キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

【感想】映画「KINGDOM」(前編)

*ネタバレあり*

 

 

 

公開から丸1年が経ちましたが、遅ればせながら感想を記しておきたいと思います。

 

(しつこいですが)キングダムが好きすぎるあまり、イメージを壊したくなくて未だアニメ版すら見ることができない私ではありますが、

今回の映画化に関しては悩んだ末、ちゃんと映画館で観てまいりました!

 

その理由としては、

 

◉かつて映画製作に携わる仕事を目指していた原先生にとって、待望の映画化だったこと

 

◉原先生が脚本から関わり、ご本人から納得のいく出来だと太鼓判を押されていたこと

 

◉映画公開後の反響に、これはただごとではないぞと体感したこと

 

が後押しとなったのですが‥‥

やっぱり観るの緊張しました‥‥

 

過ぎてみれば映画化によってキングダムはちょっとしたムーブメントを起こし、新しいファンも増えて万々歳!

わたしもホントに観て良かったなと思っています。

 

今月(20205)末には、いよいよ地上波でノーカット版が放映されるみたいですね。

 

よいタイミングなので、わたしが公開当時に観て感じたことや気に入っているシーン、原作との変更点などをパートごとに区切ってまとめてみました。

 

 

【キャスト】

不躾ながら敬称略とさせていただきます。

 

信   ・・・山﨑賢人

嬴政  ・・・吉沢亮

河了貂 ・・・橋本環奈

王騎  ・・・大沢たかお

騰   ・・・要潤

昌文君 ・・・高嶋政宏

壁   ・・・満島真之介

楊端和 ・・・長澤まさみ

       ・・・本郷奏多

 

 

1:【オープニング〜政との出会い】

 

概要と解説

オープニングは、

木枠でできた檻のようなものに閉じ込められた奴隷らしき子どもたちが、馬車で平原の上を運ばれていくシーンから始まります。

 

揺られながら連れられていく貧しい身なりの子どもたちの中に、信がいました。

 

ちび信が檻の中からぼんやりと外を眺めていると、遠くの方から砂煙をあげながら近付いてくる軍隊が見え、

凄まじい数の隊の中に、ひときわ大きく目立つ男がいました。

 

なんと、この序盤で王騎登場です!

 

「おい あれ王騎将軍じゃねぇか?」

と御者の1人がつぶやき、信は檻にしがみついてその姿を目にします。

ちび信は大将軍・王騎のど迫力に圧倒され、その勇ましい姿から目が離せなくなり、木枠にしがみつき目をキラキラさせながら夢中で王騎を見つめます。

 

このシーンで、さっそく信の

"大将軍への憧れ・夢"

が生まれた瞬間が表現されていました。

 

原作では、漂から大将軍の存在を教わり2人で共に夢見ていくというような流れでしたが、

初っ端から実際に信に勇ましい王騎の姿を見せることで、信がなぜ大将軍に憧れるようになったのかがより分かりやすくなっていました。

 

そのまま信は里典(集落の長)の家へ運ばれ、そこで漂と出会います。

 

原作では、戦争孤児だった信と漂を、役にも立たないのに連れて帰って来てと嫁に文句を言われつつ

「これも里典の仕事だから‥‥」と嫌々ながらも引き取っていた里典。

 

映画では、

「高い金出して買ったんだからしっかり働け」と言っていたことから、

信たちは労働力として買われた設定になっていました。

 

そして信は、漂よりこの下僕生活から抜け出すためのたったひとつの方法が""だということを教わり、2人で日々激しい打ち合いを重ねていきます。

 

ここで幼少期時代から切り替わり、変わらず"仕合い"を続けて打ち合っている成長した信&漂が登場!!

 

信=山﨑賢人氏は、過去に10周年記念動画で見ていたのですんなり入ってきましたし、

漂=吉沢亮氏も、美形なだけでなく目力がすごく良かった。漂も政も目力が大事ですから!

 

絵面的にとても合ってる、

よかった。 

とここで確信してからは、緊張していた心が収まって物語に集中することができました。

(そしてわたしはすでに、泣いてました!笑)

 

話を戻します。

日々打ち合っていた信と漂は、ある時側を通りがかった昌文君(高嶋政宏)に出会います。

政にソックリな漂を見て驚いた昌文君は、ソッコーで里典の家に行ったようで、信と政が家に着くと既に漂の身請けの話が持ちかけられていました。

(ちなみに原作では昌文君は日を改めておりましたが、サクッとまとめられていました。)

 

漂は、信も一緒にと願い出るも却下され、

信と最後の夜を過ごします。

 

原作でも、ここの夜語りシーンはすごく好きなところでしたが、ほぼ完全に再現されていました。

 

そして漂が去り、信が1人修行に励んでいたある日の夜‥‥

血まみれで瀕死状態の漂が地図を手に持ち、信のもとへ帰ってきます。

漂は命尽き果て、死。(涙、、、)

信は漂から地図を託され、黒卑村へと走ります。

 

信が去った後、王宮からの追手が来るのですが、

ここは原作とだいぶ設定が変わっていました。

朱凶とともに左慈も村に来るとは!

 

左慈は、何が起きたのかと騒ぎを聞きつけて尋ねてきたモブ村人を容赦なく斬り殺します。

その上、

 

「自分たちを見た村人は全員殺し、村を焼き払え」

 

と命令して村中に火を放ちます!!

 

ひどい!! 

 

城戸村、無くなったよー!!!

 

原作では、里典が漂の亡骸をそのままにするのは不憫だと同情するシーンや、

漂のことが大好きだった里典の息子・有(ゆう)が朱凶に立ち向かうシーンがあったりしましたが、

 

映画ではそのシーンはなく、里典に感情移入してしまうような表現は敢えて出されていなかったので、原作未読の方々にとっては(村が無くなったことに対して)さほど胸が痛むことは無かったと思われます‥‥

 

原作では、後日談としてケチな里典が漂の葬儀を盛大に行ってあげていたという描写があったり、

漂の墓参りは自分が大将軍になってからだと信が言ってたりしたものですから、村がなくなった以上は漂の墓も無いのか‥‥と映画上の設定に(無駄に)悲しむわたし‥‥

いやいや、むしろ省略されていたことにより、映画としてとても分かりやすいと思いました。

 

 

一方、黒卑村に着いた信は、野盗相手に情報を売って小銭を稼いでいた貂に出会います。

そして野盗を追い払って目的地に着いた信が出会ったのは、漂とソックリな顔をした秦王・嬴政(吉沢亮)でした。

 

 

ここまでの感想

自分でも後で振り返って笑ってしまったのですが、多分まったく泣きどころじゃないところでボロボロ泣いていました。笑

 

山﨑賢人&吉沢亮両氏があまりにも信と漂になり切ってくれていて、

そこにまず感動したからです。

そして何より、映画が大好きで昔からずっと映像の仕事がしたかったという原先生の夢が叶った喜びはいかばかりかと思うと‥‥!! 

原先生‥‥おめでとうございます!!

という思いだけで胸がいっぱいになり、

序盤はただそれだけで泣けてきました。笑

 

あと、信の表情がすごくよくて。

10周年記念動画での山﨑信を見るまでは、バラエティ番組などでイジられている姿などから彼に対して"残念イケメン"なイメージを勝手に抱いておりましたし(ほんとスミマセン)

漫画の実写化担当的な立ち位置になりつつあった彼(主観でしたスミマセン)に、泥くさいツリ目の信は大丈夫か?

と恐れながらも心配していたものですが、

あの記念動画でかなり信のイメージを表現してくれていたので、

今回の映画化に至っては

いちファンとして割と不安な思い無く安心して見ることができました。

 

特に目から涙をこぼすのが本当に上手で、

信が漂に黒卑村へ行くように言われた時、

追手が来るから自分の亡き骸はされるがままにしてくれと言う漂に対して

「触らせねェし!!」

と返すシーンの目力とか涙のため方にすごくグッときて、もらい泣きしました。笑

 

そして漂&政役の吉沢亮氏もすごくよかった!

彼に持ってたイメージも山﨑氏同様で、

今までは少女漫画原作ものの実写版王子様⭐︎という認識だったのです‥‥。

しかしながらとにかく美男子でキラキラの目力がすごいので、配役を聞いた時にピッタリかも‥‥とすんなり納得できたのもまた事実。

 

漂の時は明るく柔らかい笑顔で、政の時は無表情ながら目でものを語るかのような演技分けをしていて、ちゃんと別人に感じられたからスゴいです。

 

続いて成 (本郷奏多)

信が黒卑村へ走って行く時に咸陽のシーンが少しだけ差し込まれて成 の登場シーンがありましたが、

あの拗らせた悪意のある笑みが成 そのものすぎて、思わず笑っちゃいました!

 

 

 

以下、続きます。

 

 

 

 

 

2:【朱凶・ムタを撃退 山の民との出会い】

 

信・政・貂たち3人衆の場面と、王宮にいる成 のシーンが織り交ぜられて展開していきます。

 

概要と解説

漂から渡された地図の目的地にいたのは、

漂と同じ顔をした秦王・嬴政でした。

 

信が、漂かと思って自分の目を疑い、何度も自分の顔を叩いたりして確認してるところが可愛かった。笑

 

信が状況を理解する間もなく、追手の朱凶が現れます。 

朱凶の特殊メイク、不自然すぎずよかったです。

朱凶の話しぶりから、信は

漂が政の影武者として王宮に連れて行かれたこと、

政と間違われて漂が殺されたのだということ、

漂を殺したのは目の前にいる朱凶だということ

を理解し、双方に対して怒り狂いまくります。

 

まずは仇である朱凶を見事にやっつけ、

とりあえず追手から逃げるために黒卑村を脱出することに。

ここで道案内として小銭稼ぎをしようと現れた貂が合流。

貂は正体を明かすために顔を見せて、橋本環奈ちゃんが登場です。

 

 

一方、王都・咸陽では‥‥

 

王弟・成  (本郷奏多)が登場。

 

ホント目つきが素晴らしい!笑

 

そして成 が竭氏(石橋蓮司)とわちゃわちゃやってるところに王騎が現れ、偽物の昌文君の首を見せて何故か成 に昌文君は死んだと虚偽の報告をします。

 

ここの大沢王騎再登場シーンでの

「ンフゥ」

がめっちゃよかった!

 

一方場面は切り替わり信たち一行ですが、

村に精通する貂の道案内のおかげもあり、無事に昌文君との合流予定地・穆公(ぼくこう)の避暑地へ到着します。

が!追手も待ってはくれず、

ベッサ族・吹き矢のムタと戦うことに。

 

ムタを何とか倒した信でしたが、ムタの放った吹き矢の毒がまわって気を失ってしまいます。

(原作では、信は朱凶を倒した後で張りつめていた気持ちが切れて意識を失ってしまい、

政に背負われて穆公の避暑地へと辿り着くという流れでした。吹き矢の毒の描写も無かったですね。)

 

原作で、貂がムタの吹き矢をもらう流れがコミカルで、ムタが憎めないキャラとして印象づけられる名シーン()がありましたが、

映画ではここはカットされており、いつの間にか貂はムタから吹き矢をくすねておりました。

 

そして穆公の避暑地で貂に解毒してもらった信が目を覚ました頃、

昌文君や壁が合流地へ到着。

2人から、王宮より脱出する際に王騎軍に道を阻まれ苦戦したこと、

漂が1人で囮になってくれたおかげで自分達が難を逃れられたことを伝えられます。

 

やっぱり漂は凄い奴だ、

と誇らしく思う信。

 

政の無事に涙する昌文君を見て、信は漂の死に対する怒りを昌文君にぶつけたい気持ちを抑えるのでした‥‥。

 

そのころ、王弟・成 は‥‥

 

表向きの政陣営である呂不韋への対抗勢力として、軍をかき集めて咸陽へと集結させます。

ズラリと並んだ8万の軍勢は圧巻。

 

原作とはちょっと登場シーンが異なりましたが、

"低い身分の出でありながら剣と筆の才覚でのし上がった敦(とん)"

身分や家柄がショボい奴は生きている価値無しと

ランカイに殺させるシーン(!!)

原作と違わず成 のヤな奴感を一気に増幅させられるシーンでした。

 

一方、成 一派により国が割れることを危惧し、一刻も早く咸陽に戻りたい政。

 

暗殺されかけた政がこのまま帰ったところでまた命を狙われるのは明らかです。

何か手立てはないかと考えた結果、

美しく保たれていた穆公の避暑地を希望に、

400年前の穆公時代の盟を再締結させるため

"山の民の王"に協力を請いに向かった信たち。

 

しかし山の王に会いに行く途中で山民族たちに囲まれ、囚われの身となってしまいます。

 

一旦牢屋的なところに囚われてバジオウやタジフとからむシーンがある原作とは違い、

すぐさま信たちは山の王の前に連れて行かれます。

 

山の王は、400年前に勝手に同盟を絶えさせ民族共生の夢を潰えさせた秦国を許さず、信たちを殺そうとしますが、

政は現王として過去の愚行を謝罪。

 

政は、

秦の民と山の民と分けるからこそ諍いが起こるのであり、

中華もその構造は同じであると説きます。

 

国境を取り払い、争いを無くすために己が目指す""

「中華の唯一王」

となることである、

と宣言すると、

山の王はやや関心を持ち始めた様子。

 

さらに政は、中華を統一するためには山の民の協力が必要であると説きます。

 

捕われていた信は、いつの間にやら漂と特訓済みの縄ぬけの術()で縄をほどき剣を手にしますが(このシーンの信の身のこなしカッコ良かった)

山の民の老人たちが積年の恨みをぶつけてくる中で放った

 

「無念無念って1番の無念は夢が夢で終わったってことだろうがよ

 

もしお前らが本当に死んだ奴のことを思うんだったらな

そいつらの見た夢を叶えてやれよ!!」

 

という信の熱のこもった弁舌が効き、

山の王の心を動かします。

 

 

どうでもいいところなのですが、

楊端和が政へ

玉座奪還の際に王宮が血の海になるやも知れぬが構わないか」

と問い、

「そうやって奪われた 何の躊躇があろうか」

と政が答えた時の、横にいた信のドヤ顔がなんかウザかったです。笑

 

そして!ここで山の王は仮面を外し、

長澤端和様の登場です!

 

仮面のオッサンだと思っていた信たちは、山の王のあまりの美女っぷりに度肝を抜かれておりましたね。

 

見事山の民を仲間に引き連れ、ここからいよいよ咸陽へとステージがうつりますー!

 

 

 

ここまでの感想

貂、薬草を煎じて解毒薬をつくったり御馳走作ったり山の民の言語の通訳になってたりとか有能すぎかよ!笑

(原作では、貂は山の民言語は分からない設定でした)

この山の民言語、映画化に当たってちゃんと一から作ったそうですね。すごい!

 

さて、漂の仇・朱凶をやっつけた信は、秦の王様・政と行動を共にします。

政と会ってすぐの信は、当然なのですがずっとブチ切れてますね。笑

 

道中、漂が政の影武者となったことで命を落としてしまった怒りをストレートに政にぶつけて怒り狂う信のシーンがありますが、

信の身になってみたら、本当に辛かったでしょうね‥‥。

 

漂が生きていたら、絶対に凄い奴になれたのに。

漂が影武者にされなければ、死ぬことはなかったのに。

という漂への無念がこみあげてきたのでしょう‥‥

怒りと悲しみの感情が爆発し、その原因となった政をボコボコに殴りまくりました。

 

でも、

漂は影武者にされることを自らのチャンスだと受け入れていたし、

下僕の漂にしてみれば、降って湧いた段飛ばしで夢に近づける道筋であるこの大役の、その先にある可能性に賭けたいと思っていた。

政が言うように、漂はただその賭けに負けただけ‥‥

そしてその夢を漂は信に託した。

 

政が信に言った

「これから先はお前の路だ

お前の前にはふたつの道がある

奴隷の生活に戻るか 

薄弱の王を救け修羅の道を行くか」

 

という言葉の中にある""は、

漂がもたらしてくれたものであるからこそ

このシーンは胸にくるものがありました。

 

穆公の避暑地で昌文君と合流出来た時、

信が昌文君を見つけて

「オイ 漂は死んだぞ」

と話しかけるのですが、

昌文君は信をスルーするシーンがあります。

 

ここは原作でも信に感情移入してしまい、無視する昌文君にムッとしてしまうのですが、

昌文君は何より政の無事な姿を確認しての安堵で感極まるあまり、それ以外のことが眼中に入らなかったのでしょう。

涙を流して喜び、命をも差し出す覚悟で自身の至らなさを詫びる昌文君の姿を見て、

信は口を閉じます。

 

信にとっての漂の存在と、昌文君にとっての政の存在は同等かそれ以上のものだと理解したのでしょう。

信の気持ちが胸にしみてくる、

ここは地味にわたしが好きなシーンです。

 

‥‥つい原作愛を語るだけの感想欄になってしまいましたスミマセン。

 

あっ、昌文君・高島さんの「ぐふぅ!!」、よかったです!

(どんなふうにこのセリフ?言うのかなと気になってました)

 

 

さてさて、成 登場の王宮シーンでは、大沢王騎が再登場しました!

 

‥‥実はわたくし、王騎だけは初登場シーンでどことなくコスプレ感を感じてしまい(ホントすみません!)

しばらくちょっとドキドキしながら観ていたのですが‥‥

 

そこはさすがのベテラン大沢たかお氏、ここのシーンで発した

「ンフゥ」

のひとことで、すんなり王騎がわたしの中でなじみました!!

 

あの王騎のセリフ(?)、本来めっちゃくちゃ難しいと思うのです。

大袈裟と思われるかもしれませんが、ここですっかり大沢たかお=王騎に見えました。

ベテランはやっぱりすごいな!

ただでさえあの見た目なキャラだけに、改めてホントにめちゃくちゃ難しい役ですよね?!

 

‥‥という感じで、初見で心配していたコスプレ感もすっかり消え去り、安心して見入ることができて一安心。

 

原作では、王騎の存在はこのあたりではまだこの人何者?何のために昌文君死んだとか嘘言ってんの?と謎だらけの人物でしたが(詳しくは本編の過去記事をご参照ください)

 

映画では、冒頭で信が小さい頃に出会った(偶然見た)"何かスゲー大将軍"という登場を済ませているおかげで、誰なんやコイツ感は無かったと思います。

 

あと、成 がランカイに敦を殺させるシーンは、改めて成 のクソ野郎っぷりが分かりやすく出ておりましたね。

ここはアメトーーク!!でも取り上げられていた名シーンです。

政がなぜ弟に玉座を狙われているのか、その背景もこのシーンのおかげでとてもわかりやすい。

 

異母兄弟で、舞妓を母に持つ政と、名家の出の母を持つ成

"血筋"が劣る政が王の座についていることが許せず、自分の方が王にふさわしいと信じています。

 

ところで朱凶の特殊メイクは違和感なかったのですが、ランカイは結構マンガ感を感じてしまいました‥‥

まあ原作の設定が"珍種の猿"ですもんね‥‥

これ猿なの?!って読んでてびっくりしたことを思い出しました。笑

 

 

さてさて、信たちの方はいよいよ山の民のホームへ!

 

原作未読のまま事前情報も持たず初めて映画で観た方々は、仮面の下からいきなり美しき長澤まさみ嬢が現れてビックリしたのではないでしょうか。

 

その仮面、声こもり過ぎやろ!とツッコミつつ、笑

端和様の登場で一気に画面が華やかになりましたね。

 

ちなみにわたしが個人的に勝手に抱いていた端和様のイメージの女優の方は別にいたのですが‥‥まさみ嬢、美しかったですねー。

見事日本アカデミー賞も受賞されてました。

おめでとうございます。

 

ちなみに山の民名物(?)、コリーン老人たちも再現度高かった!笑

あとでクレジットを見たら、「黒長老」「白長老」となっていました。笑笑

 

 

見事に山の民を仲間にして、

いざ咸陽へ!

 

 

 

後編へ続きます。

キングダム 57巻

*ネタバレあり*

 

キングダム 57 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 57 (ヤングジャンプコミックス)

  • 作者:原 泰久
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: コミック

 

 

 

ここ最近のペースよりひと月ほど遅れて発売された57巻、待ちくたびれました!

 

朱海平原の戦い、佳境ではありますが今巻でもたぶん作中で何十分かしか進んでません。笑

しかしながらその数十分の間にいろんなことがありすぎて……

 

表紙はありそうで今までなかった信&瘣、 そしてあの古参も‥‥!

 

何度も何度も読み返してしまった57巻、あらすじからまいります。

 

 

 

【あらすじ】

ついに李牧本陣の目前まで迫った飛信隊。

 

田里弥・倉央軍ともに進撃を続け、挟撃をかける信たちだったが、

李牧は動じずに傅抵隊を中央突破させ、王翦本陣へと進撃させる。

 

数百騎で行われた傅抵隊の突破劇に対し、

対する田里弥・倉央はもはや捨て身の行為だと判断し見過ごす。

しかし李牧は、秦軍右翼の背後の位置にいたはずの馬南慈軍を南下させており、王翦本陣の真横へとあらかじめ向かわせていた。

一方で傅抵は李牧の作戦通りに突き進み、ついに王翦本陣へと突破をかけ始めたころ、

馬南慈軍が森林地帯を通り抜け王翦本陣の真横へ到着。

馬南慈は先頭に立ち猛威をふるう。

 

李牧は、王翦を欺き傅抵隊と馬南慈軍との挟撃を仕掛けていたのである。

 

趙北部の台地で鍛えあげられた馬南慈軍の馬は、道なき森林地帯をものともせずに駆け抜ける力があり、

秦軍にとって森林地帯を抜けてくる軍が在ることは完全なる誤算であった。

王翦本陣は絶体絶命の窮地に追い込まれてしまう。

 

王翦の目前にまで迫った傅抵は、王翦本陣の後方退路を断たせて王翦囲い込む。

趙兵に囲まれ、まさに王翦の首が狙われようとしたその時、

王賁が王翦の援護に現れた。

 

王賁は、馬南慈軍の動きを不審に思い、関常らを含む20騎ほどの小隊で追ってきていた。

王翦軍の戦況を察して援護を制止する関常を振り切り、

王賁は父の窮地を救いに向かったのである。

 

父・王翦を狙う刃から身を呈して護る王賁であったが、自身も尭雲との戦いによる負傷が深く、劣勢であることには変わりなかった。

 

しかし傅抵が王翦の首を狙おうと動き出したその時、

蒙恬率いる楽華隊が後方から到着。

蒙恬は、李牧の援護に向かう馬呈軍を追って中央までたどり着いていたのである。

 

楽華隊の参戦により、死地であった王翦本陣の退路が開け、王賁は父・王翦への攻撃を防ぎ続けながら王翦を逃そうと尽力する。

 

戦況を察した蒙恬は、王翦を王賁に任せ、自らは馬南慈と対峙。

武力の差を理解する蒙恬は、矛を振りかざす馬南慈の攻撃を受け流し、一撃を与えることに成功。

そして間髪入れず王翦兵へと呼びかけ、脱出するための指揮をとるのだった。

 

一方、馬南慈軍・傅抵隊の挟撃が成功し勝利を確信していた李牧本陣のもとへ、

共伯を突破した糸凌を率いる倉央の軍が目前に迫っていた。

 

そして趙左翼・金毛将軍と秦右翼・飛信隊の戦場では、飛信隊が李牧本陣への押し込みをかけていた。

軍師・貂が現場の中に入り、都度的確な指示を出すことで自軍の防戦戦術がことごとく潰されていることに着目した金毛は、

飛信隊の頭脳を担っている貂を狙う。

 

金毛から狙われた貂は、金毛兵から矢で肩を貫かれ落馬するが、

遠方から貂の窮地を察した仁が放った矢が敵に命中。

さらに仁は身体を張って貂を護ろうと駆けつける。

 

金毛兵に捕まった仁は首を落とされかけるも、

兄の窮地を目の当たりにして覚醒した弟・淡が矢を放ち、次々と金毛兵を射ち抜いて行く。

 

そして貂を狙う金毛の身体にも淡の矢は命中。

 

金毛は、矢を受けながらも貂に対し主や仲間を飛信隊に殺された怒りをぶつけ、

戦場に夢を見る者がいるから戦争は無くならないのだと叫ぶ。

貂は、その意見自体は否定しながらも、思いはそれぞれであることを理解し、金毛の思いを飛信隊が背負っていくことを誓う。

 

金毛は、貂の言葉を受け入れ、自身の中で亡き主・慶舎が信に討たれた理由を理解する。

そして再び淡が放つ矢に貫かれ、絶命するのだった。

 

 

 

 

金毛を突破した飛信隊は、そのまま李牧本陣へと進撃する。

 

いよいよ李牧の姿が目前に現れ、李牧本陣を囲い込み攻め込もうと向かう飛信隊だったが、

李牧を目前に突如現れた龐諼により、先陣が壊滅。

先頭にいた去亥は命を落とす。

 

飛信隊先陣を一刀両断した龐諼は咆哮し、飛信隊の動きを止めてしまう。

 

しかし、かつての主・麃公将軍の仇を前にした元麃公兵は憎悪のあまり龐諼へ向かい、

ことごとく身を裂かれていく。

 

その姿を目の当たりにし、怒りが抑えられない岳雷と我呂。

制止する楚水や渕の声も聞かずに龐諼へ向かおうとしたその時、羌 の巫舞の唄が響きわたる。

 

 は、満身創痍の信と龐諼を戦わせないため、信が来る前に龐諼を仕留めようとしていた。

 

 は魄領の禁の域まで深く深く意識を落とし、

最深の巫舞とともに龐諼へと襲いかかる。

 

 は龐諼に幾太刀も入れ、左手の指2本をも切り落とすが、

龐諼に左足を掴み砕かれ、地面へと叩きつけられてしまう。

 

信が駆けつけた気配を察した龐諼は、ボロボロになった羌 をそのまま信に投げつけ、

信は羌 を受け止めた後 尾平に託す。

 

去亥を含め、胴体を裂かれた仲間たちの死体や瀕死の羌 の姿を見た信は激昂し、龐諼と対峙する。

 

信の持つ矛から王騎の姿を見た龐諼は、再度激しく咆哮し、信へと襲いかかるが、

信は龐諼の攻撃を矛で何度も受け止め、何度も倒されながらも繰り返し立ち上がる。

 

2人が打ち合う姿を本陣から見続けるカイネは、李牧に対し龐諼という存在は何であるのかと問いかける。

 

李牧は、かつての自らの過去を振り返り、

以前に自身が龐諼本人から

"龐諼の道の答えに導く者"

であると言われたことを話す。

 

19年前ーーー

家族や仲間たち全てを失い、山中で瀕死の状態だった李牧のもとに突然現れた龐諼。

 

 

自らを"求道者"であると名乗る龐諼に助けられた

当時の李牧は、

一体龐諼は何者であったのか、

"求道者"とは何なのかを知るためにしばらく放浪したという。

 

李牧が探し求め理解した龐諼の道の目的とは、

"人の救済"

であった。

 

李牧が調べたところ、龐諼のような求道者は500年以上も前から存在していたことが分かった。

争いを繰り返す世の中を憂い、どうにか人々を救えないかと真剣に考え合った賢者たちの集団が、元々の求道者の始まりだったという。

 

争いの中に道を探しても、

そこに答えは無いと断定した求道者たち。

 

偏愛がある限り争いは生まれ、

情がある限り苦しみの世は変わらないが、

情があるからこそ人であるというこの"矛盾"を解くために、

人を超える存在にならなければならないと結論づけたという。

 

そしてまずは自分たちが人を超える""を示さなければならないと求道者たちは考え、

 

「求道者たちの中で誰か1人でも人を超え、神に近い領域に立つ時、

人は今とは違う上の存在に変化し

争いを止め苦しみの世から完全に解放される」

 

と本気で信じていた。

 

李牧は、求道者たちの本当の目的は

"人の救済"であり、

そのためにそれぞれの道から人より天(たか)い存在を目指しているのだと話す。

 

つまり、龐諼が全てをかけて武神にならんとする道を目指すその行動の目的は、人の世の苦しみを解放するためということになる、とカイネに語る。

 

人の情を否定したのが求道者であり、

求道者の前にはただ道があるのみ。

ただただ龐諼には武神への道があるだけであると。

 

 

それ故に、いわば龐諼は

"人の代表"

であると話す李牧。

 

そして立ち向かう信もまた

"人の代表"

であり、

 

そして信は、龐諼の求める

"答えを持つ者"

でもあると、李牧は語るーーー。

 

 

 

 

 

*  *  *

 

 

 

 

待ちに待った57巻、表紙と中表紙が羌 だったので、いよいよ龐諼とやるのか‥‥と思いながら読み進めていたら、

不意打ちの去亥の死に呆然‥‥!

 

思い返せば長きにわたる龐諼との因縁、

どう落としどころを着けるのかと注目しておりましたが、

ここにきて李牧から何やら哲学的な話に。

 

"人の代表"

とは?

 

 

さて感想も順を追って話していきたいと思います。

 

まずは王翦本陣。

前巻で、王翦が李牧の読みを上回ったー!!

と思っていたのも束の間、

李牧の策により思いがけない場所からの馬南慈登場で挟撃返しされ、一気に大ピンチに!

 

趙の馬は北の台地で鍛えあげられてて中華一、って今までも何度か出てきていたのに、

秦軍は段茶も貂も出し抜かれて、まさか森を抜ける軍があるとは思ってもみなかったようでした。

 

そしてスピードキング傅抵はあっという間に王翦の目前へ!

王翦は何かしら李牧がやらかすと察して警戒はしていた訳ですから、わたしは王翦にも何か策があるだろうと考えていたのですが、

 

王賁が援護に来た時に、

 

「この死地は何も変わらぬ

‥‥愚か者が」

 

ってアッサリ死地だと認めてて、

策ないのかよ!!まじかよ!!とちょっとズッコケてしまいました。

 

関常が止めるのも聞かず、絶体絶命の窮地だからこそ""を助けに行かねばと援けに入った王賁。

王賁がプライベートな感情をあらわにするのはものすごく珍しいし、

ここまで直接的に表現するのは今までで初めてかもしれません。

 

自分の心臓は止まりかけているはずなのに、

「指一本触れさせぬ」

王翦を護る王賁をめちゃめちゃ健気に思いました。

 

そしていいところで蒙恬が来てくれた!

 

馬南慈に一太刀入れて、即座に王翦軍の近衛兵にすら指揮をとる有能ぶり!

もう臨時ではなく名実ともに将軍の器ですね。

 

このあたりで、勝利を確信していたはずの李牧に動揺が見られます。

 

王賁や蒙恬王翦本陣にヘルプに来たことで、

未だ傅抵が王翦を討ち取れずにいることに少し焦りを感じているようす。

 

一方で飛信隊の方はいい感じにグイグイ押し込み、李牧本陣へと近づきます。

金毛将軍が貂を狙ってきてあわやという場面もありましたが、

弓矢兄弟の大活躍で何とかピンチをしのぎました!

ホントに仁はよくやってくれた‥‥。

兄のピンチで覚醒した淡も良かった。

 

敵ながら金毛将軍の死に様にも思うところがありました。

慶舎や岳嬰を失いながら、国のためにと遺された己を奮い立たせて戦っていた金毛は、死の間際に貂と話せたことで自ら納得の行く答えが出せたような表情をしていました。

 

最期はあえて淡に射られ、命を全うした金毛。

金毛の国にも世代にも、信じる思いや志があって、

それはそれで正しくて間違ってなくて。

いま、政が信じる思いや志に信や貂たちが賛同して、信じて貫こうとしていることもまた、

正しくて間違ってない。

 

「思いはそれぞれだ」

と否定せずに認めて、

「お前の思いもオレ達が背負っていく」

と信の思いを代弁した貂の言葉。

それが金毛に届いて、

彼は最期の最期である意味背負ってきた肩の荷をおろし、敵(しかも仇)ではあるけれど貂(飛信隊)にそれを託すことができたのではないでしょうか。

 

そして金毛を抜いた飛信隊は、疲労困憊の信や羌 に代わって渕さんが檄を飛ばし、

古参も新参も一丸となって攻め込んで、ついに李牧の姿をとらえます!

 

李牧を逃しに迎えに来たカイネがアワアワしてるというのに、向かってくる信の方をじっと見つめながら冷静な李牧。

 

慌てるカイネの頬に手を当てて落ちつかせますが、やっぱりいつもの李牧とちょっと違う行動ですね。

龐諼が出てくると分かっていて信を見ていたのでしょうから、これから始まる2人の戦いに向けていろいろと思いを巡らせていたのでしょうか。

 

そして先頭の去亥が突っ込み、あっという間に斬り裂かれたのは大ショックでした!!

 

過去の龐諼襲来時、100人隊だった飛信隊は一夜にして半分以下の36人になってしまうほどに斬られまくりましたが、

龐諼の矛の一振りで身体が真っ二つに斬り飛ばされていくさまは、さながらあの時の再現場面のようでした。

 

当時の龐諼の恐ろしさを知る去亥、死の間際の刹那に頭の中で信の名前を呼んで逝くシーンに

胸が張り裂けそうでしたよ‥‥

 

そして恨みを持つ元麃公兵たちが次々と龐諼へ襲い掛かってことごとく斬り飛ばされ、

岳雷と我呂までが突っ込みかけて

行ったらアカーン!!って叫びかけた時に‥‥

 

「トーン タンタン」

 

き、きたーーーっ!!!!

 

 ちゃん推しのわたしは大興奮!!

 

そう、羌 のトーンタンタン巫舞は、めちゃくちゃ久しぶりです。

象姉の仇・幽連と戦った時が最後でした。

 

岳雷と我呂が無駄死にしなくて済んだ安心感からと、

体ボロボロの信が来る前に自分が龐諼を仕留めようとして目から血まで流して成恢ばりに身体中に血管ビシビシな羌 がカッコ良すぎて感極まり、

読んでて涙が出てきました。

 

前夜から龐諼の気配を感じていた羌瘣、

絶対に信と戦うことになるであろうと予測し、

信の危機は絶対に自分が守ると決意して、

この時のためにと呼吸を整えていたのです。

もう、この子、健気すぎかよ‥‥!!

 

 の奮闘を見守る田永や渕さんら仲間たちが「いけェっ」って涙ためながら応援してるところも泣けて泣けて‥‥

 

今回、緑穂に付いてる玉石みたいなのが一個一個ヒビ割れていって、その都度羌 に命()を貸すシステムになっていましたが、

その玉石は5つのうち3つも割れてしまいました。

 

結局羌 は龐諼を仕留め損なって左足を砕かれ、頭をボコボコに叩きつけられてしまいます。

緑穂もどこかへ飛んでいって‥‥

お願い誰か拾っていて‥‥!

 

そして龐諼は信が現れた気配を感じ、信の来る方向へと羌 を投げつけます。 

 

もうここで信&読者(わたし)は激昂ですよ!?

龐諼まじ許さん!!!

 

だから仲間たちの死体や瀕死の羌瘣、 過去の麃公や王騎の死に様の記憶からの怒りマックスな信の表情がめちゃくちゃ見たかったー!

ここはあえて原先生は信の怒りを背中で表現したのだと思うのですが‥‥

尾平が見た信の顔、見たかったなー!!

とはがゆく思いました!

ホント龐諼がウザすぎて!

この自分の怒りを信の表情に投影したかったのだと思います。笑

怒りが抑えきれず、地団駄踏みました。笑

 

味方の趙人であるカイネですら、龐諼のあまりの傍若無人(に見える)さに呆然とする始末。

 

ところがここで李牧が発した言葉は意外なものでした。

 

「龐諼は、我々""の代表である」

 

そして

 または信たちも

 

「人の代表」

 

であると。

 

加えて、龐諼の目指す道の

 

「答えを持つ者」

 

が信であると、李牧は語ります。

 

‥‥なんか難しい話になってきました‥‥

 

李牧の過去もついに本編で語られましたね。

キングダム連載前の読み切りで、李牧の過去が明かされていますが(読み切り「李牧」の記事をご参照ください)

龐諼との出会いの件はここで初めて明かされました。

 

それと、龐諼は武の極みを求める求道者ゆえ、力だけの脳筋キャラと思っていたら、

今回、不思議な能力?があることも判明。

 

李牧が山中で死にかけていた時、

"地の声"に導かれて李牧を見つけたという龐諼。

単純に強い者から漏れ出る"覇気"みたいなので相手を見つけているのだと今まで思っていたのですが、

自然の中の声的なものが聞こえる能力があるらしい。

 

そして、李牧の名前を知っていました。

李牧、名乗ってないですよね?

これも地の声から?

 

加えて、李牧に手をかざすようなシーンがありましたが、次の日李牧の体が起き上がれるくらいに

"なぜか"治っていたこと。

 

これって、羌 の呼吸法による一種のヒーリング効果と同種のものを龐諼も出せるってことでしょうか?

 

そして李牧は、龐諼が何者だったのかを知りたくて放浪の旅に出たところ、

それぞれの道を極めようと生きる"求道者"たちに出会って色々話を聞けたとか。

 

以下、李牧の見解によると‥‥

 

求道者たちは元々争いを繰り返す人の世を憂いていて、どうにかそれを救えないかと色々考えていた賢い人たちの集まりだった。

 

求道者たちは、争いばかりの世を憂い人を救おうとして道を探しても、人々それぞれに好き嫌いやら贔屓だのの感情がある限り、争いは無くならないだろうから、答えなど見つからないと悟った。

 

"情"があるからこそ人ではあるけれども、

"情"がある限り苦しみの世は終わらない。

この矛盾を解くことはできないと結論づけた結果、

 

求道者たちは、それならば"人"である自分たちの中で誰か1人でも何かしらの分野で奇跡的な極地へたどりつくことができれば、その者の存在が人を超えたという証明になり、もはや人々は争いを止めて色んな苦しみから完全に解放されるのではないかと信じた。

 

そのために人を超えたというお手本を天に示そうと、それぞれの道で各々が己の全てをかけているのだという。

 

求道者のひとり、龐諼にとってのその道は

"武神"になるという道であり、

龐諼の目的もつまりは"人の救済"である。

人を救けるために、人を超える""を示そうとして、人である龐諼は戦っている。

つまり、龐諼は"人の代表"であるということ。

 

 

‥‥って感じのことを李牧はカイネたちに伝えました。

 

話を聞いていたカイネたちは、李牧の話は理解しながらも今まで見てきた龐諼と結びつけづらい話すぎてとても頭の中の考えが追いつかない感じでした。

 

わたしも同じですが!笑

 

壮大な考え方すぎて、アホなわたしは本当に頭が追いつきません。

人の、今よりも上の存在の""って‥‥?

 

つまり龐諼自身は別に人のためとか救うとか考えている訳ではないけど、

カイネが言うように自分が一番強いってことを誇示するためだけに戦っているように見える(し、実際そうだと思う)けど、

やってること(龐諼=求道者が極めようとしている道)は、人を救いたい、っていう思いと同義なんだよ‥‥ということでしょうか。

 

頭の中が整理できないまでも伝わるものはあって、カイネや趙兵たちが片目から流した涙もそういう表現の一種だったのかな。

"左目だけから"ってところに何か意味があったりするのでしょうか。

 

要は、愛とか情とかを否定して、ただ武神となることのみが龐諼の求める道である、と。

でもその道の背景には、人を救けたい、という求道者たちの積年の願いから出された究極の結論があった、ということかな。

 

政が呂不韋に語った、

「人の本質は光だ」

の話に通じるような、究極的なもの‥‥概念を感じました。

 

そして信は、そんな龐諼の道の

"答えを持つ者"!!

 

ボッコボコのバッキバキにやられて白目剥いちゃってる信ですが、

ラストは

 

「天下の大将軍だっつってんだろーが」

 

と龐諼の矛を受け止めた!

 

 

 

ここで終わるのずるいーっ!!

 

次巻へ続きます!!

 

 

【メモ】

⭕️淡、将軍の金毛を討つ大金星をあげる。

 

⭕️糸凌、馬呈と交戦中。

 

⭕️ の巫舞時の唄

 

古の闇

開闢(かいびゃく)の炎

汝の眼は何を宿す

天を裂く白光

地を揺らす鼓動

汝の耳は何を刻む

人は迷いし土の器

我は舞う雷(いかづち)の神

 

⭕️李牧と龐諼は、19年前に出会う。

 

⭕️求道者は500年以上前の争乱期から存在していた。

 

⭕️求道者について

 

◉求道者のはじまり

=争いを繰り返す人の世の苦しさと愚かさを憂い、これを救おうと真剣に考えた賢者の集団。

 

◉求道者の目的

=人の救済

 

◉求道者の出した結論

=誰か1人でも人を超えし""を天に示すことができれば、""は今とは違う上の存在に変化し、争いを止め苦しみから完全に解放される。

 

◉求道者には、腕にアザか彫り物のような模様がある。

 

⭕️おまけマンガ

「名家・蒙氏の長男・蒙恬 

勉強嫌いだった蒙恬が、お色気家庭教師のおかげで秦の裁判官の資格を手にするほど賢くなるまでが描かれています。笑

 

⭕️カバー裏:なし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キングダム 56巻

 *ネタバレあり*

キングダム 56 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

キングダム 56 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

 

いよいよ最終決戦の日、

朱海平原15日目が開戦しました。

 

54巻で起こった鄴の兵糧焼き事件が

55巻で李牧の耳に届いて、

初めて李牧の表情に動きが出た気がします。

 

王翦の出方も気になりますが、

急遽李牧軍横撃の任をまかされた飛信隊、

どこまで突っ込んでいけるか気になる!

 

それでは、あらすじから追っていきたいと思います。

 

 

【あらすじ】

鄴からの伝者より、鄴の食糧が焼き払われ、陥落間近であるとの急報を受けた李牧。

 

鄴城主からは今すぐに朱海平原の戦を解いて鄴へ向かい、桓騎軍を討って欲しいとの要請があるも、

李牧は鄴城主が賢人であることを鑑み、

陥落までの猶予はあと2日あると算段する。

 

2日で鄴に行き桓騎軍を討つためには

この1日で王翦を討つことが必須となり、李牧は急遽攻めに特化した陣形の変更に取り掛かる。

 

李牧は自身が滅多に使わない攻撃布陣を敷き、

王翦軍と真っ向から攻め合う態勢に入る。

 

一方、突然攻撃の陣形へと変化させてきた李牧軍の動きに対し、

王翦もその意図を読み取り全面攻撃の陣形へと移る。

 

王翦軍第3将・田里弥は、

1万を率いて李牧直下兵・共伯(こうはく)1万との攻め合いになるが、

田里弥の戦術は共伯に一切通用せず、むしろ裏目に出続け、苦戦を強いられていた。

 

王翦は、第4将・倉央に李牧兵の戦術に対して探りを入れさせると、

自らは1万の兵を率いて李牧直下兵・雷伯(らいはく)1万の真正面へと前進させた。

 

王翦は、陣形展開もせずにただ前進を続け、正面からぶつかるという単純な攻めを行う。

 

王翦のあまりに単純すぎる攻め方に対し、

周囲は訝しむばかりであったが、

対する雷伯は王翦が李牧の編み出した戦術を見抜いたことに気付く。

 

王翦は、李牧がかつて麃公と戦った一戦から本能型の戦いの仕組みを読み解いて自軍へ叩き込み、

本来自身が持つ知略本能を合わせ持つ軍を作り上げたのだと察していた。

 

王翦はそれをふまえ、

自身も本能型の武将のように感覚的に

軍の戦いでの起こり

を捉え、敵兵の表情や集団の重心などから

その動きを読み取り、雷伯軍へ対応していたのである。

 

雷伯は、このままでは単に五分五分の戦いになってしまうと危惧し、

戦術を使って王翦軍を攻め始める。

しかし王翦はこの雷伯の戦術の起こりを読み解き、雷伯軍の動きに合わせて返し技で対応し続け、雷伯軍を圧倒しつつあった。

 

そのままの勢いで一気に中央を突破してくるかのようにみえた王翦軍だったが、

突然左側の戦場である田里弥軍の方向へと転進し、強引に合流する。

 

この王翦の行動に、李牧をはじめ趙軍は意図を図りかねていたが、

王翦は転進しながらも着実に指示を出し続け、

混戦の中でいつのまにか自軍の陣形をほぼ完成させてしまっていた。

 

王翦が定位置に入れば陣形が完成するというところまで仕上がった時、

王翦は大将の自身自ら前に出て、暗に李牧を誘う。

 

敵味方共に固唾を飲んで状況を見守る中、

李牧も前へ出て、王翦と対峙する。

 

王翦は李牧に対し、

 

鄴は間もなく落ちる。

唯一の趙国の重しとなっている李牧が消えれば、馬鹿な現王の支配下では間違いなく趙は亡びる。

李牧の才覚を生かすためにも、

自分と組み、力を貸すならば

2人で全く新しい最強の国を作ることが出来る。

 

と話し、自分と一緒に来るように誘う。

 

しかし李牧は、

 

あなたは国を亡ぼすことはできても

国を生み出すことはできない人間である

 

と言い、

 

あなたはおそらくこの場にいる誰よりも

愚かな人間だ

 

と言い放つ。

 

そして李牧は

報われるとか報われないなどの話ではなく、

大義

のためにどんな苦境でも全てをかけて戦うのだ、

 

王翦に話す。

 

王翦は、

必ず後悔するぞと言い残し、

李牧を殺せとの号令をかける。

 

この号令により、両軍が一気に乱戦となり、

大将2人はそれぞれ後方に下がるのだった。

 

 

 

 

一方、朱海平原では、王賁が尭雲と対峙していた。

 

王賁は尭雲に受けた傷が完治しておらず、

心臓が止まりかけるほどの満身創痍の体で復帰していた。

 

尭雲は、王賁との対戦前に

中華のうねり

についての話を聞かせる。

 

中華統一に向かう特異な王が現れた今の時代は、

中華のうねりが極限に達し、

一つになるのか、そうでないのか

応えを一度出す方向へ向かっているのだ、

と語り、

王賁へ向かって矛を振り上げる。

 

王賁は尭雲の矛を槍で受けるが、

その重みで馬の脚が折れ、重心が下がったまま自らの槍で尭雲を貫き、

尭雲を討つことに成功。

 

尭雲を討たれ激昂した尭雲兵が王賁を狙うが、そこに追いついた信が割って入り、

王賁を援護した。

 

尭雲は信が現れたことを察し、

死ぬ前に2人へ向けて藺相如からの伝言があると告げる。

 

「お前達が本当に中華を一つにする刃たらんと願うのならば

胸に深く刻んでおけ

何があろうと必ず振り上げた刃は

必ず最後まで振り下ろせ」

 

2人に伝えた後、

尭雲はまもなく息を引き取るのだった。

 

 

 

 

その頃、王翦中央軍と李牧中央軍は

互角の戦いを繰り広げていた。

 

しかし信たち右翼軍が趙左翼を突破した今、

王翦軍に勢いが出始める。

 

王翦軍が李牧本陣まであと少しというところまで迫った時、龐諼が現れる。

 

龐諼は李牧を探していた。

龐諼は、

答え

をもらいに来たと李牧に言う。

 

李牧は

求める答えを今持っているのは

龐諼自身も気づいているはずの

別の人間である、と答え、

今日のこの日が初めて会った刻に

かわした約束を果たす日だ、

と答える。

 

その頃信たちは亜光軍・亜花綿の援軍が入り、勢いが加速し始めていた。

 

対する金毛軍を押し込み、ついに突破した先には、

すぐ眼前に李牧中央軍があった。

 

信たち秦右翼は、李牧中央軍の真横に突き抜けたことにより、

ついに必勝戦略とされる挟撃に成功したのである。

 

 

信たちが李牧中央軍へ急襲をかけていた頃、

押される趙軍の中で

李牧の指示を受けた傅抵は、ある動きを見せていたーーー。

 

 

 

*  *  *

 

 

 

開戦してから15日目、鄴からの報せを聞いてからの李牧に初めて変化が見られました!

 

イナゴ作戦で鄴に国民を集め、どさくさにまぎれて間者を忍ばせておき、

満を持して兵糧を焼き払うことにより

城に押し込まれた国民同士の混乱と暴動を誘い、城を落とす‥‥

 

「列尾を越える時

あの時描いた勝機がようやく形を成して浮かび上がった」

と語った王翦勝機47巻の時点で全部思いついていたなんて‥‥!

 

王翦の言うように、李牧が趙王に謁見して

邯鄲から兵を出してほしいと頼んだ時に

もし趙王が出していたら‥‥

きっと趙は鄴を守れていただろうし、

そもそもそんな王であったならば王翦は踏み込まなかったでしょう。

 

兵を出さないくせに、鄴がもし取られたら李牧を切り刻む上に従者の一党もろとも皆殺しにしてやる、

とのたまった趙王。

本当に、こんなこと言われて李牧が何が何でも負けられない気持ち、理解できます。

自分についてきてくれてるカイネたちをそんな目にあわせる訳にはいかないですよ。

 

 

鄴の兵糧焼き事件の報せ以後、一見冷静さを保っているように見える李牧なのですが、

それ以後確実に変化がみられます。

 

王翦と一対一で話すために対峙したとき、

信たちが趙左翼を突破してきた姿を目にしたとき、

静かに目を閉じて何かを深く考えているかのような表情を見せました。

 

王翦に手を組めと誘われた時、

(まさかの王翦必殺ヘッドハンティング出たーっ!!)

愚王の下ではその才覚も報われず虚しいだけだ、と言う王翦の言葉に、

聞いていたカイネを含めて事実思うところは色々とあったのだと思いますが、

李牧は王翦をきっぱりと否定しました。

 

あなたは国を亡ぼせても、国を生み出すことはできない。

あなたは恐らく誰よりも愚かな人間だ。

 

李牧、結構キツイこと言いました。

 

李牧は報われるとか報われないとかじゃなくて、大義のために全てをかけて戦うのだ

とはっきり答えます。

 

どんな苦境でも全てをかけて戦う」

ってところで、わざわざルビがふってあって強調していたのは、

もしかしたら李牧はもう今が相当ヤバい状況だってことが分かってる、

って意味なのかなぁ。

 

なんか、56巻の李牧は、目の奥に覚悟を感じるのですよ。

 

そして王翦はさんざん言われてあっさり李牧をあきらめ、

「殺せ」

の号令をかけ、一気に乱戦へ。

 

 

そこはひとまず置いといて‥‥

王賁、尭雲を討ち取りましたね。

 

王賁の心臓の「ドググ」音、

止まりかけてる音だったなんて!

王賁がそれを自覚してることに関してはどんだけやねん!って突っ込みたくなりましたが、笑

王賁もひとまずちゃんと報われて良かった。とりあえず、戦が落ち着いたらうちの羌瘣ちゃんにお礼言っとこか。

 

時代を超えて藺相如の伝言を伝えた尭雲が散り、いよいよ佳境です!

 

そんな時に新キャラ出てきましたね。

王翦軍第4将である倉央の女・兼副官の糸凌(しりょう)

 

王翦の攻め方気になるし、尭雲まだ片付いてないし、信たちもどうなったのか気になりまくってるタイミングでいきなり登場してきて

まあまあ長い尺をとっていたので、

他が気になってヤキモキしていたわたしは

この人キライになってしまいました。笑

(でも裏表紙のカラーを見たら、結構美人だった。)

 

余談ですが、かなりの巨体な糸凌さんですが

趙軍が糸凌さんの攻撃を遠目で見て、

なんだあの大男は‥‥とか言った時、

カイネがすかさず

「違う あれは大女だ」

って見抜いていたところ、さりげにウケました。

所作で分かるだろって。笑

さすがカイネ、過去に男の子のフリしていたちび貂を女だと見抜いただけあります。

 

わたしはこういうどうでもいいところ(スミマセン)にキャラの一貫性を出してくる原先生が大好きです。笑

 

 

さて、尭雲を討ち取った後

信たちは李牧中央軍を目掛けて趙軍金毛たちをブチ抜いてゆきます。

段茶大将代理が援軍として送り込んでくれた

亜花錦がかなりいい仕事をしてくれましたね。

亜花錦の段茶へのイジリは

ちょっとだけ騰と録嗚未の関係を思い出しました。

 

いよいよ信が金毛軍を突破して、王翦軍との挟撃の態勢に入ります!

 

これはつまり、信たちが“抜けてくる”ことを見越していた王翦の読みが、

李牧を上回ったということになりますよね!

 

李牧に迫りくる秦軍、いよいよな感じになってきてカイネたちは必死に防衛しますが、

 

李牧から何やら指令をうけたらしい傅抵は

 

「やっぱこえーぞ あの人は」

 

と言ってどこかに向かいます。

 

この傅抵の言葉の意味、めちゃくちゃ気になる!

 

自分が死ぬかも、って覚悟してるし

李牧もその危険を承知で傅抵に頼んだということは‥‥

 

一体なに?!

 

そして龐諼、"答え"を求めて信を探す?!

 

てことは次の巻でもこの戦に決着はつかなそうですが、

本当に気になりすぎて待ちきれない!

 

57巻へ続きます!

 

 

【メモ】

⭕️藺相如の予言。

1つめ:争いにうんざりしている中華は一つになりたがっている。

願わくば一つに。

もしそれが他の国によって成されようとする場合、その敵に出会った時は全てをかけてその敵を殺すべし。

その時背負うもの全てをぶつけて敵を打ち砕くべし。

 

2つめ:中華を統べる刃となる敵を止めることが叶わなかった時、その敵に対しての助言がある。

「中華を一つにする刃たらんと願うのならば

何があろうと振り上げた刃は必ず最後まで振り下ろせ」

 

⭕️段茶大将代理、娘が5人いる。

 

⭕️おまけマンガ「識と礼」

お久しぶりのふたりです。

幽連の死がついにバレて、次の祭が行われることに。

子犬を飼いたい礼、どうなるのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キングダム 55巻

*ネタバレあり*

 

キングダム(55) (ヤングジャンプコミックス)

キングダム(55) (ヤングジャンプコミックス)

  • 作者:原 泰久
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/08/19
  • メディア: コミック
 

 

 

 

前巻から兵糧が無くなり、

もはや全員が全力でぶち当たるしか無い

朱海平原の戦、

いよいよ大詰めです。

 

ガチの総力戦という流れで54巻からずっと古参メンバーが皆頑張ってます。

だから、今回は14巻や44巻みたいな飛信隊のメンバーの表紙がよかったなぁ‥‥

と趙峩龍を邪魔に思ってしまいました。笑

 

そして分かっていても、やっぱり涙が出ます‥‥!松左!

 

 

 

【あらすじ】   

王賁が討たれた緊急事態の中、秦軍右翼の大将となった信。

亜光軍・玉鳳隊の協力を得て、

飛信隊は趙軍左翼の頭脳を担う趙峩龍を討つため周囲を顧みない強行突破の進撃を続けていた。

 

信が趙峩龍本陣まであと一歩というところまで迫っていた頃、

騎馬隊の背を追う飛信隊歩兵たちは激しい乱戦の中で各隊がばらつき、間延びし始めていた。

 

副長・渕は、

出陣前に貂から救援の際の指示判断の責任を共に任されていた松左と合流し、歩兵陣を仕切り直す必要があると判断。

 

渕は松左を探すが、その頃松左は新人たちの所属する隊が敵に包囲されている状況を見過ごすことが出来ず、救援に向かっていた。

 

松左は小隊を率い、干斗ら新人たちを救出するが、

混戦の中で松左は敵に致命傷を与えられてしまう。

 

その頃、趙峩龍を追う信たちは

趙峩龍の側近・徐肖(じょしょう)と徐林(じょりん)兄弟を送り込まれ、包囲されていた。

弟・徐林を信が討ち取ったことで兄・徐肖が激昂し、周囲は凄まじい乱戦となる。

 

信も深手の傷を負い、包囲はさらに激しくなるが、羌瘣隊・那貴一家が援護に入り、

立て直しをはかる。

 

深手の傷を負った信を見た羌瘣は

信との共闘が出来ない今、包囲網を脱出するだけではその後に繋がらないと判断する。

 

瘣は、包囲している敵衆はすべて趙峩龍の主力部隊だという点に着目する。

自分が主力兵を襲い続けて敵陣を乱していき、その乱れたところを信たちが狙って敵を倒していくようにと指示を出し、

信が止めるのも聞かず次々と精鋭部隊に切り込んで行くのだった。

 

(くさび)となって精鋭兵を襲い続けた羌瘣はついに徐肖をも討ち取り、

飛信隊は包囲を打ち破り乱戦を制することに成功。

 

趙峩龍軍の主力部隊を滅ぼした飛信隊は、

退却した趙峩龍本人が軍の立て直しを図る前に見つけ出して討つため、

索敵を得意とする那貴一家に趙峩龍の捜索を託す。

 

ひと段落つき、信が手当てを行おうとした矢先、すぐ後方にいるはずの崇原歩兵団の隊員から信への呼び出しがかかる。

 

後方では、致命傷を負った松左が仲間たちに囲まれ、横たわっていた。

松左は干斗に愛用していた槍を引き継ぎ、

飛信隊は本当に楽しかったと崇原へ言葉を残し、息を引き取ろうとしていたその時、

信が駆けつける。

 

信が駆けつけたと同時に松左は信の元へと歩き出し、

最期は信の腕の中で息を引き取るのだった。

 

 

 

 

信が本隊へと戻ると、索敵に出ていた那貴一家が趙峩龍の居所を探し当てていた。

信たちはすぐさま出発し、茂みの中へと急襲をかける。

 

信が趙峩龍を目前にしたその時、

趙峩龍は信へと真っ直ぐに向かい、対峙する。

 

信と趙峩龍は一騎討ちでの戦いを始める。

趙峩龍は亡き主・藺相如の遺した言葉を思いながら、全力で信へと襲いかかる。

 

信は趙峩龍の激しい攻撃を一様に受けるも

決して倒れず、

戦友たちと大将軍の夢への思いを矛にかけ、

趙峩龍を見事に打ち破るのだった。

 

 

信が趙峩龍を討ち取った後、

報せを聞いた貂は畳み掛けるように趙左翼で唯一健在な将・馬南慈を狙って横撃を開始。

それに呼応した亜花綿が挟撃する形で動き、

亜光軍も総攻撃を始める。

 

日没まで粘り強く馬南慈兵を討ち続けた結果、

秦軍右翼は趙峩龍軍・馬南慈軍ともに半壊させるまでに至る。

 

こうして14日目が終了し、信たち右翼軍は実質的に勝利を掴んだと言ってもよい戦果を得たのであった。

 

 

 

 

その日の夜。

 

秦軍左翼の楽華隊の野営地で騒ぎが起こっていた。

 

なんと突然現れた龐諼が、楽華隊に急襲をかけたのである。

 

野営地で食事の準備をしていた楽華の一部小隊は龐諼に瞬殺され、瞬く間に全滅。

 

軍議のため席を外していた蒙恬を案じた

副官・胡漸(こぜん)は、

この騒ぎにより蒙恬をこの場に戻すまじと 

瀕死の状態から龐諼へ一刀を入れるも、

龐諼に惨殺されてしまう。

 

 

 

 

翌朝、15日目。

 

夜明けと同時に飛信隊はスピード重視の進撃を開始する。

一刻でも早く趙左翼を突破し、王翦中央軍と共に李牧軍を挟撃するために

早朝から全力で突破を続けていた。

 

その時、信たち右翼の突破を待たずして

王翦中央軍が進軍を開始。

 

挟撃の段取りで戦略を立てていた貂は驚くが、

先に王翦中央軍が李牧軍へ正面からぶつかることで正面に意識が集中する隙を狙い、

飛信隊たち右翼が李牧軍を横撃し、李牧の首をとる作戦へと王翦が変更したことに気づく。

 

李牧は秦軍の戦略がどうであろうと守りに絶対の自信を置き、

兵糧での有利がある自軍の絶対的優勢に

一切の揺らぎを見せなかった。

 

しかし突然、李牧のもとへ伝者より鄴からの急報が入る。

 

急報を聞いた後、李牧軍は陣形を

攻撃の陣

へと変更。

 

陣形の変更を見た王翦は、ひとりほくそ笑むーーー。

 

 

 

*  *  *

 

 

 

ついに、飛信隊古参・副歩兵長の松左が逝ってしまいました‥‥!

 

初期の頃は結構死にまくっていた飛信隊、

(主に龐諼のせいですが)

松左は飛信隊のはじまり、百人隊結成の時から今までずっと生き残っていた

正真正銘の生え抜きメンバーでした。

11(96,97ページ)の飛信隊結成時・伍長メンバー紹介にもしっかりおります()

 

開戦前、貂に「助からないと思うところは助けにいかないで」

って言われていたのに、

干斗たち新人を見捨てることが出来なかった松左。

 

キラキラした目で入隊してきた新人たちが

戦場で成長していくさまを見てきて、

「飛信隊に入ってよかった」

と言ってくれたことが松左は本当に嬉しかったんだと思うし、

 

信とともに見てきた景色が素晴らしくかけがえの無いものだったからこそ、

新人たちに同じ景色を見せてやりたい、

見て欲しいと願ったのでしょう。

 

自分たちのせいで松左を死なせることだけは絶対に嫌だと言って、

命捨ててでも逃がすと言った干斗たちに

超絶ブチ切れた松左。

 

「皆で死地を乗り越えるぞ」

と言って突破口を切り開いた松左はまるであの時の王騎のようで、胸にぐっときました。

 

息絶える前、同じく生え抜きメンバーで歩兵として長く共に闘ってきた崇原へ

信を託すシーンもよかった。

大事な局面だったのにも関わらず、

迷わず駆けつける信もよかった。

 

松左の死が信じられずに、嘘だよなって聞く

田永の涙にも泣いた‥‥

 

松左は干斗の土下座の謝罪にも

うざいな お前は」

ってこんな時まで飄々としていて、

ほんとに松左らしくて少し笑ってしまいましたが、 

 

そんな風にいつも

熱くなりすぎない松左の

最後の新人たちへの叱咤と

最期に信のもとへ歩いていく時の姿が

ものすごく熱くて、

 

ずっと今までいて当たり前の存在だった松左の死にはこみあげてくる思いがありすぎて、

泣けて泣けてしんどかった。

 

‥‥振り返れば、飛信隊の古参キャラの中でも、

松左は独特の存在感があるキャラでした。

 

例えば飛信隊で何かしらモメたりわちゃわちゃした後、結局丸くおさまったりした時。

暑苦しく騒ぎ合う飛信隊メンバーの輪から

ちょっとだけ外れた引きの位置に、いつも松左はいました。

 

そこに松左がいて「やれやれ」みたいな表情を見せてくれることで、

なにも語らずとも

一件落着感を醸し出してくれる存在でした。

 

あと、貂のことを結構構ってて、わりとよく絡んでいましたね。

 

昔我呂が、信と貂の関係は何なのかハッキリしろやと切り込んだ時、

チラチラ羌瘣の表情を伺ったりしているシーンもあって、笑

田有とともになにかと空気の読めるキャラでした。

 

松左がいなくなるのはそういう意味でもキツいし、本当に寂しい。

 

でも、松左の死に場所はここだったんだなぁ。

後進のために犠牲になれる生きざま、

いろんな意味で見習いたいと心から思いました。

 

 

そして松左の思いを受け継いだ信、

趙峩龍といよいよの一騎討ちでしたが

満身創痍の中ついに趙峩龍を討ち取りました!

 

信、趙左翼4ボス中 2人を撃破です!

さすがに尭雲は王賁担当かな?と思いますが

(王賁、羌瘣の秘薬の効果あってか目を覚ましました!)

気が早いけど次の論功行賞が楽しみ。

 

あと今回、大活躍なのは那貴です。

 

瘣と一緒に信たちのピンチに駆けつけ、

茂みの中に退却した趙峩龍の居場所を見つけ出し、

信たちが攻め込んでいる間は敵の逃げ道を塞いで待機して体力温存、

いざ飛信隊が退却する時に退路確保の活躍!!

 

那貴、すごくないですか?!

 

あと信が趙峩龍を倒した後

那貴の

「さすがだな うちらの大将は」

って言葉、

地味に嬉しかった!

 

今回、松左の死も含めてですが、飛信隊のメンバーの絆が深く描かれていた気がします。

 

兵糧の件で後がないこともありますが、皆が一体になって戦っている表現がすごく多くて。

 

まあ貂の14日目の戦略はもはや

死線を越えて戦うこと

だけらしいですからね。

それがとても強調されていました。

 

瘣の無茶な切り込み隊長っぷり、

我呂のサポート、

田有や田永のアップもすごく多かった。

 

598話の、信が趙峩龍に一刀入れるまでの

一連の流れがとても好きでした。

 

馬南慈の足止めをしてくれている亜花綿、

尭雲軍の足止めをしてくれている玉鳳の番陽じィ、

本陣から祈る貂、

それぞれが信を信じていて、

 

瘣が信のところへ敵を行かせないように立ち塞がって頑張り、

無理して羌瘣が落馬したら我呂が助けに入ってくれて、

田永が

「負けんな 信っっ!!」

って叫ぶところの流れ‥‥

 

全員一丸となっている感じですごく熱くなりました。

 

しかしながら趙峩龍を討ち取って、やれやれと思った矢先に‥‥

なんとここでウンザリ龐諼が出現。

 

蒙恬のとこのじィが殺られてしまったのはものすごくショックだったー!!

 

でも胡漸じィが瀕死の状態でほぼ無意識に龐諼に向かって行って、まさかのひと刺しができたのには、何か意味があるのでしょうか。

 

蒙恬を戻らせまいと立ち上がり、そのあと無情に惨殺されてしまった胡漸じィの無念を思うと、切なすぎました。

 

そしていよいよ15日目、決着の日です。

 

夜のうちに龐諼出現の気配を察した羌瘣は、

「お前の危機は私が守る」

と信へ宣言して覚悟を決めた目をしますが、

 

「そういうのはやめろお前

皆で勝つんだ

ちゃんと生き残ってな」

 

と信は真剣な顔で羌瘣に言います。 

「分かったな 羌瘣」

と念押ししてるところも、羌瘣のことよく分かってる。

この子、また無茶しようとしてるってバレたんですね。

信、超カッコよかった。

 

松左を失って、信だけじゃなくもう皆がこれ以上仲間を失いたくないって強く思ってる。

 

瘣にもその思いが伝わって、

無理しないことを素直に約束してくれました。

 

とはいえ、もうこの日は夜明けから全員が全力!!

その上王翦の作戦変更によって

なんと信たちが李牧の首を狙うことに!!

まじかーっ。

 

最後に李牧のもとへ鄴から知らせが来ましたが、

うっかり前巻のことを忘れてましたよ!

兵糧焼き事件のことを!!

 

さすがの李牧も動じたのか、

陣形を変えてきました!

 

それを見て、

計画通りな笑みを浮かべる王翦‥‥!

 

いよいよ次巻で決着となるのでしょうか?

 

56巻へ続きます。 

 

 

【メモ】

⭕️亜光軍大将代理・段茶(だんさ)

追い風となると異様な強さを見せるらしい。

 

⭕️おまけマンガ

「ファルファル伝説」

ちび騰再び!

 

⭕️カバー裏

特になし

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キングダム 54巻

*ネタバレあり* 

キングダム 54 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 54 (ヤングジャンプコミックス)

  • 作者:原 泰久
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/04/19
  • メディア: コミック
 

 

54巻発売日は419日で、

映画公開日と同じ日でした。

 

わたしの住む地方は、去年から単行本の発売日が2日遅れ(引っ越してきた頃は1日遅れだったのに‥)になったのにもかかわらず、

この54巻は映画公開と合わせたのか

発売日に本屋さんに並んでいて、

めちゃくちゃ嬉しかったです。

 

表紙は信と政。

中表紙も政、信、王騎、楊端和、貂がそろった映画記念バージョンな感じ。

 

巻末には原先生の2万字インタビューがあって、読み応えたっぷり。

 

それでは、ひとまず本編のあらすじからです。

 

 

【あらすじ】

開戦より12日目の朝、隊を覚醒させ一気に趙軍左翼を押し込みにかかった信と王賁。

 

2隊の士気の高揚はすさまじく、対する趙軍の頭脳・趙峩龍は一旦後退し、立て直しを図る。

 

兵糧問題での体力の限界値を鑑み、

何としてもこの日中の戦果を得るべくと焦る飛信隊であったが、

趙峩龍が後退したことにより

結果的にその奥に位置する李牧中央軍を押し込むという成果を出せていた。

 

信たちの進撃によって機が熟した王翦中央軍は、満を持して12日間待機させていた無傷の軍を出陣させる。

 

日が落ちる頃には、王翦中央軍は一気に前進し、李牧中央軍に接近。

これは、翌日以降に飛信隊・玉鳳隊が趙左翼を突破すると見越しての進軍であった。

この日の2隊の活躍は、戦局を動かす大きな意味を持つ結果となったのである。

 

そしてその日の夜。

飛信隊ではついに最後の配給が行われる。

 

夜が明け、13日目。

趙軍が早くも動きを見せてくる。

 

趙峩龍が玉鳳隊目掛けて進軍をはじめ、

尭雲の精鋭部隊と岳嬰残党軍が飛信隊のいる位置へと動きを見せ始める。

 

尭雲の動きを注視して警戒していた信たちだったが、

突然尭雲の存在を見失ってしまう。

 

尭雲は、自らの姿を見失わせるために

岳嬰残党軍を助功として飛信隊を襲わせ、

自軍の必殺部隊は岳嬰残党軍の後ろに隠れて

王賁のいる右方向へとすり抜けていたのであった。

尭雲の狙いの本命は、信ではなく王賁だったのである。

 

尭雲の隊が玉鳳隊に接近し、王賁たちがその存在に気付いた頃、尭雲の300ほどの隊は更に数十騎の小隊に分かれ、

尭雲は巧妙に王賁本陣へと近づいていた。

 

尭雲の精鋭部隊と関常隊がぶつかり、壮絶な潰し合いになっていた頃、

とうとう王賁のもとへ尭雲の刃が届く。

 

王賁は尭雲率いる雷雲十槍ら精鋭部隊に囲まれた挙げ句、尭雲自らの攻撃をも喰らい続け、窮地に追い込まれる。

 

王賁は、攻めに転じることができない状況を立て直すために何とか脱出を試みるが、

脱出の途中 王賁を庇った関常が討たれてしまう。

 

瀕死の状態の中、そのまま逃げろと叫ぶ関常だったが、王賁は関常を救出に戻ることを選択。

王賁は決死の一突きで尭雲の右腕を粉砕するが、そのまま振り下ろされた尭雲の刃が届き、落馬してしまう。

 

王賁が討たれた絶望により、一気に士気が下りかける玉鳳隊。

 

しかし、関常の必死の叫びにより戦意を取り戻し、気絶した王賁を連れて脱出を図る。

 

一方趙軍は、尭雲が王賁を討ったことを確認し、趙峩龍が戦術を解除。

そのまま本陣へと下がって行った。

 

こうして13日目は終了する。

 

 

 

 

その夜、王賁が討たれたことを知った信は

玉鳳隊の夜営地へ訪れる。

 

瀕死の王賁を羌瘣に託し、

信は翌日に向けて勝つための軍議を

飛信隊と玉鳳隊合同で行うことを提案する。

 

玉鳳隊副長・番陽は信の提案を受け入れ、

2隊だけではなく亜光軍も交えて全体で話し合える場を設けるべきだと尽力する。

 

番陽の説得により、右翼の首脳陣が信の天幕に集まった。

この刻より、右翼の大将は信となったのである。

 

 

 

 

 

 

同じ日の夜、鄴では大事件が起こっていた。

 

鄴の城内 東西南北にある主要な兵糧庫が、

一夜にして全て焼かれてしまったのである。

 

火を起こしたのは、

前秦軍が数々の小城を落としながら行軍していた際、追い出した城の民に紛れさせて鄴へ送り込んでおいた王翦軍の間者であった。

 

鄴城主は早急に残りの食糧を集計し直し、

朱海平原にいる李牧へと知らせるため鳥を飛ばすーーー。

 

 

 

 

 

 

 

そして開戦14日目。

朱海平原では、早朝から激しい戦いが始まる。

 

兵糧が枯渇し、一刻も無駄にできない秦軍。

この日より信が実質の右翼の将となったことで、軍師の貂は覚悟を決める。

 

極端な攻め偏重の作戦により、各所の局面で死線を越えて戦うことでしか勝ちが見込めないという現実に苦しむ貂。

 

貂は、

今まで飛信隊が決してしてこなかった

助からないと思う仲間は助けに行かない

という戦い方を貫くよう、

騎馬隊の見極めを副長・渕に、

歩兵隊の見極めを松左にと、

現場の中でも視野が広い2人に救援の見極めを下す役割を任せる。

 

そして攻めに関しては、

岳雷・我呂を主とした飛麃、

楚水騎兵団・崇原歩兵団を主とし、

 

馬南慈軍と岳嬰残党軍は亜光軍が、

尭雲軍は玉鳳隊が足止めを請け負い、

 

信は趙左翼の頭脳・趙峩龍を討つため

趙峩龍鉄壁の防陣を強行突破して行く。

 

 

信たち騎馬隊の猛攻が始まった頃、

歩兵隊を率いて加勢に入ろうとしていた松左は、

趙軍に攻め込まれている自軍の小隊を目の当たりにする。

 

明らかな劣勢の状況から救助は絶望的と察した松左は、

苦渋の思いで見過ごそうとするが、

その小隊の中に干斗たち新人がいることを知り、

その足は小隊の乱戦の中へと向かうーーー。

 

 

 

 

 

*  *  *

 

 

 

 

前巻で覚醒した飛信隊と玉鳳隊。 

 

尭雲の目には

かつての秦六将の姿

を彷彿とさせるようでした。

 

そして信たちの活躍で、王翦の本陣がやっと動きます!

 

橑陽と行ったり来たりで半ば忘れていたのですが、

そもそも信たち右翼の役目は

目の前の敵を突破して押し込み、奥にいる李牧中央軍を正面から待機している王翦中央軍とで挟み込んで攻撃することでした。

 

上出来な感じで12日目を終えた信たちでしたが、

対する李牧は兵糧の絶対的有利で余裕をかましております。

 

そして李牧は夜のうちに趙峩龍・尭雲のところへカイネを遣わせて、翌日は本能型同士で相性がいい信ではなく、王賁を狙って潰せと指示します。

 

藺相如亡き後、尭雲が同じように予知夢的なものを見るようになった‥‥

っていう設定は、個人的にはうーん、と思ってしまいました。

 

予言とか予知とか、キングダムにはなんかふんわりしてて抽象的な感じが似合わないというのか‥‥。

 

例えば輪虎と戦った時の信が、

「天の導きとかどうのこうのよりも自分の足で俺は立つ」

的なことを言い放ったりとか、

 

万極の時も、積年の恨みと憎しみと呪いでおかしくなっちゃってる万極に対して、信なりに考えた上で理解を示しつつ

「もう楽になれ」

ととどめを刺してやるところとか、

 

そういう

概念的なものを飛び越える強さ

みたいなものに今まで胸を震わせてきたのです。

なので尭雲たちに関しては何となくむずがゆい思いでした。

 

でも、

世代交代

っていう大きな渦の中の流れを表現するためには必要なのかなと思ったりもします。

 

とはいえ、カイネに対する予言は、めちゃくちゃ気になる!

 

カイネにしてみたら、

李牧への忠義が過ぎるから、李牧死んだ後ワシらのようにならないか心配

みたいなこと言われたらブチ切れるのもうなずけます。

しかも夢な上に「よくは覚えておらぬが」って‥‥

そんな無責任にふんわりしたこと言われても‥‥

 

でも原先生がそんな無意味なフラグを立てる訳がない気がするし、

となると 

この予言の通りになるとしたら

李牧はここで(?)死ぬってことになります。

 

カイネに詰め寄られて、尭雲は

「そうなると断言したわけではない」

とは言ってましたが。

 

わたしは史実を知らないので、李牧は中華統一後もしばらくは死なないものだと思ってました。

死なないというか、秦に趙が獲られた後は

政に仕えないまでも頭脳を貸す、的なスタンスで生き続けるイメージを勝手に持っていて。

 

李牧自身、武力ではなくあくまで知力で戦うという方針でしたし(麻鉱は討ったけど)、

趙が秦に獲られても、趙王はクズですし、李牧は政を認めていて、政に仕えることにはそこまで抵抗が無さそうだと思ってたのです。

 

でも一方では、45巻での政との対面で、中華統一についてハッキリ意見が対立していますからね‥‥。

 

そして同じく45巻の黒羊戦のあと李牧が言っていた、

「桓騎の弱点」

が何かということと、

 

李牧が慶舎に誓った

「私がこの手で仇を討つ」

という言葉、

 

これを無視してこの戦が終わるとも思えないです。

 

ここにきてこれは李牧退場フラグなのか、どうなのか。

 

これからのキングダムの物語に李牧とカイネの2人がいないという想像が全く出来ないわたしは、

尭雲の予知夢の先がすごく気になっていますが、そろそろ答えが出る日も近いのでしょうか。

 

 

 

‥‥ちょっと脱線しすぎてしまいました。

話を戻します。

 

12日目に飛信隊・玉鳳隊の覚醒のおかげで

初めて進軍した王翦本陣でしたが、

なんと王翦、この2隊が覚醒することを読んでいたとか。

 

覚醒することを読むなんて、どんだけの読み師!?

しかもこの覚醒を見越して、あえて王賁を将にしなかったとか‥‥。

 

そして王翦は、9日目に趙軍左翼のボス陣の中で最初に仕留めるべきだったのは、

岳嬰じゃなくて趙峩龍だったとも言っておりました。

 

それは確かにそうだなぁと納得です。

51巻で、

趙左翼の4ボスは横並びだから、

最初に潰すのは最も力の劣る岳嬰だ、

と決めたのは王賁。

亜光将軍が最終的に判断したとはいえ、

岳嬰狙いを言い出したのは王賁でした。

 

実力が横並びとはいえ、頭脳を担う趙峩龍を最初に討たなかったのは確かにミスかも。

 

狙いを定めた内情を知ってか知らずか分かりませんが、

間接的に、王翦アイツ(王賁)はまだまだだ感を感じた気がしました。

 

 

そうそう、最後の配給の場面はよかったですね。古参メンバーたちへ信から豆干を手渡ししていたシーン。

 

わたしは信の初めての伍の長・澤さんがまだ生きていることを定期的に確認しては、ホッとしています。笑

尾平は泣きすぎですが、中鉄がいっつもなんか言ってるの毎回ウケる。

 

ここで信が羌瘣にだけほっぺたに豆干押し付けるいたずらしてて、

このコマ待ち受けにしたいぐらいに萌えました‥‥!

 

 

進みまして、13日目。

李牧の指示により狙われた王賁が尭雲の急襲に遭い、討たれてしまいます。

 

瀕死の王賁のもとに信が羌瘣を連れて行って治療を任せましたが、

瘣の例の魔法の秘薬と蚩尤族独自の気功術の一種のアレですね。

もはやホイミ遣いの羌瘣ちゃん、このままではどんどんチートキャラに‥‥!

 

そして番陽じィの呼びかけのおかげで右翼の首脳陣が信のもとへ集まり、

何と信が右翼の大将に!!

 

王賁の時は意地でも王翦の指示待ちだったのに、亜光のとこの段茶(だんさ)大将代理もよく許してくれたものです。

番陽が必死で説得してくれたようですね。

 

14日目、

信にとって初めての将軍級規模の隊を率いての戦いです。

 

緊張でプルプルしていた貂は

羌瘣に胸をモミモミされて(!)気がほぐれ、決意を新たにします。

ついでに信が調子に乗って羌瘣に殴られる、

というおなじみの夫婦漫才も見られました。

 

そして最後に、松左‥‥。

こちらは明らかなる不吉フラグです。

 

空を仰ぐのとか、背中バーンて描かれるやつはたいてい何かの前兆な気が‥‥()

 

54巻では序盤から松左にスポットが当たっていたので何となく感じるところはありましたが、

ラスト、

やばめな状況の干斗ら新人たちの乱戦を見過ごせずに向かってしまう松左を見て 

悲しい予感しかしないー!

 

一方鄴では、王翦が潜ませていた間者が

鄴城内の食糧を焼き放つという大事件が!!

 

 

55巻へと続きます!

 

 

【メモ】

⭕️王翦軍第3:田里弥(でんりみ)

王翦軍第4:倉央(そうおう)

 

⭕️おまけマンガ

「秘剣のナゾ」

ちび騰、かわいすぎる。

騰のファルファル伝説の幕開けです。

 

⭕️巻末

原先生2万字インタビュー

漫画「キングダム」という偶然、

映画「キングダム」という必然。

 

原先生の生い立ちから現在までがすごく詳しく書かれています。

学生時代から会社勤めの社会人時代を経て

漫画家になり、「キングダム」が映画化されるまで、が丁寧に語られていました。

 

原先生は本当にすごい。

 

社会人になって3年、ある程度苦労も失敗もして、その分野での賞を獲るという結果まで出して、

さらには先輩や上司にも恵まれた環境の中で、

 

「これ以上仕事を続けていると、もう漫画家になることを諦めてしまうと思った」

 

という理由できっぱり退職されたらしいのですが、そんなこと普通はできないです。

 

3年目、おそらく1番仕事の面白さがわかってくる時期です。

苦労した分生み出したうまみを捨てて、築き上げてきた人間関係もリセットして。

 

こういう決断をできる人は、どの道に進んでも結果を残せる人だと思うけれど、

原先生にとって一番結果を出したかった道はこの世界だったんだな。

 

原先生のことを改めて尊敬し、またキングダムの映画を観返す時に思い出して、

わたしは涙してしまうと思います。

必読のインタビューです。

 

⭕️原先生の元上司・永田さんの名前から田永がうまれる。

永田さんは、昔映画監督を目指したことがあるそう。

いま、原先生の活躍を心から喜んでくれていると思います。

 

キングダム 53巻

*ネタバレあり*


キングダム 53 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 53 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム53


&王賁の表紙、なんだか新鮮でよいですね!


今巻では、橑陽の戦いにやっと決着がつきます。


それでは、まずはあらすじから。



【あらすじ】

犬戎軍の執拗な追撃に遭い、孤立してしまった楊端和とバジオウ。


気絶した楊端和を護るため孤立奮闘するバジオウだったが、

その粘りが報われ、シュンメン・タジフら楊端和軍が援護にかけつける。

そして犬戎兄弟の末弟・トアクを仕留めたフィゴ軍も楊端和のもとへ集結する。


それとほぼ同時に、楊端和を追跡していた犬戎王・ロゾの本軍と舜水樹が現れ、

カタリを討った後楊端和を追っていたブネンの軍が合流。

加えてカタリの仇を討たんとブネンを追っていたキタリら壁軍も到着し、

一気に周囲が各軍で埋め尽くされる。

いよいよ橑陽の戦いは決着の刻へと近づいていた。


各族が入り乱れ大混戦となったが、

カタリの妹・キタリはブネンに追いつき、自らの手でブネンの首を討ち取る。


そしてフィゴ軍の王・ダントは犬戎王・ロゾと対峙し、死闘を繰り広げる。

乱戦の中、ダントはロゾの後方で壁が機を図っていることを察し、自らが囮となってロゾの注意を引きつけていた。

壁はロゾがダントに気を取られている隙を狙い、見事ロゾを討ち取る。



一方舜水樹は、楊端和が自らを犠牲にし、犬戎の城から犬戎軍本陣をあぶり出すための囮となっていたことに気づき、

手薄にしてしまった橑陽城に引き返していた。


夜明け前、舜水樹が城に到着すると、

すでに城は山民族が占拠した後であった。


楊端和が出陣前に猿手族に任せていた別働隊が主となり、

さらには追撃される途中散り散りに逃げ分かれた山の民の各族が結集の地である橑陽城へと徐々に集まったことで

楊端和との約束通り日の出までに城を落とすことができたのである。


楊端和は窮地に追い込まれるであろう自らの負担は厭わず、

退却の際仲間には自分の援護には来ず城を目指すようにと命じていたのだった。


楊端和の策に嵌められていたことに舜水樹が気づいた頃、

戦いの勝敗が決した犬戎軍と楊端和軍が共に城に到着する。


舜水樹は犬戎軍とともに城を取り返そうとするが、

王・ロゾを討たれた犬戎軍は楊端和の側につくと宣言。


家族を人質に取られ、圧政を敷かれていた犬戎の者たちは、それを知りながら無視し続ける趙軍に以前から不満を抱いていた。

楊端和は犬戎の者たちが望むのであれば

自分は仲間を支配するのではなく解放者となろうと提案する。

犬戎たちは楊端和の軍門にくだり、その提案を受け入れることを決意。

舜水樹は趙軍を引き連れ、橑陽の地を離れることで決着が着くのだったーーー。





一方、朱海平原では、

信たち属する右翼軍には亜光将軍が討たれた後も王翦からの指示は無く、

将不在のまま10日目の戦いを終えていた。


このままでは軍の士気が保てないと危惧した亜光軍は、

王翦の嫡男であり、亜光軍全兵から望まれている王賁こそが右翼全体の将となるべきであり、

今後の指揮を執ってほしいと懇願する。


しかし、亜光軍から王翦本陣に大将交代の要請の伝令を幾度となく送っても、

王翦の答えは現状維持であった。


落胆する亜光兵を目の当たりにし、

頑なに王賁を将に据えない王翦の判断に対して疑問を持つ信と貂だったが、

王賁本人は王翦の指示に従うだけだと冷静に振る舞う。




その夜、信は玉鳳隊の番陽副長と関常が話し込んでいる場にたまたま遭遇する。


関常は、

今回の王翦の采配は明らかに理屈が通らず、

これはただの父子の確執ではない事態である

と番陽に不満を漏らしていた。


そして、

王翦と王賁が本当の親子ではないという噂が本当なのではないかということ、

そしてその噂を王賁本人が気づいているのではないかということを

番陽に訴えるが、その話を信が聞いてしまう。


関常は咄嗟に自分の発言を否定した上で

信に他言無用を強要するが、

番陽は、予断を許さぬ戦況の中で事情を知る自分たちが死んでしまった時、

王賁の抱えている苦しみを知る者が居なくなってしまうということだけは避けたいと考え、

信に核心を話しはじめる。


王賁が産まれる前の話である。

王賁の母・朱景(しゅけい)は貴族中の貴族の出の姫であり、同様に名家である王家の王翦のもとへ嫁いできた。

しかし朱景には王翦との婚礼の前に好いた男がいたとの噂があり、

結婚からほどなくして身ごもった子ども(王賁)はその男との子なのではないかとの噂が広まった。


その噂の真偽を問おうと周囲が朱景に確認するが、当の朱景はそのことに関して固く口を閉ざしたという。


そして王賁出産の際、朱景は命を落としてしまい、結局真実は闇の中となってしまった。


もしその噂が真実であるのならば、

王賁は王翦の愛する妻の命を奪った赤の他人ということになってしまうのだ、と。





夜が明け、11日目を迎えた信たちだったが、いよいよ右翼の兵糧が底をつき、

飛信隊の予備分を切り詰めてもあと2日分しかないというところまでに追い詰められていた。


対する趙軍は、秦軍に兵糧が残りわずかだと察し、体力も士気も低下するであろう12日目に秦軍の戦力を潰そうと目論んでいた。


11日目が終わり、右翼の亜光軍から王翦本陣へ再三指示を仰ぐ伝令を送るも、王翦がそれに応えることはないままであった。


その日の夜、信のもとへ王賁が訪れる。


王賁は、兵糧の期限がいよいよ残り1日となる以上、

もはや戦術でどうこうできる状況ではない

と信に話す。


打開策はもはや玉鳳隊・飛信隊の2隊がこの一夜で覚醒をし、

明日の開戦までに敵より強くなる以外に勝つ道はないと信へ告げ、立ち去る。

しかし当の王賁ですら、何も思いつかないまま時が過ぎ、夜が明けるのだった。


翌朝、一晩中考えあぐねた信と王賁の2人は、

図らずも同時に自軍の前に立ち、開戦前に隊全体に向かって檄を飛ばす。


百人隊から始まった隊への想いと仲間への想い、自らの夢が込められた檄は兵たちの心を熱く動かし、士気が爆発。


ほぼ同時に覚醒した2隊は、お互いが戦術無視の全軍総攻撃をはじめ、

なんとそのタイミングが見事に重なるという奇跡が起こる。

秦軍主導の進撃により、12日目の戦いが始まるーーー。




*  *  *



46巻から始まった鄴攻めですが、

橑陽10日目、やっとひとつ勝ち星ゲットです!


前巻で端和様が追い詰められ大ピンチとなりましたが、

スーパーナイトなバジオウが守り抜き、仲間たちの援軍が間に合いました。


570話の扉絵のバジオウ、お面がちょっと割れて左目が初披露されています。

切れ長の目が‥‥めっちゃイケメンですやん!


山の民の援軍が来てくれて喜んだのも束の間、一瞬のうちにロゾやら舜水樹やらブネンやらが湧いてきて、

こっちはブネンを追っかけてきたキタリ&壁にフィゴ軍が集まり、

あっという間に大乱戦となりました。


兄を討たれたキタリ、ブネンを瞬殺していたのがスカッとしたー!

ソッコーで右指5本全部と、左手斬り落とされても(速すぎて)キョトンとしてたブネン、

やっと自分の置かれている状況を理解したと思ったら、汗かいてまさか背を向けるとは。


キタリに八つ裂きにされて終わりました‥‥

キタリ、つよ!!


そして絶対無理だと思っていた(ゴメン)壁のロゾ討ちでしたが、

フィゴ王ダントのおかげで見事成し遂げました。

よかったね、壁!


ところで意識なく討ったあの一撃での掛け声が、まさかの信のお株

「ルアア」

だったことに爆笑しました!


壁は信の兄貴分だけど、戦においては出会った頃から信に一目置いていたし、

歳下ながら、元下僕ながらも戦での信には尊敬の念すら抱いていたとは思うのですが、

こういうところで思わぬ影響受けてたの、 何かウケました。笑


でもフィゴ王ダント、端和様の股ばっかり狙っててアホな感じだったけど、

犬戎兄弟のトアクを瞬殺していたし、ロゾとも互角並みにはやりあっていたし、

なかなかの実力者だった。

それとロゾが犬戎の歴史をドヤってた時、


「何百年も前からこんな平地の孤島に留まり続けて新しい道も示さずに王だの祖だのといつまでも自慢してるけど

そんなお前らより外の大山界で覇権争いしながら夢持ってやりあってきた楊端和や自分達の方が強いに決まってる」


的なことをダントが言い返してて、

結構熱い奴だと思いました。

手柄も壁に譲ってくれたし、めちゃいい奴じゃないですか。


そして見事漢(おとこ)を見せた壁でしたが、この一撃のことは意識が飛んでて覚えてなかったのだとか。


とはいえ端和様にも褒められて、壁めっちゃ嬉しそうでした。


端和様も、今回は結構な大ピンチでしたね。

舜水樹に嵌められたと思ってたら実は嵌めてた、ってところが舜水樹ザマァでした。


あと、キタリがブネンを討った後、

犬戎兵が

「このまま逃げたら城にいる家族もろとも殺される」

的なことを叫んでいた姿を端和様が気に留めていたり、

壁がロゾを討った後の犬戎兵たちの不安そうな表情を見逃さずにいたこと、

この辺から端和様は敗者である犬戎の兵たちを受け入れる心積もりでいたのだろうけれど、

結局今まで恐怖で支配されていた犬戎たちも

端和様の仲間となり、

ますます山の民の勢力が拡大することにも繋がったとは‥‥

趙の領土において、これはなかなかの大きな収穫ですね!


そして橑陽を追い出された舜水樹は、

鄴ではなく列尾に向かったとかで、

秦軍が脱出できないように出入り口を封鎖しに行ったらしい。

奴は奴で李牧を信じて鄴が落ちないと確信した上での行動だということでしたが、

このことが後で面倒くさいことにならないといいのですが‥‥。


ところで余談をひとつ。

このあたりでシュンメンが端和様に冗談で

「今 バジオウが静かに息を引きとりました‥‥」

って報告した時、

マジかと思って思わずわたしも「えっ」て声が出てしまったのですが(びっくりした)

嘘だと分かって端和様にブチ切れられボコボコにされたシュンメン、

その後数ページにわたってしれっと端和様の椅子がわりに尻の下に横たわり続けていたのがわたし的にめちゃくちゃツボでした!!笑

(特に108ページと、109ページ最後のコマのアングルとか笑える)



さてさて、鄴攻略のための3手のうちやっとここでひとつの勝ち星があがりましたが、

鄴自体は桓騎の監視のもと、動き無しで兵糧が残り3日分ほど。


そして肝心の朱海平原ですが、亜光将軍が討たれて兵糧も切り詰めてあと2日分。

9日目時点では、3日間で岳嬰・馬南慈・趙峩龍・尭雲を倒して、1日で李牧、1日で鄴に行く予定だったものの、

9日目に岳嬰は討てたけど亜光将軍が討たれてしまい、

10日目と11日目は秦軍の兵糧減り待ちで

趙軍も大きな動きを見せてこず、

あっという間にもはや12日目です。

ごはんも手のひらサイズの豆干(とうかん)のみ‥‥

いよいよ後がない‥‥


焦る貂たち。

王翦からの指示もなく、何も打開策が見いだせなくて絶望しているところに現れた王賁が持ってきた提案(?)

隊の覚醒

でした。


こはちょっとズコー!っとなってしまいましたが(ゴメンナサイ)

それほどどうしようもない状況だということが伝わります‥‥。


あと、長年の間けっこう引っ張られていた

王翦と王賁の確執

に関して、やっと謎が明かされましたね。


あくまで噂とのことでしたが、王賁のお母さん(朱景さん)が元カレの子を身ごもったまま王翦と結婚したのだとか‥‥


でも、朱景さんの表情を見る限り、心外だわーって思ってる感じに見えるので、わたしはよからぬ噂を立てられただけで王賁は普通に王翦との子じゃないのかなと思いました。


後で、かつて朱景さんに信用されていた侍女的な人が出て来て、実は聞かされていた真実!みたいなのを明かしたりしてくれたらいいのだけど。


真実はどうあれ、そもそもあの王翦

王賁の出自を疑っていて、

その上

「愛する妻の命を奪った」

とか殊勝なことを思ってるのであれば、

それはそれで何だか意外な一面だったりもするのです。


そしてもしそう思っているのだとして、

「俺の血を引いてないから任務まかせられん」

とか思うタイプなのかなぁ。

名家だし、血筋が重要なのは当然なのですが、

後継ぎ問題はおいとくとして、戦場において王翦は感情論では動かないだろうと。


蒙恬の実力とかは普通に認めたりしてるし、

敵でも能力があればすぐヘッドハンティングしようとするし、

血筋云々以上に実力重視なタイプだと思うのですよね。


だから王賁に関しては、番陽じィたちが思っているような理由ではなくて、

王翦的には何か別の理由があるんじゃないのかなぁと思ったりしてます。


自分の国をつくりたがっている危険人物」としてキングダムに登場した王翦でしたが、なにかその理由というか、その背景とこのあたりの事情がからんでいるのかもしれませんね。

その辺も、今後の展開を見守っていきたいと思います。


さて、次巻は士気が大爆発した飛信隊と玉鳳隊がどう出るのか?


54巻へ続きます!




【メモ】

⭕️壁、メラ族たちから「ヘキショウグン」と讃えられる。


⭕️尾平、三什長になってた。


⭕️おまけマンガ

「橑陽 宴の続き」


端和様の股をめぐり、壁が大損するお話です。笑

ダント、アホでかわいいな。


⭕️カバー裏

表紙側:タジフ・バジオウ・シュンメンのお面

裏表紙側:泡を吹いて気絶する壁





キングダム 52巻

*ネタバレあり*


キングダム 52 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 52 (ヤングジャンプコミックス)


52巻の表紙は端和様&バジオウ。

端和様、表紙のご登場多いですね。

今回は、単行本の帯のコピーが

「橑陽は修羅の刻

な通り、

橑陽メインで1冊丸1日の戦いです!


あらすじから追っていきたいと思います。



【あらすじ】

馬南慈との一騎討ちの最中、虞寧を突破してきた尭雲に挟み込まれた亜光将軍。


21の劣勢となりながらも激しい討ち合いを続けるが、剛将2人に挟まれ容赦なく浴びせられる攻撃を防ぎきれない亜光将軍には限界が近づいていた。


馬南慈に強烈な一撃を喰らい、意識が尽きかけたその時、

間一髪で援護に来た亜花錦が落馬した亜光将軍を受け止め、そのまま脱出を試みる。


その頃、亜光将軍の危機を知らせる急報を受けた王賁は、岳嬰討伐の任を信に託し、

関常隊のみを残して玉鳳隊を引き連れ

亜光救出へと向かう。


尭雲と馬南慈の猛追に遭っていた亜花錦だったが、

王賁の援軍が到着し、何とか死地から脱出。

しかしこれにより、亜光軍は大きく後退することとなった。


一方、主・慶舎の仇である信に対し、激しい憎悪の念を爆発させた岳嬰は、

信の姿目掛けて突撃してくる。


しかし信は、向かって来た岳嬰を一刀両断し、瞬時に討ち取るのであった。





同じ頃、9日目の戦いが始まった橑陽の地では、楊端和の作戦通り[バジオウ軍・フィゴ軍・壁軍]の三手に分かれ、犬戎三兄弟との激しい攻防が繰り広げられていた。


中でも犬戎一の恐将の異名を持つブネンを狙う壁軍は最も勢いに乗り、敵軍を押し込んでいたかのように見えたが、

ブネンは自軍の精鋭部隊をあえて隠しており、勢いづいて突破してくる壁軍を待ち構えていた。


壁軍に首尾よく前進させていたのは、疲弊したところで精鋭部隊により刈り取らんとするためのブネンの罠だったのである。


策に嵌められ絶体絶命の危機に陥る壁だったが、

メラ族のカタリ・キタリの援護が入り、何とか持ち堪える。

しかし、敵味方構わずに矢を放ち、自軍の精鋭部隊を巻き込むことをも厭わないブネンの非情な戦い方により、再び窮地に陥ってしまう。


窮地を脱するため、メラ族・カタリはブネンの指揮官・ジリと対峙し、一騎討ちに。

カタリの刃はジリを貫くが、

ブネンの指示により捨て駒となったジリは貫かれた刃ごとカタリを羽交い締めにし、

更にブネンは自軍の兵を左右に送って3人がかりでカタリを拘束する。


動けなくなったカタリは、ジリの体もろともブネンの刃に貫かれ、絶命してしまう。


目の前で兄・カタリを討たれた妹・キタリは激昂し、捨て身で剣を振り回すが、

族長であるカタリを失った他のメラ族たちは

あまりのショックに戦意を喪失してしまっていた。


このままでは全滅すると判断した壁は気絶したキタリを助け、退却の指示を出す。





一方、末弟のトアク軍と戦っていたフィゴ軍は、兵の半数を失いながらも敵将・トアク

を討ち取ることに成功していた。


そして長兄・ゴバ軍を押し込みかけていたバジオウ軍は、

陽が落ちきる前に城へ後退していくゴバ本軍の動きを警戒していた。

ゴバ軍の退路を断つ役割を負っていたシュンメンらは、

この日ゴバとの決着を着けなければ戦いに敗れる危険を孕んでいると懸念し、ゴバ軍の退却を阻止すべく猛追する。


しかし、シュンメンが追いつく前に、ゴバ軍の退路を楊端和がふさいだ。


この日中の決着を急ぐ楊端和は、本陣を動かし、ゴバの前に自ら現れたのだった。


しかしその時、後方の城から犬戎の大軍が現れ、楊端和はゴバ軍と城から現れた軍によって挟まれてしまう。

なんと城から現れたその軍は、犬戎王・ロゾが率いる本軍であった。


この状況に至るまでの全ての筋書きは、舜水樹が読んだものであった。


さらに舜水樹は、自らが率いる趙軍の兵を犬戎の城に隠しており、次々と出陣させる。

これにより、楊端和軍は四方を囲まれる絶望的な状況へと追い込まれてしまう。


楊端和は、状況を把握し、すぐさま全軍脱出の指示を出す。

しかしこの日の最低限の戦果であるゴバの首だけはまさに電光石火の早業で討ち取り、

四方の包囲を正面から突破し、退却の道筋を切り開いた。


ほどなくして日没となり、闇に紛れながら敵を巻こうとする楊端和軍だったが、

ロゾ軍・趙軍の連合軍は常にその背中をとらえ続け、着実に山民族の兵を討ち減らしていた。


壮絶な追跡を受け、ついに行き止まりの地に追い込まれた楊端和。

しかしバジオウが突破口をつくり、楊端和は敵を迎え撃つ作戦に出る。

そしてここからは各族ごとに別れて追撃を切り抜け、日の出まで何としても逃げ切るようにと全ての族長へ伝令を送らせる。


各族がバラバラに脱出を遂げた暁には、必ず日の出後に

結集の地へ集うことを命じ、

再び楊端和軍は闇の中へと脱出を図るのであった。


兵力を分散し、各自で結集の地を目指す楊端和軍だったが、

犬戎軍の執拗な追撃を巻くことができず、

楊端和はついにバジオウと2人、窮地に追い込まれてしまう。





バジオウが楊端和を護りながら死闘を繰り広げている頃、

おのおので危機から脱出していた各族長らは、楊端和の示した結集の地へと向かっていた。


楊端和が示した再結集の地はなんと

犬戎の城であった。


9日目の開戦前、楊端和は猿手族の族長・エンポじィへある任務を命じていた。


楊端和は、自らが囮の役割を果たすことにより犬戎の城から大軍を引き出せると予測していたのである。

楊端和の読み通り舜水樹は城に隠していた自軍の兵を出陣させており、

城内が手薄になったまさに今、城の中へと侵入するべく

猿手族は一斉に壁を乗り越え始めるーーー。




*  *  *



端和様、大ピンチ!


そしてバジオウの騎士っぷりがすごかった!


何と言っても見どころはラストです。

端和様、ピンチに次ぐピンチの果てに、

舜水樹に全部読まれててまんまと罠に嵌められたー!とガッカリしていたら、

なんと端和様はその先まで読んでいたとは!!


前巻で、エンポじィに何か頼みごとをしているシーンがありましたが、

まさか自分がエサになることを見越していて、

手薄になった城に侵入する作戦だったとは‥‥

まじ天才すぎでしょ!


結果的に橑陽では、この日の目標としていた3将の首のうち、壁軍担当のブネン以外の首は獲れちゃいました。


壁は見開き使って活躍してたはずだったのに、

まんまとフツーに罠にかけられていたとは。。

そして残念ながら、キタリの兄ちゃんのカタリがやられてしまいました。


目の前で兄ちゃんを殺されてしまった怒りと絶望で一時は捨てばちになっていたキタリでしたが、

壁の励ましにより新しい族長となることを決意。なんとか立ち直ってくれたようでよかった。


このブネンとかいう奴、3兄弟のうちで最も残虐という前評判通り非情なヤツすぎて、

キタリを殺すために自分の命を犠牲にした敵のジリも気の毒っちゃあ気の毒に思えます。 


何でも、圧倒的恐怖心で従わせるブネン軍は兵達の家族を人質にとっていて、

手柄をあげれば報奨がもらえるけども

ブネンの命令に逆らえば一族皆殺しにされるのだとか‥‥

恐怖で支配する絶対服従の軍のようです。 

ジリがカタリを仕留めに行こうとした時にブネンと交わしていた、


「分かっているな(万一トチったらオメーの命捨ててでも道づれにしろよな的な)」 


「‥‥ハ!」


のやりとりの中で、こんな一瞬の会話で自分の命を捨てる覚悟をしなければならなかったジリにも、

人質にされている家族がいたのかもな‥‥

と思うと、ちょっと同情の気持ちも。


壁はキタリを連れてひたすら退却したので、

結局ブネンの首はとれずに日没に。


ブネンは壁たちを追ってこず、端和様を狙ってロゾ本軍・趙軍の連合軍に加わりに行ったとかで、ひとまず壁たちは命拾いってとこです。


ラストの逃亡劇はバジオウがひたすらすごかったですね。

足を負傷してしまった端和様をかついで、

めちゃくちゃ深い谷底を飛び越えちゃいました!バジオウのジャンプ力どんだけ!?


逃げ切ったかと思ったら、容赦なく鼻利きの犬戎たちに追跡され、バジオウはさらわれかける端和様を取り戻すべく何度も立ち上がって‥‥健気すぎる!


次巻では必ずや端和様を取り戻せると信じてます!


‥‥ひたすら追い詰められまくってあっという間に一冊が終わってしまった‥‥

ちょっとヒヤヒヤはしながらも、端和様がこんなところで死ぬわけがない(と思い込んでしまっている)ので、

あまりハラハラドキドキはせずでした‥‥


今巻は、一冊のうちほとんどが橑陽で終わってしまったので、

やっぱり朱海平原の信たちが気になるわたしとしてはちょっとだけ物足りなかったような気がします。


最後に感想の順番が逆になってしまいましたが、

信が岳嬰を瞬殺したシーンは良かったですね!

斬られた岳嬰の表情が秀逸でした。

このシーンを見た時ふと、14巻で豚の渉孟が王騎に胴体ごと斬り飛ばされたシーンを思い出しました。


いつもならルアア!!って叫んだりしてる信が、今回は目を閉じて王騎の姿を浮かべ、

大将軍の間合い

で岳嬰を一刀撃破!


54ページの信、めっちゃいい顔してました。

信に近づけないほど敵に畏れを抱かせる渾身の一刀、

信の成長がすごく嬉しい。



さて、巨軀・亜光将軍を背負って逃げた力持ちすぎる亜花錦のおかげでピンチを脱した亜光軍と王賁たちでしたが、

ボスの生死やいかに?!


そして信が発した、王騎を彷彿とさせる

武将の気配に反応したアイツ‥‥

わたしの大嫌いな龐煖が目覚めてしまいましたが、

いつ姿を現すのか?


53巻へ続きます!



【メモ】

⭕️舜水樹が連れてきた公孫龍将軍、バジオウに右手を斬られる。


⭕️エンポじィの猿手(えんしゅ)族、

壁を走る者の異名を持つ。


⭕️カバー裏:表紙側 王騎の矛

 裏表紙側 なし