キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 30巻 「麃と飛」

*ネタバレあり*


蒙武の大活躍により、
最大の危機を乗り越えたかのようにみえた秦軍。

喜びも束の間、
カリン軍に函谷関の裏を取られて
絶体絶命‥‥

かと思えば形勢が再び逆転して。

戦況が二転三転しまくる30巻。

そして、8巻、16巻に引き続き、
わたしの"泣き巻"3冊目です。

麃公将軍!!(涙)


【あらすじ】
函谷関の裏手から現れたカリン軍5000人は、
一気に背後からなだれ込み、
今にも内側から函谷関の正門をこじ開けようとしていた。

蒙驁将軍をはじめ、函谷関を護る秦軍の
誰もが陥落を覚悟した瞬間、
山間から王翦軍が一斉に現れる。

山岳地帯での燕・オルドとの心理戦を制し、
函谷関の援護に現れた王翦軍により、
秦軍は函谷関陥落の窮地を危機一髪で脱する。

これによって合従軍側の"15日目の総攻撃"作戦は失敗に終わったということになり、
合従軍の函谷関突破は極めて困難となった。
そして燕軍を除く合従軍全軍が、
開戦前の位置まで軍を退却させるのだった。

歓喜する秦陣営。
ここにきてこの先、別の決め手が出てくることは考えにくいと推測される状況に対し、
どこか安堵の雰囲気が漂う秦軍。
そんな中で、前線の麃公や信は、李牧が動いていないことに対し
まだ何かの企みを感じずにはいられなかった。

そして開戦18日目。
咸陽に、小さな城が攻め落とされたという
急報が次々に入り出す。

昌平君らが急いで地図を調べると、
咸陽に至る"北道"を守る"函谷関"からではなく、
咸陽に至る"南道"を守る"武関(ぶかん)"の
内側(咸陽側)の城が次々と落とされていた。

"武関"が抜かれた様子がないことから、
敵軍は険路が多く大軍移動には向かないはずの南道へ山間から割り入り、
相当の日数をかけて進んできたことになる。

敵軍の数は4万人にものぼり、
兵を率いている人物は李牧であると判明。
思いつきではなく、開戦当初から計算通りに
兵を少しずつ送りこんでいたと思われる
李牧の緻密な戦略に気づき、
秦陣営に戦慄が走る。


一方、合従軍の中ですら李牧の動きに気づく者は
ほとんどいなかった中で、
麃公将軍だけは直感で動き、飛信隊を引き連れ、
後を追ってきていた。

麃公・信たちは、自国の利でまっすぐに南道を目指すことができた分、
秦軍に見つからぬよう用心深く兵を進めていた李牧軍に追いつく。

李牧の仕掛ける戦術"流動"をことごとくかわし、
ついに麃公は李牧と対峙。
"直感"だけで"流動"の流れを把握し、
中心まで攻め込んできた麃公に対し、
李牧は"理解の範疇を超える本能型武将の極み"
だと称するも、
麃公を前にして李牧は冷静そのものだった。

そして李牧は、麃公に対し、
何と龐煖を向かわせる。

突然の龐煖の出現に、
龐煖を知る飛信隊のメンバー達は驚愕。
李牧の"流動"に手こずりながらも、
何とか麃公の援護に向かおうと奮戦していた。

麃公は、王騎を討った男がこの龐煖だと知り、
合点がいったと語る。
王騎の名を出した途端、
何の感情も持たぬように見えた龐煖に
苛立ちの感情が現れたことに気づいた麃公は、
それを認めようとしない龐煖に
「己の中の大いなる矛盾に気づかず
一人もだえておる ただのど阿呆」
と言い放ち、
龐煖と一騎討ちを始めた。

龐煖と打ち合う麃公だったが、
李牧の戦術"流動"の流れを見破れる者は
麃公以外におらず、
麃公と共に中央まで突破してきた数十騎の兵たちは李牧軍の兵に討たれ、
麃公は孤立。
もはや活路は見出せない状況に陥っていた。

その時、麃公の援護に向かっていた信たちが
徐々に近づいてくる。
信の声に気づいた麃公は、
信に前進して咸陽へと進めと叫び、
自らの盾を信へと投げつける。
そして麃公は、龐煖との激戦で
左腕を斬られ、
麃公は龐煖の左腕をへし折った。
麃公は信に、
「火を絶やすでないぞォ」
と叫び、龐煖に討たれる。

麃公の死を目の当たりにし、
信は激昂。
麃公の仇討ちに向かおうと怒り狂う信を
壁は力づくで諌め、
今は咸陽へ進み、麃公の意志を繋ぐべきだと
言い聞かせる。

信は必死に抵抗するも、壁の指揮のもと脱出。
5000人いた麃公軍は2000人ほどに激減。
残った兵たちは李牧軍の追撃を受けながらも
咸陽を目指して走った。


そして麃公討ち死にの報を受けた咸陽では、
活路を失い、手だてを考える時間すら
残されておらず、
秦陣営は絶望していた。
その時、水面下で呂不韋が動き出す。

もはや咸陽陥落は時間の問題と判断した呂不韋は、
"朱凶"ら暗殺集団を王宮に忍ばせ、
政の首を狙おうとしていた。
常に呂不韋の動向を見張っていた肆氏は、
呂不韋の不穏な動きに気付き、
昌文君に報告。
肆氏の推測では、
恐らく呂不韋は政の首と引き換えに
李牧に"和睦"を交渉し、
城をあけ渡すことで何かしらの恩恵を受けようと目論んでいるはずだという。

その頃、渦中の政は、誰にも告げず姿を消していた。
政は独断で昌平君に相対し、
「国家存亡の刻、呂氏四柱としてではなく
軍総司令としての立場から意見を聞きたい」
と問う。

政は昌平君に、
咸陽の喉元にある最後の城・"サイ"に
政自らが出向き、
一般市民を率いて李牧軍と戦うと宣言。

そして昌文君らとともに、
政は"サイ"へ向け出陣するーーー。



* * *



信とともに、麃公将軍の死に
涙だだ流れの30巻でした‥‥。

落ちかけていた函谷関に、
突然王翦軍が現れ、
秦は最大のピンチを脱します。

これにより戦局がガラリと変わり、
合従軍は一旦退却。
喜びまくる秦軍ですが、
麃公、信、貂や
この戦を亡命先の楚で見守る廉頗(久々の登場!)は、
"李牧がまだ動いていないこと"
に対して訝しんでいました。

そうは言っても元々超劣勢から始まったこの戦い、
まさかの形勢逆転に信たちも喜ばずにはいられません。

貂は興奮のあまり、信の腕に"ぴと"と手を置き、
喜びを伝えるほど。
(第318話 39,40ページ)

ここで初めて!(今までで!)

信が貂に対して顔を赤らめ、
ちょっとかわいいじゃねーか的な表情‥‥。
(原先生、このあたりややこしくしないでくださいー!)


しかし李牧はやっぱり動きました。
というより、すでに最初から動いていました。
開戦当初から、この時のために、
少しずつ少しずつ自軍を南道から咸陽へ向けて送りこんでいたのです。

その数すでに4万!
表向きは何十万もの合従軍を率いて
ガチで戦いながらも、
万一の劣勢時に備えての手筈も怠らない、
恐ろしい軍略家!

しかも、忌まわしいあの男"龐煖"を
引き連れてきていて、
今ここで出してくるとは!!

本当に憎たらしいほど準備万端な奴です。。。

そして嫌な予感は的中、
麃公将軍と対決することに。

化け物龐煖は、やはり圧倒的でした。
以前に羌瘣を狙って飛信隊を襲ってきた時のような、
読んでいて龐煖という存在に対しての怒りと憎しみが湧き上がってくるほど。

出てくんなよ!!!(哀しい叫び‥‥)

我らが麃公将軍は、
もはや死地となった場所に信が来ることを
遮ります。

何と言ってもこのシーンは30巻のハイライト‥‥。


🔴麃公 : 「童(わっぱ) 信
前進じゃァ」

🔴李牧 : 「!」
🔴信 : 「!?」
🔴壁 : 「!?」
🔴尾平 : 「えっ!? どっ どこを指差してっ」

🔴麃公 :「ここは貴様の火を燃やし尽くす
場所に非ず
咸陽へ行け 童 信」

🔴信 : 「!! 咸陽へ‥‥ !
(なっ で でも それじゃ‥‥将軍は‥‥)
何 言ってんだ
何言ってやがんだ 麃公将軍」

🔴麃公 : 「‥‥‥」
(盾を引っ掛け、信のいる方向へ投げつける)」

🔴信orモブ兵 : 「たっ 盾っ‥‥麃公将軍の盾だっ‥‥!!」

🔴麃公 :「さァて 待たせたの龐煖
そろそろしめといくか」

🔴龐煖 : 「死の覚悟‥‥ではない
貴様は生をあきらめた

貴様は 弱者だ」

🔴麃公 : 「何も分かっておらぬな
このど阿呆が!!

龐煖 やはり貴様は 全く何も感じておらぬのだのォ

わき上がってくる力を

つむがれていく炎を!

じゃから貴様は王騎に勝てなかった
バハハ 奴に代わってその答えを儂が教えてやってもいいが
戦場に甘美な夢を描いていた王騎らと違い
戦場に生まれ落ち
そこで育ち
ただただ戦いに明け暮れてきたこの儂の刃は
王騎らのよりもっ
大分荒々しいぞォ!!」

(麃公、龐煖と打ち合うも、左腕を斬り落とされる。
しかし麃公も龐煖の左腕をへし折る。)

🔴麃公 : (信のいる方向へ振り向き)
「童(わっぱ) 信」!!

「火を絶やすでないぞォ」



そして麃公将軍、討ち死に。


このあたりから、壁が怒り狂う信を殴って諌めるくだりまで、
涙が止まらなかった。。。!

麃公さんが最後に信へ託した想い、
新しい時代へ繋げたい想い、
そんな想いをよそに無情に麃公を狩る龐煖への
怒りに、
信も相当顔がグッシャグシャでしたが
わたしも相当にグッシャグシャに泣きました。

そして壁のあんちゃんの言葉にも泣けた。
(第326話 181〜182ページ)


🔴壁 : 「頭を冷やせ馬鹿者っ
将軍が前進とおっしゃったのが聞こえなかったのか!!
盾を投げられた意味が分からなかったのか!!

ここで我らが脱出し その意志をつがねば
咸陽を守らねば
麃公将軍の死すら
その意味を失ってしまうのだぞ」


怒り狂って収拾のつかない信に対し、
壁が思い切り信をぶん殴って諌めるシーン。

ここは、壁のあんちゃんしか信を止められなかったな、と思う。

今まで信が引っ張っていく場面が多かったけれど、
今や壁も立派な三千人将。
本当のアニキみたいだ。
壁のあんちゃんがこの時 信と共にいてくれて
本当によかったと心から思いました。


一方で咸陽では、まさかの政が立ち上がる!

派閥内の敵味方は一切関係無く、
秦国のために昌平君と正面から向き合い、
また昌平君も呂氏四柱としての立場から離れ、
政と相対して意見を交わし合う。

呂不韋だけは私利私欲でまた政を暗殺しようと
企んでいるところが、
人間的に急に小物に見えてくる。
(実際は、こういうヤツがある意味大物なんだろうけど、
このシーンでは激しく小物に見えるあたり、
原先生の人間の描き方は素晴らしい)

向ちゃんへの別れ(ひとまずの)を済ませ、
ついに政が出陣!!
(向ちゃんめっちゃ頑張った!)

この展開は予想だにしてなかったなあ。

最高潮の盛り上がりで、
31巻に続きます。




【メモ】
⭕《李牧の別働隊について》
●函谷関攻防戦での趙軍の配置を、
あえて一番端にしていた。

●趙軍の配置は南道に最も近く、開戦から
誰にも気づかれずに少しずつ数千人単位の趙兵を南道から咸陽へ向かわせていた。

●趙軍12万の持ち場に対する秦軍は元々4万。結果的に趙軍から4万の軍が消えていたが気づく者はいなかった。

●15日目の作戦が失敗に終わった後、
戦線に間に合わないと知りながらも
各国の軍から精兵1000人を別働隊に呼ぶことで、趙の別働隊が秦を落とした場合も
"趙軍単独の手柄ではない"
とするための配慮も怠らず。

⭕尾平、いつのまにか騎馬してる!と思ったら、誰かの後ろに乗っけてもらってた(笑)

⭕おまけマンガ「カクビ兵」