キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 19巻 「千人将」

*ネタバレあり*

キングダム 19 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 19 (ヤングジャンプコミックス)


ついに廉頗が出陣します。

蒙驁と廉頗の過去の関係もからませながら、
いよいよ戦本番。

楽華・玉鳳・飛信隊は急造千人隊に昇格し、
千人将になった信らの士気は高まるばかり。

廉頗四天王も本格的に動き出します。
この人たち、敵ながらも何だか魅力的で、
嫌いになれない、、、



それでは、あらすじから。


【あらすじ】
カク備千人将だけでなく、一夜にして8人もの千人将が暗殺された蒙驁軍。

3日後、次の城へ向かう進軍の様子は厳重そのものだった。

蒙驁軍は刺客の存在を警戒し、守備を一層強化するが、ついには羅元(らげん)将軍までもが討たれてしまう。

そして羅元将軍を討った後、伏兵達とともに山を下り脱出する輪虎に、飛信隊は遭遇する。

輪虎は禍々しい殺気を放って兵たちを怯ませ、
脱出優先で素通りしようとするが、
信はひるまず真っ直ぐに輪虎へ斬りかかっていく。

カク備千人将を斬った人物が輪虎だと知った信は激怒し、さらに斬りかかるが、
輪虎に真正面から剣を受け止められてしまう。

輪虎が信を始末しようとした瞬間、
駆けつけた飛信隊の仲間たちが援護に入る。
仲間達に慕われている信の姿を見て、
輪虎はそれ以上は信に攻撃をせず、
去っていった。


その頃、魏国王都・大梁(だいりょう)。
四天王の1人・姜燕(きょうえん)は、
3年間戦に出なかった廉頗が、なぜ今回の戦に出陣することを決めたのか、
その動機が分からないと廉頗に問う。

廉頗は、3年前魏に亡命してきた当時、
状況を理解し直々に見舞いに訪れた王騎に
「退屈したら蒙驁軍と戦え」
と勧められていたという。
蒙驁の抱える2人の副将は、世がまだ気づいていない"化物"であると。

廉頗と王騎は、敵対する国の敵同士でありながらも、どこかで苦しみと喜びを分かち合っている
"友"でもあったのだった。


その頃、秦軍の蒙驁のもとに、蒙武が昌平君の伝者として現れる。

亡命後3年間戦場に出てこなかった廉頗は、
魏王に冷遇されていると思われていたが、
実際は魏の詐術により中華全土がそう思わされていただけであり、
今回の戦では廉頗が出てくるであろうと予測されるとのこと。

元趙三大天・廉頗が参戦すると聞き、
蒙驁陣営はどよめくが、
蒙驁は予想の範疇だと言い、冷静に振る舞っているかのように見えた。

蒙武はそんな蒙驁の様子を見、強がりだと見抜く。

かつて蒙驁が"斉"国にいたころ、
"趙"の廉頗と"斉"の蒙驁は同世代であり、かけだしの頃から幾度も対戦していた。
しかし、蒙驁は一度も廉頗に勝ったことがなかった。
それ故"斉"での武将の道を閉ざされ、秦に流れた後にようやく将軍として花咲かすことができたのだった。

つまり、蒙驁にとって廉頗は、
"越えることができなかった大きな壁"
なのだ、と。


その後の夜。
蒙驁は、甲冑を脱ぎ、老人歩兵に化けて
陣営内を徘徊していた。
蒙驁が大きなプレッシャーを受けた時の不思議な癖だったが、
原っぱで寝転んでいるところに、
偶然信と出会う。

夜食を獲りに来たという信は、老人が蒙驁将軍とはまるで気づかず、
獲った獲物を共に食べながら語り合う。

蒙驁は、

「若い頃に一度も勝てなかった相手に
じじィになった今、再度ケンカをすることになったが、
相手はじじィの今も絶頂期で悩んでいる」

と信に話すと、
信は

「この期に及んで一発逆転の好機が生まれたって
ことだから
次勝ったらじーさんの総勝ちだ」

と言い切り、
蒙驁は何かが吹っ切れたかのように高らかに笑うのだった。


翌朝。
多くの千人将を暗殺された蒙驁軍は、軍の再編成をすると発表。

暗殺された千人将の代わりに、臨時で2名の三百将を千人将に昇格させるという。

結果、蒙恬と王賁の昇格が決まり、悔しがる信だったが、
蒙驁の計らいにより、信は条件付きで臨時千人将に昇格する。

千人将3人か、将軍1人の首が獲れなければ
什長まで降格させるというものだったが、
信は当然この条件を受けて立つのだった。


輪虎に暗殺されてしまったカク備千人将の隊が飛隊に配属され、戦力増大の飛信隊。
更に、カク備隊の副長であった楚水(そすい)が飛信隊の副長の1人に加わった。

一方で、象姉の仇討ちを後回しにして隊に残り、魏戦に参戦していた羌瘣は、
この戦を一区切りとして飛信隊を出て行くという決意を信に話す。
仇を討って戻ってきたら、隊の仲間と一緒に前に進みたい、と話す羌瘣に、信は快く その決断を受け入れる。


秦軍が魏に侵攻して2ヶ月、
決戦の地・山陽の流尹(るい)平野に、廉頗・蒙驁の両軍が到着した。

蒙驁は2人の副将、
王翦(おうせん)と桓騎(かんき)に出迎えられる。
蒙驁軍はここまでに3つの城を落としていたが、すでに王翦は8つ、桓騎は5つの城を陥落させていた。

一方魏軍は、総大将を廉頗ではなく白亀西(はくきさい)とし、
廉頗四天王の
輪虎(りんこ)・介子坊(かいしぼう)・姜燕(きょうえん)・玄峰(げんぽう)
を配置につかせる。

先鋒隊は、
秦軍・玉鳳隊(指揮官・土門将軍) 8000人
魏軍・輪虎隊(私兵+魏兵) 8000人

となり、戦が始まる。

王鳳隊は王賁の槍術で敵を寄せ付けぬ突破力を見せるが、
急造千人隊のため、ところどころに綻びが生じ、苦戦を強いられる。
さらに輪虎が"急造千人隊の将"を見定め、狙い討ちを始めたため、
序盤から千人将を数名狩られた秦軍は統率が乱れ出す。

輪虎に狙われた王賁は、
王賁必殺の"龍指"を繰り出し応戦するも、
輪虎に軽傷を負わせるにとどまる。
同時に王賁は胸に剣を投げ込まれ深手を負うが、
玉鳳の副長が援護に入り、何とか窮地を脱する。



その時、飛信隊を含む第二陣が出陣し、
先鋒隊の援護に入った。
千人隊となった飛信隊は、他の隊にはない強烈な光を放ち、
秦軍の士気を盛り返し始める。


* * *


戦が始まり、
新キャラ登場も含めて登場人物が溢れかえってます!

まずは廉頗の魏国亡命の理由から。

趙で、廉頗に恨みを持つ太子が王位に就いたがために、
廉頗は大将権剥奪の嫌がらせを受け、それを拒否した廉頗は王の怒りを買います。

挙げ句同士討ちの戦を起こされ、廉頗は勝利するも、王のアホさ加減に見切りをつけた廉頗は国を捨て、魏国に亡命。という流れ。

廉頗亡命は3年前の話ということなので、
現趙王って、
17巻で呂不韋が人質として拉致し、李牧を秦へ呼び出すための道具となった"春平君"に色ボケしてる変態野郎のことですよね。

中華随一の宝の頭脳を持つ李牧を、
春平君のためにほぼ私情で秦へ向かわせ、
李牧の命を危うく失いかけ、
同盟&城一つを与える羽目になった
あの悼襄王(とうじょうおう)ですよね。

あの時から若干イタい感じの想像はしていましたが、
まさか元三大天・廉頗を己の私怨で手放すとは、、、
相当なアホですな。。。

反対に、廉頗と魏王との関係は良好なようす。
魏王、なんだか人がよさそうな雰囲気です。


さて、信ですが、輪虎と遭遇してしまいます。

カク備千人将を殺したのが輪虎だと知り、怒りで斬りかかる信ですが、輪虎に余裕で受け止められてしまいます。

しかし信の剣の重さには輪虎も目を見張るものがあり、

🔴輪虎 : 「ほんのわずかだけどこの子はすでに
"武将の空気"をまといつつある

今回僕が討った千人将達より
よっぽどこの子の方が持ってるな」

と、重大発言!

そして34ページの信、
初・武将オーラ纏ってます!

そして輪虎は結局信を見逃すことに。
「仲間に慕われている人間はえてして天にも好かれている」
という持論を語り、
今回はやめておこう、と信を殺さずに立ち去ります。

そんな自分を不思議に思う輪虎。

🔴輪虎 : 「(ああそっか
この子のキラキラした感じが
どこかあの人達に似てると思ったからか)」

と気づくシーンがありますが、
この"キラキラした感じ"という表現が
すごく信にしっくりきました。

輪虎的には、廉頗や、かつての秦・六大将軍などを思い浮かべていたのでしょうか。



それから信は、蒙驁の計らいで臨時千人将に昇格!

あの信が、今や千人将とは‥‥。
感慨深い。

飛信隊にカク備兵が加わり、楚水副長が仲間入り。
そして羌瘣が一時離隊の意志を告げる。
出会いあれば別れありとはいえ、
飛信隊から羌瘣がいなくなる?
ここの時点では全く想像できません。

202話「告げる」(119ページ〜)のシーンでは、
普段感情を表に出さない羌瘣が、
素直に自分と向き合い、
正直に信に自分の思いを話すところが印象的でした。

🔴羌瘣 : 「私は地に足がついていない
だからお前達みたいに前に進めていない

それはやっぱり 象姉の仇を討ってないからだ

象姉の首を抱えた時の痛みは今もはっきり覚えている
‥‥だけど私はその象姉の仇討ちを後回しにしてこんな所にいる

それはきっと
ここが今の私にとって唯一の帰る場所だからだ

信 お前が言ったように仇討ちの先には道が続いている
‥‥じゃないと外を夢みていた象姉もうかばれないし‥‥
(私自身もそう願っている)

‥‥ でもやっぱり私のその道は象姉の仇討ちの先に広がっているんだ
だから
だからこの戦が終わったら私は飛信隊を出て行く
‥‥何ヶ月‥‥何年かかるか分からないけど
きっちり仇を討つ

‥‥そしてそれが終わってまた帰ってきたら
その時は私もちゃんとお前達と一緒に前に進めると思う」


以前、魏戦の後、信が百人将に昇格した頃は
信が「仇討ち終わったら隊に戻ってこい」と言っても「考えとく」とかそっけない返事だったけど、
今や自分で飛信隊が「唯一の帰る場所」と言っていて、
その心境の変化がすごく嬉しい。

貂に蚩尤の掟の話をした頃は、
象姉の仇討ちのためだけに生きていた羌瘣が、
今や仲間達と共に前に進みたいと願う、
その思いに胸がつまります。

どうか羌瘣に明るい未来がありますように。

そう願う反面、
何か変なフラグが立った気がして不安も覚えますが‥‥。


巻中盤では桓騎、王翦の紹介が入り、
後半は廉頗軍の"出陣の儀式"
からの先鋒隊・輪虎と王賁の激突シーン。
からの、飛信隊突入!
で熱すぎる怒涛の展開。
キングダムの真骨頂です。


【メモ】
⭕〈蒙驁軍副将二人の特徴〉
●桓騎 ・・・元々秦南方の山々を縄張りにしていた大野盗団の首領
気性が荒く残忍で、投降兵でも殺しまくる。
独自の兵法を持つ、戦いの天才。
別名"首斬り桓騎"。

●王翦 ・・・名門王一族の現頭首。王賁の父。
秦国一の危険人物とされており、昭王の時代から日蔭に送られている。
"自らが王になりたい"という野望を持つ。

⭕李牧、秦 VS 魏 戦は、十中八九魏軍の勝ちと予想。
廉頗に正面から勝てる武将は、李牧も含め天下に1人もいないと断言。

⭕魏軍、総大将に白亀西を立てる。
魏の詐術により魏王に冷遇されていることになっている廉頗は、
自らが将となれば魏軍の士気に関わると判断し、
凡将だが国民に好かれている白亀西を大将にして
兵の士気を上げ、自分は裏方で戦を操るという戦略を立てる。
(趙に未練があるから後ろめたいという説もあり。/輪虎推測)

⭕廉頗、白亀西を亀頭西と覚え間違える(笑)。

⭕おまけマンガ「飛信隊力比べ大会最終話」
おまけマンガ2「笑うキョウカイちゃん」

キングダム 18巻 「奇貨居くべし」

*ネタバレあり*


キングダム 18 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 18 (ヤングジャンプコミックス)



18巻。
2014年12月現在、やっと折り返し地点にまでやってきました。

読み返すと改めて面白すぎて、
そして頭の中でまとめることが多すぎて、
内容もあれもこれもと詰め込みたく
パンパンに長々なブログ内容になってしまい
なかなか進みません。笑
完全に自己満足ですが。。。

次の巻が1月ぐらいに発売のはずだから、
年内には36巻まで追いつきたかったのですが、
このペースだと厳しいですね。。。

新しい巻が出たら、読後の思い溢れる感想をすぐにアップしたいがために始めたこのブログ。
‥‥なだけに、なんとか間に合うようにがんばってみよう。


では、あらすじから。


ヤンジャンって少年ジャンプと違って青年誌だったわ‥‥と、
改めて気づかされ、
激しすぎるベッドシーン(!)が何故だか笑える(わたしだけ?)18巻です。



【あらすじ】
母・太后から、複製の玉璽を使った白紙の書簡を受け取った政は、直々に後宮へ出向き、
太后と対面する。

人質となっていた趙から脱出して以来、
親子でありながらも互いに会おうとはしなかった
政と太后

趙の人質時代、2人は趙人からの壮絶な虐待を受けながら身を汚して生き延びた。
その地獄の日々は互いに思い出したくもない過去であった。

政は、女商人・紫夏により、命懸けで意識の闇の底から救い出されたが(※8巻参照)、
太后は未だ闇の中にいるように政には思えた。

白紙の書簡の理由について、太后は政の顔を久しぶりに見たかったからだと話す。

政は、呂不韋陣営に対抗するために
後宮の力を貸して欲しい、と
太后に願い出る。

数日後、太后から協力する旨の返答があるが、政は何か裏があるような気がしてならなかった。

ある日の夜。
宮女・向が、後宮内で太后呂不韋の密会を目撃してしまう。

壁越しに2人の会話を聞いた向は、

太后呂不韋陣営の傘下に入ったこと
太后が政に再会した時、全く母性を感じず、
今更政がどうなろうと知ったことではないと
言い捨てたこと
●今回の白紙書簡騒動は、呂不韋を後宮に呼び寄せるためだったこと
太后呂不韋は、17年前は恋人同士だったこと

を知ってしまう。


政に伝えなければと焦る向だったが、
人の気配を感じた太后の側近に、壁越しに刺されてしまう。

咄嗟に刃の血を拭き、気づかれずに向は逃げ去った。

秘密の小部屋へ入っていった太后呂不韋
太后は、後宮勢力を呂不韋陣営の傘下に加える条件として、
呂不韋に17年前の関係を復活させることを提示する。

太后は、過去"邯鄲の宝石・美姫(びき)"と呼ばれる美しき舞姫だった。

呂不韋の許嫁だった太后は、ある日突然
秦の王族・子楚(政の父)と結婚するように呂不韋から言われ、そして政を身ごもる。

呂不韋は金をつぎこみ子楚を王位に就かせ、秦丞相の席を手に入れることに成功。

太后は、呂不韋の出世のために利用されたのだった。

恨みや憎しみが大きい反面、呂不韋を求める太后
そしてその夜、太后呂不韋は姦通する。


一方、刺された向は、傷が深く死の淵をさまよう。
しかし、陽が政に知らせてくれたおかげで一命を取り留め、
駆けつけた政に"太后呂不韋の不義"を伝える。


向のおかげで事の真相に気づいた政は、
今こそ呂不韋陣営を叩く時だと決意。
2人の不義を声高に広め、呂不韋陣営を揺さぶり、一気にたたみかけようと立ち上がる。


その頃呂不韋は、度重なる太后の密会の誘いに辟易しつつも、関係を継続させていた。




一方、前線地帯。
魏国攻めの戦の準備が整った。

総大将は、蒙驁大将軍。

信たち飛信隊は、武功の多さから本軍の前方に配置され、隊の士気は上がる。
しかし王賁ら玉鳳隊は、実績に加え期待値の高さから、さらに前方の最前列に配置されていた。

悔しがる飛信隊の前に、
蒙恬ら楽華隊が現れ、信と初めて顔を合わせる。
秦の若手三百将揃い踏みとなった。

そして開戦。
数日間膠着状態が続き、長期戦の構えの戦況に兵の士気は下がりっぱなしの中、
王賁は煙幕や井闌車(巨大な箱型の梯子車のようなもの)を使って城壁へ突入。
一気に膠着状態を打破する。

玉鳳隊の活躍で城門がこじ開けられた瞬間、
蒙恬率いる楽華隊が城内へ突入。
結果、10日以上も手こずっていた城を
あっというまに落としてしまったのだった。

玉鳳、楽華に遅れをとってしまった飛信隊。
悔しがる信の前に、城下町から火の手があがる。
不審に思った信らがかけつけると、
そこは魏の民を好き放題に蹂躙する、秦兵らの姿があった。

家々には火が放たれ、老人や子供は首を落とされ、女らは陵辱された末惨殺されている
陰惨な光景が信の目の前に広がる。

敵国とはいえ、降伏した一般人に対する卑劣な行為に激怒する信。
首謀者の千人将・乱銅に斬りかかろうとするが、
同士討ちは斬首の恐れもある重罪。
飛信隊の仲間たちや駆けつけた蒙恬は信を制止しようとするが、
敗者をいたぶるのが戦争の醍醐味だと悪びれずに笑う乱銅を許せず、信は斬りかかってしまう。

結果、信は一夜投獄の刑に処せられる。
奇跡的に軽罰で済んだ理由は、
蒙驁を祖父・蒙武を父に持つ蒙恬の口添えにより、信に有利な発言をしてくれたためだった。

信は、隊の皆にあやうく迷惑を掛けるところだったことに激しく反省する。
自らの行為が及ぼす影響を理解しつつも、
自分の信念に真っすぐに突き進む信を、蒙恬は好ましく思うのだった。

一方、魏国王都・大梁(だいりょう)。
なんと、3年前に魏国に亡命し、
一度も魏軍を率いた戦をしていなかった
元趙国三大天・廉頗(れんぱ)が、
秦戦において再び前線に立つ意志を表明。
"廉頗四天王"を率い、蒙驁軍を迎え討つ準備を始めた。


開戦よりひと月、
秦軍は3つ目の城"近利関"を落としにかかっていた。
飛信隊の武功は玉鳳・楽華の2隊を上回り、
信は隊の皆と祝杯をあげる。

そこに、信と同じ下僕出身でありながら
若い将校たちの間で最も将軍に近いと言われているという"カク備(かくび)千人将"が、
同じ境遇の信を気にかけ、ねぎらいにやってくる。

その道の帰り、カク備千人将は、
廉頗が送り込んだ"四天王"のひとり"輪虎(りんこ)"に暗殺されてしまう。

輪虎は、廉頗出陣前に、秦の目ぼしい将校たちの首を狩って回っていたーーー。



* * *




まず、呂不韋!!

まさかの政母の元カレでした!!!


政母・太后呂不韋を恨むのは分かるし、
憎さと恨みの深さは理解できる。
しかし想像以上にただの色情魔(笑)。

絶世の美女と呼ばれた美姫の面影はなくとも、
宦官すら欲情をそそられるという太后の強烈な色香と異常なまでの性欲は、
趙時代の地獄の生活が目覚めさせたものなのでしょうか。

改めて考えると、呂不韋ときたら、
自らがのし上がるために自分の許嫁をあてがってまで丞相にのぼりつめたくせに、
その捨てた女の息子を暗殺しようとするなんて‥‥
なんて悪すぎるヤツなんだ‥‥。
頂点こそが呂不韋の究極の野望なのでしょうか。
やることがとことん大胆すぎ。

そして呂不韋の名言
"奇貨居くべし"
(※得がたい機会だから逃さず利用すべき。珍しいものは今買っておいて後日に利益を得るほうがよい。という意味)
は、Wikipediaにも載っているという大物ぶり。

向ちゃんの活躍で、政は嵌められずに済んだけど、
まさか自分の母親と、敵対していて自分の命を狙うほどの相手が昔恋仲だったなんて、
絶対思いもしないよな。。。


しかし‥‥

衝撃のベッドシーンは、コレホントにキングダム?と戸惑うほどの激しさでびっくりしましたよ‥。
ギッシィギッシィいわせすぎで何か笑っちまいました。また太后の表情が恐ろしい!

ま、このおかげで(?)、呂不韋陣営に綻びが生じることになるので、
結果的にはよかったのかも‥‥
‥‥よかったのか?


一方、前線では大きな戦が始まります。

張り切りまくる信ですが、
象姉の仇討ちを後回しにして、前回の趙戦から前線に残ってしまっている羌瘣は、

「ひとまず‥‥この遠征をもって
一つの区切りとする」

と、何かの決断をしたもよう。

いつかこの流れになることは分かってはいたけれど、
この時の飛信隊から羌瘣が抜けるなんて、大丈夫か?!と思いましたね。
羌瘣のいない飛信隊がもう想像できないというか。

信は確かに強いけど、数々の危機を乗り越えてきたのは羌瘣の功がかなり大きいし、
飛信隊の右腕としては、渕さんには荷が重いし‥‥(泣)。

このあたりの先行きもかなり気になります。



そして、わたし的18巻のハイライト。

第192、193話「"侵略の現実"〜"俺の戦り方"」。
信が、魏国の住民を蹂躙していた千人将・乱銅を斬るシーン。


渕さんの言うとおり、戦争は侵略するかされるかのみ。陵辱の場面は必ずついて回ること。
信もそれは分かっています。

乱銅が言うとおり、同じ秦軍の千人将などを斬れば、信だけでなく仲間全員にとばっちりの罰が与えられるだろうこと。
信は葛藤します。

蒙恬が言うように、一時の感情で全てを棒にふり、"大将軍になる夢"を失ってもいいのか、信にとってはその程度の思いなのか、
と問われ、
信は歯をくいしばります。

それでも結局、
蹂躙行為をやめようともせず、
むしろそれが楽しみで戦争をやっていると
笑う乱銅を許せない信。

🔴乱銅 : 「てめェみてェに現実知らねェ正義漢気取りが一番ムカつくんだよ」

🔴信 : 「ルアアッ!!(乱銅を斬る)」

🔴乱銅:「てめっ やりやがっ‥‥」

🔴信 : 「俺はてめェみたいな現実現実つって
クソみてェなことまで正当化する奴が一番ムカつくんだよ

みんなやってるからなんて何の言い訳にもなってねェ!!
外道は外道だ!!

飛信隊の信はどんな理由であろうとクソヤロォは
絶対許さねェ!!

相手が千人将だろうが
将軍だろうが
王様だろうが関係ねェ!!

それが これまでもこれからもずっと
変わることのねェ俺の戦り方だ!!

処罰が怖ェからってこんな状況を見て見ぬふりなんざして
何が天下の大将軍だ!!」



信にとっては、本人が自覚しているかしていないかは別として、
ただ大将軍になりたいだけなのではなく、
大将軍に至るまでの道程もすべて含めて
"自分なりの戦り方"
で大将軍になりたいんだろうな。

そして共に夢見た漂と自分の戦り方で大将軍になって始めて、
ふたりの夢が叶うのでしょう。

もし蒙恬がいなければ、乱銅を斬ったことで
大問題になっていたかもしれない。
仲間にも迷惑をかけて。
それでも信は斬っただろうし、
そんな信だからこそ、隊の皆はついてくる。
そんな信だからこそ、蒙恬も手助けしたくなる。
すべてはつながっていることを、
信は知っている。

そういうわけで、ここのくだり、すごく好きです。

羌瘣がちび姉妹を助けるエピソードや、
投獄された信に偶然会い、話し相手にさせられる場面もすごく好き。


そして終盤!
廉頗さんが登場です!

好きな武将ランキングがあったら、わたしは5本の指には必ず入れたい人ですね。

廉頗四天王・輪虎がカク備千人将をあっさり殺っちゃったシーンはショックでしたが、
見どころ満載の対廉頗戦、
次巻からも楽しみです。


【メモ】
⭕始皇5年、魏の山陽地方一帯の攻略戦が開戦。

⭕開戦後、秦は魏の高狼、虚中、虚西の城を落とす。

⭕〈廉頗、魏国亡命の理由と経緯〉
●「蛇甘平原の戦い」の数ヶ月前、
趙で史実にも異質な同士討ちの戦が起こる。
(趙・廉頗 VS 趙・楽乗 の戦い。)

●この年即位した趙王・「悼襄王(とうじょうおう)」は太子の頃から素行が悪く、
廉頗に時々諌めされていた。

●悼襄王はそれを恨んでおり、王位に就いてすぐに遠征中だった廉頗の大将剥奪を言い渡す。

●理不尽な更迭を廉頗は拒否。

●激昂した悼襄王は、楽乗に廉頗を討つように命じる。

●20年廉頗と共に戦った楽乗だったが、戦は廉頗の勝利。
国への思いよりも戦への思いのほうがはるかに重いと語る廉頗は、見込みのない趙王に嫌気がさし、魏国へ亡命することとなった。

⭕おまけマンガ「飛信隊 力比べ大会のつづき」

キングダム 17巻 「李牧、咸陽へ」

*ネタバレあり*


キングダム 17 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 17 (ヤングジャンプコミックス)


王騎の死から1年、
新展開の17巻。
新キャラ・王賁、蒙恬も初登場です。

今後は、信を含めたこの若手3人衆の活躍が
キングダムの世界にさらなる広がりを見せていってくれることになるので、

楽しみ楽しみ。


では、いつものように、あらすじから。



【あらすじ】
始皇4年、王騎の死から1年が過ぎた。

信は、飛信隊の隊長として300人を率い
順調に武功を挙げていたが、
王騎の死後、国をあげての大戦は行われておらず、熱意を持て余していた。
そんな折、信と羌瘣に突然咸陽から呼び出しがかかる。

呼び出しをかけたのは、軍総司令の昌平君であった。

何と、咸陽に李牧が来るという。

王騎を葬った李牧が秦に足を踏み入れるなど、自殺行為にも等しい程の状況のはずだったが、
実は、李牧を呼び寄せたのは呂不韋だった。

呂不韋は、王騎を討った李牧という男をその目で見定めたいがために、
趙国へ大胆な脅迫をする。

趙国王には、臣下の1人に
「春平君(しゅんぺいくん)」という美男子がいた。
春平君は、趙王に一身に寵愛を受けている存在であり、大切にされていた。

呂不韋はかつて趙と韓の間で商人をしていた頃、
この春平君に金を工面してやったことがあり、
顔なじみの関係であった。

呂不韋は春平君に書簡を送り、秦国に来させたところを拉致する。
そして趙王には「春平君を返してほしくば宰相(李牧)自ら迎えに来させるように」と脅迫したのである。

春平君かわいさの余り、趙王は呂不韋の言う通りに李牧を遣わせ、
李牧は秦国へ来ることとなった。


呂不韋の真意は不明であるが、昌平君に
「合図」があった時は李牧を殺すように言われた信は、怒り心頭。

そんな卑怯なやり方で李牧を殺せば王騎将軍に合わせる顔がないと激怒する信だったが、

李牧暗殺のために呼ばれたのは信と羌瘣だけではなく、
蒙武や騰、朱凶ら暗殺集団までもが召集されており、それぞれがそれぞれの思いを秘め、城内は異様な空気に包まれていた。


そして呂不韋と李牧が対面。

お互いにしばらく探り合いの会話を続けるが、
李牧の価値をその目で見定めた呂不韋は、

「やはり李牧殿にはここで死んでもらう」

と言い放つ。

李牧の交渉力を試す呂不韋は、李牧の命に代わる何かを提示してくることを待っていると、

李牧が持ちかけてきたのは、
「秦と趙の同盟」
だった。

〈楚・秦・趙・魏・燕・斉・韓の中華七国は、絶妙な均衡を保ちながら200年の間争いを続けている。

秦が中華を目指す時、まず位置的に道を塞ぐ国が「韓」である。「韓」を潰さないことには秦の中華進出は実現しない。

しかし現状では、秦が「韓」を攻撃しようとすると、
「韓」が抜かれると後々困る「趙」と「魏」が援軍を送るため、実質「韓」は"絶対に亡びない国"となっている。〉


この現状を踏まえた上で、李牧は同盟のメリットと条件を提示する。

秦が中華を目指す時は、まず始めに「魏」に攻め込み、韓を援ける力が無くなるまで徹底的に魏を叩くことが先決であり、

秦が「魏」を攻略した後、続いて「韓」に攻め込む際、「趙」は「韓」を助けないことを約束するという。

その代わりに、「趙」が隣国・「燕」へ攻め入った時は、「趙」へ手出ししないように約束して欲しい、と。

秦にとっては悪い話ではない提案であったにもかかわらず、呂不韋はその場でその申し出を断る。

同盟は魅力的だが李牧の首の価値の方が僅かに上回ると判断した呂不韋
さらに呂不韋は「城をひとつ"おまけ"してくれれば交渉の余地はある」
とふっかける。

呂不韋が希望した城は、趙が大財をかけて強化をはかっている最中の城・韓皋(かんこう)だった。

さすがの李牧も呂不韋の"ふっかけ"を値切ることができず、その場で秦趙同盟が成立することとなった。

同盟成立後の祝宴は、華やかな雰囲気とは裏腹に、武将同士の間では一触即発のムード。
信も偶然李牧と顔を合わせることになり、
李牧に「お前を倒すのは自分だ」と宣言するのだった。


宴の後、政と再会した信。
呂不韋と李牧の会談の際、
己の本質を悟らせないよう存在感を無くし、
あえて愚者を演じていたという政。
22歳で迎える"加冠の儀(元服)"
までのあと5年で呂不韋から実権を奪い取る、と
信に誓う政は、
その5年で信が将軍になれれば、
「最初の号令で出陣する将軍はお前だ」
と宣言。
信の闘志に更なる火がともる。


そして後日、秦趙同盟がもたらす影響が早くも出る。
秦は「趙」への警戒が無用になったため、「魏」へ本格的に攻略に入る大計画が立ち上がった。

きたる大戦の噂を聞きつけ、信らが属する前線にいる各隊の動きは活発化。

そんな折、久しぶりに中規模の戦が勃発する。

大将首を狙う飛信隊は本陣に突入するが、
信らが足を踏み入れた時、
その本陣はすでに壊滅状態にあった。

驚く信らの前に、騎馬隊が現れる。

「玉鳳隊(ぎょくほうたい)」

と名乗るその隊が本陣を壊滅させたようだった。

信と同じ"特殊三百人隊"だが
兵たちは騎馬し、甲冑などの装備品も豪華絢爛。
いかにも貴士族の名家の出といういでたちの玉鳳隊に、
農民歩兵の集まりである飛信隊は侮られる。

気おくれする隊員たちをよそに、
隊を侮辱された信は激昂し、詫びろとけしかける。
しかし玉鳳隊隊長の槍が信を阻止し、信は逆突きをくらってしまう。

玉鳳隊の隊長は、
「王賁(おうほん)」という歳若き将だった。

「王」一族の名を継ぐ王賁は、
分家の王騎と違って総本家の血筋だという。
下僕の出でありながら将軍を目指す信に対し、
力の差と身分の差を知れと言い放ち、
この前線の手柄はあきらめろと言いながら
去っていった。


玉鳳隊に下に見られた飛信隊は、
各々が悔しさを抱え、その夜作戦会議を行う。

黙って玉鳳隊に武功を取られる訳にはいかない
飛信隊は、
それから何度も泥臭く玉鳳隊を出し抜き、
競い合うかのように武功を挙げまくるのだった。


その頃、大きな戦場を探して南下してきた
別の三百人隊が、
前線で目立つ二隊の噂を耳にしていた。

蒙驁将軍の孫にして、
蒙武将軍の長男・蒙恬(もうてん)が率いる
「楽華隊(がくかたい)」である。

前回の戦で千人将に昇格した蒙恬だったが、
祖父・蒙驁の言いつけにより、
あと一年は三百人隊で経験を積むように言われていた。

信 17歳、
王賁 18歳、
蒙恬 18歳。

秦の次時代大将軍を目指す若者たちは着実に芽を出し、更なる成長をとげるべく、
戦場で躍動していた。


一方、その頃の咸陽。

政のもとに突然、
後宮にいる政の母・秦の太后から白紙の書簡が届き、王宮内はざわめいていた。

政は書簡の真意を確かめるため、
母・太后に会いに行くーーー。




* * *



呂不韋、冒頭からすごいことをやってくれました。

まさかの李牧来秦!

王騎の仇がまさに目の前に現れることになり、
戸惑う信でしたが、
昌平君から李牧を斬る準備をしておくように言われてブチ切れ。笑

🔴信 : 「そんな卑怯でクソみてェなマネ誰がするか そんなんで奴を殺しちまったら
王騎将軍に合わせる顔がねェだろうが」

と一蹴。
確かにチャンスですが、心情的には信の言うとおりで胸がすきます。

そもそもここで李牧を殺してしまうと、
秦は六国の信頼を失い、孤立してしまう不利益の方が大きいと蔡沢が予想しています。
李牧を殺さずに済んだ上同盟を結べ、さらには城がひとつ手に入り、ひとまずは結果オーライです。

ていうか、呂不韋すごすぎ‥‥。

「城でも一つおまけしてくれぬか」
(70ページ)
の発言の時の表情、敵側だったら絶妙に小憎たらしい!!

そして趙王の男色情報を一体どこから‥‥笑

たった1人の愛人(男だけど)のために中華随一の頭脳(李牧)を危険にさらすような、
そういう部分を見抜かれている趙王ってかなりヤバイんですかね。
李牧の側近みたいな衆も趙王に怒っていましたし。
趙王、どんな人物なのか興味深いです。

結局、呂不韋と李牧の会談は一滴の血も流れずに済みましたが、

"情報"と"値踏み"と"交渉術"のみで
同盟と城を手に入れた呂不韋

信ですら「武人の出る幕じゃない」と認めざるを得ない凄さです。。


対する李牧の"人となり"も大分わかりましたね。

"見た目とは真逆でかなりの場数を踏んできた武人"
"小心者だからこそ小賢しい策を必死に練り王騎が討てた"
"本当は辺境の地に戻りゆっくり年をとっていく平穏な生活がしたい"

恐ろしい軍略家でありながら控えめな物腰が
大物感醸し出してます。


同盟の宴が終わって、
信・政・貂の"元祖3人組"が揃うシーンはいいですね。

信が5年で将軍!
想像したらゾクゾクします。



ところで17巻でさりげに気になったのが、
随所にあらわれる羌瘣の女子描写。

●17ページの
「お前もここにいろよ」
シーン(!)からの
信に腕をつかまれた部分をじっと見つめて
よく分からない感情で信を見る表情。

●102ページの
酔いつぶれて信に寄りかかり寝ている無防備なシーン。(カワイイ)

●106ページの
信・政・貂が3人で会おうとする前、気を遣い

🔴羌瘣 : 「‥‥‥私は外そうか?」

🔴信 :「‥‥そうだな そうしてくれるか」

のやりとりのあとの表情。(なんか見てるこっちがかなしい)


などなど、かわゆすぎな羌瘣がたくさん見られますが、
わたしはこの時はまだ、キングダムに恋愛フラグいらーん!
と、思っておりました。
まだ、この時は‥‥。



話は戻り、後半は新キャラ・王賁登場です。

初登場シーンは、本当にただのいけすかないヤツですね‥‥。

舐められた飛信隊が、
番陽副長に"気をつけ"をさせられるシーンでは
しょっぱい気持ちになりました‥‥。

王賁が話した"蟻の話"も、
現代社会の会社内構造にもあてはまるような内容で、
さらにしょっぱい気持ちになりました‥‥。


しかしそこはやっぱり飛信隊。

信のハッパで落ち込んでいた士気が再び上がります。

🔴信 : 「とどのつまり俺達は奴らに気圧されて下向いちまっただけだ
いきなり一発ガツンとやられて戦意喪失しちまったんだよ

冗談じゃねェぞ
王騎将軍の血縁だか何だか知らねェが
このまま黙ってられっかよ
今度はこっちの番だ!
やられた分きっちりやり返すぞてめェら!!」


信の、"事実は事実として受け入れて、立ち向かっていく姿勢"
はすごく好き。


ラストでは蒙恬も出てきて、若手3人衆がそろいました。

そして政の母登場。
次巻はキングダム史上、異色の巻になりそうです。


つづく。


【メモ〜現時点でのキャラ年齢】
⭕王騎死後、1年。
政 17歳。
22歳の"加冠の儀"まであと5年。

⭕加冠は通常20歳だが、秦では変礼。

⭕秦趙同盟から1ヶ月後、魏攻略の大戦計画がもちあがる。(壁、こっそり信に教えに来てくれる。)

⭕王騎死後、1年と半年。
●信 17歳
●王賁 18歳
●蒙恬 18歳

政と信、同い年なのか、政が1コ上なのか、
個人的に地味にずっと気になってる。

政が1月生まれということしか分からなくて
信の生まれた月が不明だけど
学年制なんて当然無いから、
ここではっきり年齢が出たし
同い年と考えていいのかな?

⭕おまけマンガ「第一回飛信隊 力比べ大会」

【まとめ】王騎の思い (後編)

*ネタバレあり*




【まとめ】の前編では、王騎が前線に戻るまでの
動きを追いましたが、

後編では、
〈前線復帰手前〜復帰初戦となる「馬陽」の戦い〜死〉
までを追いたいと思います。

ここからは、信(と読者)へ戦のHOW TOを教えてくれる先生のような役割を果たしてくれてますね。

前線に復帰するにあたり、
9年にわたる龐煖との因縁とは別にして、
「後進の育成」
が王騎の内心のテーマだったのかなぁ、
と感じます。



【対魏・蛇甘平原の戦い〜信との出会い】
●7巻(第65〜69話、71,73話
ほぼ7巻は丸々関わってきます。)


丘の上から戦局を見守る王騎。
秦軍に不利な状況の時、突然現れピンチを救うが、
あくまで王騎側は"参戦"した訳では無く、
"この丘に来たかっただけ(途中邪魔なものは排除したけど)"
の体(てい)。

信を見て、


🔴王騎 : 「オヤァ?
昌文君が言っていた童とはひょっとして
あなたのことですかァ?

名前はたしかァ 信!」

🔴信 : 「! ‥‥あんた 昌文君のおっさんの仲間か?」

🔴王騎 : 「仲間というかァ ンフフフ
愛人です!」


‥‥という冗談まで飛び出し、信、やや怯む。笑


武将の中の永遠のテーマであるという、
"本能" 対 "知略"。

この戦で、

●秦国総大将・麃公将軍(本能型)
●魏国総大将・呉慶将軍(知略型)

どちらが是でどちらが非か、
賭けてみないかと信を誘う。


「戦は武将しだい」
と話す王騎と語らううちに、信は"大将軍になる"という夢の姿を少し現実に捉えることができるようになった。

🔴信 : 「(天下の大将軍
誰もが知ってる強ェ英雄ーーー
何となくそんな事しか分からずに
いつも吠えてた

だけど今は少しだけ姿が見えるようになった
この大男の言葉で
王騎‥‥将軍‥‥

そうか‥‥俺はさっきから
"将軍"と話をしてたのか)」



王騎は秦軍に表立っては力を貸さず、存在で魏軍に牽制を与えつつ、戦局を見守る。


🔴王騎 : 「それに見せて頂きたいではないですか 新興勢力 の実力を

昌文君を筆頭とした大王直属の一派
今まで呂竭の二派しかなかった秦国に生まれた新しい力

その大きさは呂氏と比べれば赤子と大人ほどのひらきがありますが
秦王が実権をとるには昌文君一派が強大になることが必須!

そして今 武の方面で先頭に立つべきは
副官 壁
彼もそろそろ力を示さねば"先"はないですよォ?」



【信の修業】
●10巻(105〜107話 )

1人で素振りしたり力仕事したりだけでは
補えるものではない"強さ"の教えを乞いに来た信に、
王騎は無国籍地帯にある100人ほどの村の平定を課し、
平定ができたら、修業をつけてやるという約束をする。


【対趙国戦・総大将任命〜政との語らい】
●11巻(110話〜112話)

昌文君・昌平君の意見により、対趙戦の総大将は「攻」と「守」を兼ね備えた王騎が適任であると
され、王騎もそれを引き受ける。

王騎は総大将を引き受けるに際し、政に昭王からの伝言を伝えたいと申し出る。

(それは前秦王にも話していなかった、"中華を目指す王たるもの"の指針となる教えであり、
王騎が政と共に中華を目指すという決意をしたことの現れだった。)

【昌文君との語らい〜出陣】
●11巻(113話)

出陣の前夜。

なぜ総大将を受ける気になったのかと尋ねる昌文君の質問に、王騎ははっきり答えない。

かつて王騎と昌文君、そして摎の3人で趙から奪った城、「馬陽」。

馬陽の戦を振り返る2人だが、
龐煖は死んだと思い込んでいる昌文君に
王騎は意味深な沈黙。

そして
「昭王六将としての自分とは決別しようかと考えている」
と宣言する王騎。

(この時、すでに李牧によって王騎の耳に"趙の総大将は龐煖である"という情報が流れてきているはずだが、王騎は特にそれを昌文君にも話さない。)



〈ここまでの感想〉
政が"中華統一"を目指す志を持つ王であると理解して以後、
王騎は前線に出て(参戦こそしていませんが)自らの闘志を高めていっている感じがします。

秦国でも随一の"本能型"であり、爆発的な破壊力を誇る麃公将軍と、
中華で名を馳せる"戦国四君"の1人の食客頭だったという切れ者"知略型"呉慶将軍。

呉慶将軍が、知略のみにとどまらぬ情念の戦いを見せたことにより、単純に"本能VS知略"だけの戦にならなかったところが興味深く、

その戦いを見届けたあとの王騎の表情が何とも言えません。(172ページ)

王騎自身の戦への思いが触発され、メラメラと前線への熱い思いがたぎってきたようにも思えます。

信にも
"将軍とは何たるや"
をさりげにレクチャー。

この出会いが将軍を目指す信にとって、
大きな分岐点となりますね。


そしてついに前線復帰を決め、
対趙戦での総大将を引き受けますが、
この時龐煖が総大将であるという情報を入手しているはずなのに、誰にも話しません。

李牧が王騎のみにあえて流した真実の情報ですが、
王騎にとっては、その目で見るまでは
龐煖の名を出すこと自体が覚悟がいることだったのかなぁ。
生きていること自体許せなかったでしょうし。


"昭王六将卒業宣言"も今読み返すとすごく感慨深い!
実際は、政に"昭王の伝言"を伝え、
「共に中華を目指しましょう」
と誓った後(16巻回想シーンで出てきます)での昌文君との会話です。

昭王とはまた違った輝きを持つ王・政に、
仕えるべき価値を見いだし、
麃公と呉慶の戦を見て
前線への熱い思いを再び燃えたぎらせ、
このタイミングで仕掛けてこられた戦の総大将が
殺したはずの宿敵・龐煖。

ここで9年前のしがらみに全て決着をつけ、
新しい気持ちで政とともに中華統一を目指すつもりだったんだなぁ‥‥
と思うと、
本当に王騎の死が惜しまれます。





【対趙戦〜"飛信隊"命名〜蒙武開花】
●12巻〜13巻

いよいよ開戦。
王騎は信の百人隊を"飛信隊"と命名し、
趙の大将首の1人"馮忌(ふうき)"の首を獲るよう任命。信は見事任務を成し遂げる。

そして戦場では蒙武の快進撃が続く。

王騎は蒙武の戦い方を見、
圧倒的な破壊力を有した完全な"武"の将ではあるが、
勢いだけでなく"軍に対する理解"も深い、
と知る。
しかし、

🔴騰 : 「ここに来て新しく"主攻"をはれる軍が出てきたことは喜ばしいと思います」

と言う騰に対し、

🔴王騎 : 「‥‥‥まァそう言い切るのは時期尚早でしょう
今日がたまたまということもありますからねぇ
蒙武の力を評価するにはさらにもう一、二個様子を見てからです(‥‥‥‥)」

と返す王騎(13巻133話 65ページ)。

(呂氏が手元に置きたがって前線に出た回数が少ないことが惜しいが、
同じ呂氏四柱であり軍総司令官でもある昌平君と共に成長してきただけあって)
ただの武力だけの武将ではないと認めつつも、
何やら思うところがあるようで
蒙武の評価には慎重な様子。


しかし翌日は全軍を蒙武に預け、趙本陣を攻め落とすように指示。一気に勝負にかかる。



【王騎、李牧の仕掛けた策に違和感】
●13巻(136話 127,128ページ)

趙荘以外の軍師の存在をうっすら疑う。

【王騎、龐煖と対決】
●15巻(160話)〜16巻(170話)

"どこかに伏した援軍がいること"を予測していた王騎。
援軍がいるとしても到着までに決着をつける自信がある王騎は、戦のスピードを早め、
ついに龐煖と一騎打ちに。

9年前の摎の死を思い起こし、様々な想いと憎悪とで極限の力を引き出す王騎に、
武力で勝るはずの龐煖は押され、戸惑う。

激しい討ち合いを続け、王騎が優勢な戦況で
いよいよとどめをという時に、四万もの李牧軍が到着してしまう。

そして王騎は、背から放たれた矢により一瞬の隙をつくり、龐煖に胸を貫かれてしまう。


【決死の脱出と、王騎の死】
●16巻(第170〜172話)

王騎は信に胸を預け、配下達に護られながら脱出を図る中、
蒙武が退路を作り出し、趙軍の追撃を免れることができた。

最期の刻。
王騎は軍を騰に託し、
蒙武に課題を自覚するように諭し、
信に矛を授けた。

そして、
戦に生きることができた己の人生を振り返り、
後進の頼もしい成長に立ち会うことができたことにより、
思い残すことなく生涯を終えるのだった。




〈ここまでの感想〉
今回の戦で、王騎は蒙武や信に多大なる影響を与えました。

特に蒙武。
己の力を過信して李牧の策にみすみすと嵌り、結果的には軍を死地に追いやってしまいます。
(蒙武のせいでというよりは、李牧の策がいちいち一枚も二枚も上手だった訳ではあるのですが。)

初めは王騎軍に対しても不遜な態度をとっていて腹が立ちましたが(笑)、
最後は蒙武のおかげで退路を確保でき、
王騎を趙軍に渡さずに逃がすことができました。
王騎の最期には、素直に詫びています。

王騎が蒙武の戦を見て感じ取った不安要素には、
蒙武本人が自ら気づき、反省しているようで、
今後の蒙武の活躍には期待できそうですね。

自らの失態で招いた王騎という大物の死。

蒙武が一皮むけなければならない時にきているということを、
王騎は己の死で蒙武に悟らせることになります。

そして信には
"将軍とは""戦とは"
を具体的に示して教えてくれた、初めての人となりました。

王騎の死線での戦いや、
王騎の死を見届ける瞬間など、

王騎を見る信の目が涙で溢れてぐちゃぐちゃで、
何度も胸が詰まりました。

もっと長く信の近くで成長を見守って欲しかったと思わずにはいられません。



「我 正に 死線にあり」
から死の瞬間まで、
本当にゾクゾクしっ放しで
体が震えました。
(落石の計時の蒙武と魏加の矢にはやっぱ腹立つけど!)

龐煖のトドメについては悔やまれるけれど、
ラストシーン直前の
「摎も笑っています」
には救われます。


王騎はすべての思いを昇華させて、
本当に思い残すことなく逝ったのだな。



そう思わせてくれる、
本当に素晴らしい最期でした。



【まとめの、まとめ】
⭕王騎、昭王亡き後約7年、呂竭の権力争いには興味を示さず前線から退く。

⭕王騎、昔なじみの戦友・昌文君が文官に転じ、若王・嬴政に仕え、呂竭の争いから必死で護ろうとしていることに興味を抱く。

⭕王弟反乱勃発時には、竭氏側の協力をするという体で、脱出を試みる昌文君を攻撃。
昌文君との戦を楽しむようにもみえる。

⭕替え玉である漂は死に、政は生き延びるが、
王騎は竭氏に偽物の昌文君の首を差し出して
政陣営の嘘の敗北を示唆。昌文君の領土にも手出しできないように自らの領土にする。

⭕王騎、山民族を率いて王宮に帰還した政陣営に、本格的に注目。
竭氏配下の逃亡を防ぐよう、騰に指示を出し援護のような行動をとる。

⭕王騎、王弟反乱を鎮圧した政に、
「どのような王を目指すのか」と確認。
「中華統一をする唯一王」だと言い切る政の目に、昭王以来の輝きを感じる。

⭕王騎、麃公と呉慶の戦いを目にし、再び戦に対する熱き思いに火がともる。

⭕趙国で、新しい"三大天"に李牧が任命される。
李牧は趙国の武威を中華に示すため、列国の脅威である存在の王騎に目を付ける。

⭕李牧は、王騎を討ち取るために時間をかけて大掛かりな策を講じたり、王騎に因縁のある龐煖を探し出し総大将にすることで王騎を戦場へ誘い出す。

⭕王騎、六将仲間であり、妻になるはずだった存在である摎の仇を討ち、過去のしがらみと決別して政とともに中華統一への路を進むことを決意。

⭕王騎、因縁の相手・龐煖との一騎討ちで敗北。
内容的には勝っていたといえるも、背から放たれた矢に射たれ、隙をつかれて討たれる。

⭕王騎、
強大な敵(李牧)が背後にいたために龐煖を仕留めることが叶わなかったものの、
戦国の時代の流れに生きる己を誇る。
また、未だかつてない強敵に対抗する新しい芽(政陣営、信)や、次の時代を担う将(蒙武)の力を確認でき、信頼できる後継者(騰)や慕われた兵(王騎軍)に囲まれながら、思い残すことなく生涯を終える。

【まとめ】王騎の思い (前編)

*ネタバレあり*






16巻で王騎が死にました。

王騎はあまりに偉大な人物すぎて、
16巻のところで感想がまとめきれませんでした。

なので別枠でちょっとまとめてみたいと思います。


キングダムは、基本的に
史記」や「戦国策」などの史書をベースに物語が進んで行くマンガなので、

この時点での王騎の死は、最初から決定していたそうです。
(16巻 あとがきページより)

わたしはキングダムが好きになりすぎて、
今まで全く興味の無かった「中華」「戦国」
的なワードにものすごく惹かれている状態ではあるのですが、

キングダムが好きすぎて、ネタバレが何より怖く一切史書関係には手を出していません。

あげくコミックス派なので、検索したりするときもまだ知らない本誌ネタバレに出くわさないように恐る恐るの有様です。

なので、
詳しい史実までは掘り下げていませんが、
16巻までで傑物・王騎を振り返り、
わたしなりに王騎が抱いていた「想い」を
想像してみたいと思います。





【初登場シーン】
●1巻(第7話) 196〜197ページ

政の暗殺を狙う、竭丞相。
王宮を脱出した政(漂)の死体が見つからない中(※死体は必要以上にバラバラで見分けがつかない状態のものが多かったらしい)、
万一生き延びていたとしても、昌文君と合流しない限り政が生きる術はないと算段。

いち早く昌文君を探して首を獲ってこいという
竭丞相の前に、

「安心していいよォ
たっぷり苦しめて殺してあげたからァ」

と王騎が現れる。

昌文君は王騎が片付けたと信じる竭丞相に、参謀の肆(し)氏は
今まで王宮の権勢争いに全く興味を示さなかった王騎が、なぜ急に加勢してきたのかを疑問に思う。

竭丞相曰く、王騎は
「昌文君の領地を得ることを条件」に参戦してきたらしい。


【王騎の目的?】
●2巻(第11話 56〜59ページ)

王騎が竭氏側に提出した「昌文君の首(偽物)」は、
損傷が激しすぎて本人確認すらとれない状態。
訝しむ肆氏は、昌文君との戦いの詳細を王騎に確認しようとするも、うまくはぐらかされる。


🔴肆氏 : 「王騎将軍は今 何を望んでおられますか?」

🔴王騎 : 「血湧き肉躍る世界!」

ゾクリとする肆氏。

🔴王騎 : 「なんちゃって!そんな世界あるわけないじゃないっ ココココココ 王騎冗談よ

だけどーーー

もしこれからそんな世界が来るとしたらーーー

たまりませんねェ ンフフフゥ」


‥‥王騎、完全にオカマキャラです。笑



【政(漂)の脱出劇・失敗の原因】
●2巻(第13話 83〜94ページ)

昌文君の回想シーン。
呂竭の権力争いに興味がなかったはずの王騎が
突然昌文君の前に現れ、
王(漂)の脱出の邪魔をするという想定外の状況。
理由を問う昌文君に、王騎は

🔴王騎 : 「熱き血潮 渦巻く戦いを求めて!!」

🔴昌文君 : 「わけが分からぬ!!」

🔴王騎 : 「あんたなら分かるでしょォ

呂商の秦になってから戦争は恐しくつまらないものになったわ

昭王の時代が懐かしくてたまらないわねェ」

🔴昌文君 : 「たしかに呂秦となってからの戦は
裏で金品が回ったり
呂氏の利益に直結するようなものが多い

だが戦場で戦うお前達には関係ないことであろう」

🔴王騎 : 「ご冗談を
そんな不遜な戦争でわたしの血がたぎるとでも思ってるのォ?
わたしの心はとても繊細なのよォ」


王騎は、かつて共に戦場を駆け巡っていた時、昌文君を"気骨のある武人"として一目置いていたと話す。

そして、昌文君とやり合うことで久々に血がたぎりそうだと言い、伏兵を周到に用意していたりと本気の合戦を仕掛けてきた。

王騎との激しい一騎打ちで昌文君は崖下へ転落し、漂を守る兵たちから離脱してしまった。

主(昌文君)不在の私兵たちは、王騎軍に抗う武力を持っておらず、先陣を切って兵を指揮しながら逃げのびた漂も、結果的には別の追手(朱凶)に殺されてしまう。



王騎、かなりのオネエ口調ですね。
まだキャラが定まっていない感があります。笑


【昌文君の領土を得た理由?】
●3巻(第24話 84〜86ページ)

成蟜は昌文君の配下を捕らえ、
ランカイを使って虐待・虐殺を繰り返す。

配下だけでは飽き足らず、昌文君の一族や領土の住人全てを捕らえるように肆氏へ命じるも、
王騎がそれを阻止。

🔴王騎 : 「昌文君の妻子を引き渡せと?
しかし彼の領土はすでに私のものですよォ

つまり領内の人間は全て私の奴隷(もの)です

それを渡せとは面白いことをおっしゃいますねェ

どうしても欲しいと言うのならあなた(肆氏)の妻子を私に頂ければ考えてあげますよォ

フフフフ でわ♡」


‥‥王騎が昌文君の領土を欲しがったのには、このような事態を想定してのことだったのでしょう。
攻撃してきたり、かばってくれたり。
まだまだ目的不明です。


【政陣営の出方を観察】
●3巻(第30話 204ページ)

揚端和ら山民族達と咸陽内の関所をくぐり抜けた政陣営。
竭氏派の肆氏らが政の存在に気づいた頃、
政は仮面を外し堂々と姿を見せる。

その一連の様子を、王騎は城内から高みの見物。

🔴王騎 : 「ホォォ
健気な大王ではありませんか

面白くなって来ましたねェ
ンフフフフ」



〈ここまでの感想〉
まだまだ謎の存在の王騎。
昔からの戦仲間である昌文君に、いきなり合戦を仕掛けてきたかと思えば、
わざわざ伏兵まで用意しているという手のこみよう。

かつて"秦の怪鳥"とまで呼ばれた王騎が、
その気になれば
元武人とはいえ昌文君の私兵軍を全滅させることぐらいわけもないはず。

呂氏が支配する秦が退屈であり、
血湧き肉躍る世界を求めている。

という王騎の言葉に嘘はないはずですが、

竭氏に協力したと見せかけて、
騒動に便乗しつつ政陣営の力(政の王としての運であり能力含め)をはかるためにあえて利用したような動きに思えます。

戦場で倒した兵の死体を、わざわざ分別がつかない程に痛めつけたり、
偽物の昌文君の首を提出したり、

さらには昌文君の領土を乗っ取ったことで
昌文君の元領地内の住民達を保護しているようにみえますね。

政陣営の時間を稼いでいるようにも思えたり、
弱王がどこまでやれるのかを、試しているようにも思えたり。

王騎の真意がまだはっきりせず、気まぐれな行動にもうつりますが、

昌文君へ仕掛けた合戦にしろ、竭氏に協力するそぶりを見せたことにしろ、
成蟜・竭氏側の支配から昌文君の領地を保護している行動にしろ、

王騎的には計算通りといった感じです。


でも、
結局は王騎の乱入のせいで昌文君と離された漂は命を落とすことになったので、
オマエさえこなければ漂は死ななかったのに!
と初めは王騎にイラついていた私。笑

昌文君がいたら、朱凶の下っぱごとき倒していたでしょうしね。

でもそれ"込み"で、そこで命を落とすようなら
そこまでの王ということ、
王騎はそう思っていたのかも。

ここまでの段階では、王騎的には"政陣営の様子見"といったところです。


【政陣営の戦いを見物・分析】
●4巻(第35話 84〜86ページ)

咸陽の関所をくぐり、竭氏配下の兵と戦闘中、政のピンチを救った昌文君を見て、

🔴王騎 : 「相変わらず渋いですねェ 昌文君はァ

しかし一か所見物できないことが残念ですねェ」

と騰を呼び、凄腕の武人・左慈(さじ)が配置されている"右龍"の場所へ見物へ行くように命じる。
(ここで、なぜか騰は行きたがりません。笑)

左慈がいることを承知で、そこに別働隊を送り込んだということは、
政と昌文君が最も信頼を寄せている人物が配置されていると予想した王騎。
そこに興味を持ったようですが、さらりと騰にスルーされて終わりました。笑


●4巻(第38話 148ページ)

なぜか右龍に行かなかった騰(笑)に、

🔴王騎 : 「あなたには別に行って頂きたい所があります」

と指示。
そして騰が向かった先は、"左龍"につながる扉の前。


【信・壁・バジオウら別働隊を援護?】
●5巻(第42話 18ページ)

王騎に
「扉に近づく者は切り捨てなさい」という命を受けたことにより、
扉をこじ開け逃亡しようとする大臣たちを騰が両断。


そして政陣営らが戦う正面の広場には、
王騎が現れる。


【政の目指す"王像"の確認と、期待】
●5巻(43話、44話、45話 37〜71ページ)

政の前に現れ、一つだけ質問させて欲しいと願い出る王騎。

🔴王騎 : 「貴方様はどのような王を目指しておられますか?」

政は、

🔴政 : 「中華の唯一王だ」

と即答。

王騎は昭王と交わした約束を思い出す。

回想(🔴昭王 : 「王騎よ 飛ぶのはやめても牙は磨いておれ

お前ほどの武人が地に埋もれるのは許せぬ

今はいなくともこの先ワシのような王が再び現れるやも知れぬ

王騎よ
その刻は今以上に大きく羽ばたくのだ」)


🔴王騎 : 「(昭王亡きあと 数多くの王が
私を召しかかえようと声をかけてきましたが

"中華"だ"天下"だと軽々しく語る王ばかりで
"本物"は一人もいませんでした

しかしこの若王の口から放たれる
"中華"という言葉は異様なほどに重い!

そしてその目は
一点の曇りもなく内に強く光っている

悪くない
昭王とはまた違いますが
悪くないですよォ

昭王の目は"中華"に恋い焦がれる
夢追い人の目でした

しかしこの王にはそんな甘き響きは微塵もない

この目はしっかりと
"中華への路"
をとらえている

ンフフフ 若さゆえのおごりとも言えますが
それにしてもそんな目で中華に臨む王は
未だかつて一人もいませんでした

これが第31代
秦王 嬴政か!)」


政の答えを聞いた王騎は楽しそうに笑い、

🔴王騎 : 「昌文君 あなたが一人でバカ熱くなっている理由が少しだけ解りましたよォ」

と告げ、大口をたたくのに見合うだけの力をつけてほしいものだと政に言い残して去ってゆく。

心の中で、

🔴王騎 : 「(昭王よ また熱い時代が来ようとしているのかも知れませぬ)」

と少し喜びながら。。。


〈ここまでの感想〉
"政がどう出るか"
をずっと観察している王騎。
かつての戦友・昌文君が必死になって守ろうとしている政のことを、
どれほどの人物か知ろうとしています。

時には邪魔をして試したり、
時には絶妙なタイミングで援護(にはみえない方法で)をしながら。
"このぐらいのハンデは与えてあげましょうかァ"
ぐらいな感じで。

そして政に直接質問した、"目指す王像"。

「中華の唯一王」

だと即答した政に、いよいよ王騎は王としての器の片鱗を政にみます。

昭王亡き後、初めて
"仕えるに値する主"
に出逢ったのかもしれない。

そんな期待を政に抱いたのでは。


これ以後、王騎は戦にも少しずつ絡んでくるように。
信との本格的な絡みもこれ以後からですね。


それにしても、そもそも政を気にかけ出した原因って、
やっぱり昌文君でしょうかね。

王騎は昌文君に一目置いていますし、
かつての戦友で人となりも熟知しているはず。
その昌文君が必死で"バカ熱く"なっている
その理由を知りたかった、
というのも原因のひとつな気がするなぁ。


では、後編へつづきます。

キングダム 16巻 「天下の大将軍」

*ネタバレあり*

キングダム 16 (ヤングジャンプコミックス)

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秦にとっても信にとっても、
ここで大きな転機となる
キングダム16巻。

そして8巻に引き続き、わたしの"泣き巻"です。

中華全土に名を馳せる、天下の大将軍・王騎。
ここまで、わたしを含めてどれだけの読者が信とともにさまざまなことを教わったか。

去りゆく男がいて、
新たに現れる男がいる。


王騎将軍の生きざまにただただ、感極まります。



【あらすじ】
戦場で王騎と龐煖がついに対峙した頃。

咸陽では、昌文君が政に
"王騎と摎の関係の真実"
を語り出す。

過去、昭王の時代。

王騎と昌文君は、戦場で共闘する機会が多く、
昔馴染みの戦仲間のような関係だった。

数々の戦を重ねるうち、ある時より王騎軍の若い女兵士が"戦の天才"だという評判のもと、頭角を現す。

昌文君自身も前線でその実力を目の当たりにし、能力を認めるほどであり、
その女兵士は容姿の可憐さもあいまって注目を集める存在となっていた。

女の身でありながらも戦果をあげ続け、武をとっても策をとっても明らかに才能に秀でていたその女は、
王騎の召使いの子であり、幼少時から王騎を見て育ったため、武芸の達人に成長したのだという。

その女兵士が「摎(きょう)」だった。

時は流れ、
連敗続きで苦戦を強いられていた"南安の戦い"の際、
数々の将が討たれたことにより王騎が繰り上げ総大将に任命されることになった。

秦軍連戦連敗続きのさなかでの総大将任命だったため、最悪の場合を想定した王騎は昌文君を呼び出し、"摎の出自の秘密"を打ち明ける。


摎は、実は昭王の娘であった。


摎の母はひときわ美しく昭王の寵愛を受けていたが、低い武家の出のため後宮内に誰も協力者がいなかった。

世継ぎ争いで無法地帯となっている後宮で、摎の母は
"力なき宮女は容赦なく殺される"
という現実に直面していた。

摎の母は、子の命を守るために
行商に頼んで摎を外部へ逃がし、自らは屋敷に火をつけ自殺をしてしまったという。

そして摎が逃がされて来たのが、
"王宮から離れた地であり、
なおかつ事情を理解できる地位の人間の側"
である王騎の屋敷だった。

摎の母は王騎の父の戦友の娘だったことから、
王騎は摎を受け入れる。
いきなり養女にするのは目立ちすぎるため、
表向きでは"召使いの子"として摎は王騎の側で育ったのだ。



王騎から衝撃の事実を聞かされ、驚愕する昌文君。

万一の事態を思い、信頼のおける昌文君に摎の秘密を話した王騎だったが、
結局王騎が総大将になった後「南安」の地を取ることに見事成功し、秦軍は勝利をおさめる。

王騎をねぎらいに現れた昭王は、
戦で大活躍した摎の評判を耳にし、
2人は顔を合わせることとなる。
そして2人はお互いの顔を見た瞬間、双方ともが親子だと気づいてしまったのだ。


摎が自分の子であると気づき、感極まる昭王だったが、
後宮から赤子が無断で外に出たという悪しき前列を公に認める訳にはいかず、摎の出自を語ることを禁じた。
摎も、それを理解した。


そして数年が過ぎ、快進撃を続ける摎は将軍になり、武功を重ね、ついには六人目の大将軍に任命された。

幼き頃、王騎に頼んだ
「城を百個とったら王騎様の妻にしてください」
という願いをずっと大事に夢見ている摎は、
六将の1人として更に猛威をふるう。

そして約束の百個目となった城は、
「馬陽(ばよう)」。

王騎も約束を覚えていることを知り、
喜びで涙する摎だったが、

この戦で摎は龐煖に討たれてしまうことに
なるのだったーーー





そして9年後の戦場。

ふたたび「馬陽」の地で対峙する王騎と龐煖。

摎が討たれた姿を思い出し、激昂する王騎。

一方、龐煖もかつての王騎への敗北感を思い出し、闘志を剥き出しにする。


そして一騎討ちが始まった。


激しく打ち合う王騎と龐煖。

スピードや力、技において自分が上回るとの自己分析にもかかわらず、王騎を斬り伏せることができない龐煖。

長く打ち合いをするうち、
王騎が優勢となり、いよいよとどめの一撃を与えようとしたその瞬間、
戦場に地鳴りが走る。

異変を感じ取った王騎が手を止めると、

なんと4万人もの軍を率いて
李牧が現れた。

「三大天」の旗を掲げた4万人の李牧軍を前にし、
一瞬にして秦軍の敗北は免れられない状況に陥ってしまう。


援軍を予測していたものの、王騎の計算を上回る早さで現れた李牧軍に、
してやられたと冷や汗をかく王騎だったが、

すぐさまに頭を切り替え、
心を折られた秦兵の士気を再び奮い立たせ、
死地からの脱出を試みる。


激しく兵が入り乱れ、王騎と龐煖の一騎討ちの体はそこで終わり大乱戦となるが、
龐煖は王騎を逃がすまいと再び勝負を挑む。


王騎と龐煖は再度激しく打ち合いになり、
王騎は足止めされ兵を指揮できない状況に陥る。
しかし、王騎の檄で兵士たちは再度奮い立ち、
活路をこじあけようと乱戦を続けるのだった。

激しい打ち合いの末、
ついに王騎は龐煖の矛の刃を折る。
王騎とどめの一撃を振り下ろした瞬間、


王騎の背を狙って放たれた矢が王騎を射った。


そして矢の衝撃のせいで王騎の一撃より早く、
龐煖の矛の刃が王騎の胸を貫いてしまう。


水を打ったように静まりかえる群衆。


王騎と龐煖の勝負に水をさした輩に怒り狂う信は、
矢を放った趙の弓の名手・魏加(ぎか)を斬り殺すが、
主を討たれた王騎軍は完全に戦意を喪失してしまう。

しかし、王騎は胸を貫かれながらも矛を振りかざし、龐煖の首を落としにかかった。


王騎の気迫に龐煖はとどめをさそうと矛を引き抜き振り上げるが、
そこに王騎副官・騰が現れ、その攻撃を阻止する。


信は王騎の馬に乗り込み、王騎を背で支えながら騰の指示による脱出経路に向かって走り出す。
その路には蒙武将軍が現れ、活路をつくりだそうとしていた。


必死で王騎を脱出させようとする王騎軍。
逃がすまいと首を狙ってくる趙軍を退けながら、
信は馬上で王騎に「将軍の見る景色」を教わる。


趙軍が躍起になって王騎を追うも、
王騎を城へ返そうと決死の覚悟で徹底抗戦の秦軍。
この勢いに対し、趙軍の犠牲も計り知れないと踏んだ李牧は、死はもはや間近の王騎を追撃することはやめるように指示。

戦の目的は秦の侵攻ではなく、
"王騎の死"にあり、
無意味な死は許さないという李牧は
戦の終わりを告げるのだった。


脱出に成功した王騎は、
副官・騰ら王騎軍、蒙武、信らが見守る中、
最期の刻を迎えようとしていた。

王騎は騰に軍の引き継ぎを命じ、
隆国をその証人とさせた。
そして自らの落ち度を詫びる蒙武に、
自身の課題を克服し
今後の秦国軍の顔になるべき一人だとの
言葉を授ける。

そして信に、自らの矛を授け、
最期を迎えるのだった。



王都・咸陽にも王騎の死の報が入る。

ショックで軍議を出て行く昌文君。

政は、王騎が出陣する前に政に伝えた
「昭王の遺言」
の内容を昌文君に話す。

「戦に慈悲は無用なれど
奪い取った地にある民は奴隷にあらず
虐げることなく
自国の民として同様に愛を注ぐこと」

全中華の王たる姿を教授するものである
この遺言の内容は、
王騎が昭王から
「"昭王の意志を継ぐ資質のある秦王のみ"
に伝えよ」と言われていたものであった。

政を"仕えるに値する王"と認めた王騎は、
出陣前、
政とともに"中華を目指す"ことを誓ってくれた
のだ。


その話を聞き、昌文君の目には涙が溢れ、
王騎の死を悼むのだった。




* * *




王騎、死す‥‥!


主人公の信が霞むぐらいに圧倒的な存在感を魅せてくれた、王騎の最期でした。


まずは摎との過去編。

連載当初からやたらと昌文君に絡んできていた
王騎でしたが、
昔は結構仲良しだったんですね。
仲良しというか、戦友というか。

王騎は昌文君に対し、
「信頼できる無骨な賢人」
というかなりの褒め言葉使ってます。
(昌文君の方は、「フン ただの目立ちたがり屋のアホ共だ」とか言ってましたが。笑)


摎の出自というトップシークレットを打ち明けるほどですから、
相当人間的に信用していたことがうかがえます。


16歳で頭角を現し、その後数年で将軍に昇格、更には六大将軍の一人にまで上り詰めた摎の戦う理由が、
たわいもない子供の頃の約束で
「王騎の妻になること」
っていうのがけなげすぎて泣ける‥‥!!


そんなけなげな夢まであと一歩、というところで
訳のわからない無名の龐煖に殺されてしまうなどという悲劇。

回想シーン明けの王騎の憎悪の表情に
ゾクッとします。
(亜っ!!ていう気合い?も。)

王騎にとって摎は、
偉大なる主である昭王の子というだけでなく、
軍の戦力としても欠かすことのできない存在であり、
幼き頃から自分を慕い続けてくれる可愛いただの女の子でもあったのでしょう。

王騎にとって様々な意味で大切な存在である摎を討った龐煖への怒り、
この一コマに現れてます‥‥。

一方、
9年前に王騎に敗北した後、
傷を癒すのに3年、
深山での修業に6年を費やし、
武の極みに達したと自負していた龐煖は、

自らの力ではじき返せないほどの王騎の一撃の重さの理解に苦しみます。

王騎はそれを
"将軍には、死んでいった戦友の思いが全て双肩に宿る"
からだと言い、

龐煖は
"死人の思いを継ぐなどは勝手な夢想
人は死ねば土くれと化す"
と言います。


62ページ、龐煖の攻撃を受け止める王騎のコマが最高にカッコイイ。


山に1人こもっている龐煖には、自分の言っていることはおよそ理解できないだろうと言う王騎。

側で戦いを見守る羌瘣も理解し難い表情。

どちらかといえば蚩尤の教えに通ずる龐煖の強さは、情を含めたあらゆる欲求を排除することで得られたものであり、それは理解できるとしても
あらゆる情(思い)を背負う王騎がなぜそれ以上に強いのか、
その矛盾に羌瘣も理解ができないでいます。


そして王騎が優勢で、あと一撃で倒せる!
という瞬間に、
李牧軍が到着。
その瞬間、秦軍の敗北が決定したようなものでした。

‥‥誰もが思ったと思いますが、
この時!!

何で攻撃やめたんや〜!!

って叫びたくなりました‥‥(泣)
あと一撃で死んでたのに!!

いえ、分かってます‥‥
自分のことしか考えていない龐煖と違って、
王騎は摎のこともあり勿論龐煖との勝負は重要ではありますが、
何より秦軍を背負う総大将。

常に先を見るのが王騎です。

自軍のことを考えれば、
4万の大軍が現れた今、一騎討ちどころじゃない。

王騎は絶望する自軍の兵をすぐさま立て直し、
活路をつくりだそうとしますが、

そこへ自己中な龐煖は再度王騎に向かってきます。

王騎は手こずりながらも、

「この死地に
力ずくで活路をこじあけます
皆の背には常にこの王騎がついてますよ」

と兵に檄をかけ、再び混戦に!

そしてあの「魏加の矢」。

してやったりの魏加は激昂した信に瞬殺されますが、
もともと命を捨てる覚悟で奴はきてました。


そして胸を貫かれた王騎と龐煖の最後のシーン。
死の淵にもかかわらず、
王騎の刃は龐煖の首に。

🔴王騎 : 「将軍とは」

🔴信 : 「!?」

🔴王騎 : 「百将や千人将らと同じく
役職・階級の名称にすぎません

しかし

そこにたどりつける人間はほんの一握り

数多の死地を越え
数多の功を挙げた者だけが達せる場所です」

🔴龐煖 : 「(首に刃を当てられ)、(この俺が力で‥‥)」

🔴王騎 : 「結果 将軍が手にするのは
千万の人間の命と
束ね戦う責任と
絶大な栄誉

故にその存在は重く」

🔴龐煖 : 「ぐうっ(刃が首にめりこむ)」
「(馬鹿な‥‥もはや死人のこの男になぜこんな力が‥‥)」

🔴王騎 : 「故にまばゆい程に 光輝く」

🔴龐煖 : (メギメギメギと刃が首にくいこむ)
「きっ(馬鹿な 何なのだ 何なのだこの男は?)」
「貴様は一体 何者だ」

🔴王騎 : 「ンフフフ 決まっているでしょォ」

「天下の大将軍ですよ」




‥‥‥!!(泣)
鳥肌たちました‥‥。
(この時の信の表情!)



そして、鬼の形相で援護に入る副官・騰。(こんな血走った目の騰さん見たことない!)

信は王騎の馬に飛び乗り、脱出経路を目指します。

騰が指示した脱出経路には、蒙武!!


趙の策に負け、シュンとなっていた蒙武が暴発し、退路を確保!!(よくやった!)
隆国も迎えに来てくれたー!(涙)

王騎の亡骸は絶対に趙軍に渡すまいと、
主を城へ返すために王騎軍は死にもの狂い。
涙と汗と血でぐちゃぐちゃになった顔で必死のパッチです。

そのひとりひとりの表情に涙が出そうになる‥‥。


信が馬上で王騎に
「将軍の見る景色」
を教わるシーンでも、
味方の兵の表情が秀逸すぎ。
164,165ページの見開きにも鳥肌が‥‥(泣)


そしていよいよ王騎最期のシーン。


🔴王騎 : 「ンフフフ 全く困ったものですねェ
いつの時代も最強と称された武将達は
さらなる強者の出現で敗れます

しばらくその男を中心に中華の戦は回るでしょう‥‥

しかし
それもまた次に台頭してくる武将に討ち取られて
時代の舵を渡すのでしょう

果てなき漢(おとこ)共の命がけの戦い

ンフフフ 全く

これだから乱世は面白い」



🔴王騎 : (武に生き 一時代を築き
さらに武に死ねることは本望‥‥

頼もしき次の時代の芽にも出会い
思い残すことはなく‥‥

ようやく先に逝った戦友(とも)達のもとへ‥‥

ンフフフ

摎も笑っています)



‥‥王騎のラストシーンは、
キングダム史上、現時点でわたしが最も震えた場面でした‥‥。


最後に、
戦が終わって信が家に帰った時、
休みをもらったという貂が家で待っていてくれたのはよかったですね。

たくさんのごちそうを作って。

‥‥こんなのもう嫁じゃないか!!
けなげすぎる!!

この時は、貂・嫁説に何の疑いも持っていませんでした。

そう、この時までは‥‥。(!)



【メモ】
⭕ちなみに趙軍の軍師・趙荘は、あっさり騰に殺られる。
⭕信、王騎将軍の矛を受け継ぐ。

⭕〈李牧の目的〉
三大天を受けたことで、李牧は趙軍の象徴として敵国と渡り合う立場になった。

中華に存在する武将の中で、王騎ほど多くの人間に憎悪され死を望まれている武将はいない。
50の城を取るよりも王騎の首ひとつに価値がある。その王騎に狙いをつける。

秦国の武威の象徴でもある王騎を討つことで、
秦の武威を失落させるとともに
趙国の武威は列国の脅威となる。
それを六国に示すことが最大の目的。

⭕おまけマンガ (15巻おまけのつづき。「羌瘣 VS‥‥」)

キングダム 15巻 「真打ち」

*ネタバレあり*

キングダム 15 (ヤングジャンプコミックス)

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開戦から5日目、
とうとう王騎と龐煖が対峙します。

そして、今回の戦に関して趙軍が隠していた秘密が明らかに‥‥。

貂や蒙毅とともに戦を観戦している、
李牧の正体とは。

9年にわたる王騎と龐煖の因縁に深く関わる、
王騎と摎の関係とは。

これらが明らかになる15巻。

では、あらすじから。


【あらすじ】
龐煖に遭遇した蒙武。

龐煖の持つ強大な武のオーラを感じ取り
蒙武は無意識に冷や汗をかきつつも、
迷うこと無く龐煖に向かって行く。
しかし、意外にも龐煖は蒙武との勝負をかわし、
一瞥しただけで走り去っていった。

激怒し背を追う蒙武。
しかし龐煖は、趙荘の策により蒙武との対戦を避け、自らが囮となって蒙武を罠にかけようとしていたのだった。

罠の気配に気づいた隆国軍長は、蒙武に深追いをやめるように進言するも、
蒙武は策に屈する気はないと突進を続ける。

ほどなくして、趙荘の計略通り蒙武軍の頭上に巨大な岩石が落とされ、その衝撃により蒙武軍は半数が壊滅。
あらかじめ王騎に趙本陣の場所を知らせる狼煙を上げていた隆国は、
王騎が来るまで待つように蒙武を諭すが、蒙武は追撃をやめることなく更に龐煖を追うのだった。


その頃、王都咸陽。
政は、山界の王・楊端和の突然の訪問を受けていた。

早急に知らせたいことがあるという楊端和。
政が話を聞くと、

楊端和ら山の民は、この1年で勢力を拡大し、先日8万の軍を率いて北の騎馬民族匈奴(きょうど)を討ちに攻め入ったという。

他の地域の山民族に比べ、桁違いの武力・軍勢を持つ匈奴
その匈奴が、楊端和が攻め入った時にはすでに全滅していたらしい。
その数は10万人以上。

匈奴の死体の様子から、「武力」でやられたのではなく、何者かによる「策」の力によって一方的にやられたような感じがする戦場跡だったという。

楊端和は、戦場の位置関係から、匈奴を壊滅させたのは「趙軍」だと断言。
そして、この大規模な戦の情報を政陣営が知らなかった時点で、
趙軍が情報封鎖していたことは確実であるとも推測。
「隠されていた趙の軍」が、今まさに行われている秦趙の戦に援軍として現れたとするなら、
戦の勝敗を決するほどの脅威となり得るだろうと危惧していた。

匈奴を全滅させた軍を率いた者と、
今回の秦趙の戦で隠された援軍を差し込もうとしている者がいるとすれば、
恐ろしい策士であることに違いなく、
楊端和は同一人物の可能性が高いと推理。

楊端和が匈奴の生き残りから聞き出した、
"匈奴を全滅させた趙軍を率いた男"の名前は
「李牧」だった。


その頃。
正体は明かさず、貂や蒙毅と戦を観戦していた李牧のもとに、趙軍からの迎えが来る。
李牧やカイネが敵国の趙軍であることを
そこで初めて知った貂たちは、
戦が終わるまでという条件で捕らわれてしまう。

戦場に向かう李牧とカイネ。
去り際に蒙毅がカイネから聞き出した李牧の正体は、
なんと趙の「三大天」だった。


その頃、戦場では。
疲弊した蒙武・隆国連合軍のもとに、
総大将・王騎将軍が到着する。

◉秦軍 20000人
●王騎軍 10000人
●騎兵 4000人
●歩兵6000人

◉趙軍 24000人
●趙荘軍 12000人
●騎兵 4000人
●歩兵 8000人


兵達の士気は五分。いよいよ本陣同士の戦が始まった。

趙軍に、どこかに伏した援軍がいることを予想していた王騎は、戦のスピードを早める。
王騎副官・騰の活躍や、信たち歩兵の陽動作戦も功を奏し、
先陣をきって攻め込む王騎の勢いは止まることなく、ついに大将同士の一騎討ちに!



その頃、王都咸陽。
昌文君は、政に今まで話さずにいた王騎と摎の過去を打ち明ける。

六大将軍のひとりでもある摎の素性が不自然なほどに知られていないのは、
昭王がそれを禁じたからであることと、

そして摎は、王騎の妻になるはずの女であったことを。



その頃戦場では、
王騎と龐煖の9年越しの決着をつける激しい決戦が始まったのだった。



* * *



陰で今回の趙軍を操っていたのは、
趙荘ではなく、李牧でした。


13巻で、
李白が訝しんでいた
"龐煖が三大天になった経緯のあたり"
に関して公孫龍が口を濁していた理由や、

王騎が騰に
"趙軍には趙荘以外の軍師がいるのか?"
と確認するほど不自然な策の臭いを感じ取っていた原因は、

この李牧の存在だったようです。

李牧の存在は、趙軍では趙荘と公孫龍にしか知らされておらず、(13巻で渉孟が、知らずに三大天の残り二つの椅子の一つをもらうとか豪語してました)完全に情報封鎖されていたため、
王騎にも察知することはできなかったみたいですね。

とはいえ、さすがは王騎。
"何者かによる援軍"が入る恐れを感じてはいます。

端和様の推理通り、
李牧は、
"趙の北に匈奴を討つほどの強力な軍がいること"
を自軍にも悟られぬように隠し、
"隠しておいた軍を秦趙の戦終盤で横から参入させる"
という、秦軍にとっては恐ろしい戦略を実行しようとしています。
(しかし改めて端和様は頭がキレる人だわ‥‥
同盟を結んでくれてありがたすぎる‥‥)


「李牧」というキャラは、
キングダムが連載になる前に、
ヤンジャン本誌に読み切りとして掲載された時の主人公。

以前に原先生が、キングダムが連載になり李牧を登場させることができて、"してやったり"だとおまけページで語っておられました。

それだけ重要な大物キャラだということです!(泣)


ああ、王騎には絶対に負けて欲しくないのに、
嫌な予感しかしない。。。


王騎と摎の関係も明かされましたね。
それにしても摎、美女すぎ!!
なぜ王騎の許嫁?!笑

この理由は次巻で明らかにされます。


ところで15巻で1番腹が立ったのは蒙武!

策に屈しない強気もいいけど、
なんでもかんでも突っ込んでいって!
隆国の忠告も聞かず(気に入ってたのに)!
蒙武軍・来輝(らいき)の
「奴らが何を仕掛けてこようと
たとえ万の伏兵が待ちうけていようと
この蒙武軍の爆進は誰にも止められぬわ!!」
のどアップからの
見開きで落石の罠にかかる有様!!
(20ページ)

もう地団駄踏みたくなった。(笑)

「ガギリ」じゃねーよ!!(泣)


137ページでは、王騎軍到着のおかげで助かった蒙武たちはシュンとおとなしくなってます‥‥。
疲弊した兵達や大量の馬の死体を見ながら、
蒙武はちょっと反省しているかのようにも見えますがね‥‥。


王騎軍たちは
"敵大将が目の前にいたのなら仕方ない"
と深追いした蒙武を誰も責めてはいませんがね‥‥!

わたしはこの時、

龐煖の次に蒙武キライ!!

って思ってました。笑


つづく。


【メモ】
⭕騰、ファルファル斬り炸裂。

⭕趙軍モブ兵、騰に対し
「剣使いなど 騎兵は長ものという常識を知らぬ愚か者が!!」と現れ、一瞬でファル殺される。
(でも、"騎兵は長もの"って常識、初めて知った。それもそうだよなぁ。)

⭕王騎将軍と龐煖どっちが強いか聞かれた羌瘣、「龐煖」と答える。(泣)

⭕おまけマンガ「羌瘣 VS‥‥」

⭕おまけページより、羌族の新たな蚩尤候補・「羌識(きょうしき)」と「羌礼(きょうれい)」登場。象姉の愛剣の名前は「白鳳(はくほう)」と判明。