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キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

【コミックス未収録】読み切り 「李牧」

*ネタバレあり*


キングダム連載前に、ヤンジャン本誌に掲載された読み切り、「李牧」。

舞台は趙国で、李牧とカイネの出会いが描かれた作品です。

この読み切りの評価が高かったおかげで、
キングダムの連載が決定したと言われていますね。

コミックス派のわたしは未読だったのですが、
数年前にこの読み切りが掲載されている販促用の小冊子をTSUTAYAで見かけて以来、
ちゃんと読みたいと思ってずっとずっと探していました。

2010年に発売された総集編にも掲載されていたようですが、
同じくコミックス未収録で総集編に掲載されている蒙武と昌平君の読み切りがかなりネタバレとの噂があるので、
あえて手を出しておりません。

(39巻現在・本編の流れからいうと、こっちの読み切りの方が読むのにいいタイミングな気もしますがね‥‥)

いつかは、コミックス未収録の読み切りなどをまとめて単行本化される日もくるのかな?
とは思いつつ、
この度ついに李牧読み切りのみの小冊子が手に入ったので、
ここに内容をまとめておこうかなと思います。


小冊子には原先生のコメントもあり、

「キングダム本編でもこの二人(李牧とカイネ)のエピソードにはふれていないので、
この読切はネタばれになってしまうのがひっかかりましたが、
しかし過去の読切を載せる場もなかなかないのでよしとしました。
いずれ本編でもこの辺の話は‥‥。」

と書かれています。

本編でもいずれ触れてくれるつもりなのかぁ、と一瞬読むのをためらいましたが、
合従軍を率いる前後ぐらいの時期から
李牧の背景がずっと気になっていたので、
結局読みました。笑

でも、
本編でその辺が描かれるまで待ちたい方は読みとばしてくださいね。
ちなみに、今後のストーリー展開に関わるようなネタバレは無かったのでご安心ください。

それでは、あらすじです。



【あらすじ】
趙国 北方の地、鴈門(がんもん)。

その土地は、そこからさらに北方の山間に存在する"匈奴(きょうど)"と呼ばれる凶暴な騎馬民族たちの度々の襲来により、
絶大な被害を被っていた。

匈奴たちは、時折南下してきては、犯し、奪い、殺し、去ってゆく。
鴈門の地を守るように趙の中央から派遣されてくる将軍たちは、匈奴との激戦に次々と敗れ、これまでに何人もが討ち死にしていた。

ある日、また戦死した将軍にかわり、国都・邯鄲(かんたん)から鴈門に新しい将軍が送られてくる。

李牧というその将軍は、
温和な顔つきの風情も含めて
今までの将軍とはまるで違っていた。

李牧は住民たちに
「不戦逃避」
を言いつけ、匈奴が襲来したら戦わずに砦に逃げろと指揮をとりはじめる。

長きにわたり凶暴な匈奴の被害に遭ってきた住民たちは、戦いを避ける李牧の策に納得しかねつつも、
毎日鴈門一帯の各集落を訪れては砦に避難する訓練を行い続ける李牧の指示に、渋々と従っていた。



しかし、一部の者たちは、李牧の策に納得できぬまま、不満を抱えていた。

特にカイネという女剣士は、両親を匈奴に殺されたという過去を持ち、匈奴を心から憎んでおり、
カイネは、戦わずして逃げる"腰抜け"な訓練をする李牧に対し、何かと食ってかかっていた。


そしてある日。

李牧が鴈門の将軍に任命されてから初めて、
匈奴が村を襲ってくる。

匈奴を迎え撃とうと準備する住民たちに、
李牧は戦わずに砦の守備をせよと指示。

カイネは反抗するが、
李牧は、指示に従わない者は
「斬首」
だときっぱりと言い切る。

住民たちは結局李牧の指示に従い、
家財・家畜とともに砦に逃げていた。
そして匈奴が村に着いた頃には住人はもぬけの殻であり、
匈奴たちは腹いせに村に火をつけて去って行った。

家々を焼かれ、悲しみに暮れる村人たちだったが、
李牧の指示のおかげで死傷者は1人も出ず、
焼かれた家々を再生すべく率先して山仕事をこなす李牧の姿に、住民たちも徐々に心を開いていった。



一ヶ月後。

再び匈奴が攻め入ってくる。

李牧の策によりまたしても集落が抜け殻だったことに腹を立てた匈奴たちは、
砦の下に現れ、侮辱的な発言でカイネたちを挑発。

親を侮辱され、頭に血がのぼったカイネは暴走。
開門しろと怒り狂うが、
李牧に制止され、牢屋へ入れられてしまう。


その夜、牢屋まで来てくれた昔なじみの昭(しょう)に対し、
カイネは匈奴に対する怒りと
戦おうとしない李牧に対する怒りをぶつけていた。

カイネの気持ちを汲む昭は、1人邯鄲へ出向き、
李牧への苦言を伝えるために趙王に謁見するーーー。





李牧のおかげで結果的に匈奴を撃退できているという現状に、住民たちは満足していた。

ある意味においての勝利だ、と喜ぶ住民たちを尻目に、
カイネは敵に屈しているだけだと憤り、

「趙人としての誇りや殺された仲間たちのことを思えば、
敵に背を向けて生き延びたとしても
我らの魂は死ぬのではないのか」

と李牧に訴えかける。


そんなカイネの姿を見て、
カイネの過去を知る李牧は
"ある男の話"として、
自らの過去を話し始める。



《今のカイネと同じ目をしていたその男は、
カイネと同じくらいの歳の頃、
戦争で両親と兄弟を失った。

男は怒り狂い、その念は部隊にいた同年代の者たちにも伝染した。

彼らは部隊長の制止を無視し、無謀にも敵陣に突撃した。

男は我を忘れて矛を振り、
気付けば敵陣を全滅させていた。

しかし、気付けばまわりの仲間たち‥‥
男以外のすべての人間は全滅していた。
男は、従兄弟も隣人の兄弟も、友人たちをもすべてを失った。

その時男の心に去来したものは、
家族の恨みを晴らした達成感ではなく、
今まで味わったことのない
耐え難いほどの失意であった・・・。》



カイネは、李牧が自身の話をしてくれたのだと察する。

そして李牧は、
設備も装備も兵力も不足している鴈門の地には、そもそも"勝利"など無く、
数十万にも膨れ上がった匈奴を討つことは絶対に不可能だ、と話す。

しかし、勝利がないのであれば徹底的に守り、
たとえ臆病者とも卑怯者ともののしられようが匈奴には味方に指一本触れさせはしない、
それが自分の役目だ、
と言い切る。

そしてカイネに、

「生とは自分が思っている以上に重く尊く守られるべきものであり、
そのことを憶えていてほしい」

と伝え、
カイネもその言葉を重く受け止めるのだった。



後日ーーー

昭がカイネの気持ちを慮り、趙王に密告したことがきっかけとなり、
李牧は突然鴈門の地での将軍の任を解かれてしまう。

何も知らなかったカイネは昭を責めるが、
李牧は厳しい取り調べを受けるため
邯鄲へと引き戻されてしまうのだった。



そして、鴈門には新任の将軍が派遣されてくる。


新しい将軍は一転して好戦的人物であり、
匈奴の襲来に対して大挙して討って出るが、
匈奴の前に大敗。
将軍は討ち死に、鴈門は蹂躙されてしまうという最悪の事態に。

かろうじて生き残ったカイネら兵たちは、
家を捨て南下するが、
全滅寸前の状態に陥っていた。

戦死した昭の亡骸の前で泣き崩れるカイネは、
李牧がいた頃を懐かしむ兵たちの言葉を耳にし、
涙が止まらない。

数えきれないほどの仲間たちの骸と墓の前で、絶望感に打ちひしがれるカイネ。

とその時、
暗闇の向こうから人影が現れる。

気配を察し、剣を構えるカイネの前に現れたのは、
李牧だった。


「ただいま カイネ
残念ですけど今日からまた
腰抜け作戦の始まりですよ」



ーーー李牧が戻り、この後 鴈門は奇跡の復活をとげた。
そしてまた匈奴は何一つ奪えない日々が続いたと『史記』には記されているーーー



* * *



本編では、李牧崇拝のカイネですが、
当初はこんなに反発していたんですね。

39ページほどの読み切りだったので、
できるだけ詳しくあらすじを追いましたが、

簡単にまとめると・・・

もともとカイネは趙の北方に生まれ育ち、
両親を殺した"匈奴"に恨みを持ち、
日々復讐を願って剣の腕を磨きながら生きていた。

そこへやってきた新しい将軍・李牧は、
戦いを避けて砦にこもる作戦しか指示せず、
匈奴に復讐したいカイネの怒りの感情はおさまらない。

しかし、李牧にも戦争で両親や兄弟全てを失った過去があった。
李牧が怒りに任せて無理に戦争を進めたばかりに、仲間たち全てを失った。
その時の失意の底のような絶望感を今でも背負っているかのような李牧に対し、
カイネは、李牧は自分と同じようなことになって欲しくないと言いたいのだ、と悟り、
李牧の作戦にも理解をし始める。

しかしながら、カイネの匈奴への怒りを知る昔なじみの男の子・昭くんは、
戦おうとしない腰抜け李牧を追い出そうと
よかれと思って1人趙王に謁見し、密告します。
(一般人が王様に会えるのか??
という素朴な疑問は浮かびましたが。笑)

匈奴と戦い、両親の敵を討ちたいカイネに喜んでもらいたくてとった昭くんの行動でしたが、
カイネはカイネで李牧の過去を知り、
李牧の想いを理解しつつあったので、
李牧を卑怯な手で追い出した昭くんを責めます。

結局李牧は邯鄲へ引き戻され、
鴈門は以前のように匈奴に荒らされるように。

いよいよ鴈門一帯は蹂躙され、昭くんをはじめ、仲間たちもほぼ全滅。

あの時聞いた李牧の話が痛いほど胸に響き、
絶望に涙するカイネの前に、
再び李牧が戻ってきて、
カイネは泣きながら李牧に抱きつき
生き残った兵たちは李牧の帰還を喜ぶ・・・


といったお話。


短いながらも、
李牧の背景はしっかり分かりましたし、
カイネが何故あんなに李牧を慕うのか、
何故女ながらに李牧の側近的な位置にいつもいるのか、
その辺りの疑問もおおむねすっきりしたので
読んで良かったです。


この読み切りで出てくる"匈奴"は、
ご存知本編でも揚端和様のお話の中で登場します。

15巻で、王騎復帰戦・秦 VS 趙の戦いが繰り広げられていた最中、
咸陽の政のもとへ揚端和様が突然訪ねてきます。

端和様ら山の民は、勢力を拡大し、8万の軍を率いて北の騎馬民族匈奴
討ちに攻め入ったところ、
なんと10万以上もの匈奴たちはすでに全滅。

ほかの地域の山民族に比べ、桁違いの武力と軍勢を持っていたはずの匈奴が、
死体の様子から察するに
"武力"ではなく
何者かによる"策"の力によって
一方的にやられたように見えた、
と政に話します。

端和様は、戦場の位置関係から、匈奴を壊滅させたのは"趙軍"だと推測。

秦が趙と戦争中だと知っていた端和様は、
匈奴10万を全滅させるような脅威的な軍を趙が持っているということを、
秦が知っているのかどうかを政に確かめに来ます。
もし知らなかったとしたら、秦にとって非常にヤバイ状況だ、と案じて。

実際、趙の徹底的な情報操作により、そのことを全く知らなかった政。

端和様は、その軍を率いている者の名を匈奴の生き残りから聞き出し、
その名を"李牧"だと伝えてくれます。



匈奴はこのとき壊滅したもよう。
この李牧読み切りの時期から、いったい何年後の設定であるのかは明確に分かりませんが、

カイネたちにしてみれば、悲願の達成だったんですね。

環境が悪く、設備も兵力も無い北の鴈門に、
数十万もの匈奴を全滅させるほどの策を施し、見事にやり遂げた。
とてつもなく大がかりな策だったんでしょうねー。


ちなみに、このあたりは史実通りだそうです。

小冊子にある原先生のコメントより、
この李牧読み切りのラストシーンにあと1ページ追加しようかどうか悩んだそうなのですが、

"李牧が鴈門に戻った後、
北の軍隊を率いて匈奴と大戦し大勝した"
という史実を描くかどうかを迷ったとのことです。

結果的に諸々の事情から追加はしなかったようですが、

その後無事キングダムの連載を勝ち取り、
敵軍として李牧とカイネを登場させることもでき、
この時描かなかった部分を本編で端和様に語らせることができて、、、
「してやったり」だとこちらでもおっしゃってます。笑

改めて、キングダムはすごい漫画だなぁと実感。

人気と実力がなければ、いくら伏線を張ろうが、回収することはできませんからねー。
哀しくもそんな漫画はごまんとありますから。

改めて、キングダムという物語の壮大な背景を思い知らされる読み切りでございました。



それでは、次はたぶん次巻で。



【メモ】
⭕李牧、ムキムキマッチョ体型が判明。
材木運びの作業中、なぜか上半身裸であり、
「ドフ・・」という謎の擬音とともに
傷だらけの李牧裸アップ描写あり。
村人の女が「ゴクリ」と生唾をのんでた。笑

⭕小冊子には、ほかに原先生と中村勘九郎氏との対談が4ページほど掲載。
中村氏の1番好きなキャラは騰らしい。
歌舞伎界にもキングダムファンが多いそうな。