キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 40巻 「敗北の巨星」

*ネタバレあり*


長きにわたる政×呂不韋の戦いに、
この巻でついに決着がつきます。

表紙が内乱編オールスターみたいな感じで、
節目の巻なんだなあと実感。

キングダムの題字にもろかぶりの呂不韋と、
水色の背景と同化しているものの真っ赤なクチビルが異様な存在感を放ってる王騎が、
ちょっと笑えました。

さて、
39巻で互いの為政論をぶつけ合った政と呂不韋

決着は、同時進行で起こっている咸陽での反乱の結末にかかっています。

呂不韋の企て通り、手下共が咸陽を制圧して王族をすべて始末し、
政から政権を奪うのか。

もしくは、
信をはじめとする大王の軍が反乱を抑え、
首謀者である呂不韋を黒幕として突き出すことができるのか。

読者の誰もが結果を分かっているものの、
1巻ではまだ14歳だった政が
8年の月日を経て加冠の儀を終え22歳、
そして本当の意味での秦の王になる瞬間‥‥
この目でみたい、確かめたい!

はやる気持ちをおさえつつ、
あらすじから追っていきたいと思います。


【あらすじ】
「人の本質の表れであり、人の世の営みの一部である"戦争"をこの世からなくすことなどできない。
戦争とは必ず起こるものであり、戦争が終わることは決してないという現実を受け入れるべきだ」

と語り、
「自分ならば暴力よりも金で人を動かして贅沢で豊かな国づくりをしてみせる」
と豪語する呂不韋に対し、

「人が持つ凶暴性や醜悪さはただの側面であり、人の本質ではない。
そこを見誤り、戦争は起こるものだと思い込むことは人に対する諦めをも意味する。

人の持つ本質とは、"光"なのだ」

と反論した政。

政は、かつて自分を趙から救い出してくれた闇商の頭目・紫夏に対し、
初めて人の優しさと強さを含めた強烈な光を見たと話し始める。

そして、
即位後からこれまでに出会った立場の違う様々な者たちの生きざまを目の当たりにし、
紫夏だけではなくその皆が一様に自分の中心に光を持っていたこと、
そして各々がその光を必死に輝かせて死んでいった姿を見てきたことを話す。

その光は、たとえその者が死しても
次の者がそれを受け継ぎ、
さらに力強く輝きを放って繋がっていく。

その繋がりこそが
人をよりよい方向へと前進させてくれるものであるのだ、と語る政。

そう確信するが故に、
己の光の有り様を見失い
人を闇に落とす最大の災いである
"戦争"
をこの時代でこの世から無くす、
と政は宣言する。

あくまで手段は"武力"なのかと尋ねる呂不韋に対し、
政は"武力"でだと断言。

戦国の王として、たとえ暴君と言われようとも武力で中華を統一し、
上も下も分け隔てなく一つにして
自分の代で戦争を終わらせるのだ、と。

全ては、
次の世を
「人が人を殺さなくても済む世界」
にするために。

政の宣言と覚悟を、その場にいる者たちは聞き入っていた。





一方、咸陽ではーーー

反乱軍は、後宮の奥まで迫ってきていた。
王女・麗の首を狙う琉期(るき)は、宮女たちを手当たり次第に虐殺しながら後宮内を荒らす。

麗とともに追手から逃げる向(こう)と陽(よう)は、反乱軍と通じていた宦官や宮女たちの裏切りにより、追手に追いつかれてしまう。

向と麗を逃がすべく、陽は己の命を賭けて時間稼ぎをしようとするが、
間一髪のところで飛信隊が到着。
信は琉期を捕らえ、麗を保護することに成功する。

その後太子・扶蘇(ふそ)の無事も確認され、ひとまずは王族の救出任務を果たした信たちだったが、
城外では、内側になだれ込もうとする凄まじい数の反乱軍に対し、
貂や尚鹿たちは苦戦していた。

戎翟軍など手練れの兵に加え、あまりにも数が多すぎる敵軍に、全滅寸前の貂たち。
もはや活路を見いだせず焦る貂のまえに、
突然貝笛の音が鳴り響く。

それは昌平君一団が到着したことを知らせる介億の貝笛の音だった。



昌平君は先頭に立ち、戎翟公・ワテギ目指して自らが出陣。

介億の貝笛により昌平君の到着を確信した貂は、戦況を見ながら昌平君の戦術に気づき、それに呼応した陣形をつくる。

そして貂の機転により陣形が整った昌平君は好機を逃さず、
一気に前進して見事戎翟公・ワテギの首を討ち取ることに成功。
そして残る何万もの反乱軍を咸陽から撤退させるために、
介億は大将首討ち取りの報を声高に叫んで周りに知らしめる。

貂たちは反乱軍の指揮系統が復活する前に素早く動き、
敗走を促すように誘導することで反乱軍を見事咸陽から撤退させることに成功する。
そして咸陽で起きた反乱は、無事鎮圧することができたのだった。



その頃、雍ではーーー


毐国軍の反乱が失敗したことを告げる伝者が呂不韋のもとを訪れ、
政と呂不韋の目の前でその事実が報告される。

この瞬間、長きにわたる政と呂不韋の政権争いの勝敗は決した。

呂不韋は、政に完敗したのだという事実を
正面からついに認めるのだった。





後日 騒動が落ちついた後、
咸陽では表向きの反乱の首謀者・嫪毐の処刑が実行されることとなった。

嫪毐は、呂不韋の手引きで後宮に偽の宦官として入らされた過去を自供し、
反乱の経緯を洗いざらい口にするも、
玉璽の複製には太后は一切関わっておらず
反乱は全て己の独断で行ったことである、
太后に罪が及ばないように庇う。

嫪毐処刑の場に現れた太后は、
己を先に処せよと政に食いかかるが、
政はあくまで反乱首謀者としての断罪人は嫪毐だとし、
太后を退ける。

引き下がらぬ太后は、嫪毐との間に産まれた2人の子の処遇について、政に問う。

政は、
「二度とこのような反乱が起きぬよう、
国家の禍(わざわい)となる火種は完全に消しておかねばならない」
太后に告げる。

太后は初めて政に対して頭を下げ、
最初で最後の頼みだとして
子の命だけはと懇願するも、
政は断固としてそれを拒否。

怒り狂う太后は政に暴言を浴びせ暴れ回るが、その場に取り押さえられ、
嫪毐の処刑は決行された。



そしてさらに後日。

呂不韋の処罰については未だ審議中であったが、
その他反乱に関わった数百人は斬首の刑に処され、
趙高をはじめ4千余家の人間は島流しの刑とされた。

嫪毐と2人の子を失い、疲弊しきった太后のもとへ、政はひとり訪れる。

生気もなく泣き疲れて眠る母の隣で
政は、

"2人の子は密かに城外に出して匿っており、
いつか国内が落ち着いたら必ずや2人と引き合わせる"

と約束するのだったーーー。




* * *



祝・第一部 完!!

1巻からずっと続いていた呂不韋との政権争いに、とうとう決着が着きました。

非情で残酷な幼少期を送ってきた政の口から

「人間の本質は"光"だ」

と聞くからこそ、
その言葉の深さと重みを感じます。

己の路は
"中華の統一"
であるという志を体の芯に据え続けた政。

王騎の死の前に共に中華を目指そうと誓い合ったこと、
絶体絶命のサイ防衛戦で、麃公の死に様を信から伝え聞いたこと、
それらを含めて
前線で共に戦ったことはないはずの政が
王騎や麃公の生き様に関して光を感じることができたのは、
それらを伝え聞く相手(昌文君や壁、信など)から共に感じ、共有する想いがあったからにほかなくて、

出会った者や関わる者たちの希望や想いを背負いながら
王として政は立っているんだなあ・・・
と思うと、
改めてキングダムという物語の壮大さの根っこにある緻密な繋がりの凄さを感じることができました。

政が目指す"中華の統一"は
決して生半可な想いで描かれた夢ではなく、

第427話14〜21ページの
呂不韋が政に問うシーンで、

🔴政 :「人が闇に落ちるのは己の光の有り様を見失うから
見つからず もがき 苦しみ・・・
悲劇が生まれる

その悲劇を増幅させ 人を闇に落とす
最大のものが戦争だ
だから戦争をこの世からなくす」

🔴李斯(?) :「・・・」

🔴呂不韋 : 「武力でですか」

🔴政 : 「武力でだ」
「俺は戦国の王の一人だ
戦争からは離れられぬ運命にある
ならば俺の代で終わらす
暴君のそしりを受けようが 力でっ・・・

中華を分け隔てなく
上も下もなく 一つにする

そうすれば必ず 俺の次の世は
人が人を殺さなくてすむ世界となる」



ここの部分の2人のやりとりから、
政の覚悟がその場にいる全員に伝わったことが分かりました。

そしてまさかの呂不韋の目に
滲むものが‥‥!!!

あえて"武力"で中華をまとめる、
と言い切った政の覚悟。

成蟜が死の間際に信に言っていた
「中華統一の道のために跳ね返ってくる怨念は長平の比ではない」
という言葉を思い返すと、
改めてこれから先に流れるであろう血の量を考えさせられ、ゾッとします。

他国にとっては史上最悪の侵略者となり、
中華中から恨まれる存在となるであろう未来が待っている。

しかし、政は
"次の世のために"
それをやろうとしている‥‥

なんだかグッときてしまいました‥‥。


さて、政と呂不韋の決着をつけたのは、
咸陽での反乱の終結の報です。

向ちゃんと麗を守る陽ちゃん、
マジに死んじゃうかと思ったーーー!!

樊於期(はんおき)の息子・琉期の魔の手にやられそうになったその瞬間、信のルァァァが聞こえて陽ちゃん危機一髪!

琉期はどれほどのもんかと思っていたら、
アッサリ信にやられて仲間にも置いていかれる始末。

そして信に助けられた陽ちゃん、
完全に信に惚れちゃってました。笑
以前おまけマンガの中で、
向ちゃんから聞いた話で一時だけ信に恋心を抱いていた時期がありましたが、
ここにきて信の嫁候補がまた一人増えたということなのか?!

陽ちゃんは名のある武家の出で身分も申し分ないはずだし、
心情的な部分を除けば信の相手としては適任
なのでは?と思いつつ、
いや、でも陽ちゃんて一応政のお相手をする宮女な訳だしな。。
主人公がダチ(王様だけど!)のお下がり(言葉は悪すぎるけど!)と結婚というのも。。。
などなど、何だか無駄に考えこんでしまいました。笑


そして後宮内はひととおり落ち着いたところで、場面はてんやわんやの城外へ。
城内へなだれ込もうとする反乱軍を何とか必死に食い止めようとする貂たちですが、
絶体絶命の状況です。

しかしここで、雍から咸陽へ向かっていた昌平君が到着!!
介億が貝笛を吹き、合図を送ります。

姿こそ見えずとも、
師の到着を知り、戦況をみながら戦術を読み解いて、陣形を連動させた貂。

同じく姿こそ見えずとも、
思いもよらぬ陣形の完成に
「そこにいたのか河了貂」
と介億と蒙毅は貂の存在に気づき、
師である昌平君にも
「フッ」
と笑みを生み出させた貂の機転と軍師学校+サイ戦での絆に胸熱!

今巻でも大活躍だった昌平君。
以前の蔡沢老師の言葉から、
昌平君の武における強さのほどは
気になってはいましたが、
まさか蒙武にも匹敵する強さ(やや誇張あり:介億談)だったとは!
恐れ入りました。
(しかも、幼少期は蒙武をも超えていたとか‥‥ますます例の読み切りが読みたい‥‥)

戎翟公を討ち取ったシーンでは、
あまりの鮮やかな強さに貂の頬が赤らむほど。
一瞬で討ち取られた戎翟公・ワテギでしたが、
百年後の戎翟の復活を夢みて重臣たちに生き延びよと命じ、自らの命を落とした最期には、ホロリとさせられました‥‥。

そして戦が終わった後、信が昌平君に何故呂不韋を裏切ったのかを尋ねるシーンでは、
はっきりと昌平君の口から
「私も中華を統べることを夢に描く男の一人だ」
との発言がありました。
さらには信の質問への答えとして、
「現秦王はその夢を預けるに足る器の王だからだ」
ときっぱり。
昌文君もわたしも、感無量です。

そして、敗戦の報を受ける呂不韋

金を見つめながら、自身の敗北を認めるシーンは感慨深かった‥‥。
この後、蔡沢に
「政は自分の息子だ」
と爆弾発言をしてドキッとさせられますが、
23ページでの若き日の呂不韋の表情からも、
ここでこの冗談を発言したことの真意は、
やはり呂不韋の言葉通り
「本当にそうであったならば」
と思うほどに、
政の成長がめざましくまぶしく、
呂不韋をも高揚させたことによるものなのでしょうね。
美姫(太后)への呂不韋なりの想いも含めながら。


太后様と嫪毐の結末ですが、
当然の結果とはいえ嫪毐は最も重い刑で死罪、そして2人の子も(表向き)死刑となりました。

太后が政に子の命を救うよう懇願する場面では、
2人の子だけが自分の全てだと言い土下座までする太后に対して複雑な表情を見せる向ちゃんが、
政から拒絶されるや否や
「てめぇなんか産んだのが間違いだった」
などと暴言を吐く太后に対して
堪えきれずに大反論したシーンがめちゃくちゃ泣けました。

そう、政だって太后の子。

しかしながら太后にとっては"クソみたいな人生"に含まれる存在であり、
そのことがとてもとても切ない。

でも、
今巻ラスト437話。
母(太后)に折檻され殺されかけて発熱を起こした政が、
ふと目覚めると濡れ手ぬぐいのようなものがおでこに乗せてあったという回想シーン。
布団は自分(太后)の分しか敷いてくれていなかったけど、枕は政に敷いてくれていた。
そのわずかながらの太后の母性ともとれる行為、政の記憶に残されていたほどに貴重なものだったのでしょう。

最終ページで、2人の子は政のはからいによって実は逃がされていることが分かり、
泣き疲れて眠っているはずの太后様の手も震えていたことから、
政の想いはきっと伝わっていたことでしょう。
政は強く、優しい。


さてさてキングダム、この先の展開は中華統一編になってくると思いますが、
"国をひとつにする"
ということがどれほどの大改革であり大戦争なのか、
想像するだけでも震えますね!

しかし40巻にもわたる内乱編、
長かったなー。
でも、めちゃくちゃ面白かったなー。

新刊が出ると、他の方の感想が知りたくてAmazonなどのレビューなどを読んだりするのてすが、
この40巻はおおむね大好評(大満足)のようですね。

しかし、
色んな方の感想を読むのは大好きなのでやめられないのですが、
たまに史実に基づくネタバレをレビューに書かれる方がいらっしゃって、
今回も史実では趙高はこの先◯◯‥‥
と書かれたとあるレビューを読んでしまい、
ネタバレを何より恐れるわたしは
ギャー!!となってしまいました。
知りたくない仲間の方はお気をつけください‥‥(涙)

それと余談ですが、今回の記事を立ち上げるにあたり、古iPhone使用のせいかやたらと落ちまくるように。。
そろそろ買い替え時でしょうかね。。。


次巻、楽しみすぎますね。
ではまた41巻で。



【メモ】
⭕成蟜の亡霊、瑠衣の肩に手を置く。笑

⭕39巻で矢に射たれまくった田有、なんとか生きているもよう。よかった!

⭕毐国と楚国はやはり金で繋がっていたことが判明。

⭕魏の前線に戻った一部飛信隊、隆国にブチ切れられる。笑
羌瘣、信を探しているっぽいが信はどこに?

太后の側近宦官・趙高は島流しの刑。

⭕おまけマンガはなし、
原先生のあとがき2ページあり。
キングダム終了は80〜100巻の予定だとか。
(増えとる!)

⭕カバー裏
表側:イラストなし
裏側:蓑虫貂のイラスト「祝 第一部完」の扇子持ち。