*ネタバレあり*
16巻で王騎が死にました。
王騎はあまりに偉大な人物すぎて、
16巻のところで感想がまとめきれませんでした。
なので別枠でちょっとまとめてみたいと思います。
キングダムは、基本的に
「史記」や「戦国策」などの史書をベースに物語が進んで行くマンガなので、
この時点での王騎の死は、最初から決定していたそうです。
(16巻 あとがきページより)
わたしはキングダムが好きになりすぎて、
今まで全く興味の無かった「中華」「戦国」
的なワードにものすごく惹かれている状態ではあるのですが、
キングダムが好きすぎて、ネタバレが何より怖く一切史書関係には手を出していません。
あげくコミックス派なので、検索したりするときもまだ知らない本誌ネタバレに出くわさないように恐る恐るの有様です。
なので、
詳しい史実までは掘り下げていませんが、
16巻までで傑物・王騎を振り返り、
わたしなりに王騎が抱いていた「想い」を
想像してみたいと思います。
◆
【初登場シーン】
●1巻(第7話) 196〜197ページ
政の暗殺を狙う、竭丞相。
王宮を脱出した政(漂)の死体が見つからない中(※死体は必要以上にバラバラで見分けがつかない状態のものが多かったらしい)、
万一生き延びていたとしても、昌文君と合流しない限り政が生きる術はないと算段。
いち早く昌文君を探して首を獲ってこいという
竭丞相の前に、
「安心していいよォ
たっぷり苦しめて殺してあげたからァ」
と王騎が現れる。
昌文君は王騎が片付けたと信じる竭丞相に、参謀の肆(し)氏は
今まで王宮の権勢争いに全く興味を示さなかった王騎が、なぜ急に加勢してきたのかを疑問に思う。
竭丞相曰く、王騎は
「昌文君の領地を得ることを条件」に参戦してきたらしい。
【王騎の目的?】
●2巻(第11話 56〜59ページ)
王騎が竭氏側に提出した「昌文君の首(偽物)」は、
損傷が激しすぎて本人確認すらとれない状態。
訝しむ肆氏は、昌文君との戦いの詳細を王騎に確認しようとするも、うまくはぐらかされる。
🔴肆氏 : 「王騎将軍は今 何を望んでおられますか?」
🔴王騎 : 「血湧き肉躍る世界!」
ゾクリとする肆氏。
🔴王騎 : 「なんちゃって!そんな世界あるわけないじゃないっ ココココココ 王騎冗談よ
だけどーーー
もしこれからそんな世界が来るとしたらーーー
たまりませんねェ ンフフフゥ」
‥‥王騎、完全にオカマキャラです。笑
【政(漂)の脱出劇・失敗の原因】
●2巻(第13話 83〜94ページ)
昌文君の回想シーン。
呂竭の権力争いに興味がなかったはずの王騎が
突然昌文君の前に現れ、
王(漂)の脱出の邪魔をするという想定外の状況。
理由を問う昌文君に、王騎は
🔴王騎 : 「熱き血潮 渦巻く戦いを求めて!!」
🔴昌文君 : 「わけが分からぬ!!」
🔴王騎 : 「あんたなら分かるでしょォ
呂商の秦になってから戦争は恐しくつまらないものになったわ
昭王の時代が懐かしくてたまらないわねェ」
🔴昌文君 : 「たしかに呂秦となってからの戦は
裏で金品が回ったり
呂氏の利益に直結するようなものが多い
だが戦場で戦うお前達には関係ないことであろう」
🔴王騎 : 「ご冗談を
そんな不遜な戦争でわたしの血がたぎるとでも思ってるのォ?
わたしの心はとても繊細なのよォ」
王騎は、かつて共に戦場を駆け巡っていた時、昌文君を"気骨のある武人"として一目置いていたと話す。
そして、昌文君とやり合うことで久々に血がたぎりそうだと言い、伏兵を周到に用意していたりと本気の合戦を仕掛けてきた。
王騎との激しい一騎打ちで昌文君は崖下へ転落し、漂を守る兵たちから離脱してしまった。
主(昌文君)不在の私兵たちは、王騎軍に抗う武力を持っておらず、先陣を切って兵を指揮しながら逃げのびた漂も、結果的には別の追手(朱凶)に殺されてしまう。
王騎、かなりのオネエ口調ですね。
まだキャラが定まっていない感があります。笑
【昌文君の領土を得た理由?】
●3巻(第24話 84〜86ページ)
成蟜は昌文君の配下を捕らえ、
ランカイを使って虐待・虐殺を繰り返す。
配下だけでは飽き足らず、昌文君の一族や領土の住人全てを捕らえるように肆氏へ命じるも、
王騎がそれを阻止。
🔴王騎 : 「昌文君の妻子を引き渡せと?
しかし彼の領土はすでに私のものですよォ
つまり領内の人間は全て私の奴隷(もの)です
それを渡せとは面白いことをおっしゃいますねェ
どうしても欲しいと言うのならあなた(肆氏)の妻子を私に頂ければ考えてあげますよォ
フフフフ でわ♡」
‥‥王騎が昌文君の領土を欲しがったのには、このような事態を想定してのことだったのでしょう。
攻撃してきたり、かばってくれたり。
まだまだ目的不明です。
【政陣営の出方を観察】
●3巻(第30話 204ページ)
揚端和ら山民族達と咸陽内の関所をくぐり抜けた政陣営。
竭氏派の肆氏らが政の存在に気づいた頃、
政は仮面を外し堂々と姿を見せる。
その一連の様子を、王騎は城内から高みの見物。
🔴王騎 : 「ホォォ
健気な大王ではありませんか
面白くなって来ましたねェ
ンフフフフ」
◆
〈ここまでの感想〉
まだまだ謎の存在の王騎。
昔からの戦仲間である昌文君に、いきなり合戦を仕掛けてきたかと思えば、
わざわざ伏兵まで用意しているという手のこみよう。
かつて"秦の怪鳥"とまで呼ばれた王騎が、
その気になれば
元武人とはいえ昌文君の私兵軍を全滅させることぐらいわけもないはず。
呂氏が支配する秦が退屈であり、
血湧き肉躍る世界を求めている。
という王騎の言葉に嘘はないはずですが、
竭氏に協力したと見せかけて、
騒動に便乗しつつ政陣営の力(政の王としての運であり能力含め)をはかるためにあえて利用したような動きに思えます。
戦場で倒した兵の死体を、わざわざ分別がつかない程に痛めつけたり、
偽物の昌文君の首を提出したり、
さらには昌文君の領土を乗っ取ったことで
昌文君の元領地内の住民達を保護しているようにみえますね。
政陣営の時間を稼いでいるようにも思えたり、
弱王がどこまでやれるのかを、試しているようにも思えたり。
王騎の真意がまだはっきりせず、気まぐれな行動にもうつりますが、
昌文君へ仕掛けた合戦にしろ、竭氏に協力するそぶりを見せたことにしろ、
成蟜・竭氏側の支配から昌文君の領地を保護している行動にしろ、
王騎的には計算通りといった感じです。
でも、
結局は王騎の乱入のせいで昌文君と離された漂は命を落とすことになったので、
オマエさえこなければ漂は死ななかったのに!
と初めは王騎にイラついていた私。笑
昌文君がいたら、朱凶の下っぱごとき倒していたでしょうしね。
でもそれ"込み"で、そこで命を落とすようなら
そこまでの王ということ、
王騎はそう思っていたのかも。
ここまでの段階では、王騎的には"政陣営の様子見"といったところです。
◆
【政陣営の戦いを見物・分析】
●4巻(第35話 84〜86ページ)
咸陽の関所をくぐり、竭氏配下の兵と戦闘中、政のピンチを救った昌文君を見て、
🔴王騎 : 「相変わらず渋いですねェ 昌文君はァ
しかし一か所見物できないことが残念ですねェ」
と騰を呼び、凄腕の武人・左慈(さじ)が配置されている"右龍"の場所へ見物へ行くように命じる。
(ここで、なぜか騰は行きたがりません。笑)
左慈がいることを承知で、そこに別働隊を送り込んだということは、
政と昌文君が最も信頼を寄せている人物が配置されていると予想した王騎。
そこに興味を持ったようですが、さらりと騰にスルーされて終わりました。笑
●4巻(第38話 148ページ)
なぜか右龍に行かなかった騰(笑)に、
🔴王騎 : 「あなたには別に行って頂きたい所があります」
と指示。
そして騰が向かった先は、"左龍"につながる扉の前。
【信・壁・バジオウら別働隊を援護?】
●5巻(第42話 18ページ)
王騎に
「扉に近づく者は切り捨てなさい」という命を受けたことにより、
扉をこじ開け逃亡しようとする大臣たちを騰が両断。
そして政陣営らが戦う正面の広場には、
王騎が現れる。
【政の目指す"王像"の確認と、期待】
●5巻(43話、44話、45話 37〜71ページ)
政の前に現れ、一つだけ質問させて欲しいと願い出る王騎。
🔴王騎 : 「貴方様はどのような王を目指しておられますか?」
政は、
🔴政 : 「中華の唯一王だ」
と即答。
王騎は昭王と交わした約束を思い出す。
回想(🔴昭王 : 「王騎よ 飛ぶのはやめても牙は磨いておれ
お前ほどの武人が地に埋もれるのは許せぬ
今はいなくともこの先ワシのような王が再び現れるやも知れぬ
王騎よ
その刻は今以上に大きく羽ばたくのだ」)
🔴王騎 : 「(昭王亡きあと 数多くの王が
私を召しかかえようと声をかけてきましたが
"中華"だ"天下"だと軽々しく語る王ばかりで
"本物"は一人もいませんでした
しかしこの若王の口から放たれる
"中華"という言葉は異様なほどに重い!
そしてその目は
一点の曇りもなく内に強く光っている
悪くない
昭王とはまた違いますが
悪くないですよォ
昭王の目は"中華"に恋い焦がれる
夢追い人の目でした
しかしこの王にはそんな甘き響きは微塵もない
この目はしっかりと
"中華への路"
をとらえている
ンフフフ 若さゆえのおごりとも言えますが
それにしてもそんな目で中華に臨む王は
未だかつて一人もいませんでした
これが第31代
秦王 嬴政か!)」
政の答えを聞いた王騎は楽しそうに笑い、
🔴王騎 : 「昌文君 あなたが一人でバカ熱くなっている理由が少しだけ解りましたよォ」
と告げ、大口をたたくのに見合うだけの力をつけてほしいものだと政に言い残して去ってゆく。
心の中で、
🔴王騎 : 「(昭王よ また熱い時代が来ようとしているのかも知れませぬ)」
と少し喜びながら。。。
◆
〈ここまでの感想〉
"政がどう出るか"
をずっと観察している王騎。
かつての戦友・昌文君が必死になって守ろうとしている政のことを、
どれほどの人物か知ろうとしています。
時には邪魔をして試したり、
時には絶妙なタイミングで援護(にはみえない方法で)をしながら。
"このぐらいのハンデは与えてあげましょうかァ"
ぐらいな感じで。
そして政に直接質問した、"目指す王像"。
「中華の唯一王」
だと即答した政に、いよいよ王騎は王としての器の片鱗を政にみます。
昭王亡き後、初めて
"仕えるに値する主"
に出逢ったのかもしれない。
そんな期待を政に抱いたのでは。
これ以後、王騎は戦にも少しずつ絡んでくるように。
信との本格的な絡みもこれ以後からですね。
それにしても、そもそも政を気にかけ出した原因って、
やっぱり昌文君でしょうかね。
王騎は昌文君に一目置いていますし、
かつての戦友で人となりも熟知しているはず。
その昌文君が必死で"バカ熱く"なっている
その理由を知りたかった、
というのも原因のひとつな気がするなぁ。
では、後編へつづきます。