キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 26巻 「王騎が認めた男」

*ネタバレあり*

キングダム 26 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 26 (ヤングジャンプコミックス)


対合従軍戦、ついに開戦です。

楚軍の汗明がダラダラと開戦の儀式(?) を
やってる間に、
麃公さんがしびれを切らしたのか突撃の号令!
麃公軍所属の飛信隊、さっそく出番です。


26巻は、
満を時しての騰の巻。
というよりは騰軍(元・王騎軍)の巻ですね。
昔から王騎の傍らで異彩を放ち、
その強烈なキャラで半端ない存在感ではありましたが、
今回その騰の本当の実力が明らかに‥‥!

そして各所での戦いが交互に展開され、
どこからも目が離せません。



【あらすじ】
合従軍との戦いがついに開戦。
飛信隊を含む麃公軍4万は、
李牧が全幅の信頼を置く趙軍副将・慶舎(けいしゃ)率いる12万の軍勢と戦う。

麃公と同じ"本能型"である慶舎は、
並外れて勘の鋭い麃公の動きを理解するが故に
巧妙な策を仕掛けてくる。

兵の表情や目線などから敏感に戦場の動きを感じ取る麃公に対し、
慶舎はあえて自軍に自らの作戦を伝えなかった。
さらに連動する将の軍にも一切の計略を禁じたことにより、
"麃公が本来察知すべき戦の情報"
を完全排除。
徹底した"麃公対策"により、
麃公は慶舎の策にはまり、後方から迫る万極(まんごく)将軍の隊に挟みうちをかけられてしまう。

その時、いち早く後方の動きに気づき、"本能"的に急遽逆走していた信は、
麃公軍の後方部隊が万極軍に攻められている戦場へ駆けつけ、檄を飛ばす。
後方部隊が手遅れの状態になる寸前で
麃公兵は信によって士気を取り戻し、
飛信隊に呼応するように後方1万の敵軍に挑む。


一方その頃、函谷関。
張唐将軍の持ち場の城壁に、
魏将・呉鳳明が特殊設計した"対函谷関用の巨大井闌車(せいらんしゃ)"によって梯子がかけられてしまう。
これにより魏軍が城壁へなだれ込み始めるという危機的状況に。

さらに2台目の井闌車が桓騎将軍の持ち場の城壁へ梯子をかけるが、
ここで桓騎将軍は樽に入った油を投げつけて火矢を放ち、
登り来る魏軍もろとも井闌車を焼き払うことに成功。

張唐将軍の持ち場も、一時は騒然とするが
将軍が指揮をとり城壁に登り来る魏軍を冷静に刈り取って行き、ひとまずは劣勢から持ち直していた。


そして同時にその頃、函谷関の左の戦場。
蒙武・騰連合軍9万 対 楚軍15万 の
最大規模の戦が展開されていた。

5万の軍を率いる楚軍第一軍の将・臨武君は、
項翼・白麗ら若手千人将を引き連れ爆進。
対する秦軍は、蒙恬・王賁らが所属する騰軍が
その第一軍を討つという作戦だった。

蒙恬が項翼につかまり、手こずっている間に
騰軍軍長・録嗚未が臨武君の本陣まで突破をかけ、臨武君と対峙。
一騎討ちが始まる。
そこへ更に鱗坊軍長が現れる。
討ち死にした同金の仇である臨武君に対し、
鱗坊は録嗚未に加勢しようとするが、
その時遠方から放たれた白麗の矢に
鱗坊は貫かれてしまう。

戦況を見守っていた蒙恬は、白麗の弓に危機感を覚え、
録嗚未の援護と先々のために白麗を始末しに向かうが、
白麗を援護に現れた項翼が隊で白麗と連携を取り出し苦戦。
その時王賁が現れ蒙恬の援護に加わり、激しい打ち合いが始まった。


一方、鱗坊を失い、臨武君と一騎討ちになっていた録嗚未は苦戦していた。
馬上から叩き落とされ、絶体絶命の危機に陥っていたその時、
戦況を見守っていたはずの騰将軍が
本陣を隆国軍長に任せ、
楚兵をなぎ倒しながら直々に臨武君の前に現れる。

そして騰と臨武君の一騎討ちが始まった。

激しく打ち合う2人。
広大な楚国で将軍にのぼり詰めたという自らの強さに絶対の自信を持つ臨武君に対し、
騰は天下の大将軍・王騎を傍らで支え続けた自負があると誇る。

そして騰は臨武君に勝利。

衝撃の大番狂わせとなった初日早々の報せに、
戦場は騒然となるーーー。




* * *




類稀なる天下の大戦がとうとう開戦しました。

どんな戦いになるのか全く見当もつかないまま
始まってしまった合従軍編ですが、
初っ端から信がめっちゃアツいです。

直感で動いて味方の危機的状況を打破。
田有と田永に旗をあげさせるシーンは
鳥肌たちます。

対輪虎戦で目覚め始めた"武将としての才"
がここにきて更に開花。

敵の策に珍しく嵌ってしまった麃公さんでしたが、
後方から聞こえる信の檄を察知し、

🔴麃公 : 「(小童がまんまと大炎を巻き起こしよったわ

しかしあの場に現れるとは
よほど素早く行動に出おったな

直感で動いたか

ムハハ 何じゃ貴様もこっち側か
童(わっぱ)信よ 己で気づいておるまいが

貴様 本能型の武将の才が目覚めてきておるぞ

‥‥しかし 王騎の矛を受け取った男が本能型とは
笑えるわィ)」


‥‥と罠に嵌まりながらもどこか嬉しそう。


そして函谷関での戦いも序盤から大ピンチです。

ドヤ顔で函谷関の屈強さを演説していた
張唐将軍の前に、巨大井闌車の梯子がかかります。
顔面蒼白の秦兵たち。

2台目が桓騎将軍の持ち場に梯子がかかったところで、
さすがは桓騎。
咸陽の備蓄庫からちゃっかり盗んできておいた
油の樽を井闌車にぶつけまくり、
仕上げに火矢を放って余裕の撃退。
うーん、鮮やか!


そして26巻のメインは
騰 VS 臨武君。
珍しく録嗚未にもスポット当たってます。
蒙恬に、

🔴蒙恬 : 「(残党だと甘くみていた
かつてのあの軍の中にあって"最強"と言われた男
王騎軍 第一軍長 録嗚未の名は
伊達ではなかったーーー)」

とまで言われ、
録嗚未最大の見せ場か?!
と期待がふくらみますが、
やっぱり臨武君は強かった。


ことごとくあの髪型をイジられまくっている臨武君、
何となく性格的には悪い奴ではなさそうな気がする。

大国・楚において将軍になるということは、
土地の狭い他の六国で将軍になることとは
競い合う人口の数が違いすぎてレベルが違う、
とか何とか、
"楚"にこだわりすぎて過信し、他国の将を侮ったところが敗因ではありましたが、

基本的には部下に慕われ、優しく、嫁思い(白翠・白麗姉弟、美しすぎでしょ)な人物像だった気がします。

確かに、広大な面積の楚国では、
他国に比べて人口が違いすぎるし、
そこで将軍になるには相当な場数を踏まなければなり得ないという凄さはある。

楚は長年戦いの中心を南側の蛮族を相手にしていたということからも、
国が広い故に隣接する国が多く、迂闊に他国を攻めることができないというデメリットからの
事情なのでしょうか。

その分、中華を自由に行き来することができない国とも言えるし、
騰が言うように

🔴騰 : 「お前は修羅場をくぐってきた己の力に絶対の自信があるのだろうが
私には
中華をまたにかけた大将軍 王騎を
傍らで支え続けた自負がある」

‥‥と王騎と共に中華を掻き回した騰は、
ある意味では臨武君よりも
"くぐってきている"男と言えるでしょう。

まさかあんなに強いとは思わなかったけど。
(しかも剣で!)


しかし蒙恬は相変わらず地味にいい仕事しますねー!


次巻へ続く。




【メモ】
⭕おまけマンガ「軍師学校のホープ」

キングダム 25巻 「迫り来る合従軍」

*ネタバレあり*

キングダム 25 (ヤングジャンプコミックス)

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えらいことになってきました。

大国・楚が秦に侵攻して来るという
最悪の展開になってきたかと思いきや、

魏・趙も動き出す。

さらに燕や韓も攻めてきて‥‥

かつてない衝撃の大展開、25巻です。


【あらすじ】
楚が侵攻してきたという報せを受け、
戦慄が走る政や文官たち。

一方前線では、
あらかじめ楚の怪しい動きに備え
南部防衛を任されていた"蒙武"、"張唐(ちょうとう)"の2将軍が、
秦国南部の防衛線の位置へ急いでいた。

楚軍より早く到着せねば本格的に侵攻されてしまうという状況の中、
現実的には楚軍が防衛線を抜ける方が確実に早いという見通しに蒙武や張唐が焦っていた頃、

南虎塁付近であらかじめ張っていた
王騎残党軍・騰の隊が楚軍の前に立ちはだかる。

5万人の楚軍に対し、5千人の騰軍だったが、
今は一刻をかせぐことが何より重要だと騰は楚軍へ向かって行く。


その頃、信たちも楚軍侵攻の報を受け、
対戦の地へ向かっていた。

しかし、その道中で10万を超える"魏"の大軍を目撃する。

急いで対魏の防衛拠点の城へ向かうと、
すでに城は落とされた後。
信たちは、"国が侵攻される"という恐怖を
肌で感じ始める‥‥。


そして咸陽では、続々と新しい情報が寄せられていた。
タイミング的にみて、"楚"と"魏"が連動していることは間違いなく、
更に"趙"が侵入してきたという報が入り、
政は、これは三国が同盟を組み合った
"三国連合軍"だと身構える。


その時、更なる急報が入り、
"燕"12万の軍、
続いて
"韓"5万の軍
の侵入が確認された。

加えて
"斉"も大軍を興し、現在趙を通過して西に向かう気配あり、という報せまでが入り、

事を察した首脳陣全員の顔から血の気が引いた。

国連合軍どころか、
これは、敵一国に対して複数の国が盟を結び興される連合軍・"合従軍(がっしょうぐん)"だった。

中華の国全てが秦一国を滅ぼすために
侵攻してきたのである。

秦の中枢を担う臣たちの殆どは絶望し、
もはや放心状態に。
昌平君と昌文君だけが対応策を講じ汗をかいていた。

脱け殻のように思考を止めていた臣下たちに対し、政は檄を飛ばす。

ここ中枢にいる30人ほどが国の命運を握っており、
ここにいる者だけが対処を講じられるのだと。
絶対に諦めずに戦うぞ、と叫ぶ政に、
呂氏派の臣下までもが戦意を取り戻すのだった。




軍総司令・昌平君は、最悪の状況下の中、策を講じ始める。
まずは唯一まだ秦へ侵攻してきていない"斉"に目を付け、
現在も外交で東に遠征していた呂氏四柱・蔡沢に
"斉の合従軍離脱"を斉王に交渉するよう、託す。

そして蔡沢は斉王に謁見し、破格の金の提示と
外交力により、交渉を見事成立させる。


一方、前線の信たちは、
10万の魏軍に対し1万ほどの軍で応戦している
麃公将軍を目撃する。
対する魏軍の総大将は、かつて麃公が討ち取った
呉慶将軍の息子・呉鳳明(ごほうめい)。
飛信隊は麃公の援護に入り、魏軍と戦うが、
妙な陣形を取り始めた魏軍に策略の臭いを嗅ぎ取った麃公は、一旦退がるように指揮。
この日は両軍とも仕切り直しとなった。

飛信隊が麃公軍に加勢し、呉鳳明率いる魏軍との戦が4日目となった頃、
李牧率いる趙軍が呉鳳明のもとに訪ねてくる。
これにより、戦はここで中断され、
遠方に上がった砂塵に気づいた麃公は退却した。


その頃、咸陽で連日連夜策を講じ合っていた
昌平君らは、
やっとわずかばかり光明を感じることができる策を考えつく。
名だたる武将全員を咸陽に呼び集め、
その唯一の作戦を伝令した。


中華一の"不落の城"と呼ばれる咸陽は、
周囲を山岳に囲まれる"天然の要塞"。
咸陽に至るためには、大道をふさぐ
"国門・函谷関(かんこくかん)"
を越えなければならない。

此度の唯一の作戦とは、
秦軍の各将・各軍を集結させ、
"函谷関を死守すること"
それのみであった。

信たちをはじめ、
蒙恬・王賁らも函谷関の前へ集結。
秦軍は迫り来る合従軍に対し、構えの体勢を
とった。

そして合従軍が函谷関の前に到着。

◉合従軍総大将 : 楚軍・春申君(しゅんしんくん)
◉合従軍参謀役 : 趙軍・李牧(りぼく)

●楚軍(15万) ・・・総大将 : 汗明(かんめい)
●趙軍(12万) ・・・総大将 : 李牧
●燕軍(12万) ・・・総大将 : オルド
●魏軍(10万) ・・・総大将 : 呉鳳明(ごほうめい)
●韓軍(5万) ・・・総大将 : 成恢(せいかい)


これらを迎え撃つ秦軍の布陣は、


●函谷関配属(対魏・韓) ・・・蒙驁、張唐、桓騎
●函谷関右(対楚)) ・・・騰(3万)、蒙武(6万)
●函谷関右奥(対趙)・・・麃公(4万)
●函谷関左(対燕)・・・王翦(7万)


飛信隊は麃公軍に、
玉鳳・楽華隊は騰・蒙武の連合軍に配属された。


楚軍総大将・汗明が開戦の号令をかけ始めた
その時、
麃公将軍が突撃の号令をかけ、
大戦の口火を切ったのは
飛信隊属する麃公軍!

こうして紀元前241年、
合従軍 対 秦軍 ・函谷関攻防戦が開戦した。




* * *




"合従軍"なるものがあるとは
想像もしていなくて。

李牧の動きは怪しかったとはいえ、
まさか各国が協力し合って秦を潰しにかかるというどでかい話になるなんて、
思いもしなかった!

前巻の前フリから、
今巻の楚→魏→趙の侵攻発覚順といい、
恐怖の煽り方が秀逸で、
さらに
燕→韓→斉の侵攻の報が入ったときの
咸陽首脳陣の表情ときたらすごすぎました
(原先生の表情の書き分けは本当に上手くて
わたしがキングダムが好きすぎる要素のうち、
間違いなくかなりのウェイトを占めている)。
一緒になって血の気が引きましたよ。

敵対し合う国々ばかりの中華で
複数の国が盟を結び興される"合従軍"は、
長い戦乱の中でも一度しか起こったことがないといいます。

ていうか起こったことあったんだ!ヒィィ‥‥!

昌文君によると約40年前に斉がその憂き目に遭ったらしいのですが、
昌文君が当時も今も現役(文官とはいえ)なのがさりげにすごい。笑

今は小国の斉が、あんな大国だったなんて驚いたと同時に、(※53ページの地図参照)
"合従軍"は国をも歴史をも変えるという事実に
恐ろしくなる‥‥。

"普通に考えたら"、
絶対に勝てる訳がない。

一体どうなるのか、見当が全くつかない展開です。

李牧との会談ではあれほどの存在感を見せた呂不韋ですら、
今回は全く出る幕無しな雰囲気。

(呂)楚の怪しい動きは察しておった、そうじゃろ昌平君?

(昌)は‥‥しかし敵も対策を練ってきているようです

(呂)ぬん?

とか(笑)、

次々と各国の侵攻を報じてくる伝者に対し、

(呂)ええィやかましいのォ
今度は何じゃあ?

とか、
完全にもう担当外。
李牧との秦趙同盟の交渉の際、
信が自分や武人の出る幕が無いと感じたように、
今回はその逆ですね。
戦略に長けた昌平君ら文官の策と、
前線で戦う男達に全てがかかってます。

文官たちが連夜血眼で模擬戦を繰り返し、策を模索する中、
「ふあ」とあくびしながら涼しい顔で起きてくるあたり(115ページ)、
呂不韋のふてぶてしさ半端ない。笑


対する合従軍は、各国の総大将たちが作戦会議。
それぞれキャラ濃いですねー。
そしてこの合従軍を興すことになった理由を、
李牧が説明します。

李牧自らが提案した"秦趙同盟"により、
ここぞとばかりに"山陽奪取・東郡宣言"
を実行した、
秦の軍総司令・昌平君の実力を見誤っていたこと。

"山陽奪取"は秦にとって、
"中華全土の奪取"
に向けての
"何十手も先を見据えた上での詰みの一手"
であると読めたこと。

そしてこのまま放置しておけば、
魏国だけでなく中華全土が侵攻され、
秦もまた中華全土を侵攻しにかかってきている
という事実に
李牧と春申君の2人が気づいたこと。


これらの理由から、
秦が猛威をふるい出す前に各国で秦を潰しておかなければならない、
と合従軍は興された訳ですね。


こんな恐ろしい軍を興してまさに今から開戦、
という時に、
李牧の表情は複雑そうです。

前巻での信との勝負の際に見せた葛藤らしき
シーンといい、

もう少し李牧のキャラとしての背景が知りたいかなと個人的には思うところ。

キングダム連載前に、読み切りで掲載された時の主人公は李牧でしたから、
当然そのあたりの人となりの描写はそこで少なからずあったかと思いますが、

コミックスには未収録だし、
総集編の読み切りにも手を出せないでいる(ネタバレありという噂を聞いたため)わたしとしては、
もう少しだけ背景描写が欲しいところ。

実は数年前にTSUTAYAのDVDレンタルコーナーで、キングダムのボロボロの小冊子が置いてあって、
その中身が李牧読み切りでした(はず)。
その時出先でしかも急いでいたため全部読めずにここまできて、もはや今となっては悔やんでも悔やみきれない!

ヤフオクでも時々探すんですけどね。。


背景を知ることで、大分感じ方が変わってくるはずだもんなぁ。
‥‥コミックス派の嘆きでした。


次巻、いよいよ大戦です!



【メモ】
⭕かつて合従軍が興された時(約40年前)の内容
●総大将 : 燕・楽毅(がくき)大将軍
●敵国 : 斉
●目的 : 斉の列国への暴威を止めるため。
当時の斉は、"現在の燕の西半分・趙の東端・魏の東端・楚の東側の殆ど"
の部分を有する大国だった。
一番被害を受けていたのは燕だったため、
総大将は燕・楽毅大将軍に。
●結果 : 斉は、たった2城を残したのみで
他の全ての土地を失った。

⭕騰軍軍長・同金、楚の臨武君に一撃撲殺される。(泣)

⭕合従軍の総大将は、李牧ではなく楚の春申君。大国・楚の王は、色々と体裁を気にするらしい。

⭕春申君について
●"戦国四君"最後の1人。
●楚の宰相として、20年間国をまとめている。
●文官・武官問わず、中華全土の現役格付けで
頂点に位置する人物。
●口はめちゃくちゃ悪い。

⭕おまけマンガ「羌瘣 一人旅」

キングダム 24巻 「相国」

*ネタバレあり*

キングダム 24 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 24 (ヤングジャンプコミックス)

前巻で李牧が動き出しました。

と同時に、宿敵・龐煖の姿も‥‥!

王騎の時の9年に比べると、3年程度と短い(?)スパンでの前線復帰。

龐煖大キライなので、不吉な予感しかしない
24巻です。



【あらすじ】
秦が"山陽"の地を"東郡"と改め領地にした頃、
趙では李牧が燕への戦争を開始した。

"馬陽"での戦と同様、総大将は龐煖。

王騎を討った後、再び山中にこもり
武に明け暮れていた龐煖を呼び戻した李牧。
秦が山陽を獲りに出たことと同様に
秦趙同盟が活きているうちに背後の仇敵を討っておくつもりだろう、
と貂は予想していた。

趙軍・燕軍ともに10万を超える大戦は、
開戦後わずか半日で戦局が佳境に向かっていた。

李牧に対するは、燕国内にて唯一中華に名を馳せる大将軍・劇辛(げきしん)。

かつて戦国中期時代の英雄である、軍神楽毅(がくき)の戦を研究し、大将軍にまでのぼりつめたという、60年の戦歴を持つ怪物である。

金の力で燕に移り住んだが、元々は趙人だった
劇辛は、
そのまま趙に残っていれば、
あの廉頗の時代の"三大天"
の一席を掴んでいたと言われる程の人物だった。

劇辛は持ち前の読みで、李牧本陣を突き止める。

本陣を目の前にし、いざ李牧に攻め込まんとしたその時、
劇辛の前に龐煖が立ちはだかり、
何と劇辛は龐煖に一瞬で両断されてしまう。

たった1日で戦が終わり、
劇辛が討たれたという情報は各国に知れわたった。



一方、山陽東郡宣言に対する各国への影響対策として、楚国との国境周辺の警備を担当させられていた飛信隊は、
国境の向こう側で秦国を威嚇するために送り込まれた楚の軍とにらみ合っていた。

秦・楚ともに、現状での両国間の戦争は厳禁という命が出ており、
10日ほど同様の状態が続く。
すると楚の千人将・項翼(こうよく)が業を煮やし、飛信隊を挑発してくる。

単純な信は度重なる項翼の挑発に耐え切れず、
単独で項翼を攻撃。

思わぬ将同士の打ち合いが始まってしまい、
楚の千人将で項翼の仲間である弓使い・白麗(はくれい)が止めに入る。
飛信隊のメンバーも次々と駆けつけ
何とか打ち合いが止まり事なきを得るが、
信は、楚にも同世代の手練れ千人将が複数いる
ことを知るのだった。


その頃、王都咸陽。
色欲に狂う太后の後宮での権力により、
呂不韋陣営に寝返る有力者達が続出していた。

このタイミングを利用し、
呂不韋は丞相から"相国(しょうこく)"という
最高位の位に昇格する。

呂不韋の暴挙を止められなかった政陣営は、
かつて反乱を起こした政の弟・成蟜のもとへ向かう。

打倒・呂不韋に協力するかわりに、
幽閉されている成蟜一派全員を開放しろという条件で、
実は以前から成蟜は政に話を持ちかけていた。

呂不韋の暴挙に対し、今は成蟜の持つ公族の力が必要だと判断した政は、
3年間城に閉じ込めていた成蟜らを開放する。

数日後。
成蟜一派の力により、闇の人脈を持つ有力者達が続々と政陣営の協力者となる。

呂不韋が相国になったことを逆手にとり、
政は多くの有力者達を多く集め、
その権力を利用して
昌文君を"左丞相"に任命させることに成功。

空いていた丞相の席には、呂氏四柱である昌平君と李斯が就く予定だったところを、
見事昌文君が李斯の分の席を勝ち取ったのだった。


一方、
信達は楚との国境付近の警備の命が解かれ、
東の先端の城・東金(とうきん)を目指していた。

道中、傷だらけの子供に出会い、
"徐(じょ)"という小国を救いに入った信達は、
徐の国王からもらった秘密の地図に記された極秘ルートの途中で、
何と李牧の姿を目にする。

各国でも宰相レベルの者しか知らない極秘ルートの途中で李牧に出会ったという事実に、
只事ではない何かを感じとる信と貂。

李牧の目的を探りに李牧を追った信と貂は、
そこで李牧が密談の場を設けている場面に出くわす。

カイネに見つかった信は、趙兵に囲まれ
李牧と対峙。
秦趙同盟があるため、互いに手出し出来ない2人。

李牧は人払いをし、信と2人に。
信は、李牧に密談の相手は誰か、一体何を企んでいるのかと問うが、
当然李牧は答えない。

すると李牧は突然、
「一騎討ちで勝ったら、
私の悪巧みを教えてあげてもいい」
と剣を抜いた。

李牧の意図は掴みかねるも、
信は本気で李牧に向かっていく。

信は本気の一撃を李牧に返されたことで
改めて李牧に対し、
頭脳だけの男ではなく場数を踏んだ肉体派の武将の類でもあることを確信するのだった。


その後、信は無事開放された。
別れ際に、貂は李牧に問いかける。
密談の相手が、
秦国にとって最も最悪な相手だと予想するならば
それは楚の宰相であり、
もしそうだとすれば密談の内容は
"楚趙同盟"
ではないのかと。

李牧はそれには答えず、
信と貂に対し
「戦争の本当の恐ろしさを分かっていない」
とだけ警告し、去って行った。

その20日後、李牧は魏国の王のもとを訪れるーーー。



李牧の密会を目撃してから一ヶ月後、
信は、配属されていた東金城にて、
政の"おめでた"話を聞く。
そして咸陽では、向が政の子を身ごもったと聞き、昌文君をはじめお祝いムードに包まれていた。

信と貂が、政の子供が生まれることを喜び合っているところに、
突然敵襲の知らせが入る。

飛信隊や蒙恬が駆けつけると、敵襲ではなく
王騎残党軍・録嗚未と干央軍長がいた。
騰の指示により、趙を中心とした楚・魏一帯の不穏な動きを探っていたのだという。

魏国の静けさを怪しんでいた蒙恬は、
自らの勘が気のせいでは無いかも知れぬことに
不安を覚える。

その頃騰は楚との国境防衛壁・"南虎塁(なんこるい)"にいた。

騰の予感が当たり、
突然秦に楚軍が攻め込んでくるーーー。



* * *




初っ端から、不穏すぎる動きが始まりました。

かつての趙・三大天にもなり得たという
燕の大将軍・劇辛。

肩透かしなぐらいあっさりと逝っちまいました‥‥。

劇辛が弱かったのではなくて、
龐煖の強さが異常すぎるだけなのですが、
劇辛、死の間際の
「待っ‥‥」
発言は、かなりしょっぱかったです‥‥。


李牧が不穏な動きを見せ始める中、
信達は楚軍の若手千人将に出会います。

項翼(こうよく)

白麗(はくれい)。

項翼は口が悪くヤンチャなガキ、
白麗は気高く品のある中華3位の弓使い。
どちらも信と同世代で、
どちらもなかなかキャラ立ってます。

2人のボスっぽい将軍・臨武君(りんぶくん)も出てきますね。
白麗と臨武君がかわしていた会話、
「近いうちに秦軍と戦うってことね」
という発言、
何の前触れかと思わされます。


一方、咸陽でも急展開。

すっかり色情魔と化した太后が、
呂不韋の送り込んだ"快楽のお相手"・ロウアイに溺れ、
満足した太后は権力を活かして次々と呂不韋陣営に協力者を増やしていきます。

太后呂不韋との衝撃の姦通事件の時は、
かつての恋人同士という過去もあり、
気持ちの上での未練や情念もあろうかと
同情すべき点がなくもなかったのに、
今やただのエロババアと成り下がってしまっております。
このロウアイ、男根に車輪を通して回すというほど強靭な‥‥モゴモゴ。という男らしく、
たいそう太后はお気に召してしまったようす。

別に呂不韋じゃなくても‥‥良かったんですね‥‥。


陣営をふくふくと太らせた呂不韋は、
相国という位に昇格。
負けじと政陣営は成蟜と手を組み、
有力者を集めて昌文君を左丞相に昇格させます。
(昌文君、大出世!)

すごい展開になってきました。
あと、向ちゃんご懐妊!おめでとう!


一方、たまたま道中で李牧に遭遇した信。
信はまだ何者かは分かっていませんが、
なんと李牧の密会の相手は
楚の宰相・春申君(しゅんしんくん)でした。

密談の内容が"楚趙同盟"だと予想する臨武君に対し、
春申君は
「李牧を甘く見過ぎだ」
と答えます。

貂の"最悪の想像"をも超える何かが、
確実に動きだそうとしている‥‥、
何だかモヤモヤした展開になってきました‥‥。

李牧が何を思ったか、
信に対決を挑み、
勝てたら内容を教えてやると言い出したのにも
大きな訳がありそうな気がする。

🔴李牧 : 「もし見事に殺せたら
私の悪巧みそのものをつぶすことができますよ」

と言い出すあたりも、
これから起こる大事に対し、
李牧自身少しの迷い(本当にかすかではあるけれど)があったのかも。

そういう李牧の葛藤のようなものは
はっきり描かれてはいませんが、
時折挟むカイネの表情などから、
彼女はそれをよく分かっているんだろうなと
感じます。

そして終盤では、ついに楚が動き出します。

次巻、どうなる?!




‥‥最後に。
118ページの扉(信が寝ぼけて貂の体をまさぐってるやつ)、イラネー!!


【メモ】
⭕始皇6年、向ちゃんご懐妊!
政19歳、向ちゃん16歳(〜15歳)ですね。

⭕李牧、燕の劇辛を破り、
楚の宰相・春申君との密談後、
魏王のもとへ現れる。

⭕おまけ1コマ「大スクープ!!」
おまけマンガ「陽ちゃん向ちゃん 〜アダルト編〜」

キングダム 23巻 「論功行賞」

*ネタバレあり*

キングダム 23 (ヤングジャンプコミックス)

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対魏戦が終わり、
論功行賞に
羌瘣との別れと
貂との再会。


新生飛信隊スタートの23巻です。




【あらすじ】
戦の敗北と終結を宣言した廉頗。

攻撃の要であった中央軍の輪虎を失い、
介子坊の散らばった左軍は、山中で桓騎を見失ったまま分散している状態という魏軍に対し、

秦軍は万の軍をほぼ無傷で保ったまま
山城で様子を伺っている王翦軍を残している。

さらに魏軍本陣を落とした桓騎軍の存在、
続々と崖下から駆け上がってくる秦軍の兵の数を考慮し、
廉頗はこの戦がもう"詰んでいる"と判断。

介子坊や魏兵らは、
目の前にいる蒙驁を討ち取って戦局を五分に持ち込もうと荒ぶるが、

全体の戦況を冷静に見極めることができる
廉頗だからこそ、
何より魏軍のことを考えるならば
"全滅"の憂き目に合うことだけは回避せねばならない、という思いからの決断だった。

そして廉頗は蒙驁に"和睦"を申し入れる。
魏兵への一切の攻撃を禁止し、
山陽一帯の住民にも手出しさせぬよう
蒙驁に認めさせる。
これをもって戦の終結となり、
秦軍の勝利が決定した。


そして廉頗は去り際に、信の前へ現れる。


王騎の矛を受け継いだという信に対し、
本気でかつての六将・三大天を超える
大将軍を目指すのであれば、
これまで六将や三大天が成し得なかった大業・
"中華の統一"
をやってのけ、伝説の塗り替えをしろと発言。

信は、政の目指す王の道と
自分の夢が初めて重なり合ったと感じ、
廉頗に
「中華統一で俺らがあんたらを超えた証だ」
と宣言するのだった。


戦が終わり、飛信隊はひと月かけて帰路についていた。

その道中、
戦での負傷により長らく寝込んでいた羌瘣が回復。
戦が終わったら仇討ちの旅に出ると決めていた羌瘣は、
仲間たちに見送られながら、
趙を目指し旅立って行った。
〈羌瘣、飛信隊を一時離脱。〉


そして後日、王都咸陽にて
魏戦の功が評価される式典・
"論功行賞"
が開かれる。

第一功は、勝利を導いた蒙驁将軍。
第二功は、魏参謀(玄峰)と総大将(白亀西)を討ち取った、桓騎将軍。

そして第三功には、魏軍主攻の将軍(輪虎)を討ち取った信が選ばれる。

信は、褒美を授かるとともに、めでたく正式に千人将へ昇格することが決定。

式典の後、改めて政と2人で"中華統一"の目標に向け、気持ちを新たにするのだった。


3ヶ月後。
千人隊となった飛信隊は、甲冑も新たに息巻いていた。

しかし、羌瘣が抜けた後の飛信隊は連戦連敗。
軍師の役割を担っていた羌瘣の抜けた穴は致命的に大きく、
信は千人将権剥奪の危機にさらされていた。

そんな折、飛信隊の不調ぶりを耳にして心配した蒙恬が、様子を見にやってくる。
苦戦している飛信隊の現状を知り、
蒙恬は魏戦で祖父・蒙驁の勝利に貢献してくれた信へのお返しとして、
とびきりの軍師と認める弟・蒙毅を紹介してやると協力するのだった。


数日後。
蒙恬の手配により、飛信隊のもとへ軍師が到着。
蒙恬の弟・蒙毅が来るものとばかり思っていたところ、
到着した軍師は何と貂だった。

蒙毅に別の任務があったため、代理の者として選ばれたのが貂だったのである。

信は突然の再会に驚き、更に成長した貂が
女であることを明かされ驚愕。
そして隊の殆どが小娘軍師である貂に対し、
拒否反応を示すのだった。

そんな時、飛信隊に恨みを持つ魏軍が突然攻め込んでくる。
魏との戦で、輪虎率いる中央軍に配属されていた
兵の生き残りが揃った手練れの軍であり、
軍師・氷鬼の頭脳もあって格が違う強さを見せていた。

貂に軍の指揮を任せる気になれない信は、
今まで通りの指揮下で応戦するが、
またしても隊は危機に陥り、
仕方なく指揮を貂に代わることに。

貂は地形を利用し、巧妙な戦術で次々と魏軍を討ち取っていく。
そして隊長である信を囮に使う大胆な作戦が成功し、飛信隊に久々の勝利を導いた。

貂の実力を実感し、隊の貂に対する態度は軟化。
貂は能力を認められ、ようやく飛信隊のメンバーに受け入れられたのだった。


その頃、趙国王都・邯鄲。
李牧が動き出す。



* * *



対魏戦、終結です。

廉頗の存在感はすさまじかったなあ。。。

戦は秦軍が勝ったけど、改めて読み返してみても
廉頗が"負けた"とは思えないし、
蒙驁が"勝った"という実感もない。

廉頗も蒙驁に、

「どういう形にせよまんまとやりおったな‥‥」

と言っているように、
蒙驁の力を認めたというよりは、
配下頼みの蒙驁の粘り勝ち、といった感じ。
(個人的にはまさかの一騎討ちを望んだことで蒙驁のたぎる想いはものすごく伝わったけど)

廉頗の言ったように、
最終的に戦は詰んでいて、
あの段階から魏軍の巻き返しは相当難しかったのは事実なのでしょうが、

廉頗と介子坊がいればあの場は何とかなったのではという気もしてしまう。

和睦の内容は勝者が決めるのが普通なところ、
「譲歩してやってるのは儂の方」
と言って廉頗が和睦の内容を全部指示しているあたり、
やっぱりやろうと思えば何とでもなったのかもな、と。

廉頗なりに思うところがあったのでしょうね。
まあ、魏王への義理もありますしね。
魏兵を犠牲にさらすリスクも含めた判断でしょう。

結局反撃にかからず敗北を認め、
冷静に和睦を申し入れたのは、

信から王騎の最期を聞いたことにより
あれだけ拒絶していた"時代の流れ"を廉頗なりに受け入れることで、
ある意味において火が消えてしまったのかもしれないな、と感じました。


廉頗の存在感がすごすぎて
秦軍勝利の実感が無いとつらつら書きましたが、
この戦の勝利は、
信の輪虎撃破と
何より蒙驁軍のツートップ・王翦・桓騎の功が大きかったので、
この2人を従わせている蒙驁の力には当然違い無いです。

とにもかくにも、
中華の拠点地の中でもかなりの価値があるという
"山陽"
の地を秦国が手にしたことは、
この後の展開に大きく影響を及ぼすことになります。



‥‥しかし最後まで廉頗が蒙驁に一切興味ナシだったところが一貫していて切なかった。笑


"あまり儂らをなめるなよ蒙驁"発言から
戦•終結後の蒙驁スルーぶり。
(公式の和議にも代理を送るとか言われてるし)
信には興味津々なのに。笑
立ち位置的に、
蒙驁の思いは、報われないままなのですね。


そしてその後、廉頗は魏国を追放され(魏王の温情で死刑は免れる)、
楚へ亡命し、その生涯を終えるとあります。

ああ、もったいなさすぎるー!(泣)


そして廉頗が去ったあと、
信がやっと一息ついて蒙恬に担がれているところに壁が現れた時、
「あっ?! 壁のあ‥‥(んちゃん)」
と皆まで言えずぶっ倒れるシーンは
地味にほんわかしました。
壁の兄キャラ、健在です。



一方、
いよいよこの時が来てしまいました‥‥
羌瘣、一時離脱です。

別れ際の落とし穴のところ、よかった。
羌瘣の目が潤んでいるのがじんわりきます。


もう既に寂しい!早く帰ってきて!(涙)


そしてその後の飛信隊、まさかの大苦戦。
軍師の役割をも担っていた羌瘣がいなくなり、
一勝もできなくなる始末。

昂(こう)くんが、
羌瘣が抜けたのが大きいんじゃないのかなと
指摘していることに対し、
信ときたら

🔴信 : 「ざけんな昂 これまで羌瘣が一人で武功あげてたわけじゃねェんだ
あいつ一人抜けたからって戦力がそこまで無くなるかよ」

とか言ってますが、
羌瘣がいなかったら何回全滅してたことか!
って場面いくつもあったっつうの‥‥。



そして蒙恬のはからいで軍師の斡旋。

貂が信のもとに軍師として帰ってきます。


正直、特例とはいえ軍師修業終わるの早くね?!
(一回休みもらって帰ってきてたけど、
合計2年強ぐらい?)
と驚いたのと、

まだ羌瘣がいなくなった寂しさを消化できていないうちからの
鮮やかなヒロイン交代劇に、
わたしは軽いショックを受けてしまいました。笑


ここからは少し余談になりますが、
わたしはキングダムに恋愛要素は全く必要ないと思っていて、
男たちの戦いに胸を熱くし、時には涙しながら夢中に読み進めてきました。


青年誌なので色付けとして必須要素であるとは思うのですが、
そんなん絡めなくていい!
とかたくなに思っていました。


2012年の夏にキングダムのガイドブックが発売されているのですが、
そこに原先生の"キングダム制作裏話"的なロングインタビューがあり、
ヒロインの初期構想についてなどが色々と書いてあったのです。
それを読んでからはわたしも
"キングダムのヒロイン"
について、考えるようになってしまいました。

でも
23巻発売時は2011年の夏なので、
その1年後に出る公式ガイドブックの感想については、そのあたりの後(26,27巻あたりかな?)に改めて。


ひとまず、ガイドブックの話は置いといて、
とにかく23巻で羌瘣が旅立ってしまってからは
想像以上に寂しくてたまらなかった!


だから貂が帰ってきたとき、
あんなに可愛かった貂のことを、
あんなに健気だった貂のことを、

"オマエジャナイ感"

いっぱいの心で出迎えてしまったことは
否めません。。。(哀しい)


貂、好きなのに‥‥
貂、好きだったはずなのに‥‥
初期は貂にあれだけ癒されたというのに‥‥
やっぱり苦楽をともに過ごしてきた羌瘣に
思い入れがありすぎる。
14巻とか、22巻とか、、、!


とりあえず軍師としての適性は認められた貂、
今後は(いろんな意味で)さらなる飛躍が必要ですね。


【メモ】
⭕〜飛信隊 月日の経過メモ〜
●魏戦後、1ヶ月かけて故郷へ。(羌瘣離隊)
〜論功行賞。
●論功行賞より3ヶ月後、軍師•貂入隊。
●貂加入後、10日で里井(りせい)の地平定。
●その20日後+3日後、山陽へ軍•部隊•文官が集う。
軍総司令•昌平君、山陽の地を"東郡"と名称を改め、秦人を移住させる計画を発表。
●この時"始皇5年"=政 18歳。

⭕李牧、燕へ攻め込む準備。

⭕おまけマンガ「山陽戦の後日談」

キングダム 22巻 「あの時代」

*ネタバレあり*

キングダム 22 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 22 (ヤングジャンプコミックス)


↑ この表紙を最初に見た時はめちゃくちゃショックでした。。。

めっちゃ死ぬフラグ立ってる羌瘣に、
ドキドキし過ぎて読み進めるのがすごく怖かった。

ここまで読んできて、
ある意味1番緊張した巻かも知れません。

もはや秦魏の戦の勝敗よりも、
わたし的には
「羌瘣が死ぬか否か」
が、最重要事項になってしまっていました。


信と輪虎の戦いにも決着がつきます。

この対決は、信の今までの一騎討ちの中で
最熱でした。

ラストの蒙驁 対 廉頗 戦も、
熱すぎて、熱すぎて。


22巻はわたしにとって、今でも特別な巻です。


早く感想を書きたいので、あらすじから追っていきますね。


【あらすじ】
廉頗が蒙驁の砦の罠を次々と突破していき、
本陣に迫ろうとしていた頃、

信と輪虎の一騎討ちも大詰めとなっていた。

また、信 率いる飛信隊の奮戦に呼応し、
他の秦軍の隊が奮起したことにより、
輪虎が引き連れてきた魏兵の進撃が食い止められていた。

秦軍の士気の源がまぎれもなく信であることに、
輪虎は信が持つ
"人をひきつける力"
を感じる。

廉頗の待つ蒙驁本陣へ急ぎたい輪虎は、
信を仕留めにかかる。
馬上で股(もも)を刺された信は、
輪虎を馬から引きずり下ろし、地上戦に持ち込む。

雨が降り出し、ぬかるみの中で激しい戦いが続いた。

その時、
激しく打ち合う2人の間に、魏軍・魏良(ぎりょう)が割って入ろうとする。

魏良の動きに気づいた楚水が咄嗟に魏良を斬り、
顔を上げた先に輪虎が立ちはだかっているのを目にしたとき、

瞬間的に沸き起こった楚水の強烈な殺意に対し、
輪虎は反射的に楚水を斬った。

己への注意が外れた一瞬の隙を信は見逃さず、遂に輪虎に致命的な一撃を与える。

しかし、輪虎は致命傷を負いながらも
廉頗への強い思いから再び立ち上がる。

幼き頃、戦火に巻き込まれた小さな村で死にかけていた輪虎は、天の計らいで廉頗に拾われ、命を救われたと信に話す。

それからこれまで廉頗のために
"天が出会わせた廉頗の剣"となり戦ってきたという輪虎に、
信は
自分は天任せではなく自分の足で立ち、関わった者の思いを背負って前に進むと返し、
「お前と戦ったこともでっけェ糧にしてな」
と言い放ち、遂に輪虎にとどめを刺すのだった。



死闘の末、とうとう輪虎を討ち取った信。

戦いながら輪虎の思いを受け、感じ入るところがあった信は、首を落とす気分になれず立ち尽くす。

信の感情を察し、副長・渕(えん)は首を落とさずとも輪虎の死が広まるよう、触れ回ってくれる。
一方、輪虎に斬られた楚水も、致命傷には至らずに済んでおり、
飛信隊はようやく一息ついていた。

その時、竜川が、羌瘣ら怪我人を予備隊として残してきたあたり一帯の人影が全く無いことに気づく。

実は輪虎もまた別働隊をあらかじめ用意しており、
しかもその別働隊は、四天王筆頭将軍・介子坊の私兵500人であったと魏兵から聞いた信たちは、
急いで羌瘣たちのもとへ向かう。

予備隊たちのもとへ着くと、そこには大量の死体の海が広がっていた。
敵味方ほとんど息のある者が残っていない中、
介子坊兵と思われる巨体の死体が山のように転がっている中で、
羌瘣は1人立っていた。

信は駆けつけ、羌瘣を抱きかかえる。

羌瘣が生きていることに安堵する飛信隊のメンバーたちだったが、
激しい戦いの中、いつも顔を覆っていたハチマキが取れ、ところどころに服が破れた状態の羌瘣の姿を見て、
羌瘣が女であることを知る。

尾平ら昔なじみの仲間ですら気づかなかった真実に、一同は驚きを隠せなかったが、
信は羌瘣の戦う理由を皆に語って聞かせ、
理解し受け入れた飛信隊のメンバーたちは
今後は女として羌瘣を守っていくことを誓い合うのだった。


一方、蒙驁本陣。
数々の罠を仕掛けて備えていた砦が
ついに全て廉頗に突破され、
蒙驁は廉頗と40年ぶりに対峙する。

脱出を促す配下たちに、蒙驁は今度ばかりは退かぬという意志を示し、
廉頗と一騎討ちの姿勢。

蒙驁は、40年の熱き思いを込めて廉頗と戦うと宣言。
さらに、今の廉頗にはその激情を受けきる程熱きものはないだろう、と挑発する。

蒙驁が腕力で廉頗に敵うはずがないと、
誰もが思っていたその時、
両者の打ち合いが始まった。

蒙武の父である蒙驁の体躯は、単純な膂力(りょりょく)だけなら廉頗にひけをとらないと思わされるほど巨大であり、
その体から廉頗への積年の思いが込められた一撃一撃は、
廉頗を含め誰も予想しなかったほどに重いものであった。

蒙驁の攻撃により、廉頗の馬の足が折れたその時、
蒙驁はとどめを刺しにかかる。
しかしその時、廉頗は折られた足場をものともしない強烈な一撃を蒙驁に浴びせ、
蒙驁は馬の首もろとも左腕を吹き飛ばされてしまう。

絶体絶命の状況となった蒙驁。
廉頗は、
六将亡き後に自らの火が消えたことを認めるが、
だからといって全身全霊をかけて六将達とぶつかり合った黄金の時代を戦い抜いた自分を、
"思い"だけで倒せると思ったのか、
と蒙驁を罵倒する。

蒙驁は、廉頗が戦場に戻ってきた本当の理由は、
"王騎が討ち取られたことに対する憤り"
ではないのかと指摘。

時代の流れにより、新しく台頭してきた
まだ無名の李牧や龐煖に、
共に激戦を繰り広げてきた六将・王騎が討ち取られてしまったことが許せないのであろう、と。

廉頗は時代の流れなどクソくらえだと言い、
「強者は戦場に出たら老いようが病に伏せようが勝つのが鉄則」
だと王騎を批判する。

廉頗の話を聞き、
蒙恬と共に本陣に駆けつけていた信は
いきなり廉頗に食ってかかる。

輪虎の剣を投げつけて名乗った信。
輪虎の死を知り、激怒した廉頗の一撃を受ける。
受け止めるだけで必死の信に、
廉頗は更に一撃をくらわせる。

その時、蒙驁が廉頗に向かって
「信は王騎の最期に居合わせ、
王騎の矛を受け取った人間だ」
と叫ぶ。

廉頗は手を止め、信に王騎の死に際の様子について問う。

信は、
「王騎将軍は、強者が次の強者に討たれて時代が続いていく乱世を面白いと言い、
笑って逝った、
その姿は誰もがあこがれる天下の大将軍の姿であり、
堂々たる英雄の姿そのものだった」
と答えた。

その時、介子坊将軍が兵を引き連れて乱入してきたことで、
突如乱戦になる。
と同時に、魏軍本陣が落ちたという知らせの狼煙が上がった。
玄峰を討った後、行方知れずとなっていた
桓騎将軍が白亀西を討ち取ったのだ。

狼煙を見た介子坊は、蒙驁を討ち取って戦局を五分に持ち込もうとするが、
そこで廉頗は突然

「止めじゃ 帰るぞ」

と叫ぶ。

秦魏軍共に呆気に取られている中、廉頗は

「儂らの負けじゃ」

と宣言するーーー。



* * *



対輪虎戦、ついに決着です。

輪虎の廉頗への強い思いには、敵ながら
グッときてしまった。

でも信の将軍への野望にかける思いは
同じぐらい、それ以上に強くて。

輪虎に股(もも)を刺され、圧倒的不利な状況のはずの信が、
片脚の状況も漂と特訓済みだと言い、
「無問題!」
と立ち上がる姿に、

🔴輪虎 : 「しぶとい‥‥ 何だ
この異常な程の精神(こころ)の強さ‥‥
何が彼をそこまで支えている‥‥」

と輪虎は解せない様子ですが、

信はきっと2人分の野望を背負っているから
強いんだろうな。
勿論それだけじゃなくて、
後の信の言葉にも出てきますが、
いろんな思いを背負っているからこその
強さ。
王騎に教わったことでもあり、
信は自然にやってきてもいる。
でも根本的には、
漂がいつもそこにいるから、
簡単に精神が折れることはない、
折れる訳にはいかない。
そんな気がして、何だか泣けます。

21巻で栄備将軍が予報していた通り、
このあたりから雨が降り出してきて、
ぬかるみの中での更なる死闘が続きます。
この雨は22巻中ここから最後まで降りつづけるのですが、
この雨の演出が本当に活きるし沁みる。

原先生が何故この戦いで雨を降らそうとしたのか、その真意は勿論分かりませんが、
この雨の演出は絶妙だった。
何回読み返してもそう思います。

話を戻しまして。
天が、天が、と言う輪虎に対し、
ここで信の名言が出ます。
(第231話 57〜61ページ)

🔴信 : 「下らねェ
さっきから聞いてりゃ
それじゃまるで全部が天任せみてェじゃねェかよ

そうじゃねェだろ
俺達はみんな てめェの足で立って戦ってんだ

‥‥今のお前だって
廉頗の剣であるべく命がけで戦いまくってきた結果だろうが

だけど
出会いが重要だってことは分かる‥‥
お前が廉頗に出会ったってんなら
俺だって 廉頗以上の大将軍になるはずだった男に出会い
そいつと共に育った

俺に夢をくれたそいつは‥‥
早々と死んじまったが 代わりに‥‥
俺はまたとんでもねェ奴と出会った

それからかけがえのねェ戦友達と出会い別れ‥‥

俺の道の現実的な"指針"となる人にも会った

それが偶然じゃねぇって言うなら
そうかもしんねェが
天とか何とかうわついたもんは考えねェ

俺は関わった奴らの思いを背負って
前に進むだけだ
自分のこの足で
輪虎 お前と戦ったこともでっけェ糧にしてな」


🔴輪虎 : 「ハハ 言うね でも死ぬのは君だから」

「(君の言う通り出会いは運命で
そこから先は自分次第さ
ただし天の起こす奇跡も必ずあるけどね‥‥

殿‥‥
昨年 王騎が死に 李牧という大物が現れた
秦軍にも若き力達が芽吹こうとしている

時代はやはり
次の戦乱の世へ移ろうとしています

ひょっとしたら殿が亡命し前線から退いたあの時‥‥
僕の役目は終わっていたのかも知れませんね

それでも今ここで戦っているのは
これもまた天の計らいか

信‥‥
君もまた深く‥‥)」


この言葉の続きは何だったのでしょう。
信に一目置いていた輪虎だったから、
「君もまた深く "天に寵愛されている"」
と思っていたのかな‥‥。
この後輪虎、信によって討たれます。


輪虎戦が終わって、次は羌瘣の生存確認。
(はわわ‥‥。)

視界が遮られるほどの大雨の中、
大量の死体と血溜まりの真ん中に羌瘣が立っていました。
(よ、よ、よかったー!!!)

ていうか、羌瘣すご過ぎでしょ?!
予備隊は怪我人ばかりで200人、
戦力はほぼ羌瘣のみの状況で、
あの介子坊兵500人を"ほぼ1人で"壊滅させたって、、、!

負傷であんなにしんどそうだったのに、
巫舞の呼吸の制限だっていつもより短かっただろうに、
まさかの生存!!!

絶対信より強いですよね?笑
ていうか、他の誰にもこの所業ムリでしょ!!


なにはともあれ、
羌瘣が生きていてくれたことが本当に嬉しかった。
象姉の仇も討てる。
ホントに良かった。。。


あまりに心配しすぎた反動からか、
この22巻からわたしは完全に"羌瘣推し"
になってしまいました。笑

飛信隊の皆にも、ついに女とばれてしまいましたが、
田有さんだけはやっぱり気づいてましたね。(14巻参照)
そして羌瘣の過去を知り、受け入れた仲間たち。
尾平がいいこと言っちゃってます。
飛信隊の絆、固し!
‥‥ていうか、こんな小柄な美少女(16歳)を
どうしたら男と思えるのか‥‥笑


そしてラストは蒙驁 対 廉頗です。

わたしもまさか蒙驁が一騎討ちに出るとは思わなかった!
絶対に勝てる訳がないと思ったし、
実際に正直無理があった。(スミマセン)

廉頗に見開きで

🔴廉頗 :「あまり儂らをなめるなよ 蒙驁」

と言われた時は、
ゴメンなさい!!と謝りたくなったほどであります。

やはり廉頗は強すぎた。
めちゃくちゃ頭いいし、
めちゃくちゃ戦上手だし、
めちゃくちゃ"漢(オトコ)"!

どでかい落石の罠にも、左のこめかみ上ぐらいに傷を負った程度で済んでました。笑

そして
信が王騎の矛を受け取ったと聞き、
王騎の死に際の様子を問うた後、
信の答えを聞いて空を仰ぐシーン。

🔴廉頗 : 「‥‥フッ 全く‥‥

(どいつもこいつも自分勝手に先に行きおって‥‥)

雨が涙にも見え、涙が雨にも見えるこの廉頗の表情に、切なくなりました。


王騎の死に際の真実を知った廉頗は、
魏軍本陣が落ちたことも含め、
戦の終わりを告げるのでした。



【メモ】
⭕いつもだけど、22巻のモブ兵たちの表情が秀逸すぎる。

●雨が降り出す見開きシーン
●輪虎が討ち取られた時の輪虎兵
●廉頗が迫り、蒙驁に脱出を促すも
「退かぬ」と言われた後の配下たち(特に左端の人)
●廉頗が現れた時の秦兵たち
●廉頗と一騎討ちをしようとする蒙驁に向かって目をひんむく兵たち

挙げればキリがないけど、
こういうところがキングダムの魅力のひとつ。

⭕おまけマンガ「向のキズ」

キングダム 21巻 「将器」

*ネタバレあり*

キングダム 21 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 21 (ヤングジャンプコミックス)


対魏戦もいよいよ佳境。

●信 対 輪虎
●王翦 対 姜燕
●蒙驁 対 廉頗

それぞれの持ち場での戦がどれも熱いです。

信は本当に輪虎に勝てるのか?

蒙驁は40年越しの勝利を掴めるのか?

そして羌瘣に立ったフラグはどうなるのか?

ハラハラの21巻です。


【あらすじ】
王賁とともに、輪虎と激しく打ち合う信。

2人を相手にしても輪虎には全く隙が無く、
戦いの最中信は右腕を深く斬られてしまう。
王賁も前回の輪虎戦で負った傷が深く、動きが徐々に鈍くなっていく。

信は、意識が飛びそうな域に達しかけるが、そこから何度も這い上がることで己の限界を越えようとしていた。

剣を交えるごとに重みを増して行く信に、
輪虎は信の変化を感じ取る。
そして信の一撃がついに輪虎をとらえ、
輪虎の左手の2本の指と馬の脚を奪った。

打ち合いが長引くほどに魏兵に包囲されてゆく
状況の中、
輪虎との対戦を切り上げるタイムリミットが来る。

玉鳳隊が作ってくれた退路をくぐり抜け
信と王賁らは脱出に成功し、
輪虎との決着は翌日に持ち越しとなった。

その頃、左軍の将・王翦は、
自軍に配属された隊の中でも軍略の読みに優れた壁に目をつける。
そして壁隊に兵を与えて5000人の将にし、姜燕と対決させる。

地形の利を活かして姜燕を討つように任された壁だったが、
姜燕の急襲に逢い、窮地に陥ってしまう。

なす術なく硬直する壁のもとに、
狙っていたかのようなタイミングで王翦が現れる。

全ては、壁を囮にしてあえて姜燕に急襲をかけさせ、魏軍優勢と見せかけておいた王翦の計略だったのだ。
そして姜燕を追い込んだ王翦は、姜燕の能力を買い、自分の領土(くに)に来て側近になるように提案する。

その時、
崖上に廉頗が現れた。

何と、廉頗は王翦の更に上を行く読みで、
王翦の出方を完全に予測していたのだ。

両軍の数はほぼ同数。
土地の利は秦が掴んでいる。
しかし魏軍は廉頗大将軍の出現により
士気は最高潮。

軍略家にとって最高の材料が揃ったこの条件で、廉頗は王翦がどう出るかを試していた。

しかし王翦はあっさり退却。

廉頗と姜燕は後を追うが、
その先にあらかじめ築城された砦にたどり着き、
王翦はそこへ退却した。

副将という立場でありながら
己を戦の最上とする挙動をとる王翦に対し、
廉頗は武将としての興味を失う。

王翦の見張りは姜燕に任せ、
廉頗は総大将・蒙驁を討ち取りに向かった。


その頃、輪虎との激しい対戦から帰還した信は、
まさに満身創痍だった。
特に斬られた右腕の傷は深く、発熱を及ぼしている。

信の傷を見た羌瘣は、行軍中にずっと集めていた薬草を調合して作ったという秘薬を、
信の傷に塗りこむ。
実は自らも負傷していた羌瘣だったが、
傷のことは気づかれないよう、
信とともに眠りにつくのだった。

翌日。
羌瘣の秘薬が効き、復活した信。

飛信隊はこの日後方に配属されるが、
輪虎は栄備将軍を討ち取り、本陣を目指して
秦軍を突破してゆき
遂には飛信隊の持ち場に現れた。

予備隊として羌瘣を含む負傷兵200人を残し、
信は兵を引き連れ輪虎のもとへ突っ込んでいく。


一方、蒙驁将軍のいる本陣では、
なんと廉頗が現れる。

秦右軍・桓騎は玄峰を討った後、介子坊に攻め込まれて身動きがとれぬ状態の上、
何より左軍の王翦が築城により後方深くまで
下がってしまったため、
秦軍本陣の背後を突かせてしまったのである。

二千人を率いて直々に蒙驁本陣へ乗り込んで来た廉頗に、
蒙驁は腹を括り、応戦の構えをとる。

40年の時間をかけて作り込んだ罠を張り巡らせた砦で、
蒙驁は廉頗を迎え討つーーー。




* * *




輪虎戦を通して、信が一気に成長していきます。

キングダムは青年マンガのカテゴリーかとは思いますが、少年マンガ王道の
"実戦でより力が引き出され、戦を重ねるごとに成長する"展開です。

輪虎と戦い、死闘を乗り越えたことで、
武将オーラもパワーアップしているもよう。
(羌瘣スカウターによる)

輪虎との打ち合いを目の当たりにし、
戦の中で成長していく信を見て、
今まで信を下に見ていた王賁も
多少考えを改めたかのように見えます。(※44ページ下の表情から)


一方、左軍の王翦軍に配属されていた壁には
いきなり大役が課せられます。

なんと、五千将として姜燕を討てとの命(めい)!

無茶な〜!
とヒヤヒヤしていたら、なんと壁は囮!(哀)
せっかく張り切って任務に就いていたのに。。。

しかし、姜燕の急襲に遭った時、
王弟反乱時の左慈との場面さながらに

🔴壁 : 「(体が‥‥ 動かな‥‥)」

と固まっちゃうところが壁ー!(泣)

王翦に利用されたのも、軍略に明るかったところを見込まれたから故ではあるけれど、
壁はそろそろ、肝心な場面では結果を出していかないといけないですよね‥‥!


そして廉頗出現シーンの迫力はなかなかでした。
ヌッハハハハと豪快に現れた天下の大将軍。

豪快・豪傑な将にしか見えないのに、
王翦のさらに上をいく軍才の持ち主であり、
(玄峰の功なのでしょうか)
あの李牧にも
「廉頗に正面から勝てる武将は天下に1人もいない」
と言わしめた人物です。

蒙驁と同じじィさんのはずなのに、
なかなかどうして‥‥かっこよすぎ。
若かりし頃はさぞかし男前だったんだろうなー。

情に厚くて、
酒を呑んだら泣き上戸なところや、
出陣前の景気付けの抱擁、
豪快な攻め中心の戦をするくせに、
軍略にも長けている‥‥
蒙驁曰く、
「開戦前は緻密な戦略を立てる"知将"となり、
始まれば戦局の推移を直感的に見抜く"本能型"にもなる」
そうな。

まさに天下最強の大将軍な気がする‥‥。

大丈夫か蒙驁‥‥。

そんな蒙驁は、40年間の間、大金を使ってまで廉頗の戦の情報収集をしたり、
時には自ら戦局を観戦に行ったりしていたとか。

廉頗に対して、
憧れに似たような感情があったのかもしれませんね。

一方、一手も二手も先を読む廉頗に対し、絶対に勝てる戦しかしない王翦はしれっと退却。

勝手に姜燕をヘッドハンティングしようとしたり、砦に引きこもってしまったり、
確かに他の武将たちとは一線を画す動きをする将軍だということは違いないようで。

危険思想ゆえに昭王の時代から日蔭に送られてきたと聞くあたり、
相当な訳あり将軍のようですね。

息子である王賁とも何らかの確執があるっぽい感じですし、(王賁が意識し過ぎている感じ)
今後そのあたりが描かれるのかどうかも
気になるところ。


さて、信ですが、
右腕の負傷に羌瘣の魔法の秘薬を塗って復活!
尾平たちもホッと安心。


栄備将軍が空を見上げ、

🔴栄備 : 「おー
今朝の雲は厚いな」

(空を見上げる信、羌瘣、兵たち)

🔴栄備 : 「今日は荒れそうじゃのォ」


と何気なく話すシーン(126ページ)がありますが、
何かの暗示に思えてハラハラする!
(そして将軍はその後すぐに輪虎に殺られちゃいます。。。)


そしてまた羌瘣に不吉なフラグ…。
目の下にもしっかりクマ出てるし、
脇腹から血もうっすら滲んできてたし‥‥。

羌瘣のケガを察している信が、
羌瘣を予備隊に残して輪虎のもとへ向かう時、


🔴信 : 「羌瘣 また後でな」


と言う時の間(ま)、
何だかこわい!


なぜならば‥‥26巻までは一気買いで読んだ
コミックス派のわたしは、
次巻・22巻の表紙をすでに見てしまっていたのです。

なのでここで信と別れるシーンは、
めっちゃくちゃドキドキして‥‥。


羌瘣、どうか死なないで!



【メモ】
⭕廉頗、王翦の戦い方にかつての六将・白起を思いだす。
⭕223話の扉絵、かっこいい。

キングダム 20巻 「曲者」

*ネタバレあり*

キングダム 20 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 20 (ヤングジャンプコミックス)


白熱の対魏戦、20巻です。

廉頗四天王、桓騎、飛信隊・玉鳳隊・楽華隊が暴れまくり、
息がつけない展開が続いてハラハラ。

そして
"つぶれ役"を自ら買って出た、
蒙恬にスポットが当たります。

このあたりから対魏戦が終わるまでの展開、
キングダムの数々の戦の中でも
1、2を争うほどドキドキしたくだりで、
今読み返してもすごい密度の内容だなぁ、と
感心します。

この濃さで週刊連載だなんて本当に信じられない。

頑張ってあらすじまとめよう。。。

では、続きからです。


【あらすじ】
第2陣として出陣した飛信隊の活躍により、
魏軍の勢いを止め、流れをつかむ秦軍。

しかし、魏軍の第2陣として出陣してきた
廉頗四天王・玄峰将軍の策にはまり、
緒戦は惨敗。
軍略家・玄峰の、盤上の遊びの如く戦場を操る戦術の前に、一方的にやられてしまう結果となった。

そして、
2日目は各所で激しい戦いが繰り広げられる。

まず、

●秦軍左軍・王翦将軍(兵 40000人)

●魏軍右軍・姜燕将軍(兵 40000人)

この両軍は一進一退の拮抗状況。
しかし、中華十弓のひとり・姜燕の矢による攻めの強さにより、王翦軍が押され出す。


そして、

●秦軍右軍・桓騎将軍(兵 30000人)

●魏軍左軍・介子坊将軍(兵 40000人)

桓騎は介子坊と正面から戦うことはせず、
虚をついて急襲してはすぐに退くという戦い方を繰り返していた。
更に、殺した魏兵の目玉や耳などを袋詰めにして介子坊に送りつけてくるなどの行為により
魏兵は恐怖心を煽られる。
元野盗だけにクセがありすぎる桓騎の戦い方に、
介子坊は悩まされていた。

桓騎に手こずる介子坊のもとへ、
廉頗の指示により玄峰将軍がやって来る。
桓騎と相性が悪い介子坊から、
一時的に将を玄峰に交代し、
一気に左軍の戦いを終わらせるのが目的だった。

玄峰は、地形と敵軍の配置などから桓騎軍の
本陣の場所を読み解き、
介子坊に攻め込ませる。

しかし、一方で桓騎は、伝者より
桓騎軍本陣が見つかってしまったこと、
敵将が軍略家の玄峰に代わったことを聞きつけており、
先手を打って魏兵に扮し、人知れず玄峰本陣に侵入。
虚をつき、見事玄峰を討ち取るのだった。


その夜、蒙恬が信の元へ訪れる。
2人は王賁のもとへ向かい、蒙恬は作戦会議を始めた。

蒙恬は、
玄峰が討たれたことにより、
翌日以降、魏軍が怒りに任せて動きを見せてくるであろうことを予想。

そして祖父・蒙驁の本陣を狙う輪虎が
廉頗四天王のうち最も危険人物であることを理解する蒙恬は、
その輪虎を討つためには個々の隊の力では不可能であり、
楽華・玉鳳・飛信隊の3隊で当たって先に仕掛ける必要がある、
と説明。

翌日、3隊は蒙恬の作戦に従い、輪虎を討ち取るために動き出す。

まずは楽華隊が単独行動に見せかけ、
輪虎の手練れ精鋭私兵・700人を狙う。
蒙恬は祖父・蒙驁を守るため、最も血を流すであろう1番の"つぶれ役"を買って出た。

楽華隊の健闘により、作戦通りに事が運び出す。
そして輪虎兵が手薄になった頃合いを見計らい、玉鳳・飛信隊が突入した。

蒙恬の導きで道が開き、
一気に騎馬兵で輪虎本陣まで駆け抜ける玉鳳・飛信隊の2隊だったが、
途中輪虎兵の残兵に道を阻まれる。

飛信隊は2隊に分かれ、羌瘣を残して輪虎残兵を食い止める。
信は本陣へ突き進み、王賁とともについに輪虎の前に立ちはだかる。

そして、輪虎 VS 信・王賁の戦いが始まった。




* * *



前半、信たちがいいようにやられてしまった
玄峰将軍。

まさか速攻で桓騎に殺されるとは、
思いもしませんでした。

死に際のセリフが、

🔴玄峰 : 「ものを知らぬが 確かに筋は悪くない‥‥か

弟子にしてやってもよいぞ 桓騎」

って、どんだけだよ?!


死を覚悟した上での言葉なのか、
死が現実的ではなかった故に出た言葉なのか、

真意は図りかねますが、

次のページをめくると

🔴桓騎 : 「いるかよ」

とあっさり首をはねられた挙げ句、

🔴桓騎 : 「雑魚が」

!!!

あっさりまさかの討ち死にに絶句しました。
桓騎、ヤバイです。

お見事な仕事をしてくれた桓騎ですが、
目玉袋詰めや人林づくりなど、
正直恐ろしすぎ・・・。


一方、じィちゃん思いの蒙恬は、
輪虎の力量を測った時、
単隊では勝ち目が無いと悟ります。

魏軍中央本陣の輪虎を討ち取らぬことには
秦軍本陣の蒙驁が討たれてしまう危機。
輪虎討伐以外には秦軍に勝ち目がないと算段。

信と王賁に協力を仰ぎ、
自らが先陣を切って輪虎本陣へ突っ込みます。

いつも飄々としている蒙恬が、
今まで自分を見守っていてくれた祖父・蒙驁を
失いたくないがために、
戦才を如何なく発揮して3隊を指揮する姿が勇ましい。


蒙恬の頑張りのおかげで、
信と王賁は本陣まであと少しというところまできますが、
そこで輪虎兵の残兵が立ちはだかり、
楚水ら後方の兵が足止めをくらいます。

残兵とはいえ、あの輪虎の私兵は精鋭ぞろいであり、
楚水らを残していくことに躊躇する信。

そこで羌瘣が援護に戻ると言います。

🔴羌瘣 : 「この先まだ‥‥
あの男は飛信隊に必要だ」

この戦が終わったら、仇討ちのため一時離隊する羌瘣は、自分がいなくなった後の飛信隊のことも考えたのでしょう。
楚水らを助けに、後方に戻ります。

助けに戻った羌瘣に、楚水は何故戻ったのかと驚きますが、
羌瘣は「輪虎兵を信の所に引き連れて行くのは得策ではない」と判断。
輪虎の首は、信らに任せようと言います。

羌瘣の、
常に先を見ている冷静さと聡明さに加え、
クールな態度に反して仲間を思う情の深さが垣間見えるこういう場面、好きだな。


そしてラストは輪虎 VS 信・王賁の戦いが始まります。
双剣使いの超手練れ相手に、負傷王賁と信でどこまで戦れるのか?

次巻へ続きます!

【メモ】
⭕〈廉頗四天王の特徴〉
●輪虎 ・・・廉頗の大戦では必ず決定的な仕事をしている。恐ろしい突破力を持つ、廉頗の側近。

●介子坊 ・・・四天王筆頭将軍。単独でも100勝を挙げている豪傑。

●姜燕 ・・・中華十弓のひとり。かつて廉頗と五分に渡り合った小国の勇。国が滅亡した後、廉頗に忠誠を誓う。

●玄峰 ・・・趙時代、趙軍全体の総司令を頼まれるほどの軍才。
廉頗と輪虎の師でもある。

⭕輪虎兵は、白ずくめの甲冑をまとう。

⭕〈おまけページより、キャラパラメータ〉
●信 ・・・ 17歳
武力 : 88+α
指揮力 : 70
知力 : 70
必殺技 : やっぱりジャンプ

知力、70もあったのか!笑

●羌瘣・・・16歳
武力 : 94+α
指揮力 : 80
知力 : 87
持久力 : 少なめ

知力、もっとありそう。

●蒙恬
武力 : 87
指揮力 : 85
知力 : 90
特徴: 代々父と似ていない

確かに、代々父と似てません!

●王賁
武力 : 89
指揮力 : 86
知力 : 89
必殺技 : 龍指

エリートらしい数値の安定感。


その他キャラパラメータについては、また改めて別枠でまとめたいと思います。