キングダムが好きすぎて。

キングダムが好きすぎるあまり、自分を落ち着かせるためにまとめました。

キングダム 36巻 「新生玉鳳隊」

*ネタバレあり*


14年ぶりの復活を遂げた魏火龍七師。
秦軍では作戦が決まり、各対戦相手も決まって戦は進んでいきますが、

ここで突然、飛信隊に大事件が勃発!

そして予想外のタイミングで訪れたヒロイン決定戦?!

対魏戦の決着はまだつきませんが、
ヒロインの座はほぼリーチがかかったか?

ある意味衝撃の36巻。

じっくりあらすじから追っていきたいと思います。


【あらすじ】
王賁の立てた作戦に従い、"3日目の決戦"に向けて戦闘を開始した飛信隊・玉鳳隊・録嗚未軍の3軍。

飛信隊の持ち場では、"魏火龍"の1人・凱孟が猛撃をふるう。
凱孟は突然大声を張り上げ、信に一騎討ちをしろと挑発。それを聞きつけた信は受けて立ち、2人の一騎討ちが始まる。

怪力・凱孟の一撃を受け止める信に驚く魏軍だったが、凱孟の渾身の一撃の強さに信は身体ごと吹き飛ばされてしまう。
信は、かつて廉頗に受けた一撃のような"重さ"を凱孟の一撃ちにも感じるのだった。

負けじと応戦する信は、凱孟と激しく打ち合うが、一騎討ちの途中で凱孟に撤退指示の急報が入り、闘いは中断される。

その頃、撤退指示を出した凱孟の側近軍師・荀草(じゅんそう)は、飛信隊の軍師・貂に目を付け、貂を生け捕りにしていた。

意識が戻った貂は、近くに見えた羌瘣隊の旗に向かって叫ぶ。
貂の声を聞いた羌瘣は状況を察し、貂を救出に向かおうとするが、周囲の敵があまりにも多く苦戦を強いられていた。

さすがの羌瘣でもとても貂のいる場所までは到達できそうに無く、
さらに荀草の指示で羌瘣までもが生け捕りの対象にされたことに気づいた貂は、
羌瘣に向かって指揮官である荀草を捕らえるように叫ぶが、再び殴打され意識を失ってしまう。
羌瘣は、貂の指示を受け何とか必死に荀草を捕らえるが、貂はそのまま連れ去られてしまうのだった‥‥。


その日の夜。
飛信隊の野営地では、貂がさらわれたことを受け、全員が落胆していた。
信は心配のあまり苛立ち、詫びる羌瘣に対して激しく怒りをぶつける。

さらわれたらどんな目に遭うか分かっていながら何故助けられなかったのか、と信に強く非難された羌瘣は落ち込み、貂を助けに行こうとするが、仲間たちに止められる。

信や尾平らが、一か八か夜襲をかけて貂を助けにいくかどうかを話し合っている時、
元・麃公兵の我呂(がろ)は、古参のメンバーにとって馴染み深い人間とはいえ、貂1人のために危険を犯してまでする賭けなのかと疑問を呈する。

また、副長の渕は、
飛信隊が凱孟にやられた損害は大きく、軍師の貂も不在の今では、他の2軍のためにも作戦中止の伝者を送るべきではないか、と諭す。

しかし羌瘣は、作戦中止の前にひとつだけ試す手立てがあると話し、貂の咄嗟の指示で捕らえた凱孟の側近指揮官・荀草を使って、人質交換をもちかけることを提案。
その方向で隊の意見がまとまりかけた時、
再度我呂が口を挟む。

我呂は、無策で交渉を持ち掛ければ罠にはめられる危険性もあり、ちゃんと考えてから決めろと信たちに忠告。

交渉に進むにしろ、かなりの危険を犯してまで貂を助けにいく"動機の深さ"を知っておきたいという我呂は、
「貂は信の"女"なのか」
と信に尋ねる。
皆が何故か触れないようにしているが、そこをはっきりさせてくれると納得がいく、と話す我呂。

信は、貂との出会いを振り返り、
「貂は政とともに最初に出来た信の戦友であり、唯一の身内である漂が死んだ日からずっと自分の横にいる"たった一人の妹"のようなものだ」
と語る。
そして、
「貂のために特別無茶をやっているように見えるかもしれないが、貂を見殺しにするような真似は絶対にできない」
と言い切る。

その言葉に我呂も納得し、人質交換に望みを繋ぐことに意見がまとまった。


一方、捕らわれの身となっている貂は、
魏兵たちから激しく虐待を受ける寸前で檻から出され、凱孟のもとに呼ばれていた。

凱孟は、貂の表情を見て、貂に問いかける。

「女の身で軍師となり戦場などにいる
貴様の"欲望"はどこにあるのか」

と聞き、

「年若き女を戦場にまで引っ張り出してくる信とはどれほどの男なのか」

と興味を示す。

信の"女"なのかと問われて激しく否定する貂に対し、

「貴様にとって信とは何者なのか
心の奥底で信に何を求めているのか
貴様の"欲望"をぶちまけてみろ」

と再度尋ねる。

貂は、戸惑いながらも
「欲望かどうかは分からないが、
信の夢が叶って欲しい、
そして自分も一緒に幸せになりたい」

と話す。

凱孟は貂の願望を聞き、
それは"女の欲"であり、貂は戦場から去るべきだと忠告するが、
貂は「戦場で戦って幸せになる」といって退かなかった。

凱孟は貂の"強欲"に納得したのか
荀草と引き換えに貂を信のもとに返してやる、と言い出し、
無事に人質交換が決行されることになった。


その翌日。
無事に貂は飛信隊へ戻る。

貂は、自分のせいで作戦が遅れたことを悔やみ、
絶対にこの戦は勝とうと信に誓う。



一方、玉鳳隊の持ち場では、
魏火龍の1人・槍使いの紫伯(しはく)が王賁の前に立ちはだかる。

玉鳳隊は、半年前に王翦軍から派遣されてきた千人将・関常(かんじょう)が加わったことが隊の強化に大きく作用し、初日から前線の敵を蹴散らし爆進していた。

着々と"3日目の決戦"に向け駒を進めていた玉鳳隊だったが、
2日目に魏火龍の1人・紫伯が動き出し、
魏軍の他所の予備軍を連動させ玉鳳隊を包囲しにかかってきた。

完全に包囲される前に一旦離脱することを提案する関常に対し、王賁はそのまま突破をはかり、敵将の首を取ると言い切る。
意見が分かれた関常隊は退却に入り、王賁は敵将・紫伯の居所目がけて突進していく。

その時、王賁が見つけるより先に、突然紫伯が姿を現した。
激しく攻撃してくる紫伯の槍はまさに圧倒的であり、玉鳳隊の精鋭部隊ですら太刀打ち出来ずに次々と倒されていく。

王賁は紫伯と激しく打ち合うも、深手を負い、退却を決意。

隊を離脱させるための指示を出しながらも、
王賁自身は翌日必ず紫伯を討ち取るために紫伯の槍を目に焼き付ける必要があると言い、
命がけで殿(しんがり)をつとめていた。

深手を負った王賁は、先に離脱した関常隊が救出に現れたことによって助かるも、
結局、2日目の戦いは紫伯軍に敗れる形となってしまった。



一方、3つ目の主攻・録嗚未軍は、2日目を終えてもまだ本格的に動いていなかった。

魏火龍に当たらない録嗚未には、3日目の約束の時間にきっちり本陣に攻め入る算段があってのことだったが、
霊凰軍に攻め込まれている騰軍の脇を守るためでもあった。

様子を見にきた騰から、録嗚未は他の2軍が苦戦していることを聞く。

合従軍戦で中華に名を広めた呉鳳明が参戦することで、この著雍の戦は今や中華全土の注目を集めていることから、

録嗚未は、王賁の策に乗ったりせずに、騰こそが指揮をとりこの戦で力を見せつけるべきだったのではないか、と詰め寄る。

騰は、王騎が本気で大王・政と中華を獲りに行くつもりだったことを振り返り、
今の秦軍にそれにとりかかれる才覚のある武将が何人いるかと録嗚未に問う。

騰は、この著雍の戦を、
"秦軍の今後の武威の一角を担うべき若き才能たちの力と名を中華に響かせる戦い"
であると思っていると話し、
その力を示して欲しいと願っているのだったー。



そして作戦実行の日、3日目。

貂は、前夜からこの日のために駆け回っていた。

凱孟軍の軍師・荀草は、人質交換の際に凱孟が貂と千金抱き合わせてでも交換すると言っていたほどに凱孟にとって必要不可欠な軍師であった。

荀草と貂の戦術の戦いでもあるこの戦。
双方とも、慎重に互いを探っていた。

そして荀草が動く。
凱孟の位置を知らせ、誘い込まれてくる信らの首を討ち取ろうと目論み、布陣を組むーーー。



* * *



はわわ。。。

表紙からして王賁の巻だと思ったし、
今回はがっつり魏火龍との戦メインだな、
と思って読み進めていたのに、
いきなりここでヒロイン決定戦!?

意表をつかれすぎてアワアワしてしまいました‥‥。

貂が戦場で捕まる日が来ることは、なんとなく想像ぐらいはしていました。
信も言っていたように、貂は前線に出過ぎでしたし(そのおかげで隊が立て直されて助かったことは幾度もありましたが)、
その度にあんな無防備な小娘軍師、一瞬で殺されそうだ、といつも思ってました。

軍師のタイプも様々でしょうし、本陣で指揮をとるだけでなく、時には前線で細かい指示をしなければならない状況もあるにはあるでしょう。
しかし、まして女である貂、今まで無防備すぎました。

そしてさらわれた貂を、唯一状況を察した羌瘣が必死で助けようとしますが、
結局貂は連れ去られてしまいます。

謝る羌瘣に対し、信は胸ぐらを掴んで責めたて(おいおい)、責任を感じた羌瘣は1人で貂を助けに行こうとして仲間たちに止められます‥‥。

羌瘣、かわいそうに‥‥。
あんなに怒鳴られて、めちゃくちゃショック受けてるし‥‥。

でも実はわたしも、羌瘣が貂を助けられなくて密かにショックでした。
ゴメン羌瘣。必死で動けなくなるまで頑張ったのにね‥‥。


一方、貂は凱孟に質問責め。
凱孟のキャラがいまいちよく分かりませんが、
"人"や"欲望"に対して興味があるらしい。
一戦交じえたことで信に対する興味も強く、
貂に色々探りを入れてきますが、
"女の身で戦場に居座り、またそれをさせる信とは何者か、どういう存在なのか"
が知りたいようす。

そんなことアンタが知ってどうすんだよ‥‥
と思いながらも、
ここは読者的に薄々想像はつきながらもハッキリしたことがない貂の気持ちの部分。
貂はどう答えるんだろうとドキドキ。

貂は、戸惑いながらもハッキリ認めます。

「オレもあいつと一緒に幸せになりたい」

(!!)

そして、

🔴凱孟 : 「好いた男と共に戦場にあって添いとげようなどとはムシがよすぎる

このままいけば お前は必ず最悪の結末を迎えることになるぞ」

🔴凱孟 : 「お前が"女"ならばさっさと戦場から去‥‥」

🔴貂 : 「嫌だっ」

「オレは戦場で戦って そして幸せになるんだ」





‥‥やっぱり"幸せ"ってそういう意味だよね?!
貂から信への矢印はついにハッキリと示されてしまいました。
知りたかったような、知りたくなかったような‥‥。
そして凱孟の言う、"最悪の結末"が意味深すぎて気になります。


貂は信のそばにいるために努力して頑張ってきたけど、
初めは家族愛のようなものだったはず。


チビっ子の頃から天涯孤独の身で最悪環境の黒卑村で日銭を稼ぎ、たくましく生き延びていた貂。
信や政と出会い、一旦は平穏な日々を手に入れてその環境に満足していたものの、
次々と先に進んで行く信たちとの間に隔たりを感じはじめて、孤独感に思い悩む。
その頃同じ女の身で凄まじい剣技を身につける羌瘣に出会い、その強さに憧れて剣技の教えを請うも、却下され落ち込む。
落胆する貂を見かねて羌瘣が提案した道が、"軍師"への道だった。

すべては、"信に何かあった時、そこに自分がいないことが怖い、自分も同じ場所にいたい"

という強い願望から始まった貂の道。

今思い返すと、女だねェ〜。と感じずにはいられない想いだけれど、
当時のちび貂には、恋愛感情というよりは家族愛的な感情の方が強かったように思う。

でもここでははっきりと凱孟に
"女"としての感情を認めております。
長い時間を経て、大人になったんだね、貂‥‥。


そして一方で、飛信隊のほうでも大変な話題に!

出番が最近多くなってきた我呂さんからの素朴かつ絶妙な質問が!!

飛信隊のメンバーたちの動揺する表情に、こっちまでハラハラします。笑
羌瘣も目をまんまるくしてびっくり!
核心をつく我呂の質問に対し、羌瘣の反応を横目でチラ見する松左!(「子を産む」発言の余波か?!)

貂とは違って、信の答えは想像通り
「妹」
でした。


信は一貫して貂のことを妹扱いしていたし(あのキス事件の時ですら)、納得の答えではあったけれど、
貂の気持ちを知ってしまった今となっては読者としてちょっと複雑な思いに。
貂が健気なだけに‥‥切なさ倍増。

原先生が公式ガイドブックで、「貂と羌瘣の両方と結婚させたらダメか」と担当さんに聞いたら猛反対されたとおっしゃっていましたが、
ここにきて「早くハッキリさせろ」との指示でも出たのでしょうか?
なぜこのタイミングで!!とわたしはかなり動揺し、危うく本筋を忘れてしまうところでしたよ‥‥。


さて、キングダムの本筋はこっちです!

著雍戦、いよいよ作戦決行の3日目までやってきました。
順調に駒を進めていた玉鳳でしたが、魏火龍の紫伯が圧倒的な強さを見せ、王賁大苦戦。
父親・王翦軍から派遣されてきたデキる千人将"関常"はかなりの謎キャラですが、
何より王翦の意図が超謎。戦の後、明かされるのでしょうか?気になります。

そして魏火龍・紫伯の過去がざっくりと描かれていましたが、
キングダムにしてはちょっと粗い過去描写だった気がします。

〈かつて兄妹(※血は繋がっていない)で愛し合っていたという紫伯と妹の紫季歌(しきか)。

紫伯は紫季歌以外のことには無欲であり、紫季歌のためなら魏火龍の名すら捨ててもよいとすら思っていた。

ある日、紫伯の父・紫太(※一代前の紫伯。子が無く、紫伯も紫季歌も別々の妻の連れ子。)の嫉妬(※血の繋がりの無い紫伯が名前を継ぎ、更に地位や名声を手にしたことによる)により、紫季歌は紫伯と同じ魏火龍の1人・太呂慈(たいろじ)に無理矢理嫁がされる。

"妻殺し"の異名を持つ太呂慈は、紫季歌に対し、今後は自分だけを愛すると誓うように迫るも、紫季歌は反発。太呂慈は紫季歌を惨殺する。

全てを知った紫伯は激昂し、魏火龍内で対立が起こる。
太呂慈側についた晶仙(しょうせん)・馬統(ばとう)、
紫伯側についた霊凰・凱孟。(呉慶は中立の立場だった。)
紫伯は、父・紫太をはじめ、太呂慈・晶仙・馬統をたった1人で全員討ち殺す。

そして同士討ちの罪により、紫伯・霊凰・凱孟は
王が代わり呉鳳明の懇願により解放されるまで、14年間もの間投獄されることになる‥‥。〉



紫伯の過去はざっとこんな感じです。
"最愛の女を殺され、感情を失い、今や機械的に目の前の敵を超絶槍技でなぎ倒すだけの殺戮マシーンと化した男"
ってところでしょうか‥‥。

でも個人的には、設定があまりしっくりこなくてもやもやしました。

そんなに愛した女を失って、紫伯はよくも14年も自害せずに地下牢で生きたな、とか、

確かに理不尽な紫季歌の死は可哀想だし紫伯の怒りに同情もできるけれど、
魏火龍同士の絆や損得が全く見えない中、
大将軍ともあろう6人が、同士討ちの重罪を負ってまで対立し、
14年間も地下牢に繋がれるような割りの合わないことに協力するかなあ?とか、

そもそも紫伯の性格からして、なんとなく他人に頼らず1人でやりそうなのに、なんでわざわざ魏火龍内で派閥を組んで対立させる設定が必要だったんだろうか(実際1人で殺ったけど結局3人とも投獄されてるし)とか、

さらにさらに魏王も大将軍クラス6人も失うようなことになって、国としてどうだったんだとか、

あっちもこっちも何だかもやもやしました。

キングダムでこんなにもやもやすることは滅多に無いので自分でも戸惑いましたが、
原先生のことですからきっとこの先の展開にこれらのもやもやが活きてくるはず!
と思い直し、読み進めていくことにしました(笑)。


そして最後は、もうひとつあったもやもやが解決しました。

貂がさらわれた時、羌瘣を激しく非難して八つ当たりした信。
信が仲間を責めるシーンは珍しく、しかも相手は羌瘣。
何も胸ぐら掴んでまで怒らなくても‥‥!
精一杯できる限りのことをした羌瘣に対するこの仕打ちに対し、仲間たちは羌瘣をかばいますが、
信のいら立ちはおさまらず、羌瘣自身もへこんでました。

3日目の決戦の前夜、信は羌瘣を探してその時のことを謝ります。

🔴信 : 「昨夜は悪かったな お前に当たっちまって」

🔴羌瘣 : 「‥‥‥」

🔴信 : 「‥‥‥」

🔴羌瘣 : 「私だって何でもできるわけじゃない」

🔴信 : 「‥‥んなこた分かってる‥‥ただあん時は‥‥」

羌瘣に"つーん"とされる信。笑

🔴信 : 「オ オイ羌瘣」

🔴羌瘣 :「冗談だ
もし象姉が同じように捕まったら
きっとお前以上に私は取り乱してると思う」

🔴信 :「面目ねぇ」

🔴羌瘣 :「許さん」

🔴信 : 「オイ」

🔴羌瘣 : 「冗談だ」



信が仲間(しかも羌瘣)に当たるなんて余程のことなので、貂がさらわれたことへの動揺のMAX表現だったのでしょうが、結構ここで信の株は暴落したような気がしていたので、
このシーンでのフォローは良かったです。
"つーん"羌瘣もかわいかったし。

しかしながら、先にも述べたように、
わたしも羌瘣が貂を助けられなくて結構ショックだったのです。

何のショックなんだろうと自分でもよく分からなかったのですが、
羌瘣が信に
「私だって何でもできるわけじゃない」
と言ったことで腑に落ちました。

そう、羌瘣なら何でもできる、何でもしてくれる、と勝手に思いこんでいたのですねー。

信も羌瘣を頼りにするあまり、羌瘣の力にある意味甘えているあまり、貂を助けられなかったという羌瘣のたった1回の痛恨のミスを受け入れられなかったのでしょう。

羌瘣も大変だな。
あの強さが皆にとって当たり前になっちゃってるもんね。

そして貂の気持ちが明らかになったことにより、今後信との関係に変化はあるのか?そのことが信と羌瘣の微妙な距離感に変化をもたらすのか?
‥‥否が応でも気になりすぎる展開になってきました。


締めの騰&録嗚未のシーンも良かったです。
常に誰に対してもカッカしてるあの録嗚未が、騰のことはちゃんと認めてるんだなー、
としみじみ思わされる良いシーンでした。

自分ではなく、若手たちの名を中華に広めさせるため、その真の力をはかるとともに示させる。
騰が描く著雍戦の裏テーマにしびれます。
かつての主・王騎の夢を叶えたい、という想いも内包しながら。

騰は、理想の上司であり、理想の部下そのものですね。

次巻はいよいよ著雍戦"3日目"!




【メモ】
⭕魏火龍七師
●霊凰(れいおう)
●凱孟(がいもう)
●紫伯(しはく)
●太呂慈(たいろじ)
●晶仙(しょうせん)
●馬統(ばとう)
●呉慶(ごけい)

⭕我呂の貂救出に対する意見で
「古参のお前らにとっちゃ馴染みの深い奴なんだろうが一、二年の付き合いの俺らにとっちゃ納得しづれェー」(第386話 67ページ)
という言葉。

●飛信隊誕生(百人隊)
●三百人隊
●(急造)千人隊

⇩ ★羌瘣一時離脱・軍師・貂加入。

●(正式)千人隊

⇩★"サイ"戦で麃公兵残兵を率いる。

●三千人隊(麃公兵・岳雷、我呂正式加入)

⇩★羌瘣帰還

●五千人隊(現在) ※信・四千人将、羌瘣・千人将


古参メンバーと我呂の貂とのなじみの差は、羌瘣がいなかった1年強ぐらいの差。
にもかかわらず、確かに古参メンバーの貂の溺愛ぶりは顕著(笑)。

⭕おまけマンガ「天下の大料理人」

⭕カバー裏・表紙側に梟鳴スタイル貂のイラスト

キングダム 35巻 「剣と盾」

*ネタバレあり*


なんと成蟜、表紙のセンターいただきました。

まさかあの成蟜が、こんな成長を遂げていたなんて‥‥想像だにしませんでした。

そして政の命を受け、嵌められた成蟜を救出するために駆け付けた飛信隊、
みんな‥‥大きくなってる!
ビジュアル(主に女性陣)が大きく変わり、
気持ち新たに新章突入です。

では、あらすじから。


【あらすじ】
屯留(とんりゅう)における反乱鎮圧のため、
討伐軍として3万の軍を出陣させたのは、
2年前の合従軍戦以後 出世した将軍・壁だった。

表向きには"成蟜の反乱"と伝わる今回の事件だが、
政や昌文君は、呂不韋や趙がからんだ謀略の可能性が高いと踏んでいた。
憶測の域を出ない内は味方うちで事を済ませたいと考え、
事情を理解できるであろう壁と信に成蟜救出を依頼したのだった。


その頃、呂不韋と通じ屯留を実質支配しているホカクは、民に向かって雄弁をふるっていた。
成蟜こそが咸陽の実質の実権をとるにふさわしいとまつりあげ、皆で反乱を立ち上げ成蟜を支持するようにと誘導していたのである。

当の成蟜はホカクによって投獄されており、一度も民の前で反乱の協力を請う姿など見せたことなどなかったが、何も知らぬ民はホカクに同調し、
反乱を起こして咸陽を成蟜の手に、と息巻いていた。


屯留に向かう途中、壁軍は成蟜軍の裏切り者・龍羽将軍の軍に行く手を阻まれる。

応戦していた壁だが、そこにいきなり趙軍が現れ、龍羽将軍を援護。
本来、敵であるはずの趙軍が援護に入ってきたことで事情が掴めず動揺する壁だったが、
そこにタイミングよく飛信隊が到着。
四千人将となった信、復帰後早くも千人将に昇格した羌瘣を含めた飛信隊は五千人隊となり、頼もしく成長を遂げていた。

飛信隊の援護により、形勢は逆転。
裏切り者・龍羽将軍は、壁を討ち取りその首を土産に趙へ亡命する算段だったが、
援軍・趙軍が退却したことにより反乱軍も退却。
結果、壁軍が勝利となった。


壁と信らは、屯留に到着後、反乱鎮圧にかかる。

趙に亡命する前に壁の首がどうしても欲しい龍羽将軍は、壁軍を迎え討とうと反撃してくるが、
壁の策により死亡。
飛信隊は成蟜救出に急ぐが、
成蟜の居所が分からずに探し回る。

一方、成蟜はホカクの陰謀を知り、瑠衣救出のために地下牢を脱出し瑠衣を探していたが、
ホカクの追っ手と交戦しているうちに深手を追ってしまう。

何とか瑠衣のいる地下牢を探し出した成蟜だが、出血がひどく、瑠衣を救出し共に脱出している途中に倒れてしまう。
成蟜は嫌がる瑠衣を制し、助けを呼びに行かせる。
しかし、瑠衣を逃がした後、ホカクが成蟜の前に現れた‥‥。


一方、脱出に成功した瑠衣は、飛信隊に遭遇。
瑠衣は成蟜を助けるため、信らを連れて成蟜のもとへ急ぐが、
瑠衣が駆けつけると、そこにはホカクの死体と、
横たわる成蟜の姿があった。

瑠衣が成蟜を抱きかかえると、成蟜はかすかに意識を取り戻す。
死の間際、瑠衣にこの先の成蟜一派を引き継ぐように命じ、政の力になるようにと伝える。
そして信にも、
政にとって信は"中華統一"の道の支えとなっていること、自分が政の"剣"であり"盾"である存在であることを忘れるな、
と伝え、瑠衣の腕の中で息を引き取る。

反乱の首謀者・ホカクの死と、裏切り者・龍羽将軍の死により、屯留における仕組まれた反乱は鎮圧された。
しかし、成蟜の命を助けることができなかった信は、咸陽へ向かい政に詫びるのだった。

場面は切り替わりーーー


中華を狙う秦は、
新たな戦を始めようとしていた。

合従軍侵攻時に、李牧と春申君によって
秦が中華へ出づらくなるように国境を書きかえられていた秦は、
中華進出のための新たな要所・著雍(ちょよう)を奪取するため、魏国に侵攻を始めていた。

将軍・録嗚未と将軍・隆国を率いる騰が大将となり、著雍一帯を攻めていたが、
著雍の重要さを理解する魏国も、呉鳳明を大将に派遣し、万全の態勢で秦軍を迎え撃とうとしていた。

騰軍はさらなる戦力増大のため、周囲の戦場にいる部隊を著雍に呼び寄せる。
そして著雍に飛信隊と玉鳳隊が揃う。

騰の本陣に一同が集まり、作戦会議が開かれる。
隆国によると、魏軍には呉鳳明だけでなく、"正体不明の3軍"が現れたという。
その3軍は、わずか1日で立ち寄った秦の城を3つも陥落させたらしい。

謎の3軍は、計6万の大規模な軍である上に、魏軍のおいた布陣に付け入る隙は一分たりともなく、
騰は、現在北の趙国境付近にいる王翦軍に援軍の要請を出すつもりだと話す。

それを聞いた王賁は、激しく反対。
多少の私情を挟んでいることは認めつつ、
今王翦軍が趙の国境を離れれば、
趙が秦の東部を攻略せんと侵攻を深めてくるであろうと予想され、
下手をすれば魏・趙の両軍を相手にする羽目にもなりかねないと推測。

王賁は、完璧に見える魏軍布陣のわずかな弱点3ヶ所に注目し、
その3ヶ所を"主攻の3軍"で"同日同刻に撃破" すれば、それなりの歪みが必ず生まれるはずだと断言。
情報漏洩を防ぐため、3軍は連携を取らず、
"3日目の昼 日が天の真上に昇る刻"
に、
"3軍全てが魏軍本陣に突入する"
という策を打ちたてた。

主攻となる3軍は、
録嗚未軍、玉鳳隊、飛信隊。
騰は、王賁のこの策を採用する。



一方、魏軍本陣。
呉鳳明が呼び寄せていた謎の3軍は、
かつて中華に名を馳せた魏国7人の大将軍・"魏火龍七師(ぎかりゅうしちし)"の中の3人だった。

●呉鳳明の師である軍略家・"霊凰(れいおう)"、
●あげた武将首は百を超す剛将・"凱孟(がいもう)"、
●魏国史最強の槍使い・"紫伯(しはく)"。

かつて先代の王の時代、同士討ちを行ったせいで14年間投獄されていたという3人は、世間では死んだものとされていたが、
此度の戦にあたり、呉鳳明の懇願によって開放されたのである。

霊凰は、右腕である乱美迫(らんびはく)を騰軍にぶつける。
そして剛将・凱孟は信に狙いを定め、飛信隊に突撃してくるーーー。



* * *



壁のあんちゃん、将軍昇格!
いとこの郭雲や貂には、金の力だの家柄の力だのと茶化されてましたが、
壁のあんちゃんはいつだってその環境に甘んじず頑張ってきた立派な男です。
己の弱点にいつも向き合い、精進してきた結果の昇進。
おめでとう!壁!

そして飛信隊もかなりの出世を遂げていました。
34巻で一気に2年が過ぎたので、その間に
信は四千人将、
羌瘣は千人将で
なんと五千人隊に!!

14歳から始まった信の道、現在も着々と進んでいってます。
体も一回り大きくなって何だか頼もしい。

羌瘣も20歳前後となり、すっかり美人なお姉さんです。
まつ毛ビッシビシで前髪も伸ばして、
もう女だと隠す気は一切なさそう。いや、もう隠しきれない!
貂もカチューシャ的な髪飾りを付け少しだけ髪を伸ばし、大分女っぽくなりました。
可愛くなったな〜!

楚水、岳雷の存在感もなんだか増しているような気がしました。
今思ったけど、まだ副長のはずの渕さん、飛信隊首脳陣登場シーン〈※40ページ〉にいない‥‥。(笑)
ひとつの隊に副長って、一体何人ぐらい置けるんだろう。(素朴な疑問)

さて、成蟜救出ですが、
残念ながら失敗に終わってしまいました。

失敗とはいっても、成蟜の成長による思わぬ人徳(!)とデキる嫁・瑠衣の存在により、
成蟜の死後も呂不韋が目論んでいたほどの政陣営弱体化にはつながらなかったようす。

しかし呂不韋、己の手を汚さず、
持ちうるコネクションはふんだんに利用する、
本当に油断も隙もない奴。
未だに趙とつながり過ぎているし、
合従軍の時に見せた愛国心の無さが末恐ろしい。

何だかモヤモヤしていたところ、
信が政に詫びるために咸陽に寄った時、
たまたま見つけた呂不韋の前に飛び降りて

「お前は王様にはなれねぇ」

と言い放ったシーン(第378話 134ページ)には、胸がすきました。

反乱編、瑠衣には可哀想でしたが、
成蟜は最期に良い見せ場があってよかったかなと思います。
(屯留での滅多に見れない信&羌瘣のコンビプレイ(?)も貴重だったしね)
それに成蟜の最期の言葉には考えさせられるところがありました。


🔴成蟜 : 「奴(政)が"サイ"へ出陣する前に
"中華統一"の話を聞いた

五百年の争乱に終止符をうち 世を正す
響きは美しいが そうするには今の世に凄まじい血の雨を降らせ
中華を悲劇で覆わせることになる

正に血の業(わざ) はね返ってくる怨念は
長平の比ではないぞ」

(※第377話 111〜112ページ)


‥‥確かに、今まで政目線でしか考えてきませんでしたが、
中華統一が実現されるとすれば、秦以外の他国にとってはただの"侵略"。
国が滅ぼされる悲劇です。
呉鳳明の父・呉慶のような怨念をも生みだすでしょう‥‥。
成蟜に「はね返ってくる怨念は長平の比ではない」と言い表され、核心をついているその言葉にドキリとしました。



そして一年後には、いよいよ政と呂不韋の政権争いに決着が。
‥‥呂不韋はまだ何か企んでるっぽいし、どう落としどころを着けるのか、めちゃくちゃ楽しみ。



反乱編が終わり、新しい戦編に突入です。

合従軍で秦に攻め込んできた際、李牧と春申君は秦の国境を書き替えていたらしく、
山陽の次に秦の中華進出の要所となるべくは
魏国・"著雍(ちょよう)"。

騰が大将のこの戦で、
録嗚未と隆国がさりげに将軍になってるじゃないですか!
今までは将軍級の実力ありとうたわれながらも軍長表記だったので、
何かスッキリしました。

呉鳳明が出てきたことで、騰軍も戦力補強のために近くにいた飛信隊・玉鳳隊を招集しました。

信&王賁が組むのはなかなか新鮮。
だけど「楽華隊がいれば飛信隊など後方支援だ」
とかいうあたり、
王賁って結構蒙恬の実力は認めてる感じ。
境遇の共通点もあり、
楚軍の 項翼&白麗とまではいかなくてもちょっと蒙恬には思い入れがあるのかも。

しかし、王一族の本家か何か知らないけど、
仮にも合従軍でも配属された騰軍であり、
そこの大将・騰や録嗚未・隆国に対して王賁のあの口の利き方は何なんだろう。
王一族の分家・王騎の残党軍だから?
信と出会った当初も、王騎のことを"どこぞのバカ"とか言っていたし、
王騎に対して何か特別な感情があるんだろうか。

父・王翦に援軍を要請するのを拒んだように、
父親ともなんらかの確執があるのか。
王翦の評判も耳に入っているだろうし、
息子として複雑な感情を抱いているのかも。
このあたり、いつか詳しく掘り下げてくれるといいのになー。


そしてここにきてビッグな新キャラが登場しました。
14年間投獄されていたという、
"魏火龍七師"・霊凰、凱孟、紫伯。
秦の六将・趙の初代三大天の時代における
魏のビッグネームのうち、生き残っていた3人だとか。

霊凰は呉鳳明の師であり、紫伯は凄腕の槍使い。
凱孟は豪傑さを表すためか、衝撃の5◯シーンが差し込まれていましたが…。

正直、いくらかつてのビッグネームとはいえ、
14年間も投獄されていた奴らを当ててくるなんて、ちょっと理解できない展開になってきました。

六将や三大天らと肩を並べるほどの実力者とか言ってますが、バリバリ現役で前線に居続ける今の廉頗と戦ったらどうなるんでしょう。
(そして凱孟はともかく、他の2人年齢不詳すぎ!)
今の時点では、魏火龍たちの登場の意味がまだよく分かりませんが、

果たして王賁が立てた策は通じるのか?!

次巻に続きたいと思います。


【メモ】
⭕信、矛を使うようになる。

⭕成蟜死後、成蟜一派は瑠衣が取りまとめ、政陣営に協力することを約束。成蟜亡き後に去った臣下は一割程度にとどまった。

⭕羌瘣、食いしん坊。

⭕第382話の扉絵、かわいい。

⭕壁、なんと当初は屯留で死ぬ設定だった!
しかし、"史記"の誤訳の関係により、死ななくてもいいことに!(笑)
あとがきより。

⭕おまけ4コマ「新技」

⭕カバー裏は、表紙側が成蟜の頭の上の飾りみたいなヤツ、裏表紙側がおまけ4コマの4コマ目と、羌瘣。

【政の年齢】時間軸の整理 2 【キャラの年齢】

合従軍編が終わり、
羌瘣も帰還したところで一区切り。

新章に進む前に、もう一度時間軸の整理と
政を基準にしたキャラたちの年齢について
まとめておきたいと思います。

前回の「時間軸の整理 1」は8巻までを追ったものだったので、
それを含め、大分さかのぼりますが9巻以降〜34巻までを時系列で追いかけていきます。


◆     ◆     ◆
《注意点》
◆     ◆     ◆  

時系列に沿って、作中の年号表記に照らし合わせながらキャラの年齢を調べていると、途中で微妙に年齢がズレてくることが何度かあります。

作品中に年齢がはっきり記されている場面があるので、そこから遡ったりして計算してみても、どうしてもズレが生じてしまいます。

正確にキャラの年齢をはっきりさせようとして、そのズレの矛盾を色々な角度から考えてみましたが、
何しろ紀元前の中国のお話なので、はっきり"この時期に◯◯は何歳"と明確にすることは不可能なのかもしれません。
現代とは年齢の区切りかたや数え方が違って当然でしょうし。


なので。
ズレが生じた場合は、その都度作中に明記された年齢に修正して進めていきたいと思います。


◆     ◆     ◆     ◆     ◆
《政の年齢と時間軸》
◆     ◆     ◆     ◆     ◆    


【8巻•過去編】
「長平の戦い」
[紀元前260年 9月]
数ヶ月後の正月(紀元前259年)に、政誕生。(1歳)

※中国では、生まれた時から次の誕生日までを一歳とするらしいので、数えどしでの計算をしました。

⇩ (9年)

【8巻•過去編】
秦国王、崩御。(戦神=昭王)
政(9歳)、趙から救出され、秦に。
[紀元前251年]

⇩ (3年強〜4年)

〜政、王位につく(13歳)〜
[紀元前246年]←(秦入国年より1年のズレ?)

※数えどしでの計算だと、救出時の9歳は計算が合うのですが、ここでは14歳になってしまいます‥‥。
はっきり13歳で王位についたとの記述があるので、微妙にズレますが、記述に合わせてここから13歳スタートで調整します。

⇩ (1年〜)

【1〜5巻】
王弟•成蟜の反乱。政(14歳〜)

⇩ (3ヶ月)

【5〜7巻】
信の初陣(魏国攻め•蛇甘平原の戦い)
[紀元前245年]

⇩ (3ヶ月)

【8〜10巻】
呂不韋・政暗殺計画
●貂、昌平君の軍師学校へ。
●信、王騎に無国籍地帯の平定を命じられる。

⇩(約3,4ヶ月)

【11巻】
●信、修業の地を平定
[始皇2年 年末ぐらいから始皇3年 3月まで]

●蒙驁軍出陣  (韓攻め)
[始皇3年(紀元前244年)2月]

●王騎軍出陣(趙軍防衛戦・馬陽〔乾原〕の戦い)
[始皇3年(紀元前244年) 3月]

政(15〜16歳)

⇩ (咸陽から馬陽まで、15日間)

【12〜15巻】
対趙戦(王騎 VS 龐煖)
馬陽近くの乾原にて、決戦(5日間)

【16巻】
●王騎死亡。
●信、馬陽から帰宅(約15日間)

⇩(1年)

【17巻】
秦趙同盟
[始皇4年(紀元前243年)]
政(17歳)
※8ページ「始皇四年 王騎の死から一年の月日が流れていた」
※113ページ「五年たてば俺(政)は二十二になる」

●始皇元年 = 政 13歳 
と考えると、
●始皇四年 = 政 16歳

ですが、
「五年たてば二十二」ならばここで政は17歳のはず。
ここから17歳として進めていきます。

⇩(半年?)

【18巻】
蒙驁軍による、魏の"山陽"攻略スタート
[始皇5年(紀元前242年)]
政(17〜18歳)

⇩(約2ヶ月〜)

【19〜22巻】
対魏・蒙驁 VS 廉頗
流尹平野での戦い(6,7日間)

【23巻】
●蒙驁と廉頗、和睦
●(〜1ヶ月後)羌瘣離脱
●(〜3ヶ月後)貂が飛信隊加入。
●山陽東郡宣言[始皇5年(紀元前242年)]

⇩(約5ヶ月)

【24巻】
向、懐妊
[始皇6年(紀元前241年)]
政(18〜19歳)

※貂加入後、3ヶ月経過。
※李牧と春申君の密会後、1ヶ月経過。

⇩(約4ヶ月〜)

【25〜33巻】
合従軍 VS 秦軍 函谷関攻防戦
[始皇6年(紀元前241年)]

⇩(約2ヶ月)

【34巻】
●羌瘣復帰
●蒙驁死去
[始皇7年(紀元前240年)]
政(19〜20歳)

●向、女児出産
●成蟜の変
[始皇8年(紀元前239年)]
政(20〜21歳)


【注意】⇩マークの()内の数字は、作品内の記述に基づき、
"巻から巻への間"に経過したであろうおおよその期間を示しています。



◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆    
《各キャラクターの年齢について》
◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆    

[1〜8巻まで]
◉政 ⇒14歳〜15歳?
※「時間軸の整理 1」編参照。

[9〜10巻まで]
◉政 ⇒14〜15歳
11巻の「始皇3年」表記から逆算。

[11〜16巻まで]
◉政 ⇒15〜16歳
「始皇3年」の表記から。

[17巻]
◉政 ⇒17歳
〈113ページ〉
「五年たてば俺は二十二になる」発言から。
始皇4年。

◉信 ⇒17歳
◉王賁 ⇒18歳
◉蒙恬 ⇒18歳
〈175〜176ページ〉
「六大将軍王騎が死して
一年と半年ー 玉鳳隊 王賁(齢十八)  飛信隊 信(齢十七)  "白老"蒙驁の孫にして蒙武の長男である楽華隊 蒙恬(齢十八)」表記から。

★王騎の死は、始皇3年の3月〜4月頃なので、始皇4年の9〜10月頃の場面ですね。
信と政は同い年。

[18〜19巻まで]
◉政 ⇒17〜18歳
「始皇5年」の表記から。

[20巻]
◉政 ⇒17〜18歳
◉信 ⇒17歳
◉羌瘣 ⇒16歳

★巻末に信と羌瘣の年齢明記あり。

[21〜23巻]
◉政 ⇒17〜18歳
「始皇5年」の表記から。

[24〜33巻]
◉政 ⇒18〜19歳
「始皇6年」の表記から。

[34巻]
◉政 ⇒19〜20,20〜21歳
主に、「始皇7年」・「始皇8年」の表記から。

*  *  *  *  *


つまり、34巻時点でのキャラクター年齢は、
政を基準にして計算すると

◉政 ⇒20〜21歳
◉信 ⇒20〜21歳
◉羌瘣⇒19〜20歳
◉王賁 ⇒21〜22歳
◉蒙恬 ⇒21〜22歳
◉向 ⇒17〜18歳
◉陽 ⇒18〜19歳


ってところですね。


◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆  
元号から考える政の年齢》
◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆    

たとえば平成の日本だと、
天皇が代わった時に元号が変わります。平成元年から始まり、翌年の1月が来て平成2年、平成3年・・・
と続きます。

この数え方で政の年齢を考えると、

始皇元年(紀元前246年) = 13歳
始皇2年(紀元前245年) = 14歳
始皇3年 (紀元前244年) = 15歳
始皇4年 (紀元前243年) = 16歳
始皇5年 (紀元前242年) = 17歳
始皇6年 (紀元前241年) = 18歳
始皇7年 (紀元前240年) = 19歳
始皇8年 (紀元前239年) = 20歳

となりますが、
17巻では、始皇4年で政は17歳。

34巻では、
135、136ページで呂不韋
「これより一年半後の式典じゃ
(略)『加冠の儀』じゃ
王が成人の年を迎え〜(略)」

と言うセリフから、(成人は22歳なので)この時政は20歳なかばと考えられます。

そして157ページ、
●「暦は新年に入り すでに春にさしかかろうとしていたが〜(略)」
●「始皇八年(紀元前239年)
政と呂不韋の戦いはこの年からいよいよ"決着"に向けて加速する」

という表記から、
政月生まれの政は21歳になっているはず。

この時代の正確な年齢の数え方がちょこっと調べてみてもよく分からず、何回考えてもズレてくる‥‥。

まあ、現実的にこの時代のことを正確に表せる訳もないということで、とりあえずズレのことは置いておきます。

以上のような理由から、政をはじめ、各キャラたちの年齢も1歳だけ幅をとっておきました。


・・・それにしても、未だ貂の歳が謎!



◆     ◆     ◆     ◆    
《貂の年齢は?》
◆     ◆     ◆     ◆    

手がかりとして、5巻巻末の番外編で
「オレより若干年上の奴(信)が〜」
と貂が発言していたことから、
信より2,3つ下ぐらいかと想像できます。
4つ以上離れると、子供的に「若干年上」どころじゃないでしょうし。
(とはいえ、見た目は8歳ぐらいにしか見えないけど‥‥。)

そうすると信14歳時、貂は11,12歳ぐらいでしょうか。

"呂不韋の政暗殺計画"時のことを思い出してみます。
伽タイムだった当時12歳(!)の向ちゃん、
刺客として現れた当時13歳の羌瘣、
この2人と並んでも、見た目的に貂が同じ年齢とはとても思えません。
羌瘣にはチビ助と言われる始末。
成長の遅い12歳‥‥としても無理があるし、
やっぱり少なくとも11歳か、もしかしたら10歳ぐらいかも?

その場合、5歳で祖父を亡くして天涯孤独となった貂は、5,6年もあの黒卑村で1人生き延びてきたことになりますね。
貂、すごすぎる‥‥!

しかし。
貂が軍師学校に行っていた期間は、およそ2年半ぐらいです。
王騎の死後、一旦信の家に休みをもらって帰ってきていますが、
それから約1年の間に成長しちゃったらしいので、
もし連載当初10歳だったら、12歳で軍師ってちょっと無理があるというか、あり得なさすぎなので、
妥当な線で11歳→13歳、ってところでしょうか。

現代日本に置き換えて、
(成長の遅い)小学5年生→(発育してきた)中学1年生
って感じですかねぇ。
‥‥あくまでわたしの想像ですが。
この仮説でいくと、
34巻時点で貂は17歳ぐらいですね。

しかしながら、
貂の年齢の想像をしていると、
軍師として飛信隊に現れたとき、
反発した飛信隊のメンバーたちの感情にも頷けます。。。

中学1年生に、命を預けるなんて‥‥!

ま、戦国時代と平和な現代の日本を比べるのも
おかしい話なんですけど。
(向ちゃんなんて12歳で伽ですからね!)


連載当初、原先生的には貂をフェードアウトさせる予定だったそうなので、
もしかしたら当初、明確には貂の年齢設定をしていなかったのかもしれませんね。

いずれ年齢表記はあるのでしょうか?
地味に気になるところではあります。

しかしながら、わたしはコミックス派。
わたしが知らないだけでヤンジャン本誌や他媒体等で原先生が貂の年齢に言及している事が今までにあった可能性もありますので、
あくまでここの内容はコミックスから読み取るわたしの勝手な推測ということで。

コミックスが何より楽しみなので、本誌ネタバレが怖くて検索もままならぬビビリっぷり。
もし貂の年齢がどこかで明記されていた場合はご容赦ください‥‥そしてどなたか是非教えてください!


*  *  *  *  *


また、追加事項があればその都度付け足していきたいと思います。

キングダム 34巻 「別の道」

*ネタバレあり*


羌瘣仇討ち編の続きから始まる34巻。

様々なことがありましたが、
何はともあれ
羌瘣帰還に胸沸き躍る嬉しさです。

そして物語は、
ここから一気に進行速度がサクサク速まり、
政の"加冠の儀"まであと約1年!

しばしなりを潜めていた呂不韋が、
本格的に動き始めます。

では、あらすじから。



【あらすじ】
最深の巫舞を幽連に破られた羌瘣。
呼吸が尽き苦悶する羌瘣は、
巫舞無しでほぼ無尽蔵に呼吸を保つことができる幽連の強さに対し、納得がいかない。

幽連は、5年前の"祭(さい)"について語る。

5年前の"祭"で幽連が他の氏族と手を組み
羌象を討った後、
"祭"の最後まで生き残ったのは、
幽連と、幽連の実の妹だった。
そして幽連は蚩尤の力を得るため、
実の妹を手にかけ、蚩尤となった。

蚩尤一族の巫舞は、
精神を内なる深い部分 へ向け、
人の持つ秘めたる力 を引き出す術である。
意識を"外"から乖離させ、
集中力を研ぎ澄ませるために
特殊な呼吸法と"神堕としの舞"により
意識を陶酔の中に落とし込むことが必要となる。

"意識を外に縛りつける鎖=感情"
を強制的に断ち切ることで、
意識を外部から引き離し 内に向けさせることが
できるのだという原理から、
"祭"では同族の村から2人が選出されるという
ならわしがあったのだ。

実の妹が最後の相手となったことにより、
完全なる"情"の排除を可能にしたという幽連。
羌象を既に失った羌瘣に、
自分と同じ条件を満たすことはもはや不可能であり、自分を超えることは決してできないとほくそ笑む。

そして羌瘣は幽連に激しく殴打され、
意識が飛びかけていた。

失われゆく意識の中で、
敗北を覚悟する羌瘣。

実の妹を手にかけてまで手に入れた幽連の力に対し、
甘い自分とは違いすぎることを痛感。
それに抗う力ももはや持たない羌瘣は、
遠のく意識の中、死を覚悟する。

真っ暗に落ちて行く意識の中‥‥

羌瘣の脳裏に小さな光が見える。

光の先には、
信、尾平、昂、田有ら飛信隊のメンバーがいた。

その光のおかげでひとつの真理に辿り着いた羌瘣は、意識が戻り再び立ち上がる。
そして、
かつて羌象が自分を殺すためにあみだそうとしていたという術を繰り出し、
最後の巫舞を始める。

その術とは、"ハク領"と呼ばれる
"巫舞で落とし込める最深の限度の領域"
をも超える巫舞であり、
かつて羌象はその禁を冒し意識不明の状態に陥ったことがあった。

羌瘣は、薄れゆく意識の中で見た一条の光の存在を頼りに、
深く、ハク領の領域を超えて意識を落とし込み、
ハク領の禁を超えた巫舞でついに幽連を討ち取ったのだった。

5年をかけて、とうとう仇討ちを達成した羌瘣。
事後の処理や報告は羌明に任せることにし、
羌瘣はようやく帰途につく。
羌瘣が飛信隊を離れて、392日が経っていた。



副長・羌瘣が戻り、歓喜に渦巻く飛信隊。
かつての仲間達や、軍師となって加入してきた
貂らは喜びを分かち合う。

飛信隊に戻った後の羌瘣は、武功を挙げまくり
快進撃を続ける。

隊に戻る前に"2つの目標"を立てたと話す羌瘣。
信と同じく「将軍を目指す」と宣言し、
信や貂を驚かせる。

2つ目の目標はと信が聞くと、羌瘣は
「信の子を産む」
と爆弾発言。
子作りの方法について象姉から間違った知識を
教えられ勘違いしていた羌瘣は、
貂から詳しく正しい内容を聞き、
赤面しながら当分の間 信を避けるのだった。

始皇7年、前半は特別大きな戦は起きず、
静かに時は過ぎていく。

そんな折、蒙驁将軍が死去。
蒙恬や信が見守る中、心穏やかにこの世を去る。

ほどなくして咸陽では、向が女児を出産。
咸陽では祝賀ムードに包まれた。

そしてさらに1年が過ぎ、始皇8年。

王弟・成蟜の第一夫人である瑠衣(るい)が
曽祖母の80歳の祝いのため、
10年ぶりに"屯留(とんりゅう)"へ帰郷していた最中のある日、
突然趙軍が秦に向けて出陣を開始する。

合従軍の戦の後、中華全ての国が内乱を収めることに集中している中、
李牧が一時的に宰相の職を離れ、最も国内が揺れ動いているはずの趙が動き出したことに
咸陽では誰もが意表をつかれていた。

そして趙のその軍は、2万ほどの軍で
"屯留"を目指していた。

"屯留"は、古くは趙の領土であったため、
一帯の住民には半分は趙の血が流れている。
このため、仮に"屯留"が趙に奪われれば、
一帯がこぞって趙に寝返る恐れがある、
と危惧する呂不韋

タイミング悪く"屯留"へ駆けつけることのできる将軍が出払っており、
対策に悩む首脳陣に対し、
呂不韋は「"サイ"攻防戦の時のように大王が再び出陣してはどうか」
と無茶な提案をする。

呂不韋に何か企みがあることは明白であり、
昌文君は猛反発するが、
そこに成蟜が現れ、自らが出陣すると宣言。
政たちは驚くが、
成蟜の妻である瑠衣が"屯留"に帰郷しているタイミングであったこと、
瑠衣の夫である成蟜は現地で人気が高く、
士気をあげる人物としては最適であること、
を考慮し、成蟜に出陣を任せることになった。

しかし、成蟜に"屯留"の沈静化を任せて送り出したものの、
政は、今回の趙軍の動きに何か違和感を感じていた。

そして数日後。
"屯留"に到着した成蟜軍は、趙軍を半日で撃退。
趙軍はあっさりと全軍を退却させる。

事がうまく運び過ぎなことに違和感を感じる成蟜だったが、
"屯留"の住民たちは喜びに沸き、成蟜を歓迎する。

そして城主代行を務めているホカクという男が成蟜を出迎えるが、
そこに瑠衣や瑠衣の曽祖母の姿は無かった。
不審に思った成蟜は2人のもとに連れていけと命じる。
しかし、連れていかれた先でホカクは態度を一変させる。

何と、ホカクは成蟜が連れて来た兵の一部や
龍羽将軍と通じていた。
そして裏切り者達とホカクが呼び込んだ衛兵たちは突然反逆を起こす‥‥。


5日後、咸陽に"屯留"の異変の報が届く。
咸陽では、"成蟜が突然反乱を起こした"
と伝えられ、
呂不韋はここぞとばかりに成蟜一派を抑圧しようと動き出す。

一連の動きに疑念を抱く政。
政は、趙もからんだ呂不韋の陰謀ではないかと
訝しみ、
おそらく罠にかかったのであろう成蟜を救出するため、
飛信隊に早馬を送るーーー。



* * *



おかえり、羌瘣‥‥!

5年にわたる羌瘣の仇討ちの旅が、
とうとう終結しました。

今となれば、幽連も"祭"にとらわれた、
哀しい人間だったのかもしれません。

羌瘣もかつては"祭"の掟を信じ、掟に従って生きてきました。
バァから"祭"までの命だと言い聞かされて育ち、
外の世界を夢見る羌象のために命を捨てる覚悟でした。
しかし、羌瘣を殺したくない象姉のとった行動から始まり、"祭"で
"突出した才能を持つ羌瘣の不参加"

"掟破りの手組み"
が黙認された事実を知り、
掟が絶対だと聞かされて生きてきた羌瘣は
怒り狂い、仇討ちのために里を飛び出し、
現在に至るのです。

幽連は、
蚩尤になりたくて、力が欲しくて自らが描いたシナリオのはずなのに、
蚩尤となった後、人格が崩壊し手がつけられぬ状態になってしまったのは
結局、羌瘣が言うようにそれだけ幽連と妹の絆は深かったのだと思います。


羌瘣と象姉の絆も負けずと深過ぎたからこそ、このような結果になってしまった訳なのですが、
瀕死状態の羌瘣の脳裏に、飛信隊の姿が浮かんだところはジーンときましたね‥‥。

象姉を想う羌瘣だからこそ、仲間を想う気持ちも当然強くて、
飛信隊で築いた仲間との絆は深く沈む意識の奥で一条の光となって羌瘣を支えていた。

「私の帰る場所は‥‥ もう他の所にあるんだ‥‥」

‥‥泣けました。


しかし羌瘣、ガスガス殴られてましたねー。
可愛い顔がとんでもないことになってました。
そのせいなのか否かは謎ですが、第361話から第363話までの羌瘣の顔が変貌を遂げすぎて定まってないのがちょっと気になりました。
(なんかボールみたいな顔が多かった。)

でも無事に飛信隊に戻った時は、
いつもの羌瘣でしたね。
喜びに沸き立つ仲間たちに、大分照れてる姿が可愛すぎます。
喜びすぎの尾平に、信が肘で突き飛ばされてるシーンが笑えます(69ページ 5コマ目)。
良かった。
本当に良かった。

さて、ここから本格的に気になり始めたのが
信 × 羌瘣 × 貂 の関係。。。

最高に男くっさいのが魅力のキングダムに恋愛要素は不要だと思っていた私でしたが、
原先生的にはどちらかを信の相手に決めるようなので、
そうと知ってしまったからには話は別です。

羌瘣が帰ってきたら、貂はどうするんだろう‥‥、羌瘣離隊後、蒙毅のかわりに臨時で派遣されたようなもんだったから、
軍師学校に帰るのかなあ‥‥
などといろいろ想像していましたが、
普通に残ってましたね。

そして34巻のハイライト‥‥
羌瘣の

「お前の子を産む」

発言!!

これは衝撃的でした!!!笑

羌明の話からちょっと興味を持ったからだろうけど、象姉に適当なことを教えられて子作りの何たるかを知らぬまま言っちゃうところが可愛すぎ。
挙げ句貂に真実を教わって自分が言ったことの意味を知り、信を避けまくる始末(笑)。
そして満更でもない信(笑)。


しかし、信と羌瘣のいつもの剣の打ち合い稽古(このシーン、好き)の様子を見ながらも、
あえて無関心を装うかのように茶をすする貂、
何やら複雑な心境なのでは。

そもそもは羌瘣のように強くなりたくて、
強くなって信のそばにいたくて、
羌瘣に弟子入りしようとしていた貂。
かわりに軍師への道を紹介してくれたのも羌瘣でした。

晴れて軍師になって飛信隊に入隊した貂ですが、
本当は羌瘣のように、隣で一緒に戦いたかったんだろうな‥‥。
いつだって、貂は健気なのです。
自分がなりたかった立ち位置にいる羌瘣を見つめる貂は、なんだか切ない。

さてこの3人、今後どうなっていくのでしょうか。。。
お手やわらかにお願いしたいものです。。。



さて、羌瘣が戻り、
蒙驁が死去して向ちゃんが出産し、
一気に物語は進行します。

蒙驁じィちゃんと蒙恬のシーンには
ホロリときました‥‥。
(あれ、蒙毅は?)
蒙武の献杯シーンもグッときました。
(回想のちび蒙武、可愛すぎです)


合従軍という中華史上でも稀に見る大戦が挟み込まれたため、
そもそもの始まりであった国家内乱の首謀者・呂不韋の存在が霞んでいましたが(実際、合従軍編での呂不韋は超小物に見えた)、
これからひと波乱ありそうな予感。
僻地に飛ばされた李牧も予言しています。


そして成蟜に、まさかの見せ場が!
しかも嫁、超絶美女!
なんかちょっといいヤツになった成蟜ですが、
呂不韋の罠にかかったっぽい様子。

原先生が言っていた、"史実にある成蟜の反乱"
はこのタイミングだったんですね。
(※公式ガイドブックの回 参照)

もともと趙の商人だった呂不韋は何やら怪しい動きを見せはじめ、李牧不在の趙の王宮大臣を買収しているっぽい感じです。

キモ男・ホカクに目を付けられた瑠衣と、
まんまと嵌められた成蟜はどうなるのか?

次巻へ続きます。





【メモ】
⭕李牧、合従軍敗戦の責任を取らされ、一時宰相の権利を失い僻地の監督業務に就いている。

⭕政と向の子、麗(れい)誕生。
確か向の前に、第一子がどこかの宮女との間に生まれているはずだが、触れられていない。

⭕呂氏陣営のモブ大臣たちの会話で、
「昌平君だ やはりまずは四柱の昌平君を
もう一度陣営の中心に」
「オオ そもそもあの方の後ろにも巨大な‥‥」
(第367話 124ページ)
とある。
昌平君、やはり合従軍戦で呂不韋よりも国を優先したばかりに、
陣営の中心から外されている?
そして昌平君のバックには巨大な誰が?

呂不韋、政が22歳になる"加冠の儀"の式典にて国を乗っ取る計画。

⭕始皇8年(紀元前239年)、春に差し掛かる頃、
成蟜の反乱が起こる。

⭕おまけマンガ「狼牙がゆく 3」

⭕カバー裏は表紙側が羌瘣のハチマキ、
裏表紙側はおまけマンガ「狼牙がゆく 3」の続き。

キングダム 33巻 「不抜」

*ネタバレあり*


長きに渡って続いた合従軍編、
ついに完結です。

サイに入ってからの盛り上がりには、
結構泣かされました。。。

政たちと山の民との関係にもグッときます。

戦が落ち着いてからは、
待ちに待った羌瘣仇討ち編。
(早く帰ってきて!)

大戦の後だから中だるみしそうなところに
羌瘣を差し込んでくるあたり、
原先生の展開の進め方がニクい‥‥!

では、あらすじから。


【あらすじ】
連日の戦の疲れを背負いながらも、龐煖との一騎討ちに挑む信。

麃公将軍の置き土産で片腕を負傷している龐煖に対し、
信は、龐煖自身ではなく龐煖の"矛"を狙って
全力で剣を叩きつける。
反動で体勢を崩した龐煖の隙をつき
剣を刺し込んだ信は、
わずかに退く龐煖に対し、
龐煖の顔面に一太刀浴びせることに成功。
龐煖は矛の柄で信を殴打し、その体を吹き飛ばすも、信は再び立ち上がってみせる。

明らかに格下とみていた信に深手を負い、
戸惑いを見せる龐煖。

その時、李牧軍が割って入り、
一騎討ちの体が崩れる。
そして李牧からの"全軍退却"の指示を伝えるため晋成常(しんせいじょう)が現れ、
龐煖の一騎討ちの継続を制止。
晋成常から聞いた李牧からの伝言を受け、龐煖は退却していった。

楊端和らは龐煖を追おうとするも、
そこに晋成常が割り込み、妨害。
そこから晋成常率いる趙軍と山民族との乱戦になる。
しかしながら、山民族の圧倒的武力の前に
もはや戦局は覆ることなく、
晋成常は討ち死にし、趙軍は全軍退却したのだった。

ついに李牧軍を撃退した秦軍。
サイでは喜びと歓声が沸き立つ。

バンコ族との山界の大戦を投げ出してまで
駆け付けてくれた楊端和に、
心からの感謝を伝える政。
住民たちも、頭を下げる政にならい、
楊端和ら山民族に対し敬意をはらうのだった。

その夜、サイの城では住民たちと山民族とで
宴が開かれ、秦の勝利を祝う。
翌日も政は一日中サイを回って住民たちをねぎらった。
そしてその翌日、楊端和とのまたの再会を誓って、咸陽へ戻るのだった。

一方、
サイから退却した李牧軍が4日をかけて函谷関前の合従軍へ合流した後、
合従軍は全軍函谷関から完全撤退。
総司令である春申君は、
合従軍の"落としどころ"をつけるため
秦で軍の解散はせず、
"離反国・斉"を裏切り者とし、侵攻することに。

次は合従軍 対 斉 の全面戦争になろうとしていた。

しかし、合従軍の背を追う蒙武軍の猛追により、
斉の被害はそこまで拡大せずにおさまり、
斉の都市・饒安(じょうあん)を落としたところでようやく合従軍は解散するのだった。


それから、一ヶ月の月日が経った。

咸陽では、此度の合従軍戦に対する
論功行賞が行われる。

今回の戦いでは、
各所の将をつとめた
蒙驁・張唐・桓騎・王翦・蒙武・騰・麃公
の七将の功績に序列をつけることは難しく、
一将を除き六将には等しく
国防の"特別大功"が授けられた。
そしてこの大戦の第一功は、
ひときわ武功の厚かった蒙武に与えられる。

次に、今回の論功行賞では、
この七将に継ぐ三つの"特別準功"が与えられた。

一つ目は、サイの住民へ。
二つ目は、山の民の王・楊端和と、その一族へ。
そして三つ目は、何と信に与えられた。

信は、
初戦で趙の万極将軍を討ち取り、
その後南道の李牧軍を麃公と負い、そこで戦い刻をかせぎ、
サイでは最激戦区となった南壁の将として守り抜き、
最後には三大天・龐煖に立ち向かい、一騎打ちの末に秦国の武威を示した、
という多くの功績により
三千人将へ昇格となるのだった。


半月後。
三千人隊となった飛信隊は、千人将・岳雷(がくらい)を含む麃公兵が加わり、
信はいつにも増して張り切っていた。

新生飛信隊が、
合従軍の侵攻による復旧作業と
敵軍からの防衛にあたっていたその頃・・・

場面は切り換わり、
趙国、老眉(ろうび)。

象姉の仇討ちのため、現蚩尤・幽連を追っていた羌瘣は、
かつて"祭"から脱走し、現在は外界と羌族をつなぐ一団の人物・羌明(きょうめい)に会い、
幽連の所在に繋がる情報を聞き出そうとしていた。

羌明は、かつて覚悟が足りずに恐ろしくなって"祭"から逃げ出した自分の素性を羌瘣に語る。

追っ手を返り討ちにし、
命からがら逃げ延びた羌明は、
羌族から"一族のために一生を情報役として
つとめるのであれば見逃す"
という取り引きを受け、
外界で暮らしている一団の長となっていた。

秦に家を持ち、夫や2人の子どももいると話す
羌明に、
羌瘣は興味を持つ。

外界を夢見て"祭"で命を落とした象姉のことを
思うと、
羌明のやり方は狡いと感じる羌瘣だったが、
がむしゃらに生きるその生き方も
一つの道としてあってもいいのではないか、と
羌明に語り、
羌瘣の言葉に対し礼を言う羌明だった。

羌瘣は、羌明から幽連の根城の場所を聞き、
"老山"へ向かう。

幽連は、蚩尤となった後に人格が崩壊したという。
初めは魏王に抱えられたが、
手に余った魏王は幽連を追放。
その後趙へ流れ、幽連はもはや手がつけられない状態となっているらしい。

羌瘣は老山に入り、ついに幽連と対峙。

羌瘣が自分を追っていることを知っていた幽連は、22人もの一族の巫舞使いを呼び寄せ、準備していた。
あえて情報を流し、羌瘣をおびき出したのだという。

幽連は羌瘣を挑発し、一族の手下と戦わせる。

羌瘣が巫舞を使うと、手下達では相手にならず、
羌瘣はついに幽連まで辿り着く。

最深の巫舞で幽連に向かう羌瘣。
しかし、幽連は羌瘣の動きを見破り、
羌瘣は呼吸が尽き巫舞が解けてしまう。

才能がずば抜けていても、
祭をくぐっていない羌瘣の巫舞はままごとだ、
と罵る幽連に、羌瘣はその場に崩れ落ちるーー。



* * *



サイ、"不抜"となりました。(涙)

信×龐煖もどうなることかと思ったけど、
麃公さんの置き土産のおかげで善戦!
まさか龐煖の顔面に傷を負わせるなんて、
びっくりしました。

ちなみに信が龐煖に一撃を入れる時、
羌瘣が微笑む顔とリンクしますが、
何この通じ合ってる感。。。(ドキドキ)

しかしこの時のための麃公の死だったのかと思うと、
今後の展開も含め物語のつながりが壮大すぎて胸が詰まります‥‥!

端和様のシーンも痺れました。

🔴晋成常 : 「山猿風情が 許さぬぞ
部外者の貴様らのせいで
今 この時 中華の歴史がねじ曲がってしまったことが理解できておるのかァ!!」

🔴楊端和 : 「当然理解している!

だが これは気まぐれな干渉などではない

四百年前の秦王 穆公(ぼくこう)の生んだ盟
そして現秦王とこの楊端和の結んだ同盟によるものだ」

🔴晋成常 : 「そ‥‥そんなも」

🔴楊端和 : 「それ以上さえずるな
平地の老将よ」

「黙って貴様らは敗者として史に名を刻め」


くっ‥‥!!カッコよすぎるよ端和様!
次の次のコマで尾平・去亥・慶の3人も
頬を赤らめてやがるぜ!!

そしてハニワ男・晋成常はバジオウに殺られちゃいました。

李牧も山民族の登場によりついに退却を決意し、
まさかの合従軍敗戦の将となりました。


政と楊端和のシーンは良かったですねぇ。
政の振る舞いを見た秦兵・サイ住民たちが
山の民に敬意をはらうところにもグッときました。
端和様が望んでいた、"外界との交流"の
大きな第一歩が、今ここに!

さりげに端和様を見ては終始顔が赤い壁(へき)でしたが、恋バナ大好き介億先生にさっそく目を付けられていたところが笑えます。

ボロボロになったサイの城下を見つめながら
政が信に弱音を吐くシーンも、今後に生きてきそうな良いシーンでした。

自分がたきつけたせいで、サイの人口の半分を失わせたという現実に胸を痛ませる政に対し、
信が話します。


🔴政 : 「やはり違うものだな
王宮にて報告で知る戦争と
実際に目の当たりにする戦争は」

🔴信 : 「‥‥当たり前だ
そこで何も感じねェ奴は頭がどうかしてるし
そんな奴は絶対に人の上に立っちゃいけねェ

‥‥‥ たしかにお前にそういう計算があったのは本当だろうよ
だけどな 政 オレは途中から思ってたんだ

民もバカじゃねェ
連中も乗せられてることに気づいてんだろうなって

気づいてなお
あんなに目ェ輝かして最後まで戦ってくれたんだと思うぜ」



信がこう言い切ったことで、
政は大分救われたんだろうな。

2人の友情も熱いぜ‥‥(涙)。



そして論功行賞です。

なんと信が"特別準功"受賞!!

功績を政が読み上げる時、
内容から既に信のことであると分かります。
分かって聞き入っている昌文君の表情に、
何故だかわたしの涙腺はゆるみました。
もう、息子だか孫だかを見るような目です。。。

信はめでたく三千人将昇格で、
壁にも並びました。(青ざめる壁。笑)


そして合従軍が去り、平穏が戻った秦。
新生飛信隊には、麃公兵が500人加わり、
戦力増大!
新キャラ・岳雷(がくらい)千人将と
ちょっとヤンキーちっくな我呂(がろ)が登場。

「飛信隊の軍師が小娘というのには驚いた」
と話す我呂は、
さらにその女軍師は剣もかなりの使い手らしいとどこかで聞いたらしく、
噂では貂と羌瘣がごっちゃになっているもよう。

(まあ、貂がくるまでは羌瘣が飛信隊の軍師的役割を担っていたし、更に凄腕の剣士ということで、あながちその噂は間違ってはいないけどね?)

羌瘣を思い出し、尾平、慶、昂、田有らが思いを馳せるシーンで、
貂だけが複雑な表情‥‥
(嫉妬か?まさか嫉妬なのか?)。

尾平が羌瘣に早く会いたいよー!と叫ぶ場面から、
物語の場面は羌瘣のいる趙・老山へと移ります。


まず、
ちゃんと仇討ち描いてくれるんだ!
とテンション上がりました!

象姉の仇である幽連に、やっと辿り着いたところから仇討ち編が始まります。

少しだけ時がさかのぼって。
羌族の協力者・羌明と出会うシーン。

かつて"祭"から逃げ出した自分の過去を、
本音で語る羌明に、羌瘣は少し興味を持ったようです。

さらに羌明には秦に家庭があり、子どもも2人いると聞き、
「子供とかいるのか‥‥二人も‥‥」
「へー 子供‥‥って どう‥‥」
とか何とか、ひとりで微笑みながらつぶやく羌瘣。
何やら子供に興味を持ったもよう。

‥‥ここでの会話がきっかけとなり、
後に爆弾発言をすることに繋がるという
衝撃の事実は、まだ本人も知らない‥‥笑



羌瘣は、同族の者と話す時は
年相応の少女に見えますね。

象姉が死んだ時に自分の中の何かが壊れた、
と羌瘣は以前信に話していましたが、
今でも里のバァや識や礼と話す時、
そして今回羌明と話している時の
羌瘣の表情と口調は、どこかやわらかい。

飛信隊にいた時なんて、無愛想な上に
口調も固かったので、
このあたりのギャップも興味深かったです。


そしてついに積年の思いを果たすべく、
幽連と対峙する羌瘣。
用意周到な幽連は、幽族から手下どもを22人も
引き連れてきていました。

幽連は高みの見物で、
羌瘣を見下ろしながら挑発します。

🔴幽連 : 「こいつはもう一人の代表だった
象(しょう)という女のせいで"祭"に出られなかった

こいつに勝てないと踏んだ象に香(こう)で眠らされたのさ
アッハハハハ」

🔴羌瘣 : 「!!」
「違う 象姉は私と戦いたくなかったからそうしたんだ
勝てないとかそういうことじゃない」

🔴モブ幽族手下 : 「ブハハ
そりゃァ本人に聞いてみねェと分かんねェだろ

あーでも もうそいつ おっ死んでんだっけ?」

🔴羌瘣 : 「‥‥貴様」


このやりとり、非常に腹立たしくもありましたが、
妙に頷かされる考えでもありました。

確かに、象姉は妹のように思っていた羌瘣と戦いたくなかった。
しかし他に自分たちより強い相手が見受けられなかったことから、
羌瘣と戦うことになるのは必至。

羌瘣の性格をよく知る象姉は、
羌瘣が"祭"で自分を初めに狙うとは思えず、
(羌瘣自身も、象姉が生き残るために他の氏族を先に片付けるつもりでいた)
自分と戦うころには羌瘣の呼吸は尽きかけているだろうと予想。
どうしても羌瘣を殺したくなかった象姉は、
香で羌瘣を眠らせ、
ひとり"祭"に出向いた。
羌瘣の才能が突出していることを知っていた他の氏族のバァ達も、羌瘣の不参加を黙認した。

これが5年前の"祭"での出来事でしたが、

読者の私たちは、羌瘣の思いも、象姉の葛藤も
知っているからこんなのは挑発にすぎないと
分かるけれど、
知らなかったとしたら、
幽連が言うように、羌瘣に勝てないと見越した象姉が香を盛った、
と考えられなくもないですもんね。

羌瘣にしてみれば、象姉の思いは自分の想像でしかなかった。
そこにこんな侮辱と挑発を受ければ、怒りで我を忘れてしまってもおかしくないぐらいです。

しかし、想像以上にというか、想像通りに
羌瘣が象姉を信じる思いは強く、
自分の想像は確信だったため、あまり意味は無かったようですが。

さらなる挑発にも負けず、羌瘣は冷静に
巫舞を使わずにできる限り素の呼吸法だけで手下共を斬っていきます。

そして幽連との決戦へ。

ところが予想に反してめちゃくちゃ強い幽連!!

羌瘣の最深の巫舞が破られてしまい、
大ピンチに!!


🔴幽連 : 「卑怯な手を使う私は弱いとでも思っていたのか?

それとも姉への愛が力になると思ったか?
怒りが力になると思ったか?
そんなままごとが蚩尤に通じると思ったかクソガキ」

🔴羌瘣 : 「‥‥何だとっ‥‥」

🔴幽連 : 「巫舞とは
精神を内の深い所へ向け 人の秘められた力を
引き出す術だ

その集中力を生むために 特殊な呼吸法と
神堕としの舞で意識を陶酔の中に落とし込む

ならば 怒りだの愛だの
感情のさざ波は意識を外に縛りつける鎖以外の何物でもない

巫舞が意識を外から乖離させ
内に向けさせるためだけのものならば
そこを縛りつける現世のしがらみ
情だの何だのを断ち切れば話は早かろう

それを強制的にやろうと考えて作られたものが何かーーー

分かるか小娘」

🔴羌瘣 : 「‥‥ "祭"か」

🔴幽連 : 「その通りだ」

「今の私は助走なしに巫舞と同じ領域まで落とせる」

🔴羌瘣 : 「!」

🔴幽連 : 「"祭"をくぐったからだ」

「生まれ持った才能はお前が一番なのだろう
だが肝心の"祭"をくぐっていない
お前は本物の蚩尤になり損ねたんだよ間抜けが」




‥‥思ってた。
卑怯なオマエは弱いと思ってた。
愛だの怒りだのが力になると思ってた。

幽連、めちゃくちゃ強かった‥‥!!

羌瘣、どうなる?!



次巻へ続く。




【メモ】
⭕信、"王騎の矛"と"麃公の盾"を、
"信用できるダチ(政)"のところに預ける。

⭕信、三千人将へ、
王賁、三千人将へ、
蒙恬、二千人将へ昇格。
蒙恬、地味に値千金の活躍してるのになー。

⭕飛信隊・竜有、料理が得意と判明。

⭕幽連による"五年前の祭で最も蚩尤の座に近いと言われていた女"発言により、
羌瘣の現在の年齢は18歳と判明。
("祭"の時13歳だったことから。)
ちなみに羌明は32歳前後と思われる。

⭕おまけマンガ
「クイーン 端和様」

⭕カバー裏は、
ワンポイントでバジオウ、
裏表紙は信、政、羌瘣、貂プラス何故かオギコ。笑

キングダム 32巻 「開く城門」

*ネタバレあり*



まずこの巻を開いた瞬間に
目に飛び込むカラー昌文君に、
いきなりの不吉な予感!

いよいよサイ攻防戦最終日です。

2巻連続刊行して欲しかったぐらいに
盛り上がりをみせた32巻。


では、あらすじから追っていきます。


【あらすじ】
サイ攻防戦、2日目の夜。
初日の徹夜防衛戦の影響により、兵たちは重い疲労に悩まされていた。
李牧軍は、絶えず秦軍を休ませぬよう
再び夜襲をかけるそぶりをし、
秦兵たちの気力・体力を奪っていた。

その夜、眠れぬ民兵たちの前に、
突然大王・政が現れる。

どうせ皆が眠れぬのならば、
ねぎらいの言葉をかけようと城内を回る政の姿に、民兵たちは涙する。

続いて麃公兵のもとを訪れる政。
麃公後追いの捨て身の考えを捨て、
後世に英雄・麃公の生き様を伝えるためにも
必ず生きてサイを守りぬけ、
と鼓舞する。

政の巡回の効果で、疲れた兵たちの士気
再び高まるのだった。


同じ夜、信は昌文君にこの戦の展望について
尋ねる。
昌文君は、根拠のない数字ではあるが、
"8日"をしのげは活路が見える算段だと答える。

気が遠くなるほどの日数に、もはや"奇跡"を信じるしかない2人だった。

そして3日目。
政の連夜のねぎらいにより、
民兵たちは疲労の限界を超えて戦意を覚醒させ、
再び李牧軍を押し返しはじめる。
3日目、4日目ともにサイは陥落することなく
防衛を維持。

尋常ならざる士気の高さを保つ秦軍に対し、
李牧は、兵たちの士気を高める人物が何者であるのかを予想しながらも、訝しんでいた。

そして5日目。
"本当の限界"を超えて民兵たちは次々に倒れ出しはじめる。
精根尽き果てる寸前の兵たちの前に、
なんと政自らが前線に現れ、檄を飛ばす。
政は、自分にできる最後の手段として、
限界を超えた民兵たちを再び立ち上がらせるために危険を承知の上で現れたのだった。

少年兵が狙われている場面に遭遇した政は、
自ら剣をふるい、少年兵を救う。
まわりにいた民兵たちは、政の戦いぶりを見て
士気がよみがえり、限界を超えて立ち上がりはじめる。

その時、政の登場で民兵たちがあからさまに息を吹き返したのを見て、
李牧軍の隊長・曹(そう)は政を狙う。

政は自ら曹を迎え討ち、右腕を斬り落とすが、
残った左腕で体を挟み込まれ、
曹の部下・番陸に斬られてしまう。

まわりにいた秦兵たちが、政を大王と呼び叫ぶのを聞き、全てを察した曹は、
番陸に政の首を落とすように叫ぶ。

その時、信がかけつけ、
李牧軍を蹴散らし間一髪で政は助かる。
政は何とか気力で意識を保っていたが、
出血がひどく大怪我を負っていた。

この出来事により、
李牧軍本陣に秦国大王がいるという情報が広がり、ついに李牧の耳に入る。
李牧は、秦王・政を捕らえることができれば
呂不韋と交渉し無血で咸陽を落とせる、
という現状を好都合ととらえ、
全軍全兵でサイを落としにかかる。


しかし、5日目もサイは何とか落ちずに粘った。

たが、政が負傷したことによる秦軍の士気の低下は明らかであり、
6日目にはサイは陥落するだろうと予測した
昌文君は、
政だけは絶対に生かすよう、サイから脱出させるべきだと懇願。
信から政にその旨を伝えるように任せる。

政と2人、話す信。
政にはサイを脱する考えは毛頭無く、
信も政が脱出を拒むことは分かり切っていた。

昌文君は説得を失敗した信に憤慨するが、
信は昌文君を制し、
とことん政に付き合おう、と納得させる。

そして6日目。

猛攻撃を仕掛けてくる李牧軍。
それに対し、戦意を喪った秦軍。
疲労も重なり、満身創痍の秦兵たちの前に、
なんと重症のはずの政が騎馬しながら現れた。

政は、血の気の引いた顔色を隠すために
女物の化粧をし、意識を保つのがやっとの状態ながらも、
兵たちの士気を上げるために平静を装っていた。

これにより、秦兵たちは再び奮起する。
信は檄を飛ばし、飛信隊は大爆発。
竜川・田有も手負いながら復活し、
全てを出し尽くすかのように戦う。

そして、絶妙なタイミングで各壁に援軍を送り、
戦力のバランスを保つ北壁担当の介億の存在が、
転覆寸前のサイを保っていた。


そして7日目。
ついに均衡が崩れる。

昌文君の護る西壁が陥落。
階段を奪われた秦軍は、李牧軍の突入を許してしまう。
あっという間に城内に侵入され、
残り3方の城門も内側から開けられてしまう。
城内に李牧軍が満ちていくのを
絶望した面持ちで眺めるしかない秦軍。

兵たちが嘆き、全ての希望が断たれたかのように思えたその時、
西の山壁に楊端和率いる山民族の群れが現れた。

李牧軍とほぼ同数にみえる山民族の大軍は、
瞬く間にサイに向かって駆け下り、
李牧軍を蹴散らしはじめる。

あまりの状況の急展開に、
李牧を含め、秦軍でさえも大混乱。

山の民の援軍は、実は政が咸陽を出陣する前に
伝者を通じ頼んでいたのだが、
運悪く山の民は山界の北方奥深くに大遠征しており、楊端和らは不在であった。

一応の言伝(ことづて)は頼んでいたものの、
山界での大戦中に山民族が咸陽まで引き返すことはほぼ不可能と見込まれたため、
実際は援軍の確証が持てない状況だった。
昌文君の出した"8日"という算段は、
限りなく望みが薄い中での、
山民族が遠征地からサイまでの行軍にかかる
日数だった。
そして楊端和たち山民族は、予想を上回る
7日でサイに到着したのである。

山の民に援軍を依頼したことは、政と昌文君しか知らなかった。
情報を一切封鎖していたため、
李牧にとっては完全に虚をつかれた形となったのだ。

楊端和やバジオウをはじめ、山の民の圧倒的な武力により、
李牧はついに軍を退却させるかどうかの
瀬戸際に立つ。
それは、此度の合従軍の敗戦を意味することだけに、李牧は決断をしかねていた。

李牧が決断を下そうとしたその時、
三大天・龐煖が姿を現した。

楊端和は、矛を振り回し次々と山民族を殺しながら近づいてくる龐煖の存在に気づく。
龐煖に向かって行く楊端和の前に、
なんと信が立ちはだかる。

天下の大将軍になるために、
龐煖を超えなければならないと考える信は、
楊端和にの龐煖との戦いを譲ってくれと
申し出る。

信はついに龐煖と対峙。
信は龐煖に一撃をくらい、アバラを折られるほどに激しく吹き飛ばされる。

しかし信は立ち上がり、
再び龐煖と一騎討ちにーーー!




* * *




政、ついに前線にまで現れました。

毎回貂が下りてくるだけでも、すぐ殺られちゃうんじゃないかとヒヤヒヤするのに、
まさかの大王が混戦の中に混じってくるなんて!
(そう考えたら、戦神と呼ばれた昭王って
半端無くとんでもないな‥‥。)

そのおかげで民兵たちの士気はよみがえりますが、
その分跳ね返ったリスクも大きく、政は負傷し、李牧に存在を知られてしまいます。

政があわや首を斬り落とされるかの寸前で
現れた信、
超絶カッコ良かったですねー。
兵士たちの
「やっ やめろォ」
からの見開き登場シーンは、
原先生の真骨頂!

相変わらずモブ兵一人一人の表情が
素晴らしすぎて臨場感ありまくり。
本気で手に汗握ります。

政が倒れ、かつて親友・漂が目の前で死んだ時の場面がフラッシュバックする信。
ここも良かった。
もはや身分は違えど、政は家族みたいなもの。
家族を再び失う恐怖に、
信は一瞬血の気が引いただろうな。

その日の晩の、脱出説得シーンも良かった。
政の性格上、ハナから説得できるとは思ってない信に、
男の友情の深さを感じて何だか萌えます。

説得できなかった(しもしなかった)と知り、
憤慨する昌文君。
いつものように信にゲンコツが飛びますが、
"バシッ"と受け止める信が
何だか大人になったみたいで凛々しい。

🔴信 : 「らしくねーぞ 昌文君
いつもの粘り腰見せてみろよ」

の一言で、無理やり説得しちゃいます。


そして、大王を脱出させるという昌文君の決断を
"英断"と言った介億先生、
「問題は大王様が即座にこのことを受け入れられるかだ」
と言っていましたが、
案の定政はサイに残ることになり、
「‥‥フッ」
と一言。

数日間、政の言動や行動を見て、
主である昌平君を動かすほどの人物だと
納得したのでしょう。
きっとサイに残るに違いないと思っていたはず。

そしてそして開戦7日目。

き・・・来たーーー!!!

楊端和様、見開きで華々しく登場!!!


ここは鳥肌ものでした。
合従軍編に入り、どこかで山の民たちが出てくるはず、と想定していたのにも関わらず、
めまぐるしい展開にすっかり忘れて
まんまと度肝を抜かれ、
驚いてしまいました。笑

端和様、バジオウの強さは圧倒的。
さらに元・成蟜のペット、ランカイも存在感見せつけてます。

山の民の援軍にホッとしたのもつかの間、
ここで龐煖登場・・・。
正直、「出てくんなよ!!」と叫びたい気分でした。

で、信ーーー!!!

まさかの一騎討ちの展開に!!!

ここはさすがに、尾平じゃないけど
放っておいても李牧軍は退却寸前だったし
とにかく今は、やめといて!!!
とイライラさえしました。笑

無理無理!と焦るわたしをよそに、
信は龐煖と一騎討ちの態勢。

いやいや、どう考えても無理がありすぎて
今の状態の信が勝つところなんて想像できない。
かといって、この流れで負けるなんてあり得ない。
でもやっぱり勝つってのもおかしい!不可能!

原先生、一体どうするおつもりで?!

別の意味でのドキドキをも抱え、
33巻へ続きます。



【メモ】
⭕信、貂の尻を「ケツ氏!」と言って掴む。
竭氏、こんなところで久々の登場。笑

⭕山の民は、北の大勢力・バンコとの
一大決戦の真っ最中だった。
これは山界の覇を争う大戦であり、
サイまで駆け付けるとなれば、それまでの
"戦績"と"犠牲"は全て無に帰することになる。

⭕そういえば、合従軍の各国軍から1000人ずつ精鋭隊を向かわせていたのはどうなったのか。
カイネが攻防戦当初に、あと3,4日で到着しそうだとか何とか言っていたけど。。。

〔そむ さんのご指摘により追加〕
105ページの李牧と趙兵の会話から、「2日前に到着している列国の援軍を投入しても逆に混乱する」という表現で、
"各国精鋭隊の存在"の回収はされておりました。すっかり見落としておりました!スミマセン。
やっぱり、原先生がこういうところを完全スルーする訳がないですよね。

⭕おまけマンガ「しんせいじょうの歯」

⭕32巻より、カバー裏にオマケあり。
蒙恬、王賁の秘蔵ショット。

キングダム 31巻 「政、語りかける」

*ネタバレあり*


合従軍編も終盤、最後の砦です。

まさかの政・出陣で最高の盛り上がり。

そして今巻は全体的に絵が綺麗だった気がします。
キャラの表情とか、陰影が丁寧というか。(気のせい?)

政の活躍に胸が詰まって、
途中なぜだか感極まり、
何度も涙した31巻。

新キャラも登場です!


【あらすじ】
大王である政が自ら出陣したことを知り、
ざわめく王宮。

水面下で政の暗殺を企んでいた呂不韋
ことさら苛立ち、
出陣前の政が昌平君と会っていたという話を聞きつけ、昌平君に詰め寄る。
よもや助言などしてはいないかと疑る呂不韋に対し、
昌平君は、
今は秦軍総司令として以外のことは
"取るに足らぬ小事"
だと発言。

呂氏四柱でもある昌平君からのきっぱりとした言葉に、
呂不韋は静かに怒りを滾らせる。

そして政のいない玉座に呂不韋が腰掛けようとしたその時、
王弟・成蟜が現れる。


一方、南道から咸陽へ向かう信たちは、
気力も体力も失い、精根尽きかけながらも
何とか前進を続けていた。

兵たちは、言葉を交わすことすらできないほどの疲労で希望を見出せない精神状態の中、
咸陽までの道のりで最後の城である
"サイ"にたどり着く。

食糧の補給のため、何気なく立ち寄った
"サイ"には、
大王・政が信たちを待っていた。

共に戦いに来たと言う政に、
信は状況が掴めないながらも、
希望の光を見出し涙する。

政の肩を借り、初めて弱音を吐く信。
しかし、政の存在により絶望の淵から蘇り、
すっかり士気を取り戻すのだった。


一息ついた後、政たちは"サイ"の住民の状況を調べ始める。
3万の住民のうち、
2万は女・子ども・老人であり、
兵力は1000人ほどしか残っていなかった。

信たち麃公軍残兵はおよそ2000人、
政が連れて来た兵も2000人弱。
つまり戦力は5000人ほど。

もはや"ある中"で戦うしかない秦軍は、
3万の住民に"戦意"を持たせて兵士と化させ、
3万から4万を率いて向かってくる李牧軍と
戦わせるつもりであった。

住民の士気を鼓舞するため、
政は住民全ての前で声をあげて語りかける。

よく通る声で、力はこもっているが威圧的でなく、
住民一人一人にしっかりと語りかける口調で状況を説明する政。

秦の歴史を途絶えさせぬために、
子や次の世代の子を列国の奴隷にさせぬために、
秦の命運をかけて共に戦う、
と宣言する政の姿に、
サイの住民は沸き立ち、
老若男女全てが立ち上がった。


住民の士気は最高潮であり、
政の檄により信らの士気もよみがえる。
さらに、咸陽から昌平君の側近・介億(かいおく)ら100名の指揮官級軍師兵が到着。
昌平君のはからいであった。

貂の軍師学校での講師をつとめていた介億の存在はこの上なく心強く、
また、軍師学校で共に学んだ兄弟子・蒙毅も共に来ており、感謝で涙する貂。

介億らの存在により、城壁の兵の配置が完成。
装備を整え、李牧軍の到着を待つ。

ほどなくして、ついに李牧軍が到着。

サイの城に向かって、
「降伏すればただの一人も殺させない」
と交渉してくる李牧に対し、
政の檄により高まった住民の士気は下がることなく、
李牧軍を迎え討つ受け入れ態勢が出来上がった。

そしてついに、サイの攻防戦が開戦する。

指揮官の配置は、
正面・南壁には政・貂・蒙毅、
東壁には壁、
北壁には介億、
西壁には昌文君。

正面に配置された飛信隊の活躍と、
東壁に配置された麃公軍の活躍により、
初日の戦いを乗り越えることができた。

しかし、その日の夜。
李牧は秦軍の警戒心を逆手にとり、
夜通しでほぼ形だけの夜襲をかけ続ける。

翌朝日の出が近づき、
夜襲をかけていた李牧軍が、
想定していた数の半分ほどしかいなかったことに気づいた貂。
急いで兵を休ませようとするが、時すでに遅く、
秦軍は体力を消耗しきっていた。

それでも、サイの住民や秦軍は
2日目も善戦する。

昼ごろ、李牧軍が動き出す。
正面の南壁を護る飛信隊のもとに、
三千人将・傅抵(ふてい)の隊、
そしてカイネの隊が出陣。

傅抵はいきなり百人将・竜川や田有を狙い、
飛信隊を掻き回すが、
そこに信が現れ、傅抵と一騎討ち状態の打ち合いに。

傅抵のスピードは異常に速く、
信の剣がかすりもしないほどだった。
傅抵に苦戦しながらも、
信は羌瘣との打ち合い稽古で教えられた
"速さで戦う達人が仕掛ける誘いに乗るな"
という助言を思い出し、
自らがタイミングをずらして誘い込み、
見事傅抵を撃破する。

その頃、竜川・田有が戦線離脱した飛信隊の指揮系統を立て直すため、
貂が中まで入ってきていた。
カイネは貂を攻撃するが、
殺すことができず、捕虜にすると言ってさらう。

しかしすぐさま貂を助けに現れた信により、カイネは押し負けて吹き飛ばされ、
城壁の下へ落下しかけるが、
貂はカイネの手を掴み、カイネは城壁にぶら下がった。

互いが互いを殺せずに、2人は葛藤する。

カイネは貂に対し、
サイはいずれ落ち
そこにいても死ぬだけだからこっちへ来い、
と誘うが、貂は拒否。

カイネと貂は手を離し、
城壁の下へ駆けつけた兵士に受け止められ、
カイネは生き延びる。

そこへ傅抵が現れ、カイネを落とされた怒りで
信へ向かってくるが、
起き上がった竜川に吹き飛ばされ傅抵も落下。
兵士の上に落ち、傅抵も生き延びる。

そして、
2日目に至っても士気が一向に下がらない秦軍に対し、
李牧は小さく眉をひそめていた‥‥。




* * *




サイに着いた時の信の顔、
今まで見たことないぐらいに疲れ果ててました‥‥。
ツリ目の信が、あんな伏し目になったことが
いまだかつてあったでしょうか。
それほどの疲労と絶望だったのでしょうね。

だからこそ、
何気なく立ち寄ったサイの城で
いるはずのない政の姿を目にした時の
信の見開いた目が胸に刺さります。

状況はさっぱり分からないけれど
でもどこか安心して、
訳が分からないまま泣いた。
いつもの信なら考えられない行動。

そしていつも王宮の玉座の上で
信の活躍の報告を受けるたびに、
救われる思いをしてきた政だからこそ、
信を理解し受け止めることができたのでしょう。

何回読んでもこのへんは泣ける‥‥!

そして政の演説も素晴らしかった。

ここのシーン、原先生は相当大変だったんじゃないかなと仕上がりに感動しました。
サイの住民と同時に、
読者の気持ちもアゲていかなければならないという、超重要シーンだもの。
住民(特に老人)の表情も良かったし、
政の言葉を受けて次々と住民が立ち上がっていくところも良かった。

330話、政の演説のシーンで昌文君の表情が
ところどころで抜かれていて
(45,49,58,59ページ)、
演説成功後、群衆の士気を見事に引き上げた
政に対し、
昌文君はその勇姿に感極まって

🔴昌文君 : 「(やはり‥‥私の直感は間違いではなかった
このお方は 戦神 昭王を越える

越えるぞ‥‥!!
王騎よーーー)」

と涙するシーンもシブい。


あと、昌平君の粋なはからいも良かったー。
政と何を話したのか探ってくる呂不韋に向かって、
「状況をお考えください」とピシャリ。
"軍総司令として"、
サイの指揮官不足を見越し、
介億ら100人の指揮官級軍師を送りこんでくれました。

秦国のために最善を尽くそうとしている昌平君。
元は楚国出身、現秦国丞相。
この期に及んでもまだ我が身の野望にこだわり続ける呂不韋
元は趙国出身、現秦国相国。

元々他国出身の両者なれど、
秦に対する愛国心?の差はどこから生まれたものなのか。
はたまた呂不韋に目をつけられてしまった
呂氏四柱・昌平君の合従軍後の扱いは、
どのようなものになるのか。
気が早いけどそのへんもかなり気になったり。


話はサイに戻りますが、
指揮官が足りずにいろいろ背負い込もうとしていた貂にとっては、
めちゃくちゃ嬉しい援軍だったことでしょう、
軍師学校での恩師・介億や
兄弟子・蒙毅が来てくれました。

介億が「蒙毅には気をつけろ」と茶化すシーンを差し込むあたり、
将来的に貂の相手には蒙毅ですかね?!
いい!めちゃ合ってる!
信とはやっぱり家族のような関係でいて欲しい。
あくまでわたしの希望です。

開戦直前に、政と信が語り合うシーンでは、
(第331話 75ページ)

🔴信 : 「四年ぶりだな 一緒に戦うのは」

🔴政 : 「ああ
不思議な縁だな 窮地には よく お前がいる」

🔴貂 : 「オレもな!」

🔴政 : 「ああ お前もだ 貂」

🔴信 : 「カカカカ」

のやりとりの後、貂の嬉しそうな顔がすごくかわいい。

貂、政や信と同じ場所にいたくて軍師になったんだもんね。
こんな死地だけど、貂の望みは叶ってる。

そして互いの胸をゴンッと叩き、
気合いを入れる信と政。
それを笑顔で見守る貂。
それを見守る蒙毅。

蒙毅は、王弟反乱の詳細を結構知っていたから
政・信・貂の関係も知っていたはず。
それでも目の前で3人を見、
大王が信や貂とただの"ダチ"のように接している姿に、
3人の結構深そうな絆を感じてちょっと驚いたのでしょうか。

貂が軍師学校に来るまでは、
父・蒙武が所属する呂氏陣営の敵ともいえる大王陣営に対し、
敵視とまではいかなくとも敵対している存在だったはずですからね。
このあたりの関係も、
今後どう描かれていくのか、すごく楽しみ。


さて、ついにサイ攻防戦が開戦です。

李牧軍からは、新キャラ傅抵が登場。
カイネを"将来の俺の嫁"とし、つきまとっている感じがちょっとかわいくもあります。
さりげに一緒に寝ようとして、カイネに蹴り上げられてましたが。笑

しかしこのおちゃらけた男・傅抵、
三千人将なだけあって、かなりのデキる奴だった。
スピードは羌瘣なみ、飛信隊の竜川や田有をやすやすと斬り倒していく。
(2人、足遅いって言ってたもんね、、、)

一騎討ちになった信も手こずりまくりでしたが、
急に羌瘣との打ち稽古シーンの回想に。
羌瘣の助言を思い出した信は、見事傅抵を攻略!

‥‥ここの回想羌瘣、めちゃかわいかったな。
信も、顔が近くて頬を赤らめてたし。笑


そしてカイネにさらわれかける貂。
すぐに助けに来た信により形勢は逆転し、
カイネを城壁から落としかけるも
貂が助ける。

貂もカイネも、お互いに対して非情になりきれない。
貂的には、"一緒に寝泊まりした奴には死んで欲しくない"
と過去に言っていましたが、
それを甘ちゃんだと諌めていたカイネの方も、
貂に対して何かしらの情がある。
妹的な存在のようにも思えるのか、
または前線で戦う女同士の絆のようなものか、
はたまた貂にもらった食糧の味が忘れられなかったのか‥‥

2人は葛藤しますが、
結局お互い殺せなかった。
この2人の次の再会は、どうなるのでしょう。

そしてラストの傅抵、しっかり笑わせてくれました。

🔴カイネ : 「カイネが落ちるぞォー!!」

兵たち : 「ィ喜んでェー!!」

🔴傅抵 : 「傅抵が落ちるぞォー!!」

兵たち : 「?」


コイツ、なんか憎めない。笑



【メモ】
⭕紀元前241年、サイ攻防戦が開戦。

⭕合従軍は、函谷関にいる秦軍が
咸陽へ戻らぬよう、見張る。
函谷関にいる武将たちは、援軍も出せぬ状態。

⭕おまけマンガ「悪夢」× 2(172ページ、209ページ)