末しに向かうが、
白麗を援護に現れた項翼が隊で白麗と連携を取り出し苦戦。
その時王賁が現れ蒙恬の援護に加わり、激しい打ち合いが始まった。


一方、鱗坊を失い、臨武君と一騎討ちになっていた録嗚未は苦戦していた。
馬上から叩き落とされ、絶体絶命の危機に陥っていたその時、
戦況を見守っていたはずの騰将軍が
本陣を隆国軍長に任せ、
楚兵をなぎ倒しながら直々に臨武君の前に現れる。

そして騰と臨武君の一騎討ちが始まった。

激しく打ち合う2人。
広大な楚国で将軍にのぼり詰めたという自らの強さに絶対の自信を持つ臨武君に対し、
騰は天下の大将軍・王騎を傍らで支え続けた自負があると誇る。

そして騰は臨武君に勝利。

衝撃の大番狂わせとなった初日早々の報せに、
戦場は騒然となるーーー。




* * *




類稀なる天下の大戦がとうとう開戦しました。

どんな戦いになるのか全く見当もつかないまま
始まってしまった合従軍編ですが、
初っ端から信がめっちゃアツいです。

直感で動いて味方の危機的状況を打破。
田有と田永に旗をあげさせるシーンは
鳥肌たちます。

対輪虎戦で目覚め始めた"武将としての才"
がここにきて更に開花。

敵の策に珍しく嵌ってしまった麃公さんでしたが、
後方から聞こえる信の檄を察知し、

🔴麃公 : 「(小童がまんまと大炎を巻き起こしよったわ

しかしあの場に現れるとは
よほど素早く行動に出おったな

直感で動いたか

ムハハ 何じゃ貴様もこっち側か
童(わっぱ)信よ 己で気づいておるまいが

貴様 本能型の武将の才が目覚めてきておるぞ

‥‥しかし 王騎の矛を受け取った男が本能型とは
笑えるわィ)」


‥‥と罠に嵌まりながらもどこか嬉しそう。


そして函谷関での戦いも序盤から大ピンチです。

ドヤ顔で函谷関の屈強さを演説していた
張唐将軍の前に、巨大井闌車の梯子がかかります。
顔面蒼白の秦兵たち。

2台目が桓騎将軍の持ち場に梯子がかかったところで、
さすがは桓騎。
咸陽の備蓄庫からちゃっかり盗んできておいた
油の樽を井闌車にぶつけまくり、
仕上げに火矢を放って余裕の撃退。
うーん、鮮やか!


そして26巻のメインは
騰 VS 臨武君。
珍しく録嗚未にもスポット当たってます。
蒙恬に、

🔴蒙恬 : 「(残党だと甘くみていた
かつてのあの軍の中にあって"最強"と言われた男
王騎軍 第一軍長 録嗚未の名は
伊達ではなかったーーー)」

とまで言われ、
録嗚未最大の見せ場か?!
と期待がふくらみますが、
やっぱり臨武君は強かった。


ことごとくあの髪型をイジられまくっている臨武君、
何となく性格的には悪い奴ではなさそうな気がする。

大国・楚において将軍になるということは、
土地の狭い他の六国で将軍になることとは
競い合う人口の数が違いすぎてレベルが違う、
とか何とか、
"楚"にこだわりすぎて過信し、他国の将を侮ったところが敗因ではありましたが、

基本的には部下に慕われ、優しく、嫁思い(白翠・白麗姉弟、美しすぎでしょ)な人物像だった気がします。

確かに、広大な面積の楚国では、
他国に比べて人口が違いすぎるし、
そこで将軍になるには相当な場数を踏まなければなり得ないという凄さはある。

楚は長年戦いの中心を南側の蛮族を相手にしていたということからも、
国が広い故に隣接する国が多く、迂闊に他国を攻めることができないというデメリットからの
事情なのでしょうか。

その分、中華を自由に行き来することができない国とも言えるし、
騰が言うように

🔴騰 : 「お前は修羅場をくぐってきた己の力に絶対の自信があるのだろうが
私には
中華をまたにかけた大将軍 王騎を
傍らで支え続けた自負がある」

‥‥と王騎と共に中華を掻き回した騰は、
ある意味では臨武君よりも
"くぐってきている"男と言えるでしょう。

まさかあんなに強いとは思わなかったけど。
(しかも剣で!)


しかし蒙恬は相変わらず地味にいい仕事しますねー!


次巻へ続く。




【メモ】
⭕おまけマンガ「軍師学校のホープ」

キングダム 25巻 「迫り来る合従軍」

*ネタバレあり*

キングダム 25 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 25 (ヤングジャンプコミックス)


えらいことになってきました。

大国・楚が秦に侵攻して来るという
最悪の展開になってきたかと思いきや、

魏・趙も動き出す。

さらに燕や韓も攻めてきて‥‥

かつてない衝撃の大展開、25巻です。


【あらすじ】
楚が侵攻してきたという報せを受け、
戦慄が走る政や文官たち。

一方前線では、
あらかじめ楚の怪しい動きに備え
南部防衛を任されていた"蒙武"、"張唐(ちょうとう)"の2将軍が、
秦国南部の防衛線の位置へ急いでいた。

楚軍より早く到着せねば本格的に侵攻されてしまうという状況の中、
現実的には楚軍が防衛線を抜ける方が確実に早いという見通しに蒙武や張唐が焦っていた頃、

南虎塁付近であらかじめ張っていた
王騎残党軍・騰の隊が楚軍の前に立ちはだかる。

5万人の楚軍に対し、5千人の騰軍だったが、
今は一刻をかせぐことが何より重要だと騰は楚軍へ向かって行く。


その頃、信たちも楚軍侵攻の報を受け、
対戦の地へ向かっていた。

しかし、その道中で10万を超える"魏"の大軍を目撃する。

急いで対魏の防衛拠点の城へ向かうと、
すでに城は落とされた後。
信たちは、"国が侵攻される"という恐怖を
肌で感じ始める‥‥。


そして咸陽では、続々と新しい情報が寄せられていた。
タイミング的にみて、"楚"と"魏"が連動していることは間違いなく、
更に"趙"が侵入してきたという報が入り、
政は、これは三国が同盟を組み合った
"三国連合軍"だと身構える。


その時、更なる急報が入り、
"燕"12万の軍、
続いて
"韓"5万の軍
の侵入が確認された。

加えて
"斉"も大軍を興し、現在趙を通過して西に向かう気配あり、という報せまでが入り、

事を察した首脳陣全員の顔から血の気が引いた。

国連合軍どころか、
これは、敵一国に対して複数の国が盟を結び興される連合軍・"合従軍(がっしょうぐん)"だった。

中華の国全てが秦一国を滅ぼすために
侵攻してきたのである。

秦の中枢を担う臣たちの殆どは絶望し、
もはや放心状態に。
昌平君と昌文君だけが対応策を講じ汗をかいていた。

脱け殻のように思考を止めていた臣下たちに対し、政は檄を飛ばす。

ここ中枢にいる30人ほどが国の命運を握っており、
ここにいる者だけが対処を講じられるのだと。
絶対に諦めずに戦うぞ、と叫ぶ政に、
呂氏派の臣下までもが戦意を取り戻すのだった。




軍総司令・昌平君は、最悪の状況下の中、策を講じ始める。
まずは唯一まだ秦へ侵攻してきていない"斉"に目を付け、
現在も外交で東に遠征していた呂氏四柱・蔡沢に
"斉の合従軍離脱"を斉王に交渉するよう、託す。

そして蔡沢は斉王に謁見し、破格の金の提示と
外交力により、交渉を見事成立させる。


一方、前線の信たちは、
10万の魏軍に対し1万ほどの軍で応戦している
麃公将軍を目撃する。
対する魏軍の総大将は、かつて麃公が討ち取った
呉慶将軍の息子・呉鳳明(ごほうめい)。
飛信隊は麃公の援護に入り、魏軍と戦うが、
妙な陣形を取り始めた魏軍に策略の臭いを嗅ぎ取った麃公は、一旦退がるように指揮。
この日は両軍とも仕切り直しとなった。

飛信隊が麃公軍に加勢し、呉鳳明率いる魏軍との戦が4日目となった頃、
李牧率いる趙軍が呉鳳明のもとに訪ねてくる。
これにより、戦はここで中断され、
遠方に上がった砂塵に気づいた麃公は退却した。


その頃、咸陽で連日連夜策を講じ合っていた
昌平君らは、
やっとわずかばかり光明を感じることができる策を考えつく。
名だたる武将全員を咸陽に呼び集め、
その唯一の作戦を伝令した。


中華一の"不落の城"と呼ばれる咸陽は、
周囲を山岳に囲まれる"天然の要塞"。
咸陽に至るためには、大道をふさぐ
"国門・函谷関(かんこくかん)"
を越えなければならない。

此度の唯一の作戦とは、
秦軍の各将・各軍を集結させ、
"函谷関を死守すること"
それのみであった。

信たちをはじめ、
蒙恬・王賁らも函谷関の前へ集結。
秦軍は迫り来る合従軍に対し、構えの体勢を
とった。

そして合従軍が函谷関の前に到着。

◉合従軍総大将 : 楚軍・春申君(しゅんしんくん)
◉合従軍参謀役 : 趙軍・李牧(りぼく)

●楚軍(15万) ・・・総大将 : 汗明(かんめい)
●趙軍(12万) ・・・総大将 : 李牧
●燕軍(12万) ・・・総大将 : オルド
●魏軍(10万) ・・・総大将 : 呉鳳明(ごほうめい)
●韓軍(5万) ・・・総大将 : 成恢(せいかい)


これらを迎え撃つ秦軍の布陣は、


●函谷関配属(対魏・韓) ・・・蒙驁、張唐、桓騎
●函谷関右(対楚)) ・・・騰(3万)、蒙武(6万)
●函谷関右奥(対趙)・・・麃公(4万)
●函谷関左(対燕)・・・王翦(7万)


飛信隊は麃公軍に、
玉鳳・楽華隊は騰・蒙武の連合軍に配属された。


楚軍総大将・汗明が開戦の号令をかけ始めた
その時、
麃公将軍が突撃の号令をかけ、
大戦の口火を切ったのは
飛信隊属する麃公軍!

こうして紀元前241年、
合従軍 対 秦軍 ・函谷関攻防戦が開戦した。




* * *




"合従軍"なるものがあるとは
想像もしていなくて。

李牧の動きは怪しかったとはいえ、
まさか各国が協力し合って秦を潰しにかかるというどでかい話になるなんて、
思いもしなかった!

前巻の前フリから、
今巻の楚→魏→趙の侵攻発覚順といい、
恐怖の煽り方が秀逸で、
さらに
燕→韓→斉の侵攻の報が入ったときの
咸陽首脳陣の表情ときたらすごすぎました
(原先生の表情の書き分けは本当に上手くて
わたしがキングダムが好きすぎる要素のうち、
間違いなくかなりのウェイトを占めている)。
一緒になって血の気が引きましたよ。

敵対し合う国々ばかりの中華で
複数の国が盟を結び興される"合従軍"は、
長い戦乱の中でも一度しか起こったことがないといいます。

ていうか起こったことあったんだ!ヒィィ‥‥!

昌文君によると約40年前に斉がその憂き目に遭ったらしいのですが、
昌文君が当時も今も現役(文官とはいえ)なのがさりげにすごい。笑

今は小国の斉が、あんな大国だったなんて驚いたと同時に、(※53ページの地図参照)
"合従軍"は国をも歴史をも変えるという事実に
恐ろしくなる‥‥。

"普通に考えたら"、
絶対に勝てる訳がない。

一体どうなるのか、見当が全くつかない展開です。

李牧との会談ではあれほどの存在感を見せた呂不韋ですら、
今回は全く出る幕無しな雰囲気。

(呂)楚の怪しい動きは察しておった、そうじゃろ昌平君?

(昌)は‥‥しかし敵も対策を練ってきているようです

(呂)ぬん?

とか(笑)、

次々と各国の侵攻を報じてくる伝者に対し、

(呂)ええィやかましいのォ
今度は何じゃあ?

とか、
完全にもう担当外。
李牧との秦趙同盟の交渉の際、
信が自分や武人の出る幕が無いと感じたように、
今回はその逆ですね。
戦略に長けた昌平君ら文官の策と、
前線で戦う男達に全てがかかってます。

文官たちが連夜血眼で模擬戦を繰り返し、策を模索する中、
「ふあ」とあくびしながら涼しい顔で起きてくるあたり(115ページ)、
呂不韋のふてぶてしさ半端ない。笑


対する合従軍は、各国の総大将たちが作戦会議。
それぞれキャラ濃いですねー。
そしてこの合従軍を興すことになった理由を、
李牧が説明します。

李牧自らが提案した"秦趙同盟"により、
ここぞとばかりに"山陽奪取・東郡宣言"
を実行した、
秦の軍総司令・昌平君の実力を見誤っていたこと。

"山陽奪取"は秦にとって、
"中華全土の奪取"
に向けての
"何十手も先を見据えた上での詰みの一手"
であると読めたこと。

そしてこのまま放置しておけば、
魏国だけでなく中華全土が侵攻され、
秦もまた中華全土を侵攻しにかかってきている
という事実に
李牧と春申君の2人が気づいたこと。


これらの理由から、
秦が猛威をふるい出す前に各国で秦を潰しておかなければならない、
と合従軍は興された訳ですね。


こんな恐ろしい軍を興してまさに今から開戦、
という時に、
李牧の表情は複雑そうです。

前巻での信との勝負の際に見せた葛藤らしき
シーンといい、

もう少し李牧のキャラとしての背景が知りたいかなと個人的には思うところ。

キングダム連載前に、読み切りで掲載された時の主人公は李牧でしたから、
当然そのあたりの人となりの描写はそこで少なからずあったかと思いますが、

コミックスには未収録だし、
総集編の読み切りにも手を出せないでいる(ネタバレありという噂を聞いたため)わたしとしては、
もう少しだけ背景描写が欲しいところ。

実は数年前にTSUTAYAのDVDレンタルコーナーで、キングダムのボロボロの小冊子が置いてあって、
その中身が李牧読み切りでした(はず)。
その時出先でしかも急いでいたため全部読めずにここまできて、もはや今となっては悔やんでも悔やみきれない!

ヤフオクでも時々探すんですけどね。。


背景を知ることで、大分感じ方が変わってくるはずだもんなぁ。
‥‥コミックス派の嘆きでした。


次巻、いよいよ大戦です!



【メモ】
⭕かつて合従軍が興された時(約40年前)の内容
●総大将 : 燕・楽毅(がくき)大将軍
●敵国 : 斉
●目的 : 斉の列国への暴威を止めるため。
当時の斉は、"現在の燕の西半分・趙の東端・魏の東端・楚の東側の殆ど"
の部分を有する大国だった。
一番被害を受けていたのは燕だったため、
総大将は燕・楽毅大将軍に。
●結果 : 斉は、たった2城を残したのみで
他の全ての土地を失った。

⭕騰軍軍長・同金、楚の臨武君に一撃撲殺される。(泣)

⭕合従軍の総大将は、李牧ではなく楚の春申君。大国・楚の王は、色々と体裁を気にするらしい。

⭕春申君について
●"戦国四君"最後の1人。
●楚の宰相として、20年間国をまとめている。
●文官・武官問わず、中華全土の現役格付けで
頂点に位置する人物。
●口はめちゃくちゃ悪い。

⭕おまけマンガ「羌瘣 一人旅」

キングダム 24巻 「相国」

*ネタバレあり*

キングダム 24 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 24 (ヤングジャンプコミックス)

前巻で李牧が動き出しました。

と同時に、宿敵・龐煖の姿も‥‥!

王騎の時の9年に比べると、3年程度と短い(?)スパンでの前線復帰。

龐煖大キライなので、不吉な予感しかしない
24巻です。



【あらすじ】
秦が"山陽"の地を"東郡"と改め領地にした頃、
趙では李牧が燕への戦争を開始した。

"馬陽"での戦と同様、総大将は龐煖。

王騎を討った後、再び山中にこもり
武に明け暮れていた龐煖を呼び戻した李牧。
秦が山陽を獲りに出たことと同様に
秦趙同盟が活きているうちに背後の仇敵を討っておくつもりだろう、
と貂は予想していた。

趙軍・燕軍ともに10万を超える大戦は、
開戦後わずか半日で戦局が佳境に向かっていた。

李牧に対するは、燕国内にて唯一中華に名を馳せる大将軍・劇辛(げきしん)。

かつて戦国中期時代の英雄である、軍神楽毅(がくき)の戦を研究し、大将軍にまでのぼりつめたという、60年の戦歴を持つ怪物である。

金の力で燕に移り住んだが、元々は趙人だった
劇辛は、
そのまま趙に残っていれば、
あの廉頗の時代の"三大天"
の一席を掴んでいたと言われる程の人物だった。

劇辛は持ち前の読みで、李牧本陣を突き止める。

本陣を目の前にし、いざ李牧に攻め込まんとしたその時、
劇辛の前に龐煖が立ちはだかり、
何と劇辛は龐煖に一瞬で両断されてしまう。

たった1日で戦が終わり、
劇辛が討たれたという情報は各国に知れわたった。



一方、山陽東郡宣言に対する各国への影響対策として、楚国との国境周辺の警備を担当させられていた飛信隊は、
国境の向こう側で秦国を威嚇するために送り込まれた楚の軍とにらみ合っていた。

秦・楚ともに、現状での両国間の戦争は厳禁という命が出ており、
10日ほど同様の状態が続く。
すると楚の千人将・項翼(こうよく)が業を煮やし、飛信隊を挑発してくる。

単純な信は度重なる項翼の挑発に耐え切れず、
単独で項翼を攻撃。

思わぬ将同士の打ち合いが始まってしまい、
楚の千人将で項翼の仲間である弓使い・白麗(はくれい)が止めに入る。
飛信隊のメンバーも次々と駆けつけ
何とか打ち合いが止まり事なきを得るが、
信は、楚にも同世代の手練れ千人将が複数いる
ことを知るのだった。


その頃、王都咸陽。
色欲に狂う太后の後宮での権力により、
呂不韋陣営に寝返る有力者達が続出していた。

このタイミングを利用し、
呂不韋は丞相から"相国(しょうこく)"という
最高位の位に昇格する。

呂不韋の暴挙を止められなかった政陣営は、
かつて反乱を起こした政の弟・成蟜のもとへ向かう。

打倒・呂不韋に協力するかわりに、
幽閉されている成蟜一派全員を開放しろという条件で、
実は以前から成蟜は政に話を持ちかけていた。

呂不韋の暴挙に対し、今は成蟜の持つ公族の力が必要だと判断した政は、
3年間城に閉じ込めていた成蟜らを開放する。

数日後。
成蟜一派の力により、闇の人脈を持つ有力者達が続々と政陣営の協力者となる。

呂不韋が相国になったことを逆手にとり、
政は多くの有力者達を多く集め、
その権力を利用して
昌文君を"左丞相"に任命させることに成功。

空いていた丞相の席には、呂氏四柱である昌平君と李斯が就く予定だったところを、
見事昌文君が李斯の分の席を勝ち取ったのだった。


一方、
信達は楚との国境付近の警備の命が解かれ、
東の先端の城・東金(とうきん)を目指していた。

道中、傷だらけの子供に出会い、
"徐(じょ)"という小国を救いに入った信達は、
徐の国王からもらった秘密の地図に記された極秘ルートの途中で、
何と李牧の姿を目にする。

各国でも宰相レベルの者しか知らない極秘ルートの途中で李牧に出会ったという事実に、
只事ではない何かを感じとる信と貂。

李牧の目的を探りに李牧を追った信と貂は、
そこで李牧が密談の場を設けている場面に出くわす。

カイネに見つかった信は、趙兵に囲まれ
李牧と対峙。
秦趙同盟があるため、互いに手出し出来ない2人。

李牧は人払いをし、信と2人に。
信は、李牧に密談の相手は誰か、一体何を企んでいるのかと問うが、
当然李牧は答えない。

すると李牧は突然、
「一騎討ちで勝ったら、
私の悪巧みを教えてあげてもいい」
と剣を抜いた。

李牧の意図は掴みかねるも、
信は本気で李牧に向かっていく。

信は本気の一撃を李牧に返されたことで
改めて李牧に対し、
頭脳だけの男ではなく場数を踏んだ肉体派の武将の類でもあることを確信するのだった。


その後、信は無事開放された。
別れ際に、貂は李牧に問いかける。
密談の相手が、
秦国にとって最も最悪な相手だと予想するならば
それは楚の宰相であり、
もしそうだとすれば密談の内容は
"楚趙同盟"
ではないのかと。

李牧はそれには答えず、
信と貂に対し
「戦争の本当の恐ろしさを分かっていない」
とだけ警告し、去って行った。

その20日後、李牧は魏国の王のもとを訪れるーーー。



李牧の密会を目撃してから一ヶ月後、
信は、配属されていた東金城にて、
政の"おめでた"話を聞く。
そして咸陽では、向が政の子を身ごもったと聞き、昌文君をはじめお祝いムードに包まれていた。

信と貂が、政の子供が生まれることを喜び合っているところに、
突然敵襲の知らせが入る。

飛信隊や蒙恬が駆けつけると、敵襲ではなく
王騎残党軍・録嗚未と干央軍長がいた。
騰の指示により、趙を中心とした楚・魏一帯の不穏な動きを探っていたのだという。

魏国の静けさを怪しんでいた蒙恬は、
自らの勘が気のせいでは無いかも知れぬことに
不安を覚える。

その頃騰は楚との国境防衛壁・"南虎塁(なんこるい)"にいた。

騰の予感が当たり、
突然秦に楚軍が攻め込んでくるーーー。



* * *




初っ端から、不穏すぎる動きが始まりました。

かつての趙・三大天にもなり得たという
燕の大将軍・劇辛。

肩透かしなぐらいあっさりと逝っちまいました‥‥。

劇辛が弱かったのではなくて、
龐煖の強さが異常すぎるだけなのですが、
劇辛、死の間際の
「待っ‥‥」
発言は、かなりしょっぱかったです‥‥。


李牧が不穏な動きを見せ始める中、
信達は楚軍の若手千人将に出会います。

項翼(こうよく)

白麗(はくれい)。

項翼は口が悪くヤンチャなガキ、
白麗は気高く品のある中華3位の弓使い。
どちらも信と同世代で、
どちらもなかなかキャラ立ってます。

2人のボスっぽい将軍・臨武君(りんぶくん)も出てきますね。
白麗と臨武君がかわしていた会話、
「近いうちに秦軍と戦うってことね」
という発言、
何の前触れかと思わされます。


一方、咸陽でも急展開。

すっかり色情魔と化した太后が、
呂不韋の送り込んだ"快楽のお相手"・ロウアイに溺れ、
満足した太后は権力を活かして次々と呂不韋陣営に協力者を増やしていきます。

太后呂不韋との衝撃の姦通事件の時は、
かつての恋人同士という過去もあり、
気持ちの上での未練や情念もあろうかと
同情すべき点がなくもなかったのに、
今やただのエロババアと成り下がってしまっております。
このロウアイ、男根に車輪を通して回すというほど強靭な‥‥モゴモゴ。という男らしく、
たいそう太后はお気に召してしまったようす。

別に呂不韋じゃなくても‥‥良かったんですね‥‥。


陣営をふくふくと太らせた呂不韋は、
相国という位に昇格。
負けじと政陣営は成蟜と手を組み、
有力者を集めて昌文君を左丞相に昇格させます。
(昌文君、大出世!)

すごい展開になってきました。
あと、向ちゃんご懐妊!おめでとう!


一方、たまたま道中で李牧に遭遇した信。
信はまだ何者かは分かっていませんが、
なんと李牧の密会の相手は
楚の宰相・春申君(しゅんしんくん)でした。

密談の内容が"楚趙同盟"だと予想する臨武君に対し、
春申君は
「李牧を甘く見過ぎだ」
と答えます。

貂の"最悪の想像"をも超える何かが、
確実に動きだそうとしている‥‥、
何だかモヤモヤした展開になってきました‥‥。

李牧が何を思ったか、
信に対決を挑み、
勝てたら内容を教えてやると言い出したのにも
大きな訳がありそうな気がする。

🔴李牧 : 「もし見事に殺せたら
私の悪巧みそのものをつぶすことができますよ」

と言い出すあたりも、
これから起こる大事に対し、
李牧自身少しの迷い(本当にかすかではあるけれど)があったのかも。

そういう李牧の葛藤のようなものは
はっきり描かれてはいませんが、
時折挟むカイネの表情などから、
彼女はそれをよく分かっているんだろうなと
感じます。

そして終盤では、ついに楚が動き出します。

次巻、どうなる?!




‥‥最後に。
118ページの扉(信が寝ぼけて貂の体をまさぐってるやつ)、イラネー!!


【メモ】
⭕始皇6年、向ちゃんご懐妊!
政19歳、向ちゃん16歳(〜15歳)ですね。

⭕李牧、燕の劇辛を破り、
楚の宰相・春申君との密談後、
魏王のもとへ現れる。

⭕おまけ1コマ「大スクープ!!」
おまけマンガ「陽ちゃん向ちゃん 〜アダルト編〜」

キングダム 23巻 「論功行賞」

*ネタバレあり*

キングダム 23 (ヤングジャンプコミックス)

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対魏戦が終わり、
論功行賞に
羌瘣との別れと
貂との再会。


新生飛信隊スタートの23巻です。




【あらすじ】
戦の敗北と終結を宣言した廉頗。

攻撃の要であった中央軍の輪虎を失い、
介子坊の散らばった左軍は、山中で桓騎を見失ったまま分散している状態という魏軍に対し、

秦軍は万の軍をほぼ無傷で保ったまま
山城で様子を伺っている王翦軍を残している。

さらに魏軍本陣を落とした桓騎軍の存在、
続々と崖下から駆け上がってくる秦軍の兵の数を考慮し、
廉頗はこの戦がもう"詰んでいる"と判断。

介子坊や魏兵らは、
目の前にいる蒙驁を討ち取って戦局を五分に持ち込もうと荒ぶるが、

全体の戦況を冷静に見極めることができる
廉頗だからこそ、
何より魏軍のことを考えるならば
"全滅"の憂き目に合うことだけは回避せねばならない、という思いからの決断だった。

そして廉頗は蒙驁に"和睦"を申し入れる。
魏兵への一切の攻撃を禁止し、
山陽一帯の住民にも手出しさせぬよう
蒙驁に認めさせる。
これをもって戦の終結となり、
秦軍の勝利が決定した。


そして廉頗は去り際に、信の前へ現れる。


王騎の矛を受け継いだという信に対し、
本気でかつての六将・三大天を超える
大将軍を目指すのであれば、
これまで六将や三大天が成し得なかった大業・
"中華の統一"
をやってのけ、伝説の塗り替えをしろと発言。

信は、政の目指す王の道と
自分の夢が初めて重なり合ったと感じ、
廉頗に
「中華統一で俺らがあんたらを超えた証だ」
と宣言するのだった。


戦が終わり、飛信隊はひと月かけて帰路についていた。

その道中、
戦での負傷により長らく寝込んでいた羌瘣が回復。
戦が終わったら仇討ちの旅に出ると決めていた羌瘣は、
仲間たちに見送られながら、
趙を目指し旅立って行った。
〈羌瘣、飛信隊を一時離脱。〉


そして後日、王都咸陽にて
魏戦の功が評価される式典・
"論功行賞"
が開かれる。

第一功は、勝利を導いた蒙驁将軍。
第二功は、魏参謀(玄峰)と総大将(白亀西)を討ち取った、桓騎将軍。

そして第三功には、魏軍主攻の将軍(輪虎)を討ち取った信が選ばれる。

信は、褒美を授かるとともに、めでたく正式に千人将へ昇格することが決定。

式典の後、改めて政と2人で"中華統一"の目標に向け、気持ちを新たにするのだった。


3ヶ月後。
千人隊となった飛信隊は、甲冑も新たに息巻いていた。

しかし、羌瘣が抜けた後の飛信隊は連戦連敗。
軍師の役割を担っていた羌瘣の抜けた穴は致命的に大きく、
信は千人将権剥奪の危機にさらされていた。

そんな折、飛信隊の不調ぶりを耳にして心配した蒙恬が、様子を見にやってくる。
苦戦している飛信隊の現状を知り、
蒙恬は魏戦で祖父・蒙驁の勝利に貢献してくれた信へのお返しとして、
とびきりの軍師と認める弟・蒙毅を紹介してやると協力するのだった。


数日後。
蒙恬の手配により、飛信隊のもとへ軍師が到着。
蒙恬の弟・蒙毅が来るものとばかり思っていたところ、
到着した軍師は何と貂だった。

蒙毅に別の任務があったため、代理の者として選ばれたのが貂だったのである。

信は突然の再会に驚き、更に成長した貂が
女であることを明かされ驚愕。
そして隊の殆どが小娘軍師である貂に対し、
拒否反応を示すのだった。

そんな時、飛信隊に恨みを持つ魏軍が突然攻め込んでくる。
魏との戦で、輪虎率いる中央軍に配属されていた
兵の生き残りが揃った手練れの軍であり、
軍師・氷鬼の頭脳もあって格が違う強さを見せていた。

貂に軍の指揮を任せる気になれない信は、
今まで通りの指揮下で応戦するが、
またしても隊は危機に陥り、
仕方なく指揮を貂に代わることに。

貂は地形を利用し、巧妙な戦術で次々と魏軍を討ち取っていく。
そして隊長である信を囮に使う大胆な作戦が成功し、飛信隊に久々の勝利を導いた。

貂の実力を実感し、隊の貂に対する態度は軟化。
貂は能力を認められ、ようやく飛信隊のメンバーに受け入れられたのだった。


その頃、趙国王都・邯鄲。
李牧が動き出す。



* * *



対魏戦、終結です。

廉頗の存在感はすさまじかったなあ。。。

戦は秦軍が勝ったけど、改めて読み返してみても
廉頗が"負けた"とは思えないし、
蒙驁が"勝った"という実感もない。

廉頗も蒙驁に、

「どういう形にせよまんまとやりおったな‥‥」

と言っているように、
蒙驁の力を認めたというよりは、
配下頼みの蒙驁の粘り勝ち、といった感じ。
(個人的にはまさかの一騎討ちを望んだことで蒙驁のたぎる想いはものすごく伝わったけど)

廉頗の言ったように、
最終的に戦は詰んでいて、
あの段階から魏軍の巻き返しは相当難しかったのは事実なのでしょうが、

廉頗と介子坊がいればあの場は何とかなったのではという気もしてしまう。

和睦の内容は勝者が決めるのが普通なところ、
「譲歩してやってるのは儂の方」
と言って廉頗が和睦の内容を全部指示しているあたり、
やっぱりやろうと思えば何とでもなったのかもな、と。

廉頗なりに思うところがあったのでしょうね。
まあ、魏王への義理もありますしね。
魏兵を犠牲にさらすリスクも含めた判断でしょう。

結局反撃にかからず敗北を認め、
冷静に和睦を申し入れたのは、

信から王騎の最期を聞いたことにより
あれだけ拒絶していた"時代の流れ"を廉頗なりに受け入れることで、
ある意味において火が消えてしまったのかもしれないな、と感じました。


廉頗の存在感がすごすぎて
秦軍勝利の実感が無いとつらつら書きましたが、
この戦の勝利は、
信の輪虎撃破と
何より蒙驁軍のツートップ・王翦・桓騎の功が大きかったので、
この2人を従わせている蒙驁の力には当然違い無いです。

とにもかくにも、
中華の拠点地の中でもかなりの価値があるという
"山陽"
の地を秦国が手にしたことは、
この後の展開に大きく影響を及ぼすことになります。



‥‥しかし最後まで廉頗が蒙驁に一切興味ナシだったところが一貫していて切なかった。笑


"あまり儂らをなめるなよ蒙驁"発言から
戦•終結後の蒙驁スルーぶり。
(公式の和議にも代理を送るとか言われてるし)
信には興味津々なのに。笑
立ち位置的に、
蒙驁の思いは、報われないままなのですね。


そしてその後、廉頗は魏国を追放され(魏王の温情で死刑は免れる)、
楚へ亡命し、その生涯を終えるとあります。

ああ、もったいなさすぎるー!(泣)


そして廉頗が去ったあと、
信がやっと一息ついて蒙恬に担がれているところに壁が現れた時、
「あっ?! 壁のあ‥‥(んちゃん)」
と皆まで言えずぶっ倒れるシーンは
地味にほんわかしました。
壁の兄キャラ、健在です。



一方、
いよいよこの時が来てしまいました‥‥
羌瘣、一時離脱です。

別れ際の落とし穴のところ、よかった。
羌瘣の目が潤んでいるのがじんわりきます。


もう既に寂しい!早く帰ってきて!(涙)


そしてその後の飛信隊、まさかの大苦戦。
軍師の役割をも担っていた羌瘣がいなくなり、
一勝もできなくなる始末。

昂(こう)くんが、
羌瘣が抜けたのが大きいんじゃないのかなと
指摘していることに対し、
信ときたら

🔴信 : 「ざけんな昂 これまで羌瘣が一人で武功あげてたわけじゃねェんだ
あいつ一人抜けたからって戦力がそこまで無くなるかよ」

とか言ってますが、
羌瘣がいなかったら何回全滅してたことか!
って場面いくつもあったっつうの‥‥。



そして蒙恬のはからいで軍師の斡旋。

貂が信のもとに軍師として帰ってきます。


正直、特例とはいえ軍師修業終わるの早くね?!
(一回休みもらって帰ってきてたけど、
合計2年強ぐらい?)
と驚いたのと、

まだ羌瘣がいなくなった寂しさを消化できていないうちからの
鮮やかなヒロイン交代劇に、
わたしは軽いショックを受けてしまいました。笑


ここからは少し余談になりますが、
わたしはキングダムに恋愛要素は全く必要ないと思っていて、
男たちの戦いに胸を熱くし、時には涙しながら夢中に読み進めてきました。


青年誌なので色付けとして必須要素であるとは思うのですが、
そんなん絡めなくていい!
とかたくなに思っていました。


2012年の夏にキングダムのガイドブックが発売されているのですが、
そこに原先生の"キングダム制作裏話"的なロングインタビューがあり、
ヒロインの初期構想についてなどが色々と書いてあったのです。
それを読んでからはわたしも
"キングダムのヒロイン"
について、考えるようになってしまいました。

でも
23巻発売時は2011年の夏なので、
その1年後に出る公式ガイドブックの感想については、そのあたりの後(26,27巻あたりかな?)に改めて。


ひとまず、ガイドブックの話は置いといて、
とにかく23巻で羌瘣が旅立ってしまってからは
想像以上に寂しくてたまらなかった!


だから貂が帰ってきたとき、
あんなに可愛かった貂のことを、
あんなに健気だった貂のことを、

"オマエジャナイ感"

いっぱいの心で出迎えてしまったことは
否めません。。。(哀しい)


貂、好きなのに‥‥
貂、好きだったはずなのに‥‥
初期は貂にあれだけ癒されたというのに‥‥
やっぱり苦楽をともに過ごしてきた羌瘣に
思い入れがありすぎる。
14巻とか、22巻とか、、、!


とりあえず軍師としての適性は認められた貂、
今後は(いろんな意味で)さらなる飛躍が必要ですね。


【メモ】
⭕〜飛信隊 月日の経過メモ〜
●魏戦後、1ヶ月かけて故郷へ。(羌瘣離隊)
〜論功行賞。
●論功行賞より3ヶ月後、軍師•貂入隊。
●貂加入後、10日で里井(りせい)の地平定。
●その20日後+3日後、山陽へ軍•部隊•文官が集う。
軍総司令•昌平君、山陽の地を"東郡"と名称を改め、秦人を移住させる計画を発表。
●この時"始皇5年"=政 18歳。

⭕李牧、燕へ攻め込む準備。

⭕おまけマンガ「山陽戦の後日談」