キングダム 53巻
*ネタバレあり*
- 作者: 原泰久
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/01/18
- メディア: コミック
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キングダム53
信&王賁の表紙、なんだか新鮮でよいですね!
今巻では、橑陽の戦いにやっと決着がつきます。
それでは、まずはあらすじから。
【あらすじ】
犬戎軍の執拗な追撃に遭い、孤立してしまった楊端和とバジオウ。
気絶した楊端和を護るため孤立奮闘するバジオウだったが、
その粘りが報われ、シュンメン・タジフら楊端和軍が援護にかけつける。
そして犬戎兄弟の末弟・トアクを仕留めたフィゴ軍も楊端和のもとへ集結する。
それとほぼ同時に、楊端和を追跡していた犬戎王・ロゾの本軍と舜水樹が現れ、
カタリを討った後楊端和を追っていたブネンの軍が合流。
加えてカタリの仇を討たんとブネンを追っていたキタリら壁軍も到着し、
一気に周囲が各軍で埋め尽くされる。
いよいよ橑陽の戦いは決着の刻へと近づいていた。
各族が入り乱れ大混戦となったが、
カタリの妹・キタリはブネンに追いつき、自らの手でブネンの首を討ち取る。
そしてフィゴ軍の王・ダントは犬戎王・ロゾと対峙し、死闘を繰り広げる。
乱戦の中、ダントはロゾの後方で壁が機を図っていることを察し、自らが囮となってロゾの注意を引きつけていた。
壁はロゾがダントに気を取られている隙を狙い、見事ロゾを討ち取る。
一方舜水樹は、楊端和が自らを犠牲にし、犬戎の城から犬戎軍本陣をあぶり出すための囮となっていたことに気づき、
手薄にしてしまった橑陽城に引き返していた。
夜明け前、舜水樹が城に到着すると、
すでに城は山民族が占拠した後であった。
楊端和が出陣前に猿手族に任せていた別働隊が主となり、
さらには追撃される途中散り散りに逃げ分かれた山の民の各族が”結集の地”である橑陽城へと徐々に集まったことで
楊端和との約束通り”日の出まで”に城を落とすことができたのである。
楊端和は窮地に追い込まれるであろう自らの負担は厭わず、
退却の際仲間には自分の援護には来ず城を目指すようにと命じていたのだった。
楊端和の策に嵌められていたことに舜水樹が気づいた頃、
戦いの勝敗が決した犬戎軍と楊端和軍が共に城に到着する。
舜水樹は犬戎軍とともに城を取り返そうとするが、
王・ロゾを討たれた犬戎軍は楊端和の側につくと宣言。
家族を人質に取られ、圧政を敷かれていた犬戎の者たちは、それを知りながら無視し続ける趙軍に以前から不満を抱いていた。
楊端和は犬戎の者たちが望むのであれば
自分は仲間を”支配”するのではなく”解放者”となろうと提案する。
犬戎たちは楊端和の軍門にくだり、その提案を受け入れることを決意。
舜水樹は趙軍を引き連れ、橑陽の地を離れることで決着が着くのだったーーー。
◆
一方、朱海平原では、
信たち属する右翼軍には亜光将軍が討たれた後も王翦からの指示は無く、
将不在のまま10日目の戦いを終えていた。
このままでは軍の士気が保てないと危惧した亜光軍は、
王翦の嫡男であり、亜光軍全兵から望まれている王賁こそが右翼全体の将となるべきであり、
今後の指揮を執ってほしいと懇願する。
しかし、亜光軍から王翦本陣に大将交代の要請の伝令を幾度となく送っても、
王翦の答えは”現状維持”であった。
落胆する亜光兵を目の当たりにし、
頑なに王賁を将に据えない王翦の判断に対して疑問を持つ信と貂だったが、
王賁本人は王翦の指示に従うだけだと冷静に振る舞う。
その夜、信は玉鳳隊の番陽副長と関常が話し込んでいる場にたまたま遭遇する。
関常は、
今回の王翦の采配は明らかに理屈が通らず、
これはただの父子の確執ではない事態である
と番陽に不満を漏らしていた。
そして、
王翦と王賁が本当の親子ではないという噂が本当なのではないかということ、
そしてその噂を王賁本人が気づいているのではないかということを
番陽に訴えるが、その話を信が聞いてしまう。
関常は咄嗟に自分の発言を否定した上で
信に他言無用を強要するが、
番陽は、予断を許さぬ戦況の中で事情を知る自分たちが死んでしまった時、
王賁の抱えている苦しみを知る者が居なくなってしまうということだけは避けたいと考え、
信に核心を話しはじめる。
王賁が産まれる前の話である。
王賁の母・朱景(しゅけい)は貴族中の貴族の出の姫であり、同様に名家である王家の王翦のもとへ嫁いできた。
しかし朱景には王翦との婚礼の前に好いた男がいたとの噂があり、
結婚からほどなくして身ごもった子ども(王賁)はその男との子なのではないかとの噂が広まった。
その噂の真偽を問おうと周囲が朱景に確認するが、当の朱景はそのことに関して固く口を閉ざしたという。
そして王賁出産の際、朱景は命を落としてしまい、結局真実は闇の中となってしまった。
もしその噂が真実であるのならば、
王賁は王翦の愛する妻の命を奪った”赤の他人”ということになってしまうのだ、と。
◆
夜が明け、11日目を迎えた信たちだったが、いよいよ右翼の兵糧が底をつき、
飛信隊の予備分を切り詰めてもあと2日分しかないというところまでに追い詰められていた。
対する趙軍は、秦軍に兵糧が残りわずかだと察し、体力も士気も低下するであろう12日目に秦軍の戦力を潰そうと目論んでいた。
11日目が終わり、右翼の亜光軍から王翦本陣へ再三指示を仰ぐ伝令を送るも、王翦がそれに応えることはないままであった。
その日の夜、信のもとへ王賁が訪れる。
王賁は、兵糧の期限がいよいよ残り1日となる以上、
もはや戦術でどうこうできる状況ではない
と信に話す。
打開策はもはや玉鳳隊・飛信隊の2隊がこの一夜で”覚醒”をし、
明日の開戦までに敵より強くなる以外に勝つ道はないと信へ告げ、立ち去る。
しかし当の王賁ですら、何も思いつかないまま時が過ぎ、夜が明けるのだった。
翌朝、一晩中考えあぐねた信と王賁の2人は、
図らずも同時に自軍の前に立ち、開戦前に隊全体に向かって檄を飛ばす。
百人隊から始まった隊への想いと仲間への想い、自らの夢が込められた檄は兵たちの心を熱く動かし、士気が爆発。
ほぼ同時に覚醒した2隊は、お互いが戦術無視の全軍総攻撃をはじめ、
なんとそのタイミングが見事に重なるという奇跡が起こる。
秦軍主導の進撃により、12日目の戦いが始まるーーー。
* * *
46巻から始まった鄴攻めですが、
橑陽10日目、やっとひとつ勝ち星ゲットです!
前巻で端和様が追い詰められ大ピンチとなりましたが、
スーパーナイトなバジオウが守り抜き、仲間たちの援軍が間に合いました。
570話の扉絵のバジオウ、お面がちょっと割れて左目が初披露されています。
切れ長の目が‥‥めっちゃイケメンですやん!
山の民の援軍が来てくれて喜んだのも束の間、一瞬のうちにロゾやら舜水樹やらブネンやらが湧いてきて、
こっちはブネンを追っかけてきたキタリ&壁にフィゴ軍が集まり、
あっという間に大乱戦となりました。
兄を討たれたキタリ、ブネンを瞬殺していたのがスカッとしたー!
ソッコーで右指5本全部と、左手斬り落とされても(速すぎて)キョトンとしてたブネン、
やっと自分の置かれている状況を理解したと思ったら、汗かいてまさか背を向けるとは。
キタリに八つ裂きにされて終わりました‥‥
キタリ、つよ!!
そして絶対無理だと思っていた(ゴメン)壁のロゾ討ちでしたが、
フィゴ王ダントのおかげで見事成し遂げました。
よかったね、壁!
ところで意識なく討ったあの一撃での掛け声が、まさかの信のお株
「ルアア」
だったことに爆笑しました!
壁は信の兄貴分だけど、戦においては出会った頃から信に一目置いていたし、
歳下ながら、元下僕ながらも戦での信には尊敬の念すら抱いていたとは思うのですが、
こういうところで思わぬ影響受けてたの、 何かウケました。笑
でもフィゴ王ダント、端和様の股ばっかり狙っててアホな感じだったけど、
犬戎兄弟のトアクを瞬殺していたし、ロゾとも互角並みにはやりあっていたし、
なかなかの実力者だった。
それとロゾが犬戎の歴史をドヤってた時、
「何百年も前からこんな平地の孤島に留まり続けて新しい道も示さずに王だの祖だのといつまでも自慢してるけど
そんなお前らより外の大山界で覇権争いしながら夢持ってやりあってきた楊端和や自分達の方が強いに決まってる」
的なことをダントが言い返してて、
結構熱い奴だと思いました。
手柄も壁に譲ってくれたし、めちゃいい奴じゃないですか。
そして見事漢(おとこ)を見せた壁でしたが、この一撃のことは意識が飛んでて覚えてなかったのだとか。
とはいえ端和様にも褒められて、壁めっちゃ嬉しそうでした。
端和様も、今回は結構な大ピンチでしたね。
舜水樹に嵌められたと思ってたら実は嵌めてた、ってところが舜水樹ザマァでした。
あと、キタリがブネンを討った後、
犬戎兵が
「このまま逃げたら城にいる家族もろとも殺される」
的なことを叫んでいた姿を端和様が気に留めていたり、
壁がロゾを討った後の犬戎兵たちの不安そうな表情を見逃さずにいたこと、
この辺から端和様は敗者である犬戎の兵たちを受け入れる心積もりでいたのだろうけれど、
結局今まで恐怖で支配されていた犬戎たちも
端和様の“仲間”となり、
ますます山の民の勢力が拡大することにも繋がったとは‥‥
趙の領土において、これはなかなかの大きな収穫ですね!
そして橑陽を追い出された舜水樹は、
鄴ではなく列尾に向かったとかで、
秦軍が脱出できないように出入り口を封鎖しに行ったらしい。
奴は奴で李牧を信じて鄴が落ちないと確信した上での行動だということでしたが、
このことが後で面倒くさいことにならないといいのですが‥‥。
ところで余談をひとつ。
このあたりでシュンメンが端和様に冗談で
「今 バジオウが静かに息を引きとりました‥‥」
って報告した時、
マジかと思って思わずわたしも「えっ」て声が出てしまったのですが(びっくりした)、
嘘だと分かって端和様にブチ切れられボコボコにされたシュンメン、
その後数ページにわたってしれっと端和様の椅子がわりに尻の下に横たわり続けていたのがわたし的にめちゃくちゃツボでした!!笑
(特に108ページと、109ページ最後のコマのアングルとか笑える)
さてさて、鄴攻略のための3手のうちやっとここでひとつの勝ち星があがりましたが、
鄴自体は桓騎の監視のもと、動き無しで兵糧が残り3日分ほど。
そして肝心の朱海平原ですが、亜光将軍が討たれて兵糧も切り詰めてあと2日分。
9日目時点では、3日間で岳嬰・馬南慈・趙峩龍・尭雲を倒して、1日で李牧、1日で鄴に行く予定だったものの、
9日目に岳嬰は討てたけど亜光将軍が討たれてしまい、
10日目と11日目は秦軍の兵糧減り待ちで
趙軍も大きな動きを見せてこず、
あっという間にもはや12日目です。
ごはんも手のひらサイズの豆干(とうかん)のみ‥‥
いよいよ後がない‥‥
焦る貂たち。
王翦からの指示もなく、何も打開策が見いだせなくて絶望しているところに現れた王賁が持ってきた提案(?)が
“隊の覚醒”
でした。
ここはちょっとズコー!っとなってしまいましたが(ゴメンナサイ)、
それほどどうしようもない状況だということが伝わります‥‥。
あと、長年の間けっこう引っ張られていた
”王翦と王賁の確執”
に関して、やっと謎が明かされましたね。
あくまで噂とのことでしたが、王賁のお母さん(朱景さん)が元カレの子を身ごもったまま王翦と結婚したのだとか‥‥
でも、朱景さんの表情を見る限り、心外だわーって思ってる感じに見えるので、わたしはよからぬ噂を立てられただけで王賁は普通に王翦との子じゃないのかなと思いました。
後で、かつて朱景さんに信用されていた侍女的な人が出て来て、実は聞かされていた真実!みたいなのを明かしたりしてくれたらいいのだけど。
真実はどうあれ、そもそもあの王翦が
王賁の出自を疑っていて、
その上
「愛する妻の命を奪った」
とか殊勝なことを思ってるのであれば、
それはそれで何だか意外な一面だったりもするのです。
そしてもしそう思っているのだとして、
「俺の血を引いてないから任務まかせられん」
とか思うタイプなのかなぁ。
名家だし、血筋が重要なのは当然なのですが、
後継ぎ問題はおいとくとして、戦場において王翦は感情論では動かないだろうと。
蒙恬の実力とかは普通に認めたりしてるし、
敵でも能力があればすぐヘッドハンティングしようとするし、
血筋云々以上に実力重視なタイプだと思うのですよね。
だから王賁に関しては、番陽じィたちが思っているような理由ではなくて、
王翦的には何か別の理由があるんじゃないのかなぁと思ったりしてます。
「”自分の国“をつくりたがっている危険人物」としてキングダムに登場した王翦でしたが、なにかその理由というか、その背景とこのあたりの事情がからんでいるのかもしれませんね。
その辺も、今後の展開を見守っていきたいと思います。
さて、次巻は士気が大爆発した飛信隊と玉鳳隊がどう出るのか?
54巻へ続きます!
【メモ】
⭕️壁、メラ族たちから「ヘキショウグン」と讃えられる。
⭕️尾平、三什長になってた。
⭕️おまけマンガ
「橑陽 宴の続き」
端和様の股をめぐり、壁が大損するお話です。笑
ダント、アホでかわいいな。
⭕️カバー裏
表紙側:タジフ・バジオウ・シュンメンのお面
裏表紙側:泡を吹いて気絶する壁